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「エル ELLE (2016)」”ミシェルという女がいて色んな変わった事が起きるがそれは彼女個人のものだ”という爽やかなミシェル肯定映画

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原題:Elle 監督:ポール・ヴァーホーヴェン
制作国:フランス 上映時間:131分

「ブラック・ブック」「ショーガール」「氷の微笑」「トータル・リコール」「スターシップ・トゥルーパーズ」「ロボコップ」「インビジブル」‥などでお馴染みのポール・ヴァーホーヴェン監督最新作。
‥とタイトル列挙してヴァーホーヴェンの話ししたところで映画ファンなら「ヴァホならもう何度も観たよ‥」というものばかりだし、全然知らない人に説明しだしたら長くなるのでヴァーホーベンについて書くのはやめることにした。
とにかく誰が観ても面白い映画を作る監督なのは間違いない。
原作は、90年代に「素敵な映画!」とあちこちのミニシアターで愛されたが今となっては「キチガイの女が出て来る映画」としか語られない「ベティ・ブルー」の原作者による小説。
「ELLE」とはフランス語で「彼女」という意味で、主人公の名前じゃない。

 

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映画が始まると、主人公ミシェルがスキー帽を被った男にレイプされた直後だった。
男が立ち去った後、ミシェルは掃除して息子が訪ねてきて普通に食事を始めた。
この主人公は非常に美人だが、もう60歳代の女性ミシェル。
作家の夫とは離婚したが友人関係にあり、間に生まれた息子はもう20歳すぎ。
今はパリの豪邸に猫と暮らしている。
おばさんを越えておばあさん直前の女性が主人公のセクシャリティに関する映画って珍しいな。完全に老婆のミシェル母もセックスしまくってるので「まだまだセックスしていんだな」という気分になった。
ミシェルは、ゲーム会社のCEO。
開発中のゲームが画面に映るが、ゲームの主人公らしきゴブリンが女を背後からレイプしながら触手を生やして女の脳に突っ込んでブレインファックするというものだった。エロゲーかと思ってると終盤でPS4のゲームだとわかる(まぁ、本作の中のゲームはプレステのゲームでそんなSEX表現が許されてる世界なんだろうと了解した)。
完成した後のゲームは「Styx」シリーズによく似たアクションゲームっぽかった。
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その後、レイプ犯から嫌がらせメールが来たり、留守中に侵入してた形跡があったり、ゲーム内のレイプされる女キャラの顔にミシェルの画像を貼り付けた動画が会社内で出回ったりと、嫌がらせが相次ぐ。
ミシェルは防犯で鍵を付け替えハンマーと唐辛子スプレーを購入し射撃の練習をする。
彼女は自分を知っている男がレイプ犯ではないか?と考える。

▲ミシェルの元夫:ミシェルに未練がある売れない作家。
▲ミシェルの息子:異常に子供っぽい青年。キレやすい彼女が妊娠中
▲ミシェルの母の恋人:カネ目当てで年老いたエルの母とSEXして婚約した男
▲同僚兼親友の夫:ミシェルと肉体だけの不倫関係にある
▲銀行員の隣人:向かいに住む親切な妻帯者。イケメン
▲ゲームデザイナー1:ミシェルと意見がよく衝突するカッコいい髪型の青年
▲ゲームデザイナー2:ミシェルに憧れている童貞っぽい青年

誰もが怪しく見える。
ミシェルの友人たちはレイプされたのに自力で自衛&犯人探しをするミシェルに対して
「警察に行った方が‥」と、しごく真っ当なことを言うがミシェルは行かない。
ミシェルがある日カフェに居ると知らないオバハンにコーヒーをぶっかけられる。
ミシェルは驚きつつも「あらあら‥」と少し慣れている感じ。
一体なんなんだ?と思ってると、
実はミシェルの父親は、ミシェルが少女の時に大量快楽殺人を行った死刑囚だった。
少女時代のミシェルの顔写真はネットで簡単に見れるので、カフェのオバハンのようにミシェルを嫌う人もいるという事だ。
静かに進んでいくが何重も重なったレイヤー状になった設定が良い意味で渋滞している。設定のジェットコースタームービーや。

 

 

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「ブラックブック」まだ観てないからヴァーホーヴェンの映画観たの数十年ぶりだけど凄くヴァーホーヴェンっぽい映画で「そういえばこんな監督だったな」と思った。
主人公のミシェルも非常にヴァーホーヴェンっぽいキャラクターだが、随所で積み重なった設定がそのまま可視化されるシーンがよくある。これは意外とヴァーホーヴェンしかやる人がいない気がするがどうか?
たとえばミシェルのアホの息子は、気が強すぎて殆ど狂人の域に達している女と付き合っている。彼女は2人で住む部屋の内見に来たミシェルの前で息子とキスしながらギロッとミシェルを睨む(きょ狂人‥)。
関係ないがこの恋人「スターシップ‥」の名前忘れた巨乳女優とか「氷の微笑」で不倫セックスしまくってた女優に顔が似ている。きっと好きなアホの顔なんだろう。で、本当に好きなのはこのミシェルとかシャロン・ストーンとかの強そうな方なんだろう。
そして一番そんな感じの場面もこの彼女のシーンで、妊娠中の彼女はミシェル息子の子を産む。しかし赤ん坊の肌が妙に黒い。ミシェル息子も彼女も真っ白の白人だ。「無事産まれてよかった~」って感じで安堵するミシェル息子。そしてその隣には2人の親友だという黒人青年が‥。
という、このシーン面白すぎるだろ。
それを唖然とした顔で見ているミシェル含めて全員が同じ画角に入ってるのが凄い。。
ミシェルは親切な隣人と仲を深めたり、親友の夫と不倫セックスを続けていたり、会社でコラ映像を広めた犯人も判明したり、母親が突然死したり色々しながら、中盤の終わりくらいで犯人が判明する。
まあ、一番犯人っぽい奴が犯人なのだが、そこからまだ映画は続く。

 

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冒頭でのレイプされたが普通に食事していた時のように、犯人が判明してもミシェルは警察には届け出ず、あいかわらず恋愛や性愛やゲーム制作などの今まで通りの、彼女の生活を続ける。
冒頭からラストまで色々と衝撃的な展開が続く本作だが、僕はむしろこういった出来事と出来事の間でミシェルが自分らしい生活を続けていることが本作のキモな気がした。
ミシェルの父が連続殺人鬼で彼女も現場に居た過去。醜悪な母親。女をレイプできるゲームを制作していること。
それらの事柄を安易に「レイプ事件」や「女性問題」または「復讐」などと結びつけて考えることは容易だし(まあそれもちょっとはあるのかもしれないが)僕は全然そっち方面には考えませんでした。
この映画は「ここにミシェルという女がいる。少し変わったこんな事件やあんな事があった。だがそれはミシェル個人の問題だ」と言っているように思えた。
そしてミシェルは犯人を知った後、明らかにレイプ犯を受け入れている時間がある。そしてやっぱりそれをやめる時も来る。その展開や感想を見て「この監督(もしくはそういう感想を言う者)レイプを肯定している!」とか言いだす人も僅かにいるかもしれない(昔はそんなアホはこの世に居ないと思ってたがSNSの誕生によって実は本当にたくさん居ることがわかった)
それもまあ「ミシェルがそうしたかったからそうして、だけど止めたくなったから止めた」としか言いようがない。
つまり一言で言うとミシェル肯定映画だ(女性肯定映画ではなく)。
ここまで変わった出来事が重なることはそうそうないが、一つ一つの変わった出来事は十分有り得ることで前評判ほどあり得ない話ではないと思った。
ラストも非常に素晴らしいもので、観終わった後に爽やかな気分になった。
※追記:面白かったのに加えて、観終わって何日か経ってミシェルの他者や世間に対する態度を思い返すと後から更に感動‥っていうかミシェルのカッコよさをじわじわ感じるようになって自分も見習っていこうと思いました(特に残飯をぶっかけてくる見知らぬおばさんのシーンとか)。


そんな感じでした

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gaga.ne.jp

www.imdb.comwww.youtube.com

エル ELLE (ハヤカワ文庫NV)

エル ELLE (ハヤカワ文庫NV)

 

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