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「メッセージ(2016)」ドゥニ・ヴィルヌーヴ/異星人との触れ合いは楽しかったがメインのSF要素はもっと時間取った方が良かったのでは?

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原題:Arrival 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ 制作国:アメリカ 上映時間:116分

※久々にブログ書いたからブログ書きたい欲が高まっていて、数行で済むような感想がやたらと長くなってしまった。直接的なネタバレはしてないが映画よく観る人やSF好きな人には何となくわかってしまうと思うので後半は読まない方がいい
今年11月に公開予定の「ブレードランナー 2049 (2017)」の監督のSF映画

本作は第89回アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚色賞など‥8つもノミネートされてアカデミー音響編集賞を受賞した(と言われても一体どういう賞なんだ?)。
巨匠へのリーチがかかっていて、ブレラン2049が大ヒットして評価高ければ誰も口出しできない巨匠になってしまうという、クルマが高速の一本道に入って誰も止められないって感じの一番勢いがある状態。

僕はまだ2本しか観てないが、面白くて内容も凄いのだが、その凄さは「お、おう‥」って感じの文学的だったり反則すれすれの凄さであるために、凄い監督なのは間違いないが、イマイチ本当に凄いのかそうじゃないのかが判別しにくい監督という印象(シャマランに対する印象と似ている)。
この監督を絶賛する人もいるし大きく貶す人もいるという両極端で一番熱い状態。
凄さは置いとくとして毎回、画面がめちゃくちゃカッコいい。
これは今、画が一番カッコいい監督といっても過言でない(他の今一番カッコいい画づくり監督はジェームズ・ワン一派のホラー映画群)
本作はテッド・チャンネビュラ賞を受賞したSF小説「あなたの人生の物語(1998)」を原作に映画化された。
アメリカ映画界には映画化が実現していないが優秀な脚本‥通称「ザ・ブラックリスト」という脚本群が存在し、本作も長い間そのザ・ブラックリストにあった脚本だったという(関係ないがこの脚本家は「遊星からの物体X ファーストコンタクト (2011)」も書いているので異星人とのコンタクトが好きなのだろうか)

 

未確認飛行物体の飛来
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突如、地球上に現れた巨大で真っ黒い楕円形型の未確認飛行物体。
この物体は地球上18か所に同時に出現している。
この時点では、とりあえず人類を超えた高い知能や技術を持っている事と、ただちに攻撃してくる意志はなさそうな事しかわからない(侵略しに来たのならもうやってるだろうからね)。

主人公の言語学者ルイーズ(エイミー・アダムス)は、UFO内の知的生命体と意思の疎通をはかるため米軍に雇われた。
彼女は物理学者イアン(ジェレミー・レナー)、米軍のウェバー大佐(フォレスト・ウィテカー)らとチームを組んで宇宙船内部を訪問し、全く意思の疎通ができない彼ら異星人から
「どこから何のために来たのか。人類にどんなメッセージを伝えようとしているのか」
を探る、それが彼女の仕事。

アメリカだけではなく、各国の人たちも独自の方法で意思の疎通を図っている。
国々は、お互いに情報を共有して宇宙人の言語解明に励んでいる。
ちなみに一般人の間ではデモが起きたりキリスト教原理主義者が自殺して騒ぎになっている様子がTVで流れている。
こんな事が現実に起きたら、本当にパニックが起きて意味なく人が死にそうだな~。
人類って本当にアホだな。。
冒頭から、主人公のルイーズ(エイミー・アダムス)は、夢のようなビジョンで娘と過ごす光景が何度も流れる。彼女は独り暮らししてるので死んだ娘の思い出か?
ハードSF。知的生命体との接触。家族への想いを持った中年の美人女性主人公‥など、色々な要素がロバート・ゼメキスジョディ・フォスターの「コンタクト(1997)」を思い起こさせる。
ちなみに来日した監督は(恐らく宣伝部の人に助言されるがままに)低いテンションで「宇宙船は、お菓子のばかうけをモデルにしたんだ」とジョークを飛ばした。
www.youtube.com

Twitterでは、それを受け「まって。無理‥まって!ばかうけがモデルとか‥うける!」
と、大勢の方たちが尊みや宇宙を感じてばかうけしている様子。
宣伝は成功した模様。
映画宣伝部の人達は日々、その、卓越した、面白いセンスで
僕たちをあきさせない( ´・_・`)
何だか我々、発展途上の原住民が高度な知能を持った異星人によって意識を操られてるのを可視化されたようで不安な気持ちにさせられた。
この映画について書いた記事のタイトルにも当然「ばかうけ」の文字を入れた方がアクセスが多いだろう。カッコインテグラ

 

UFO内部へ
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浮いている巨大UFO内部へ入る方法だが、最下部が一定の時間ごとに入り口が開く。
そのUFOのケツの穴に昇降機で入る。
UFOのアナルの側面には超科学によって壁そのものに重力が働いており、人はアナルの壁を歩いて昇っていく事ができる。
辿り着いた広い部屋には、ガラスの様な透明の壁がありその向こうの霧が立ち込めた部屋に彼らがいる。ここは異星人と謁見するための面会室みたいな部屋なのだろう。
部屋が分かれているのは細菌に感染しないためか?
いや、我々‥野蛮なモンキー原住民にいきなり射殺されないためだろう。
ちなみに冒頭から、この宇宙船に入るくだりとか全部めちゃくちゃ画がカッコいい。
カッコいいがそのカッコよさを具体的に言語化できないので画がカッコいいくだりは以降の感想からは省略する。
霧の向こうから現れた彼らは身長5mくらいあって触手のような器官で歩く‥まあ巨大タコみたいな感じ。
今どきタコ型宇宙人とは驚いた!
もうグレイみたいなのは逆に見飽きて見たら笑っちゃうからな。
センス良くて気に入った
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その宇宙人デザインに対して映画を観ていた俺は思わず「(好きだよ‥)」という形に唇を動かしている自分に気がついた。
彼らはガラスの向こうにいるが、常に霧で姿がはっきり見えないようにしている。
あんまりクッキリと彼らタコ達を映すと映画にアホらしい雰囲気が流れてしまうのでこれがベスト。


この忖度(そんたく)で取るコンタクト~(漢)
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我らのプリンセス、エイミー・アダムス演ずるルイーズはタコとのコンタクトを開始。
「私達は『人間』。あなたたちは?」と言葉や文字やジェスチャーでもって何度か問いかける。
彼らはどうやらルイーズが発した「自分達は『人間』です」というサインを理解したらしく「ヴオオー」と、巨大な工場が放つ屁のような奇妙なうなり声を出した後、触手のような器官からスミの様なものを出し(やはりタコか‥)そのスミはマークになる。
どうやら妙な鳴き声の方ではなく、このマーク‥「表意文字が彼らの言語らしい。
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ちなみにこの表文字。↑この「C」に似た大きな図形がものを言ってるのではない。
Cの書き終わりの部分‥右の空いてる部分。
この習字でいうところの「止め」の部分の墨しぶきみたいな細かい部分の形が言語。
だからこの「C」一個で物凄く多弁にものを言っているらしい。
このC一個で、ちょっとした一言なのか本一冊分なのかはわからないが、これを解析した学者チームも大変だな。
ルイーズ達は何度か謁見して「『人間』というのは我々の種族の名前」「『ルイーズ』というのは個体としての私の名前」「動詞」‥など順を追って彼らに伝え、彼らの返信を映像に撮ってそれを基地で解読する。
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その全ては「どこから、何のために来たのか」と質問し、回答してもらうためだ。
言語は、教える順番&学ぶ順番を誤ると誤解が生じて意思疎通できない。
最悪の場合、攻撃意志と取られて殺しあいになる。
ルイーズが、他国に後れを取らないようにとやたらとコンタクトを急かすフォレスト・ウィテカーに対して、それを具体例を挙げて説明してくれて凄く面白い。
俺たちが宇宙人に会った時「こんにちは」と言って手を上げた時、それが彼らにとって「絶対にぶっ殺す!お前のお袋と娘もだ」という意味だったら大変だ。そういう事だ
映画前半を大雑把に言うと「巨大なタコと幼稚園レベルの意思疎通を図ってるだけ」というコントのような構図で、他の監督が撮ったらアホみたいに見えかねない危険もあるのだが、この監督は大人っぽくて重厚な画や音響でハッタリの効いたカッコいい雰囲気を作りだすのが得意なので凄く面白い(この脚本がブラックリスト入りして映画化されなかったのはストーリーの映像化の難しさ以外にも、これが原因な気もする)
ルイーズは同じチームで一緒に解読している物理学者イアン(ジェレミー・レナー)とも仲良くなっていく。
しかしルイーズは彼らの放つ「表意文字」の解読に没頭して理解すればするほど時間が逆行するような奇妙な錯覚に陥っていく。死んだ娘?の夢も相変わらず何度も見る。幻覚や幻聴も増えていく。
大体ここまでで中盤くらいかな。

第三幕 ※ネタバレあり
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映画の殆どはルイーズ達、異星人と対話している解析班や軍人たちを描いているから粛々と事は進んでいるが、外の世界‥社会では得体のしれないUFOへの恐れや噂が飛び交ってパニックが起きている。
東北の震災の時、原発への不安や憶測が広がった時を思い出してみればいい。
もう忘れかけているが実に色んな噂が飛び交った。
僕は東京に住んでるが友人に「東京は即・壊滅するから他所に移った方がいい!」とか言われたし。確かに僕ら一般市民が真実を知れるとは思ってないが「東京は偉い人がいっぱいいるから多分、安全度が高いだろう」という思い込みで楽観視を決め込んだ。
映画の中でも、賢いルイーズ達はともかく、その警護に当たっているヒラの軍人達は何もわかってないので異星人に対して内心ビクビクしており「いざとなったらブッ殺してやる!」と思っているわけです。
その緊張が臨界点に達した時、最初にルイーズが危惧していたような誤解が生じ「宇宙人達は我々に敵意を持っている」と思い、宇宙人たちと敵視する国や人たちが増えてくる(特に中国は完全に宇宙人殺す気満々国家となる)。
そんな中、ルイーズは彼らの伝えたい事が何なのか理解して独自に行動を起こして結末へ‥
という第三幕で終わる。
ルイーズが体感する本作の結末についてだが、これが結構でかくて「あぁ、そういう話だったのか!」と思わせられた。
だが、ここまで長く描かれてきた宇宙人との交信シーンは面白かったが、それは一瞬で終わってもいいくらいの前フリでしかなく、それよりもドでかいメインのSF要素は僅か10分くらいで一気に語って風の様に去って行ってしまうので若干ポカーンとさせられた。
それは短時間でバババッ!と語られて一気に終わってしまうので、俺の脳では理解はできても感動が追い付かない(この監督はこう思わされることが多い)。
既にこの映画を観て「感動で席から立ちあがれなかった」とか言ってる人もネットで何人かいたが、きっとよっぽど賢い人なんだろう。もしくはSFを普段から読んで慣れているか。。(それとも単純に僕がアホなのかもしれん)
読んでないけど原作は、宇宙人との交信はもっと短いらしい。
大作映画にするにあたって、宇宙人とのコンタクトシーンを増やしたらしい。
確かにオチのSF部分をメインにしたら、映画やハードSF好きだけが観る文芸作品みたいな映画になってしまっていたかもしれない。

原作読んでないけど、きっと原作を読んだらもっと感動した気がする(小説は自分の好きなように思考しながら好きな時に読み進められるからね)
なるほど本作が、脚本が優れていると言われながらも長い間映画化されなかった理由がわかった気がした。
色々な事を考慮すると、宇宙人との交信の面白さを中心に据えたのは良かった気がする。だけどその分オチの部分への理解が減ってしまった。
もっとルイーズへ感情移入できるように、娘の夢の内容を具体的に語ったり、ジェレミー・レナーとの結びつきをもっと描いた方が良かった気もする。
しかし、この物語が終わった後のこの世界。
将来はルイーズの本を読んだ皆はルイーズの様な‥プッチ神父が目指した「天国への階段」状態(もしくはドクター・マンハッタン)になり相互理解が可能なニュータイプへと進化するのだろうか?
彼女の夫の様に進化に対応しきれない人もいるみたいだから、そう上手くはいかないか
このUFOは、正にモノリスの様に「新しい知識の象徴」という感じだった。
神の啓示(タコのメッセージ)を、ルイーズのような賢人が噛み砕いて我々のようなクソ猿モンキーに叡智を授けてくれるが、攻撃的なアホのモンキーはすぐに「何だこのよくわからないものは!ブッ壊してやる!」となってしまう。
その様子を描いてるのは凄く良かった
ラストのSF要素の部分は本来、自分が好みのものなので、ネタバレした二回目以降の鑑賞ではもっと感動するだろう。
この監督の今までの映画同様、カッコいいモダンな画面で面白い前半→何か凄げな中盤→終盤で反則すれすれの急カーブを切って見てるこっちがポカーンとさせられる間に逃げ切られて終わるという、今までの映画と同じパターンだった。
相変わらず凄いのか凄くないのかわからなかった。きっと凄いんだろう
ブレランで全てはっきりするだろう


どうでもいい感想
・黒い鶴瓶でお馴染みのフォレスト・ウィテカーはハリウッド黒人四天王の末席(後の3人はモーガン・フリーマンデンゼル・ワシントンサミュエル・L・ジャクソン)で、いるだけで映画が重厚に見えるね。
だが正直このキャラは割とどうでもいいキャラでルイーズに対してやたら高圧的なのがムカついた。もっとルイーズ先生に丁寧にお願いしろや

・しかし「メッセージ」というダサい邦題は何だよ。直訳「アライヴァル」でいいだろ
邦題付けるなら小説の「あなたの人生の物語」でいい。この二択だろう。
「プロメテウス」っぽい雰囲気にさせられた結果、意味のわからん邦題にさせられたリドリー・スコット「オデッセイ」とか、結末の感動の正反対の意味にさせられた「ゼロ・グラビティ」とかを思い出す。
どうも真面目なSF映画はしょうもない邦題を付けられる傾向が強い。
それにしても数ある英単語の中でも「メッセージ」はトップクラスにダサい。
「メッセージ」に比べたら「システムキッチン」とか「シーツ」の方がまだマシ
これを超えるダサい英単語のタイトルは「ザ・インターネット (1995)」くらいだろう。


そんな感じでした

gock221b.hatenablog.com

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www.message-movie.jp

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あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)

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