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「ヴィヴィアン・マイヤーを探して (2013)」彼女の作品、本人、映画の構成が三位一体となって良かった📷

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原題:Finding Vivian Maier 監督:ジョン・マルーフ、チャーリー・シスケル
製作国:アメリカ 上映時間:83分

 

何年か前に彼女の事をネット記事で読んで興味深かったけど、知らん間にドキュメンタリー映画になってたのがhuluにあったので観たがめちゃくちゃ良かった。
彼女の事も知りたくなるし、ちょいちょい画面に映る彼女の写真が全部良いし、ドキュメンタリー映画としても構成が素晴らしかった。
第87回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門ノミネート作品だそうです。

 

Story
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2007年、シカゴ在住の青年ジョン・マルーフは、地元の歴史本執筆の資料としてオークションで大量のネガ・フィルムが詰まった箱を競り落とす。
中身はヴィヴィアン・マイヤーという無名の女性が撮った白黒のストリート写真。
その素晴らしさに感動したマルーフがコレクションの一部をブログにアップしたところ大反響を呼び、やがて「20世紀最高のストリート写真家」の一人と評され、全米で一大センセーションを巻き起こす。
本作は、ナニー(乳母)としての仕事の傍ら、15万枚以上もの写真を撮り続けながら、生前には一枚も公表しなかったヴィヴィアン・マイヤーの謎に満ちた人生を、彼女の素晴らしい作品の数々とともに解き明かしていくアート・ドキュメンタリー。

 

 

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2007年、ジョン・マルーフというシカゴ在住の青年が、オークションで地元の歴史本執筆の資料として大量のモノクロ写真のネガを競り落とした。
中身はヴィヴィアン・マイヤーという女性が撮った白黒のストリート写真。
凄く良い写真だったので、ジョンは彼女の名前で検索するが全くヒットしない。
その一部をブログにアップしたところ熱狂的な賛辞が次から次へと寄せられた。
更に丁寧に調べていくと彼女は数年前に死亡したことがわかった。
オークションで更にヴィヴィアンのネガを競り落としたり、既に持ってた人から買い取ったりしてジョンのもとにはヴィヴィアンの膨大なネガが集まった。
住所があったので電話をかけてみると青年が出て「ヴィヴィアンは僕のナニー(乳母)だった人です」と言う。
ジョンはヴィヴィアンの話を聞くうちに好奇心を刺激され、溜め込み魔だったというヴィヴィアンが貸倉庫に遺した遺品を全て譲り受ける。
ジョンはヴィヴィアンの写真展を開くとどこでも大盛況。「ヴィヴィアンは20世紀最高のストリート写真家」と評され、全米で一大センセーションを巻き起こす。
人付き合いせず、賃金の安い乳母の仕事をしながら15万枚以上もの写真を撮り続けながら生前には一枚も公表することのなかったヴィヴィアン・マイヤーの謎に満ちた人生に迫っていく。

 

 

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ジョン氏がヴィヴィアンの写真をネットに載せたら一気に大評判になり、有名フォトグラファーたちも賞賛。しかし
「何故、彼女はこれらの作品群を発表しなかったのかしら?」
「絶対、成功できたのに」
乳母ヴィヴィアンに育てられて今は大人になってる人達や、一時期だけ顔見知りだった人達のインタビューで彼女の人となりがわかってくる。
「変わり者だった」「自分の内面や過去を語りたがらない」「結婚はおろか恋愛も人付き合いも殆どなかった」「常に首にカメラをぶら下げて撮っていた」「『古い時代の人』のような変わった服装と髪型」「衛兵のように手を振って歩く変わった歩き方」「子供達に人気だった」「突然、8ヶ月間の休暇を取って海外を旅して写真を撮って回った」
なかなか独身生活をエンジョイしているように聞こえる。
だが「NY出身らしい」という事以外に彼女の生い立ちを知っている者はいない。
系図学者に調べてもらうが「生涯独身」「父は早くに居なくなり母子家庭だった」「両親は他界、家族も親戚も一切交流なし」「物を溜め込む癖があり、特に新聞は床が凹むほど溜め込んでいた」そんな事くらいしかわからない。
一人だけいた叔母は遺産を友人に残した。叔母の遺書には「親類への財産分与は一切認めない。理由は胸に秘めておきます」とある。唯一の姪ヴィヴィアンは生きてたのに何で彼女に遺さなかったのか?謎は深まるが、事情を知る人が全員死んでるので一体どんな確執だったのかは永遠にわからない。
「ヴィヴィアンの母はフランス人だった」「2回ほどフランスに滞在している」という事がわかりジョンはフランスに飛ぶと、彼女たちを知る人たちがいた。そこでヴィヴィアンが現像やプリントを依頼した手紙を入手する。
このあたりでジョンは自発的に発表を望まなかったヴィヴィアンの作品を、彼女の死後に自分が勝手にバンバン発表していることに罪悪感を覚えていたが、これで「彼女も形に残そうとはしてたんだ」と少し安堵する。更に「僕たちは彼女の夢を叶えてるんだ」とまで言い出すので、少し「それはどうかな?」という気がしなくもないが、まあいいか。
ヘンリー・ダーガーの「非現実の王国で」とかもそうだが ヘンリー・ダーガー - Wikipedia 「特に世間への発表を望んでなかった個人のアート」を死後「見つけた人がその作品や人生を勝手に公にしても良いのか?」という問題はいつも思うし答えは出ない。まあどちらも多少の好奇心を満たす要素はあるものの基本的に「良いアート」として世に出して人気なんだから個人的には別にいいような気がする。
実際のところ「自分のことを一切話したがらない」という中年期以上のヴィヴィアンを雇っていた人達の証言だけなのでヴィヴィアンの若い時や私生活は全くわからない。このわからないところが多いのも興味をひかれる。

 

 

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彼女の写真は街の人達や物を撮ったストリートフォトが主で、今で言う自撮りなども多く、基本的にモノクロ写真(たまにカラーもある)。
私生活は人と交流ないが、街の雑踏は恐れず人に凄く近づいて撮っている(スラム街の怖そうな黒人や酔っぱらいにも凄く近づいて撮っている)
また今で言う「自撮り」も多く撮っていることからしても「自分が嫌い」というわけでもなさそうだ。だから人間に興味なかったり交流を怖がっていたわけでもなさそうなので、やはり自ら孤立を選んでそうしていたように思える。
首から下げて胸の位置にあるカメラは、上からファインダーを覗くタイプなので、被写体は「彼女の顔」を見ていてカメラ目線にはならず、作品はどれも被写体が微妙に上方を仰ぎ見ている構図になっていて迫力がある。
写真やアートの良し悪しとか一切全くわからん僕が観ても洋書の写真集買おうと思ったくらい全部良かった。
アートに詳しくないので難しそうなアート写真(ただ壁を撮っただけの写真とか)はわからんけど、ヴィヴィアンの作品の場合、撮った意図や構図がわかりやすいので多くの人が楽しめる。
また彼女はテープレコーダーで街の知らない人達に突然話しかけて「今の政治をどう思う?」とかインタビューしている音声もある。
ヴィヴィアンが現代の人だったら、バイトしながらネットに作品を発表したり、もしくはYOUTUBERになってたりしたのかも。

 

 

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作品が見つかってセンセーショナルを巻き起こす前半、生前の彼女のことを描いた中盤を経て、後半では彼女の暗部を描く。
写真を撮る時にはバンバン話しかけたり怖い人にもどんどん近づいていける彼女だったが、恋愛は一切せず、男性に近寄られると極端に拒絶したという。
ヴィヴィアンに育てられた女性たちは「ヴィヴィアンは過去、男性に酷い目に遭った事があると思うわ」と語る。
また彼女達は、ヴィヴィアンは愉快なだけの乳母ではなく「食べ残しをすると押し倒されて口に食べ物を詰め込まれた」とか「靴紐を結ぶのが遅いと頭を壁に叩きつけられた!」とか語り、思い出し怒りでプルプル震えだした。
また別のヴィヴィアンに育てられた人が、ヴィヴィアンとの関係が悪かった時に「町を散歩中はぐれたふりして町に置き去りにされた!」とか「車に轢かれた子供を助けずに近くで撮ってた(実際に悲しそうなカメラ目線で運ばれる子供の写真が出映る)」とかも言っていた。
謎が多いあまり妙にメリー・ポピンズ的なファンタジックな自由人としての乳母って感じのイメージと、偏屈そうな中年女性としての逸話が混在している。
二つのイメージを合わせると立体的な女性像が浮かび上がってくる。
あと、彼女を雇っていた老婦人の話。「誰かに覗かれている」という被害妄想が激しくなって引きこもりがちになったり、住み込みの務め先に新聞を溜め込みすぎてて要らないだろうと思った家人が処分すると、帰宅したヴィヴィアンが「私の新聞が減ってる!私の新聞を返せ!返せ!」と発狂したりとヤバさが増してきたので泣く泣くクビにすると「わかりました、次の仕事に影響が出るので二ヶ月前に言い渡したことにしてください」と冷静に言うので「この人、クビになり慣れてる‥」と思った話なども興味深い。
晩年になるほど不幸せそうなエピソードが多い。やはり独身のまま年取って自分としか会話しないと精神状態が悪くなるとよく言いますよね。。
しかし、まぁ実際のところ彼女の心のうちは最初から最後までよくわからない。一人でいる事を望んでそうしてる老人だったからと言って他人が「ということは不幸だったんだろう」と勝手に結論付けるのは好きじゃない。
とにかく後半は、彼女の心の闇や晩年の不幸さを取り上げつつ最後は再び、視点が現代に戻る。
冒頭の「LAでもNYの写真展でも大好評!」という場面に戻る(来展したティム・ロスはヴィヴィアンが撮ったスラム街のホームレスの写真を購入)
「ヴィヴィアンってどんな人!?」と思わされる前半。ちょっとだけわかる中盤。ヴィヴィアンの心の闇が少し見える後半‥の後にこんな「彼女が遺した作品は大人気!」って感じのラストを見せられるもんだから、どうしても「不遇だったヴィヴィアンの魂が死後に飛翔した」かのように思わされて感動してしまう(もちろんこの並び替えによって感情を揺さぶる事こそドキュメンタリーの妙だし彼女からしてみると大きなお世話でしょうけど)
個人的には「発表するつもりはないがずっと創作している人間」の存在は凄く心を動かされるし勇気が出てくる。ヴィヴィアンの心のうちは最後までわからなかったが彼女にとって生きるということは写真を撮ることだったんだろう、という事は確かだ。
そんな魂を写真という形で物質化データ化して残っているというのがデカい。
しかも素晴らしい写真なんだし本作を総合的に見て僕は「ヴィヴィアンは魅力的な変わった女性だった」と結論づけた

 

そんな感じでした

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www.happyon.jp

www.imdb.com

http://www.vivianmaier.com/

www.youtube.com

Vivian Maier: Street Photographer

Vivian Maier: Street Photographer

 
Vivian Maier: A Photographer Found

Vivian Maier: A Photographer Found

 
ヴィヴィアン・マイヤーを探して [DVD]

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