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gock221B

映画その他の感想用ブログ(2015年開設) http://gock.flavors.me/

「逃げるは恥だが役に立つ(2012-2017)」全9巻/面白かった。女性にとって結婚とはブラック企業なのか?

(恋愛) 仕事 【漫画】

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海野つなみ

今ドラマで物凄い大ヒットしてるやつ。
ドラマは観てないが、どんな話か気になるな~と思ったので一巻読んだら面白くて止められなくなり8巻まで一気に読んだ。噂では最終回が近いらしいから9巻か10巻で終わり?
現行のドラマを追い抜いてると思うので、今のドラマの先の展開を知りたくない人は読まない方がいい。
つまりネタバレあり

大学院を出たが就職難で派遣社員になるが派遣切りで無職になった女性・森山みくり25歳。
父の紹介で、家事代行サービスを利用していた父の元部下・津崎平匡36歳の家事を週一で請け負う。
両親が田舎暮らしを始めると言い出し現状維持したいみくりと津崎は利害が一致して契約結婚することになる。。

という話。
ドラマの評判を聞くと楽しい恋愛ドラマ!って印象みたいだが、原作は恋愛もだが仕事や社会、人生観などについて語られる割合が凄く多かった。
そして絵柄や描写は異常なまでに現実的かつドライな感じ。
この女性作者が描きがちなドライな漫画は、目的の標的まで突き進む矢のような機能美を感じさせて好きだ。
どことなく横山光輝の歴史漫画っぽいドライさを感じた。
背景は全部直線で余計な物は落ちてない感じ
恋愛描写は凄くドキドキするウェットな感じだが、恋愛要素以外は凄く乾いている。そのギャップに魅力に感じた。ずっと甘い感じだったら好きじゃなかったかも
また作者の、社会や恋愛に対する持論が熱く語られる。
普通だったらそういう作者の持論が連打されると「お前の意見はいいねん!」と、うるさく感じがちだが本作の場合「ナルホドねぇ」とか「そういうのもありかもねぇ」と素直に受け止める事ができて嫌味を感じなかった。

1~2巻。契約結婚
津崎氏とみくりは契約結婚して仮面夫婦としての生活がしばらく続く。
親族や同僚には契約結婚を悟られないように隠して生活している。
漫画自体がドライなので「へ~」と思いながら読み進めるが、しばらく読んでるうちに「よく考えるとみくり氏のこの提案は凄いぶっ飛んでるな!」と思い始める。
津崎氏が母親に「僕って子供を作りにくい体質らしい」と嘘をついて心配させるシーンも「その場しのぎで無茶苦茶言うやん!w」と思った。
読みながら、ちょくちょく我に返って「え‥ええっ!?こんな事ある?普通」と何度も思い出しビックリをさせられた。
しかし理屈としては合理的だしお互いの利害が一致してるので文句の付けようがない。
「真面目な津崎氏が、こんな契約に同意するかな~」と思わなくもないが、津崎氏はみくり氏に風邪の看病してもらった時にかなりドキドキしてたので、この時からもう好きだったんだろう。
ちなみに津崎氏は高齢童貞。みくりの美しい伯母さん百合ちゃん52歳は高齢処女だ。
こんな身近にバージンが二人も‥。
津崎氏は童貞っぽさ丸出しだからすぐに承服できるが、バブル期から外交的なキャリアウーマンでモテモテだった美人の百合ちゃんが処女って、こんな事ある‥?と思った。
勿論こういう人がいてもおかしくはない。しかし、これはフィクションなんだから高齢処女ならそれには作劇上の理由があるはずだ。
未婚ネタはよく出てくるが 高齢処女ネタは8巻まで読んでも「私は処女だ」と言うだけで必要性が感じられない。
想像だが、最初は処女ネタを披露しようとして、そういうキャラに設定したが、高齢処女ネタは高齢童貞ネタほど面白おかしい感じにならないから披露するのをやめたのではないだろうか?まあいい
要所要所でぶっ飛んだ設定やら無茶な展開が頻出するが、キャラの持論に説得力あるので「わ、わかった」と丸め込まれて読み進める感じ。
外部の人と会う二人の態度はビジネスライクすぎるのだが、津崎氏が変わり者なせいかバレずに仮面夫婦生活が進む。
契約結婚という珍しい生活で否応なく読み進めてて「なかなか面白いな。続きはまた読もう‥」と本を置こうとしてたら、津崎氏の後輩のイケメン風見君に仮面夫婦がばれて
「みくりさんをシェアしたい」と衝撃的な事を言うので読むのがやめられなくなった。
一体どうなってしまうん!?なんですぐ蛍死んでしまうん?

3~5巻。ハグの日?沼田さんサウナ
みくりは風見の所でも家事代行のバイトを始める。
しかし百合ちゃんにバレてしまい、百合ちゃんは夫の津崎氏説教しに来ると言う。
二人は、百合ちゃんにバレたら超やべーって事で、新婚のような特別な雰囲気を出すために月に二回、ハグする日を設けてハグする。これによって特別な雰囲気が出るだろうという計算だ。
みくりは友達では埋められない穴をスキンシップで埋めれば親密になれるかも」と言い、津崎氏はその言葉が頭から離れなくなる。
確かに遠回しで一見上品に聞こえるが、そのものズバリにも聞こえて一番エロい台詞。
津崎氏は初めて触れる女体に対して「女体、暖かい!」「女体、柔らかい!」「女体いい香りだ!」と、これらの事を繰り返し繰り返し思う。
これまでの共同生活では只の情報に過ぎなかった、みくり氏という個体がどんどん無視できない存在になっていく。凄くよくわかる。
この辺のみくり氏は津崎氏の壁を努めて取り払おうとする。
津崎氏はみくりちゃんを好きみたいだが、みくり氏はこの辺りで何をどう考えてハグしたがってたのかハッキリとわからなかった。
「相手としては結構いい物件ね」とか現実的に考えてたが、知らない間にみくり氏も津崎氏を好きになっていたようだ。
まあ、そもそも好感を持ってないと初めから一緒に住んだり夫婦にならないよな。
後から考えると、みくり氏は津崎氏と付き合おうとかなり早くから思っていたが、童貞で何もできない津崎氏に合わせて、また自分から告白して全てがご破算になったらヤバいからジワジワと距離を縮める方法を試していたように思える。
というか津崎氏は過去に一体何があったんや。。
そんな感じで凄くもどかしいハグ地獄が繰り返される。勃起
というか5巻は月に2回だけのはずの「ハグの日」が延々と繰り返されるので笑った。
毎日ハグの日やん!
ところで5巻のラストページは津崎氏の会社の先輩であるガチムチ系ゲイの沼田さんがサウナに入ると、二人のイケメンと目が合い「きゅん☆」と、ときめいて終わるんだが
いや‥何なん!このページ?!
続き読んでも何もないし!8巻まで読んでも何の伏線でもないし!
一回だけサウナの二人組っぽいイケメン二人が歩いて沼田さんが「相変わらず仲良い♡」と言ったような気がするが‥だから何なん!あいつらとお前のその感じ!説明してくれよ
異次元空間に通いこんだ気分になった。伝説のページになりうる訳わからんヒキだぞ
たぶん沼田さんのドラマを予定してたが「沼田はいいわ」とやめたのではないか?

6~7巻。ついに‥
「ハグの日」や津崎氏がふいにキスしたりが繰り返され二人は徐々に接近し、やがて結ばれる。
この辺はさすがに盛り上がる(ドラマは多分ここがサビで後はオリジナルの終わり方する感じか?)
津崎氏は消極的男子なので要所要所でみくり氏が挑発して、その度に津崎氏は燃え上がったり(勃起)逆に引いて心を閉ざしたりする(ノー勃起)。
みくり氏は様子を見ながら相当押したり引いたりしている。ご苦労様です。
津崎氏は男なのでエッチなことに興味がある、しかし童貞なので女性があまりに積極的だと「この女、性欲あるやん!こわっ」とビビってしまう。みくりはその匙加減を見極めて刺激しなければならず大変だ。
男とは何と面倒くさい生き物だろうか。。
近づいたり離れたりを繰り返した二人は抱き合って同じベッドで同衾する。
これ以上、接近するにはみくりの「友達では埋められない穴」を津崎氏が埋めるしかない
抱き合ってるうちに津崎氏の怒張した津崎氏が下腹部に押し当てられたみくりが
「お前が今勃起しとるように私は今濡れとるわけやからな?」という意味の事を言ったりしてかなり大胆。インサート不可避
ドライな描写で進んでいくので自然と読めるが、この中盤のくっついたり離れたりハグの日が延々と繰り返されてどんどん近づいていく様子は、何ヶ月も前戯を続けてるも同然で相当やらしい。‥やらし!
みくり氏の「女性の性欲」や心情もかなり生々しく描かれてると思った。
更にみくりのやり方だが、遠回しで上品なエロい言動で津崎氏を縛りスキンシップで距離を縮めていき、いよいよという局面でえげつない直球をズバーンと投げ込む感じ。これでは津崎氏はひとたまりもない。
童貞の津崎氏はかなり消極的な癖に女性からグイグイ来られるとすぐ引いたり寝たふりしたり終いには走って逃げたりするが、読んでる俺も似たようなもんで津崎氏が上手く勃起できず夜の街を走ってたのと似たノリで夜の町を走って速攻戻った事があるし俺には津崎氏を責める事はできない。
津崎氏の童貞さや勃起ばかりに触れてしまったが、津崎氏は繰り返し「話し合って相談して妥協点を探しましょう」と言うところが共感できたし凄くいいなと好感持ちました。
感情的なエモーションに支配されてるだけの奴とかキチガイと変わらないし意味不明で怖いだけだからな~

少し戻って6巻。結婚はブラック企業か?
結ばれた二人。みくりに気があった風見もさすがに諦める。
二人は晴れて両思いの恋人同士となってラブラブ期が続く。
「こうなったら契約結婚の意味はないだろう結婚しよ」と津崎氏が思い、その意志をみくり氏に伝えるのも自然なことだ。
みくり氏も津崎氏の事が好きなので結婚は嬉しいのだが、
「結婚、同棲という形はこれまで通り‥しかしこれまで貰えていた家事代行の給与は結婚したら貰えなくなる?給料貰えなくて残業代ゼロでモチベーション下がった状態で今まで通りの家事を永遠にやらなければいけない?結婚ってひょっとしてブラック企業?!」というジレンマに陥り、結婚を素直に喜べなくなる。
ここで「ああ、契約結婚という設定はラブコメのためだけじゃなく、このためにあったんだな!」とわかる。
面白いから流されるまま読んでたが間違いなくこの漫画の芯はこの部分だと思った。
次巻の作者あとがきを読むと、この展開は賛否両論だったという。
仕事漫画として読んでた人は「そうよねえ、有償だったものが無償に‥」と思い、恋愛漫画として読んでた人は「結婚しても金欲しいとか!この女どこまで欲張りなの!」と憤ったらしい。
読んでた僕は男なので津崎氏に感情移入して「好きあって結婚できるんだからそれはいいじゃん‥」と思いかけたが「いや、この漫画はそもそも、みくり氏が『働きたい!社会で自分の能力を振るいたい!』という漫画だった。決して『恋がしたい!結婚したい!』というのが先に来る漫画ではなかった」という事を思い出した。
ここを読んで、自分が結婚という常識に思考停止していた事を思い知らされた。
あくまでも東京でサバイブしたがってるうちに流れで津崎氏と恋に落ちただけだ。
それはそれで素晴らしい事だが、だからといって当初の目的が消えるわけではない。
いや別に当初の目的が消えてもそれは個人の自由だが、みくりはそうではないわけで。
では、この問題を二人で解決しなければいけない
自分が、みくり氏の立場だったら‥と想像したが、やはり自分も同じように思うかもしれない。そしてどうすればいいのかわからない。
そして世の中の主婦も同じように思いながらも家庭に入った人も多いのかも。
今までそんな事考えた事は一度もなかった。
考えた事のない領域を提示されて脳の使ってない部分が活性化され興奮した。
この部分が一番面白かった。
津崎氏も「僕は今までしてもらって当たり前だと思っていた‥」と自分を恥じる。
のんきに勃起ばかりしてもいられないということか。。
しかし当然みくりは津崎氏との結婚が嫌なわけではない。
折り合いがつかなくなったみくり氏は一ヶ月の別居を申し出る(家事やデートはする)


8巻。みくり修行編
別居中のみくりは出戻りの元ヤンの友達やっさんの八百屋を現物支給で手伝う。
そしてそこの寂れた商店街の青空市を企画して実行する展開。
ここでも、みくりは「友達だからって責任ある事をタダ働きしたくない!お断りします!」と強く言う
彼女のこの姿勢、好きだね
しかし何だかんだいって日給三千円で請け負う事になり、頑張る。
見てると、みくり氏は色んな面で有能に見えるのだが何故、就職難民&派遣切りにあってしまったのだろうか?
想像だけど彼女は自分の有能さを丸出しにしているから生意気だと思われたのかも。
別につまらないわけではないがこの展開がすげー長くて津崎氏は殆ど出てこない
同時に百合ちゃんと風見との触れ合いが描かれる。
そして津崎氏の回想がまだなのに風見の回想が始まる!
輝いているみくり氏を見た津崎氏もやりがいのある会社へと転職する。
そして、みくりも青空市への助力でコンサルタントの仕事に興味を持つ。
そんな流れで風見がポジティブモンスターに訳のわからん事を言われてヒキ(この漫画の単行本は変なヒキで終わるのが多いな)
一体どうなってしまうのか。。
このままだと、みくりがコンサルになって夫婦兼業という流れ?
いや、それじゃただの現実じゃん。そんなスンナリいかねーだろう
まだ何かあるのか?
正直、この8巻はヒキが弱く感じたが、きっとこの8巻の出来事が伏線となって再度盛り上がって終わると信じたい

そんな感じで思いのほか面白くて刺激を受けました。
この漫画読んで色々思ったが、最終的には「みんな楽しそうだな」と思った
俺もがんばろう( ´・ヮ・`)

※追記:後日、最終巻‥9巻が出てたので読んだ。
色々な事にケリがついたのでスッキリしたが、正直7巻くらいで話が終わってるような気がしなくもなかった。
9巻は色々なキャラ同士が付き合い始めて、お互いの気持ちや都合をすり合わせて契約を交わすような「キャラ同士の相談」が多かった。相談に次ぐ相談。
そういった「お互いの思いは相談して決めよう」というのがこの漫画で、良いところでもあると思うが、正直言ってそういった相談はコマとコマの間で行われるような事のような気がしてならなかった。
だが色んなキャラが幸せそうに終わったのですっきりしました

そんな感じでした

kc.kodansha.co.jp

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