gock221B

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『幽☆遊☆白書』(1990-1994) 全19巻/冨樫の天才ぶりから来る最高の面白さと、脆弱さから来る万倍のキモさ👻


著:冨樫義博 ※「冨樫」を「富樫」と間違って打ってたので書き直しました

 

 

都会の人ごみ肩がぶつかって一人ぼっちだが「幽遊白書の後半って、ちゃんと読んでないな」と思い、夜の加速度に背中押されたことも加わったので数十年ぶりに一気読みしました。 
感想は‥伊達にあの世は見てないぜという感じ?
一言で言うと、純粋な少年達が妖怪や堕ちた薄汚い人間を倒していって‥その敵の規模が少年ジャンプ的インフレによって巨大になっていき、終いには漫画の枠組みを超えて「少年ジャンプ漫画」という体制‥大きな仕組みそのものと喧嘩するという少年らしい反抗心満載の優れた少年漫画で今読んでも面白かった。
前半では好きな部分を褒めて、後半では嫌いなところを書いてます、しかも嫌いなところは「○○だから良くない」といった論理的な批判ではなく生理的に嫌いな部分の事を書いてるので「幽☆遊☆白書の全てが大好きで否定的な事は一切聞きたくない!」‥という人は赤い見出しから下は読まない方がいいかもしれない。
あとアニメは最初の方しか観てなかったしゲームもやってないので原作漫画の話だけさせていただく。

 


漫画うめえ!

冨樫義博といえば、バトル少年漫画の異常な上手さ。
特に、冨樫が自分のエゴを控えめにしてエンターテイメントに徹した時、その才能は面白さを数倍にまで‥いや冨樫風に言うなら万倍にまで拡大させ、トーナメントや裏の駆け引きなど全部面白い(しかも今なら数十巻に渡って描くような内容を数巻で‥時には一話にぎっしり詰め込んで描かれてるので短時間で多くのものを得られる面白さもある)。
その面白さにも関わらず冨樫漫画がさほど好きな方ではないのですが他の漫画家よりもその上手さを数倍‥いや万倍にしてそれが一万年続くほどの上手さには感服して認めざるを得ないものがあります。66兆2千億円払わなければならんかもしれん。
連載時、絵がラクガキみたいになってても面白いのでつい読んでしまい何だかくやしい気持ちになったりもした事も思い出しました。

 

 


霊体編~霊界探偵編。正直あまり面白くないが爽やか
第一話は冨樫っぽいヒューマニズムに溢れた話で爽やか。
ヤンキー高校生の浦飯幽助が学校や私生活で嫌われ者ヤンキーのパッとしない日を過ごしてたが、車に轢かれそうな子供を助けて事故死してしまう。
で、最初は「死んだからもういいや」って感じだったのだが、幽霊となって悲しむ母親や幼馴染ヒロイン蛍子やライバルの桑原や生活指導教師が悲しむ姿を見て生き返る試験を受ける決心をする。という人情話、丹念に描いてて面白かった。
冒頭のヤンキー生活を謳歌してる幽助「本当は根が良い奴」なんだが、それは読者だからわかるだけで作中の「他人から見ると只の乱暴ものの不良にしか見えないんだろうな」という感じが凄く出てて、そのフリが効いてるおかげで死んだ後の展開がグッと来た。
幽助がふざける時や照れ隠しする際に、デフォルメされた顔&二頭身になるノリが、完全に「湘南爆走族」などでお馴染みの吉田聡の古い漫画をパクったノリだなと思った。
このノリ「冨樫はきっと良い人なんだろうな」とは思うが寒いので好きじゃなかった。
という事は桑原は権田か?桑原の頬骨が頑なに出てたのも権田っぽさの名残りか?
それにしても第一話の桑原はとてもレギュラーキャラになる様な顔してない。
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小さい目に上向いた鼻と頬骨はずっと強調し続けてるので、ひょっとしてダウンタウン好きの冨樫は当時のほんこんをモデルにしたのかもしれん。ちなみに僕が一番好きなキャラは桑原かな。
ほんこんといえば冨樫は当時、強力なダウンタウン信者で本作にもその要素がしょっちゅう出てくるが、一巻で桑原に嫌がらせばかりする嫌な教師が出てくる。こいつが髪型といい出っ歯といい「さんまに似てるな‥」と思ってたら苗字が「明石」だった。
90年代ダウンタウン信者による、明石家さんま否定。わかりやすい。
桑原は後で次元を斬り裂くことの出来る唯一のキャラになるのもいいし、それなのにその次元刀はロクに使う機会がないのも何か逆にカッコいい。
桑原は後半から勉強に専念して進学校を目指す。幽助も最後に魔界の覇者にはならずラーメン屋になるし、こういった冨樫の地に足のついた思想は好きだ。
他にも、コエンマとかプーとか妙にファンシーなマスコットキャラがよく出てくるのは「ヤンキーはフワフワしたものが好き」という荒木飛呂彦の理論を思い出す。
車の中にUFOキャッチャーぬいぐるみをいっぱいぶら下げる様なものか。
幽遊白書は、戸愚呂兄弟が出始めた辺りから、漫画がどんどん面白くなるのと同時に漫画が面白くなっていくが、作者のエゴや言いたい事が気持ち悪いノリと共に増大していくが最初の数巻は絵柄も可愛いし人情シーンでも気持ち悪いノリがなかった。しかしその代わりあまり面白くない。バランスを取るのって難しいんだなと思った。
最初の数巻だけ、アシスタントらしき人の同人誌の宣伝(「幕張で待ってます!『調子に乗ってます号』発売!」)などが余ったスペースに書かれてた。冨樫は途中から一人で描いてたらしいので、すぐ辞めたんだろうに20年以上も前のよく知らない人の同人誌の宣伝が永遠に刻印されっぱなしというのを考えてみると味わい深い。この人は今何をしてるんだろう?
どこかのんびりした漫画だったが、左京が恥ずかしい単位の金額を口にしたり
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汚い大人の象徴、乗金の首が取れる辺りから漫画が加速していく。
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飛影は厨二病ではない。バトル漫画最高峰の必殺技、邪王炎殺黒龍
力を封印したが暴れだしそうになる片手‥それを封印する包帯‥埋め込まれた邪眼‥等々、中二病邪気眼の元祖とも言われる飛影。
だから今回読む時も内心「飛影の恥ずかしいところを見てやろう」という、「キャベツ畑」や「コウノトリ」を信じている可愛い女のコに無修正のポルノをつきつける時を想像する様な下卑た快感への期待を持って読んだのだが、意外にも飛影に対してそういった恥ずかしさは一切感じなかった。
何故なら厨二病患者のように何かに影響されて、こういうキャラを作ったわけではなく、ただただ本気でやってるだけだから。とわかった。
というか今となっては厨二というより小二的な純粋な少年のノリに思える。
むしろ昔のように「邪王炎殺拳最終奥義・邪王炎殺黒龍ってかっこいいな~」と素直に思えた。邪王炎殺黒龍は何度も書きたい言葉ですからね。邪王炎殺剣もいい。
飛影とは関係ないが、死々若丸の怨呼障縛壁爆吐髑触葬という技名も好きだ。
一見よくありそうな名前に思えるが自分でも作ってみようと思っても思いつかない。
邪王炎殺黒龍は、数えるほどしか繰り出してないことも(しかも出すたびに技の目的やテーマが違う)、邪王炎殺黒龍の見た目がただのスミベタなのも、飛び道具としてだけじゃなくパワーアップ用に使った方が強いところとか、使った後の冬眠とか、どこをどう取っても完璧な必殺技だ。
個人的には飛影というキャラ自体には、さほど興味はない。
蔵馬&飛影という人気キャラ二巨頭のどっちか選ぶとしたら知的な蔵馬の方が好きだ。
彼の魔界植物攻撃もいい‥しかし邪王炎殺黒龍の魅力には抗えない。
HUNTERxHUNTERでこれに匹敵するカッコいい名称は‥やはり幻影旅団か?
旅団が「シャカリキ☆ドールズ」みたいな名前だったら今ほどの人気は絶対に出ていないはず、だから名前は大事だ。
邪王炎殺黒龍という技の素晴らしさを強く訴えたかった。その素晴らしさに対しては、フキダシの中に手書きで書かれた文字で「ハッピーバースディ」と言いたい

 


トーナメントの教科書、暗黒武術会編
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暗黒武術会は、バトルものトーナメントの面白要素が全て凝縮されているといっても過言ではない(これに匹敵するトーナメントは、ドラゴンボールの天下一武闘会刃牙の東京ドーム地下闘技場最大トーナメントのみ)
幽助チームはかなり強いのだが決勝までは、敵チームや運営の奸計で上手い事フルメンバーやフルパワーでは戦えず毎回ハラハラしながら決勝まで読み進め、決勝ではそれまでの鬱憤を晴らすかのごとく(幻海以外の)フルメンバーが全員ガチのタイマンがあるのが燃える。しかも全員、修行や感情の発露や規制解除などの各人全て異なる理由でパワーアップされているのが上手い。
バトル漫画のこういったパワーアップには大抵「はいはい」と醒めるのだが幽遊白書のパワーアップは見せ方が上手くて全く腹が立たず、素直に応援できてマジで上手い。
思わずこめかみに人差し指を当てて「BANG」と言って挑発したくなる上手さだ
武術会場はギーガー風だし、男性器や女性器みたいなデザインがやたら増えていく
ヒロイン蛍子とぼたんと幽助のオカンと桑原の姉ちゃんがいつも観客としてブラブラしており、この幽助のオカンが深酒をしていたりヤクザの舎弟が大勢居たり会場の席取りのために底辺妖怪と言い合いして負かしたりするようなしょうもない場面を通して「ったく母ちゃんにはかなわね~な」というキモい雰囲気を出していて、それも楽しめる。
この「母ちゃんにはかなわね~な☆」というキモいノリは最後まで続く

 

 


戸愚呂弟(とぐろおとうと)
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この、キン肉マンバッファローマンに色んな意味で似てるボスキャラ戸愚呂弟。
彼は突然「100%中の100%!」などと訳の分からない事を言い出したり、最初「ブラック・レイン」の松田優作そっくりだったのにキャラが立つにつれてどんどん優作成分が抜けていったり、最終的には一万年分の苦しみを一万回繰り返す刑を受けたり(冨樫は一万とか万倍という単位が大好き)B級妖怪と決められたおかげで話が進めば進むほど微妙に見えるところなど。。噛んでも噛んでも味がする。
Wikipediaで戸愚呂弟を見ると「モデルはアーノルド・シュワルツェネッガー」と書いてあって「どう考えても筋肉以外はブラックレイン松田優作だろ!?」と憤った。
どっちだろう?泣きたくなる場所は。
そして、その魅力が前フリとなって、ここまで重要なキャラにも関わらずちゃんとした名前を与えられず「戸愚呂弟」としか呼ばれないのが物凄く可笑しい。
その戸愚呂弟という微笑みの爆弾を心に抱えている人は多く、今現在アラサーくらいの女性に「戸愚呂弟‥」と囁くと凄くウケる人がたまにいる(恋に‥落ちることもあるかも‥?)コツとしては、バーカウンターなどで彼女の目は見ずにボソッと言いたい
そして君も僕と同じ気持ちになってくれると嬉しい。。
そういえば友達の妹が幼い頃、戸愚呂弟が大好きだったらしくブラウン管に映る戸愚呂弟の横でピースしてる写真を撮ってたのが面白かった。
「とぐろおとうと」という名前を思い出すだけでフフッと楽しい気分になれる。
だから唇の裏側に隠してある微笑みの爆弾とは戸愚呂弟のことだとよくわかるね。
戸愚呂弟、ありがとう‥いや、冨樫風に言うなら戸愚呂弟‥サンキュな?
‥いや、ア・リ・ガ・ト・ウ・ゴ・ザ・イ~・ます!

 

 


仙水編ジョジョ四部っぽいスタンドバトル→超インフレバトルという流れが最高
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面白かった暗黒武術会のあと、仙水編に入ると、それまでの殴り合いとはうって代わって「領域(テリトリー)」というジョジョ四部以降のスタンド能力みたいな能力が出てきて、幽助たちはその能力者の人間たちと闘っていく。
「領域」は腕力に頼らない能力であるために、腕力や根性だけが強みの幽助や桑原や飛影は全く役に立たず、頭のいい蔵馬や仲間になった不細工なヤンキースタンド使い達が活躍するのも面白い。
それまでとは全く違う漫画みたいで面白いし、ラスボス仙水編では真っ当な殴り合いに戻るのも面白いし、そのラストガチバトルでは二転三転する展開の中で仙水と幽助と仲間達が色んな方法でどんどんパワーアップしながら生死を流転し、最終的には戦闘前とは比べ物にならないくらい強くなって気付いたら全員‥あれ?ここは?魔界にいる。。
という素晴らしさでバトル漫画の天才だと改めて思った
そして最後に戸川純ファンの樹が「俺達はもう飽きたんだ。お前らはまた別の敵をみつけ戦い続けるがいい」と言うのは冨樫の心の叫びだと後に本人が言っていたが、それは連載時に読んでてすぐ感じた(そして、ここが幽遊白書の面白さのピークで、少年ジャンプの一つの区切りかもしれない)
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その台詞が良いのか悪いかは別として、そんな本音がダイレクトに飛び出すことは稀だったので凄く印象に残った(今読んだら何とも思わなかったけど、少年時代の俺はこの台詞でビンビンになっていたし樹と仙水コンビが凄く好きだった)
当時、ここを読んでて満足し、そのせいか糸が~切れるように、この先読まなくなった

 

 


海藤はヤンキー?オタク?
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クソダサいデザインの屋敷で蔵馬と激闘を繰り広げるこの海藤というヤンキー。
この海藤というキャラはダセえ爆裂リーゼントなのに、銀縁メガネに一重まぶたにニキビ面という不細工フェイス、しかし頭脳は成績優秀で優れた文筆家でゲーマーという一体こいつは何クラスタなのかサッパリわからんキャラだった。
まあ、オタクの中身を持つヤンキーなんだろうけど、ヤンキーっぽいところはファッションだけというのも変わってるわ。。
ゲーム小僧とのクイズゲーム戦では「数万のクイズの問題と答えを全て暗記している」というのが「そんな必要ないし無理やろ!というか一万という単位好きだな!」と思わされる上に瞬殺されて面白かった
幽遊白書はヤンキーさとオタクっぽさが融合した漫画」という認識だが、この海藤はその認識を擬人化したようなキャラだなと思った
最終巻で、色んなどうでもいいキャラの恋愛模様を一話にまとめたキモい話では、八コマ漫画でオタク系彼女との一日を見せてくれて凄いキモかった(だけどこの八コマ自体は汎用性あるし上手い一品)
とにかく海藤というキャラの魅力を改めて訴えておきたい。
いま何回も「海藤」と書いたが、「かいどう→変換」では「海藤」という名前がすぐに出てこないので「うみふじ」と打って変換する事が多かったので「何で俺は、さっきから、いい歳して『うみふじ』とか打ってるん?」と思えてそれも可笑しかった
こいつは蔵馬(というか彼の成績や頭脳に)に執着していた。
幽遊白書といえば腐女子人気高かったが、海藤x蔵馬のBL本とかもあったのだろうか?
今となっては知るすべもない。そして別にどうでもいい

 

 


魔界編
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ここから先は、ほぼ初めて読んだ・
仙水編ラストで「冨樫はもう連載終えたいんだなぁ‥」と読者に伝わる描写力で描いた後、魔界編に入る(ちなみに当時の俺も、この仙水編ラストで「もういいや」と思ってしまい、この先は読まなかった)
仙水が幽助の誤った霊界探偵としての未来の姿だとしたら、望ましい幽助の未来の姿として初代霊界探偵・黒呼が登場して会話する(ちょっとしか登場しない彼女の夫と双子の子供もキャラが立ってるからキャラの立て方上手いなと思った)
そして魔界の拮抗する三大勢力に招かれた幽助、蔵馬、飛影は3陣営に別れる
桑原は勉強して進学校に進むからメインストーリーから離脱する。そうさせた理由はよくわからないが「喧嘩もいいけど俺は違う事したいから」という、物語から離脱した樹と似たような気持ちが込められているのかな?と推測した
ここでの魔界三国志的な展開では、戦闘は殆どなく各陣営の様子や駆け引き、三人の出世等を僅か数話で見せていって凄く面白い。
この魔界三国志的な展開は面白かったが、残念ながら終了が決定したためか?三国志展開は終わり、幽助が「トーナメントで魔界の王を決めようぜ☆」と言い出し、三国志展開は終了、そしてそのトーナメントも数話で終わる
三巨頭の中で唯一、冷酷非道だった黄泉も一瞬で子煩悩パパへとキャラ変してしまい魅力が無くなった
三国志展開が、この調子で最後まで続いていたら一番面白かったんだろうと思った。
蔵馬が、魔界の均衡を保つために、玄海の元で修行させてスカウトした酎を始めとする存在意義の少ない武術会メンバーもより存在意義が減少した
更には幽助の父・雷禅のケンカ仲間達が登場。
彼らは「魔界三巨頭と互角かそれ以上に強いが、野心もなくブラブラしていた」という非常に若者っぽい妄想から産まれたキャラ達。
そしてその中の煙鬼という凄く温和そうな普通のオジサンっぽいポッと出のキャラがトーナメントで優勝してしまう。
しかもトーナメントの経過は一切書かず、既に終わった後に桑原へ話しているという形で「幽助、蔵馬、飛影、三巨頭、武術会の仲間達、その他曰く有りげに登場した新キャラ達は戦闘描写なしで全員あっさり負けた。煙鬼というオッサンが優勝した」と、結果だけが語られる。
これは「まだまだ『俺たち』より強い奴らはいっぱいいる。だから慢心せず精進していこうぜ」というポジティブなものではなく、もう連載終えるし少年ジャンプのトーナメントシステムやそれを喜んで読んでる奴らに冷水ぶっかけてやろうという悪意を感じた。
しかし、樹の台詞を読んだ時に納得してしまったためか、不思議と嫌な気持ちはしなかった。
※追記:今、HUNTERxHUNTERでやってる暗黒大陸編は、この魔界編に似たものを感じて面白い(つまり冨樫三国志

 

 

 

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「弱い者いじめする奴ら」を討つ「純粋な俺たち」という構図の多さ
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仙水編の後日談、スナイパー能力の刃霧要は空き地で、虐待で殺されたウサギを見つけ虐待した者達を殺すことにする様子が描かれる。ここが特別悪いわけではない。
虐待は確かに許せない事だが、とにかく、この「弱者を虐待や拷問した悪い『奴ら』を純粋でキレイな『俺達』が仕置きする」という展開が多すぎる。
こういう復讐パターンは漫画の王道なのだが、嫌な感じを受ける。
冨樫の純粋さ、幼稚な偽悪者ぶり、極端から極端に走りたがる思想が浮き彫りになって、非常にウザい。そういう感じの展開やポエムがどんどん増えていく。
歴史の残虐な行為を知らせようというジャーナリズム精神でもなく、デビルマン美樹ちゃん虐殺や寄生獣の殺人鬼みたいなフィクションの強度を高めるものや、必殺仕事人やブラックエンジェルズみたいな復讐ポルノで楽しませようというサービス精神でもなく「自分が酷いニュースとか社会の裏面に見てなった嫌な気分をお前らにも味あわせたい」という八つ当たりの様なものを感じる(その証拠を出せと言われてもそんなもんない。ただそう感じるだけ)
そして戸愚呂弟、仙水、仙水の部下たち‥その他色んなキャラで、世界の暗部を目の当たりにした純粋なキャラが極端な暴力者に堕ち、キレイな幽助たちが討つ展開が多すぎる。
これも展開だけ見れば少年漫画の王道といえば王道なのだが、、何というかあまりにそればかり続くのでイライラしてくる。
ひょっとしたら、メチャメチャきびしい人達がふいに見せた優しさのせいだったりするんだろうね

 



最終巻の恋愛回や最終回や冨樫ポエムのキモさ
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魔界編が有耶無耶のうちに終わった後、漫画が始まった時みたいな霊界探偵話を数話やる。この数話は次回作となる「レベルE」に雰囲気が似ていて趣があってよかった。
その後、メインキャラだけならまだしも、今まで登場したどうでもいいキャラ達全員の心の機微を丹念に描いた恋愛模様を一話にまとめた話がある。
これはどのエピソードも凄く上手い、上手いがそれと同じくらいに凄まじくキモい。
中でも特に、ダウンタウンの番組に呼ばれた武術会の運営三人娘(人間界でアイドルをやっている)が「今、周りで気になる男子」の話をしていて、次のページをめくると、陣とか凍矢とかあと誰か忘れた武術会メンバーが揃って「へっくし☆」とクシャミをしているページが来る。
このページのキモさは筆舌に尽くしがたいのだが、なかなか文章では伝えきれない。
本当に、本当の意味で物凄くキモい。。(個人的に、この3ページがキモさのMAX)
しかし友達に「ここ!」と見せたが「へ?」という反応だった。俺だけ?
幽助のワルそうな父親も出てきて幽助オカンとデートをしている。「昔は愛ゆえによくお前にDVしてたよな」とか、ここしか出番ない癖にサラッと飲み込み難い台詞を吐く父は母に復縁を迫るが、母は「たまに会うからうまくいくのよ」と言い、だが「今夜は朝まで相手したげる♡」とか言う。
何となくの背景は伺えるが、繊細な心の機微と温度と湿度を、どうでもいいチョイ役達が醸しだすもんだから物凄くキモチ悪い。。
幽助のオカンは無職っぽいから、この元夫が送金してるんだろうなとか色々想像させる
それにしても母子家庭がやたらと出てきたり「母ちゃん姉ちゃん最高」描写が多いので、冨樫は母子家庭なのだろうか?
自分はタランティーノが好きだが、彼で唯一嫌いなところは、母子家庭で強めのママに育てられたタラ氏が母親への尊敬を凄い湿度と共に醸しだすところで(ジャッキー・ブラウンとかキルビル2ラストとか)、それは純粋な愛情なのはわかりつつも、めちゃくちゃキモい。あと青山真治サッドヴァケイション」ラストでもあった「あーあ。ったく、女にはかなわねーな」臭もキモかった
この「ったく、女にはかなわねーな」という意見に異論はないが、男らしい作風の作者が作品内で、ことさらに作品の本筋と無関係に、それを全開すると凄まじいキモさを発する。何というか、本当はそう思ってないのに必死で自分に言い聞かせている、そして金払って見ている俺の口に無理やりその自問自答を押し込んでくる、、という雰囲気を感じる
桑原も雪女が好きでプラトニックな愛情を見せるが、桑原のチョイ悪パパが本筋と関係なく雪女を養女にする展開も必要性がないし、よくわからない。どうでもいい桑原パパをキャラ立てて熱心に描いてるのも何だかよくわからない(この辺は冨樫のキャラ立ての才能が反作用を生んでると言えるかもしれない)
それにしてもメインキャラの、強めの母や姉、チョイ悪親父などの存在感が妙に気持ち悪い。ここに何か冨樫の何かの感情が乗っているのを感じる。
そして冨樫のキャラ立てが上手いせいか、1ページしか出てないキャラの、作品と関係ない背景とかがモワーっと出てる、それが気持ち悪いのかもしれない
最終回はメインキャラ全員で海に行き、サイレントで幽助と蛍子が波打ち際ではしゃぐ。。ここもキモいがメインキャラだし最後だからいいだろう
しかし、最終巻の最後に各イラストと共に描かれてるポエムがキモい。
あ、ポエムってさっきから言ってるけど、イラストの横に照れ隠しで添えた一言のことね
中途の巻に突如挟み込まれた冨樫の思い出っぽい、ヤンキーっぽい高校生男女が文化祭しながら「- こんな日がいつまでも続くとおもってた -」みたいなポエムが超キモい
割り切る事も見ぬふりもできず、ただ傷つき絶望していった(そしてその度強くなった)
ポエムの系統が、そういう青春系だけなら「冨樫って純粋なんだな」と思えなくもないが、冨樫は照れ屋なのか偽悪者なのか女子校生のイラストに「屋上と睡眠薬どっちがいいかな♡」みたいな露悪ポエムが付いてるのが本当にキモい。酷い時には露悪ポエムの後にカッコして(ケケケ)とか(ヒョヒョヒョ)とか(一同大爆笑)とか書いてある
本当なら全部書き出したいところだが、あまりにキモくて記憶から積極的に抹消してしまい思い出せない。愛と呼ぶほど強くなくても冨樫のポエムが痛い
この俺が嫌いな冨樫ファクター‥ホットロード的青春ポエムと偽悪&露悪厨二病ポエムの合わせ技、波状攻撃がどんどん腹に溜まってきて‥最終話の波打ち際で皆が笑顔でじゃれあってるところを読み終える頃にはかなり気分が悪くなった。
「冨樫は漫画上手すぎ」と思う一方で、あまり好きになれないのは冨樫がふいに見せた、そういう露悪だったりグロだったりする善悪二元論描写、湿度の高い青春恋愛描写、そして今述べた冨樫ポエムのせいだったりするんだろうね。どれか一つだけならまだしもこれらの組み合わせが本当に苦手。。きんもーー☆
ここまで書いて思ったが、そういう痛かったり繊細過ぎる部分が、かつての若かりし自分の中の痛さを思い起こさせるから「キモい」と感じるのかもしれない。いやきっとそうだ
うまく説明できない。もうとにかくそういうところがキモい。
あまりそういうキモさを指摘する人は見かけなくて「後半のハートウォーミング展開好きだ」と言う人の方が多いので、おかしいのは僕の方かもしれない。論理的に批判したいわけではなく、凄く個人的で生理的な嫌悪だし。。
だから、あまり強く主張するつもりもない。。←2つ丸を付けてちょっぴりオトナさ‥

 

 


👻とりあえず、そういう感じでした。
好きなキャラは‥やっぱ桑原かな、あとメインキャラなのに何にも無い空洞、という意味で、ぼたんも好き。
凄い才能と確実に面白いということを再確認しつつも、個人的に感じる万倍のキモさによってその面白さも相殺されてしまい、好きか嫌いかで言うとあまり好きにはなれなかった。
好きじゃないけど凄く面白いのは間違いない(好き嫌いと客観的評価は別)何だかんだ言って何十年も忘れずにたまに読ませてしかも色あせないわけですからね。。
幽助のオカンの、元DV夫との付き合い方、ああいう距離感かもしれん。
幽遊白書って昔読んでたなぁ、凄く面白い時もあったけど納得いかないところや凄いキモいとこがあったな~」と思い出し、また忘れる感じ。それはもう今は連絡先も知らない過去の恋人や友人を思い出す感触に似ている。凄く楽しかったけど、若かったからダサい失敗ばっかした事も同時に思い出して‥あちゃ~///という恥ずかしくなる気持ち、という結論をここに記させていただく。
同時にアンバランスなkissを交わして恋に近づく心構えもある事も記しておく

 

 


そんな感じでした

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