gock221B

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「DENKI GROOVE THE MOVIE ? -石野卓球とピエール瀧- (2015)」 大人の男だけ‥⚡

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監督:大根仁 製作国:日本 上映時間:115分

 

 

先月出た新作「TROPICAL LOVE」で17年ぶりに熱心に聴くようになったので本作も観た。
劇中の細かいトピックは一個一個拾うとキリないし、そもそも電気自体に関しては前回に散々書いたし。あとドキュメンタリーなので映画観れば面白い要素は一目瞭然なので、ざっとあらって映画が好き&電気ファンとしてのざっくり感想でも書くことにした。

過去の膨大な映像、そして音楽での関係者たち‥まりん、CMJK、ケラさん、WESTBAM、TASAKA、スチャの三人、小山田圭吾天久聖一、担当マネージャーとか山崎洋一郎などの音楽業界の人達、サカナクション山口‥などが電気について語っていく事で映画が推進していく。

まりんはアラフィフに見えないね
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本作は電気グルーヴが国内外の音楽業界とどう関わるか、彼らの音楽家としての成長は?という部分のみに焦点が当たっており、そこを一本の線として話が進む。
だから彼らのサブカル方面や芸能方面での活動は殆ど描かれない。ましてや彼らのの生い立ちや結婚や交友関係などの私生活は一切描かれない。
伊集院光などが出てこないのはこのせいだろう。
だがこの方がわかりやすくていいと思う。音楽活動だけに絞ったのは良かった。
だけど卓球について語る篠原ともえは見たかった。
牛尾憲輔のインタビューもないがそれは今現在、彼も電気の一員だからだろう。
あと電気の2人が自らについて喋るところも一切ない。
本人達が自分について語らないのは、きっと映画に客観性を持たせて映画としての強度を高めて後世に残したいがためかな。
ドキュメンタリー映画は大抵、前半はめちゃくちゃ面白いのだが、後半の「それからどした」部分がつまらなくて「これ前半だけ一時間のTV番組でいいよな」というものが多いが、これはフィクションを多く撮ってる大根監督がキッチリと劇映画として観れるように撮ってるので最後まで面白かった(大根氏は大の電気ファンでもあるらしい)。
といってもファンでも何でもない人が観てもはたして面白いのかどうかというのはよくわからない。きっとそこそこは面白い気がする。
全編、海外のドキュメンタリーっぽく外国人による英語のナレーションに字幕が付いている。
最初は「何で?」と思ったが日本人は字幕に慣れているし、ヨーロッパの卓球とか電気のファンが字幕を変更とかしなくても普通に観れるから丁度いい気がした。
映画はなかなか面白かった。なかなか面白い理由もわかった。
冒頭はフジロック2014、「コンニチワ電気グルーヴデス」といういつもの音声が流れてシルクハットの瀧が出てくるところから始まって‥

 


第一幕
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初公開だという大阪のファンダンゴでの初ライブ映像。
卓球のMCは、客の方を観ず下を見たまま早口で瀧にだけ話しかけて瀧は緊張してるのか「おう」とか「うん」としか言わないMCがキモかった。そして異常にエネルギー溢れたパフォーマンスなども良い意味で凄くキモい。初期の瀧はガリガリでキモい。
瀧とバナナマン日村さんは絶対に太ってないとダメだと思った。
デビュー前はパッと見、ラップユニットっぽい要素の方が多かった(パブリックエネミーっぽく首からブリンブリンめいたものをジャラジャラぶら下げていたり)。
卓球の活きが良すぎて怖い。

瀧は今観ると「カラテカ」とかオールナイトニッポン開始くらいまで、自我が固まってないね。終始「何してんだろ俺」って感じの、ぼーっとした顔してる。当時は自分より年上だったしわかんなかった。
ナゴムでの人生にも触れつつ、デビューして毒舌面白バンドを経て、卓球がレイブで覚醒して帰国して「VITAMIN」を作った辺りまでが第一幕。
しかしレコード会社は「せっかく面白バンドとしてウケてるのに曲の半分がインストなんてありえない。人気の曲『N.O.』を入れよ」と命じて卓球はしぶしぶ入れる。
VITAMINはヒット。卓球は「自分のやり方は間違ってなかった」、会社は「NOを入れたからなんとか売れた‥」と、思った事が食い違っているのが可笑しい(実際には両方か?)
電気グルーヴ担当のチーフマネージャーが「『N.O.』は『VITAMIN』に入れるには浮いてたし遅すぎた。かといってビタミンに入れなきゃ今後入れる時がない。本当は『カラテカ』に入れるべきだった」と言っていた。当時の僕もそう思った。
本作を観ててわかるのは、そんな風に卓球をよく理解しているマネージャーやサポートメンバーの人たちは殆ど全員、卓球がヘッドハンティングした者たちだという事がわかった。最初から現在まで電気だけが好き勝手に活動できたのはここから来てるんだな。「卓球は音楽だけじゃなくて要領がいい」とかよく聞くがナルホドと思った
ビタミンの方向性を推し進めた「DORAGON」は「虹」も入っているし好評。
しかし次の全曲歌入りに戻った「ORANGE」ではセールスも観客動員数も激減。更に所属事務所の消滅と移籍。
レコード会社やスタッフと揉めてた事が語られる。
何年か前のラジオで卓球は「オレンジの曲作り合宿は全然やる気なくて一ヶ月間ほとんど曲作らずに遊んでた」と言っていたし、アルバムの方向性を決められてたのかな。


第二幕
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「ORANGE」の失敗から起死回生の一発を狙った電気グルーヴはそれまでの最高傑作「A」をリリースして今までで一番売れた。そして大ヒットを飛ばしたシングル「シャングリラ」、そして卓球や電気がヨーロッパで世界的に活躍するという名実ともに頂点を迎えた様が描かれる。
この「A」と「シャングリラ」の全てが揃ったコンボで、もう会社からは何も言われなくなり好き放題できるようになった模様。
まりんが語る卓球とのシャングリラ作成中の話が面白くて、
「この曲ヤバイんじゃない‥?手がキラキラしてるよ(手汗で)」
と両の掌を見るジェスチャーをするが、まるで産まれてくるシャングリラを指して言ってるように見えてドラマチック
卓球がラブパレードで150万人を踊らせる凄い映像も観れる
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というか昔からDJの人の感覚を想像したりするが、DJは大勢の群体となった人間を「一つの巨大な生き物」として捉えてるのかな?と思ったりしていた。
DJにならないとわからないんだろうが、きっと素晴らしい感覚に違いない。
つぶさに読み取らないといけないので「DJにはサイコパスはいない」と思ってるがどうか
卓球や砂原がソロをバンバン出したり自由に好きな事をやっている。
この辺で、まりん脱退が訪れる(この瞬間、まりんと電気の楽しそうな写真や映像がバババッと超スピードで入る様が感動的)。
バンドは、メンバーの脱退とか解散などは夫婦の離婚みたいに様々の要因が積み重なってのものだから大抵の場合ほんとの事はよくわからない。まりん脱退の事も当時よくわからなかったが本作のインタビューによると、まりんはイギリス寄りの音楽活動がしたかったがドイツ方面で活躍する卓球や、彼が主体の電気グルーヴでやってく事に違和感を感じたためという事だった。
前からそれは感じていたが、殆どまりんのおかげで出来たシャングリラが大ヒットした事で自分の役目は終わった様に感じたから抜けた。。という事のようだった。
これは、バンドの脱退理由としてはかなり具体的に語っている方ではないだろうか。
卓球は、WIREを開催して凄い勢いで日本にテクノを根付かせる様が観れる。
その後、デビュー以来初めて二人っきりになってしまった電気グルーヴは異常に濃い(俺が好きな)「VOXXX」をリリースし、ツアーをする。
「VOXXX」もツアーも異常に濃いのでチーフマネージャーは「すげーけどもうこの後やる事ないだろう」と思ったという。当時の僕もそう思ったし休業に入っても「そりゃそうだろ」と思ったし「電気グルーヴは満足しきったからもういいや」と離れたのだった。
「A」でバンドとしての最初の頂点、「VOXXX」で更によく分からない魔の領域まで極めてしまい卓球は「もうやる事全部やってしまったし、このまま活動を続けるのは現状維持でしかない」と言い前向きな活動休止に入るのだった


第三幕
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第三幕は、休業してたがスチャダラパーとコラボしたり何本かのライブなどで復活の準備が整い復活して今に至る様子が描かれる。
しかしフジロック2006での凄いライブを見て復活したと思ってた周囲に反して「これで電気の活動に締めくくりができた」としか思っていなかった電気の二人。
ケラが監督する大槻ケンヂ原作映画の主題歌を電気が担当する。
「一時期ナゴム出身だって事言われんの嫌がってたと思うんだよね‥」と優しく語る
関係ないがラジオやインタビューで、ケラさんがやって来て電気の話をする時はいつも「電気は本当はこんな子達なんだよ‥」といつも電気の柔らかい内面の話をいつもしてる。保護者感覚なのかな
更に「モノノケダンス」を出した後、8年ぶりに「J-POP」を作成。
そうして2人組の電気は復活し、デビューの時みたいな勢いで短期間にアルバムを三枚も出す。ライブも凄いし正に三回目の全盛期が来た感じが描かれる
と思ったらKAGAMI氏の死を迎えて電気グルーヴは喪に服す。
しかし再び復活して傑作「人間と動物」を作って
フジロック2014のバックステージ。
「コンニチワ電気グルーヴデス」という音声を聞いたシルクハットを被った瀧がステージに出て行く冒頭の続きが描かれる。
そして心底楽しそうな卓球がN.O.をプレイして映画が終わる。
映画の頭と終わりがループしている構造は、彼らの活躍がずっと続きそうな感じがするし生と死が内包される感じがしていい終わり方だなと思った。
この映画ラストの続きは先月出たアルバム「トロピカルラブ」か




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第一幕:活きのいい誕生
第二幕:絶頂を迎え、そして死ぬ
第三幕:死からの蘇り。そして再び飛翔する

という、西部劇やカンフー映画みたいな三幕構成になっている。
面白い映画として観れた理由はこのおかげだろう。
実際に電気グルーヴの歴史がこの通りだったのだが、ただドキュメンタリー番組を二時間に引き延ばしただけなら半分くらいでダレて来るので、ドキュメンタリー映画観てたら「最初の一時間はすげー面白いのに残りの一時間は飽きることが多いな」と思っていた。
本作は、このアメリカ映画的な黄金パターン構成によって飽きずに楽しめた。
そんな理由で僕は面白かった。
ファンじゃない人にも多分そこそこは面白いと思う。
まあファンじゃない人がわざわざ好きでもないバンドの映画を観るとは思えないが。。
俺だって知らんバンドの映画なんて観ないし。
特に文句はないし、この映画のコンセプトには賛成したものの、やっぱり2人自身が語りまくるの様子も観たいなと後で思ったりもした。
ブルーレイを買えば副音声で喋ってるだろうから買ってみようと思う。
そういえば瀧はラジオで、幼い自分の娘(エリザベス瀧)を連れて観に行くといっていたが、若い頃の自分が「マンコ」って言ってる部分や、女性スタッフに陰部を見せつけている場面や卓球がシモネタ連発してる場面ではどうしたんだろう?そこだけ娘の目や耳を塞いだりしたのかな

 


そんな感じでした

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DENKI GROOVE | OFFICIAL WEBSITE

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