gock221B

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「ツイン・ピークス The Return (2017)」第8章/悪の誕生

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原題:Twin Peaks: A Limited Event Series (Part 8) 通算第38話
監督:デヴィッド・リンチ 
脚本:マーク・フロスト、デヴィッド・リンチ 制作国:アメリ
配信局:Showtime 放映時間:59分 シリーズ:「ツイン・ピークス」シリーズ

 

 

 

前回までの「ツインピークス」は‥
★ダギー(本物のクーパー)小人の殺し屋を追い払う。
★ブリッグス少佐の指紋を持っている死体が見つかり国防総省が調査を始める。

ツイン・ピークス保安官事務所のホーク「現在この世にいるクーパーは実はドッペルゲンガーなのでは?」という事に気づく。
★クーパーのドッペルゲンガーと面会したダイアンは、彼が本物のクーパーではないと断定。
★その夜、クーパーのドッペルゲンガーは刑務所を脱獄。

 

※ネタバレ全開です

 

 

どこかの空き地 / ワシントン州ツイン・ピークス🗻🗻
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★空き地
チンピラのレイに迎えに来てもらって脱獄したクーパーのドッペルゲンガー
ドッペルゲンガーは、仕事をしくじったレイを殺そうとするが、それを予見したレイの返り討ちにあって撃たれる。
すると今まで何度か出てきていた幽霊みたいな真っ黒い男達が森から出てきて撃たれたドッペルゲンガーの周りに集まって来る。
何となくドッペルゲンガーを治癒している感じで、ドッペルゲンガーの中にボブみたいなものも見える。
レイは恐怖で逃げ出し、電話でフィリップという男(フィリップ・ジェフリーズか?)に「奴は死んだと思うが奴の仲間が集ってきたから逃げた。あいつの中に何か居たが、それが今回の件の鍵だろう」と話す。
ワシントン州ツインピークス「ロードハウス」🎵
毎回行われてるリンチのお気に入りバンド紹介コーナー、今回は大物、ナイン・インチ・ネイルズがライブする。
www.youtube.comネイルズがフルで演奏し終える頃、撃たれて死んだドッペルゲンガーは蘇った。
ボブが取り憑いた人間は物理的に殺すことができない事がわかった。

 

 

1945年7月16日 ニューメキシコ州ホワイトサンズ 午前5時29分
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モノクロの画面。
人類初の核実験トリニティ実験が行われて巨大なキノコ雲が発生。
トリニティ実験 - Wikipedia
ゴードンの部屋に、わざとらしいほどデカいキノコ雲の写真が飾ってあったのは偶然ではないだろう。
カメラはキノコ雲にロングショットで近づいていき爆発の中に入る。
この一連の映像は凄くカッコいい。
その後どこかの小屋の周りを、さっきドッペルゲンガーを組成させていた悪の真っ黒い男達が早送りで歩き回ってるリンチのアートアニメみたいな映像になる(黒い男達はこの瞬間に生まれたか、または別世界から現世に来た‥そんなニュアンスの映像)
そんなくだりが延々と10分くらい続いた後、
宙に浮かんだ第1話でカップルを噛み殺したバケモノが口から煙や球を吐き出す
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ちなみにこのバケモノのクレジットを見ると「Experiment」と書かれてるので今後は「エクスペリメント」と記述する。
一つ一つの描写が異常に丁寧でじっくり進む本シリーズだが、この第8話は輪をかけてじっくりじっくり描かれる(台詞や説明もほぼ無い)。
だから文章で書くと短いが、この時点でもう全体の半分以上は経過している。

 

 

どこかの孤島にある屋敷
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カメラは海を越えて、どこかの孤島にある屋敷の中に入る。
そこにはふくよかな婦人と、例の巨人がいた。
※追記:婦人はクレジットでは「Senorita Dido」とある。ディドーさんと読むのかな
この屋敷の描写はドイツ表現主義っぽい映像で非常にかっこいい。
部屋の中では、釣鐘型の機械が鳴っている。
よくわからないが、状況から考えると悪の誕生を知らせる警報に思える。
階上に上がった巨人は、核実験のキノコ雲、黒い男達の誕生、エクスペリメントが煙や球を吐き出す映像などのさっき起こった現象を観る。
球にクローズアップすると球にはキラー・ボブの顔が浮かんでいる。
エクスペリメントが、ボブや黒い男など、この世の悪を産んだということか?
それにしてもボブ役の俳優は、ただ顔が凄く怖い道具係の兄ちゃんってだけで何十年もツインピークス世界のダース・ベイダーみたいな存在になってて、しかも俳優さん本人は死んでるのにボブは暗躍し続けてて何だかすげーな。
これらの映像は神の視点でしか見れない光景なので、巨人たちは普通の人間ではないのだろう。
それらを視認した巨人は、その場でフワ~と浮かぶ。
宙に浮いた巨人の頭から金色の球が出てくる(過去の映像はずっとモノクロだが金色の部分にだけは着色されている)
ふくよかな婦人が金の球を手に取ると、球にローラ・パーマーの顔が映る。
そのローラ・パーマー球が頭上の金管楽器めいた機械に吸い込まれる。
そして先ほどまでキノコ雲等の現象が映し出されていた画面に地球が映り、北米大陸あたりにローラ球を射出した婦人は安堵した表情を浮かべる。。
第1章の冒頭でクーパーと巨人が居たモノクロの部屋、そして第3章でクーパーが裕木奈江に会った海の側の建物はこの屋敷に少し似ている。ローラ玉を射出した装置の雰囲気はNYのガラス箱の部屋に通じる謎の機械に似ていたし、この部屋はそれらに繋がっているのだろうか。
普通の人間ではない事だけはわかる巨人と婦人が何者なのかもわからないが、悪の存在に対抗する人知を超えた善なる存在らしい事だけはわかった。
※追記:巨人の役名見ると「???」となってたので、旧シリーズの巨人と本シリーズの巨人は別の存在なのかもしれない。でも他に呼びようがないので名前がわかるまでは引き続き「巨人」と記述する

 


1956年8月5日ニューメキシコ砂漠
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恐らく核実験やエクスペリメント出現があったホワイトサンズの近くの砂漠だろう。近くに町がある。
11年前、エクスペリメントが吐き出した卵の一つが割れ、ゴキと蛙が合体したかのような不気味な虫が生まれて這い出す。
砂漠の近くにあるのは、幸せそうなカップルや町民たちが住む平和な町。
町には真っ黒い男達が現れて町の人を殺し始める。
今までに何度か出てきた例のカッコいい真っ黒い男も登場する。
黒い男のクレジットは「Woodsman (森の男)」と書かれてるので今後は「ウッズマン」と記述する。
ウッズマンは町のラジオ局に侵入して中の人達をアイアンクローで惨殺。
そして町に生放送しているマイクに向かって
これが水だ。そしてこれが井戸。全て飲み干し降りていけ。この馬は白目で中は闇
と何度も何度も繰り返し言う。その放送を聴いた町民は倒れる。
デートを終えた少女も放送を聴きながら眠る。
その眠る少女の口に、さっき砂漠で産まれた虫が入っていく。。
つづく

 

▲▲
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というのがこの第8話。
殆どセリフ無しで全編、リンチのアート作品っぽいノリで超常現象が延々と起きている様が描かれる。
ここまで観てたファンの一部が脱落したっていう噂の回は今回かな?
説明はないが映像やここまでの情報だけで判断するなら、
▼1945年、メキシコでのトリニティ実験の核爆発で別世界への扉が開き、エクスペリメントがキラーボブの卵を産み、ウッズマン達もこの世に来た。
 ↓
▼謎の機械でそれを察知した孤島の巨人と婦人。巨人がローラ・パーマーの元になる卵を産み、ぽっちゃりした婦人がそれを北米大陸に撒いた。
 ↓
▼1956年、11年前にエクスペリメントが吐き出した卵の一つから虫が産まれて少女の中に入る。同時にウッズマン達も活動し始める。
◆ボブや悪の誕生を見た善なる巨人&婦人が、将来ローラが産まれる種を蒔いてたので、ローラは本来ボブに対抗する善なる存在だった‥って事なのか?しかしローラはちょっと霊感があるくらいでそんな選ばれし者には全く見えなかったが‥。ローラはボブにあっさり殺されてしまったので対抗する者はクーパーしかおらず、死んだローラやブラックロッジチームはクーパーを何とかまともな状態で蘇らせ、クーパーのドッペルゲンガーごと、その内部に潜むボブをも消し去り、この世に安定をもたらそうとしている‥
ちょっと単純に考えすぎかもしれないが推測するならそんな感じか?
今のところ、そうだと断定するとすると本シーズンの目的が見えてきた。
白痴になっているクーパーが正気に戻って、ドッペルゲンガーとボブをブラックロッジに送り還すことが出来ればハッピーエンドなのかな。目的が見えてきた。
◆本シリーズ、ネタバレを避けようと他人の記事やブログは一切見ないようにしてたんだけど今回の話は「ボブや悪がどうやって産まれたかが具体的に描かれる」って事だけ、うっかりネタバレ聞いてしまってて「え~そんなの本作のミステリアスさが減るから観たくないよ~」と思ってて実際この8章観ちゃったら嫌になっちゃうんじゃないかと心配してたが、観ると想像してたよりも具体的ではなくリンチのアートアニメっぽい感じで殆どサイレントで描かれており、抽象表現と具体的表現のバランスも良い感じだったのでギリでアリかなと思えた。
観る前に危惧してた「観たら嫌いになって脱落するかな?」という事はなかった。
その代わり「悪くはなかったが、だからといって今回の内容は1話丸々観せなくても誰か(巨人とかマイクとか)の口からサラッと聞かされるだけで充分だったんじゃないか」とも思った。だからまあプラマイゼロかな。
新しいシーズンとか作られて続いていくんならいいけど残り10話しかないしね。
だけど、オリジナリティもあって本気でこれをやってるリンチがやるからプラマイゼロで済んだのであって、他の人がこの内容真似したらとんでもない駄作になってただろうなとも後で思った。
何度か書いたが通常描写に比べて超常現象の描写が多すぎる気もする。
ツイン・ピークス」は、サスペンス+ミステリー+くだらないソープドラマその合間に反則のようにオカルトが挟み込まれるような塩梅が魅力だった気もするし、残り半分はもうちょい人間描写多めで終わればいいな。

 

そんな感じでした

ツイン・ピークス The Return (2017)」全18話
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 #2 #3 #4 #5 #6 #7 #9 #10 #11 #12 #13 #14 #15 #16 #17 #18(終)

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www.imdb.com

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