gock221B

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『龍三と七人の子分たち』(2014)/なかなか良かったです/たけしの思い出 👴

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監督&脚本: 北野武 製作国:日本 上映時間:111分

 

最もたけし本人に夢中だったのは小、中学生~20代前半の頃だったかもしれない。
物心ついたら、ひょうきん族とか元気が出るTVとかオールナイトとか戦メリとか歌手活動とかフライデー襲撃とかで完全に毎日がたけしフィーバーだった(たけしの挑戦状も発売日に買って「なんじゃこれ‥」と呆然とさせられた)
そうこうしてる間に「その男‥」で映画監督デビューしたので誰も入ってない田舎の映画館で観たら思いの外怖くてビビった。しかし中二病真っ盛りの刺々しい俺の精神に、刑事が生意気なガキをボコボコにしたり無表情ノーモーション暴力や何十発もビンタするバイオレンスなど完全にはまって夢中になった。
ソナチネ辺りで、誰も評価してなかった事もあり(2回観に行って2回とも客が数人だった)「もっと応援しなきゃ!」という気分が最高潮に盛り上がった。
この3-4xとかソナチネを繰り返し観ていた20代前半が最も北野映画ファンだった
そうこうしてる間に海外で評価され始めて肩の荷が降りたような気分になり(応援してた売れてないバンドやアイドルや芸人がブレイクしたら、それに満足してあまり追わなくなってしまう現象に似ている)
それで、自分の生活が忙しくなったのもあり、公開される度に観はするが昔の熱心さは無くなった、というか他の好きな監督もいっぱいいたのでどうでも良くなってきた。とはいえ監督ばんざいとかアキレスと亀とかタケシーズとかの失敗作も「何か、純文学っぽいな~」とそれなりに楽しんでいた
それと、初期の傑作群を最近観ると、昔は感銘を受けていたはずの極端に台詞が少なかったりノーモーション暴力とか、たけしのシャイさを感じさせる場面などを今観ると凄く恥ずかしく感じるようになった(しかしそれはたけしのせいではなく、初期のそういう感じが自分の中二病だった記憶を呼び起こさせるからかもしれない)
アウトレイジからはガラッと変わりサービスに徹するようになって、こっちの方がいいなと思った(しかし昔のミニマルな感じを通ってこそこれだから価値があるのだと思う)
そんな感じだが、デビューから現在まで観続けてる期間が最も長い監督という事になる(あとは黒沢清タランティーノ

 

そんなこんなで、アウトレイジ二本ではロマンチックさが消えて「たけしが大人になった!」と評判だったが、本作はまた新しくいいなと思った。
本作はアウトレイジに輪をかけてセルフパロディー化が激しくなっており、あと黒澤明勝新へのリスペクトや、いつもはスベってる北野ギャグもバシッとキマる事が多く良かった(大学生も笑えるような尖った面白さのギャグではないが、老人や外国人や数年後の人が観ても笑える最大公約数ラインの笑いだと思う)
何か子供の頃から、たけしがよく言ってるのを聞いてたヤクザネタとか(指がないから泳いでたら曲がるとか)多くて懐かしい気持ちになった。
クライマックスのカーチェイスとか、現代ヤクザの事務所で、手元が危ないジジイ達とビビった若い敵ヤクザの両陣営の攻撃が中尾彬の肉体だけに集中してしまったり、五寸釘投げが必殺技のジジイが何故か事務所のダーツの的だけに命中させまくるくだらないシーンが良かった。
子供の時、タケちゃんマンが初登場した妖怪人間知っとるケのズボンとパンツを降ろしてチンポ丸出しの さんまの肩についてたカラスのオブジェを引きちぎってブンブン振り回してた凄い場面を彷彿させた(子供の俺は死ぬほど爆笑した)

ひょっとして、その男凶暴やソナチネキッズリターンやHANA-BI座頭市アウトレイジ二作よりも、本作の方が最高傑作かもしれないと思った。
今までの北野映画のいいところが、この一本にいっぱい詰まっていた。

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藤竜也近藤正臣がカッコよかった。というかカッコよすぎる。
俺が腐女子だったら、二人の薄い本を描きたいくらいだ。
この二人に、中尾彬を合わせた3人がメインキャラ。
あとの四人のジジイは各々が持つ特技やギャグを披露するだけの存在。

藤竜也は大体いつもかっこいいが、今まで特にいいと思った事なかった近藤正臣は、絶対に若い時よりジジイの方が完全体だと思った(そもそも近藤正臣とか数十年くらい見なかったので誰だかわからなかった)自分はヤクザものだと頭脳派の副将キャラが一番好きというのもあってカッコよさも際立っていた。近藤正臣の孤独な一人暮らしの団地の部屋もすげーよかった。
この二人が蕎麦屋にいる場面とか味わい深過ぎて何回も観れる。

あとブラザーで大杉漣の関西弁の部下役でカッコよかった名前知らない人が、たけしの部下役で出ていた。声が大杉漣にすごい似てる。あとたけしの運転手だった(秋山さんだっけ)も出てたし、コワすぎ蛇女の無職主人公が金取られる役で出てた。中尾彬の孫娘役で出てた ふみカスは、中尾彬の顛末へのリアクションのシーンが欲しかった。

全編コメディなんだが、北野映画特有のカットが変わったら数人でカメラを睨みつけてたり関係ないモブが長時間アップで映るカットが何気に怖い。愉快に振る舞ってる藤竜也達ジジイもたまに凄く怖い顔を見せる。
ジジイ達に「クソガキ」と呼ばれてるラスボスの現代ヤクザが自分と同世代のヤスケンだったのも印象的だった
静止画でスパッと終わるグラインドハウスっぽいラストもカッコよかった(藤竜也が中指立てて静止画になるのだが古いヤクザだから中指がないというのがイケてた)
パッと見はコメディでディティールこそ優しいが、物語の構造は今までの陰惨な旧作と同じで(暴力が振り子の様に大きくなって引き返せなくなり最終決戦になって終わる)それでいて旧作にあった恥ずかしいロマンチシズムがなくて客を楽しませることに全力を出している。。という理由から本作が一番好きだと思った
映画館だとお年寄りがたくさん笑ってたんだろうなというのが想像つく。
動員100万人を超えてアウトレイジビヨンドに迫る勢いだという。続編やって欲しい
次は何を撮るのか知らないが大御所芸人を主役にしたもの(さんまとか)。もしくは昔から言ってる合戦ものが観たい。龍三ビヨンドもいいな

※追記:後に最新作『首』(2023)を観て他の作品ともども本作を観返しました。

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そんな感じでした

『アウトレイジ』(2010)、『アウトレイジ ビヨンド』(2012)/キャラ名を把握して再見したら面白かった🔫 - gock221B
『アウトレイジ 最終章』(2017)/わかりやすさが加速してとうとう因縁が数値化された中盤が凄く面白い🔫 - gock221B
『首』(2023)/北野作品史上最もカッコつけてるシーンがなくてエンタメに徹してるとこがカッコよくて面白い作品でした💀 - gock221B

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