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gock221B

映画その他の感想用ブログ(since 2015) http://gock.flavors.me/

「ハドソン川の奇跡(2016)」クリント・イーストウッド/本作もさらっと凄い映画だった。久々にイーストウッド的ヒーローキャラが出た

イーストウッド★ 実話 (ドラマ) 〈アメリカ〉 【映画】

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原題:SULLY 監督:クリントイーストウッド 制作国:アメリカ 上映時間:96分

2009年1月15日ニューヨークのラガーディア空港を離陸した直後に鳥が突っ込んできてエンジンが壊れてコントロールを失った旅客機を、パイロットのサリー氏が卓越した判断力と操縦技術でニューヨークのハドソン川に不時着させ全乗客155人を救って世界的な英雄として報じられた。
その奇跡の生還劇の真実、その裏側を扱った実話を元にした映画。

イーストウッドはその抑えられない本人の特性で、暴力の虚しさを訴えるために作ったはずなのにただただ異常に強すぎるイーストウッドが風邪引いて体調悪いのに、ラスボスと取り巻きを数秒で皆殺しにする異常な強さばかり頭に残る傑作「許されざる者」みたいに、監督主演作はほぼ全部ヒーロー映画になってたが、一生懸命死ぬ努力してやっと死んだ「グラントリノ」を最後に監督主演ヒーローものから強引に卒業した。
そしたらヒーロー路線とは別に、実話ベースの映画(これは「バード(1988)」くらいから地味にやってきたライン)が増えてきた。そのラインの最新作。
地味そうだなと思ったが、イーストウッドの実話ベース映画の中でもかなり好きな部類に入るものだった。
イーストウッド映画に多い、低予算短期間でささっと早撮りした休日の父親料理っつーかジャズセッション的というか‥そういう感じながら、何か大作よりもすげえものを描いてしまったタイプの映画。
凄いけど「イーストウッドこの一本!」という話題の時には名前出ないタイプの映画。
というか僕は正直言ってイーストウッド映画にはヒーロー性を求めてる部分の方が多いのでそうじゃない映画は傑作でもピンとこない事が多いが、本作は久々にヒーロー度がめっちゃ高くて満足度が高かった。
主人公はチェズレイ・“サリー”・サレンバーガー機長(トム・ハンクス)通称サリー。
そして副操縦士(アーロン・エッカート)。主人公の妻(ローラ・リニー)‥このローラ・リニーイーストウッド過去作だと「目撃」「ミスティック・リバー」とかにも出てた。名前のあるメイン登場人物はこの数人だけで、あとは乗客たちや事故調査委員会の人とかくらい。

前半
映画が始まっての前半、既にハドソン川への着水に成功した後。
事故直後の翌日とか数日しか経っていないっぽい。
副操縦士と共にNYのホテルに宿泊して連日、事故調査委員会からの事情聴取を受けている状態。寝てても墜落の夢を見て飛び起きてしまったりする。
TVではサリー機長を連日「英雄」だと褒め称えており歩いたりバーに入ったら「サリー機長じゃん!ヒーローやんけ!」と盛り上がられて戸惑うサリー機長。離れた実家の周囲も大勢のマスコミに囲まれて戸惑うサリーの妻。
事故当日、鳥の群れが2つのエンジンに突っ込んでエンジントラブル‥というか推進力が完全に無くなってしまい、管制塔からは「近くの2つの空港のどちらかに着陸せよ」って指示が出たが空港までは間に合わないと踏んだサリーは急遽ハドソン川に着水させて乗客155人、CA、パイロット二人‥全員無事だった。
しかし質疑応答をしている事故調査委員会は「サリーの決断は本当に正しかったのか?」と疑問を持ち、厳しい追及を行う。
要するに「あなた達は空港への着陸を選択せず、ハドソン川への危険な着水をして乗客たちを危険に晒した」と言いたいらしい。
更に「エンジンも壊れてなかったっぽい」とか言い出す。
この事故の事もよく知らんから、この時点ではサリー機長が本当に英雄なのか。それとも委員会が疑っているような「フライト」のデンゼル・ワシントンみたいに危険な機長なのかは判明していない。
‥と言いつつトム・ハンクス演じるこの機長は、英雄視されている事に喜んだりしないし、態度や受け答えが終始立派で英雄然としすぎているので次の中盤の回想を観なくても彼が本物のヒーローだというのは丸出しなのだが。。

中盤
中盤は、旅客機が空港を離陸したとこからハドソン川への着水までを細かく再現する。
この中盤は全部丸々回想。そしてやはり全てサリーが証言した通りだったね。
旅客機に鳥が突っ込んできてエンジンがぶっ壊れる。こんな事で壊れるって怖いな。
というか俺は人生で数回しか飛行機乗ったことなく、映画に飛行機出たら大抵墜落するから「飛行機=ほぼ落ちる」という認識になってしまったから飛行機怖い。
というか数少ない乗った時も隣の人に手を握ってもらわんとよう乗れんかった。
そんな事はどうでもいい。
サリーの話通りエンジンがぶっ壊れ、サリーと副操縦士は速やかにハドソン川着水へと備える。
CAのおばさん達は何が起きてるかわかってないが、とりあえず乗客に指示する。
乗客たちは皆怯えつつも指示に従う。。全員、ちゃんとして立派な様子が描かれる。
着水後、乗客を翼の上やボートに避難させて最後に脱出し、救護されても乗客155人の無事を確認するまで気が抜けないサリー。
「それはパイロットして当然」と言われたらそれはそうなのだが、それは置いといて立派な人物というのは疑いようがねえ
乗客が避難されても「誰か助かってねえ奴がいるんじゃないか?」と乗客を心配するサリーがアップになるが、仁王立ちで吹きすさぶ風に舞うネクタイがヒーローのマントにしか見えずカッコよすぎる

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今までネクタイに対して何も思うことないし邪魔だな~としか思ってなかったが初めてネクタイいいかもしれんと思った。
ちなみにエンジンがぶっ壊れたり飛行機が墜落する悪夢などのCGは、今までのイーストウッド映画同様プレイステーション感満載でショボい。
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この、映画自体は凄いのにCGだけは妙にショボいという様子を観ると、「この3年前のゲームみたいなCG‥イーストウッド映画を観てる気分になるな?」という気分になる。
前作「アメリカン・スナイパー」も映画は良いのにスナイプシーンはゲームみたいだった


後半。それからどったの
後半、サリーと副操縦士を疑う事故調査委員会に召喚されての聴聞会。
「本当に2つある空港に着陸できなかったかどうか?」をフライトシュミレーター的なやつでシュミレーションしたりしながらクライマックスに行く。
モノホンの飛行機事故シーンを中盤でしかも回想であっさり済ませて、クライマックスは静かな聴聞会やシュミレーターで済まし、それなのにクソ面白いんだから本当に凄いと思った。
それにしても事故調査委員会は何故サリーをあそこまで疑っていたのだろうか?
航空会社という巨大なシステムは「人」を信じる事を忘れていた、という事だったのだと解釈した。
事故や着水じゃなくて、事故調査委員会との対決を映画のメインにしている辺りが、本作の肝なんだろう。原題も「ハドソン川の奇跡」じゃなくて「SULLY」だしね
この最後の対決が一番面白いところだった。
それにしても昔のカンフー映画みたいにスッ‥と終わるので「終わり!?そんなナチュラルに終わり!?」という心のざわめきが半端なかった。
そしてざわめきが収まらない間に、本物のサリー夫婦や副操縦士や乗客たちが出て来るスタッフロールが流れ始めるので、思わず近くにいた猫に対して「こういう終わりかた!?」と問いかけてしまった。
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猫は当然、俺に何か告げるわけでもなく俺の瞳を見つめた。
俺と猫はお互い見つめ合った。俺と猫はお互いのことをよく知っていた。しかしその実、お互いのことを何一つ知らなかった。
とにかく頭からケツまでトム・ハンクス演じるサリー機長の震えてくるほどの立派な人ぶりが凄い。
全編、他人の心配だけしてて「あなたはスペシャルだ!」と賞賛されたら「全然違う。我々皆と乗客全員がベストな行動しただけだ」とわざわざ訂正してくる。もう、立派すぎるだろう。。あまりに立派過ぎて「サリーに比べて俺はつまらない男よ」などというしょうもない自己嫌悪も逆に浮かばず素直にサリーを賞賛したくなる凄さ。遺伝子を冷凍保存して未来へ残したい男だ。
そんで、この自分の能力の凄さを、酒のアテに冷蔵庫の残り物でササッと出してくれるかのようなサリーの凄さとイーストウッドの映画制作の感じがピタッとシンクロする。
本作の凄さを上手く書くのは難しい。君に伝わったどうかはわからない。
できれば俺と同じ気持ちになってほしいものだ

そんな感じでした

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機長、究極の決断 (静山社文庫)

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ハドソン川の奇跡

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