gock221B

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「ある優しき殺人者の記録(2015)」次元を超えても何ともない頑丈なビデオカメラ

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監督:白石晃士 製作国:日本/韓国 上映時間:86分
子供の頃、事故で死んだ幼馴染の少女を蘇らせるために、神のお告げによるミッションをこなすために人を殺しまくってきた主人公の韓国人青年サンジュンを、韓国人女性レポーター(「息もできない」に出てたMARVELコミックに出てくるウォッチャーっぽいルックスの娘)が、コワすぎ!シリーズと同一人物と思われる日本人カメラマン田代を連れて説得しに行く
サンジュンは、神の殺人ミッションをクリアできれば幼馴染の死は回避でき、また自身の殺人で死んだ人たちも皆復活できるという。
一体どうなってしまうのか。

この映画、「コワすぎ!観てないと最後がわからないんじゃないか?」とか批判する人がたまにいて、確かに白石ファンなら「なるほどね」という気持ちでラストをすんなり観れるかもしれんが、
初めて観る人は、頭のおかしい主人公が頭おかしい事やってるわ‥って気持ちで観ながら最後で「そうなるんだ!」と驚く事ができて、むしろファンじゃない方が楽しめる気もする。


・ラストについて考えた
このサンジュンのやってる事は単純で、オカルトの江野と似ている。
「神のミッションをこなす過程で、罪のない他人に対して大量虐殺とかめっちゃ酷い事をしたりしなければならない。しかし成功できれば超常的な力で最終的に皆幸せになる。これっていい事なのか悪い事なのか‥?」と視聴者に考えさせる感じのやつだ。
「自分の行いを正義だと思って疑わない真の邪悪」とまで呼ばれてた、ジョジョ6部のラスボス、プッチ神父がやろうとしてた事(天国へ導く方法)とかなり近い。
喩えると、朝起きたら目が整形されていて「目元パッチリした方がモテるから、お前が寝てる間に二重に整形しといてやったぞ!」と言われる不快感に近いというか。。
それで喜ぶ人もいるだろうから絶対的に悪とは言えないが自分だったら嫌だな~。
特に害をなされず、ただ見返り無しに江野やサンジュンが100万円くれるだけ‥というだけのミッションでも悩むかもしれん(金貰った時点で相手の人生の影響下に置かれてしまう)
そもそもミッションがクリアできて違う世界線に行けたとしても、苦しんで死んだ人たちの一瞬の死の苦しみは永遠だし、その世界線の被害者や親族は確実にただ苦しむだけですしね。。
というような諸々で、僕はこの映画、サンジュンの思うように事が進んでしまったという事でバッドエンドだと思いました。
しかし、それは僕個人の考えであって、他の人の感想だと「色々、辛い事あったけどサンジュンたちが幸せになってよかった~!ハッピーエンドで暖かい気持ちになったわ」という感想の人も数多く見た。それはそれで見方や考え方が違うので、一概にどっちが正しくてどっちかがアカンというわけではない。俺の考えが間違ってるのかもしれん
だから「オカルト」の場合、ラストで江野を地獄に落としたのでハッピーエンドだと思った(罪のない人たちも一緒に地獄落ちてたのは笑ってしまったが)
というか転生した後の超人みたいな江野くんは好きなんだが、オカルトの江野はただのクズのキチガイだと思うので嫌いで、オカルト江野に感情移入したり白石くんとの奇妙な友情をほのぼのと観てる人の気持ちが全く分からない。
特に江野が焼肉屋で「タメ口でいこうや」みたいな事を言った時は、タメ口でいこうと言われるのが元々嫌いなのもあって、かなりのレベルで不快感を感じた(しかしコワすぎ最終章で同じ台詞を言った時は暖かい気持ちになった)
善悪二元論ではなくグレーと捉えた方が賢そうで大人っぽいが、その方が面白いのでここは二元論で決めておきたい。


・新キャラ、暴力人間カップル
しかし超常現象よりも、後半ふいに出てくる暴力人間カップルの方がインパクトデカかった

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白石映画のオカルト要素と暴力人間要素のぶつかり合いといった感じ。
この暴力人間カップルの活躍があまりにいいので、思わず韓国人主役カップルよりもこの二人を応援してしまった。
何が凄いって、彼らは重要な役割ではあるが、ストーリー的には別にいなくても成立するキャラで、、たとえばインディ・ジョーンズ観てたら突然、遺跡を守る全長100mある巨大ロボットが出てきてインディと闘い始める‥というくだりがあるかのような感じというか。。別に流れとしてはおかしくないが作品の根幹を揺らして、インディの冒険やインディ作品そのもの屋台骨が危険になるほどの巨大ロボ。
このカップルはそんな感じだった。
めっちゃ強くもあるし意外とすぐやられたりするようにも見えるし、愛と悪との間でも絶妙に揺れていたのが良かった。
まあ単純に、物語の潤滑液、緩衝材となって自在に形を変える様が魅力的だった(ご都合主義とも言えるが、キャラがこれだけ濃いとご都合主義を超えたサムシングを放っていた)。
とか思ってたら主人公にナイフを向けて威嚇しながら手マンやFUCKし始めたので、彼らへの俺の評価がそのままリアルタイムで可視化されていくように感じて、観ながら気持ちよくなった
何か久々に「恋人っていいもんだな」と思わされたわ
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彼氏の方もよかったが、今までの暴力人間と比べると役者オーラが出過ぎていて怖さがなかった。話せばわかってくれそうだ。
葵つかさちゃんもよかった。都合よく殺された~とか思ってたら急に俊敏になってチャッチャッチャッチャ刺す感じも可愛いかった。
「この娘は結婚や同棲したら、料理しながら合間合間にチャッチャと食器洗ったりして、飯ができる頃には同時に洗い物も完了してそうなタイプだな」と、つかさちゃんがテンポよく人を刺してるところを見てそう思った。
また、関係ないが監督に伴われてイベントや告知に顔を出す様も可愛かった。

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楽しそうだな~
最後、死を回避した彼らが街を横切る光景とかも見たかった。
この暴力人間カップルは結構、この映画自体よりも重要で発明だと思った。
今までの暴力人間たちは、ただ凶暴なだけで腕力も権力もなく誰でも倒せそうな程度の暴力人間だったが、何気にこのカップルは二人とも超人に近いと思った。
なにしろカップルなのに、お互いが犯されたり殺されるのも弱点にならなかったりして最強度がかなり高い。
女が喜んでレイプされて中出しされてる間に脚で相手をフック→その間に暴力人間(男)が暴力!このコンボでやられない敵はいないだろう(主人公は、主人公補正によって生き延びたにすぎない)
また彼らに会いたい。。


・いつもより見た目が綺麗。邪神
いつも金なさすぎる絵面で「色々工夫してあるから充分楽しめるね」と思いながら観てたが、韓国資本のためか一目で「あっ映画だ」という感じの絵面を楽しめたのが良かった。やっぱこれくらい綺麗な方がいいなと思った。
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いつも監督が手作りしてたらしい超常現象CGも、今回は外注の邪神、外注のコズミックホラー的宇宙映像が立派だった。
昼間の韓国の街の空から邪神が出る場面は立派で、ここ繰り返し何度も観た。
今まで作品の超常現象とかも、こういう綺麗な映像で観てみたい。
舞台となる廃墟ビルも、屋上から見える町並みも、ちらっと映る街角も、全部カッコよくて、美術面では白石映画最強の一本という感じ
韓国版とアメリカ版?のポスターもカッコよかった
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・ビデオカメラ様
自分はハッピーエンドと思えなかった話は既にした。
今までなら割と感情的な事や倫理的な価値観によって、どっちかな~と揺れていたところはあったが、本作は持ち主を変えながらもずっと回っていたビデオカメラの視点で終わる。
今までのモキュメンタリーもそうだが、次元をまたごうがタイムスリップしようが世界線が変わろうが誰に因果が集まろうが、ビデオカメラは主観的な独自の訳が分からない物理によって映像が記録され続けていく。
時間が戻ったらビデオカメラ内の時間も巻き戻って映像が消えてしまいそうだが、そうはならない。僕たちが観れなくなるから消えないわけです。
「そういうお約束に突っ込んだら負け!」って感じで流してたが、本作のラストではビデオカメラの存在感を今まで以上に感じたのでもはやビデオカメラ氏もキャラクターの一人だなと思った。
この世界線の人物の記憶には殺人の酷い記憶も残っておらず‥というか事実そのものが残っていない。綺麗に収まった。。
しかし、ビデオカメラには全て残っている。
‥というのは今までの作品もそうなんだけど、その恐ろしさにやっと気付いた。
そのビデオカメラ様の視点で映画が終わる。今まで気にも留めてなかったビデオカメラに、ゾッとするようなコズミック的恐怖を感じた。
スタッフロールのキャストのところに「ビデオカメラ役:ビデオカメラ」と書いてほしい気さえした。
最強キャラのビデオカメラ様については、もっと上手く言う事ができる気がするが、僕ではこれ以上無理なのでここで止めておく。誰か続きを考えてくれ

それにしても、今までの作品よりも更にビデオカメラ様のアカシックレコード化が強かった。だんだん自分もビデオカメラ欲しくなってきた。
いや、既にスマホがある。今まで映像撮る機能を全く使ってなかったので今日から撮りまくるのもいいかもしれない。
何か自分の根源を脅かす、恐ろしいものが映るかもしれない。


そんな感じでした。

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