gock221B

映画その他の感想用ブログ(2015年開設) http://gock.flavors.me/

「山田孝之の東京都北区赤羽(2015)」全12話/ヤコペッティ+ツイン・ピークス+西部劇‥の縮小版

f:id:gock221B:20170116191751p:plain
監督: 山下敦弘松江哲明 原案:清野とおる 放映時間:31分

最近始まった「山田孝之カンヌ映画祭(2017)」が面白かったので、同じラインの前作にあたる 山下敦弘+松江哲明+山田孝之トリオによるこいつも2夜かけて一気観した。
「~カンヌ映画祭」は、カンヌ、邦画、映画制作などがテーマだが、本作は清野とおるの赤羽漫画でお馴染みの清野本人や名物住人達が総登場するモキュメンタリーという感じだった。
ちなみに漫画は最初のシリーズは読んでないけどウヒョの方は読んでる。

story
f:id:gock221B:20170116201511p:plain
2014年夏。俳優・山田孝之山下敦弘監督の時代劇映画の撮影中に「自身と配役との区別が付かなくなる」というスランプに陥ってしまう。
そんな時彼は漫画東京都北区赤羽と出会い、漫画の内容と生命力の強い実在の赤羽住人たちに感銘を受ける。
山田は山下監督を呼び出し「赤羽に行けば本当の自分に出会える気がするから俺は赤羽に住む。監督は赤羽での自分を撮影してほしい」と依頼。
山下はドキュメンタリー監督・松江哲明もスタッフに加え、三人は赤羽に向かった。


清野とおるの意外な圧の強さ
f:id:gock221B:20170116202923p:plain
赤羽にさっそく部屋を借りた山田。そして清野とおると対面。
清野はルックスやトークや雰囲気は線が細いがいざ喋りだすと不思議な圧がかなりあった。特に他人に食い下がって自分の意見を主張する時、赤羽の益になるものを見つけた時、自分が面白いと思ってる人や物事に他人を引き合わせる時‥などの時に妙に圧が強くて粘りっ気のある絡み方するなぁと思った。内なる自信を感じた。
他の住人はアドリブが多そうだが清野の言動や行動は全てフィクションだと思った。
清野は最後まで出て来るが、清野の役割は「迷える青年だったが赤羽で色々してて自分を取り戻した」という、いわば「山田の赤羽の先輩」ポジションで、2人が一緒にいると山田がぶれてしまうためか清野は要所要所でしか出てこない。


ジョージの説教
f:id:gock221B:20170116200615p:plain
赤羽に越してきた山田は2話で、清野の行きつけのナイトレストラン「マカロニ」に行き、集まった赤羽住人たちから山田の歓迎会を受ける
終始和やかで歓迎されていた山田だったが、最後に強面の謎のオッサン「ジョージさん」に絡まれて説教される。
「有名な俳優さんが自分探しで赤羽に住むって‥赤羽の俺らを舐めてないか?赤羽にさえ住めなくて消えていく奴らもいるんだ」
赤羽に住むことを挑戦』って言ってるのがおかしいんだ。住むっていうのは普通のことなんだよ、それを『挑戦する』って言ってるのが舐めてるんだ」
「どうせ飽きたら出ていくんだろう?(実際に最後には出ていく)」
要約するとそんな感じだった。
観てる時は好感度の高い山田に感情移入して観てるので「何だよジョージ、いいじゃねーかよ。山田君は迷ってるんだ」とか思って贔屓して観てたが、後から考えるとジョーの言うとおりかもしれないと思った。
ちょっと大袈裟に言うなら山田のしたい事は「王子が乞食を体験してみる」というノリに近いものがあるからだ。
ジョージ氏の説教がマジなのか台本なのかは最初は正直わからなかったが、説教されて困惑したいる山田は演技に見えた。
というか山田は素の状態が素に見えないタイプの人間に見えて、見てても本心がよくわからない。
しかしジョーの説教は、このドラマを見てて山田に対してボンヤリ思ってることだったし、視聴者達が山田に対して悪く思いかねない、このドラマのウィークポイントだと思うので、序盤の早い段階で処理したのかもしれない。
ジョーはこの後、大根仁に会いに行った山田に発破をかけたり、UFO凧揚げではしゃぐ山田と清野に「ふざけすぎだ」と再びキレる。
ちょうど山田が浮かれすぎてたりコンフューズしたりとヤバい感じになるとジョージが出てきて叱る構図。
ジョージの怒りは、一回目は本当に絡んでるのかと思ったが、全部観ると殆ど松江監督による演出だなと思った。
ジョージ氏は、現実逃避している山田に唯一「こんなとこで引っかかってねえでさ‥」と直接ツッコむ役割のキャラのようだ。
自分も同じことして注意されたことあるし、逆に俺に対してそういうものを求めてきた人に注意したことあるし。程度の大小の差こそあれ何となくわかるような気がした。
そんな感じでジョージ氏は思いのほか重要な役割の登場人物だった。

大根仁の懸念
f:id:gock221B:20170116221052p:plain
第7話。山田と山下は赤羽住人とヒーローものの自主短編映画を撮影。
それを山田とも清野とも顔見知りの演出家兼映画監督の大根仁に見せに行く。
大根はあまりにも稚拙なフィルムを観て絶句。
「これを真剣に、身内以外の人間に見せようとマジに撮ってる君らが俺はこわいよ‥」
「山田くん、赤羽に染まって頭おかしくなってんじゃんw‥山下君もおかしいよ」
「山田は今一番期待できる俳優なんだよ?俳優って影響されやすいんだからさぁ‥」
と、のめり込んでる山田以外の山下監督と清野を外に連れ出して注意する大根。
ここまで、6話以上費やした登場人物全員のボケに対して「まともな大人」役の大根監督による爽快なツッコミが入って非常に気持ちよかった。
というか短編映画のエピソードは、のめり込みやすいキャラ設定の山田はともかく撮影してる山下監督までもがキチガイになりすぎてた事に後から気付いて可笑しい。


綾野剛の友情
f:id:gock221B:20170116215554p:plain
第8話では山田の親友の有名俳優・綾野剛が来て、マネキン出窓の事務所に行ったり家飲みしたりする。
綾野剛の感想を要約すると「何か(世間に)見せちゃいけない山田が出てる気もするけど、すげえ楽しそう」「いいんじゃないの‥?今まで他人の念がこもったようなものは遠ざけてたけど今は逆だね」と、一定の距離を置いて暖かく見守っている。
綾野剛はいい奴だな。2人はいい友達だなと思った。
劇中の山田の自分探しは、僕が「第二の思春期」と呼んでいるアラサー時によくある状態なんだろうと思った。
自分や友達や知り合いも皆、アラサーくらいの時にこういう自分探し期があった。
他にも色んなゲストキャラが出てくるんだが(モデルをしてる山田の実の姉2人も出てくる)僕はこの大根監督と綾野剛の2人が一番面白かった。

赤羽を出る山田
f:id:gock221B:20170116224412p:plain
それまで芝居から遠ざかって赤羽に現実逃避していた山田だったが、UFO凧揚げの時にジョージに怒られた後日、山田は赤羽の小さな劇団を訪れる。
山田は児童劇団の古屋氏に協力を頼み、赤羽住民を役者で使って演劇「桃太郎」を作って披露する事にしたようだ。
山田演じるスランプの桃太郎が、赤羽住民演じる犬猿雉と知り合って村で遊んでいるうちに犬(ジョージ)に「人間のくせに動物の自分たちと遊んでばかりいる」と叱られ、桃太郎はさまよう。
そして清野演じる預言者に出会った桃太郎は鬼を退治にしに行き、鬼の正体を知る。。
自分を見失い赤羽に来て住民と触れ合っってるうちに癒され、再び芝居に向き合う姿勢に戻っていった様をそのまま劇にしたものだった。

結局どったの
f:id:gock221B:20170116235214p:plain
そんな感じで割とストレートなまるでアメリカ映画や西部劇のような、
「一度死んだ後、通過儀礼によって新しい自分を獲得して再生する」というストレートな物語だった。
何となく流れで全部観てしまったが、既に覚醒した後でマイペースに突き進み続けてる続編「~カンヌ映画祭」を観た今となっては、この第二の思春期状態で自分探しをしている山田孝之のキャラは好感度こそ高いが、少し物足りないものがあった。
赤羽探索も、清野がつけた轍に沿って歩んでるだけなので漫画「北区赤羽」を読めば済むしね。
というか正直言って清野が作品化した赤羽ワールドのようなものは本来、大人なら一人一人が個人で見つけるものだとも思う。そんで、清野が独力で漫画という形にパッケージングした北区赤羽を、山田&山下&松江で更にパッケージングして‥何だか生肉をラッピングしたもの(漫画版北区赤羽)を更にラップしてある、みたいな過剰な感じで、それを観てるとジョージに「俺たちで遊んで楽しいか?」と説教されそうな気分になってくる。
しかし誰にも思い当たるフシのある普遍的なストーリーだと言えなくもない。
山田は逡巡を抜けられたが抜けられない人もいるだろう。
広い意味では僕も人類も抜けられてないかもしれない。が、そんな風に宇宙単位の視点で物事を考え始めるとどこへも辿り着けないのでやめよう。
内容には色々思うところあるが、ドラマの造り自体は文句なく面白かった。

そんな感じでした

gock221b.hatenablog.com

gock221b.hatenablog.com

gock221b.hatenablog.com

gock221b.hatenablog.com

━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ 

www.tv-tokyo.co.jp


www.youtube.com

広告を非表示にする