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gock221B

映画その他の感想用ブログ(2015年開設) http://gock.flavors.me/

「野火 (2015)」塚本晋也/悲惨な状況も行き過ぎると可笑しくなってくる。生者と死者の中間の存在になりたくね~

(戦争) 〈邦画〉 【映画】

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監督:塚本晋也 上映時間:87分

これは年に何本かある、観たいか観たくないかに関わらず観ねーといけない映画だが、何だか気が滅入りそうだなと思って観るのが遅れた。
だが実際のところ、確かに悲惨な状況だが悲惨過ぎてアッパーな領域に入っており、また塚本晋也なので映像もカッコいいのでアッパーさを感じてしまい気は滅入らなかった。
塚本晋也映画は、熱心なファンじゃないけど観たり視なかったり‥地味に「六月の蛇」というエロい映画が好きだったな。この監督の映画は映像がカッコよくて、何だかクローネンバーグっぽいフェティッシュなエロさを感じるな。塚本晋也本人も何だかエロそうだし

第二次世界大戦末期の敗北寸前の日本軍。
フィリピンのレイテ島に送られている兵士が主人公(塚本晋也)。
殺しとか戦争とか明らかに苦手そうで、ものを書くのが好きなそうなので感情移入も容易。
彼は結核を患っており、部隊と野戦病院たらいまわしにされる。
その間、芋とか塩をGETするが何だかんだ上官に取られたり、すぐ泣く若い兵士を見過ごせなくてあげてしまったりする。
「貴重な芋や塩を、見返り無さそうな奴らに簡単にあげすぎだろ‥」と思った。
だけど、それが伏線になってたりするんだから世の中何が起こるかわかんないもんだね。
すぐ泣く若い兵士は自分を持っておらず他人に依存しがち。
で、どう見ても他人を利用して生きてる系のオッサン(リリー・フランキー)にいいように使われている。こいつはずる賢い奴だが演じてるのがリリー・フランキーなせいか、人間的魅力に溢れていて一緒に行動したくなる気持ちもわからんでもない。
主人公に感情移入して観ていると、何だかどいつもこいつもクズばっかという感じで、まあ確かに彼らはクズっぽい香りはするが極限状態なので多分、誰があの場に居ても大差ないような気がする。きっと自分も戦地に居たらレイプしたり人を喰ったりするのかもしれない(本当にやるとは思えないが、きっとそうするだろうと思う事が大事)
すぐ泣く若い奴はどっちかというと一番被害者の面が強い気がするが、後半に増長してたり狂奔したりする木の葉の様に翻弄されてる様を見ると、一番ムカッと来るのはこいつだった。やっぱ自分がない奴というのはムカつくな。
20歳くらいの時の自分がこんな感じで自分がなくて、エゴの強い奴に指示されたがってたから近親憎悪を抱いたのかもしれないな。
しかし普通の社会にいたら多分、いい子だったんだろうという気がする。
主人公はこの青年が成長した、自分は持っているが多少優柔不断なところがあるというキャラかな。
どうでもいいけど塚本晋也って昔から役者もたまにやってるけど、男前じゃないけど妙な色気があってカッコいいよな。友達に似てるし、どういう人物かは知らないが不思議な好感を抱いています

そんな感じで主人公はジャングルをうろつくが、行く先々で行動を共にしている兵士が片っ端から爆撃や銃撃で吹っ飛んで死んでしまい、孤独な放浪が続く。
戦場には食い物がない。
「ジャングルなら食い放題じゃないの?」と思ってたがどうやら動物性たんぱく質が必要な様子。暑さに助かる大事な塩もどうでもいい仲間にあげちまったし。。
ジャングルには死体が転がってるが、餓鬼やゾンビの様にうろついてたり、ただただ寝転んでたりウンコ座りしてこっちをじっと見ている死にかけ兵士の方が死体より怖い。
「生きてる奴」「死んだ奴」と、デジタルな感じで二種類の人間がいるだけじゃなくて「死にかけの奴」という中間のグレーな奴の方が多いというのが辛い。
世の中、何事もこの中間の中途半端で格好のつかないグレーゾーンのものが多いという事を忘れないようにするのが大事だな、といつも思う。
それにシンプルに戦争は嫌だな‥と思う。
そういえば俺は広島県呉市出身なので、8月になるたびに学校の体育館に集められて「はだしのゲン」とか訳のわからん反戦映画を見せられた。
確かに戦争反対という気持ちは芽生えたが、それらの映画はグロすぎて(原爆でドロドロに溶けたオバサンや子供がゾンビの様にうろつきまくって川に飛び込んで水飲んで苦しんで死ぬような映画ばっかり)確かに戦争の悲惨さを伝えるのは大事だが、それらの反戦映画や原爆資料館や教室に置いてあった原爆絵本は子供にはどれもグロすぎて「反戦とかいう以前にグロくて嫌すぎるから戦争や政治の事を考える事自体が嫌」と焼き付いて戦争は嫌だなとボンヤリ思うだけで、その先は思考停止して一切考えない子供だった。
だから子供に見せる戦争もの、グロすぎるのも考えもんだ。

話が逸れた。
とにかく煉獄の様なジャングルを行進していく中で悲惨な光景だけが続く。
しかし極限状態が続きすぎて、それが緩和するシーンがあったりすると‥たとえば顔の上を蛆が這ってる死体としか思えない奴を前にして主人公が「明日は我が身か‥」とか呟くと、死体と思ってた奴が「あぁ?」と返事したりする。
とにかくこの緊張→緩和というシーンがちょいちょいあって、それはコントやお笑い効果を生んで少しフフってなる。
主人公も自殺しようとするが、愛する美しい妻(中村優子)とのSEXを思い出してとどまったりする(そういう時に思い出すのは確かに異性の内腿の暖かさ)。
そうしてるとリリー・フランキーと自分がない青年の師弟コンビと再会する。
それでやはり悲惨な結末を迎える(ここで青年が舌を出すシーンこええ)
ネタバレしてしまうとラスト、主人公は何とか愛する妻の元に帰れている。
視点は主人公から妻へと変わる。
そこで妻が見る、夫が食事する前の動きがよくわからず、静かに狂ってる人を見る妻の網膜に入った気がしてなんだか怖かった。
よくわからなかったが、あれは食事する前に人を殺す動作をしないとものが食えなくなったって意味か?
ここで、邦画全体の9割以上のしょうもない邦画だったら「お、俺は‥実はあの時‥!」とか言って妻にすがって何があったかを号泣&絶叫しながら全部説明してくれるんだろう(それを聞く妻も涙ぐんでうんうん頷くクソカットが挿入される)。
そんな悲惨な描写にならなくてよかった。
やっぱパワーのある映画で面白かったです。
グロいがカッコいいフィルターかかった映像がカッコいいせいか、あまり陰惨な気分にはならなかった。
デジカメで撮ったそのままが一番悲惨な気がするが、あんまり悲惨過ぎたら観たくなくなるからちょうど良かったんじゃないだろうか
戦場なんか絶対行きたくねえ~。
永遠に女の子とオチのない話をしながらビールとか飲んでいたいわ‥永遠に
永遠の0」とかじゃなくてこっちをTVで放送すればいいのにね。脳みそとか腕の断面とかのとこだけカットすればいけるいける

そんな感じでした

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