gock221B

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「マイ・インターン (2015)」デニーロのハンカチ論とアンハサの作り笑顔。夫婦問題が勝手に解決する点以外は超面白かった

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原題:The Intern 監督:ナンシー・マイヤーズ 制作国:アメリカ 上映時間:121分

「どうせ女子が見る様な映画だろ」と思って興味なかったが、異常に評判良いので一応観とくか‥と観たが、めちゃくちゃ面白かった。

ファッションサイトを営む自分が立ち上げた会社の若き女社長(アン・ハサウェイ)の担当にシニア・インターン制度で入って来た70歳のベン(ロバート・デ・ニーロ)が就く。
インターン‥要らないなぁ」という態度のアン・ハサウェイに放っとかれたデニーロ氏だが(自分ならこの時点で落ち込みそうだ)一瞬で職場の人気者になり同じくインターンのセクシー熟女レネ・ルッソともいい仲になり(彼女はデニーロ氏の下半身や手を触りまくり、その度にデニーロ氏は勃起する)更にはアン・ハサウェイ社長の信頼も勝ち取る映画。
Facebookに登録しようとするデ・ニーロ氏をアンハサ女史が助け、質問しながらプロフィールを打ちこむシーンを通じて二人が知り合うシーンは上手かった。あと、アンハサのオカンの家に忍び込む作戦も楽しかった

デ・ニーロ氏
このデニーロ氏は、アメリカン年配男性にも関わらず娘以下の年齢のアン・ハサウェイを立てまくる器のデカさで、かなりカッコいい。
この一歩下がった、やり手の男っぷりは、アラン・ムーア「トップ10」のロボット刑事ジョー・パイを思い出した。
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この「トップ10」世界は、市民全員が超能力を持っていたり神やロボット等ヒーローみたいなのが住んでる街の警察署の一日‥を描いたコミック。
そんでこのロボット刑事ジョー・パイ氏は、殉職した職員の代わりに赴任してくるのだが、皆の仲間が死んだばかりでしかも表情が読めないロボット生命体なので「この新入りのロボットめ」とあまり歓迎されない。しかしジョー・パイ氏は仕事ができて凄く気が利くのですぐに皆の信頼を勝ち取る。。
大ヒットした映画のキャラを、それよりもマイナーなキャラで喩えるのは適当ではない。しかし本作のデニーロ氏を見てたら、ジョー・パイ氏が凄く思い起こされたので書かずにはいられなかった


ハンカチ
デ・ニーロ氏は、恐ろしいマフィアかもしくは極端に頑固だったり要領が悪いオッサンの役、もしくはそれらを全て足したような役‥、要はマッチョな性格の役が多かったので、自分の娘くらいのアン・ハサウェイを上司として立てるこの役は凄く新鮮だった。のみならずデ・ニーロ史上に残る強キャラ(個人的にはトラビス・ビックルとかゴッドファーザーにも匹敵する凄いキャラだと思った)
職場の若者に「ハンカチって持ち歩く必要ある?」と訊かれる。俺も同感だが‥
デニーロ氏「ハンカチを持ち歩くのは他人の為だ。女性は泣くこともあるだろう」
ハンカチを他人の為に持ち歩く‥考えた事もなかった! 今まで俺は
俺「ハンカチ?手洗ったら、ここ(ズボンの太もも部分)で拭けばいーだろ」
と思っていた。このデニーロ氏の台詞に比べて俺の台詞のレベルの低さ。。
泣けてくるね。。ちょっとハンカチ貸してください。。 ‥はっ
その後もデニーロ氏は、アンハサウェイが言って欲しい事やって欲しい事を先回りして全部やってくれる。という事は板垣恵介的に言うと、真逆の他人がして欲しくない事も全てわかるはずなので、このデニーロ氏はストリートファイトしたら、本部並に強い武術家になれそうだ。


MAN or BOYS. GIRLS or WOMAN
アン・ハサウェイ社長は言う
「近年では、誰も男性を"MAN"とは呼ばず"BOYS"と呼ぶようになってるわ。その逆で女は"GIRLS"ではなく"WOMAN"と呼ばれるようになってきた。世界はそうなってきてるのかしら」そうかもしれない。しかし男尊女卑の世の中よりはいい気もする(かといって別に女性上位主義者というわけでもない。何事もバランスが大切だ。凸を軽く否定したからと言って、それがイコール凹主義者とはならないのだ。日本では、ましてやネットの世界では二者択一を迫られがちだが、真実は常にその間のどちらでもなく中間のグレーゾーンにある)
そういえば「マッド・マックス 怒りのデスロード」は「まだ10回しか観てません!」みたいな熱狂的なファンばかり大騒ぎしてたのでさぞかしヒットしたんだろうと思っていたが、日本ではサラッと公開した本作にあっさり負けてたのも「女性凄いな」と思った。このブログも毎日女性人気の高い映画のページやちょっとBL用語を使わせてもらっただけのページのアクセスが異常に多いし‥このアンハサ社長の台詞は当たっているかもしれない

アン・ハサウェイ社長
成功者だからといって良い事ばかりではないようだ、パワーを持って常に忙しいアン・ハサウェイ社長はママ友から疎んじられているようだ。
女でも子供を持つ親でもないのでよくわからないが、子を持つ主婦の友達と話しているとママ友界は過酷なようだ。
顔馴染みのママ友とは、ウマが合わなくても下手したら幼稚園~小中学校と、10年近く顔を会わせなくてはならんだろうし、気に入らねーからってすぐ切るわけにもいかんだろうしな(本作のアン・ハサウェイは金持ちだから幾らでも解決できる気がしなくもないが
特に好きでも嫌いでもないアン・ハサウェイだが本作の彼女は魅力的だった
本心ではネガティブな事を思っている時も、ポジティブな社長らしい態度でやり過ごす様がアンヴィバレントな魅力を放っていてセクシーだった。
彼女は社長という立場上、上手くいってない相手などにも完全な作り笑顔でやり過ごす。当然、デニーロ氏と信頼し合ってからの心からの笑顔の方が魅力的なのは間違いないが、僕は作り笑顔って結構好きだ。セクシー度で言えば全てに自由な人よりも、ある程度社会や人間関係に圧迫されていつつも、それに相対して拮抗している人の方がセクシーだ。
ファッションに全く興味ないどころか、もう五年以上、服買ってないような自分だが、本作のアン・ハサウェイのファッションは好きだった。
自分のおしゃれ感覚は「おしゃれ=アニエスべー」という90年代で20年間、時が止まってるような人間なので、色数が少なく判りやすいカラーで、服に模様や境界線が少ない、という絵に描きやすい服ほどオシャレ。と思ってるような者なので、アンハサ女史の服装は凄く好みだった
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このブログでファッションの事なんて初めて書いた。もう二度と書くことはないだろう

 

勝手に解決する夫婦問題
アメリカ映画なので、後半に苦難が来てそれを乗り越えて終わらなければいけない
しかしデニーロ氏は完璧人間だし、アン・ハサウェイも多少メンタルが弱っているとはいえ完璧人間だし、デ・ニーロ氏とは早々に仲よくなるし何も問題なく見える。
だから問題は二人の中からではなく、会社のCEO問題とアンハサと夫の間の問題などがやってくる。それをデニーロ氏の助言を受けながら解決しようとするアンハサというのが終盤。
そして、CEO問題はいいとして、夫の問題は夫が勝手に反省して解決してしまう。
ここは、あまりにもあっさり解決し過ぎ。
ここまで観てると凄く面白いしアンハサに対しても「頑張れ~!」とか思いながら観てるので「よかった!勝手に解決してよかった‥」とか思って安心したが、観終わって何日か経つと、時と共にどんどん嘘くさく思えてきた。
この映画は男女ともに凄く気持ちいい要素で進んでいくので楽しいわけだが、この、問題の根源である夫が勝手に解決してしまうという、まるで癌になって困ってたら当の癌自身が「君の身体を癌にしちゃったボクだけど、癌はボクが直しておいたよ」という感じだ。
自分は男なのでよくわからないが、もし自分が女性でここを観たら「この映画、女性気持ちよくさせ映画ポルノかよ」とかなり醒める気がする。
始まった瞬間から終盤まで面白くて高得点で来てるのに、最後の展開で一気に醒めるというのは「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」の感想と似ていた。
別に本作の面白さが損なわれて嫌いになることはないが、この終盤がもっと良ければもっと良かったのにという気がしないでもない。
もしくは好意的に考えると、このCEO問題と夫との問題などの試練は
「社長アン・ハサウェイデニーロ氏をインターンに迎え、信頼し合う」という映画の本筋、主役の2人が順風満帆に進めているストーリーに、強引に波風を立て起伏を生んで話を終えるために強引に挿入した舞台装置‥オマケみたいなもんなんだろうとも考えられる。
だから主役の二人が信頼で結ばれ続けているだけで勝手に解決したのだ。
と、そう考える事もできる。

太極拳
彼女は二つの問題を同時に解決したことを報告しに来るがデニーロ氏は全て承知しているかのように「そりゃすごい。いま運動してるから一緒にしよう。話は後にしてくれ」と言って二人で運動(太極拳)する。凄くクールで、いい終わり方だと思った。
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この、二人が陰陽のように穏やかに調和して終わるのは、この映画にピッタリの終わり方だと思った(それを表現するために唐突に太極拳を出したのだろう)
個人的な好みで言うと、アンハサと夫との問題は一切解決せず、太極拳をしながらアンハサが「何とか彼と話してみるわ」とか言って、デニーロが「あなたのしたいようにしてください、応援しますよ」とか言って、問題を棚上げしたまま太極拳をする二人からカメラが上空に上がっていって街の全景をラストカットにして終わる方が好みかもしれない。
とにかく夫の問題が勝手に解決してしまうところ以外は凄く面白かった


そんな感じでした

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