gock221B

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「バイオショック インフィニット(2013)」主人公=プレイヤーに毒を盛って断罪するスチームパンクFPSゲーム

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開発元: Irrational Games パブリッシャー: 2K Games

Steam版をXBOX360コントローラーでプレイ。
セールで購入してFPSデビューした。結論からいうと面白すぎて10時間くらいで一気にクリアして即2週目したくらい楽しかった。1、2作目も近々にやろう。
FPSというのは一人称視点の‥ズバリこういうやつ↓
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FPSは一大ジャンルだが操作覚えて慣れるのも面倒くさいし、他人と協力したり対戦したりするのものが多いので他人を殺すのも気を使うのもしたくない一人でやりたい自分は一切やらずに避けてたんだけど、これは一人用かつビジュアルがいいので気になっていた。
アメリカのゲームは10~40代の男性向けなので大体こういうもの↓が多いと思う。
マッチョなオッサン主人公、セクシーな女キャラ(または少女)、過剰な暴力、武器やゾンビやモンスター‥という感じのものが殆どで、自分もそういうのが好きな中年男性なので別に問題ないとはいえゲームのルックがどれも似ていて、舞台も廃墟とか工場とかジャングルとか下水道とかの無味乾燥な未来施設等が多い。しかも大抵夜とか曇天で暗く雨で濡れていたりする。
それらも別に嫌いではないのだが(特に思春期~20代までならそういうのが大好きだったから問題なかったのだが)そんな場所でマッチョを操作して敵を無慈悲に惨殺してばかりだと殺伐な気分になるし、ストーリー面でも中年ミーツ美女的なものや中年が少女を保護するようなストーリーも多く、そんな男性を気持ちよくさせるようなゲームをしてると人間、贅沢なもので「俺はいい歳して接待されてるようなゲームに対して いい気分になってアホだな‥」と恥ずかしくなり虚しくなる事が多々ある(中年以上になってゲームをプレイするには若い時にはなかった、このような虚しさとの闘いも加わる)

World
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それでいうとこのゲームは、確かに中年ミーツ少女物語で暴力でプレイヤーを気持ちよくさせるFPSだが、そんな男性プレイヤーであればあるほど毒が回る仕込みしてあるストーリーだし(後述)、なによりゲームの舞台が夜の工場とかではなく、めちゃくちゃ綺麗な昼間の都市というのが新鮮だった。
産業革命全盛期の1912年の美しい建物や街並み、だけど一部の科学だけが異常に発展しているスチームパンクっぽい世界観でどこ行ってもめちゃくちゃカッコいい。
しかしファシストに支配されているので「メトロポリス」とか「1984年」っぽい。
人々のファッションも全部ネオ・ヴィクトリアン風で、街に溢れている広告やキネトスコープや店の内装とかも凄く新鮮。美しいしゲームしてもつい立ち止まって街や内装をしげしげと眺めたり観光旅行してるかのように膨大にスクショしてしまう。
音楽も普通の暴力ゲームのような殺伐としたデジロック等ではなく、各所に置いてあるレコードプレイヤーやラジオから優雅で懐かしげな曲が流れる。
普段ゲームする時は音量絞って、音楽とかラジオを聴きがちだが本作は音楽が良いのでそのままやった。また戦闘シーンに近づくと音楽が大きくなって敵が全滅したら音も消えるので重要。
そんな感じでこの天空都市は本当に美しいのだが、実態は預言者カムストックの思想によって黒人やアイルランド人は凄い勢いで差別されている薄汚い都市だ。ちなみに国民の稼ぎの半分は支配者に取られるという、美しさと進んだ技術以外にいいところは何もないクソ都市だ。そういえばナチスも酷いけどデザインとかは異常に美しいよな。ファシズムは一方通行だから様式美が高まって美も高まるのだろうか?
このシリーズは今後、続編などでも現代には行かず、ずっとこの産業革命期から大戦前までを舞台にして欲しいと思った。
吹き替えも藤原啓治沢城みゆきは洋画風の控えめな演技で良かった。
あとテロリストの黒人女性フィッツロイ役の朴ロ美の演技は超カッコよかった
菅生隆之飛田展男の演技は、普段の吹き替えならどちらも大好きな声優だがこのゲームでは異常にクドく感じた。


Elizabeth
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ヒロインのエリザベスは主人公の傍らに常に居る魅力的なキャラでティア(並行世界への扉を開く超能力)やピッキングやアイテム拾いなどでサポートしてくれる。
表情もクルクルと変わるし、何もしてない待機中も街のものを勝手に見てたりベンチに座ったり歩き回ったりとずっと演技していて凄い。
ピクサーヒロインやディズニーヒロインっぽいヒロイン感。
特に海に行った時は勝手に市民と踊ったり海で石切りしたり一人で勝手に遊んでいてほのぼのした。
[GDC 2014]エリザベスの“動き萌え”はこうやって作られた。「BioShock Infinite」のAI制作を解説するプレゼンテーションの模様を紹介 - 4Gamer.net
トーリーに関わる台詞も突然画面がムービーになったりせず、プレイしてる画面のまんま「そういえば私‥」と自然にストーリーを促す演技を始める。
またはフィクションとしての動きが停滞するエレベーター内や乗り物の中でストーリー進行してくれるのが良かった。
ゲームぶった切られて突然ストーリー説明の長話されたらダルいから工夫してるんだな
それと次にどうなるのか、いつ襲われるかわからないゲームプレイ一周目で、殺し合いや乞食みたいなゴミ拾いばかりしてると、傍らに彼女が居て話しかけてくれたりお金を投げてくれると安心感があった。


GamePlay
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何しろ自分は手先が不器用な上にFPS自体初めてなので移動しながら正確にエイム(銃の標準を合わせる事)が出来ないという下手以前のレベル。
XBOXコントローラーでプレイしてるのだが、マウスでやればエイムは簡単だろう。
だけどファミコン世代の俺にはゲーム=コントローラーという固定観念は捨てられそうにないので、キーボードでプレイするのは拒否する。
あと、このゲームは敵がどの方向にいるのか教えてくれないので最初のうちは、どこにいるのかよくわからないし吹き替えで「内臓を抉り取って豚の餌にしてやる!」などと様々な罵声を口々に浴びせかけながら撃ちまくってくる敵に攻撃されまくって「え‥?え‥?」と狼狽えながらやっと敵を見つけて反撃しても標準を合わせられない‥という認知症老人シュミレーター状態に半泣きにさせられた。
キャラやデザインやストーリーが魅力的なので投げずにプレイしてるうちに少しづつコツが掴めた。ルックが普通の戦争ゲームとかだったら多分投げてる。
あまりに下手なので標準を合わせてヘッドショットしたりするのは諦めて、威力が高くて拡散するショットガンやRPGを中距離で狙いも適当にぶっ放したり、敵が出そうな広場に来たら安全地帯を確保してスナイパーライフルで遠くから丁寧に頭を撃ち抜いたりビガー(この世界の魔法みたいなもの)を駆使して敵を金縛りにしたりエリザベスのティアで機械人形を呼び出したりするなどエイムが下手でも敵を倒せる攻撃を工夫して凌いだ。また、そうやってプレイしていくうちに普通のエイムも上達していった。
このゲームは自分のようなFPS初心者に対して凄く親切な造りになっていて、ゲーム中に難易度を変えられたり、コンティニューすると死ぬ前に倒した敵は死んだままになっていてくれる(ということは数万人の軍勢が一人づつ送り込まれるのと同じ事だからヘタクソでも続けてれば誰でもいつかはクリアできる設計)。上達すれば難しい1999モードでやればいい。
それとドラクエみたいに敵の死体とかゴミ箱とか他人の家のタンスとかを常にあさって弾薬やライフを回復させる食い物を拾い続ける必要がある。
こういう昔のゲームっぽい要素は「ゲームしてるな」と思わせてくれて一週目は楽しいが、二週目以降は正直ずっとそんな乞食みたいに漁り続けなければいけないのは面倒だった。一度クリアしたらバットマン:アーカムシリーズみたいに、金やアイテムは全部引き継ぎでプレイだけさせてほしかった。
売りの一つであるスカイライン(人が直接掴まって移動するジェットコースターのような移動手段)は、はっきり言って自分の位置が把握しにくいし、どうしても乗らなきゃいけない時以外は乗ってもすぐに降りてしまってた(普通の地面を歩いてても位置関係がわからなくなる時があるのに上下左右前後をシャッフルされたら厳しいものがある)
本当はコレで縦横無尽に移動しながら戦闘させたかったんだろうが(それが実現していたら画期的だっただろう)妙に設置数も少ないし、この要素は失敗の香りがした。


Story
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1912年。主人公はブッカーというアラフォーの謎の男(CV‥声優はトニー・スタークでお馴染みの藤原啓治)が謎の依頼人に「娘を連れて来れば借金は帳消しだ」と言われて天空都市コロンビアに乗り込み、強大な権力で都市を支配する預言者カムストック(CV菅生隆之)が幽閉している不思議な力を持った少女エリザベスCV沢城みゆき)を奪還する物語。
この世界はリンカーンが暗殺された世界で黒人やアイルランド人がガンガンに差別されている。
各建物には白人用と黒人用の粗末なトイレがあったりする。
このゲームが出た時に「差別的だ!」というイチャモンがあったらしいが「こんな差別する世界や圧制者は嫌だよね~」と揶揄するために作ってるのに、その設定に差別的だ!と噛み付くってすげーアホらしいよね。そういう人は、そういう社会にいたら何の疑問も抱かずに差別とかしそう。
ブッカーもエリザベスも預言者カムストックも依頼者も全て謎の人物で、クリアしても全貌がうっすらわかる程度。二週目して色んな話を聞いていくうちに秘密の全貌が何となく見えてくる感じ。
トーリーも、全部説明せずにプレイヤーに体感してもらって台詞の端々や録音音声等から真相はどういう事なのか想像させる‥という塩梅が良かった。
一言でいうと主人公の中年男性ブッカーの過去への後悔からの贖罪、やり直しの物語だった。それはエリザベスや宿敵カムストック、そしてこの世界全体も主人公に影響される。
そういうテーマはこのゲームをプレイしてそうな中年男性プレイヤーに当てはまりやすい(人生を少しでもやり直したかったり後悔していない中年は一人もいないだろう)
そして、その真相は死ぬ度に生(ゲームプレイ)をやり直すアクションゲームをプレイする我々プレイヤーという構図自体ともかかっている。
最初に「中年男性が少女と知り合って守るゲームは接待されてるみたいで恥ずかしい」と書いたが、それで気持ちよくなればなってる者にほど、最終的に毒が回るようなストーリーだったので終わってからナルホドねと思った。
そんな皮肉なストーリーで宗教や差別問題を扱っているため、ストレートにカタルシスを得にくい。
たとえば黒人達を解放せんとする市民の英雄テロリスト、フィッツロイを手助けして革命に加わるイベントがある。
革命に成功するまではヒーロー然としたポジションの彼女だが、都市を制圧したらそこに住む幼い子達を、遺恨を残さないように皆殺しにしようとする。
ヒーロー然とした彼女もまた、圧制者の卵に過ぎなかったことがわかる。
そのように、この話には基本的にヒーローは存在しない。
途中で何個かあった分岐みたいなものに殆ど意味なかったり、ソングバードとの対決やボーイズ・オブ・サイレンスの正体のくだりがなかったのは、多分やりたかった多くの事が出来ずに端折ったからかもしれない。しかしまあ面白かったから別に文句はない。
しかしソングバードは正体を掘り下げたり最終決戦の前に対決させておけば本作を象徴するキャラになったと思うので惜しい気がした。
灯台の惨殺死体は誰なのかとか、謎も多い。

 

Kill
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そういえば主人公が異常に残酷なのでビックリした。
最初のアクションシーンは街の警官隊との戦闘なんだが「ああ、警官を殴ってしまい逃亡が始まる感じかな?」と思ってたら、主人公を捕まえようとしただけのオマワリの頭を突然叩き割って惨殺したり警官隊との戦闘でも首をブチブチッ!と引きちぎったり惨殺しまくるので「えっ‥?そんな感じ?笑」と驚いた。
こいつ無茶苦茶するやん!

相手が若い女性兵士だろうが何だろうがおかまいなしにオーバーキル(操作してるのは俺だが‥)。しかも敵の殆ど全員は特に悪人やモンスターというわけではない仕事でやらされてるだけの者たちだし(まぁ全員ブッ殺したけど‥)。
本作の前、不殺がモットーバットマンのゲームを何か月もはまってたから余計に驚いた
しかし、この主人公(とプレイヤー)の残虐性はストーリーに繋がっている。
主人公ブッカーはウンデッド・ニーの虐殺に参加してネイティブアメリカンを女子供もろとも虐殺しまくって頭の皮を剥いでいたという受け入れがたい過去がある。
ウンデット・ニーの虐殺 - Wikipedia
しかもヒーローのトラウマにありがちな嫌々やっていたとかいうのではなく「虐殺に快感を覚えていた」という設定がわざわざされている。
詳しくは語られないが、彼が具体的にどんな事をしてたか知れば誰しも彼を嫌いになるような事ばかりしてたのだろう。
また彼は従軍経験の後にピンカートン探偵社にいたらしい。探偵と言ってもホームズみたいなものでなく、体制側に立ってストなどを起こす労働者をボコボコにするのが仕事、という体制に使われるチンピラというかなり最悪な奴だった事も匂わされる。

ピンカートン探偵社 - Wikipedia

ゲームの最初と最後の惨殺描写では操作不能になるが、それは主人公の残虐性を表現しているらしい(キレてしまい理性=プレイヤーの意志が効かなくなった状態)。
こんなに残虐性と酷い過去を持ったヒーローポジション主人公は初めて見た。
スッキリしないから、もうちょっと主人公のトラウマはランボーレベルのものにしといて、ヒロインとも幸せになる単純なストーリーでいいじゃん」と一瞬思ったが、しかしスッキリさせない目的で創ってるっぽいからそういう批判しても仕方ない。
この主人公の残虐性は「初心者の時は死なない事だけに必死なだけだったがゲームに慣れたら殺戮自体を楽しむようになる」というアクションゲームプレイヤーのメタファーっぽいから、わざとそんな設定のキャラにしてるっぽい。FPS初心者の俺とかは正にそのまんま。
そんな感じで、アクションゲームやそれをするプレイヤーの残虐性や快楽を求める姿勢に問題提起してくる造りやストーリーは確かに面白かった。
しかしゲームはゲームプレイの部分が面白ければ後はどうでもいいとも思ってるので、別に「主人公が女性を救ってキスして幸せに暮らしました」みたいなスーパーマリオみたいな単純ストーリーだったとしても同じくらい称賛してたとは思うけどね。
つまり本作に90点付けたとして、それはゲームそのものに85点で素晴らしいストーリーは5点という採点だ。だからストーリーがクソしょうもないものだったとしても評価はさほど変わらない。逆に、この素晴らしいストーリーにクソつまらないアクションゲームが付いていたとしたら、それはただのクソゲーでしかない。
そういえば「君の名は。」の感想にも書いたが個人的に、こういう主人公の行動が世界全体に影響するセカイ系っぽいSF要素はあまり好きじゃないんだけど(世界全体の強度が脆く見えるから)面白かったしゲームの構造に結びついていたりプレイヤーに刃を向ける姿勢が気に入ったので良しとした。
解釈が分かれそうなストーリーだったが、これは主人公目線で見るとハッピーエンドだと思った(エリザベス目線だとバッドエンドかな)
ラストシーンは普通の父娘として暮らすエンドっぽいが、しかし劇中の全てを知ったフルパワーのエリザベスに幸せになって欲しいんだよね。まだやってないけどDLCの新ストーリーでは更なる苦痛を受けるっぽいし、何とか全てを知ったブッカーとエリザベスがパリで幸せに暮らせる方法はないものか
このゲームからは「神でさえやり直せるのだから、何度でもやり直して、たとえ明日世界が滅びるとしてもお前の人生を少しでもマシなものに修正しろ」というような感じの何かを受け取った。


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そういう感じで楽しかった。これ書いてたら3週目したくなった。
好きな武器はスナイパーライフル、好きなビガーはポゼッション(敵を同士討ちさせて自殺させるという悪魔のような魔法)でした。

※追記:その後バイオショック一作目やって本作のDLC1&2をプレイした。
本編同様、美術もゲーム性も演出も面白かった。やはり贖罪がテーマのようで罪を問われまくる。
それはいいのだがEP2で、エリザベス悪い奴にロシアンルーレットされたりレンチで何度も全力で殴られたり目から針刺されてロボトミーされかけたり「こんなに無茶苦茶されるほどエリザベスは悪い事してないだろ」とイラッとしました。ストーリーに文句があるわけじゃなく何か露悪的な、プレイヤーにかましてやろうみたいな雰囲気を感じた。普通にバンと撃たれるとかでいいだろう。何か執拗なんだよね


そんな感じでした

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BioShock: The Collection on Steam

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