gock221B

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「ラ・ラ・ランド(2016)」これは、良かったので観てたら脳内が老若男女の男女に分裂した

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原題:La La Land 監督:デイミアン・チャゼル 製作国:アメリカ 上映時間:128分

この監督はまだ「セッション」観てないからよく知らなかった。
さすがにライアン・ゴズリングエマ・ストーンは好きだが‥(今この二人を嫌いな人がもしいたらその人はおかしい)
そして本作は先日、アカデミー賞で史上最多の14ノミネートされたらしい。
アカデミー賞を総なめにするような映画は、たいてい社会的すぎる内容のものや時勢にあった映画がアカデミー賞会員というムラ社会の政治によって選ばれるせいか、観ても「良く出来てるな」とは思いつつそれほど面白くない上に感動しないもの多く、観て一年もしたらすっかり記憶から忘れてしまうものが多い。
更に「夢を追いかける若い男女二人の恋をミュージカルにしたもの」と言われても、ミュージカルあまり観てないし現在恋人いない中年が一人で観に行っても‥と躊躇していた。更にラ・ラ・ランドというタイトルがムカつく。死ぬがよい
だが実際、この映画は良かった。
これはもう、かなり多くの老若男女が楽しめる感じな気がする。

女優を夢見るエマ・ストーンと、クラシックなジャズクラブを開きたいピアニストのライアン・ゴズリングが出会って恋をして、やがてすれ違いが増えて‥という内容のミュージカルで、ストーリー的にはよくある話だがもうとにかくよかった。
観てる時の快感が凄い。
冒頭、渋滞してる車の人達が車から降りてワンカットで歌ったり踊りまくるミュージカルシーンから映画がスタートする、ここだけは正直映画に引き込もうとカマされてる感じがしてイマイチ乗れなかった(だけどラストシーンまで観て思い返すと、この映画自体の性格からして渋滞というネガティブ要素をポジティブに転化させて客に見せてたのかなと思ったから二回目以降観たらイラッとしないだろう)
それ以降のミュージカルシーンはずっとよかった。
その多くは、主役の二人が二人きりでいるデートシーンなどがひっそり‥とミュージカルになる。
ワーッ!って感じの大ミュージカル大会とか引いてしまうのでこんなもんでよかった。
最初は訝しげに疑いの目で本作を観てたが、エマ・ストーンがルームメイトの娘たちとパーティに行く女子会ミュージカルの気持ちよさは、観ていて脳内に
「 芸 
という言葉がネオンになって浮かんだ。
ポスターにもなってる主役二人が丘の上でタップシューズに履き替えて踊る様とか、あまりに可愛くて
エンターテイメント
という言葉が脳内に浮かんだ。
エンターテインしすぎだろ。。
僕は印象的な時に凄くベタな言葉が脳内に活字となって浮かぶことが多々ある(たとえば友人への友情が高まりすぎたパーティで酔っぱらいすぎた時に友人の頭上に「フレンドシップ」という立体的なローマ字が浮かんでいた事がある)

ゴズリングは、無表情でただ遠くを見てるだけで何か胸を打つ不思議なキョトン顔をしているが(何も起きてないうちから、何だか胸にポッカリ大きな穴が空いた男のように見える)その無表情はずっと一緒なんだが終わりの方に行くとその顔を見てるともう何だかたまらないものがあった。
エマ・ストーンは元々、表情豊かな女優だが本作でもかなり凄い顔していた。
もう「ガラスの仮面」的というか、大映ドラマ的というかゲイの人が好きそうな大昔の大女優風っていうか‥もうエマ・ストーンの顔じゅうが顔という感じ!
ゲームの3DCGキャラに喩えると、エマ・ストーンの顔のデータだけに、他のキャラクターの全身データを数人分ブチ込んだ感じ!エマ・ストーンの表情筋にはかなり多くのポリゴンで出来ていた。
顔芸が凄まじく、彼女が衝撃を受けたり心が傷ついた時なんて「ガシャーン!」と心が落としたガラス細工のように張り裂ける音がしてスクリーンにもヒビがいきそうな勢いだった。
嬉しい時も顔に出まくるし、誰が見ても明らかだし心に刺さるものがある。
サイレント映画をわざわざ作るならエマ・ストーンが最適だなと思った(台詞喋らなくても思ってることが全部顔だけで表現できる)

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鳴ってる音楽は詳しい事わかんないので飛ばすがいい感じ。
照明や背景や衣装のカラフルさもあまりに綺麗でうっとりする。
ここ数年流行った80年代的照明‥とまではいかないがやはりピンク&ブルーの照明が多かった。
そして「ここ気持ちいい場面だが、もう少しカメラがここで回り込めばな~」とか思ってると大抵の場合、その思った通りにカメラが動いて適切に気持ちいい構図で止まってくれる。
そんな事があまりにも何度も続くので観てるうちに「ひょっとしてこれは俺が観ている夢ではないだろうか‥」と思えてくるほどだった。
観に行く前に本作のネット記事かなんかで「有名人のコメント」みたいなのを読んでると誰かが「まるで夢を見ているよう‥」とか言ってて、そういう有名人コメントは毎回あるせいかイラッとして「バカかこいつ」と思ったが、そんな俺も実際観てると「夢を見ているよう‥」と思ってしまった。コメントの人にはこの場を借りて謝るしかない
だけどそれは綺麗だからではなく、あまりに気持ちいいカメラワークで更に動いて欲しい通りにだったからという事を念押しておく‥(別に押さなくてもいいが‥)
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展望台デートで二人が星空を舞い始めた日には、俺の脳内の少女やOLやオバハンやオカマちゃん‥要は自分の中の女性性たちが集合して「なんて素敵なのっ」と身を震わせて騒ぎ始めた。
そんな時、俺の中の男性性はゴズリングと同化し、彼のように前髪を垂らして腕組みして俺の脳内の他の女性性達が騒ぐさまを微笑んで見ていた。
何故こんなに心を大勢の男女に分裂させて観なければいけなかったのかというと一人で観てたからだろう。観終わった後に感想言う相手がいないから分裂したんだろう。まあ感想ブログもその一種か(そう書くと途端に自分の事が哀れな男に思えてくるな)

後半以降のことはさすがに書かないがまあ色々あって終わる。
前半あまりにも素敵なデートした展望台に後半やってきて現実的な相談するを場面では、すっかり普通の展望台として撮っており主役の二人も「昼間来ると、なんかアレだね‥笑」と言うシーン。これも最高だろう
最後どう終わるのかと思ってたが、ゴズリングの弾く曲によって二人の過去が流転し始め二人の業(のようなもの)が全て昇華され本当はこうあってほしかったというようなゴズリングの(もしくは二人の)想いが映像となって展開され、これはもう観ててヤバい感じなのだが二人が出会ったJ・K・シモンズの店での良くない出会いに戻る時は、さすがに久しぶりにうるっと来ました。。
そういえば出会う瞬間、確かに変なシーンだとは思ったんですよね。
本作のゴズリングはクールガイで最後まであまり多くを語らないキャラだったが、
「この一曲で、すべてをわからす」という演出は感動するしかない。
ここでは自分が男なためかゴズリングだけに感情移入して観てたので、心の中の少女やオバハンやオカマは出てこず、俺の脳内には一人でぽつんとピアノに座ったゴズリングが映画の中のピアノに座った自分のことを観ていた。
www.youtube.comだからかなり良かったですね。。
細かい文句‥文句ってほどじゃないんだけど、主人公の二人が険悪になってる時間が短すぎる。
楽しいのはいいが本作は楽しい場面が多くて、ギスギス期が短すぎた気がした。
上手く行ってないギスギス期がもっと長ければラストでもっと感動できた気がする。
というか二人の仲が悪い時でも、本作自体はテンポ良すぎて楽しいので、すれ違いが多くなってきたときからのギスギス期は、わざとテンポ悪くしたり少し退屈にして客を少し不快にさせた方が良かったかもしれない。
あと作中で何度かスマホからデフォルトで付いてるスマホの着信音が鳴ったり登場人物がスマホをスワイプする場面が何度かあったが、本作の雰囲気とスマホがあまりにも合ってないように思えて嫌だった。
まあそんな事は些細なことです。。凄く良かったです
この映画が似て映画はいっぱいあるが、自分はサム・ライミの「スパイダーマン2」を思わせられた。


そんな感じでした

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gaga.ne.jp

www.imdb.com

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