gock221B

映画やドラマの感想ブログ 😺🐱 殆どのページはネタバレ含んだ感想になってますので注意 😺 短い感想はFilmarksに https://filmarks.com/users/gock221b おしずかに‥〈Since.2015〉

『ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金』(2013)/前半だけなら世界一面白い。マイケル・ベイはGTAを映画化して欲しい✊

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原題:Pain & Gain 監督:マイケル・ベイ
配給:パラマウント 製作国:アメリ 上映時間:129分

 

Huluにあったので観た。
大勢のスタッフを仕切ってアクション大作を数多く手がける優れた手腕、爆破シーンや演出やMV的カッコいい映像も素晴らしい‥のだが映画の内容は全然面白くない事で有名なマイケル・ベイ監督。
そのマイケル・ベイ監督作品の中でこれだけは絶対に面白いと言われてる本作を観た。実際に死ぬほど面白かった。特に前半までなら「あれ?これ世界一面白い映画?」とまで思った。

 

Story
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筋トレだけが生きがいの
ジムトレーナーのダニエル(マーク・ウォルバーグ)は自分の平凡な人生にうんざりしていた。
「こんな凄い筋肉の俺が大金持ちになってないのはおかしい」
一攫千金のアメリカンドリームを掴まないと気が済まなくなったのだ。
彼はジムで共に働いているステロイドの打ち過ぎで勃起不全に悩むエイドリアンアンソニー・マッキー)とジム新会員の前科者ポールドウェイン・ジョンソン)を仲間にして、ジムの客である大金持ちヴィクタートニー・シャルーブ)を誘拐して財産乗っ取りを決行する。
一瞬だけ計画は成功したかに思われたが、命からがら逃げ出したヴィクターは私立探偵エド・デュボイスエド・ハリス)を雇い、ダニエルらに逆襲を開始する

 

 

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✊バカのボディビルダー三人組による杜撰な犯罪という実話を元にした話。
バカっぽい映画を得意とするマイケル・ベイ監督が「これ本当にマイケル・ベイの映画?」と思うくらい批評性豊かに作り上げてて面白い。
そして彼本来の快楽性高いカッコよくもアホみたいな映像でグイグイ引き込まれる。
汗まみれの筋肉やブロンド美女の濡れた乳や尻がスローモーションでシズル感たっぷりに揺れる。筋トレしまくりコカイン吸いまくり。全編コカコーラのCMみたいだ。
✊バカにしか見えない上に性格も良くないマーク・ウォルバーグがバカの主人公を演じる。
正直マーク・ウォルバーグあまり好きじゃないので酷い目に遭うであろうラストも楽しみに待てる。
筋トレマニアで、金と権力と金髪グラマーにしか興味ないアメリカンドリーム馬鹿。
トランプ大統領ステロイド打った感じのバカ。
特に加虐性があるわけではないが善良な心も持ち合わせていない系バカ(つまり我々大多数の一般人と同じ)。
「誘拐で成り上がるぞ!」と決めたらそのまま突っ走ってしまう。
✊ファルコンの人は、主人公よりバカなインポ黒人。主人公の劣化版。
ステロイドと小心のせいでチンコが勃たないのでバカ高い精力剤欲しさに犯罪に協力する。
ザ・ロックは心に善良な部分もあるが2人よりもバカで小心者ゆえ常にコカイン吸ってて、2人の言うことを聞いてしまうカトリック大男。
✊一財産築いた元移民の大金持ちヴィクターは主人公のジムに入会して主人公と知り合う。
主人公「俺は努力してこんなにカッコいい筋肉なのに平凡な暮らしで、何故このオッサンは大金持ちなんや!?」
バカなのでオッサンが勉強したり努力したことにまで頭が回らない。
とにかく「財産と名声はふさわしい男のものであるべきだ。たとえばカッコいい筋肉を持つ俺のようにな!」
精力みなぎるバカがアホな野望を抱いてアクティブになってしまい、更に自分より数段バカな2人の筋肉マンを従えてしまい、バカの壊れたダンプカー状態となった。
馬鹿ダンプカー筋肉号となった彼らは爆走を開始!邪魔なやつは轢き殺すのみ!
誰も‥彼らを‥とめる‥ことは‥‥デキナイ‥‥‥

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✊三人はヴィクターを誘拐し見よう見まねで拷問する。
ヴィクターも「お前らには一銭もやらん!殺すなら殺せ!」と耐えるが、一ヶ月間くらい監禁されて、さすがに根負けして財産分与的な書類にサインさせられる。
三人はヴィクターを誘拐する時もちろん変装してたのだが主人公がいつも付けてるバニラの香水と三人のムキムキの身体で、正体が秒速でバレてしまう。
これではヴィクターを殺害しなければならなくなった。
三人の犯罪はバカ故に杜撰(ずさん)極まるものだった。
全体的に杜撰なのだが、ヴィクター殺害は特にグダグダだ。
まず飲酒運転に見せかけ激突させて車炎上。殺ったァ‥
いや、生きとる!
インポ黒人がヴィクターにシートベルトしていたためヴィクターは軽傷。
インポ黒人「だって車に乗せる時はシートベルトしないと‥」
仕方なく車でひいて轢死させる!
だめだ!
それでも生きてたのでバックしてヴィクターの頭部をタイヤで踏む!
ここまでやってもヴィクターに上手くヒットしておらず死んでいない。
三人はヴィクターの脈の確認もせず放置して帰宅。大金をせしめてパーリナイ!
ヴィクターが生きて入院してる事がわかったので病院に殺しに行くが、警察はヴィクターの証言を虚言だと思ってることがわかるとそのまま安心して引き返してしまう。
そして不安を感じたらとにかく腹筋して現実逃避!(まるで色んな不安を感じつつも映画やドラマを観まくったりブログを更新しまくって現実逃避する俺のようだ)
その後も邪魔者を殺して(バカ故にうっかり殺してしまう)遺体の処理をするが三人は全ての行動でボロが出ている。ザ・ロックがバラバラにした遺体を焼却する際など、表に出てバーベキューグリルでコカコーラのCMみたいに爽やかな笑顔で焼いていて主人公に叱られる。そしてそのシーンで「ここまでの描写全て真実」というテロップが出るところなど最高。
実話を元にしたずさんな凶悪殺人映画といえば去年の邦画「全員死刑」が思い浮かぶ。まだ観てないけど。観てないけど多分似たような内容だと思う。それをコメディ調に撮ってるところとかね。。
ボロが出まくってるのでエド・ハリス演じる本物のカッコいい男、有能な探偵に追い詰められる。。

という、チンピラ成り上がりもの定番の流れ‥発端→頂点!→没落という美しいへの字型を描いて終わる。
犯罪(一瞬だけ)成功!という中盤までは「世界一面白いかもしれん‥」と思ったが成功以降の没落描写は、別につまんないわけじゃないけど少し面白さが落ちて終わる。
というのも三人は何度も言ってきたようにバカだし、筋肉信仰以外の美学は一切持っていないのでゴッドファーザー的な美しい没落描写にならないからかな?と思った。
「無限にやったバカな行動のアレとアレとアレがバレた!逃げろ~」という感じだからね。
だが三人を捕まえたエド・ハリスが言う台詞が良かった。
「捕まった三人にはありとあらゆる罪状が付いた。だが奴らの一番の罪は問われなかった。それは奴らが『バカ』だという罪だ‥」
何か、今回はあらすじをそのままなぞっていくというバカそのものの感想になってしまった。
だがそれはそれで三人のバカが活躍するこの映画にふさわしい気もする。
それに彼らの思想や映画が示すものとか、全てわかりやすく提示されてるので、それを指してこれはこうだ!とか書くとそっちの方がバカみたいだ‥
とにかく結構内容書いてしまったで未見なのにうっかりここまで読んでしまったあなたには悪いことしてしまったが絶対に楽しめるので、まだ観てなかったらおすすめです。
✊これ観ながら思ったが「グランド・セフト・オート」シリーズを始めとするアメリカのオープンワールド犯罪ゲーム、そういうGTAをバカが初見プレイしてるかのような映画だった。
「作戦読まずに飛ばしちゃった。このオッサン撃ってもいいんだっけ?まあ良いやゲームだから撃っちゃえ」みたいなそんな適当プレイ。
それを本当にやったムキムキのバカ達がいた。
プロテインステロイドが脳まで染み渡ったバカ達がな‥そんな映画。本当に面白い

マイケル・ベイ監督には今後トランスフォーマーとかおもんないのやめて、こういう面白い小品ばかり撮ってほしいね。というかGTA5とか映画化して欲しい。いやロックスターはこだわり強いからベイによる映画化を嫌がるかもしれん‥。だめならセインツロウIVとかでもいい✊


そんな感じでした

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「ヒットマンズ・ボディガード (2017)」トレンドの波に取り残されてるが楽しい、90年代俳優大暴れ映画🔫

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原題:The Hitman's Bodyguard 監督: パトリック・ヒューズ
製作国 アメリカ 配信時間:118分 配給会社:ライオンズゲート・エンターテインメント

 

エクスペンダブルズ3」の監督によるお気楽アクション映画。
Netflixオリジナル作品」と書かれてはいるが「ネトフリ資本で制作して劇場公開なしでいきなりネトフリ配信された映画」ではなく、本作はライオンズゲートが作って配給したものをネトフリが買い取って日本劇場公開なしで配信したもの。
DVDスルーならぬネトフリスルーとでもいうべき映画。まあどうでもいい。

 

 

Story
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マイケル・ブライスライアン・レイノルズ)は、護衛対象の日本人武器商人が目の前で暗殺されて以来、第一線を退いて落ちぶれた腕の立つボディガー
数年後、元カノであるインターポールのアメリエロディ・ユン)から要人警護を頼まれる。
それは、かつてブライスと何度も対決した凄腕ヒットマンダリウス・キンケイドサミュエル・L・ジャクソン)の護衛だった。

非人道的な暴君、ベラルーシ独裁者デュコビッチゲイリー・オールドマン)は国際司法裁判所で裁かれようとしていた。だがデュコビッチは自分に不利な証言をしそうな証人を片っ端から暗殺していた。
キンケイドはデュコビッチの国際犯罪について証言すれば「愛する妻ソニアサルマ・ハエック)を釈放する」という取引で証言に臨む。だが護衛のインターポールはデュコビッチ配下に皆殺しにされた。生き残ったアメリアは最も信頼できるブライスに護衛を頼んだというわけだ。
気は進まないが暗殺者の護衛(ヒットマンズ・ボディガード)となったマイケル
2人は暗殺者達から逃れて無事、裁判所まで辿り着くことができるか。。
みたいな話

 

 

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敵対していた二人が密着して、共通の敵と闘いながら旅しているうちに立場を超えた友情が芽生える‥という「ミッドナイト・ラン」とか「48時間」みたいな、あの手のバディもの。
サミュエル・L・ジャクソンがA地点からB地点まで移動」すればクリア。
エクスペンダブルズ3の監督によるバディもの」と聞いて想像する通りの、エクスペンダブルズ3的なアクションや展開が楽しめる。
2人の強さも「めちゃくちゃ強いが、エクスペンダブルズほど強いわけではなく普通に失神したり怪我したりする」と、彼らにぴったりな感じで、2人がこのままエクスペンダブルズ世界に入ったとしてもこのままのキャラでいけそう。
冗談を言いながら死闘を繰り広げて凄い数の敵を殺してまた冗談を言い、目前の死よりお互いの恋バナの方に真剣で、そんな過程を経て仲良くなっていく2人‥という古き良き時代のアホっぽいアクション映画。
はっきり言って00年代に観ても「少し懐かしいね」って感じの内容なので、2010年代後半のポリコレ全盛の今観ると凄く時代とズレた映画に見える。
だけどアクションは流れるように‥エクスペンダブルズ3同様ダンスを踊っているのかのようにスムーズに敵がバンバン死んでいくので気持ちいい。
その感じもまた懐かしい。

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ライアン・レイノルズデッドプール的な役ではなく神経質なツッコミ役なので、昔のライアン・レイノルズって感じの役柄。もちろん強いことは強いが悪く言うとライアン・レイノルズじゃなくても成立する主人公。長いから以降はレイノルズと呼ぶ。元カノのアメリア役はNetflix版「デアデビル」のエレクトラ役の女優。
どちらかというとレイノルズよりサミュエル・L・ジャクソン(長いので以下サミュジャク)の方がデッドプール的な役柄と言える。
ライアン・レイノルズピッキングしようとしたり突破しようと慎重に計画してたら、サミュジャクが横からドアぶっ壊したり無計画に敵をブッ殺して「こっちの方が早いだろw」と言うタイプ。
サミュジャクはいつものように怒ったらめちゃくちゃ怖い。原始的な怖さだ。
近年、映画に出てくる怖いキャラは、殆どがサイコパスだったり権力者的な怖さなのだがサミュジャクだけは唯一、子供の時見た不良やカミナリ親父から感じるようなピュアな怖さを感じる。
この人、色んな映画に出過ぎてるので怖さに麻痺してたが、久々に観ると目を剥くだけで怖い。特徴的な声も怖いし真顔も笑顔も怖い。
彼は大体いつも怖い役をするものの、物理的に強いという役よりクセ者や権力者や元強者の役が多いが、本作では珍しく物理的に強くてアクティブに動く役。
丸腰で両手を縛られて暗殺者達に囲まれた状態でも何とかギリギリ皆殺しにできるくらいの強さ。めちゃくちゃ強いがスタローンやシュワ氏や「イコライザーデンゼル・ワシントンジョン・ウィックよりは弱い。そんな強さ。
大怪我しても少年漫画のキャラみたいに10分経ったら普通に全力疾走している。
こちらも怪我のことなんか覚えてねーから構わんよ。
ライアン・レイノルズは彼より少しだけ弱いくらいの強さ。サミュジャクが軽傷で済む場面でレイノルズは大怪我する。
こち亀で言うとサミュジャクが両津でレイノルズは中川。

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近年デッドプール役でやっと売れたライアン・レイノルズエレクトラの女優は置いといて‥、
サミュジャク、ゲイリー・オールドマンサルマ・ハエックなどの、近年はおとなしい役しがちな90年代っぽいメンツが本作では荒々しい役で若手を抑えて大暴れする。
僕は90年代に青春時代を送ったアラフォー男性なので彼らが元気で何だか懐かしい気持ちになったし嬉しかった。
ゲイリー・オールドマンも昔はキレ役ばかりしたがる俳優で有名だったのに(今の俳優でいうとジャレッド・レトか)最近は優しいおじさん役ばかりだったので、ちょっと怒っただけですぐペンを人の手にブッ込んだりブチ殺す役で懐かしかった。顔つきは優しいものの怖い雰囲気がちゃんと出てたし。
ただ肌が死体みたいだったので健康が心配になった。
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サルマ・ハエックは昔から、セクシーだが正統派ヒロインっぽい役が多かったけど本作ではバーでケツ触られただけで酔客を即死させる狂った女役だった。肝っ玉母ちゃん的な印象になってきた最近ではこういう役の方が合ってるなと思った。
彼女は留置所で同室の太った女性を無意味に虐めているという天丼を披露する。
不良が太ったいじめられっ子をいじめる‥というギャグも時代に反してるので久々に見た。
それは特に良いとは思わないが狂った女キャラなので別にどうでもいい

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色んな意味で「何だか懐かしい映画だな」という気分になり、全く期待してなかったがかなり楽しめた。
「20年前凄かった商店街の中年達が一瞬だけ目を覚まし、時代にそぐわない暴れっぷりをして帰っていった」‥という印象。
興行収入や評価はどちらもそこそこ‥。
多分これ観て喜ぶのはアラフォー以上の映画好きのオッサンだけだろうからそんなもんだろう。
実際、特に「ここだけは他に負けず秀でている!」と優れてるところもない。
時代と時代の間の隙間に落ちて、そのまま忘れられそうな一本。
でも僕は結構好きでしたね。
さっきも言ったようにサミュジャクが物理的にポンポン活躍する様が爽快で、観てるうちにGTAとかプレイしたくなってくる。
現在2018年は、スーパーヒーローと女性と他人種と異なったルックスの人間が地上を闊歩する時代だし、こんな暴力に秀でただけのオッサンが大義名分もなし事後の事も考えず皆殺しにするアクション映画もすっかり観られなくなってしまった。それは、時と共に自然とそうなってるので特に考えたこともなかったし、だからこそ新鮮に感じた。それが特別良いわけでもないがたまには良いだろう
※追記:想像通り、このページは全くと言っていいほどクリックされなかった。
この映画を楽しんだのは僕と、この行まで読んでくれた君だけのようだ

 

そんな感じでした

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「帰ってきたヒトラー (2015)」水木しげるの短編漫画みたいなドイツの傑作風刺コメディ映画卍

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原題:Er ist wieder da 監督:ダーヴィト・ヴネント
原作:ティムール・ヴェルメシュ『帰ってきたヒトラー
制作国:ドイツ 上映時間 116分

 


2012年に発売されてベストセラーになったドイツ小説を映画化したもの。
突然ヒトラーが現代に蘇り、人気者となるドイツの大ヒットコメディ映画

Story
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2014年のベルリンにタイムスリップして甦ったアドルフ・ヒトラー
TV局をクビになったザヴァツキくんは、彼をモノマネ芸人と勘違いして彼を主演に面白動画を作成するとたちまちYOUTUBEの人気者に。ザヴァツキくんはヒトラーを連れてTV局に復帰。
ヒトラーはインタラネッツで現代社会を学び、バラエティ番組に出演する。

現代ドイツを斬りまくるヒトラーの演説が評判を呼び、また言ってる内容も妙に真理を突いているため、迷える現代ドイツ人たちの心を掴み、彼はたちまち国民的な人気者となる。
そう、あの時のように‥

 

 

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という、あからさまに風刺的なストーリー。。
ここまで風刺的だと、内容を説明する過程が殆どそのまま「これは『布団』と『吹っ飛んだ』が、かかってるんです。」とダジャレの説明するようなもので凄い恥ずかしい。
だから書きたい感想とかって一言、二言だけ言えば終わってしまうのだが、普段しょうもなかった映画の感想とかを長々と書いてたりするのに凄く面白かった本作の感想を書かないのはおかしいと思い、一応それなりに引き伸ばした感想を書くことにした。
この映画めちゃくちゃ面白かった。
水木しげるや藤子F不二雄の短編でありそうな話だ。
吹き替えで観たのだが、カミーユ・ビダン等の真面目すぎてイカれたキャラを得意とする飛田展男氏がヒトラーを吹き替えてるのでめちゃくちゃ面白い。
終盤までずっと、甦ったヒトラードイツ国民に対して如何にもヒトラーが言いそうなことを遠慮なく言う(本人なので当たり前だが)。
そのトークは物真似芸人として消費されるのだが、ヒトラーの言葉はある側面で真理を突いており、国民が「(誰か他人に)断定的に強く言って欲しい」感じのことを言いまくるのでたちまち人気者となりブレイクする。
まるでトランプ大統領が誕生する過程みたいだ。
彼を危険視するキャラもちょくちょくいるのだがヒトラーが居る場所の奔流に対してはドロップ・イン・オーシャン‥海に水滴を落とすようなもので止めることはできない。最終的には一度動き出すと止めることの出来ない巨大な機械が完成して忌まわしい歴史が繰り返されるであろう不吉な予感を感じさせて終わる。
ヒトラーを売り出すTV局の副社長(セクシー熟女)は彼を上手くコントロールできていると思っている。そして彼が本物のヒトラーだと気付いてはいないがもし仮に彼が本物だったとしても人は歴史から学び、同じことは起きないと甘く見積もっている事が見て取れる。だが世界や日本の様子を見ると「人は歴史から学び同じ過ちは繰り返さない」というのはかなり怪しい、と我々はわかっている。
恐らく「人は歴史から学び同じ過ちは繰り返さない」と過信している者ほど危ういと思う。また人が持つ暴力性などを否定したいがあまり「自分は極限状態になっても絶対に暴力的なことやレイプはしない!」と思いがちだが、そのように強く思うような人ほど、極限状態になったらそうすると思う。だから人は「人間には皆そういう部分があって、極限状態になったらきっと自分もおかしな事をしてしまうのだろう」と思うことこそが、そういう事態を避ける予防になるのだと思う(何故?と訊かれても論理的具体的に答えられないが絶対そうだと思う)


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終盤までのヒトラーは、愛嬌ある魅力的なおじさんとして描かれる。
ヒトラー的な態度や意見を演説して、誰に対しても「自分はヒトラーである」と堂々と言い放ち国民にモノマネ芸人扱いされても「バッカモーン!わしはヒトラーだ!」などと怒ったりはせず「まあ普通そう思だろうな」と、怒らず柔軟に応対するのが良い感じ。
はっきり言ってかなり魅力的なオッサンに見える。
ここが本作の最も優れている部分だろう。
原作小説はこの「ヒトラーの良い部分も肯定的に描く」という部分が批判されて原作者が「ヒトラーの優れた部分も同時に描かないとリアルじゃない」と反論したらしい。
実際にヒトラーが台頭してきた時は、多くの人が魅力に感じたからそうなったわけだし、よくフィクションにヒトラーが出てくる時のように、ただ卑劣なだけの人間だったわけではないのでこれが正しい。
ヒトラーの、ユダヤ人虐殺に至るのであろう種子のような持論も展開される。
ヒトラー「優れた純粋な馬と雑種の馬をかけ合わせたら雑種になる。雑種の馬と雑種の馬をかけ合わせたら完璧な雑種になる。もう二度と最初の優れた美しい馬は存在できなくなる」と、そう強い口調で言われたら「まぁ‥そうかも‥ね‥」と納得しそうになる。冷静に考えると「優れた馬と雑種の馬を、誰が区別するんだ?お前が区別するのか?では何故お前が区別できるのだ?」という疑問が浮かぶのだが、多少ヒトラーの言うことに疑問が浮かんでこようが、とにかくヒトラーは口を開く度に説得力のある意見を説得力のある断定的な言い方で述べる。それでいて口を閉じている時はおとなしい紳士然としたおじさんなのだ。これでは殆どの一般市民はヒトラーに説得されてしまう。
そして本作を観て「このヒトラー結構、魅力あるな‥」と思う自分が、作品内でヒトラーをついつい応援してしまう一般市民と重なる。そして、そんな感情こそがヒトラー(またはヒトラーのようなもの)を生かし胎動させ、ホローコーストへ続く道となる。
特別な悪人‥生まれながらの悪人、ピュアイーヴィルでナチュラルボーンキラーの個人ヒトラーが悪を成すのではなく、実は悪は我々一人ひとりの中にある、ヒトラーはそんな我々という本の中の悪のページに挟まれた栞に過ぎない‥この映画はそう言ってる。これが上手い。
この映画公開時に、ニュースバラエティ番組「ワイドナショー」で松本人志が本作を指して「観てないけど、コメディでヒトラーを愛嬌ある人として描くとかあかんのちゃうん?」とか言ってたが、せめて観てから意見言ったのならアホみたいな意見を晒さずに済んだのに‥と思った。
実際、人間って悪の面だけで出来てるわけじゃないですからね。
若い時、めちゃくちゃ親切かつ世話好きで子供や動物が大好きで話しても凄く楽しいので好感を持ってた先輩‥が、実は後年めちゃくちゃ酷い事していながら捕まらずにいる人だったという事実を後から知った事もあるし人間「人当たりがいいし良い人だ」という印象だけでは良い人なのかどうかは判断できない。
そもそも悪い事して欲望を発散して順風満帆に暮らしてる人っていうのはストレスが全くないから逆に他人に優しく出来たりする人が多いしね。。
だから優しいおじさんが本当に優しいのかどうかはわからない。
大物の人となりは、周辺の立体的な情報を集めるか、気が向いたらいつでも殺せるような大物のアギトに自らの頭を置いてみるかのどちらかしか判断できない。
まあ本作のヒトラーの場合、前半の愉快な旅してる時に「噛んできた子犬を咄嗟に銃殺する」というシーンを入れとく事によって「やっぱこのヒトラー決定的にヤバいな」とわかる。あれ見て仲良くしようとは思わないもの。ザヴァツキ君とか副社長は見過ごしたよね。
ザヴァツキ君は結構思い切った勇気ある行動を取るのだが「実はヒトラーを殺すことは誰にも絶対できない」というラストは怖いし上手いな~と思った。
うだつの上がらないディレクターがニコ動でおなじみ「ヒトラー 〜最期の12日間〜」での例の場面を丸々パロディする場面とかも可笑しい。
まあ、とにかく
ヒトラーを(ある程度)魅力的なおじさんとして描いてるところが値千金の良い部分で、この映画はめちゃくちゃ面白い。
ワイドナショー」で松本人志が本作について「『帰ってきたヒトラー』とかいうコメディ映画がヒットしてるらしいけど、そんな映画公開するのは良くないね。観てないけど」と言ってて、きっと「ヒトラーに親しみを持たせる映画」とでも思ったんだろうね。実際に観ないでものを言うとアホ丸出しになってしまうもんだなと思った。

そんな感じでした

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帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫)

帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫)

 
帰ってきたヒトラー 下 (河出文庫)

帰ってきたヒトラー 下 (河出文庫)

 

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『ブラックパンサー』(2018)/ワカンダフォーエヴァーしに行ったらジャバリ族になって帰宅しました🐈‍⬛


原題:Black Panther 監督&脚本:ライアン・クーグラー 製作:ケヴィン・ファイギ 原作:スタン・リー、ジャック・カービー 制作スタジオ:マーベル・スタジオ 配給:ディズニー 製作国:アメリカ 上映時間:134分 シリーズ:『ブラックパンサー』シリーズ第1作目、マーベル・シネマティック・ユニバース

 

 

MCU作品18作目。「シビル・ウォー/キャプテンアメリカ (2016)」で顔見せ的初登場を果たしたブラックパンサーの初単独作。
時系列的には「シビル・ウォー」の一週間後の出来事一年後の出来事
クリードチャンプを継ぐ男 (2015)」のライアン・クーグラー監督作。クリード役のマイケル・B・ジョーダンヴィラン、キルモンガーを演じる。
今更ながらMCUは何かと言うと年取った自分の現在の少年ジャンプ。
映画だと思うと延々と続くことにしんどくなる時もあったが、連載少年漫画だと捉えると、一気にウィークポイントが解消されて楽になった。
少年漫画というかアメコミだと思えば、世界そのものを更新しながら永遠に続くのがアメコミのいいところなのでMCUも映画を舞台にしたアメコミだと思えばいい。
アメリカ本国では、内容がばっちりアメリカ国内の状況やハリウッド業界への回答となってる事もあり、興行的にも批評的にも大フィーバー状態となり「アベンジャーズ(2012)」「スター・ウォーズ 最後のジェダイ(2017)」「ダークナイト(2008)」を抜いてアメリカ国内の歴代映画興行収入第5位にまで上り詰めた(世界全体で見ると12位)
※追記:これ書いた一週間後「タイタニック」抜いて全米映画史上3位、全世界で10位に上がった
そういった事情を加味して考えないアメリカ人じゃない者は「面白いけど何でこれがそんなに人気なの?」と思いがち。
既に観た人なら「そんな事知ってる。今更か」と思われそうな感想になるだろうし最初は感想書くのやめようかと思ったが、まだ映画観てない人にとっては既に書かれた感想は明日には「全て過去」になるという意味で全てが同じ価値のものになってしまうので、まるで公開初日の映画を観た奴の気持ちで感想書くことにした。
原作のブラックパンサーは読んでないので「アベンジャーズX-MENとたまに共闘する地味な人」という原作の彼の印象と映画シビル・ウォーでの彼しか知らない
完全にネタバレしてるので注意

 

 

 
本作の予告編はMCUファンが「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」の足音に耳をすまし始めた頃‥という不利な状況だったが予告編が発表されると「ワカンダの科学が発展してるのは知ってたが何これ‥スターウォーズやんけ!」とそのビジュアルに震撼した。
そしてその後の躍進はご存知の通り。
アカデミー賞を獲ったデルトロの「シェイプ・オブ・ウォーター (2017)」同様、支持される要素(他人種や多文化や女性優位&トランプ批判)を持ちつつ、覇権を維持し続けるMarvelスタジオ+ディズニーのMCUブランドでとうとうSWを抜く興行成績を手にして国内歴代映画の5位まで肉薄した。
間違いなく本作によって、今後の大作映画は影響を受けるだろう。
オバマを始めとする黒人著名人の多くが本作を支持し、黒人セレブが貧しい黒人児童を本作鑑賞に招待して「ブラックパンサー」を観に行ける喜びで黒人少年が踊りだしたり、大人の黒人も「星の王子 ニューヨークへ行く (1988)」のエディー・マーフィーのコスプレで観に行くのが流行ったり、エムバクの王位継承への名乗りのモノマネが流行ったりしてフィーバーが未だ続いている模様。
そういった事情に疎い日本でも何故かヒット中。
この映画が社会現象的に大ヒットしてる現象はミラクルを感じて好きだ。
それ以前にまさかキャップやアイアンマンやソーが人気出るなんて‥ましてやそれらが渾然一体となったアベンジャーズが映画化されて大ヒットもミラクルだ。
90年代にタイムスリップして「X-MENよりアベンジャーズのシリーズが歴史的なヒットする。アントマンドクター・ストレンジですら人気が出て、そして更にブラックパンサーがそれ以上ヒットする」と言っても誰も信じないだろう。
一部で、60~70年代の現実のアメリカ社会に存在した、黒人民族主義運動・黒人解放闘争を展開した急進的政治組織ブラックパンサー党という政治結社と結び付けられて語られたりしてるが、ブラックパンサー党が登場した当時、MARVEL編集部はキャラとしてのブラックパンサーブラックパンサー党を結び付けられるのを嫌い、一時的にキャラクターとしてのブラックパンサーは名称をブラックレパードに変更してた事もあり、両者は関係してそうでしてないそうです。
「ブラパン」という略称は昔「黒人専門の娼婦」近年では「黒人にすぐ股開く女」の蔑称でもあるので普通にブラックパンサーと呼びたい。
アフリカの民族衣装やデザインを活かしたまま、それが先進国よりも優れた科学技術に溶け込んでいる‥という本作前半のビジュアルは凄いインパクトだった。観たことないもんね。こういうのを「アフロフューチャリスティック」又は「アフロフューチャリスム」というらしい。 Afrofuturism - Wikipedia
この要素だけで「スターウォーズ」「エイリアン」「ブレードランナー」などSF映画界のパラダイムシフトになり得るかもしれん。
「アフリカの部族の人たちのいるところは田舎」という先入観がある(実際には部族っぽい人たちもスマホ持ってる)
本作で、TV取材によく出てきがちな唇にでっかい皿つけた部族のおじさんがスーツ着て、最新のマシーンに囲まれた王宮にいる姿は不思議だった(あの皿にもハイテク機器が組み込まれてるのかな)。
そして本作は「黒人のクールさ」を体現している(このクールって冷たさじゃなくてアメリカ人が言う「カッコいい」という意味の方ね)
映画自体の展開や描写やキャラクターが、どれもクール。
特に黒人の肌に反射する青い光はめちゃくちゃカッコいい。
ハーブが青いし、スーツの効果も青、幻視シーンやシュリのラボやリニアモーターカー地下鉄や釜山の夜景とかどれも青い。
ケンドリック・ラマーによる本作のサントラはクールすぎて、まだ映画観てないしサントラ滅多に買わない僕も思わず買ってしまった。
自分から遠いせいか黒人文化に今までハマったことなかったが、これはクールと思わざるを得なかったわ。
思わず今すぐエアコンの効いた部屋でフカフカのソファーに身を沈めて酒を飲みつつ黒人音楽を聴かんといかん気分になった。
また「黒人を扱ってまっせ~」という政治的な得点を得るためのものでなく、ごく自然に「ワカンダはアフリカの小国の話だからたまたま黒人ばかりですがそれがどうかした?」という自然な形で黒人映画になってるというのも見どころだ。
MCUは映画作品のクオリティもさることながらキャラクター主導映画シリーズでもある。ここからはキャラ個別の感想に移る

 

 

 

ティ・チャラ/ブラックパンサー
「シビル・ウォー/キャプテンアメリカ (2016)」で顔見せさせられたブラックパンサー/ティ・チャラはMCU最大の厚遇で登場した。主人公だったキャプテン・アメリカとアイアンマンとバッキーその他のアベンジャーズ達はシビル・ウォーで争わせるため、いつもより極端な性格を持ったキャラとして描かれていたのに対し(みんないつもより短気だった)ブラックパンサーは唯一人、誰が見ても「最高の人格」を付与させられており、キャップとアイアンマン両方の長所を合わせ両方の短所を無くしたスーパーキャラとして描かれていた。だから一発で、彼をよく知らないMCUファンにも「陛下」と呼ばれ迎え入れられた。これは上手かったですね。ここまでやんなきゃスパイダーマンに食われてたでしょう。
そのナイスガイっぷりは本作でも健在であるが、他のキャラ‥キルモンガーやオコエやシュリ‥ワカンダ国そのものを立たせるため今回は一歩下がったキャラとなった。主人公として頭とケツをシメつつも狂言回しみたいな役割。
良く言うなら大人っぽい役割が彼本人と被ってたと言えなくもない。
シビル・ウォーでめちゃくちゃ強かった彼だが、それはただ「鋭い爪とヴィブラニウムアーマーが施されてただけ」レベルだったらしく、本作ではシュリによって衝撃吸収&放射装置など色々な装備が増えた。
その割にはどう見てもシビルウォーの方が強そうに思えてしまうのは、シビルウォーでは無双状態だったのだが本作では取り乱した上にキルモンガーに一回敗れてしまうからかもしれない。またシビルウォーでは「ティチャラ一人で完璧なヒーロー」という印象だったが本作では「ティチャラ+シュリの科学+オコエ&ドーラミラージュの武力=ブラックパンサー」という「ティチャラとワカンダが合体したのがブラックパンサー」って印象に地味に変わった。だが単身で完璧ヒーローってより、この「ワカンダの良心の擬人化」って感じの描き方の方が伸びしろあっていいかもしれん。
それにしてもブラックパンサーを継承するためのビジョンクエストめいた王位継承の儀式。その幻視の映像は死ぬほど美しかった。
恐らく今後のキャップ&アイアンマンが居なくなるMCU世界において、この人はドクター・ストレンジと共にMCUの中心人物になるのかもしれない。
とにかくティ・チャラの魅力はやはり素直で純粋な人格者だというところだろう。
最大限に褒めるなら、高い人格やリーダーシップはキャップ!(妹の)超科学力とすげースーツはアイアンマン!強大な国の王っぷりソー!‥などアベンジャーズBIG3のいいとこどりと言えなくもない。
続編ではもうちょっと彼本人が目立って欲しいですね。続編ではアメリカを舞台にしてピーター・パーカーの住むボロアパートに遊びに来るところも観たい。

 

 

エリック・キルモンガー
中邑真輔のようなツーブロック+ロン毛+ヒゲ+褐色の肌‥という今一番かっこいいスタイルのこの男。
身体には殺した者の数だけスカリフィケーション(切れ込みで出来たケロイドで模様を作る)がいっぱい入ってるムキムキボディなので、こういう集合体が苦手な人にとってはめっちゃ気持ち悪いらしい。
キルモンガーの父は、ブラックパンサーの亡き父であり先代のワカンダ王ティ・チャカの弟であり、キルモンガーはティ・チャラの従兄弟であった。
キルモンガーの父はアメリカに行き、ワカンダ国外で虐げられている黒人のためにレジスタンスとして闘った。だがワカンダの秘宝ヴィブラニウムを持ち出したがために先代ブラックパンサーに暗殺された。
キルモンガーは亡き父の悲願、そして父の仇を討とうと不退転の決意でワカンダに帰国。正式な儀式に乗っ取ってブラックパンサーと決闘して王位を脅かす。
正式なルールに則ってるので誰も文句を言えない。決闘相手であるティ・チャラ以外には
ここに至り「何てクールで素晴らしい国なんだ~」とうっとりさせられたワカンダの美しさは外界を見て見ぬふりをした事の上に成り立っている、という現代アメリカにも似た国だという事が露見する。
はっきり言って、そんな正論を持った背景を持ち、暗殺や搦め手などではなく正々堂々とブラックパンサーと対峙する。
彼は画期的なスーパーヴィランだ。
はっきり言って普通の映画だったらキルモンガーがヒーローで、ブラックパンサー(というかワカンダ)が敵の構図だ。
今までのMCUは、MCU世界を知らしめるためにヒーローは丹念に描いてきたが、どのヴィランも一貫して「ヒーローの影」としてしか存在してなかった。アイアンマンの敵は全てアイアンマン自身が生んだ敵だし、キャプテンアメリカアメリカが生んだ敵と闘う。ソーはアスガルドが生んだ敵‥とにかくどのヒーローの敵も、ヒーローの影だった。
キルモンガーもご多分に漏れずブラックパンサーの影なのだが、今までにはないほど自我と正当性を持たされている。ブラックパンサーが一度負けたのも当然だ。
王位継承のビジョンクエスト的儀式では、ティ・チャラの美しすぎる幻視とは相反して、父が殺されたボロアパートが舞台だったのも哀しい。
ストーリー上あまり必要ないのだがワカンダ入りするために恋人が戦死して更に哀しみを背負う。そのおかげで北斗神拳奥義・夢想転生に目覚めてティチャラを凌駕する強さを一時的に獲得しさえする。
矢吹丈金竜飛に対して一時的に劣勢になったのと似ている。
だがブラックパンサー金竜飛戦の矢吹丈同様、キルモンガーの穴を見つけて反撃する。キルモンガーは復讐を誓い工作員死の商人としての血塗られた生涯により、修復不可能なほどダークサイドに堕ちており、その憎しみの牙を世界全体に向ける。まるで己の哀しみを原動力に、世界に向けて世界そのものを燃やし尽くす勢いだ。同胞を助けたいのが動機だがこのまま行けば憎しみの連鎖を生みとんでもない事になってしまう。
その結果ブラックパンサー&ドーラミラージュの牙に敗れ去る。
キルモンガーは捕まるくらいなら先祖の誇り高い黒人奴隷同様、死を選ぶと言う。
ブラックパンサーは、キルモンガーの意思をも受け入れ、トランプにより壁を築き始めて他民族を排斥し始めた現代アメリカとは正反対にワカンダを新しい外界へと導く。
ライアン・クーグラー監督の相棒でもある正義の雰囲気をまとったマイケル・B・ジョーダンが演じてるし、子供時代はめっちゃ良い子そうだったし、人を殺める度に付けたという身体中の無数の傷は彼の哀しみや贖罪の意を表現してたし、どこまでも哀・戦士っぷりを体現していた。
王位を一時的に継承した短期間を経て滅びる時は、自分にとどめを刺して止めたティ・チャラにホッとしてるようにも見えた。
どう観ても自ら滅びようとしてるよね。
今後のMCUヴィランはキルモンガーによるパラダイムシフトを迎えたと思いたい。今後フェイズ4以降のMCUは、レッドスカルみたいに名ヴィランを使い捨てしたりせず、キルモンガーみたいに立たせて欲しいものだ。
彼がハーブをいただいてブラックパンサーのパワーGET後のスーツ姿はゴールデン・ジャガーというらしい。だけど彼は一時的に王位継承してパワーを得て以後、あまり強さは感じなかったね。多分ティ・チャラを殺した(と彼が思った)時が絶頂だったんだろう。
それにしても死なすのはマジで惜しい。
彼に「先祖は鎖に繋がれるなら死を選んだ!」とか言われたら尊重しなきゃいけない気になってたが、そもそも無理やり奴隷にするんじゃなくて自分でやった罪だし、アメリカなら死刑だろうがワカンダに居るなら情状酌量の余地あるから一生、陛下を補佐するという実刑を受けさせるのはどうだろう。
というか死んでないだろ。
たぶんファンの反応を見て生かすか殺すか考えてるところだと思う。
もし殺すつもりだったら「フン!」つって刃を深く刺したり、崖から飛び降りたりさせるはずだからね

 

 

 


シュリ
ワカンダの現在の超科学による発明品を生み出しているのはティ・チャラの妹にしてアイアンマンに匹敵する天才王女シュリ。彼女は背が高くて小顔&とんでもなく良いスタイルしてるし愛嬌もあるので、見てるうちに「圧倒的に優れた人間‥」という言葉が頭に浮かんだ。
顔つきや体型からくる天才少女感がハンパじゃなく「天才や‥」という説得力が凄い。
彼女の発明品はスター・ウォーズ並‥というか未来を描いたSF映画でも見かけないような凄いものばかり。
ワカンダを諸外国から隠すステルス国家。リニアモーターカー地下鉄。首飾りに収納されており、あらゆる衝撃を吸収して開放するブラックパンサースーツ。遥か遠くにある車や戦闘機に繋げて操縦できるシステム。凄すぎてUFOと呼んだ方がいいステルス戦闘機。あらゆる情報を処理して投射したり発信者の像を立体的に形作ったりもできる上に国民全体にまで行き渡っているキモヨ・ビーズ。ソウルに足を乗せたら靴が形成される足音が鳴らないスニーカー。そして訳の分からん猫ちゃんハンド。
ワカンダの科学力が凄すぎるあまり「ここまで凄い科学力を持ってて公開しないってひどない?」と思うレベルに達した辺りで登場するキルモンガーに感情移入せざるを得ない。
シュリは終盤、只の王女兼科学者だけではなく両手に衝撃波を発射する猫にゃんハンドを付けてキルモンガーにタイマンを挑んでもいた(236+P)
原作でのシュリも、ティチャラが負傷中に代理ブラックパンサーを務めてたらしいので主役になれるレベルの強キャラの要素を秘めている。
原作での次世代アイアンマンは天才黒人少女によるアイアン・ハートであるため「アベンジャーズ4で契約切れのダウニーJrの後継者はシュリでは?」とファンの間で噂されている。
あとこういう天才少女キャラが日本アニメに出てくる時はたいていチビの幼女だが、この子はクソでかい。だが、そのデカさも可愛さに通じている。
オコエ
そしてワカンダ王宮とブラックパンサーを護る女性だけの親衛隊ドーラ・ミラージュのリーダー、オコエは槍を使って闘うがあまりにも強すぎ。
キャプテン・アメリカのような人体改造もしてないし強化スーツも着ていないし主人公補正ないのに、槍を投擲しただけで屈強な自動車を完全に破壊してしまう。
あまりに強く設定してしまったがために、本当はブラックパンサーやキルモンガーより強いんだけど映画を成立させるため、わざとクロウに逃げられたり、わざとキルモンガーに遅れをとってるように見えてくる(総合力でスパイダーマンよりも勝ってそう)
今のアメリカ映画で一番強い要素「女性」と「黒人」という要素のせいかブラックパンサーより強いサブキャラが爆誕してしまった。
だけど面白いので別に構わない。
続編製作する時も、強キャラは現状維持で、弱キャラを強化する調整でどうぞ。
槍やアフリカン民族衣装をここまでカッコイイと思ったのも初めてだ。
このオコエ(とシュリ)はキャラ立ちすぎて、サブキャラにも関わらず他のMARVELヒーローレベルに人気出たらしい。
アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」のメインキャラにもアベンジャーズに並んで登場してるし、原作Marvelコミック世界でもブラックパンサー警護のモブではなくオコエ&ドーラ・ミラージュが独自に活躍し始めたらしい。
オコエは王宮親衛隊らしく、他の者に乗っ取られてもワカンダ王家に絶対服従の姿勢を崩さない。自分の意に反したからといって一々反抗してては国家が成り立たないからね。だが、あまりに王が暴君だと堪忍袋の緒が切れてブッ殺そうとする。最高の女性だ
ナキア
ティチャラの元カノでワカンダの女スパイのナキア。
良いキャラだがはっきり言ってシュリとオコエのキャラ立ちの前には霞むキャラだった。ストーリー上必要ないとすら言える。輪っか剣チャクラムも目立たなかったし。
オコエとナキアのキャラを合致させて一人のキャラにしたら?」とすら思う。
上映時間のためにカットされたらしいが、映画冒頭でティ・チャラとナキアが揃ってジョギングしながらワカンダを紹介していくようなシーンや、2人の関係を描いたシーンも予定されていたらしい。それがカットされたが故に重要度が少ないキャラになったのだろう。続編では頑張って欲しい

 

 

 

エヴェレット・ロス
「シビル・ウォー/キャプテンアメリカ」にも出たマーティン・フリードマン演じるエヴェレット・ロスが「黒人の超国家に迷い込んだ白人」キャラとして案内人を務めてくれる。
彼は映画後半、エムバクの流木を用いたオシャレすぎる王宮に行って話そうとしたら「ホウッ!ホウッ!ホウッ!」と威嚇されて喋らせてもらえないという「白人差別」を受けるという逆転現象ギャグも可笑しかった。「家畜人ヤプー」や「猿の惑星」みたいで面白い。
マーティン・フリードマンが169cmと、僕よりチビなのも可愛かった。
だがエヴェレットは只の驚き役ではなく、死をも恐れない度胸でワカンダの危機を救う。

ウカビ
ウカビはティ・チャラの友人でオコエの恋人。
アフリカ発展途上国の民族を装いながらワカンダの国境を、電磁シールド内蔵マントやサイ軍団で護っている。
大勢でマントの結界奥義ワカンダ国境陣を形成するところは武侠映画みたいでカッコいい(だけどティ・チャラやオコエに対してやるのでカッコいくない)
俺が最近一番好きな俳優「ゲット・アウト」主人公役ダニエル・カルーヤが演じている。彼が劇中何かを見切った時に見せる、この世の暗部を知り尽くしたかのような厭世的な半目三白眼がめっちゃカッコいい(そんな時じゃなくても大抵いつも半目三白眼)。何で半目かというと瞳の下部で現世を見て瞳の上部で目に見えないものを見ている‥ように見えてかっこいい。
彼の父もまた国境警備をしていたが、ヴィブラニウムを持ち出さんとするクロウに殺害された。そのためウカビはクロウを殺すことでいっぱいになっている。
そのためクロウの殺害も捕縛にも失敗したティ・チャラに失望し、永遠に消えない傷を負いながらクロウを殺害したキルモンガーに追従し、ティ・チャラに牙を剥く。
はっきり言って彼は急速にキルモンガーに従いすぎ。そして今まで仲良かったティ・チャラにクロウがらみで失望したのはまだわかるが、ティ・チャラは自発的に悪いことしたわけでもないのにウカビと部下たちはラストバトルでティ・チャラをぶっ殺そうとしすぎ。ヴィブラニウムブレードでもって「八つ墓村」で落ち武者狩りをする村人たちレベルでティ・チャラを殺ろうとしすぎ。
あまりに変わりすぎて頭おかしい人にしか見えなかった。
だからカッコいい武装サイに乗って暴れるシーンでも盛り上がれなかった。
どうやら上映時間の都合でウカビとオコエの議論がカットされているらしく、またキルモンガーがじっくり王室を掌握する過程も省かれているため、今までのワカンダ政権がティ・チャラに突然牙を剥きすぎる。本作の一番の不満点はここだった。
監督が肩入れするキルモンガーを綺麗で画期的なヴィランにしようとしすぎて、それによって本作「ブラック・パンサー」の歪みが全てこのウカビに行った結果、歪なキャラ、映画の中の歪な箇所となっている。
だが、まるで外部で苦しむ黒人を見て見ぬふりして栄華を誇るワカンダと、ウカビやティ・チャカ前王や高僧ズリなどに歪みを負わせてカッコよくなったキルモンガーはシンクロしている‥と言えなくもない。
推測だが、クロウがウカビ父を惨殺する回想シーンが本当はあったのだがカットされた気がする。
この俳優好きなので、アイアンマンにとってのウォー・マシーン、キャップにとってのファルコンみたいになると勝手に期待してたので残念。
収監されたのかインフィニティ・ウォーにも出てこないらしい。ブラックパンサー続編では更生してワカンダを助けて欲しいですね。

エムバク
ワカンダの超科学技術に背を向け、木製のものしか持たず菜食主義を貫いて山に住み猿王ハヌマーンを信仰するジャバリ族の族長。
綴りや発音は「ンバグ」。呼びづらいからエムバクにしたんだろう。
スマホの100倍凄い機械があったり貧困もなさそうなワカンダなのに、あえて山に住んで草しか食わないとかイカれてる。。
原作では猿の毛皮を被ったマンエイプというやべー名前のヴィランらしい。
M'Baku (Earth-616) | Marvel Database | FANDOM powered by Wikia
ワカンダ王位継承チャレンジでティ・チャラに挑んで惜しくも敗北した再び山に返ったゴリラ。
彼の玉座がある王宮‥というかただの洞穴はオシャレ流木がたくさん吊ってあってめちゃくちゃオシャレ!もしこいつが格ゲーに出たらオシャレ流木がいっぱい飛んで行く必殺技を持ってて欲しい。俺も意味なく家に流木をぶら下げたくなった。
ティチャラを癒やした雪の診察台も一体どういう効果があるのかサッパリ分からんかったがオシャレなのでまぁいい。
ベジタリアンだからたぶん無臭でツルツルのお洒落ウンコをひり出すに違いない
わかりやすく言うと主人公に喧嘩で破れて親友となる昭和の番長キャラか。
ウカビがサイドキックになるのかと思いきや、まさかこっちだとはね。
鑑賞しての帰り道「色々加味するとエムバクが一番好きかも‥」と思った。
ほんのちょっぴりだがエムバクを体験したといったところか。‥いや、体験したというよりは、まったく理解を超えていたのだが‥
ありのまま映画を観に行った夜に起こったことを話そう
「ワカンダフォーエヴァーしに『ブラックパンサー』を観に行ったらジャバリ族になって帰宅した」
何を言っているのか わからねーと思うが俺も何をされたのかわからなかった。
頭がどうにかなりそうだった。催眠術だとか超スピードだとか、そんなチャチなもんじゃ断じてなかった。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。
次出てくる時は猿の被り物して出て欲しい
エムバクは「インフィニティ・ウォー」にも登場してキャップやブラックパンサー達と共にサノス軍を迎え撃つらしい。
いま一番サノス軍に殺されそうなキャラ筆頭で心配だ‥。

ユリシーズ・クロウ
アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」でヴィブラニウムを持ち出し密輸していた死の商人クロウ。
原作でもブラックパンサーの宿敵の一人である彼は本作では中ボス。ウルトロンに斬り落とされた腕はビームキャノン内臓のハイテク義手に変わっていた。
ハイテンションで冷酷で暴力的な、90年代的な旧態依然とした悪役。
はっきり言ってアンディ・サーキスの演じるこのキャラはカッコいい。
というかアンディ・サーキスの、ぶっ壊れたような表情がカッコいい。こんなかっこいい顔の人だとは知らなかった。ハイテンションでキレた悪役演じてる人見ると恥ずかしくなる事がよくが、この人は演技力有りすぎるせいか非常にカッコイイ。殺されても動じないし。こいつを斃すのはティ・チャラでなくキルモンガーていうのが本作の変わったところ。というかここで殺すのはちょっと勿体無い気もした。

 

 


まあ、そういう感じで本作の良いところもわかるが、本作をエポックメイキングな名作たらしめてキルモンガーを立たせようとするがあまり生じた作品の歪みあり、近年のディズニー作品によくある「ポリティカルコレクト的に優れてて褒めるしかないし褒めるのも吝かでないけど、ちょっと変なとこもあるよね?」という感触も少しあった。
最後に行われるティ・チャラによる演説は、子供でも分かりやすいものなので良かった。
技術提供したから今後のMCU世界中がワカンダ並になっちゃうのかな?
正直、記者会見で記者にバカにされた時、素直に「アイアムアイアンマン」みたいにモロに見せてくれたほうがよかった気もするが、その後になだれ込むクールすぎるエンディングCGと、同時に流れるケンドリック・ラマー&SZAの「All the Stars」が素晴らしすぎて、その良さが本作のテーマと合致して涙が出てきた。この映画で1番良かったところ、このエンドクレジット
www.youtube.com先にサントラ買ってらが、この曲が一番かっこよかった。
※歌詞を和訳しておられた方がいらしたのでリンクを貼らせていただく
Kendrick Lamar, SZA – All The Stars 歌詞を和訳してみた – SONGTREE
ケンドリック・ラマーもいいが、歌パートの方のSZAちゃんの方に最近はまった。
それとウィークエンドの主題歌っぽいこの曲がクール過ぎる。
www.youtube.com最近の好きな曲ベスト3に入るくらいカッコいい。
ケンドリック・ラマーによる、この映画のサントラ(スコアじゃなくてポップミュージックが入ってる黒いジャケの方)は死ぬほど良い。
当事者意識を感じるほどの想像力が僕に無いせいか、アメリカ人や黒人がフィーバーするほど「超・傑作!」というほどには感じなかったが普通に良い映画だと思ったしMCU作品でも上の方だと思いました。
それにしても最近のディズニー製映画を観て思ったが、自分はあらゆるものに配慮した映画より、たとえ偏ってても一つの価値観を極端に表現したものの方が好きかも。そういった趣向は現代の価値観とはずれてきてるので、やっぱり自分は若いつもりでいても中年なんだろうとも感じた。
アクションシーンは暗すぎたり闘ってる奴にカメラ寄り過ぎたりして判りにくい時が多かった。でも釜山バトルや各王位継承戦は観やすかった。
ワカンダや各キャラの紹介は済んだので、続編ではブラックパンサーさん本人の活躍がもっと観たいです。
次は月末に「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」。

 

 

そんな感じでした

MCU関連作〉
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『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』全6話 (2021)/サムがキャップになりたがらない理由が分かると同時にサムが変貌していく第5話が最高🦅⛄⭐ - gock221B『ホワット・イフ…?』〈シーズン1〉全9話 (2021)/本編での活躍少なかったキャラの活躍が嬉しい。”行動せず観てるだけなんて気持ち悪い”というファンへのメッセージ👨‍🦲 - gock221B
『ホワット・イフ…?』〈シーズン1〉全9話 (2021)/本編での活躍少なかったキャラの活躍が嬉しい。”行動せず観てるだけなんて気持ち悪い”というファンへのメッセージ👨‍🦲 - gock221B

 

 


〈関連作やライアン・クーグラー監督作〉
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『クリード チャンプを継ぐ男』(2015)/ロッキーシリーズ同様に現実と物語がシンクロしている🥊 - gock221B

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Black Panther (2018) - IMDb

ブラックパンサー (ShoPro Books)

ブラックパンサー (ShoPro Books)

 

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「ヴァレリアン 千の惑星の救世主 (2017)」リュック・ベッソンのクソバカSWだが最後のジェダイより真面目な映画🌌

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原題:Valérian et la Cité des mille planètes
監督&脚本&制作:リュック・ベッソン
原作:ピエール・クリスタン、ジャン=クロード・メジエール「Valérian et Laureline」
製作国:フランス/中国/アメリカ/アラブ首長国連邦/ドイツ 上映時間:137分

 

原作は60年代後半に描かれた、美男美女の宇宙エージェントコンビによるスペースオペラバンドデシネ(フランスのコミック)。
少年の頃に愛読者だったらしいリュック・ベッソンが昔から作りたかったが昔はCGが発達してなかったし無理だと我慢して「フィフス・エレメント」とか撮りながら我慢してたが、「アバター」を観て「これならヴァレリアン作れるかも!?」と、やっと制作を始めてフランス映画史上最も大金かけて作ったが残念ながら本国やアメリカ大コケした上にネット評価も低い。
だけど僕は本作を楽しみにしてた。
ネットの評価は気にするな。たとえばリドリー・スコットの「悪の法則」は僕にとっては傑作だが世間の評価は低い。
こんな感じの頭悪そうなSF大作映画が作られることは滅多にない。
これはリュック・ベッソンのような成功者が何十年も作りたいと願い科学の発展を待ってコネも増やした上で採算度外視でやっと可能になった捨て身のSF映画。だから、こういう映画は数十年に一回レベルでしか観れない(というか永遠に作られないかもしれない)。評価は客人の判断によるものだが一見の価値はある。
それにリュック・ベッソンにとってのスターウォーズなのだから例え面白くなかったとしても執念のようなものを感じ取れるはずだ。ちなみに僕はリュック・ベッソンのファンじゃない。何かいつもアニメチックな女優を使って何か、女に凄い執着してる雰囲気に引いてしまうものがある。
前置きが長くなったが本作もまた「最後のジェダイ」以上のクソバカSFを楽しめるのではないかという期待があった。
つまり「え?実はなかなかのバカであるスター・ウォーズより更にクソバカなSFが淫水焼けで頭が狂ったフランスの監督のもとから誕生して来日?」という種類の期待なわけです。期待に答えてくれるものがあった。

 

Story
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西暦2740年。銀河を守る宇宙連邦のエージェント、ヴァレリアンデイン・デハーン)は同僚の美女、ローレリーヌ(カーラ・デルヴィーニュ)に首ったけ。
ヴァレリアンは何度も口説くがロクサーヌは一向に振り向いてくれない。
そんなある日、二人が派遣された巨大宇宙ステーション”千の惑星都市・アルファ”が放射能に汚染されていることが判明した。「全種族が死滅する危機を10時間以内に救え」という極秘ミッションを託されたヴァレリアンたちの前に突如現れたのは、30年前に消えたはずの平和な惑星パールの住人たち。
そして宇宙連邦司令官フィリット(クライブ・オーウェン)が拉致されてしまう。この任務には、銀河を揺るがす陰謀と秘密が隠されていた――

 

 

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原作が古すぎるだけあって、CG以外のストーリーとかキャラに現代っぽさがない。
と、回りくどく書いたが
「プレイボーイ白人男子が才色兼備の美人白人隊員を口説きまくるコンビ」という主人公や設定がもう「昔のフィクションっぽい!」と思わせる。
きっとアメリカ映画の観過ぎだ。今年のアメリカ映画なら男か女、どちらかを絶対黒人にする。だから白人カップル主人公を観て「数年前の映画だ」と感じたのだろう。

もちろん僕個人はそれに何の文句もない。白人ばっかりだろうが黒人ばっかりだろうがメキシカンとかアジアンでも何人でも面白ければ何でもいい。
ただ「アメリカ市場のトレンドから外れてるな」と思っただけ。
最初に言ってしまうとこの映画自体はそんなに悪くないのだが(というか僕は凄く好きだ)ヒットしなかったのは現代の時代性に通じるところが少なく見えたからなのかも。

一見、昔っぽいスペースオペラ(しかもかなり軽薄な‥)にしか見えないからね。
だが本当は無いわけでもない。
千の惑星都市は、ありとあらゆる異星人、ロボットらが共同に住んでいる。
中には首狩りの習慣を持つ種族もいるし、コロニーの整備を延々と整えてるロボットみたいなのもいる。それぞれの種族は全員が全員お互いを良く思ってるわけではない。だが共生せざるを得ない。自分以外を排除しようとするならヴァレリアンとロクサーヌがやってきて「嫌ならてめーがどけよ」と、ブタ箱にブチ込まれるだけだ。
この千の惑星都市の描写は明らかに現代の地球っぽく見える。「トランプみたいな排他的な考えじゃダメですよ」と言っている。
つまりこの映画に現代性がないわけじゃない。
だがさっきも言ったようにリュック・ベッソン映画全体から放射される軽薄でバカっぽい雰囲気にあてられて、そんな現代性を一切感じさせないのがコケた原因か?
もっと「ズートピア」みたいに「僕たち色々考えてます!皆さんも考えてみては?!」というムードを全力で放射しないとアメリカではヒットしないらしい。
映画が始まって最後まで、キャラクターやマシーンや建造物など、どれもめちゃくちゃカラフルだし人間よりエイリアンの方が圧倒的に多い。
そして凝った異星人やクリーチャーや武器や機械などがたくさん出てくる。
冒頭だけで、もう出てこないのに凝ってるエイリアンが何種類も次から次へと出てくる。(ここだけでSF映画数十本作れるくらい異星人が出る)
既に「ヒットしなかった」という結果を知ってる立場から観てると
「も、もういっぱい出たからもうそれ以上出さんで良くない?!もう出すな!お金なくなる!」と、見ていてヒヤヒヤする。
噂によると一瞬出てくるだけのエイリアンやロボ全てに超詳細な設定があるらしい。
それは残念ながら見てる我々には伝わらないが、リュック・ベッソンの情念や夢は感じた(‥ような気がした)。
何か、そこまで情熱があったのにヒットしなかったのが可哀想に思えてくる。
傑作とは言わないけど平均点以上の面白さはあるよ?やはり金かけすぎが原因なのか
そして期待通り「フィフス・エレメント」を豪華にしたような、カラフルで美しいSF映画だった。
映画全体が新木場の巨大クラブAGEHAのような浮かれた雰囲気、そんな画面から伝わってくるリュック・ベッソン特有の軽薄な波動に酔わされる。
今すぐロングアイランド・アイスティーテキーラショットを飲んでベロベロに酔っ払い、明け方に富士そばでカツ丼食って朝帰りの電車で寝たくなる映画だ。

 

 

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リュック・ベッソンと言えば、子供っぽい世界観や、目のデカい生活感がなくアニメっぽい女性が異常に好きなイメージ。
俳優としては評価されながらも出演する大作がどれも上手く行かないイメージのデイン・デハーンの美少年ぶりもいい。アメリカ人の俳優はすぐに巨体になったりオッサンになる印象だがデハーンくんはスリムな美少年のままだな。
そして何よりもリュック・ベッソンがめちゃくちゃ好きそうな現実味のないバンドデシネ的美女カーラ・デルヴィーニュは、女優デビューする前から終始きまってるような顔したスーパーモデル。
女優としては2016年公開の映画で一番つまらなかった「スーサイド・スクワッド」で、タコ踊りして世界の失笑を買ったのが記憶に新しい。
メリハリが効きすぎてる顔は一度見たら頭から離れない。以前似た顔の、毎週クラブ行ってる派手な女友達がいた。元気にしてるのかな‥と映画観ながら思った。
デハーン君が優秀なエージェントというのは飲み込みやすいが、勉強とか苦手そうなカーラちゃんが「頭脳明晰で優秀な女性隊員」という役を飲み込むまでには一時間くらいかかった(もしめっちゃ賢かったらごめん)
だが適材適所っつーか、リュック・ベッソンの浮かれ具合とカーラの終始きまり続けてる土屋アンナ顔、‥そんな、お互いの浮ついたムードが合致してめちゃくちゃ噛み合っている。この両者はしばらくコンビを続けた方がいい。
それにしてもデハーンとカーラは、なんとなく似たようなスリムなボディ、派手すぎる顔立ち‥などが共通してるせいかカップルっていうよりも何だか兄妹っぽい(もしくは姉弟
脇を固めるクライヴ・オーウェンイーサン・ホーク、リアーナなど豪華なキャスティングや、妙に浮かれた雰囲気に当てられ、まるで由比ヶ浜でのレイヴや、六本木を歩いてるうちに外国人ばかりの訳のわからん店に入ってしまった時のような浮ついた気分を味わえる。

 


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昔はリュック・ベッソンのこういう中身のない浮ついたノリが苦手だったが、今となっては好きかもしれない、他にこういう監督いないからね。しかも何十年も浮ついた中身のない楽しい映画を撮り続けるとか逆に凄い執念だと言えなくもない。
本作も始まってすぐにこれでもかとカラフルな惑星や異星人が登場し、主役の美男美女コンビがVRビーチで水着着てカクテルを飲んでいる。
2人以外に隊員はいない。数十年前のヨーロッパ人の気楽な空想という感じ。。
子供の頃読んだハヤカワSF文庫の古いSFみたいで良い。観てると子供の頃の万能感が脳内に蘇って良い気分になった。
訳のわからん内容で褒められた内容じゃないにも関わらず嫌いになれない‥というかむしろ好きな「最後のジェダイ」同様これも結構好きだ。どうやら僕は最近、アホみたいなスペースオペラを欲しているようだ。もしくは馬鹿スペオペから漂う巨大クラブっぽい雰囲気が好きなだけなのかも‥
というかアホ扱いしてるけど本作より「スターウォーズ 最後のジェダイ」の方がアホ大作だと思う。
これは、雰囲気こそ浮かれてるものの内容は割と真面目だからね。

 


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現在のアメリカ映画大作ならば色々なポリティカル・コレクトネス配慮がしてあったり社会的な問題提起が常備されてるので、そんな中こんな楽しさを前面に出した映画観たら凄く新鮮な気分になれた。
また様々なガジェット、綺麗なバンドデシネ的色彩、そして主演2人の派手すぎる顔面を見てるだけでも楽しいし。
何か具体的な内容について一切触れず、何となくの表面的な雰囲気のことしか書かなかったが、本作はそんな浮ついた雰囲気が一番の魅力だと思う。
浮ついた表面だが中にはいると意外と真面目‥。
一見、派手なビッチだが遊びに行くと意外と真面目で家庭的なギャルのような映画だ。
問題提起も大事だが本作みたいに楽しさを追求したSF大作も、もっと作られて欲しいと思った(本当は問題提起もされてるけどね)。
何とか制作費を回収させて続編を作らせてあげたい!というかアメリカ人は最後のジェダイみたいな訳の分からんもんにあんだけ観るならこれも観ろよと思った。
ちなみに僕は本作も最後のジェダイもどちらも好き

 

そんな感じでした

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ヴァレリアン

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