gock221B

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『ハロウィン』(1978) ジョン・カーペンター/初めて観たけどクラシックだが堅い造り確かな味わいで楽しめた🎃

 

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原題:Halloween 監督&脚本&音楽:ジョン・カーペンター
制作国:アメリカ 上映時間:90分 シリーズ:「ハロウィン」シリーズ

 

 

 

ハロウィンは配偶者や恋人に自然な流れでコスプレさせやすいイベントだが残念ながら独身で彼女もいないので、ジョン・カーペンター大好きと言いつつ観てなかった本作を観るという撃ち行為。
結論から言うと、思ってた以上に楽しめた。
ちなみにロブ・ゾンビがリブートした「ハロウィン(2007)」と「ハロウィンII(2009)」は既に観てる。そして意外とそこそこ忠実に踏襲してたんだとわかった。

この映画は、長らく「最も稼いだインディペンデント映画」で現在のスプラッター的なホラー映画の源流になる最初の一本(ただし本作に残酷シーンは殆どない)という事で「文化的、歴史的、美学的に重要」としてアメリカ議会図書館アメリカ国立フィルム登録簿に登録されたらしい。
‥とかWikipedia丸写ししても仕方ないので前置きはここでやめとこう。
観る前に「38年前のエポックメイキングな一本で色んなホラーがパクった一本」という事を念頭に置いて当時の人はどう思ったんだろうと考えたり、逆に子供の時のような曇りなき眼で観た
30年以上前の未見映画とかを観る時の、自分を映画に寄せていく観方。
それ無しにいきなり現代人感覚で観て「『キャビン』とかと比べると古臭いなぁ」とか、そんなアホみたいな事を思いたくないからね。
最初に一応言っておくが、完全にネタバレしてます。

 

 


15年前のハロウィンの日、マイケル・マイヤーズ少年は実の姉を、イチャついていた恋人ごと刺殺して捕まる。
時が過ぎて現在、マイケルは収容されていた精神病院から脱走して、故郷ハドンフィールドに戻ってくる。
マイケルは街で目をつけた女子高生ローリージェイミー・リー・カーティス)を殺そうと付け狙い、その友人たちを殺し始める。そんな中、マイケルの担当医ルーミスも町に到着するが‥
‥という話。

カーペンター自ら作った有名なテーマが頻繁に流れる。
この曲が流れるだけで面白さが2割増しになるし本作の魅力の半分くらいはこの曲があるおかげだと思う。
家事をする時など、これを流せば日々が楽しくなる

ところで少年マイケルが恋人とSEXしていた姉を刺殺したのは何故だろう。
理由はよくわからない。FUCKしてた姉を穢らわしいと思ったのか?とか思ってたら、あっさりと回答が与えられる。
マイケルの担当医ルーミスが「彼は生まれながらの邪悪だ」と語るからね。
マイケル・マイヤーズはPure EvilでNatural Born Evil。
「家庭環境が~」とかではなくこれ以上の理由はない。
ただ単に純粋な悪を擬人化した存在。最初から突き詰められている。
「紙を火に近づけたら燃える。」みたいなもので「マイケルに女学生を見せたら殺す」それだけ。そのシンプルさは気持ちがいいので純粋悪キャラは好きだ。
殺人鬼マイケルに対して、どことなく清々しくて妙にキレイな印象を受けるのは彼が純粋悪であるためだろう。他の単純悪キャラはロブ・ゾンビ版マイケルとかクトゥルー神話の邪神とか、はたまた単純な悪魔とかもそう。
まあ、歯向かってくる警官や大人の男などはスルーして、無力な少年少女だけを闇討ちするので只の薄汚いキチガイ野郎である事は間違いないけどね。
僕が言っている気持ちよさは、映画のキャラクターとしての話で、もっと私欲で殺す卑劣な犯罪者キャラと比べて‥という話。
しかし本当に理由はないのだろうか?
彼はローリーの女友達を殺した後、昔自分が殺した姉の墓石を枕元に置く。

どう見ても彼女を姉に見立てている。
もしかして姉を愛していたのか、もう一度殺しの快感を経験したかったのか‥理由は語られないのでよくわからない。
だが姉殺しがマイケルの人格形成に強い影響を与えて、女学生殺しが彼のサガになってしまった事だけは伝わる。
だが最初から姉に執着していたのか、それとも純粋悪の彼がたまたま姉を殺した結果、姉に執着するようになったのかよくわからない。その塩梅が良い感じだ。
ちなみにロブ・ゾンビによるリメイク版は、シェリ・ムーン・ゾンビ演じる母親の方に執着していた。

 

 


ローリーの友人たちはハロウィンの夜、男子達とのデートを計画してはしゃいでいる。
彼氏のいない良い娘ローリーは、自分の弟や友人の妹の面倒を見て過ごすらしい。
帰郷してローリーに目をつけたマイケルは遠くからローリーや友人たちを監視する。
まず最初に車で横を通り過ぎるんだが、こ
の距離感が絶妙。照明や撮影の感じが絶妙で、彼の顔(マスク)がギリギリよく見えないのが凄く良い。
アップにして見ても「なんか白い顔?」としかわからない。実に不気味。
そして彼は昼も夜も、遠くからローリー達をじっと見ている。
Jホラーみたいに大体20mくらい遠くから見てる。すげー嫌な距離感。
気配を感じたローリーが見るとスッ‥と隠れる。
中でも特に洗濯物の中に立ってるカットは芸術的でカッコよすぎる。
イケメンすぎて笑える。
風になびく洗濯物がマントやマフラーっぽくはためいているのがヒーローじみて見えるせいか聖人のような「只者ではなさ」がある。
ローリーの弟もマイケルを見かけて「ブギーマンだ!」と騒ぐ。
ブギーマンというのはアメリカの都市伝説で「特にこれといった定義がない恐ろしい謎の存在」の事らしい。
ローリーは「( ‘_ゝ‘)変な奴を見かけるなぁ」と思いつつ気のせいだと思っている。
わからんでもない。僕も他の人も視界の端に何か変なものが見えた気がしても気のせいだと思って日々を過ごしている。
ハロウィンだから、ふざけた奴がマスク被って町を歩いててもおかしくないしね。
ローリー達の主観でマイケルを見てるばかりじゃなくて、マイケル目線でローリー達をじっとりとハアハア言いながら見てるデ・パルマっぽい変態ショットも多々ある。
‥いやこっちの方が先か?ヒッチコックとかにもあったかもしれないがヒッチコック一本も観てないから知らない。
こういったマイケルによるストーカー描写が描かれる前半は、Jホラーの幽霊じみててかなり面白い。
そういう描写もそうだが、本作にはホラー映画の定番の流れが数多く出てくる。
この映画が初出なのかどうかは、よくわからないが幾つかはきっと初出なのかな。
マイケルの担当医ルーミス医師も彼を探して街に来て探しているが、全くマイケルを見つけられず、結局そのまま最後まで町をウロウロしているだけ。
仕方ない。大人が介入したらパーティが終わってしまうからね。
ところで当時のファッションのせいか、全員骨格がデカいせいか、それとも女優が全員大人だったのかローリー達は全く女子高生に見えない。
最初3人とも30過ぎの主婦かと思ってたら学校で授業受けてるので学生だとわかった。
一度だけ友達と電話してる時に、あどけない笑顔を見せるカットがよかった。
何でもない場面だけど、こういう心からの笑顔が一個入ってる映画は良い映画だなと思う(最近のタランティーノ映画にもこういう自然な笑顔のカットが増えてきた)
ハロウィンの夜、ローリーの弟はTVでハワード・ホークス遊星よりの物体X(1951)」を観ている。

カーペンターは4年後、これのリメイク映画を撮るわけだが、この時すでに決まっていたのか、それともただ単に好きだからネタとして入れただけなのかよくわからない。
あと全然関係ないけどローリーの友達の尻が窓につっかえる変なシーンがある
本人があまり可愛くないのでときめかず謎のシーンと化しているが、ひょっとしてサービスシーンのつもりだったのか?

 

 


ハロウィンの夜。パーティが始まる。
ローリーの友達とその彼氏たちも次々と殺される。
彼氏が殺される時に横から見た画面ワンカットで戸棚をから出てきたマイケルに捕まるシーンはエクソシスト3」の巨大ハサミ男を思い出した。
この後も、アクションの起点は絶対カットが変わらない同じ画面で起きて、アクションが終わるまでワンカットだったりするので観てて気持ちよかった。
要所要所のカットも美しい。
マイケルは一見、普通の体格で非力そうだが、女子達のかれぴっぴを片手で持ち上げてナイフで壁に串刺しにできるんだから結構パワーがある。
それを不自然に思ったのかロブ・ゾンビ版でのマイケルは、ジェイソンみたいな巨漢キャラになっていた。
このオリジナルマイケルは何というか超自然的な存在にも見えるように描かれている。
頻繁にあるドアが自動的に開いたり閉まったりする様子は、どうみても念力で開けてるとしか説明がつかない。
実際にはホラー映画の都合で開いたり閉まってるだけで、深い理屈はないのだろうが、こういう映画の嘘によって、まるで超能力があるかのように思えるシーンは好きだ(たとえば映画の中のイーストウッドバットマンにはテレポート能力があるとしか思えないところとか)
それぞれ、今の目で観ると刺殺音SEがなかったりアップやスローやチャカチャカ編集を使ってないので「古臭い」と思われそうだが、僕はアップやスローや激しいカット割りがない、こういうワンカットの方が好きだね。
だって現実の人間の目にはこのように見えてるわけだし実際に刺されても殆ど音は聞こえないからね。その方が本当に起きた出来事のように思える。スローやチャカチャカ編集があった方が「新しい映画」に見えるというのは、それが流行ってるから「こういうのがイケてる映画」と思い込んでそういう気分にさえているからでしかない。
特にワンカットは臨場感が増すので重要(かといってヤケクソのように5分も10分もワンカットが続くと押し付けがましいドヤ感を感じて「はいはい上手いのはわかったから‥」という気分にもなる)
まあとにかく友達が殺されまくる。マイケルはどんどんノッてくる
昔、姉を殺した時の姉のボーイフレンドのようにシーツを被った幽霊の仮装したりして楽しそうだ。こうして見ると友達が欲しかっただけの気狂いにも見えてくるし、マイケル本人は姉を殺した時に人として死んでしまい今の彼は幽霊なのかも‥とも思えてくる

 

 


マイケル姉の墓が置かれた友達の死体を見つけたローリーは「はわわ‥」と後ずさりすると後ろのクローゼットがバーン!と開き(どうやって?)友達の彼氏がブラーン!更に恐れおののくとクローゼットが自動的に開き(どうやった?)ビッチ風の友達もバーン!と出てきてビビるローリー。
この流れるような死体ライドショーは鮮やかだった。
スラッシャー映画の定番、SEXした若者は殺されて処女っぽい真面目な子(ファイナルガール)が生き残って殺人鬼と闘う流れ。これも本作が原点なのかな?
何かさっきからこればっか言ってるが今頃これを遅れて観るなら、どうしてもそんな風に立体的に考えながら観てしまう。
話は戻るが、友達の死で怯えるローリーの背後の闇からマイケルの顔が浮かび上がる
この浮かび上がり加減も凄く絶妙。
しかしローリーもビビらされているばかりではない。
結構、やる時はやる女でマイケルに立ち向かって彼を何度も倒す。
ローリーが強いのか、いや女子高生に何度もやられるマイケルが弱いと言った方が正しいかもしれない。だけどマイケルはローリーの友達達に対しては凄いパワーを発揮していた。
という事は結果論的に考えると「IT」のペニーワイズみたいに「自分に立ち向かってくる者には弱いが、そうじゃない相手にだけ強い存在」なのかもしれない。
ローリーに何度かやられてもマイケルは何度も起き上がり繰り返し襲ってくる。
観てると「首の頸動脈を斬るとかとどめを刺しとけよ!」という、程よいイライラが起こる。これは当時のドライブインシアターで観てたティーンとかは盛り上がったんだろうなぁと想像した。
ローリーは、自分だけじゃなく弟や死んだ友達の妹を守りながら闘ってるので「エイリアン」のリプリーみたいに母性や聖なるオーラを纏い始める。
がんばれがんばれローリー!
完全に死んだと思われたマイケルだが、やはりムクッとジェイソン起きして復活。
いや、13金よりこっちの方が先だから、マイケル起きと呼んだ方が正しい。
マイケルと闘うローリーだが、妙にもたもたしながら丁度いい感じでマイケルが襲ってこれるように闘っている。
アイドルの楽曲には、ファンがヲタ芸や掛け声を入れられる隙間をわざと作ってあるのと同じで、本作もツッコませるためにわざと遊びを入れてるのかな。
当時のアメリカの劇場では「ローリー後ろ後ろ!」とか盛り上がったんだろうきっと。
ローリー大ピンチ!
2人がもみ合ってるとマイケルのマスクが取れて一瞬素顔が露出する。
マスクマンの素顔が露出した事によって、底が知れて悪役としての魅力がなくなった。
これは勝負あった。
次の瞬間、やっとルーミス医師が到着してマイケルを銃撃。
全弾撃ちこんでマイケルは窓から落下。パーティは終わった。
しかし映画的にはローリーがマスクを取ったところでローリーがマイケルに対して99%勝利している、ルーミス医師は残りの1%を埋めたに過ぎない。
ローリーは‥彼はブギーマンだったの?」とルーミスに訊く。
初対面なのに「えっあなた誰?」とかじゃなくて彼はブギーマンだったの?」と本質的な事を話すのが何だか可笑しい。
医師が窓から下を覗き込むとマイケルは消えていた。
全弾撃ち込まれた上に高所から落下した直後に移動できるんだから本当に超自然的な力を備えていたのか、それともこの世から消えてしまったのか、それはわからない。
「マイケルは町に溶け込んでいった。。彼はどこにでもいてどこにもいない‥これを観ている君の後ろにいるのかもな!」とでも言いたげなキメ顔を見せるルーベン医師。
ウロウロして来るのが遅かった癖においしいとこ持っていくな。
ここは長時間がんばったローリーにキメ顔で言って欲しかった。
ちなみに7本ある続編はカーペンターじゃないし興味ないので今後も観るつもりはないので‥ここで完結!ということにしておこう。
だから実はローリーはマイケルの妹って後付け設定が出てくるらしいが続編観る気ないので、自分の中ではあくまでも「マイケルがたまたま目をつけた女子高生」と思っておこう。

 

 

 

そんな感じでした

gock221b.hatenablog.com

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Halloween (1978) - IMDb

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