gock221B

映画やドラマの感想ブログ 😺🐱 殆どのページはネタバレ含んだ感想になってますので注意 😺 短い感想はFilmarksに https://filmarks.com/users/gock221b おしずかに‥〈Since.2015〉

『インクレディブル・ハルク』(2008)/10年ぶりに観てみたら知らないおじさんが大暴れしてました💚

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原題:The Incredible Hulk 制作:スタジオ:マーベル・スタジオ
製作:ケヴィン・ファイギ 監督:ルイ・レテリエ 脚本&主演:エドワード・ノートン
原作:スタン・リー、ジャック・カービー

製作国:アメリカ 上映時間:112分 シリーズ:マーベル・シネマティック・ユニバース

 

 

 

MCU第2作目。
別に本作のことが嫌いではないが特に改めて観たいわけではなかった。
何故かというと主人公バナー役のエドワード・ノートンは本作一本で切られてしまい、次のハルクの出番‥「アベンジャーズ」からはマーク・ラファロがバナー役になったから。ノートンとラファロではルックスが違いすぎるし、ハルクの顔のCGも本作ではノートンを元にしたハルク顔だったが本作以降のハルクの顔はラファロの顔を元にしたCGになっているため今となっては「バナーそしてハルク‥どちらも知らないおじさん」が画面狭しとウロつく様は不思議な気分になる(まぁ「作画の人が変わった」と思えばいいか)。だが、めちゃくちゃ面白いわけでもないので、どっちにしてもあまり観る気が起こらない。「アイアンマン」一作目におけるウォーマシーン役のテレンス・ハワードや父スタークや「マイティ・ソー」一作目のファンドラル役も変えられてしまった人であるが彼らの場合脇役だからまぁいい。ハルクの場合モロ主役なので今観ると「誰やこのオッサン!」感が強い。とにかくMCU創成期、MCUのギャラはかなり低めなのでスターたちはギャラ値上げの交渉をした、そして全員切られた。MARVELスタジオは「これからはスターの時代じゃありません、ヒーローの時代です」という態度だったのかな?わからんが以降ギャラ値上げを訴える俳優はいなくなった。
このブログは数年前に始めたせいでMCUの感想が多いが、本作だけ無かったのでキリが悪い前から思ってたので機会があったら再見して感想を書きたかった。本作を再見したいというよりも感想を書きたいから観るという捻れた理由で久々に観た。


 

Story
超人兵士計画を再現するため、自らの肉体で人体実験を行ったブルース・バナー博士(エドワード・ノートン)。しかし実験は失敗し、バナーは超人的な怪力を持つ緑色の巨人ハルクに変身してしまう。
その実験の際、バナーの元恋人ベティ・ロスリヴ・タイラー)がハルクに怪我させられてしまったため、バナーを疎むサンダーボルト・ロス将軍ウィリアム・ハート)は、歴戦の兵士エミル・ブロンスキーティム・ロス)を含む精鋭部隊を送り、ハルク/ブルース・バナーを倒そうとするが返り討ちに遭い部隊は壊滅。
エミル・ブロンスキーはブルース・バナーの血液を自らに注入し、同じ能力を持つ怪物アボミネーションへと変身する――

 

 

まだユニバース二作目なのでMCUの方向性が決まってない頃。
主演エドワード・ノートンは、本作の脚本があまりにつまらなかったのでノンクレジットで書き直したらしい。
本作の数年前にアン・リー監督の「ハルク」が公開されたばかりでリブートしたせいか、「実験で恋人ベティーを怪我させてベティーの父であるロス将軍を怒らせて逃亡した」というハルクのオリジンはOP映像でさらさらっと描かれる。正直このOPが本作の最大の特徴。当時「オリジンをまた観なくて済む‥」と好評だった気がする。確かではないが、この良采配はノートンの筆によるものという気がする。
だがオリジンは済ませた状態とはいえ第一幕は、殆どバナーの状態説明とハルクになる様子を凄く丁寧すぎるくらいに描いてるし、以降のストーリーも破綻とかはないけど意外性のない一本調子なストーリーが進んで終わるし、ベティとの恋愛描写もなかなか退屈(MCU以前のアメコミ映画ではライミ版スパイダーマンの影響で退屈な恋愛描写が入ってるのがマストだった。そしてベティはこれ以降二度と出てこないしね)そんな感じで、せっかくオリジン省略して稼いだ時間をあまり有効活用できてない気もする。今だからではなく10年前に観た時も「悪い映画じゃないけど何度も観たい感じじゃない凡作だなぁ」と思った覚えがある。
それにしてもロス将軍がMCUの頑固親父的な役で延々と出てくるとは思わなかったね。

エドワード・ノートンのバナー役だが、のほほんとしてるラファロのバナーとは全然違い神経質そうなキャラ。「人間の時もハルクっぽいルックスのラファロよりも、ハルクとは程遠いガリガリ神経質のノートンの方がギャップがあってバナー役に適してのでは?」‥などと「アベンジャーズ」を何度か観るまでは思ってたが今となってはラファロ版バナーが定着したしラファロ版バナーも凄く好きなので今となってはもうどうでもいい。というかラファロが良すぎるのでラファロで良い。
ノートンがバナー役から降ろされた理由はさだかではないが、脚本を書き直しちゃうくらいパワーがあったスター俳優だったので、想像するに「ノートンうるせー‥ハルク役で残しといたら僕らやりずれーわ」とMARVELスタジオが思ったのかもしれん。もしくはテレンス・ハワード同様ギャラ値上げでゴチャゴチャ言ったのかもしれん。

本作のバナーは、ハルクになってベティーを傷つけたのでリオデジャネイロに5年間も潜伏中という設定。ネットの科学仲間「ミスター・ブルー」と連絡しあって体内のガンマ線を除去しようとしている。あとグレイシー柔術ヒクソン・グレイシー(本人)に、怒りを抑制する体術を習ってそう簡単には怒ったり興奮して変身しないよう訓練している。
ヒクソンは最近、片岡鶴太郎もよくやってる内蔵グリグリするやつをやってて胡散臭い。
瓶詰め工場で日銭を稼いでいる。‥ここに出てくる不自然すぎる美人の同僚など、今観ると美人だが妙にIQ低そうだし「昔のアメリカ映画によく出てきてた『現地の人』っぽい描写だなぁ」と、古臭さを感じた。
以降、バナーの消息を掴んだロス将軍が送り込んだティム・ロス演じる兵士エミル・ブロンスキーがバナーを追う。バナーは興奮してハルクに変身しないように感情コントロールしながら、またガンマ線を消去する方法を探しながら逃亡してるうちに元恋人ベティと再会するストーリー。バナーは心拍数が上がるとピッピッピッ‥と音が鳴る腕時計をしてるので、この腕時計の音が早くなると「ハルクになっちゃう!」とドキドキさせる仕掛け。これもノートンのアイデアか?知らんが、いいアイデアだと思う。
ブロンスキー隊の追い込みにより劇中時間ではかなり久しぶり(という設定)にハルクに返信。ブロンスキー以外の兵士を瞬殺。それにしてもロスはハルクの事を伏せてブロンスキー隊を送り込むとか‥、やはりクズだな~。

本作のブロンスキーは39歳という設定だが当時のティム・ロスは40代後半なので39にはさすがに見えない。
昔からティム・ロスは好きだが、こんなにアクションする役はあまりないので中盤、ハルクと闘うティム・ロスは珍しくてカッコよかった。
そんなティム・ロスだが、強さへの渇望から超人兵士血清を打ってスーパーソルジャーとなる。だがさすがにハルクにタイマンで勝てるはずもなく敗北。
後でミスター・ブルーが培養していたハルクの血液を打ってハルク同様に巨大なパワー系巨人アボミネーションになってしまうので以降ティム・ロスの活躍はもう見れないのが残念。ウィンター・ソルジャー崩れの状態で満足してればよかったのに‥
ハルクはヒーローなのだが、まるでゴジラなどのモンスターのように描かれる。前半、工場の暗闇の中から現れてブロンスキー隊を襲う姿や、中盤の超音波兵器で責められる姿、終盤のアボミネーションとの怪獣バトルなど。僕はこの手のIQ低いパワー系フランケンシュタイン的なキャラ好きなので(ソロモン・グランディとか)ハルクも結構好き。だが、そこそこは面白いんだけどハルクで面白い映画にするのは難しいのかもしれん、殺してもいいならまだしも以降の作品でハルクはまだまだ出るので殺すわけにもいかないし。ハルクの原作読んでないのでどんな名作があるのかもよく知らない。
それにしても「心拍数が上がりすぎてハルクになっちゃうのでベティとSEXできない」という設定は気の毒だった。せっかくベッドでネルシャツ一丁のリヴ・タイラーが口の中に舌を押し込んできながら長くしなやかな脚を巻き付けてきてくれてるのにも関わらず何もできないとは‥気の毒だ。

その後、ミスター・ブルーとの絡みを経たハルクはアボミネーションとなったブロンスキーとの怪獣映画っぽい決闘でシメ。両手を打ち合わせて火を消したり、マブカプっぽい地割れ攻撃も見せてくれる。
やっぱさっきも言ったように、特に欠点もないがストーリーがストレートすぎて引っかかりがなさすぎる。それとラストの決闘はいいがそこまでの展開でハルクに返信するのは2回しかない(そして兵士を追っかけてるだけ)。やはりハルクにはもっと派手に色んな物をぶっ壊して欲しかった感もある。
MCUで一番つまんないのはどれだ?」と考えるとやはり本作か「アイアンマン2」か「マイティ・ソー:ダーク・ワールド」この三本のどれかだろう。
映画単品で考えると本作は他の2作よりも良いと思うが、しかしMCUというユニバースの流れとして考えると本作が一番どうでもいい作品だ。
なにしろ、いきなり「アベンジャーズ」でハルクの描写を数分間観れば「あぁこのバナーというおじさんは興奮するとハルクになっちゃうんだな」とすぐ理解できるので本作は丸々一本存在を抹消しても問題ない。
あと最初に言ったように本作のバナーは、ラファロ版ハルクとは顔もキャラも違いすぎる。そしてリヴ・タイラーも永遠に出てこない。本作のユニバース全体への貢献要素としては「なぜロス将軍とかいうオッサンは超人やヒーローを嫌ってるの?」というのがわかるくらい。というどうでもいい要素だけだ。
かといって別に駄作というわけではないんだが、とにかく地味な一本だ。
ちなみにハルクの続編が本作以降作られてないのは、人気がないからというわけではなく「ハルク」やハルク絡みのキャラの版権がユニヴァーサル・ピクチャーにあって、細かい契約の内容はわからないが状況から見ると「MCU作品内にハルクを出すのは構わないがハルク単体の新作を作ったら絶対ダメ!」という感じになっているらしい。仕方がないのでハルク個人のストーリーラインは「ウルトロン」「ラグナロク(邦題バトルロイヤル)」「インフィニティー・ウォー」などのクロスオーバー的作品などのハルクパートでちょこちょこっと触れられているのみ。だからといってユニヴァーサルがハルク新作を作るわけでもなく「俺らも別にハルク新作を作らないけど、MARVELスタジオにも作らせないようにしとこうぜ」と塩漬けにしてるだけでどうしようもない。人気あるのに自分の単体作を作る事ができないハルク役のラファロ氏も怒ってます。
FOXに版権が行ってた「X-MEN」と「ファンタスティック・フォー」などに由来するキャラの権利が今年やっとMARVELスタジオに帰ってきたというのに未だに帰ってきてないのは‥
ピーターを一時的にレンタルしてくれてる状態であるソニピクの「スパイダーマン」、それとスパイダーマン由来のキャラ(ヴェノムとか)。
ユニヴァーサルに版権があるのは「ハルク」とハルク由来のキャラ(シーハルクとか)あと「サブマリナー」も?10数年かけて随分帰ってきたもんだ。
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MARVEL映画化権の分布図。状況が変わる度にアメリカの匿名掲示redditで作成されている
ソニピクが「スパイダーマン」の権利を返すとは、とても思えないし過去のスパイダーマン映画や今爆売れ中のゲームが好調なのでまぁ別にいい。だがユニヴァーサルはハルクを作りもしないしさっさと返せやと思う。
ワイティティ監督とかでハルクMCU新作観たいぞ。
次のMCU新作「キャプテン・マーベル」は3月。随分、間があるな‥。

 

 


そんな感じでした

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The Incredible Hulk (2008) - IMDb

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「クワイエット・プレイス (2018)」ホラー要素より家族愛要素の方が数倍多かった🙊

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原題:A Quiet Place 監督&脚本&製作総指揮&主演:ジョン・クラシンスキー
制作:マイケル・ベイ 製作国:アメリカ 上映時間:90分

 


シリーズものや似たようなジャンルしかヒットしにくいホラー映画だが、ここ10年くらいはまずジェームズ・ワン制作のお屋敷ホラー群が席巻しつつ、ここ数年は「イット・フォローズ (2014)」「ゲット・アウト (2017)」「ドント・ブリーズ (2016)」などの「突然現れて、新しいアイデアのホラーで大ヒットとプロップスをかっさらっていくホラー映画」が多い印象。本作もまたその新たな一本なのか。
覇権作品は「IT(略)終わり」は‥昔からある古典だけど、これは古典というよりも「ピエロこええ!」という、アメリカで昔より道化師恐怖症が増えたからだろう。
4月にアメリカ本国で「レディ・プレイヤー1」を遥かに超える封切り成績で登場して「え?そんなに‥?」と気になっていた。
そんで監督&脚本&製作総指揮&主演のジョン・クラシンスキーって誰?と思ったが、同じく主演のエミリー・ブラントの夫(劇中でも夫婦)の俳優らしい。正直、全然知らない俳優さんだった。TVドラマで主に活躍して映画では脇役ばっかりして映画製作もちょいちょいしてたようで、僕が知らんだけで映画通の間では有名な人らしい。
観たところ「ホラーが好きで撮った」というよりも「家族を描きたいが何かフックがないとヒットしない‥そうだ!ここにホラーの良いアイデア思いついた!」という感じだったのではないだろうかと想像した。

 

 

Story
089日目。世界が破滅して約三ヶ月、街は荒廃していた。
世界は、鋼鉄をも斬り裂く頑丈な皮膚を持ち聴覚だけが異常に発達したモンスターの天下となっていた。
そんな世界を生き延びた、とある家族のパパ(ジョン・クラシンスキー)、ママエミリー・ブラント)、長女幼い兄弟は人気のない街で品物を物色していたが、長女のミスでモンスターに幼い末弟が殺されてしまった
472日目。家族は人里離れた家で、息を殺して生活していた。
モンスターに気づかれないよう物音を立てずに注意深く生活する以外は至って平和な日々だったが、妊娠したママの出産の日が近づいていた――

 

 


モンスターは、視覚も嗅覚もなく、聴覚のみで獲物の存在を感知するようだ。
大きさは大型バイク~軽自動車くらいで、大きな前足の爪は鋼鉄をも斬り裂きかなり強い。
銃が溢れかえってるアメリカの街が壊滅しているところから見て、銃撃したくらいじゃ倒せないようだ。
人の声や人間が出した物音を聞きつけると数百m先からでも猛ダッシュしてくる。
ざっくり言うと「『ガタッ!』と音を出したり『ギャッ!』と声を出してしまうとアウト」というファジーでシンプルなルールだ。
それにしても最近のワンアイデア新鮮ホラーはどれもジョジョのスタンド戦っぽいね。
主人公家族は、物音を出さないように裸足で生活したり、生活圏内の道にも砂を撒いて足音が鳴らないように工夫してたり、食事も草の皿を使いナイフやフォークも使わないように生活している。
当然、声を出して満足に会話できないし長女は耳が聞こえないという事もあるので主人公家族は手話で会話している。
また家の中にモンスターが侵入して「いよいよもってヤバイ!」と、屋外の家族にSOSを出したい時には家の周りに設置した照明が激しく点灯するようになってる。
物音を聞かれると死ぬかくれんぼを延々として暮らしてるようなものだ。
そんな感じで主人公家族はクワイエット(静か)に生活しており、ストレスがたまると滝壺に行って大声で叫んだりして過ごしている(モンスターは自然が起こす大きな音には反応しないので自然音よりデカい声を出さなければセーフ)。
映画冒頭、食料を調達しに無人の町に行き、食料品店で色々持って帰る家族。幼い末っ子はオモチャを拾い、鳴らしてしまったがために家族の目の前でモンスターに惨殺されてしまった。それは長女のミスであり彼女はこの事を気に病んでいる。
そしてエミリー・ブラント演じるママは妊娠してお腹も大きくなっており出産を控えている。当然そのまま産むと赤ちゃんの泣き声で殺されてしまう。家族は、家の地下に防音処理を施し食料も備蓄してて外界の様子も映像で見れる秘密基地めいたシェルターっぽい部屋に改造してある。この地下で産む予定なんだな。そして赤ちゃんはずっと泣いてるから大きくなるまでは地下で育てるんだろうね。
 

 


設定は大体そんな感じ。この家族の音を出せないながらもゆったりした生活描写が続き、赤ちゃん出産が待っているクライマックスに突入する。パパは妻子を守れるのか、ママは無事に赤ちゃんを産めるのか、長女はトラウマを克服できるのか、長男は?‥みたいな感じの映画。
中盤か後半、パパと長男が散策中にメンタル崩壊したジジイがいて、ふと目が合うとジジイが「ウワアアアアーッ!」とめっちゃデカい声を出すと直ぐ様モンスターに強襲されて死に、そしてパパと長男も窮地に陥ってしまう。
主人公家族は割と知恵を使って防衛しており一人だけじゃなく家族もいるおかげか(長女以外は)メンタルも安定している。だけど大抵の人はストレスにやられて狂ってしまうんだろうか。とにかく主人公家族は万全すぎるせいか、こういう外部のメンタル弱い奴によってピンチが生まれる。まぁゾンビ映画とかでも大抵ひとり混じったメンタル弱い奴のせいで崩壊するしね。
終盤、ママが赤ちゃんを守って頑張るシーンになると(さほど意味なく)水が溢れて防音地下シェルターが水浸しになってしまい、そこでママとモンスターとの静かな死闘が始まるところなど、母性&水浸しって状況が「エイリアン2」を思い起こさせた。
それにしてもフォークのカチャカチャ音や足音や会話ですらモンスターが聞きつけて数百㍍先からでも猛ダッシュで強襲して来るのなら、モンスターのすぐ近くにいるママが息を殺してじっとしてても、モンスターには彼女の心音や呼吸音が聞かれてしまうような気がしなくもないが、まぁ細かい事を言っても仕方がない。息を殺してじっとしてればセーフというルール。

 



別に悪くはないんだが想像していたより数倍地味な映画だったので「これが『レディプレイヤー1』よりヒットしたの?」と少し不思議に思った。
ちょっと、この主人公家族のメンタルや知恵が優れすぎてたせいであまりハラハラしない気がしなくもない。あのメンタルが崩壊してしまったジジイ、この家族に欲しかった。
このモンスターが怖いのはわかるが、前半もう少し人がめちゃくちゃ殺される場面が観たかった。かませの隣人家族がちょっとしたミスで惨殺される中、主人公家族が見てることしかできなかった‥それで家をより対策したり家を改造して厳重にする‥的な。
正直「アメリカ政府や米軍がモンスターの弱点に気づかないもんかね」と思わなくもなかったが意地悪な意見はやめよう。きっと思いつく前に皆やられてしまったのだ。
本作は一体どういう感想が多く持たれたのか‥は知らないけどモンスターホラー要素は思いのほか薄かったので、恐らく本作に感動した人は家族愛の描写に感動したのではないでしょうか?本作は「ちょっとした事で喧嘩したパパと娘が仲直りする話」「ママの出産で新しい家族が増える」「パパの強さ」「子供たちの勇気」といった家族ほのぼの話がメインで、それを浮き出させるためにクワイエットモンスターが頑張ってる印象でした。ゼノモーフやギーガー美術よりも「ノストロモ号乗組員の結束を高める」という方がメインテーマに置かれた「エイリアン」、物体Xや誰が寄生されているかの恐怖よりも「南極基地の隊員の結束を高める」がメインテーマになった「遊星からの物体X」みたいな感じでした。
正直、独身で家族も居ないせいかイマイチ感動が薄かった‥もしくは加齢のせいで感受性が死にかけてるか‥もしくはその両方のせいか全米での評価ほど乗れませんでした。僕はホラー好きなのでホラー映画は他の人より高評価になりがちで、やたらと低評価になりがちなホラー映画の評価に対して「何でだよ!」と憤りがちなんですが本作の場合、評価が世間一般と逆転しました。
もっと怖い描写やクワイエットモンスターの恐ろしさを期待してたんですが思いのほかファミリー映画だったのでアテが外れた感じというか。だけど普段「ホラーとか観ない!」というタイプの人にとっては本作は丁度いい気がしました。ちなみに既に続編が決定したそうです。
‥何か、めっちゃ薄い感想になりました。。感想とは名ばかりの「この映画こんな設定でした」と書き記してるだけで八割ページを埋めて最後に数行薄い感想を述べただけのクソみたいなページになってしまいました。
「優れたホラーは大抵、現代社会を写す鏡」とよく言うが、本作は「家族愛」以外に言いたい現代アメリカ要素とかもあったのかな?
「言いたいことが言えないうちに荒廃していくトランプ政権下のアメリカ」とか?
凄く無理がある。無理やり良い事を言おうとして失敗してしまいました。
どうやら汚い口を閉じた方が良さそうですね。静かにしましょう

※追記:耳の不自由な娘をメインにした続編『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』(2021)も後に観ました、別につまらないわけではなかったんですがブログに書くの面倒なのでFilmarksで済ませときました。

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そんな感じでした

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「L.A. ギャング ストーリー (2012)」ギャングスタ・スクワッドのトゥーマッチ暴力とカーチェイスがよかったです 🚙

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原題:Gangster Squad 監督&製作総指揮:ルーベン・フライシャー
原作:ポール・リーバーマン 製作国:アメリカ 上映時間:113分

 

もうすぐ公開の「ヴェノム (2018)」の監督によるギャング映画。
同監督の「ゾンビランド (2009)」「ピザボーイ 史上最凶のご注文 (2011)」はそこそこ面白かった(最後まで好感持って楽しく観れたが映像ソフトを買って3回も4回も観るほどではないという塩梅の良さ)。だが本作は観てなかったのだがHuluにあったので観た。これもまたそこそこ面白かった。
タイトル、原題の「ギャングスタ・スクワッド」のままの方がキャッチーでいいじゃん、と思ったがきっと「L.A.コンフィデンシャル」みたいに思わせたかったんだろうな。

 

 

Story
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1949年ロサンゼルス。ニューヨークのブルックリン生まれのギャングのボスミッキー・コーエンショーン・ペン)は、殺人、麻薬、銃、売春、賭博――あらゆる手段でこの街を牛耳っており、また彼の影響力は政治家や警察内部にも浸透し取り締まる事は不可能だった。
そんな状況を見過ごせずにいたジョン・オマラ巡査部長ジョシュ・ブローリン)は市警本部長の「少人数の極秘チームを結成してミッキー・コーエン帝国を秘密裏に壊滅せよ」という命によって、コーエンの情婦グレイスエマ・ストーン)に恋するジェリー・ウーターズ巡査部長ライアン・ゴズリング)を始めとする6人からなる攻勢チームを結成。
彼ら「ギャングスタ・スクワッド」はギャング顔負けの荒っぽい手段でコーエンに立ち向かうが――

 

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警官が少数精鋭のチームを作って街の顔役のギャングを追い詰める古き良き正義を描いた実話。早い話がデ・パルマの「アンタッチャブル」みたいなもの。というか話の構造的にもストーリー的にも「アンタッチャブル」に似ている。‥似ているというか全く同じと言ってもいい。殉職するメンバーが老兵と技術担当、というところまで同じ。しかし事実を元にしてるので仕方ない(武闘派じゃないメンバーと年寄りから先に死んじゃうのは悲しい)
七人の侍」を始めとするチームもの映画の一つ(というか全ての「民のためにメンバー集めて悪と戦う」系のチームもの映画は全部「七人の侍」)
古き良き時代なせいか、かなりストレートな‥「悪い奴がいたら獣の様に速攻で接近して熊のようにブン殴り、冬のナマズみたいに静かにさせる」というシンプルな古き良き正義。

 

 

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🔫リーダーのジョン(ジョシュ・ブローリン)は、かなり猪突猛進で「おれは闘うことしか知らん」と、闘いでしか自分を表現できない不器用系リーダー。
このジョンの妊娠中の奥さんは人を見る目があるようで、チームを人選したのは奥さんだ(ペーニャ以外)。この夫婦一組で一人のリーダーという感じ。
🔫ジェリー・ウーターズ巡査部長(ライアン・ゴズリング)は№2ポジション。やる気がなかったが、エマストーン演じるコーエンの情婦に惚れ、また顔馴染みの靴磨きの少年が抗争に巻き込まれて死んだ事から義憤に駆られてチーム入りする。
またコーエンの行きつけの店をやってる男?も親友で協力してくれる。
🔫コールマン・ハリス巡査(アンソニー・マッキー)は暴力的な正義感、ファルコン役の黒人俳優、残念ながら目立った活躍がなかった。
🔫子供たちの未来のためにチーム入りした技術担当のコンウェル・キーラー巡査(ジョヴァンニ・リビシ)は正直、リーダーと同じくらいチームに必要だったし活躍したと言っても過言ではない。コーエンの家電に盗聴器を仕掛けるというストレートな作戦(どうやって仕掛けたかというとゴズリングが押し入って仕掛けた)。時代が昔だから作戦がアナログなのが逆に新鮮だ。
🔫とにかく悪人を撃ち殺しまくったために本まで作られてるマックス・ケナード巡査(ロバート・パトリック)、彼は一芸に秀でた武人タイプ。七人の侍で言うと久蔵、ルパン三世で言うと五ェ門。人気が出るタイプ。
🔫メキシコ人、ナビダ・ラミレス巡査(マイケル・ペーニャ)はマックスの弟子ポジション。

という6人がギャングスタ・スクワッド。協力者も何人かいるな。彼らの上にはニック・ノルティ演じる市警本部長がいる。彼が「手段は問わない。証拠がどうとかは後で何とかするから、とにかくコーエンをぶっ潰せ」という武闘派な手段に出た事で物語が始まった。ちなみに全て非公式に行われた事なのでギャングスタ・スクワッド達は昇進も昇給もない。ただただ純粋な正義感でもって命がけでコーエンを追い詰める。
有名エンタメ作品的に言えば‥
リーダーがサノス!ララランドのカップルが№2、ファルコン、ターミネーターT-1000、アントマンの親友ルイスというメンバー。盗聴の人は知らない。

🎩ラスボスのコーエンはショーン・ペンが演じている。ショーン・ペンって、本人はどういう人なのかよく知らんが若い時から顔が苦手だわ~憎たらしい顔してるよな。久々にみたけど妙に老け込んでてエルム街の悪夢のフレディそっくりになってた。
だけどショーン・ペンだから、凄い迫力だった。
コーエンは、部下が失敗したら速攻で残虐に殺してしまうという「こんな奴がトップの組織は長く持たんだろ」と思わせられる系ラスボス。
ちなみにフィクションなので当然、要所要所をかなり盛ってる感じが伺える。

 

 

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何度か言ったように古き良き時代のシンプル正義なので、ギャングスタ・スクワッドは頭に来たら速攻で突っ込んでいってボコボコにする。
リーダーのジョンや副リーダーのジェリーからして、2人とも無策でいきなりコーエンを衆人環視の中でブッ殺そうとするしかなり血の気が濃い。
ギャングスタ・スクワッド”というだけあって雑魚を倒す時もめちゃくちゃ荒っぽいのが観てて気持ちいい。
何しろ秘密裏に行動しているので法を守る必要がない。
尋問して必要な事を聞いたらチンピラの両足を撃ち抜いて坂から転げ落とす。ちなみに失敗した彼らは全員コーエンに処刑される(俺が失敗したチンピラだったらさっさと町を出るね)。エマ・ストーンの裏切りに気付いたコーエン配下は彼女に硫酸をかけようとするがゴズリングはボコボコにした後でそいつのチンコに硫酸をかける。
前半だか中盤に、カーチェイスがある。凄く古めかしいクラシックカーでのカーチェイス。だけどそんな古い車が現代的な撮影テクニックでカーチェイスする様がめちゃくちゃ良かった(このシーンが一番良かったかも)
あとコーエンの貯めこんでる大金を見つけて燃やすのが、見ていて凄く気持ちよかった。持ち去ればいい大金をわざわざ燃やした事でコーエンは「金を燃やすって事は、こいつら正義感でやってる‥ずっと襲撃して来てる奴らは警官だったのか!」と気づくところも良かった。「アンタッチャブル」的な展開を経て最終的にはジョンとコーエンの殴り合いだ。昔のアメリカ映画ではよくあったけど久々に観たな、このラスト殴り合い。大雨も降ってボコボコになったコーエンが濡れネズミみたいになって気持ちよかった。
基本的には面白かったんだが、最後まで観るとシンプルかつストレートすぎるので一度観ればいいかという程度の面白さだった。あと何度も言うように展開がアンタッチャブルすぎて「これならアンタッチャブルで全部観たよ」という感じもあり盛りすぎ感もあったし、後半は結構飽きてました。
良かったところは、中盤のクラシックカーチェイスギャングスタ・スクワッドの過剰な暴力に酔いしれられた事か。
これでこの監督の過去作全部観たが、全部ほどほどの面白さだったので‥「ヴェノム」はレンタルでいいかと思いました

 

 

そんな感じでした

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L.A.ギャング ストーリー〔上〕

L.A.ギャング ストーリー〔上〕

L.A.ギャング ストーリー〔下〕

L.A.ギャング ストーリー〔下〕

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「ブリングリング (2013)」空虚すぎてSFみたいな実話。エマ・ワトソンの可愛さもSFレベル💎

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原題:The Bling Ring 原作:ナンシー・ジョー・セイルズ 制作会社:A24
監督&脚本&制作:ソフィア・コッポラ 製作:ロマン・コッポラ
製作国:アメリカ/フランス/イギリス/日本/ドイツ 上映時間:90分

 

「裕福な少年少女達がセレブの豪邸に次々と忍び込んで窃盗しまくってたら、すぐ捕まった」というアメリカで実際に起きた事件を本にしたものを原作にした映画。
アクセサリーや装飾品の輝きなどを表す擬音が映画タイトルになってるんだが、それならタイトルは「ブリンブリン」にした方が良かった気がする。日本のヒップホップの人らもよく言ってるだろ。。
ソフィア・コッポラの映画は、彼女の私小説的な内容‥「裕福だが微妙に孤独を感じている白人少女が周囲の人物を見てため息をつく」みたいな内容の映画が多く、日本の中年男性の自分としては全く共感しないし興味も持てないのだが、映像が綺麗だし話も最後まで観れるくらいは面白いので嫌いになれないものがある。また兄のローマン・コッポラや仲間の監督同様、生まれた時から金持ちじゃなかった時がない彼女たちの映画は、金持ちセレブ描写が異常にリアルで「ほ、本物の金持ちが撮った映画だ‥」という凄みがある。そして最初の二作目くらいまでは日本でも「ガーリーでおしゃれムービー()」として大々的に売り出してて恥ずかしかったが、近年は全然宣伝されなくなったので恥ずかしさが減った。そしてコンスタントに映画を次々と撮ってる様子が「この人、映画ガチで好きっぽいなぁ‥」と思わされて好感度が上がってる今日この頃。
本作はエマ・ワトソンが観たくなって検索したらネトフリにあったので観た。

 

 

Story
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転校してきたばかりの少年マークは、ファッション好きの少女レベッカと意気投合して親友になる。
ある日、パリス・ヒルトンがラスヴェガスに出かけた事を知ったマークとレベッカは、ネットで調べたパリスの豪邸への侵入を試みる。
セレブに憧れる金持ちの少女ニッキーエマ・ワトソン)やサム(タイッサ・ファーミガ)その他の少女達も加わり、彼らはネットでセレブの動向をチェックしては留守宅に侵入し、高価な品々を易々と盗み出す窃盗団「ブリングリング」となった――

 

 

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ネームバリュー的にエマ・ワトソンが主人公なのかと思ってたが、彼女は割とどうでもいいキャラで、むしろ友だちを欲しがってる少年マークが主人公だった。
ファッション好きだが友達がいないマークは、レベッカという少女と意気投合して友達になる。そしてレベッカの誘いを断りきれないマークは、彼女と共にパリス・ヒルトンの家に侵入する。
セレブがどこに旅行に行っているかやセレブの住所は全てネットに載ってるし、どのセレブの家も異常にガードが緩いので安々と忍びこめていたようだ(セレブがアホだったからか、泥棒があまり入らなかった時期だったのか、もしくはその両方なのかよくわからん)
やがてエマ・ワトソンや数人の少女たちもブリングリング団に加わり、リンジーローハンやミランダ・カーなどの色んなお洒落セレブの豪邸に忍び込んでは高価な服やアクセサリー、現金などを盗む。
パリス・ヒルトンの家に至っては8回も忍び込んでいて可笑しい。ここまで来るとパリス本人より帰宅してるかのようだし、まるで「パリス本人の股もゆるいが家もゆるいわ!」と嘲笑っているかのようだ。「パリスの家のクローゼットにはハメ撮り写真がある」というネタもあった。ソフィア・コッポラは劇中で特定の人物や気に要らない同性を揶揄することがよくあるがこれもその一環なのだろうか?まぁパリス・ヒルトンの家には確実にハメ撮り写真くらいあるだろうが‥。
そしてソフィア映画の過去作で何度も主役を務めたキルステン・ダンストも本人役で出てたが、パーティで彼女を見かけた主人公たちに「キルステン・ダンストだ!クール‥」と言わせる露骨な身内アゲ、まさにソフィア・コッポラ映画を観てると思わされた。
マーク少年は、盗みがしたいというよりもレベッカとの友情のために盗みに協力しているように描かれる。マークは、盗み中に仲間(マーク以外の全員)が調子に乗って騒いだり銃を盗んだりペットを盗もうとする仲間に「もうやめようよ」「ペット盗むのはダメだ!」と注意するし、捕まった後にSNSで人気が出ても「慈善活動とかの良い事で褒められるなら嬉しいけど泥棒してフォロワーが増えても嬉しくないよ‥」と語る、有罪判決が出て他の少女たちは一切反省していないがマークだけは反省していた。マークだけは善良な精神を心の奥底に持っていたようだ。‥だが、自分もセレブの物をたっぷり盗んでるし盗品を換金して羽振りもよくなってるし、SNSでフォロワーが増えたりファンページが作られたのでヤレヤレ‥的態度を取ってはいるが犯罪の甘みもちゃっかり甘受している。しかも反省したような顔してるが「まぁ世間の人は僕たちみたいなのが好きなんだろうね‥義賊が‥」などとコソ泥の自分の事を義賊などとカッコいい言い方してる辺り本当にはわかってない事を露呈させる。

 

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主人公かと思ってたエマ・ワトソンは、只の甘やかされたアホ少女役だった。
取り柄と言えば可愛いことだけで、‥だが↑この画像のクラブで踊りながら舌を出すシーンは、あまりにも可愛すぎて「空虚な映画だが彼女のこの顔だけで値段分あるかもしれん」と思った。
彼女はとりあえずモデルになって有名になることしか考えておらず、セレブの豪邸に不法侵入して窃盗しても一切悪びれておらず、逮捕されても「私ってモデルになる前に有名になっちゃう娘なのよね」としか思っておらず、逮捕から裁判までの間にインタビューされた時も「今後はこの私がホームレスの炊き出しとかして、恵まれない奴らに施しするつもり!」などと将来のために自分を売り込む。呆れるインタビュアー。そしてこれで世の中渡っていけてると思ってる彼女とママの浅はかさ。。悪いことしたと一切思ってないので懲役が決まると号泣するし、釈放された後は有名になるためTV出演して「本当にキツかったわ‥。毎朝早くに起こされるのは‥」と語る。刑務所では彼女が不法侵入&窃盗したリンジー・ローハンも居たが「彼女はピーピーうるさかった」と言っており心無さが振り切れておりある種気持ちよくなっても来る。
エマ・ワトソンのことは、レスリー・マン演じる母親が甘やかしまくっていて、まずエマ・ワトソンは学校に通っておらず、この母親が家庭学習で教えている。その授業内容もアンジェリーナ・ジョリーの写真を持って「彼女のクールなところを言ってみて!」というアホ丸出しなものだし、娘のエマ・ワトソンが窃盗で捕まっても「ママが何とかしてあげる!」としか言わない。ママもまた、娘がセレブになる事しか考えていない。つまりこのエマ・ワトソンのキャラが成長した姿がレスリー・マン演じるママ。他の悪びれてない仲間たちも同様。ブリングリング団をフォローしたりファンページ作ったりするアメリカのアホの少年少女たちも同様‥。まとめるとアメリカ全員アホ‥という映画だったんだろう。
このエマ・ワトソンのアホの生意気キャラは、凄いハマっていたし「実際の彼女は賢いくせに頑張ってクソ女の役しちゃって‥」というメタ的な可愛さもあった。
エマ・ワトソンは、ルックスもキャラも将来性も全て優等生過ぎて「こんなに完璧ならわざわざ応援したり観なくても良くね?」という気持ちが生まれてきてしまうので、今後は5作中3作くらいの割合で見かけだけ良いクソビッチ役した方がいいかもしれないと思いました。
ちなみに他の3、4人の少女もこのエマ・ワトソンと殆ど似たような、セレブになりたくて心無い少女なので割愛する(ちなみにマークが親友になれたと思っていた少女は、自分が逃れるためにマークを速攻で警察に売る)

 

 

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💎そんな感じで今までのソフィア・コッポラ映画同様、美しい映像&薄い内容という感じだったが、にも関わらず本作もまた「薄いと思いつつ何故か最後まで観れるわ~」という映画だった。実話や登場人物やストーリーが持つ殆どSFかってくらいの空虚さが上手く表現できてたように思った。
エマ・ワトソンに限らず窃盗団ブリングリング達は、パリス・ヒルトンリンジー・ローハンミランダ・カーなどのアホセレブの生活に憧れているがセレブたち本人には憧れていない(特に尊敬できるところもないし‥)だけど自分たちもそのセレブになろうとしてるし確実に少女たちもセレブ達同様にアホ。だけどアホゆえに自分たちがアホだと気付いておらず、またセレブと自分たちの事を「彼女たち」「私たち」と分けて呼称しているのが興味深かった。
「少女たちが望み通りセレブになれた暁には『私たち』の意味が、言い方そのままに一般人からセレブに変わるんだろうな」と思うと何とも言えないアホさが香るし、この少女たちだけでなく我々、大勢の人間たちがそんな風に「自分達」と「奴ら」と分けて考えるのを止めない限り、差別とかイジメは永久に無くならないだろうな、という絶望の香りもした。
💎「加害者意識を最後まで持たないアホの少年少女たちが、ネットでセレブを知って調べて窃盗して、その品をSNSで自慢して捕まってもSNSで人気になって‥」という、ストーリーそのものが何というかもう‥あらすじ聞いただけで本編見なくても作品の言いたいことが全部分かるような感じなので今更本作を観て「SNSが蔓延る現代社会に生きる若者のリアルを切り取って‥」‥などと語ることを想像しただけで顔真っ赤になるし、仕事で本作のことを語らなきゃいけなくなった評論家の人とかはかなり苦労したのではないか?などと余計なことも考えた。
💎現実のブリングリング団の写真も検索したが実際に美男美女たちだった。
エマ・ワトソンが演じた少女の本物は(どういう娘か知らんがどうせアホに決まってる)本作が公開された時に「私の役をエマ・ワトソンが演じた!ハーマイオニーが!」とか死ぬまでめっちゃ自慢してそうだな。
💎それとここ数年は「色んな人種を活躍させよう」っていう近年のアメリカ映画の風潮が激しいせいか映画に白人しか出てこない時に何か妙な感じがするものだが(そういう意味では去年のツインピークス新シリーズも登場人物の98%くらい白人しか出てこなかったのが異様でもあった)。「裕福ではあるが頭空っぽの白人だけがどうしようもない犯罪を犯す」という内容もまたディストピア感が半端なかった別に「白人俳優しか出てこないなんて許せん!」などと言いたいわけではない。
実話を元にした映画だから仕方ないわけでもあるし。ただ「まだわずか数年前のアメリカ映画なのに白人しか出てないと異様な雰囲気だな」と感じるようになってしまったという事が言いたいだけ。
決して傑作じゃないし面白いのかどうかもよくわからない映画ではあったが結構楽しめました。

 

そんな感じでした

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ブリングリング こうして僕たちはハリウッドセレブから300万ドルを盗んだ

ブリングリング こうして僕たちはハリウッドセレブから300万ドルを盗んだ

  • ナンシー・ジョー・セールズ & 高橋璃子
  • 社会/社会問題
  • ¥850

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『アントマン&ワスプ』(2018)/終盤「追いかけっこはもういいから量子の世界もっと見せろ!」と思った🐜🐝


原題:Ant-Man and the Wasp 監督:ペイトン・リード 製作:ケヴィン・ファイギ 脚本&主演:ポール・ラッド 制作会社:マーベル・スタジオ 製作国:アメリカ 上映時間:118分 シリーズ:「アントマン」シリーズ。マーベル・シネマティック・ユニバース

 

 

🐜本作は、「アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン」後にひっそり公開された「アントマン (2015)」の時と同様、「ブラックパンサー (2018)」続く「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー (2018)」という世界歴代興行収入一桁代クラスに大ヒットした2連発後に、ビッグタイトル後の箸休め的な感じで公開され、前2本の記録的なヒットには劣るが映画全般としては大ヒットの部類に入る興行収入&なかなかの高評価。
コミカルな「アントマン」は、大ヒットすれば願ったりだし仮にコケたとしても「アントマンおいしいね」と言われるという敗北があり得ないMCU作品。
ちなみに僕は前作「アントマン」はかなり好き。
劇中の時系列的では「シビル・ウォー:キャプテン・アメリカ (2016)」の約2年後で「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー (2018)」 より少し前(正式な日時は発表されていない)の出来事らしい。
🔴MCU全体のニュースとしては、長くなるので短く言うが「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズのジェームズ・ガン監督が解雇された。これでMCUというユニバース自体への興味が驚異的に減ったが悪いのはディズニーで、ケビン・ファイギやマーベル・スタジオは悪くないので「恋人は好きだけど、恋人の実家は大嫌い」状態で、何とかクリエイター陣が居る間は応援していきたい。
最後の方にネタバレあり

 

 

Story
キャプテン・アメリカに助力したことでFBI監視下に置かれたアントマン/スコット・ラングポール・ラッド、自宅から一歩も出れないながらも愛娘キャシーとの時間をエンジョイしながら2年間の自宅軟禁期間をあと3日で終えようとしていた。
物質を自在に伸縮拡大できるピム粒子を開発した天才科学者かつ初代アントマンでもあったハンク・ピム博士マイケル・ダグラス)、ピムの娘で新たな女性ヒーロー、ワスプホープヴァン・ダインエヴァンジェリン・リリーも、「スーパーパワーを持った者は政府の管理下に置かれる」というソコヴィア協定に反しているため逃亡生活中。
ピム父娘は、30年前に〈量子の世界〉へと消えた〈初代ワスプ〉ジャネット・ヴァン・ダインミシェル・ファイファー)を救出しようとしていて、スコットは彼らに協力する。
彼らの前に、透明化&物質透過能力を持つ謎の女ゴースト/エイヴァハナ・ジョン=カーメンや武器ディーラーのソニー・バーチウォルトン・ゴギンズ)らが立ちふさがり、ピムが開発した〈量子トンネル〉を狙う。
アントマン&ワスプはジャネットを救出できるのか?――


アバンは、CGで若くしたマイケル・ダグラスが出てきた前作のように今回は30年前の初代アントマン&初代ワスプが出てくる。このCGで若くしたミシェル・ファイファーマイケル・ダグラス、かなり上手く出来ていた(だけど、じーっ‥と見てるとやっぱり少し違和感があり「めちゃくちゃ実物みたいな解像度のゲームキャラ」みたいな瞬間もあった)
スコットは2年間の軟禁状態で手品を習得したりドラムや色んなインドア趣味や長風呂を楽しみつつ、何だか物凄いアミューズメント段ボール遊具を作って愛娘キャシーと遊ぶ映像が可愛いし楽しそうすぎる。
観てるだけで幸せな気分になれたので、ここは何度も観たい。
この監督は「イエスマン “YES”は人生のパスワード」の時も、本編とはさほど関係のないズーイー・デシャネルのバンド活動や主人公カップルが遊びまくるシーンがめちゃくちゃ楽しそうだったし、こういう優しい描写が得意な監督なんでしょうね。

 

 


謹慎期間残り3日まで来たスコットだったが、初代ワスプことジャネット・ヴァン・ダインになる夢を見た翌日、久しぶりにハンクとホープのピム父娘に拉致され、伸縮自在の携帯用研究所内にある量子トンネルを使って〈量子の世界〉に行きジャネットを救出する計画に協力させられる。
そこへ謎の女ゴーストや、ハンクのS.H.I.E.L.D.時代の同僚フォスター博士(ローレンス・フィッシュバーン)、いつも「強い小物」役をやってるウォルトン・ゴギンズ演じる武器ディーラーのしぶとい小物、スコットを監視中のFBIのウー捜査官らが邪魔してくる。
前作は泥棒コメディ映画だったが本作の場合、量子トンネルを内包した伸縮自在のピム研究所が本作のマクガフィン(※登場人物への動機付けや話を進めるために用いられる仕掛け)となる。アントマン&ワスプ一派はルイス達の協力も得つつ、量子トンネルを三つ巴で奪い合う、というのが本作全体の流れ。

 

 


アントマンことスコットだが前作同様の活躍していた。やはりMCUヒーロー内でも親しみやすさがトップレベルに高い。仲良しの娘キャシーはもちろん元妻マギーと新しい夫パクストンとの関係も良好だしルイス達と警備会社も作っており(ピム父娘を立腹させてる事以外は)全て順調でMCUヒーローの中で最もリアルが充実しており精神が安定しているヒーローだと言える。
スコット役のポール・ラッド、僕は2000年代にポール氏が出たコメディ映画を大量に観てたし、そもそもクリエヴァとかクリヘムよりとっくの昔からスターだ。しかも脚本も担当しとる。
そういえばポール氏は去年ダグラス・ジョーンズのNetflixオリジナル近未来SF作品で、めちゃくちゃ悪い奴を演じていたが今更そんな役やっても最後まで「ポール・ラッドが極悪人?冗談だろ」「良い人のポール氏が頑張って極悪人を演じてるなぁ‥」としか思えなかった。ポール氏は元々良い人だったのにアントマン役になって以降、良い人度が更に加速した。
スコットは「シビル・ウォー」でチームキャップに参加した時は「キャップを尊敬してるっぽい」という事以上に参加する理由がよくわからなかったが、その辺りの動機をワスプに「キャップに頼まれたからさぁ‥」と釈明して彼女に笑われる。「キャップ」と呼ぶのは大抵、我々ファンであってMCU作品内の登場人物は「スティーブ」もしくは「キャプテン」と呼ばれている。つまり「スコットはキャップの凄い大ファンだから危険を犯してシビル・ウォーに参加した」ってことなんだろう。
そう言われてもスコットがキャップに憧れてるシーンはさほどないし、キャップやナターシャのようにどこででも生きていける者じゃなくて一般アメリカ市民だし娘と会えなくなるのを凄く恐れてたしチームキャップに与する説得力は薄いが「幕末ファンが氷漬けにされてた土方歳三に味方してくれと言われたら断れないようなもんか」と考えた。まぁチームキャップ参加は面白かったので別にいい。納得させる動機づけが少なかったので補完するために考えてただけ。
最初に言ったようにスコットのリアル充実は一作目で済んでいるので、まだ埋まってない隙間‥ピム父娘問題を解決するため、能動的に突き進む主人公というよりは全編ピム一家に協力していた印象だった。

 

 


前作ではピム粒子手裏剣によって物質の大きさを変えていたが、本作ではワスプが腕から発射したり、ピム所有のビルや自動車には縮小拡大を捜査するリモコンやスイッチなどがあり、アントマンじゃなくてもバンバン色んな物が拡大縮小される様が観られた。
前作、そういった小さな物が大きくなったり小さくなったり、巨大犬サイズのアリが走り回るというLSD的なケタミン的な‥もしくはアリス症候群的な映像が好きだったが本作では更にそういったシーンが頻出して楽しめた。
昔のディズニーアニメ映画はドラッギーな映像がやたらと多くてジャンキーにも人気あった。そういう意味では本作のそういう部分を切り取って「アントマンはディズニー映画らしい」と言えなくもない。子供や動物も出るし。
前作観た時は「続編では、小さくなってホークアイの矢に乗って飛ばされたり、大ネタのジャイアントマンやるんだろうな」と思ってたが、まさかシビルウォーで全部やっちゃうとはね(気前がいいのか、アントマン続編やる予定なかったのか)
その代わりと言っちゃなんだが本作では「小学生サイズの微妙に小さいスコット」「微妙に大きい身長3mくらいのスコット」などの微妙で気持ち悪いサイズが多く、それがまたドラッギーかつ気持ち悪くて良かった。
アリは‥今回のアリたちは、前回ほど目立たずあくまで可愛いガジェットって感じだったが、アリ君たちが次々と殉職するギャグシーンは辛かった。

 

 


娘のキャシーは、ワスプを認めつつ「自分がパパのパートナーになりたい!」と連呼していた。原作でのキャシーはもう少し歳上でスタチュアという巨大化ヒーローになる事を見越したネタだろう。本作公開前に、この子役に顔が似てるブラウンヘアーの若手女優がアベンジャーズのマークが付いたマグカップを持った写真をインスタに上げてた事から「この女優は、何らかの理由で成長したキャシーを演じて、アントマン2でスタチュアになって出るのでは?」と騒がれたが結局そんな事なかった(「アベンジャーズ4(仮)」とかアントマン三作目で出てくる可能性もゼロではないが)
前作では「父と娘」というテーマも描かれてスコットとキャシー、ハンクとホープ‥などの関係性は前作で一先ず一件落着してるので現状維持。
本作ではゴーストとフォスター博士による擬似父娘のドラマも増えた。
ピム博士だが、僕はMCUキャラの中でもかなり上位に入るくらい好き。
まずコミュニケーションに難ありで他のキャラとやたらに確執があるところ、またあまりにも恐ろしすぎるピム粒子の魅力がデカい。
ピム粒子も怖いが、前作しれっとブラックホール爆弾みたいな発明品を使ってイエロージャケットの研究所を消滅させてビビった。はっきり言ってピムはヒーローの中に混ぜてもトップレベルに強いキャラのポテンシャルを秘めている。そんな震撼させたブラックホール爆弾だが使うと確実に相手が死んでしまうし、使うべきモンスターみたいな敵も出てこないし前回やりすぎたと思ったのか今回は出てこない(というか多分もう使わないだろう)。
今回良かったのはフォスター博士に捕まったピムが「胸が痛い!痛いイタイ!」つってホープが「パパ心臓病!缶を開けて助けてよ!」からの巨大蟻トラップを喰らわせるくだりも「バキ」の最強死刑囚的な老獪さで魅せてくれる。
コミカルな本シリーズの「元ヒーローの老人研究者」というキャラなのでストーリーの都合上すぐ捕まったりやられたりするし無双したりできないものの、もし凶悪な敵を相手にするピム主人公の映画が作られたとしたらとんでもない強さが観れそうだなと思った。
マイケル・ダグラスは若い頃‥80年代では主人公をよくやってたが当時はSEX依存症で入院するほどギラギラしすぎてる目も常時バキッバキの、歩く男根みたいな俳優だったので苦手だった。かわいい君のハムスターを食いちぎる寸前の猛禽類みたいな雰囲気の異常性欲俳優だったからな。
だが、このくらいジジイになって、やっと丁度いいカッコいい男になったと思った。ダグラス氏は、きっと精力がありすぎたんだね。。

 

 


ワスプことホープは既に「父と娘」ドラマを終えており、戦闘訓練も既に終了しているために本作ではいきなりワスプとして活躍する。
というかアメコミ映画のオリジンはダルいのでMCUは「今後は工夫したり省略していく!」っつてたので飛ばし傾向があって良いですね。
単純な戦闘能力だけだと多分アントマンよりワスプの方が強そうだが、スコットの主人公らしい奇跡起こし能力によって、やはり2人は対等なコンビという印象だ。
ゴーストとの闘いは、ワスプ(伸縮自在&飛行&物質の拡大&アリ操作) vs.ゴースト(物質透過&透明化)という闘いで、この2人が闘うと妙に複雑な能力バトルになるので観てて疲れた。
あと単純に彼女の体型とスーツがセクシーでカッコいいのと、ルイスの脱線トークでの回想で口パクで喋る様子も良かった。
ゴーストことエイヴァのオリジンはMARVELヴィラン定番の「科学の実験の失敗」。ただし彼女が実験してたんじゃなくてピムにクビにされて逆恨みする科学者の父が実験して、幼かったエイヴァが影響を受ける。以降、透過能力と透明化能力を得る。その代り絶えず苦痛を感じ、暗殺者として使役されていた可哀想系ヴィラン。前作のイエロージャケット同様「全てピム博士のせい」系ヴィランでもある。
コミュニケーション難ありのピム博士の過去のせいで次々とヴィランが生まれてくる様は、まるで同じくコミュニケーションに難有りで敵を作るアイアンマンのようだ。それでいてピムもまたスタークを憎んでるんだから面白いですね(ピムとトニーが会う場面が早く観たい)
このゴースト、あまり詳しくないけど原作に出てきたのを見かけた数少ない印象では、男のキャラで雇われて仕事する小物の陰キャって印象だったが、本作では美人の女性になりオリジンもがっつり付けて殆どオリジナルキャラって感じに仕上げてきた印象。
この女優は「レディ・プレイヤー1」で敵の悪い社長の手下の女を演じてた人らしい。あっちはアメリカ映画の女性敵キャラがよくやるパッツン前髪だったし魅力ゼロのキャラだったが、本作ではパッツンじゃないし神秘的な瞳の色とヘアースタイルとグレーのスーツが合っててめちゃくちゃ美しかった。
邪悪な心を持ってるわけではないが個人的な動機の結果、敵対しちゃう系ヴィラン
なにしろいつも痛みを感じてる上に、量子トンネルを奪わないと死んでしまう寸前という切羽詰まった状態。
良いとか悪い以前に「そうする以外ないよね」という、喩えるなら「外出時にウンコ漏れそうになった時に、トイレを探す以外の行動が貴方はできますか?できませんね?」という感じで誰も責められない系ヴィランだ。
しかも能力を得た時も、その後の強化も全て他人のせいという‥、彼女は「ストーリー上ヴィランになってる」ってだけのキャラなんだが中盤、本当にヴィランになりかける‥がフォスター博士が「それやっちゃアカン!」と止める。
そして彼女とフォスター博士のドラマは薄い上に終わっていない。今後も使うんでしょうね。
「ゴーストが地面を透過して地球の中に落ちていかないのは何故?」という疑問も湧いたがよくわからない、きっと何か上手い設定があるんだろう。
ルイスは前作でも好評だった「長い前置きで寄り道しまくるトーク」を披露するが、今回はただ寄り道トークするだけじゃなくて自白剤を射たれたものの自白剤の効果によって寄り道トークも強化されてしまい、敵が聞き出したい結論を一向に言わず喋りまくるというひねったシーンで面白かった。
ただの面白要素だった寄り道トークが、何だかルイスの特殊能力みたいな感じになってて物語に絡んでるのが良かった。
ウォルトン・ゴギンズ演じる武器ディーラーは、あまりにどうでもいいキャラなので何故いるのかよくわからなかった。ゴースト一派だけでよくないか?
てっきり彼は、前作でイエロージャケットの粒子を奪って逃げたヒドラのオッサンの差し金かと思ったがそんな事はなかった。ヒドラのオッサンは本作にも出てこなかったし何してるんだろう。あいつ大したキャラでもないし本作内でさっさと処理すれば良いのにね。
「ゴーストの部下」とかにして敵を一つにまとめれば良かったのに‥と思ったけど、ゴーストとフォスター博士を悪者にしたくないから、ゴースト一派と武器ディーラー一派を分けたのかな。まぁどうでもいい

 

 

🐜※ここからネタバレあり🐝
前作でもチラ見せされて、めっちゃワクワクした〈量子の世界〉に、いよいよ行くとなって凄く期待していた。
量子の世界って原作にもあるの?と思って検索したらMARVELコミックに極小サイズの、文明もある広大な「マイクロ・バース」っていう世界があって大勢の極小サイズの人達が暮らしているようだった。
Microverse | Marvel Database | FANDOM powered by Wikia
これが出てくるのかと期待していたが違った。
調べたところ、どうやらMARVELが持っていた「マイクロノーツ(つまり懐かしの「ミクロマン」のアメリカ版)」の版権が切れて「マイクロバース」の名称や設定は使えなくなり「量子の世界(Quantum Realm)」としか呼べなくなった模様。
本作では、スコットが前半「自分がジャネットになって幼いホープと鬼ごっこする」という不思議な夢を見る。それを「ジャネットしか知りえない光景を、会ったこともないスコットの脳が受信した!これはジャネットからのメッセージだ!」とピム父娘は歓喜し、かねてより進めていたジャネット救出作戦を更に確信を持って進める。そして中盤、ジャネットはスコットの脳に完全に同調してスコットの手を使ってプログラムしてスコットの口でピム父娘と会話する。
「十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない。」と言うけど、SFというより殆どホラーの領域だ。「インシディアス」とか「死霊館」でよく見る現象だこれ。
それらジャネットによるスコットへの働きかけは「量子のゆらぎ」と呼ばれた。カッコいい
MCU新世代ヒーローは「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのコズミック‥広大な宇宙」「ドクター・ストレンジのミスティック‥魔術の世界」「ブラックパンサーの隠されたアフリカ超文明国」そして本シリーズ「アントマンの量子の世界」など、MARVEL世界の拡大が行われており、ジャック・カービーぽいデザインが採用されたり妙にドラッギーだったりして僕はどの世界も好きだ。MCUの中心として世界を引っ張ってきたアイアンマン、キャップ、ソーのBIG3は来年居なくなってしまう。MCU存続はそれらの新世界に掛かっていると言っても過言ではない。
量子トンネルによって小さくなったハンク博士はクマムシがいる極小世界‥より更に極小になった場所でジャネットに逢う。そこは人など居ない「ドクター・ストレンジ」に出てくるダーク・ディメンジョンみたいな、単純に綺麗だが人が居ない場所だった。
現実世界ではアントマン&ワスプが、ゴーストその他から量子トンネルを守る闘いをしていて、ハンクが単身ジャネットを救いに行く。
こま二つの流れがつまらないわけではないんだが、量子の世界が気になりすぎて「いや、もう小競り合いせんでいいから量子の世界見せてくれや!ジャネットの話聞かせてくれや」と思った。
あまりに謎が多い割に全然説明しやがらん。
「時間も超越した世界だけど普通に加齢してるのは何故?」
「ここで何食って何してたの?それとも食事や睡眠は必要ない?」
「ジャネット、入った時には持ってなかったマントや武器っぽい物を持ってるね?クマムシが人を襲うということも知ってるし他に誰かいたの?極小の集落とかあったの?」
「ジャネット、超能力を得てるけどゴーストの分子のゆらぎを安定させた以外に何ができるの?」
凄く色々知りたさすぎる。もうこうなってしまってはワスプとゴーストの殴り合いとかどうでも良い。ジャネットに量子の世界のことをじっくり聞きたかったのだが説明はない。教えてくれよ‥
ポストクレジットシーンは、まぁ大抵の人が「インフィニティ・ウォー」観た帰り道で既に予想してたであろうサラサラ‥シーンでした(僕はスコットの眼の前で笑顔のキャシーがサラサラしてスコットが絶望すると予想してたが外れた)
このポストクレジットシーンに不満を持つ「映画は一本の単体として観たいのに何で楽しい本作だけ観てもわからん不幸なシーン(アベンジャーズ4へのヒキ)が最後に付いて終わるんや!」という一部の映画ファンが憤慨した書き込みしてるのを見かけた。
まぁ僕も映画ファンとして、フェイズ2か3の最初くらいまでは、そんな風に思ってた時もありました‥が、もう今となっては「MCU=映画館で連載してるMARVELコミック」という認識なのでMCUの連続性に怒っても仕方ない。むしろこちらからも歩み寄るしかない‥というMCU自体のファンになってしまったので、そういう人とは意見が異なる(もちろん楽しむのも批判するのも各人の自由だが)
90年代、独自のノリでのんびり連載してた「ジェネレーションX」を読んでたら「X-MEN」本編の方で宇宙を書き換える力がある何とかクリスタルが発動して「ジェネレーションX」世界も巻き添え食って凍結されて違う世界になってしまい「何だよ!」と憤った記憶が蘇りました。小さなタイトルがユニバース自体の改変や大事件に巻き込まれてしまう‥都市開発により個人商店が潰れてしまう‥あるあるですね。
それがムカつく気持ちもわかるが、僕はもうファイギが統括してる間は、この流れを肯定しつつ沿っていく事を決めたのでオールOKです。
この身動きできないスコットから、どうやって来年の「アベンジャーズ4(仮)」に続くのか?
ジャネットは「量子の世界では〈時間の渦〉に気をつけて」と言ってましたね‥
そんな感じでピム父娘の活躍が多かったし量子のゆらぎも気に入ったのだが、どちらかというと僕は前作の方が完全に好きかもしれん。
本作のストーリーは単純なのだが、あまりにアクションの情報量が多くて次から次へと要素が詰め込まれすぎてて観てて疲れた。
たとえば、研究所の奪い合いしてる時の一瞬。研究所のリモコンを持って逃げてるルイスが武器ディーラーに攻撃されたら、そのリモコンがビョーンと飛んで武器ディーラーの手にスポッ‥と収まったりして、一時が万事そんな応酬が延々と続く。。
もうテンポが早い追いかけっこが延々と続きすぎて「ルーニートゥーンズ」などのカートゥーン観てる気分になった。キッズアワードとかMTVアワードを受賞したさすぎだろ。「全編ポンポンと進めすぎないで緩急つけてくれよ。退屈なシーンや余白を作ることを恐れるなよ」と思いました。「最初から最後まで盛り上がり続けるより中盤にわざとダレ場を作って盛り上がるところだけ盛り上げた方がメリハリあって面白い‥と思うのは僕が中年のせい?」と最初は思ったが、自分が高校生や20歳でもそう思うはずなので、ここは自信を持って感想書くことにする。
最初から最後まで楽しめはしたものの、新しい要素や世界観を打ち出し続けてたMCUフェイズ3の中では最も平凡な印象。
期待してた量子の世界の秘密も出し惜しみして明かさずに終わったし。
アントマン増量」「しかもそれは強い女性」「お馴染みの愉快な仲間たちの活躍も増量」‥という昔懐かしの超保守的かつ増量拡大系のパート2。
そんな感じで楽しさは現状維持だったんですが一作目のクライマックスでスコットが娘のために一瞬の躊躇もなく原子サイズになるみたいな感動もなかった。だから1の方が好きですね。
贅沢な意見だが、ルッソ兄弟ガーディアンズラグナロク(バトルロイヤル)は、膨大な要素やキャラなどの情報を全て捌きつつキッチリ話も終わらせて新しい要素も打ち出してたので、本作も量子の世界やゴースト一派の顛末を引き伸ばさずにやり切ってほしかった感はある。
‥と思ったがアントマンは続編が作られるかどうかが微妙なタイトルなので、3を作りたいがあまりに必死でネタフリしたのかもしれませんね。

 

🐜🐝しかし結構一通りやる事やったので、もう観たい要素も無いね。
3作目やるとしたら量子の世界かな。
主要登場人物は皆、満たされちゃったし、あそこしか残ってない。
ガーディアンズ略リミックス」で量子の世界っぽい世界をジャンプしてたし、「ドクター・ストレンジ」のダークディメンジョンにも似てたし、MCU世界の宇宙と異次元と量子の世界は繋がってるっぽいんだよね(実際すべてインフィニティ・ストーンの影響で出来たものだし)


だから本作でそこら辺の繋がりが垣間見れるのを期待してたけどなかったわ。
まぁ3作目でやるのか?‥だけど「アントマンは好きだがもう充分」という感じもするのでそれまでのシリーズと別物に変えつつハルクも盛り込んだ「マイティ・ソー:バトルロイヤル」みたいに別のキャラと一緒にやりつつノリを変えればいいかもしれない。
量子の世界の謎を解き明かしたラストでスコットがホープと再婚して、キャシーが三代目アントマン(スタチュア)になる未来を示唆してジ・エンド‥これで決まりでしょう。その前に「アベンジャーズ4(仮)」か。
どうでもいいけど、この感想長すぎですね。

※追記:量子の世界に都市があることを監督が肯定してました。
だから早く量子の世界とジャネットについて教えてくれや。MCUの中では控えめな人気だから3作目を作らせてもらうために今回、全部明かさずにネタフリしたんだろうなぁ

 

 

 

そんな感じでした

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Ant-Man and the Wasp (2018) - IMDb

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大きくなってよ アントマン! (コミックス単行本)

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アントマン:セカンド・チャンスマン (MARVEL)

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