gock221B

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「エル ELLE (2016)」”ミシェルという女がいて色んな変わった事が起きるがそれは彼女個人のものだ”というミシェル肯定映画👱‍♀️

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原題:Elle 監督:ポール・ヴァーホーヴェン
原作:フィリップ・ディジャン「エル ELLE」 制作国:フランス 上映時間:131分

 

「ブラック・ブック」「ショーガール」「氷の微笑」「トータル・リコール」「スターシップ・トゥルーパーズ」「ロボコップ」「インビジブル」‥などでお馴染みのポール・ヴァーホーヴェン監督最新作。
‥とタイトル列挙してヴァーホーヴェンの話ししたところで映画ファンなら「ヴァホならもう何度も観たよ‥」というものばかりだし、全然知らない人に説明しだしたら長くなるのでヴァーホーベンについて書くのはやめることにした。
とにかく誰が観ても面白い映画を作る監督なのは間違いない。
原作は、90年代に「素敵な映画!」という評判であちこちのミニシアターで愛されてたが今となっては「狂った女が出て来る映画」としてしか語られない「ベティ・ブルー」の原作者による小説。
「ELLE」とはフランス語で「彼女」という意味で、主人公の名前じゃない。

 

Story
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ゲーム会社の敏腕女社長ミシェルイザベル・ユペール)。
彼女はある日、ひとり暮らしをしている自宅で覆面をした男に襲われる

その後、届いた嫌がらせメールの内容などから、レイプ犯は顔見知りだと確信するミシェル。
幼い時のトラウマから警察に頼る気のない彼女は自ら犯人探しを始めるが
――

 

 

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映画が始まると、主人公ミシェルが目出し帽を被った男にレイプされた直後だった。
男が立ち去るとミシェルは掃除し、息子が訪ねてきて普通にスシを食べる。
どうやらかなり気丈な女性のようだ。
ミシェルは非常に美人だが、60歳代という初老といってもいい女性。
作家の夫とは離婚したが友人関係にあり、間に生まれた息子はもう20歳すぎ。
今はパリの豪邸に猫と暮らしている。
おばさんを越えておばあさん直前の女性が主人公のセクシャリティに関する映画って珍しい。それともフランスは進んでそうだから多いのかもしれない。初老に入ったミシェルの更に母親もセックスしまくってるので「人間まだまだセックスしてもいいんだな」と変に安心させられた。
ミシェルは、ゲーム会社のCEO。
開発中のゲームが画面に映るが、ゲームの主人公らしきゴブリンが女を背後からレイプしながら触手を生やして女の脳に突っ込んでブレインファックもするというものだった。「なんだこれ、エロゲームか?」と思ってると終盤でPS4のゲームだとわかる。しかもこの会社はゲームショーにも出品しており結構でかい会社で「こんなゲームが発売されるわけ無いだろ!」と思った(まぁ、本作の中の世界のプレステではOKなんだろと了解した)
完成した後のゲームは「Styx」シリーズによく似たアクションゲームっぽかった。
その後、レイプ犯から嫌がらせメールが来たり、留守中に侵入してた形跡があったり、ゲーム内のレイプされる女キャラの顔にミシェルの画像を貼り付けた動画が会社内で出回ったりと、嫌がらせが相次ぐ。
ミシェルは防犯で鍵を付け替えハンマーと唐辛子スプレーを購入し射撃の練習をする。
彼女は「自分を知っている男がレイプ犯ではないか?」と考える。

▲ミシェルの元夫:ミシェルに未練がありミシェルより気が弱い売れない作家。
▲ミシェルの息子:精神的に幼い青年。キレやすい彼女が妊娠中
▲ミシェルの母の恋人:カネ目当てで年老いたエルの母とSEXして婚約した男
▲同僚兼親友の夫:ミシェルと肉体だけの不倫関係にある
▲銀行員の隣人:向かいに住む親切なイケメン妻帯者
▲ゲームデザイナー1:ミシェルと意見がよく衝突するイケメン青年
▲ゲームデザイナー2:ミシェルに憧れているモテなさそうなヲタ青年

誰もが怪しく見える。まぁ、こういう場合、動機がなさそうな良さそうな人物が犯人なわけだが‥。しかしこの映画は犯人探しがメインではなくミシェルの話だ。
ミシェルの友人たちは、レイプされたのに自衛&犯人探しをするミシェルに対して
「警察に行った方が‥」と、しごく真っ当なことを言うがミシェルは行かない。
ミシェルがカフェに居ると、知らないオバハンにコーヒーをぶっかけられる。
ミシェルは驚きつつも「あらあら‥」焦ったり怒ったりしない。
「一体なんなんだ?」と不思議に思ってると、
実はミシェルの父親は、ミシェルが少女の時に大量連続殺人を行った死刑囚だった。
少女時代のミシェルの顔写真はネットで簡単に見れるので、ミシェルを嫌う人もいるという事だ。
日本でも連続殺人犯の家族を検索してみるといい、人生を破壊されて自殺したりよくしてるから‥。
何重も重なったレイヤー状になった設定が良い意味で渋滞している。

 

 

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ヴァーホーヴェンの映画観たの久々だけど凄くヴァーホーヴェンっぽい映画だった。
主人公のミシェルも非常にヴァーホーヴェンっぽいキャラクターだが、まるで風刺絵のように一目で色んな事を「わからす」シーンが多いのが凄くヴァーホーヴェンっぽいと思った。
たとえばミシェルの息子は、気が強すぎて殆ど狂人の域に達している女と付き合っている。彼女は2人で住む部屋の内見に来たミシェルの前で息子とキスしながら同性としてのライバル心からかギロッとミシェルを睨む。漫画みたいな奴だ。
関係ないがこの恋人「スターシップ・トルーパーズ」の巨乳女優とか「氷の微笑」でマイケル・ダグラスがセックスしまくってた女優に顔が似ている。カエルっぽい顔というか。。きっと監督が好きなアホっぽい女性の顔なんだろう。で、本当に好きなのはこのミシェルとかシャロン・ストーンとかの強そうな方なんだろう。‥いや人間そう単純ではない、その双方とも好きなタイプなのだろう。
そしてこのミシェル息子の彼女は妊娠しており、ミシェル息子の子を産む。
しかし赤ん坊の肌はどう見ても黒い。ミシェル息子も彼女も真っ白い白人だ。
その事を特に疑問にも思わず「無事産まれてよかった~」って感じで安堵するミシェル息子。そしてその隣には2人の親友だという黒人青年が‥。
という、このシーン面白すぎるだろ。本当に古き良き漫画って感じ。
それを唖然とした顔で見ているミシェル含めて全員同じ画角に入ってるのも可笑しい。
ミシェルは親切な隣人と仲を深めたり、親友の夫と不倫セックスを続けてたり、会社でコラ映像を広めた犯人も判明したり、母親が突然死んだり色々しながら、中盤くらいでもう犯人が判明する。
まあ、一番犯人っぽい奴が犯人なのだが、そこが本題ではないので映画はまだ続く

 

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冒頭でのレイプされたが普通に食事していた時のように、犯人が判明してもミシェルは警察には届け出ず、あいかわらず恋愛や性愛やゲーム制作などの今まで通りの、彼女の生活を続ける。
冒頭からラストまで色々と衝撃的な展開が続く本作だが、僕はむしろこういった衝撃的な出来事と衝撃的な出来事の間で、ミシェルが自分らしさを保って自分の生活を続けていること自体が本作のキモな気がした。
この映画は「ここにミシェルという女がいる。少し変わったこんな事件やあんな出来事があった。だがそれはミシェル個人の問題だし、それらの問題は彼女のものだ」と言っているように思えた。
そしてミシェルは犯人を知った後、明らかにレイプ犯を受け入れている時間がある。
そしてやっぱりレイプ犯を見棄てる時も来る。
こんな展開を見て「この監督はレイプを肯定している!?」とか言いだす人もいたらしい(昔はそういうアホは居ないと思ってたがSNSの誕生によって実は本当にたくさん居ることがわかった)
それもまあ「ミシェルがそうしたかったからそうしていたが、ミシェルが止めたくなったから止めた」としか言いようがない。
つまり本作は一言で言うとミシェル肯定映画だと思った。別に女性肯定映画というわけではないと思う。ただ強くて自分の論理で自分の人生を楽しむミシェルを見せる映画とでもいうか。
ここまで変わった出来事が重なることはそうそうないが、一つ一つの変わった出来事は十分有り得ることで、前評判ほどあり得ない物語ではないと思った。
ラストも非常に素晴らしいもので、観終わった後に爽やかな気分になった。
それにしてもミシェルがカフェで見知らぬおばさんに残飯ぶっかけられた後のシーンとか、めちゃくちゃカッコよかった。見習っていきたいものです


そんな感じでした

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gaga.ne.jp

www.imdb.comwww.youtube.com

エル ELLE (ハヤカワ文庫NV)

エル ELLE (ハヤカワ文庫NV)

 

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