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「ヴァレリアン 千の惑星の救世主 (2017)」リュック・ベッソンのクソバカSW。だが最後のジェダイよりずっと真面目なSFだった

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原題:Valérian et la Cité des mille planètes
監督&脚本&制作:リュック・ベッソン
原作:ピエール・クリスタン、ジャン=クロード・メジエール「Valérian et Laureline」
製作国:フランス/中国/アメリカ/アラブ首長国連邦/ドイツ 上映時間:137分

 

原作は60年代後半に描かれた、美男美女の宇宙エージェントコンビによるスペースオペラバンドデシネ(フランスのコミック)。
少年の頃に愛読者だったらしいリュック・ベッソンが昔から作りたかったが昔はCGが発達してなかったし無理だと我慢して「フィフス・エレメント」とか撮りながら我慢してたが、「アバター」を観て「これならヴァレリアン作れるかも!?」と、やっと制作を始めてフランス映画史上最も大金かけて作ったが残念ながら本国やアメリカ大コケした上にネット評価も低い。
だけど僕は本作を楽しみにしてた。
ネットの評価は気にするな。たとえばリドリー・スコットの「悪の法則」は僕にとっては傑作だが世間の評価は低い。
こんな感じの頭悪そうなSF大作映画が作られることは滅多にない。
これはリュック・ベッソンのような成功者が何十年も作りたいと願い科学の発展を待ってコネも増やした上で採算度外視でやっと可能になった捨て身のSF映画。だから、こういう映画は数十年に一回レベルでしか観れない(というか永遠に作られないかもしれない)。評価は客人の判断によるものだが一見の価値はある。
それにリュック・ベッソンにとってのスターウォーズなのだから例え面白くなかったとしても執念のようなものを感じ取れるはずだ。ちなみに僕はリュック・ベッソンのファンでも何でもないですけどね(だけど皆さんもエジソンのファンじゃないけど電気を使ったり、発明した人も知らずに水道を使っているでしょう)

スター・ウォーズも昨年末「スターウォーズ 最後のジェダイ」が公開されたが賛否両論だった。賛否両論っていうか日々の経過と共に否の方が増えている印象(何故かと言うと否定派の言うことの方が正論を言ってるから)
肯定派トップランナーは「最後のジェダイは古いSWを破壊して新しい新天地に向かった─」的なカッコいい論を何とか作ろうとしてるが、はっきり言ってそんな大層なものではないと思う。
僕はと言うと「最後のジェダイ」を客観的に捉えると「大部分が無茶苦茶なので駄作だと思うが、どういうわけか異常に面白いから好き」という結論に至った。というかそもそもスター・ウォーズの事自体を大したものだと思っていないせいかもしれない。
前置きが長くなったが本作もまた「最後のジェダイ」以上のクソバカSFを楽しめるのではないかという期待があった。
つまり「え?実はなかなかのバカであるスター・ウォーズより更にクソバカなSFが淫水焼けで頭が狂ったフランスの監督のもとから誕生して来日?」という種類の期待なわけです。期待に答えてくれるものがあった。

 

Story
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西暦2740年。銀河を守る宇宙連邦のエージェント、ヴァレリアンデイン・デハーン)は同僚の美女、ローレリーヌ(カーラ・デルヴィーニュ)に首ったけ。
ヴァレリアンは何度も口説くがロクサーヌは一向に振り向いてくれない。
そんなある日、二人が派遣された巨大宇宙ステーション”千の惑星都市・アルファ”が放射能に汚染されていることが判明した。「全種族が死滅する危機を10時間以内に救え」という極秘ミッションを託されたヴァレリアンたちの前に突如現れたのは、30年前に消えたはずの平和な惑星パールの住人たち。
そして宇宙連邦司令官フィリット(クライブ・オーウェン)が拉致されてしまう。この任務には、銀河を揺るがす陰謀と秘密が隠されていたー
みたいな話

 

 

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原作が古すぎるだけあって、CG以外のストーリーとかキャラに現代っぽさがない。
と、回りくどく書いたが
「プレイボーイ白人男子が才色兼備の美人白人隊員を口説きまくるコンビ」という主人公や設定がもう「あ‥昔のフィクションですね」感が強い。
きっとアメリカ映画の観過ぎだ。今年のアメリカ映画なら男か女、どちらかを絶対黒人にする。だから白人カップル主人公を観て「数年前の映画だ」と感じたのだろう。

もちろん僕個人はそれに何の文句もない。白人ばっかりだろうが黒人ばっかりだろうがメキシカンとかアジアンでも何人でも面白ければ何でもいい。
ただ「アメリカ市場のトレンドから外れてるな」と思っただけ。
最初に言ってしまうとこの映画自体はそんなに悪くないのだが(というか僕は凄く好きだ)ヒットしなかったのは現代の時代性に通じるところが少なく見えたからなのかも。

一見、昔っぽいスペースオペラ(しかもかなり軽薄な‥)にしか見えないからね。
だが本当は無いわけでもない。
千の惑星都市は、ありとあらゆる異星人、ロボットらが共同に住んでいる。
中には首狩りの習慣を持つ種族もいるし、コロニーの整備を延々と整えてるロボットみたいなのもいる。それぞれの種族は全員が全員お互いを良く思ってるわけではない。だが共生せざるを得ない。自分以外を排除しようとするならヴァレリアンとロクサーヌがやってきて「嫌ならてめーがどけよ」と、ブタ箱にブチ込まれるだけだ。
この千の惑星都市の描写は明らかに現代の地球っぽく見える。「トランプみたいな排他的な考えじゃダメですよ」と言っている。
つまりこの映画に現代性がないわけじゃない。
だがさっきも言ったようにリュック・ベッソン映画全体から放射される軽薄でバカっぽい雰囲気にあてられて、そんな現代性を一切感じさせないのがコケた原因か?
もっと「ズートピア」みたいに「僕たち色々考えてます!皆さんも考えてみては?!」というムードを全力で放射しないとアメリカではヒットしないらしい。
映画が始まって最後まで、キャラクターやマシーンや建造物など、どれもめちゃくちゃカラフルだし人間よりエイリアンの方が圧倒的に多い。
そして凝った異星人やクリーチャーや武器や機械などがたくさん出てくる。
冒頭だけで、もう出てこないのに凝ってるエイリアンが何種類も次から次へと出てくる。(ここだけでSF映画数十本作れるくらい異星人が出る)
既に「ヒットしなかった」という結果を知ってる立場から観てると
「も、もういっぱい出たからもうそれ以上出さんで良くない?!もう出すな!お金なくなる!」と、見ていてヒヤヒヤする。
噂によると一瞬出てくるだけのエイリアンやロボ全てに超詳細な設定があるらしい。
それは残念ながら見てる我々には伝わらないが、リュック・ベッソンの情念や夢は感じた(‥ような気がした)。
何か、そこまで情熱があったのにヒットしなかったのが可哀想に思えてくる。
傑作とは言わないけど平均点以上の面白さはあるよ?やはり金かけすぎが原因なのか
そして期待通り「フィフス・エレメント」を豪華にしたような、カラフルで美しいSF映画だった。
映画全体が新木場の巨大クラブAGEHAのような浮かれた雰囲気、そんな画面から伝わってくるリュック・ベッソン特有の軽薄な波動に酔わされる。
今すぐロングアイランド・アイスティーやテキーラショットを飲んでベロベロに酔っ払い、明け方に富士そばでカツ丼食って朝帰りの電車で寝たくなる映画だ。
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リュック・ベッソンと言えば、子供っぽい世界観や、目のデカい生活感がなくアニメっぽい女性が異常に好きなイメージ。
俳優としては評価されながらも出演する大作がどれも上手く行かないイメージのデイン・デハーンの美少年ぶりもいい。アメリカ人の俳優はすぐに巨体になったりオッサンになる印象だがデハーンくんはスリムな美少年のままだな。
そして何よりもリュック・ベッソンがめちゃくちゃ好きそうな現実味のないバンドデシネ的美女カーラ・デルヴィーニュは、女優デビューする前から終始きまってるような顔したスーパーモデル。
女優としては2016年公開の映画で一番つまらなかった「スーサイド・スクワッド」で、タコ踊りして世界の失笑を買ったのが記憶に新しい。
メリハリが効きすぎてる顔は一度見たら頭から離れない。以前似た顔の、毎週クラブ行ってる派手な女友達がいた。元気にしてるのかな‥と映画観ながら思った。
デハーン君が優秀なエージェントというのは飲み込みやすいが、勉強とか苦手そうなカーラちゃんが「頭脳明晰で優秀な女性隊員」という役を飲み込むまでには一時間くらいかかった(もしめっちゃ賢かったらごめん)
だが適材適所っつーか、リュック・ベッソンの浮かれ具合とカーラの終始きまり続けてる土屋アンナ顔、‥そんな、お互いの浮ついたムードが合致してめちゃくちゃ噛み合っている。この両者はしばらくコンビを続けた方がいい。
それにしてもデハーンとカーラは、なんとなく似たようなスリムなボディ、派手すぎる顔立ち‥などが共通してるせいかカップルっていうよりも何だか兄妹っぽい(もしくは姉弟
脇を固めるクライヴ・オーウェンイーサン・ホーク、リアーナなど豪華なキャスティングや、妙に浮かれた雰囲気に当てられ、まるで由比ヶ浜でのレイヴや、六本木を歩いてるうちに外国人ばかりの訳のわからん店に入ってしまった時のような浮ついた気分を味わえる。
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昔はリュック・ベッソンのこういう中身のない浮ついたノリが苦手だったが、今となっては好きかもしれない、他にこういう監督いないからね。しかも何十年も浮ついた中身のない楽しい映画を撮り続けるとか逆に凄い執念だと言えなくもない。
本作も始まってすぐにこれでもかとカラフルな惑星や異星人が登場し、主役の美男美女コンビがVRビーチで水着着てカクテルを飲んでいる。
2人以外に隊員はいない。数十年前のヨーロッパ人の気楽な空想という感じ。。
子供の頃読んだハヤカワSF文庫の古いSFみたいで良い。観てると子供の頃の万能感が脳内に蘇って良い気分になった。
訳のわからん内容で褒められた内容じゃないにも関わらず嫌いになれない‥というかむしろ好きな「最後のジェダイ」同様これも結構好きだ。どうやら僕は最近、アホみたいなスペースオペラを欲しているようだ。もしくは馬鹿スペオペから漂う巨大クラブっぽい雰囲気が好きなだけなのかも‥
というかアホ扱いしてるけど本作より「スターウォーズ 最後のジェダイ」の方がアホ大作だと思う。
これは、雰囲気こそ浮かれてるものの内容は割と真面目だからね。
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現在のアメリカ映画大作ならば色々なポリティカル・コレクトネス配慮がしてあったり社会的な問題提起が常備されてるので、そんな中こんな楽しさを前面に出した映画観たら凄く新鮮な気分になれた。
また様々なガジェット、綺麗なバンドデシネ的色彩、そして主演2人の派手すぎる顔面を見てるだけでも楽しいし。
何か具体的な内容について一切触れず、何となくの表面的な雰囲気のことしか書かなかったが、本作はそんな浮ついた雰囲気が一番の魅力だと思う。
浮ついた表面だが中にはいると意外と真面目‥。
一見、派手なビッチだが遊びに行くと意外と真面目で家庭的なギャルのような映画だ。
問題提起も大事だが本作みたいに楽しさを追求したSF大作も、もっと作られて欲しいと思った(本当は問題提起もされてるけどね)。
何とか制作費を回収させて続編を作らせてあげたい!というかアメリカ人は最後のジェダイみたいな訳の分からんもんにあんだけ観るならこれも観ろよと思った。
ちなみに僕は本作も最後のジェダイもどちらも好き

 

そんな感じでした

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www.valerian.jp

www.imdb.com

www.youtube.com

ヴァレリアン

ヴァレリアン

 

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