gock221B

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「へうげもの 第20、21巻(2015)」山田芳裕/亜空の瘴気ハラ・タイラー。柳生を打倒せしめる織部のへうげ殺法

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「そろそろ完結したかな?」と思って読んだがまだだった。
歴史に疎い上に、数年に一回しか読まないので、メインキャラやサブキャラはともかく、それらの肉親キャラとか大昔に出たキャラは正直「こいつ誰だっけ?」とよくわからないが、まあ織部と織部の身内と家康がわかってれば話は追えるので知らん奴は知らんまま構わず読んだ。
それにしてもどのコマも空気遠近法などないかのように視界全てに焦点があってるかのように線が全てクッキリで、話やキャラの演技も濃いので一冊読んだらグッタリ疲れる。完結したら通して読んでみようと思ったが全巻一気読みしたらかなり疲れそうだ。
しかし。。織部がジジイになって以降の徳川編、、、めちゃくちゃ長くない?
信長とか秀吉時代はもっとサクサク進んでた気がするのだが。。
もう終わりかな、と思ってからも長年も何年も続いてるぞ。
別につまらないわけではないが、こんな事なら最初の方の展開ももっとゆっくりでもよかったのでは

第20巻
以前にも増してどんどん余裕が無くなり排他的になっていって豊臣潰しへ向かう徳川家康。そんな家康にどんどん呆れていく古田織部。殺されたり日本から追放されたりして物語から退場していくキャラクター達‥という感じ

亜空の瘴気はらたいら
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大久保長安が暗殺される。
長安は今際の際に、誰が天下を取るかを幻視する。
それは、彼の大橋巨泉喋りに合わせてクイズダービーの形で描写される。
こんなもんアラフォー以上じゃないとわからねーだろう。
それだけならともかく回答席に座っている家康達に混じって、故・はらたいらが出てくるのがウケました。最もウォーズマンに似ている人間はらたいら氏が。。

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実際のところ、長安が頭に浮かべたのは倍率だけなんだろう。作者から読者に向けてのギャグとしてクイズダービーはらたいらが描かれてるだけだ。
漫画のルール通り読むとそういう事だ。
しかし「戦国時代の長安が遥か未来の人類はらたいらクイズダービーのセットを何故知っている?」と「長安は漫画的表現じゃなく本当にこの幻視を見てる」と思ってこのページを真正面から捉えると何だか別の意味で面白い。
アラン・ムーアの傑作「フロム・ヘル」のウィリアム・ガル医師が遥か未来である現代のロンドンを幻視したのを彷彿とさせる。そう考えると山田先生が長安大橋巨泉の口調で喋らせてるんじゃなくて「長安の魂が未来の昭和世界の大橋巨泉に転生したのでは?」などと思ってみるのも楽しい。
そして、このはらたいらは幻視の中の人物なのでクイズに集中しているだけだが「このはらたいらに自意識がある」という前提で考えると、はらたいらは横に座ってる家康や茶々の事をどう思ってるんだろう等と考えるのも楽しい。
更に倍率を見ると、何とはらたいらの天下獲り率が徳川家康と同点なのがめちゃくちゃ可笑しい。この幻視が実現する前提で考えると「はらたいらが昭和の未来世界からタイムスリップして来て天下統一する可能性が、ゼロではない」という事になり、そう考えるとあまりにクセが強い。
だが長安の希望的幻視は当てが外れ、一族郎党皆殺し&長安も墓が暴かれて晒し首&張り付けという悲惨な結果になる。結構、陰惨だったので楽しいクイズダービー幻視はちょうどよかったのかもしれない。

 


第21巻
大坂冬の陣に突入してしまう。徳川(野暮)vs.豊臣(かぶき)の闘いだ。
織部も自分が仕えている家康に対して決定的にNOを表明し、もはや動きだしたら止める事の出来ない巨大な歯車が動き出してしまった感じ。
大勢としては当然、徳川vs.豊臣なのだが、この漫画的には主人公・織部vs.徳川家康という闘いが繰り広げられていく。数奇vs.一切の遊び心を許さない武。

徳川秀忠
最初は家康に似て頑固で排他的だった徳川秀忠だが織部に感化されたり色々あったせいか遂に家康を心の底で見限る。家康に向ける軽蔑の視線がめちゃくちゃカッコいい
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デザイン的にギャグすれすれなまでに死ぬほど太い眉毛というのが逆にカッコいい。只のイケメンだったらここまでカッコよくない。イケメンだがマユゲだけはスーパー太いというところからギャップが生まれて妙なカッコよさが出ている。こいつと家康の関係はどうなっていくんだろうか

 

織部、へうげ殺法で柳生を打ち負かす
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家康の命を受けた柳生宗徳は、織部の命を狙う。
最初は剣。おそらくタイマンで闘ったら作中最も強いと思われる柳生宗徳だが、自分より強くないはずの織部の勃起&王貞治一本足打法を見て笑ってしまう。意を斬られた格好となり膝から崩れ落ちる宗徳
二回目、剣での闘いに敗れた宗徳は剣士としてのプライドを一旦捨て、遠くから織部を狙撃させる。しかし織部は陣地で茶をたてるために兜を脱いでおり(兜に茶器が付いてるから)そのせいで日光が織部の禿げ頭に反射し、スナイパーの目が眩み再び暗殺失敗。
武力では遥かに強いはずの宗徳は、織部の数寄心に二度も敗れ、彼の数寄パワーへ完敗した事を自覚する。
家康的な真面目さが二度も敗北したかたち。宗徳は家康のミニマム版なので家康が二度負けたと受け取ってもいいだろう。
別にこの場面に限らず、家康編はずっとこの、数寄vs.ゆとりのない家康‥的な展開をやっているのだが、この織部vs.柳生宗徳を見てると
山田芳裕の、かなり初期の「やぁ!(1991)」という漫画を思い出した。
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これは異常にクソ真面目なサラリーマン(主人公)と自意識をこじらせたOLが、ひょうひょうとしたサラリーマンに感化され救われるという漫画。
主人公は正に家康的な狂気を伴ったクソ真面目な奴で、不真面目サラリーマンと仕事やスポーツや会社の行事で何度も倒そうとするが、力の抜けた不真面目サラリーマンによって正に織部vs.柳生宗徳の様に意を殺されて何度も何度も敗れ去る。描写も内容も凄く似ていた。
この「緊張vs.緩和」というのはこの作者のテーマの一つなんだろうなと思い、読んでて不思議な感動に包まれた。

というか連載が本当に長いな。。早くラストが読みたい。
数寄によって家康に凄いショックを与えつつ死んでいくのだろうか。
とにかくラストは絶対面白くて感動できる気がする。早く終わって欲しい。

 
そんな感じでした

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