gock221B

映画やドラマの感想ブログ 😺🐱 殆どのページはネタバレ含んだ感想になってますので注意 😺 短い感想はFilmarksに https://filmarks.com/users/gock221b おしずかに‥〈Since.2015〉

『ヘレディタリー / 継承』(2018)/今年の映画&ホラー映画で‥というか、ここ10年の映画の中で一番好き🤴

f:id:gock221B:20191010062337p:plain
原題:Hereditary 監督&脚本:アリ・アスター 音楽:コリン・ステットソン
製作総指揮&主演:トニ・コレットガブリエル・バーン 制作:ラース・クヌードセン他
制作会社:A24 
製作国:アメリカ 上映時間:127分

 

 

 

ホラー映画が盛り上がっているここ数年。その中でも一番評判良かったのが本作。
予告編を観たところ予告だけでめちゃくちゃ怖いし「ホラーでよくあるデカい音でビビらせるやつしないし一番怖い」って評判が気になり、公開一週間前から観たくてたまらなくなり毎日この映画のスチル写真や予告編を見て内容を想像しながら過ごした。
監督はこれが初の長編。彼が撮った短編映画もYOUTUBEで観てみたが家族に関するものやとんでもないものが多い。特にこれとかは本作同様のファミリーホラー。英語力が小学生レベルなので細かくはわからないが映像見るだけでもとんでもない話&とんでもない構成力。
FULL MOVIE The Strange Things About The Johnson's FULL MOVIE - YouTube 
というか台詞わかんないけど既に好きになった。こいつ天才やろ。
この監督は私生活の家族間で「本作へレディタリーによく似た、とても言えない良くない出来事」が起こり、それを家族に関しての映画を作る事で乗り越えようとしたらしい(本作の主人公アニーがミニチュアを作っているのと一緒だ)。
シックス・センス」や「リトル・ミス・サンシャイン」のママ役で知られるトニ・コレットが主演&製作総指揮している。
まだ自分の中でまとまってないため、感想書きながらまとめてるので何時にも増してジジイのションベンみたいに文章がすげー長い。ジジイのションベンは最高だ(ずっとションベンしてられるからなby石野卓球)。
公開初日なので今回は極力ネタバレ少なめ

 

 👑 Satony, Zasas, Liftoach Pandemonium

 

 

結論から言うとめちゃくちゃ怖くて面白かった。
僕はホラーが全般的に好きなんだがホラー映画って舐められやすく、多くの人が「全然怖くなかった」などと思春期みたいな事を言って低評価にされやすい。高評価なホラーなんてほんの一握り。だから僕はなるべくホラーの良いところを探して、このブログでもなるべく褒める感じだったのだが本作が凄すぎて、自分の心の中の棚に並べていたホラー映画の殆どが‥いやホラー映画だけじゃなく普通の好きな映画の数十本も自分の中で全部どうでもいいものに思えてきた。
普段「なるべく映画の良い部分を探して好意的に観よう」と心がけてるので「大抵の映画は面白い」と思ってたが、本作のような「心底、自分がはまれる面白い映画」を観てしまったがために、普段観て「まぁまぁ良かった」と思ってた映画は全部大した事なかった、という事実に気付いてしまった。そして「イマイチだったけど良い部分もあるよ?」などと擁護していた微妙な映画群は全部どうしようもないカスだったと気付かされた。僕にとってそんな気持ちにさせられた映画でした。
メディアで「『エクソシスト』『シャイニング』『ローズマリーの赤ちゃん』などに匹敵するホラーのマスターピースの新しい一本!」「ここ10年のホラーで一番いい!」などと言われてて「大げさな宣伝だなぁ」と思ってたが実際その通りだった。‥というかぶっちゃけ「過去の傑作ホラーがあった前提の上で新しい本作が撮られた」というのはわかってるけどホラーの中で本作が一番凄いと思った。
感想は最後に書くとして、ざっくりした流れとメインキャラの事を先に書こう。
裕福なグラハム一家の祖母エレンが亡くなった。
映画が始まると既に死んでいる祖母の葬儀を終えて以降、グラハム家4人のギスギスしたホームドラマが始まる。葬儀が終わった夜、家族は誰も悲しがってない。
以降「彼らは一体どういう家族なんだろう」という事が描かれ「祖母はどんな人物だったのか」という事が明らかになる終盤まで来ると、グラハム家はもう引き返せない崖っぷちに達している‥いや、そもそも映画が始まる前から、実はグラハム家は既に崖から落ちていた事が明らかになる。
ホラー映画の割には、グラハム家に心霊現象はあまり起きない。その代わり「居心地の悪い雰囲気」や「良くない何か」が充満し、やがて最悪の出来事が起きる。そして元々ギクシャクしていたグラハム家は謎の光が煌めくと共に修復不能なまでに崩壊していき遂には名状しがたい決定的な「良くない事」が起き、一家は祖母が遺した〈あるもの〉を継承させられてしまう―。
‥と書くと何だか地味でつまらなそうだがこれがもう冒頭から最後までめちゃくちゃ面白い。ぶっちゃけこれがホラー映画じゃない只の殺伐ファミリードラマだったとしても同じくらい面白いと思う。

 

Satony, Zasas, Liftoach Pandemonium

 

👱🏻‍♀️ 母:アニー・グラハムトニ・コレット)🏠

死んだ祖母エレンの娘、二児の母であるアニーはドールハウス作家の主婦。
ほとんど全編出ずっぱりなのでアニーは後半まで主人公的役割を担っている。
母エレンの事は好きではなかったようだ。
だが2人の子供にも若干避けられている、‥これもモロに嫌われてるんじゃなくて普通に笑顔で受け答えしてるのだが母も子も、お互い気を使って話してるかのような‥まるで職場の同僚同士が空気悪くならないように接してるかのような描写が絶妙。
アニーは家族に内緒で、身内を亡くした者が集まるセラピーに通い、そこで知り合った初老の婦人ジョーン(アン・ダウド)に色々と自分の過去を語る。
それによって「アニーは夢遊病持ちで、無意識のうちに子供たちに危害を加えようとした」という過去がわかる。
アニーはドールハウスとミニチュアを作成して展覧会など行っている。
まぁ夫が金持ちっぽいので、ガチな仕事というよりアートとして作ってる雰囲気。
そんな仕事で作るドールハウスの他に、彼女は自分に起きたトラウマ的瞬間をミニチュアで作成していた。台詞での説明はないが、それらのミニチュアによって「祖母が自分の娘チャーリーに勝手に授乳していた」「認知症になった母が戸口に立っていた」など、アニーのトラウマがわかる。画面には出てこないが自分が夢遊病でやらかした出来事のミニチュアも作ってあるに違いない。
そして物語が進むにつれて劇中で起こる、普通だったら思い出したくもないであろう最悪の出来事のシーンもミニチュアで作り、それを見た夫や我々観客を呆然とさせる。
そんな嫌な出来事をわざわざミニチュア化しているのは、それを作る作業を通してトラウマを乗り越えようとするためらしい。そしてメタ的には本作の監督アリ・アスターが、自分の家族間で「とても人には言えない酷いこと」が起きたトラウマを本作を撮ることによって自分を癒そうとしたそうだが、そんな自分の映画作りと作中のアニーのミニチュア作りがシンクロしているのだろう。
過去の祖母の不気味な出来事をミニチュアで見せるやり方は、映像で回想シーンやって見せるよりも、ミニチュアの方が能動的に想像させられる分だけ祖母の不気味さが増してた気がする。
祖母は、映画が始まると既に死亡しているし回想シーンも一度もないので生きて動いてる祖母は本編では一度も出てこない。アニーの口から語られたり生前の写真やミニチュアでしか伺いしれない。認知症になる前の祖母の写真はどれも笑顔でイキイキしている。だがアニーは嫌いだという。
これによって祖母の実在した感やミステリアス感が増していたように思う。
アニーはドールハウスやミニチュアを作成しているので当然、ドールハウス世界から見れば神。作るも壊すもアニーの自由。全て支配している。そんな、本作のドールハウス要素は、回想シーン代わりってだけじゃなかった事が、本作を観終わった後にボンヤリわかってきて更に怖くなる。
物語が進むと、アニーの精神状況は悪くなっていき幻を見たり夢遊病が再発する。
アニーを演じるトニ・コレットは「何かたまにママ役をやってる地味な熟女」ってイメージしかなかったが本作での恐怖した時の表情、怪演が凄い。シャイニングの奥さんより凄い。言っちゃいけない事をいった後に口を抑える演技とかもめちゃくちゃ良い。もう間違いなく映画史に残るキャラでしょうこれは!漫☆画太郎のババアキャラみたいな「クリムゾン・キングの宮殿」のジャケみたいな「物凄い顔」した時の顔がとにかく凄い。この映画を注目したのもその顔写真を見たからだし。元は美人なのだが、とにかく凄い顔ばかりしているので場面によってはババアみたいな顔になったりジジイみたいな顔になったりして凄い。最終的に高いところから見下ろすアニーを見て何の特殊メイクもしてないのに「え?これ誰?」と思ってしまった。
普通の場面の演技も勿論良いし「気まずい食卓シーン」も最高。
中盤、降霊術を学んだ後のはしゃぎっぷりはトビー・フーパーの「ポルターガイスト」で、霊とのコミュニケーション法がわかって妙に躁状態ではしゃぐママを思いだした、あのママキャラも好きだった。
終盤、長男ピーターが出かける時、アニーが何故かドアを半開きにして中からギョロ目で外を伺ってる場面があるのだが、微妙によく意味がわからなくて「何だ?!今のシーン!」と感じて凄く怖かった(このページの一番下にそのシーンのGIFを貼ってある↓)

 

Satony, Zasas, Liftoach Pandemonium

 

👨🏻 父: スティーブン・グラハムガブリエル・バーン)🏥

いつも物静かで冷静な父親。一家はかなり良い家に住んでるので高給取りみたい。
現実主義者でオカルトは最後まで信じない。
出番も重要度も一番少ないので一番目立たないキャラ
妻アニーがエキセントリックなので彼は殆どの場面で彼女や家族を刺激しないよう寡黙に支えている。最初は存在感無いのだが観終わった後に思い出すと、まるで「何もしない」という行動でもって他のキャラにツッコミ入れてるように思えて面白い。
地味な役回りだが、妻がやべえ感じになってる時の何とも言えない顔も最高。
高校生の息子ピーターが赤ちゃん返りして号泣したらすぐヨシヨシするところも良い。
終盤、トラブル続きの信号待ちで遂に心が壊して泣き出してしまう場面が見せ場。
パパは現実主義者で、ただ一人最後まで霊感がなかったキャラ。
追記:そこそこ金持ちみたいだが一体何の仕事をしてるかわからなかったがカウンセラーだか精神科医だかの仕事に就いてたらしい。
だから「オカルトを信じない」「妻アリーが過去のトラウマをミニチュア化してるのは夫の勧めによる精神治療ではないか?」とか「妻アリーは誰よりも、夫に自分のメンタルがヤバいと思われるのが一番イヤ。→だから夫にカウンセリングしてもらうのではなく町のセラピーに行った」という事みたい。そしてそれらは全て(遠回しに)グラハム家の崩壊に繋がっていく‥。
 

Satony, Zasas, Liftoach Pandemonium

 

🧑🏻 長男:ピーター・グラハム(アレックス・ウォルフ)🚙🚭

母アニーの次に出番が多い男子高校生。彼もほぼ主人公と言っていいだろう。
思春期っぽく、ほどほどに尖っておりパーティや休み時間になると悪友とマリファナ吸ったりしている。アメリカの高校生が隠れてマリファナ吸うのはよくあることだが、ピーター役の俳優のインタビューによると「過去に母アニーとあったトラブルを忘れようとしているため」という動機があるらしい。
その母のトラウマの件以外は至って普通の高校生。
母アニーとの間に壁があるが、空気を読んで普通に接しようと努力してる感じ、だが母もまた自分に対して他人のように気を遣ってるのが納得いっていない。つまりハタ目には普通の母子だが、その実、母との関係は既に壊れている。
前半で起こる最悪の事件が起きた後の演技とかもめちゃくちゃ良い。この場面の彼の対処には完全に否があるので非難されるだろうが、元々メンタルが弱ってる思春期の少年が完全にショック状態になってしまうとああなるというのは普通にありそうだと思う。
母との間に壁があるが、母にあまりズケズケ言わず逆に母の方がズケズケ言ったりして子供であるピーターの方がワナワナとする場面が多いのが凄くツボにハマった。それとメンタル崩壊したピーターの泣き方が完全に赤ちゃん返りした感じで凄くいい。
食卓でピーターがアニーと口論になる場面はこの映画で一番好きな場面。
状況やお互いの心境すべて最悪でギスギスしまくってる場面なんだが、本作の劇中では母子が唯一まともにぶつかった。という意味では、この食卓でのギスギスした修羅場が、本作の中で最もホットな瞬間だったとも言える。
物語が進行するにつれて元々弱いピーターのメンタルはどんどん弱っていくが、それと比例してピーターの霊感は鋭くなり、怪しい光や悪夢を見るようになる。
演じてる俳優は「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」でドウェイン・ジョンソンアバターでプレイする冴えないゲーマー高校生を演じた俳優‥だが、めちゃくちゃ良かった。この映画によって僕は彼の顔をずっと覚えていることだろう。
アニーとピーターとチャーリー役の俳優はオファーがいっぱい来るだろうね。
 

Satony, Zasas, Liftoach Pandemonium

 

👧🏼 長女:チャーリー・グラハム(ミリー・シャピロ)🍫🦆✂

13歳の内向的な少女。家族の中で唯一、祖母エレンと仲良くしていた。それにも理由がある、というか全ての事に理由がある。
いつもガラクタで人形を作って遊んでいる。死んだ鳥の首をハサミで切り落として自作の人形の頭部にするというデヴィッド・リンチが作成するアートみたいな不気味な工作もしている不気味な一面があり霊感もある模様。ナッツ類のアレルギーがあり、食べると呼吸が苦しくなる。言いにくいが単純にルックスがめちゃくちゃ怖い。それ以外は只おとなしいだけの少女。
舌を「コッ!」と鳴らすのが癖。誰かと本作を観に行ったエレベーター内や夜道でどっちかが「‥コッ!」と舌を鳴らすというイタズラが全国で行われているに違いない。というか本作を観て以降、他の映像でコッ!と鳴る度に本作のことしか思い出せなくなった。自分で鳴らしてもそうだ。
彼女は元々霊感があり最初から怪しい光や祖母の霊を見かけるが全く怖がらない。
このチャーリーを演じてる子役女優は本来は可愛らしい少女なんだろうと思うけど、劇中では平たい顔と異常に高い鼻を強調する髪型や服装や撮り方を駆使されていて、めちゃくちゃ怖い顔に撮られている。
不気味なキャラに不気味なルックス‥それでいて子供なのに胸だけ妙に大きいのも何か怖い‥とか彼女を不気味に思っていると、ある良くない事件が起きる。そうなるとチャーリーに対して色々不気味に思っていた自分に対して罪悪感のような気持を抱くようになる。そう思った途端に観客である自分の心も、まるで弱みを握られたかのように本作に縛られ、心に錠前をかけられてスクリーンに引き込まれる。そしてそうなるとより怖くなる。
そしてチャーリーに起きる出来事についても最終的には色々とわかる。

 

 Satony, Zasas, Liftoach Pandemonium

 

👵🏻🔯🤴🏻

具体的に内容書いたら、まだ観てない人が映画観た時につまらなくなる気がして遠回りにキャラ紹介してみた。
本作は実際めちゃくちゃ怖いし面白かった。
映画が始まって1秒でもう既に面白いし、そのまま最後まで面白かった。
過去の名作ホラーっぽい場面もたまにあるけど全体的に「観たことありそうだけど微妙に観たことない怖い映画だな‥」と感じた。「凄く怖い映像」と言えばここ10数年くらいは日本のJホラー表現が一番怖かったしジェームズ・ワン死霊館バースやインシディアスシリーズもJホラーっぽい描写が多いが、本作には意外とJホラー的表現は少なかった。今思えばJホラー的表現は、心霊写真的な怖い効果を物理的に生み出す合理的なテクニックって感じで、観てるとめっちゃ怖いんだが、いっぱい観てるうちに何時しか「そういう技術」って感じでスポーツでも観るような感じで観てるようになってたが、本作の怖い場面はJホラーっぽい怖さじゃない全然違う新しい怖さで、それがイマイチ「一体自分が今、何を怖がってるのかよくわからない」という感覚が怖かった。20年位前に「リング」「女優霊」「回路」「降霊」などのJホラー表現が出始めた時に「えっ‥何この観たことない怖い描写‥」とめっちゃビビった時の感覚、あれは今までにないものを観たために「何か知らんが怖い!」という起爆剤的効果があった。人間、実態はつまらなくても未知のものは怖いですからね。意味がよくわからない文章とか子供が描いた何が描かれてるかわからない絵とかも怖い。
古いドラキュラなどの怪奇映画を今観ても「映像カッコいいけど怖くは無いな」と感じるが、当時の人はドラキュラ観て失神する人がいたらしいし、その当時はドラキュラ観て「人の血吸ってる!こんな映像観たことない!怖い」という感覚だったんでしょう多分。
で、怖い映像が、こすり倒されて人々もそれに慣れた頃に「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」→「エクソシスト」→「シャイニング」→「羊たちの沈黙」&サイコホラー→Jホラー表現→‥って感じで、怖さのステージはエポックとなる作品を起爆剤として時が未来に進んでいったんだろうけど、本作もまた怖い映画が新ステージに進んだ感覚を味わいました。
最近、Jホラー表現を吸収してアメリカ的な後半の展開で霊や悪魔を叩くジェームズ・ワン製ホラーのブームがあって、近年はワンアイデアで突き進む系の新しくて好評なホラーが多い(ずっと追っかけてくるとか目が見えないジジイとか黒人が白人に乗っ取られる村とか音出したら終わりとか)。
ホラーは好きなのでどれも楽しんだけど本作を観た驚きや楽しさが大きすぎて本作に比べたらそういうの全部、一発ネタとか幽霊ごっこに思えてきた。勿論それらのホラーも未だに面白いし好きなんだけど「へレディタリー」にはホラー映画を次の段階に進めてしまう魅力があった。
怪奇現象よりも、家族間のギスギスの方が多く、だけどそれがどう展開していくのかよくわからず、その「次どうなるかわからい」って感じが怖かった。
だが最後の10分くらいはわかりやすく怖いシーンが展開されて驚きのラストに繋がる、‥その畳み掛けの怖さも怖いのだが、その終盤ははっきり言って「悪魔ものの映画だったのか」とわかってしまうので怖さは半減した。僕はそれよりも終盤(ピーターが鼻を怪我して帰宅するクライマックス直前くらい)までの「何なのこの映画‥?」って思って観てる時間の方が怖かった。
最後には何もかも過去にあったことも全部ラストに繋がってきて色々と明らかになる。それでも面白かったんだけど個人的な好みで言えば理由が全部わかったら怖さが減ったから、もう少しわかりにくく「どういう事だったんだ?」と、よくわからない映画のまま終わって欲しかった気もする。
怖さは少し減ってしまったが、色んな事がラストに繋がる様も見事だった。
全部繋がるので「映画開始前の時点で詰んでたんだ」と感じて怖くもあるが、逆に「全部つながるのでミステリアスさが減って怖さも減った」とも言える。一長一短か?
自分が日本人だから「悪魔」という存在がストライクで怖さに繋がらないというところもあったのかも。キリスト教圏ならめっちゃ怖いのかもしれないが我々が悪魔を思い浮かべる時はちょっとワンクッション置いた遠い存在だからね。怖いというよりカッコいい印象になってしまう。だがこれは本作が悪いのではなく「悪魔を身近に感じてない自分が悪い」と感じた。
いつもは悪魔とか幽霊が出てくるホラーは大好物なんだが、本作に限ってはオカルティックなものに巻き込まれたというよりも「家族間のギスギスが魔を産んだ」かのような序盤→後半までの展開が怖いし面白かったかな。
とにかく言っときたいのはこの監督は、家族の問題に、ホラー映画に、映画に、幽霊や悪魔に全て本気!本気で取り組んでる!っていうのを凄く感じました。そんなものに取り組みすぎている執念もまた怖い。
とにかく後半も普通に怖いんだけど、この映画の序盤から中盤まで「殆どホームドラマなのに異常に怖い」というポイントを上手く書きたかったが結局どう書いたら伝わるか最後までわかんなかった。ねばったが感想はここで終わりにしよう。
とにかく今年2018年、ダントツでナンバーワンの映画だった。全ホラー映画の中でも一番好きだし、なんなら今まで観た映画全ての中でも一、二番目くらいに好きだ。
デビュー作が傑作だけど二作目以降は急にパワーダウンする監督も多い。(別にそういう監督を観て一発屋とは思わない、一発だけでも物凄い事だし)この監督がどうなのかは次回作を観ないとわからないが、この監督は何となくずっと面白い予感がする。

 

Satony, Zasas, Liftoach Pandemonium

 

🎬
アリ・アスター監督の次回作「 Midsommar (2019) - IMDb 」は、来年2019年8月に全米公開されるらしい。僕は好きだったが全然話題にならなかったNetflix映画「呪われた死霊館 (2018) 」で主演したフローレンス・ピューが主演で「女子大生がスウェーデンの祭りに行ってカルト教団に出くわすホラー映画」らしい。「ウィッカーマン」みたいな映画?またカルト教団が出てくると知ってワクワクが止まらない。本作「へレディタリー」は日本の業界人人気が異常に高いから、こいつも日本公開されるに違いない。来年の楽しみができた。
※追記(2019.10.09):音沙汰なかったが2020年2月に「ミッドサマー (2019)」の邦題で日本公開がやっと決まった。本国では「へレディタリー」ほどはヒットしなかったが批評家からは高評価だったみたい、楽しみだ。
映画『ミッドサマー』 2020年2月 TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー

 

 

 

そんな感じでした。

『ミッドサマー』 (2019)/映画全体の中では面白い方なんだが、この監督の新作という事を踏まえると田舎に行って以降のお決まりの流れでは満足できない🌼 - gock221B

『ボーはおそれている』(2023)/楽しい場面は幾つかあるがメンヘラ主人公の夢みたいな主観描写が全編3時間続くのはしんどくて付き合ってられない。2時間でいいだろ👨🏻‍🦳 - gock221B

👑👑👑👑👑👵🏻👱🏻‍♀️👨🏻🧑🏻👧🏼🔯🤴🏻👑👑👑👑👑👑👑👑👑👑👑👑

Hereditary | A24
映画『へレディタリー/継承』公式サイト
映画『へレディタリー/継承』公式サイト | 観た人限定完全解析ページ
映画『へレディタリー/継承』のアリ・アスターだけど何か質問ある?
Hereditary (2018) - IMDb
Ari Aster (@AriAster) | Twitter

www.youtube.com

ARI ASTER SHORT FILMS - YouTubeHereditary (Original Motion Picture Soundtrack) by Colin Stetson on Spotify

Hereditary (Original Motion Picture Soundtrack)

Hereditary (Original Motion Picture Soundtrack)

  • Colin Stetson
  • オリジナル スコア
  • ¥1650

Amazon: Hereditary (Original Motion Picture Soundtrack) ※MP3

f:id:gock221B:20190110113330g:plain
f:id:gock221B:20191010084251j:plain
Satony, Zasas, Liftoach Pandemonium

『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』(2018)/カルテルよりアレハンドロとアメリカの汚さにクローズアップしてて前作より好き💀

f:id:gock221B:20181018224952j:plain
原題:Sicario: Day of the Soldado 監督:ステファノ・ソッリマ 脚本:テイラー・シェリダン
製作国:アメリカ 上映時間:122分 シリーズ:「Sicario」シリーズ

 

 

 

前作「ボーダーライン (2015)」に続く二作目。
前作は、観客が感情移入しやすいように主人公であるFBI捜査官エミリー・ブラントがメキシコ麻薬カルテル捜査に加わる事で何も知らん系正義感溢れ新人捜査官を演じて「付き合ってられんわ‥」と敗北し立ち去る映画だった。言うなればエミリー・ブラントはまやかしの主人公で、前作の終盤「実は謎の男ギレルモ・デル・トロが主人公でした」と主観が入れ替わってしまうという、何ともズルい構成の映画だった(別にそうしちゃいけない決まりがあるわけではないが何ともズルいと思ってしまうのは俺だけ?)そしてオッサン達やカルテルや合衆国政府の非道さを見せたいがあまりエミリー・ブラント演じる主人公があまりにも‥まるで上京してきた女学生の如く無力だったので、そんな脚本に若干イライラした(そういえば「ウインド・リバー」のエリザベス・オルセンもそんな役だったな)
前作で挫折したエミリー・ブラントは登場せず、ギレルモ氏&ジョシュ・ブローリンが主演を務める。
前作同様に、ここ数年「ウインド・リバー」とかでグイグイ来ているテイラー・シェリダンが脚本。前作の監督はドゥニ・ヴィルヌーヴだったが本作では違う監督になった。
だからヴィルヌーヴ特有の、そこら辺の路地を撮るだけでクソかっこいいという画は無くなったが、そういう非現実的な画面の美しさが消えたおかげで殺伐さは上がった。
ネタバレは少しある
※コメ欄で〈ベニチオ・デル・トロ〉のことを〈ギレルモ・デル・トロ〉と間違えるという恥ずかしい間違いをしてましたがコメ欄で id:yoshidaacth さんが教えてくれました。どうもありがとうございました

 

 

Story
アメリカ合衆国カンザス自爆テロ発生。合衆国国土安全保障省は「メキシコ麻薬カルテルテロリスト不法入国させた」という仮設を立て、CIAの汚れ仕事担当マットジョシュ・ブローリン)にカルテル壊滅を依頼。「メキシコ麻薬カルテルに妻と娘を殺害されたコロンビアの元検察官」という過去を持つシカリオ(暗殺者)のアレハンドロベニチオ・デル・トロ)を再び起用、カルテル殲滅作戦を開始する。
マットとアレハンドロは、メキシコ麻薬王の娘イザベル・レイエスイザベラ・モナー)を誘拐、カルテル同士の闘いに発展させようとするが――

 

 


メキシコ麻薬カルテルがコカイン等のドラッグを密輸する時代は終わったらしく(各国の大麻解禁などの対策も関係してるのかな)ドラッグの代わりに尽きぬ生きた資源‥つまり人間、メキシコ不法移民をアメリカに密入国させていた。
ギャング見習いの不良少年ミゲルもそれを手伝っていた(といっても家が貧しいわけでもなく、ちゃんとした家で育ってるのに親に隠れて悪事を行っている)。
無差別テロが頻発し「メキシコのカス移民テロリストどものせいに違いない」と考えた合衆国国土安全保障省は「合衆国はテロなんかに屈しない!」といつものように吠え、合衆国国防長官はCIAのマットに「メキシコ麻薬カルテルのカスどもを殲滅しろ」と命令。
マットと旧知のアレハンドロは、カルテル麻薬王の娘イザベルを誘拐する。
ライバルの麻薬カルテルが誘拐したように見せかけ、蠱毒の様にカルテル同士を殺し合わせて弱体化したところを叩くつもりだった。そしてCIAは自分たちがイザベルを誘拐したのに「何かお前らカルテルのライバルのカルテルがお嬢様を誘拐したみたいだから俺らが助けてやったぞ」と自作自演する汚い作戦。
巨悪である麻薬王のお嬢様といえど、彼女自身は何も悪い事していない少女。
ただ、麻薬王の娘ということで学校でも孤立気味で貫禄ありすぎる美貌ってだけの只の女子高生(メキシコにはたまに女性のセクシー麻薬王みたいなのがいるがイザベルも将来そうなってたのだろうか、いや彼女は只の厭世的な金持ちになってた気がする)。
このイザベラ、襲撃されたら普通に怖がるがそれ以外では異常に目が座っていて女子高生なのに32歳くらいに見える、いい感じの少女。
だがCIAのダーティな作戦はメキシコ連邦警察に筒抜けで、イザベルを伴ってメキシコに入国したマット&アレハンドロ達はメキシコ連邦警察に奇襲を受けたので仕方なく彼らを皆殺しにした。
‥何故バレてたのかよくわからなかった、メッセンジャーの作り方が残虐じゃなかったからか?イザベルですら「この人達まともじゃない‥」と嗅ぎつけてたのでメキシコ連邦警察からすればマット達は臭すぎたのかもしれん(またこの襲撃してきたメキシコ連邦警察には別のカルテルの息がかかってたのかとかもよくわからなかった)国境周辺の死闘はFOXニュースによって大勢の知るところになり、更に冒頭の自爆テロリストは不法密入国者ではなくアメリカ市民だった。大義を失った合衆国は事態の〈クリーン化〉を図る。メキシコとの関係悪化を恐れた国防長官はマットに「やばい!イザベルとかいうガキもメキシコ警察皆殺しを目撃してるかもしれんからアレハンドロとかいう協力者もろともブッ殺せ」と酷い命令を下す。
しかしアレハンドロはイザベル殺害を拒否。アレハンドロは彼女を安全な場所まで逃がそうとする。
マットは、国の命令なのでアレハンドロへ協力できなくなくなっただけではなく、彼らを殺せと命令され、辛い立場だ。
イザベルはアレハンドロの妻と娘を惨殺した麻薬王の娘だった。
しかしアレハンドロがイザベル殺害を拒否して安全な場所まで逃したのは、イザベルを自分の死んだ娘にダブらせて同情した‥わけではなく、恐らく自分の娘が殺されたからと言って自分も同じことをしてはカルテル同様の獣になってしまうからだろう。
アレハンドロは自分の居所をマットに知らせるGPSを破壊せず持ったまま、そしてそのGPSをイザベルに付ける。自分が死んでもマットがイザベルを助けてくれると信じている。
マットもまたアレハンドロ達を殺したくはないが拒否できない。拒否すればアレハンドロに何の思い入れもない別のチームが代わりに殺すだけだから自分が行って何とかするしかない。
アレハンドロ&イザベルの逃避行、彼らを追うマット、そして国境でイザベル輸送中だったアレハンドロを目撃したギャング見習いの不良中学生ミゲルとギャングの先輩たち、彼ら三組の顛末が後半の展開。前作は、一種の地獄めぐりものと化している僕も大好きなメキシコ麻薬カルテルものだったが本作は麻薬カルテルよりも合衆国の汚い作戦が全て上手くいかず保身のためにイザベルを抹殺しようとするという、全編「合衆国の汚さ、しょうもなさ」を描くのがメインの映画だった。
これは意外だったし僕が観たかったメキシコ地獄めぐりものとは違ってたが今までの「メキシコのカルテル怖い!」映画よりも誠実な感じで却って好感を持った。シェリダンっぽい物語ですね。
アレハンドロが汚い合衆国に反抗してイザベルを守護るのは映画を観てる観客としては「そう来なくちゃ」という展開ではあるものの、アレハンドロの内面やイザベルとの触れ合いを少ししか描いてないがために「アレハンドロって、そんな義侠心ある奴だったの?」「アレハンドロが命がけでマットを信頼してるけど、2人の繋がりがどういうものか知らないのでわからん」「イザベルってそんなに良い娘だったんだ」などと、彼らの内面は結果が出た後でしかわからないので観てる間は正直、納得いかなかった。
こうやって「あれはこういう理由だったのかな?」と考えながら感想を書く事によって反芻してるうちに徐々に彼らの内面が納得いった感じ。だからこういった映画の感想ブログを書いてなければ「カッコいい映画だけど描き込み不足だな」とか言って斬って忘れてた可能性大(だからそう思って批判する人がいても全く不思議じゃない)

💀ラストシーンは、これ暗いのと明るいの、どちらの意味にも取れるように撮ってあったね。僕は最初、台詞を言葉通り取ったのとイザベルと過ごした後のアレハンドロだったこと、事後のミゲルが一抜けした事、ミゲルがまだ少年であることなどから明るい意味のラストだと思ってたんだけど、やっぱあのミゲルの顔とラストカットとその後のメインテーマを考えると暗い方なんだろうと思えてきた。それもこれもミゲルが少年っていうのが解りにくくさせてるね。本作の三作目が作られるかどうかは知らないが、本作のラストを観る限りアレハンドロとマットの関係性は棚上げされた感じだから、やはり完結編が作られるんじゃないだろうか。現状の流れから考えると、この続きでわざわざ三作目を作るからには一作目や本作のヴァ~ァ~~ン~~♫というBGMに合ってたような冷え込んだ結末じゃなくて、合衆国政府という歪なシステムに一太刀浴びせるような完結編であってほしいね。
チョイ役でいいからエミリー・ブラントやイザベルも出してね。
それにしてもギレルモ氏のこのキャラは凄くカッコいいですね。
前作では、エミリー・ブラントを偽の主人公として泳がせて終盤急に出張って無双する様が何だか納得いかないものがあったが本作の場合最初から最後まで苦労してるので好感しか持てなかった。
「自分より歳上のオッサン」「異常に情報量の多いイケメンじゃない顔」「筋肉より脂肪の方が多そうな分厚い身体」など中年男性の自分が見てもカッコよく思える要素が多い(僕は若者やスーパーヒーローでもないのに体脂肪率が異常に少ないムキムキのオッサン見たら「こいつ人目を気にしてダイエットとエキササイズしまくってるのか?」と若干引いてしまうので男女ともに中年の身体は、ある程度ブヨブヨな方が好み)
非常に高2病的な嗜好の人に受けそうな本作。
良かったけど、やっぱりまだ続きが観たい。充分に語りきってない物語のまだ途中っていう印象が強い。
そして前作同様やっぱり観終わった後に「面白いし好きだけど‥何かズルくない?」と感じた。シェリダンの話って、そう思うものが多いね。映画の構造自体が従来のものから外れてる構成が多いせいでそう思うのかも。 
一作で満足できて画面が美しいのは前作だが、個人的には本作の方が好きでした。

 

 

 

そんな感じでした

gock221b.hatenablog.com

「BOUND9 バウンド9 (2011)」ウインド・リバーの監督デビュー作のトーチャーポルノデスゲーム✂ - gock221B
「ウインド・リバー (2017)」現実にある地獄の土地を舞台にした現代西部劇。今年一番面白かったかも‥⛄ - gock221B
『モンタナの目撃者』(2021)/「ウインド・リバー」同様、異常に小物で追い詰められた敵の描写が最高🔥 - gock221B

💀💀💀💀💀💀💀💀💀💀💀💀💀💀💀💀💀💀💀💀💀💀💀💀💀💀💀

border-line.jp

www.imdb.com

www.youtube.com

f:id:gock221B:20181125162224g:plain

『15時17分、パリ行き』(2018)/当事者達の素材の味を出しすぎて奇跡体験!アンビリーバボー化🚄

f:id:gock221B:20181118225741j:plain
原題:The 15:17 to Paris 監督&制作: クリント・イーストウッド
原作:アンソニー・サドラー、アレク・スカラトス、スペンサー・ストーン、ジェフリー・E・スターン

製作会社:マルパソ・プロダクションほか 製作国:アメリカ 上映時間:94分

 

 

 

2015年8月21日15時17分にフランスの高速鉄道タリス内で発生したタリス銃乱射事件で、犯人を勇敢に取り押さえて大惨事を阻止したアメリカ人青年3人の勇気ある行為を、その当事者3人&実際に車両に乗り合わせた被害者たち本人を起用して劇映画化した実録ドラマ。
タリス銃乱射事件 - Wikipedia
一発OK早撮り&俳優に自意識や作為の無いナチュラル演技を好んでいたイーストウッド監督はここ近年、実在したリアル・アメリカンヒーローの実話を映画化していたが、今回ついにプロ俳優を主演させず実際に英雄的行為を行った青年たち&被害者を主演させるというジブリ的強硬手段に打って出た。
もはや有名なプロの俳優は主人公アレクの母親役ジェナ・フィッシャーしかいない。
ネタバレあり(というか既にネタバレされている)

 

 


‥と、そんな感じで、ここ10年以上イーストウッド氏が好んでやってる「リアルアメリカンヒーローを作為的じゃないナチュラル演技で一発撮り」シリーズも行くとこまで行ったっつーか、ここに極まれりって感じ。
主演の三人の青年も素人なら、車両に居合わせていた乗客たちも本人。
前半~中盤は、校長室に何度も呼び出されて怒られていたいたずらっ子三人が出逢う少年時代。母子家庭に冷たい学校にママたちは苦労してるっぽい様子。
青年になってからは本人が演じ、白人の2人が軍に入隊。黒人は‥よくわからない、いつもカウチに座っている。楽しそうなのでよし。
坊主頭の白人が「暴漢に遭った時」「蘇生術」など、後の事件で役立ったことを全て学んだという様子が描かれる。
そして三人は事件が起きたパリ旅行に出かける。
旅先でアジア人っぽい女性と知り合って食事をしたりするが、別に誰かと恋仲になったりテロに巻き込まれるわけでもなく、しばらくして笑顔で別れる。
それが事実だったので仕方がない!
もし展開について文句言われても「え‥事実だから仕方ないじゃん」と刃牙で出てあるキョトン顔で答えれば一方的に論破できるのでこーいう時強いっすね実話って‥。
三人はアムスのクラブに出かける。めちゃくちゃ楽しそうで行きたくなる。
そして後日、いよいよ事件が起きた鉄道タリスに乗り込む。
お年寄りが乗り込むのを手伝う親切な三人。このお年寄りや後に出てくる撃たれた中年男性などは妙に何度も映る。きっと事件に居合わせた本人なんだろう。
そんで、もう全部言っちゃうけど
そしていよいよ、武装した一人のテロリスト出現。同じ車両の中年男性が撃たれる。
ちゅ、中年男性~~!
三人は力を合わせてテロリストを取り押さえる。
撃たれた中年男性を蘇生術で応急処置する主人公たち。
次の駅でパリ警察隊と救急隊が到着。テロリストは捕まり、撃たれた中年男性や主人公たちも治療を受けて助かる(中年男性が助かってよかった~)
後日、三人とその親族、居合わせた乗客たちはフランス政府に招かれて勲章を貰う。
三人は「当たり前のことをしただけです」と答え、皆の笑顔で終わる。
‥そんな話。
けっこう序盤の‥少年時代のくだりの時に既に思った。
「‥いや、この映画何なん!?」
イーストウッドが演出してるので退屈するわけでもなく何とか形にはなってるけど、起きる出来事がアメリカの劇映画にしては、ささやか過ぎるので恐ろしくなってきた。
イーストウッド氏の家に行ったら、イーストウッド氏が直々に蕎麦を打ってくれたはいいけど「これは水につけて食べろ」と強いられて「確かにうまい蕎麦だが、イーストウッドさんに水蕎麦を強いられているという状況が蕎麦そのものより刺激的で、何食ってんのかよくわからなくなってきた‥」という感じか。言ってる意味わかるか?
アメリカ人のネットでのオーディエンス評価が妙に低いのはこのせいか?
さっきも言ったように、起きる出来事は全て事実を元にしているためテロまでの道中で異常な事は何も起こらない。
強いて言うならテロ事件を解決した時に反転して感心させるような「普通の出来事」、三人組は幼い時に問題児として怒られてばかりいてママを困らせていたこと。坊主頭の白人は空間知覚の認識がどうのでパラ部隊には入隊できなかったが代わりに入った部隊でテロに立ち向かう様や蘇生術を習う様子が描写された事くらいだ。
イーストウッドは「映画の中のスーパーヒーローやスターだけじゃなくて、普通の人々‥そう、きみ達もヒーローになれる。そうすれば映画のスクリーンのフレームの方から君を囲みに来るんだよ、このようにな」と言いたいのであろう。
別にイーストウッド氏は意識してないだろうけど最後にフランス政府に勲章を授与されて三人&三人のオカン&リアル乗客たちがニッコニコで終了する様は大抵の映画ファンなら大抵観たことあるだろう「スター・ウォーズ」一作目のラストにめっちゃ似てる。
ますますもって「きみも映画のヒーローのようになれるんだよ?お前にその気さえあればな」というイーストウッドの強い意思を感じた。
ついでにイーストウッドはインタビューでこう答えていた。
「私がこの映画みたいな場面に居合わせたら?ふふ‥私なら座席の下に隠れて出てこないだろうね笑 めちゃくちゃ小さくなってね笑」強者の謙遜ってやつか。かっこいい。
さっきも言ったように素人たちの演技やストーリーは特に問題なかった。
三人や乗客たちの演技は、僕は英語のリスリングや演技に疎いのでよくわからないしイーストウッドが演出してるという事もあって特に問題はない‥ように思える。
だけど、やっぱりプロの俳優がやった方が良いと思う。
中盤くらいで何だか「間が持ってない」雰囲気を感じた。三人の中でも坊主頭の白人が殆どメインで出てるのだが再現ドラマを見てる気持ちになってきた。
だけど、黒人の青年はかなり面白げな雰囲気をまとっていた。だが残念ながら黒人青年は軍に入ってないしあまり活躍してないので出番が少ない。
そんな感じで「勇敢だ!」とは感心したものの、やっぱりこれでは面白みが足りないと思った。
いや、本作を観てる間の「いや‥文句はないけど何なん!?この映画ww」という不思議な気持ちは面白かった。
だがそれは、そう感じる自分の脳が面白いだけで本作自体が面白いわけではないと思う。
また「スターを使わずとも当人を起用すれば劇映画は作れる」というのは、確かに作れてるとは思うが作ってる本人イーストウッドが大スター&偉大な監督という矛盾したポイントもある(僕もこの映画、イーストウッドが監督じゃなきゃ観てないし)
そんなこんなで色んな事を感じながらも、それなりに楽しみました。
だがその一方で中盤辺りから「奇跡体験!アンビリバボー」の再現ドラマを見てるような気持ちになってきた。
場面と場面の間でビートたけしが出てきて
ビートたけしテロリストが乗る車両に乗り合わせた三人っ!三人はいったい!?どういう行動に出たのでしょ~かっ!?
などと、いつ絶叫するのだろうかと思った。

🚄イーストウッド氏の〈リアルヒーロー素材の味そのまま早撮りシリーズ〉は究極とも言える本作でもう満足したのか(しててくれ~)、次回作は麻薬の運び屋をする老人役を「グラン・トリノ (2008)」以来10年ぶりに監督主演する「The Mule 〈原題〉(2018)」だそうで、これは楽しみだ。
絶対に観に行かなければ。10年前もそう思ったが主演は次が最後かもしれない。

 

 

そんな感じでした

『アメリカン・スナイパー』(2014)/時と共に増していく影が酸みたいに彼を侵す🔫 - gock221B
『ハドソン川の奇跡』(2016)/本作もさらっと凄い映画だった。久々にイーストウッド的ヒーローキャラが出た🛬 - gock221B 
『グラン・トリノ』(2008)/久々に観たが面白すぎて15分間くらいに感じた。深い感動と牧歌的な間抜けさ🚙 - gock221B
『運び屋』(2018)/今まで観た監督作+主演作全62本中で一番好きかもしれん。自分だけの面白さを掴み取ろう🚙 - gock221B
『リチャード・ジュエル』(2019) /正義を行った大柄まじめ系こどおじ一筆啓上、煉獄が見えた👮🏻‍♂️ - gock221B
『クライ・マッチョ』(2021)/本作のテーマには同意できるがそれを全部台詞で言っちゃうのはイーストウッドらしくなかったですわ🐓 - gock221B

🚄🚄🚄🚄🚄🚄🚄🚄🚄🚄🚄🚄🚄🚄🚄🚄🚄🚄🚄🚄🚄🚄🚄🚄🚄

The 15:17 to Paris (2018) - IMDb

www.youtube.com

15時17分、パリ行き (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

15時17分、パリ行き (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 
15時17分、パリ行き (ハヤカワ文庫NF)

15時17分、パリ行き (ハヤカワ文庫NF)

 

2017年の日本公開映画&ドラマのBEST5を今頃やっと考えました🎬📺


もう2018年も終わろうという頃だが、2017年の観たかった日本公開映画をようやく殆ど観たのでベスト5を決めました。
映画とドラマ一緒にした。未公開映画とかNetflixで配信されてる映画とかも全部一緒。好きな順に並べて、感想書いたブログ記事へのリンクも貼っておいた。

 

 

1:ドラマツイン・ピークス (2017)全18話 👑👑
 #1 #2 #3 #4 #5 #6 #7 #8 #9  #10  #11 #12 #13 #14 #15 #16 #17 #18(終)
1:映画ハードコア (2015)👑
3:ドラマGLOW:ゴージャス・レディ・オブ・レスリング〈シーズン1〉 (2017)」全10話
4:映画ゲット・アウト (2017)
5:映画ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス (2017)

 

 

5位から下
映画お嬢さん (2016)、映画スパイダーマン・ホームカミング (2017)、映画ジョン・ウィック:チャプター2 (2017)」 、映画レゴ®バットマン ザ ムービー (2017)」、映画マイティ・ソー:バトルロイヤル (2017)」、映画スウィート17モンスター (2016)」、映画ジェーン・ドウの解剖 (2016)」、映画LOGAN / ローガン (2017)」、映画ドクター・ストレンジ (2017)」、映画オクジャ/okja (2017)」、映画アトミック・ブロンド (2017)」、映画ヒットマンズ・ボディガード (2017)」、映画ワンダーウーマン (2017)」、映画ラ・ラ・ランド (2016)」、映画gifted/ギフテッド (2017)」、映画ライフ (2017)」、映画エル ELLE (2016)」、映画1922 (2017)」、映画ワイルド・スピード ICE BREAK (2017)」、映画キングコング:髑髏島の巨神 (2017)」、映画ウィッチ (2015)」、映画哭声/コクソン (2016)」、映画ナイスガイズ! (2016)」、映画ブラッド・ファーザー (2016)」、映画シンクロニシティ (2015)」、映画グリーンルーム (2015)」、映画散歩する侵略者 (2017)」、映画人魚姫(2016)」、映画メッセージ (2016)」、映画キュア ~禁断の隔離病棟~ (2016)」、映画ブレードランナー 2049 (2017)」、映画ネオン・デーモン (2016)」、映画モアナと伝説の海 (2016)」、映画新感染 ファイナル・エクスプレス (2016)」、映画皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ (2015)」、映画IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(2017)」、映画猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー) (2017)」「スノーデン (2016)」、映画オリエント急行殺人事件 (2017)」、映画ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ (2017)」「予兆 散歩する侵略者 劇場版 (2017)」、映画ザ・サークル (2017)」、映画アウトレイジ 最終章 (2017)」、映画パッセンジャー (2016)」、映画ザ・コンサルタント (2016)」、映画ジェラルドのゲーム (2017)」、映画ゴースト・イン・ザ・シェル (2017)」、映画フラットライナーズ (2017)」、映画パーティで女の子に話しかけるには (2017)」、映画美女と野獣 (2017)

 

それ以下の、あまり好きになれなかった映画
映画イップマン3 継承 (2016)」、映画スター・ウォーズ/最後のジェダイ (2017)」「アナベル 死霊人形の誕生 (2017)」、映画フッテージ デス・スパイラル (2015)」「ジャスティス・リーグ (2017)」、映画エイリアン・コヴェナント (2017)」、映画ブラックルーム (2016)」、映画シンクロナイズドモンスター (2017)」、映画ベイウォッチ (2017)」、映画グースバンプス モンスターと秘密の書 (2015)

 

 

 

1位:「ツイン・ピークス:リミテッド・イベント・シリーズ (2017)」全18話
放送中は「ツインピークス RETURN」というダサいタイトルが付いてましたがソフト発売と同時に本国と同じタイトルに変わった。
毎週「おお!」とかリアクション取りながら毎週感想を書いて楽しく観てたが、正直めちゃくちゃ良いと思って観てたわけじゃなかった。
何というか「アレがこうなるって事は、つまりアレとアレはこういう理由でつながってるんだな」などと分かりやすすぎて「何だかハリーポッター観てるみたいだなぁ」などと思ってもいた。
そして最終回直前にツインピークス保安官事務所に集結した全員で力を合わせて悪を倒して大団円!‥って感じの展開になって「おお~っ!凄い」などと盛り上がりつつも本心では「何か、少年ジャンプ漫画みたいでリンチっぽくないな‥、しょせんはオッサンおばさんの同窓会か」などと思ってたので、そのまま終わってれば、この年の5位くらいの感動しかなかったんだけど、最終回でそれまでの方程式に当てはまらない急展開&凄い終わり方を見せて評価がガーン!と上がりました。
その最終回の前半は「え‥なにこれ‥w」と困惑しつつも再び予想できなくなったツインピークスの姿にワクワクし、数々の伏線を放ったらかしたまま手を付けず10分間も無言のまま車で走行する場面で爆笑すると同時にワクワクが膨れ上がり、ラストカットでの我らがヒーローであるクーパーとヒロインのローラの惨めなツーショットそしてローラの絶叫で終わった瞬間に、僕の中のツインピークスへの25年分の認識が裏返り脳内でそれらが反射、屈折を繰り返してスパーク。脳汁がドバッ!と出ました。
というかこの最終回だけが本体で、17話までの説明しやすい展開は全部この最終回のための前フリでしかないんじゃないかとすら思った。このドラマの事思い出そうとしても最終回の事しか思い浮かばないし。
そして17話までの話をこそ愛していた視聴者のためにも、純粋クーパーが帰宅するという「17話までの世界がハッピーエンドで終わるラストカット」を用意してあったので親切だ。
ちなみに旧シリーズに多くあったメロドラマ要素はほぼ無い、リンチ100%作品になっている(だから本作に乗れなかった旧シリーズファンも多い)
この作品に限っては作品とそれを観た自分の脳の中という単純な関係が一番面白いと思ったので、脚本家マーク・フロストによる二冊の本や日本のツインピークス識者による本なども読もうと思いつつ結局読まなかった。他人と分かち合いたいタイプの面白さではなく「ツインピークスと俺だけがこの世にいればいい」というタイプの面白さ。僕は好きなものに大して「もっと人気出たらいいね!」と思い宣伝したり面白さを語り合いたいタイプの人間なのだがツインピークスに関してだけは自分さえ観て自分だけ良ければいいという感じだ。人に勧めたり貸してもウケない可能性が高いから勧めようとも思わないし。
数年後この続きが作られたら勿論喜んで観るし、逆にこれ以降が永遠に作られないとしてもそれはそれで素晴らしい終わり方した作品として記憶に残るしどちらに転んでもいい。もし続編が作られたら、あの冷たい世界にいる惨めなクーパー&ローラのあの状態のまま続けて欲しい。旧キャラはゴードン含めて赤いカーテンの部屋なども全部もう出てなくていいとすら思う。僕としてはお馴染みのキャラクターやお馴染みの物よりも「なんじゃこれは!」という描写さえあればツインピークスは成立するとわかった。
ぶっちゃけクーパーやローラすらもう出てこなくてもいい。「ツインピークス」はアメリカの妙に黒人が少ない田舎とダイナーと電柱や電線さえあれば成立することがわかった。

 

 

3位:「GLOW:ゴージャス・レディ・オブ・レスリング〈シーズン1〉 (2017)」全10話
「GLOW」は女性に人気の大ヒットドラマ「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」スタッフによる80年代に実在した女子プロレス団体を元にしたドラマで、シーズン2まで配信されてる。「オレンジ‥」に比べて妙に人気がなく「オレンジは好きだけどGLOWはちょっと‥」と興味を持たれてない印象。だけどシーズン1も2もめちゃくちゃ面白い!ツインピークスさえ無ければ1位にしたかった。
何で人気ないのか考えたが、まず最初に〈80年代の女子プロレス〉ってのがキワモノ感あふれるし今の10倍女性が虐げられてそうな時代と舞台設定だから女性が観ないとか?(もしくは主人公が第一話でいきなり親友の夫と不倫SEXするから嫌われて続きを観る人が少ないとか?)
男性視聴者には、分かりやすくセクシーだったり可愛かったり性格のいい女子レスラーは出てこないから観ないのだろうか?
実のところよくわからないが、実際にはあらゆる方面に配慮が行き届いてて凄く面白いので人気出て欲しい!
だがシーズン1、2どちらも最初の3話まで嫌な奴らばっかり出てきて嫌な感じの事が起きるギスギスした感じなので「ひょっとして序盤で切る人が多いのでは?」と僕は推測している。
だけどシーズン1、2共に、4話まで観ると序盤のギスギス感が裏返って楽しくなり、そのまま最終回まで一気に観なければ気がすまないほど面白くなるので我慢して4話まで我慢して観て欲しいところ(俺を信じて!おれを)
プロレス要素も、プロレスに疎い人でも楽しめるようになっている(それでいてプロレス詳しい人はもっと楽しめるようにもなっている)。主人公のライバルのデビーはプロレスに興味ない視聴者同様プロレスに興味なく、試合を観に行ってプロレスの面白さに気付いて説明してくれるしプロレス的にもわかりやすい。
興味ない人が観たくなるような事を書こうと思ったが今回もまた上手く書けなかった。
3位「ハードコア」4位「ゲット・アウト」は観れば誰でも面白いしゲットアウトは既に大人気なので改めて書くことない。

 

 

 

ブレードランナー」「エイリアン」「スター・ウォーズ」など人気作の続編、全部微妙
SFビッグタイトル3本。結論から言うと丸っきりダメなわけではないけど結果的に全部微妙だった。
ブレードランナー 2049 (2017)」は、旧作のカッコよくて汚い街やヴァンゲリスのBGMが無くなって残念だったが、映像がかっこいいヴィルヌーブによる新しい近未来もカッコよかった。ゴズリングのAIとの惨めな恋愛は結構好きで良いSF映画な気がするけど、デッカードなどの旧キャラ関連は全部微妙。総合すると前作要素は全部要らなかった(というかブレランじゃなくてよかった)
エイリアン・コヴェナント (2017)」は「プロメテウス」同様、リドスコ映画としては結構面白いのだが、タイトルと本編に〈エイリアン〉が入ってるのでエイリアン好きとしてはどうしてもエイリアン映画として期待してしまった。だけどリドスコは映画会社に入れるよう言われてエイリアンを渋々出して、如何にもエイリアンっぽい挙動をサラッとさせただけで、凄いぞんざいな扱いでガッカリした。
だけどこれが「プロメテウス2」ってタイトルだったらそんなに嫌いじゃなかった。
最後のジェダイ」は、SWおじさん達が文句を言ってる中、観に行った日は結構楽しかった。
だけど日が経つにつれて興味なくなっていき、レンタル始まって再見したらクソつまらなくてSW自体への興味がなくなった。
というのも恐らく「最後のジェダイ」は今後のためにSWを破壊して再構築する作品だったので「SWより映画の方が好きな」評論家が褒めて「SWとしてどうか」とだけ考えているSWファンにバッシングされたのはわかる気がする。僕も初見時は映画ファンとして観たので「これはこれで‥」と、SWがズタズタになる様を楽しめたのだが2回目以降に再見する時は〈SWをそこそこ好きな人〉として観たので、そうしたら「全然アカンやん‥」とSWファンの人達と同じ気持ちになった、とそういう感じです。
そして〈脱構築作品〉って事を前提としても「いや、SF映画として普通におかしいじゃん」とも思ったし、やっぱりダメだと思う。「脱構築しながらSWファンも楽しませればいいじゃん」という結論に。
そんな感じで、三本とも良いところもあるけど微妙‥。というか旧作の、大好きだったはずのブレラン、エイリアン、SWに対しての興味も失った感じでした。
だけどまぁいつまでも同じものに執着してるのも気持ち悪いし、それはそれで良いと思う。これらに割いていた時間を違うものに使えるだろう。
そしてこれらもまた新鮮な新作が作られて興味を持てる日もまた来るかもしれないし。

 

 

2017年、ドラマ苦手なのに1位2位がドラマで、アメコミ映画はまぁまぁ‥、SFの大人気だったシリーズ最新作は全部微妙だったという感じでした。
だけど1位のツインピークスは大御所リンチ氏が未だに若者みたいに新鮮な感性で新しい次元に行って終わったし、「ハードコア」「ゲットアウト」は新しい監督だし、何か微妙な感じの古いものはどうでもよくて、それより新しくて新鮮な面白さを欲している自分を感じました。真の面白さをつかみたい

 

 

 

そんな感じでした

gock221b.hatenablog.com

gock221b.hatenablog.com

gock221b.hatenablog.com

gock221b.hatenablog.com

gock221b.hatenablog.com

gock221b.hatenablog.com
2020年の日本公開映画&ドラマのBEST5を2年半過ぎてやっと決めることができた🎬 - gock221B
2021年の日本公開映画&ドラマのBEST5を10ヶ月過ぎてやっと決めた🎬 - gock221B
2022年の日本公開ドラマ&アニメのBEST5/というか殆どMCUドラマがつまらない理由を考えるページになった📺 - gock221B

🎬📺🎬📺🎬📺🎬📺🎬📺🎬📺🎬📺🎬📺🎬📺🎬📺🎬📺🎬📺🎬📺🎬📺

www.youtube.com

www.youtube.com

www.youtube.com

www.youtube.com





f:id:gock221B:20181121113338g:plain



『パーティで女の子に話しかけるには』(2017)/可愛いSF恋愛映画だったがコレ観る直前に〈Born Sexy Yesterday〉について考えてたので内容が入ってこなかった💏

f:id:gock221B:20181113175751j:plain
原題:How to Talk to Girls at Parties 制作会社:A24
監督&脚本&制作:ジョン・キャメロン・ミッチェル
原作&製作総指揮:ニール・ゲイマン 製作国:アメリカ 上映時間:103分

 

 

原作のニール・ゲイマンは、小説家や脚本家としてより90年代に邦訳もされてたアメコミ「デス」とか「サンドマン」のライターとして好きな作家さん。ゲイマン氏本人もイケメンかつ何時でもロマンチックなおじさんという印象。
今回はいつもにも増して完全ネタバレあり

 

Story
f:id:gock221B:20181113175905j:plain
1977年ロンドン郊外。内気で鬱屈した毎日を送るパンク大好きな高校生エン(アレックス・シャープ)。
ライブの帰りに不思議なパーティに迷い込んだ彼は、そこで美少女のザンエル・ファニング)と出会う。
規則だらけの生活にうんざりしていた彼女はエンが語るパンクに興味を持ち、パーティを抜け出して一緒に街へ繰り出す。そんな彼女の正体は遠い惑星からやって来た異星人だった。そして彼女が地球にいられる時間は残りわずか48時間だったが――

 

 

f:id:gock221B:20181113181212j:plain
あらすじの通り、冴えない少年エンが美少女ザンと知りあうボーイミーツもの。
こんな話は100本くらい観た感じがする。2人の間を繋げるものはパンクで、ザンが宇宙人というのが本作独自のポイント。
今回はもう最後まで全部内容言っちゃいますが、

❤童貞のパンク少年エンが美少女ザンと知り合う。
種族の厳しいルールに飽き飽きしていたザンはエン本人や彼が語るパンクという概念にのめり込み、2人は意気投合して恋に落ちる。2人はパンクバンドを結成してライブして思いのほか盛り上がり、その最中に神秘的な体験をしてザンは身ごもる。

❤だがザンが出産するには惑星に帰らなければならないし、もう逢えない。
エンはザンを帰したくはないが彼女は帰っていってしまう。
ラストは数十年後、コミック作家となったエンのサイン会に、かつての自分たちくらいの年齢に成長したエンとザンの子供たちが訪れ、エンは涙ぐむのだった

‥という、ラストでコミック作家になってるところや70年代が舞台なことなど、どう考えてもニール・ゲイマンが自分の童貞時代をイメージして書いたのであろう話。
ちなみにザンの種族は「口減らしのために大人たちが子供を食べて種を存続する」という権力者や年長者に都合のいい惑星で、ザンや他の若者も食べられる予定だった。
要はザンたちの惑星は我々の暮らしているこの現実社会のメタファーでもある(もっと言えばアメリカのメタファー)。
他の若者エイリアンたちも、ザンとエンのライブを聴くことで影響される。
そして「親になったら政治に参加できる」というルールなので、ザンは出産することによって自分の国のルールを改善できる力も得れた。子供たちがバンドを組むために地球に訪れたという事はルールは変わったのだろう。だけど、エンディングでザンが出てこないという事はザンは死んか星から出れないのか‥とにかくもうエンと遭うことは一生ないという事だ。
身も蓋もない言い方をすれば、
「厳しいカルトで育った世間知らずの美少女が童貞パンク少年と知り合ってパンクバンドを組んで妊娠、田舎の実家に帰らされるが出産して親になった。ザンとエンは一緒にいる事はできなかったが、2人はそれぞれ世界を少しだけ良くすることが出来た」
そんな感じだろうか。
北の国から '92 巣立ち (1992)」をポジティブにしたような話とでもいうか‥。
前半デートしたりライブする2人はとても可愛いし、いい話だとは思ったがあまりにベタな話で少し退屈だった。というかどう考えても若者向けの映画だから中年の僕が20代とかだったらもっと素直に感動できてたかもしれない。

 

 

f:id:gock221B:20181113191529j:plain
ザンを演じるエル・ファニングは何時も通りアニエス・ベーとかが似合いそうな美少女で、そんな彼女を素朴なエンとくっつけるには工夫がいる。
まずエンの長所は「優しい」「若いし将来がある」という事しかない。
ルックスも、ブサイクではないが別に凄いイケメンではない普通の顔。
家も母子家庭で裕福ではない普通の家庭。
つまり世界中の殆どの少年達と同じ。
そんなエンと美少女をくっ付けるには工夫がいる。
まず美少女エンのことを、
「若者が抑圧されて食われてしまう惑星から来た、無知で純粋なエイリアン」
という設定にする必要があった。
地球のことを殆ど知らない純粋な美少女ザンは、エンに都合の悪い事‥たとえばエンの事を査定したり値踏みする事もなく他の男と比べる事も一切ない。そんな事すればエンもワンオブゼムになってしまう。
そしてエンは非常にシャイでザンに手が出せないので、好奇心旺盛でアクティブなザンの方から、エンの匂いを嗅いだり顔を舐めてきてくれたりして積極的に接してくれるので内気なエンも彼女と知り合った初日にスキンシップを図る事が出来た。
逆に言うと、エンのような平凡な(つまり我々のような者)がエル・ファニングと付き合うには、彼女を「無知で純粋で好奇心旺盛かつ俺にしか興味のないエイリアン」にしないといけないという事になる。そこまでしてやっと付き合う可能性が出てくる。
本作のSF設定は「アメリカや我々の社会の悪い部分の縮図、そしてそれを打ち破らんとする俺たち若者の闘い」‥という要素もあるが「ザンとエンをくっ付けるための舞台装置」としての面が大きい気がした。

 

 

f:id:gock221B:20181113193745p:plain
ベタな話っていうのもあるが、本作を観る直前に「Born Sexy Yesterday」というYOUTUBE動画を観たばかりなのであまり本作に入り込めなかった。
↓動画も貼っとくか、日本語字幕も付いてる。
www.youtube.comざっくり言うと「SF映画に出てくるセクシーなヒロインは、男性主人公の都合のいいように無知で純粋なキャラばかり出てくる」というもの。
「確かにそうかも‥」と考えさせられるものがあった。
美しくてセクシーな女性からは〈考える力〉を奪わないと「俺だけを見てくれる俺だけのもの」にならないからな。だから「宇宙から来たばかり」「造られたばかりのアンドロイド」などのSF設定が必要。それでいて彼女たちSFセクシーヒロインは地球の事について無知‥特に〈性的な概念〉がないのですぐ裸になるしSEXを教えたら教えたで「何これ気持ちいい!」とすぐ淫らになる、考える力はないが〈カンフー〉などの男が好きな物事には通じていて、その力で男性主人公を護ってくれさえもする。それでいて主人公の事しか目に入らないのだ。
まるで〈幼女〉と〈オカン〉を合体させたようなキャラクター性だ、そんな男に都合の良いキャラクター性が〈セクシー美女〉のセクシーボディに入っている。そう思うとめちゃくちゃ気持ち悪い。というか書いてて恥ずかしくなってきた。
子供の時に物凄い興奮していた「スペースバンパイア」などのセクシー女性エイリアン侵略系SFホラーもBorn Sexy Yesterdayだろう。アメコミ映画でいうと「ワンダーウーマン」一作目の前半もそういう面が少しあったか?だがダイアナは世間知らずではあるが知識はあるし同性とのSEXはしているっぽいし相手役のスティーブ・トレヴァーは別に世間知らずじゃなくても惚れざるを得ないヒーローレベルの最高の男なので僕はセーフだと思う。
本作の原作者ニール・ゲイマンの「デス ハイコストリビング」がめちゃくちゃ好きなのだが、この主人公のデスちゃんも少しそういうところあった(冴えない主人公に優しくしてくれる美少女は死神だから寛大)。
Born‥とは少し違うが僕が「凄く好きだなぁ」と思う映画の女性キャラ‥「スーパー!」のエレン・ペイジとか「復讐者に憐れみを」のぺ・ドゥナなどは完全に気が狂ってる犯罪者なんだが「美少女が俺のことを好きになるとか想像するのは図々しいな‥だから狂人かつ犯罪者なら図々しくないかも」という気持ちの現れかもしれない。
‥まぁとにかく、Born Sexy Yesterday動画を見て色々と考えさせられてる最中に、Born Sexy Yesterday要素が強すぎる本作を観ても、入り込んで観ることなど一切不可能だった。
というかSFだったのね。このめちゃくちゃ良い映画タイトルからして、普通の男女がライブハウスで出会ってリアルに恋愛するという‥きっと「(500日)のサマー」っぽい恋愛映画なんだろうと期待してたので思ってたのと全然違った。
とはいえ映画というフィクションはファンタジーや願望を映すものでもあるし、要は作品内容が素晴らしければ別に男性に都合が良くても構わないとは思うよ。別にリアルであればイコール素晴らしいフィクションというわけでもないし。フィクションは現実の様々な物事や感情を色んな楽しいものに変換して表現する事が素晴らしいんだからアメコミヒーロー映画やホラー映画やSF映画が特に好きな自分ではあるが、恥ずかしい作品と恥ずかしくない作品とがあるよね。
本作の場合、SF設定や世界のすべてが童貞主人公のために動いてる感じがして、別に、だからと言って「この作品はダメだ!」という感情はないのだが観てる最中に「人間の美少女だと主人公のこと相手にしないから宇宙人にしたんやろなぁ‥」とか一々思わさせられて何度も恥ずかしくなって集中できなかった。
それに僕は40過ぎのオッサンなので年齢のせいもあるだろう。もし自分が20代なら‥いや多分30過ぎくらいでも本作に入り込めたり感動できてた気がする。
確かに主人公エンの都合のいいようにエル・ファニングやSF世界が動いてくれてたけど、だけどその代わりに彼女を失ってしまったり2人は離れ離れになってそれぞれ自分にできる範囲で世界を良くしたんだから、良い面もある。
本作を観る前にBorn‥動画を観たせいで真面目に観る気分がゼロになってたしね。
色々言ってきたが、主人公と知り合ったばかりのエル・ファニングが「‥私にパンクして」っていう場面めちゃくちゃドキドキしたのも事実だが‥。
Born Sexy Yesterdayや女性キャラについては、また改めて考えていきたい。

 

そんな感じでした

💏💏💏💏💏💏💏💏💏💏💏💏💏💏💏💏💏💏💏💏💏💏💏💏💏

gaga.ne.jp

www.imdb.com

www.youtube.com

壊れやすいもの

壊れやすいもの

 

f:id:gock221B:20181113201524g:plain

#sidebar { font-size: 14px; }