gock221B

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『トゥームレイダー ファースト・ミッション』(2018)/凡作だったが僅かな戦闘シーンの良さと便器の汚さだけはガチ🗾

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原題:Tomb Raider 監督:ローアル・ユートハウグ 製作国:アメリカ 上映時間:118分

 

人気ゲームの映画化。ララ役は「エクスマキナ」主演の女性。
監督はアメリカに来たばかりのノルウェーの新人監督。
ゲーム「トゥームレイダー」は1996年、若い時にオリジナルの一作目が出た時に物凄い熱中してやった。それから時が飛んでこの映画の原案である2013年のリブート版のゲーム(基本アラサーくらいのセクシーな女性だった旧シリーズと違って、新米冒険家の21歳のララが主人公)もPCでやって大好きだった(2作目はPCのスペックが低いのでまだやってない、もうすぐ3作目が出る)
このララ・クロフトというキャラクターは20年以上、凄く人気があるゲームの女性キャラ。その期間を考慮すればゲームの女性主人公キャラの中で一番人気(たぶんメトロイドのサムスや春麗より人気ある)僕も凄く好きです。
映画版としては、2000年代初頭にアンジェリーナ・ジョリーが2作主演した。
1作目は駄作とまでは言わないが凡作、2作目が駄作だったためにシリーズは終了。
で、本作はゲームのリブート版を映画化したもの。ネタバレあり

 

Story
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ロンドンで暮らす女子大生ララ・クロフトアリシア・ヴィカンダー)。
謎の死を遂げた冒険家かつ資産家の父リチャードの遺志を継ぎ、トレジャー・ハンターとなり最初のミッションに挑むことを決意する。
それは日本のどこかにあるという卑弥呼がいた絶海の孤島「邪馬台国」に隠された幻の秘宝を封印するというもの。その秘宝には世界を滅ぼす邪悪な力が秘められており、秘密組織トリニティがその悪用を企んでいるという。
ララは、秘宝を求めて邪馬台国に辿り着くが、島はマサイアスウォルトン・ゴギンズ)という男が支配していた――
 

 

前半
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🗾10数年間「トゥームレイダー再映画化まだか」と思ってたんだが、結論から言うと旧トゥームレイダー同様、凡作かな。。旧作より良いところもあるが悪いところもたくさんある。
特に前半がめちゃくちゃひどい。ひどいというか‥どうでもいい。
まず最初に、ララの人となりを紹介するために大量の時間を費やす‥、何と冒険に旅立つまでに40分間くらい費やしてしまう!
ゲームだと、いきなり船が遭難!→あとは冒険をしながらたまに語りや回想が少しだけ入ってララの人となりがわかる感じだった。
というか、ララの人となりは冒険に全部出てるので私生活とかマジで要らん。
ララの背景なんて明快で「冒険家&資産家の娘」「父の意思を継いでトレジャーハンターになる」「ララは運動神経抜群で格闘技も習ってるしアーチェリーが百発百中」「勇敢で、最初はお嬢様だが冒険していくうちに10倍くらい強くなる」
これだけ。
こんなもん冒険しながら描写で見せたり口で軽く説明するだけで充分なのに本作では
「ララがジムで格闘技を習っている」→「ララは遺産に頼らずバイトしているので貧乏」→「バイト先の青年がララに惚れているが気が弱くて告白できない」→「金が無いから自転車鬼ごっこ大会に参加」→「父のノートを見つけて邪馬台国のことを知る」→「私物を質屋に入れて金を得る」→「香港で三人組のスリ少年達と追いかけっこ」→「邪馬台国へ行くため船乗りの中国人ルーを雇う」→「冒険へ‥」‥
こんな感じで、ララの私生活や島に行くまでの顛末が延々と40分かけて描かれる。
マジでどうでもいい!
格闘技訓練とか自転車鬼ごっこ大会とか、ましてやバイト先の青年がララに惚れている描写なんか絶対いらない。
しかもララは街のジムのトレーナーに普通に負ける。ララなんだから「教官に圧勝?天才だ!」でいいんだ。自転車鬼ごっこの経験が冒険で活かされること一切なし(せめてアーチェリーやボルダリングにしろ)バイト先の青年もこれ以降永遠に出てこない。せめて格闘技の教官やサイクリング者やバイト青年も仲間にして冒険に着れてくならわかるがそんな事は一切ない。
ジャッキー・チェンで喩えると「ジャッキーのアクション映画を借りてきたのに、前半40分間、ジャッキーが延々と確定申告の計算をしている」ようなもんだ。
これほどまでに要らない前半部分がある映画久々に観た。
「この40分間、再生しながら洗濯とか掃除とか料理すればよかった」と思った。
この監督、映画を観たことないのか?
「いきなり邪馬台国で危機一髪アクションをしているララ」→タイトルが出る→「数分の回想でこの島に来た理由を語りつつ冒険の続き」これでいいだろ。
ララのアイデンティティは冒険だけで全部表現できるんだよ。

🚽その後、中国に良い顔するためにイケメン酔っぱらい香港人を雇う。
原作ゲームでは発掘サークルみたいなグループが仲間だったが、本作では彼一人が名前のある仲間となる。まあララ以外はどうでもいいキャラなのでどっちでもいい。
彼自身には特に文句ないが、彼の船の簡易トイレがマジでガチリアルに汚い!
酔っぱらいの世捨て人アウトローだから便所も汚くしたんだろう。便器の汚さが凄くリアルに作ってある。
その後、数十分くらい「きったねえ便所だったな‥」「しかし、きったねえ便所だったな‥」と嫌な気分がずっと残り続けて鑑賞の妨げになったので「これは映画なので美術さんが気合い入れて汚いトイレを作っただけ‥」と何度も自分に言い聞かせてアパートの周りを歩いてきてビール買って飲んで便器の事を忘れなきゃいけなかった。
どの映画にも言えるが「リアルに汚い便所」はリアルに映さなくていい。
あとついでにゴキブリとかムカデなどの気持ち悪い虫も出すな(この映画には虫が出てくるわけじゃないが)。80~90年代のアメリカ映画にはやたらとゴキブリとかが画面に出てきて辛かった。「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」とかも本編は最高だが、虫がどちゃくそ詰まった洞穴を歩くシーンがあるからBlu-rayとか絶対に買わん(他には宇宙人の袖からビーチサンダルくらいあるゴキブリが出てくる「MIB2」とかも二度と観たくない)
それと同じ様に便器も汚く作らなくていい。。
しかも、この船乗りが失神したので「ララが水かけて起こす」という場面で、このめちゃくちゃ汚いトイレの上に香港人を寝かせて水をかける。デッキでいいだろ。何で、わざわざこんな汚い便器の上に寝かすんだよ。仲間にする気なのに大便扱いか?それ以前にいくら世捨て人の酔っぱらいだろうがトイレが綺麗でもいいだろ。リアリティ重視のつもりか知らんが、世捨て人の酔っぱらいなのに筋トレして綺麗にボディメイクしてある身体のイケメンなのはいいのか?
「大量のウンコをかぶってしまう」とかなら、もう汚すぎて逆に何とも思わないのだが「便器が汚い」というのはリアルさを感じてダメなんだろうと思う。
あまりに便器が汚かったので、この直後に嵐に遭って船が転覆した時、本当はララとイケメン中国人の安否にハラハラしなきゃいけないのに「汚い便器が海の藻屑になってよかった~」とスッキリしてしまったぞ。
この監督はどうやら色んな事をリアルに描写しようとして全部裏目に出るタイプとみた。

 

 
中盤
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観ても観なくても構わない40分を費やして島に上陸すると、やっと冒険が始まった。
ざっくりした流れはゲームと同じ。遭難して謎の組織に捕まるが逃げた後で、マサイアスに先んじて父がやろうとしていた「卑弥呼の墓の封印」を行う流れ。
そんな中盤から後半にかけては、やっと普通の面白さになった。
というか原作になったゲーム同様、ここから始めれば良かったんだ。
いかにもゲームっぽいパズル的な遺跡の仕掛けなども「トゥームレイダーっぽさを抑えときますよ」程度の感じで何個かあった。まぁパズルはこれでいい‥
ゲームの中にあったQTE(クイックタイムイベント‥イベントムービー中のキャラを動かすアレ)が連続で映像化されていた。
滝流れ→古い戦闘機に逃げ込む→戦闘機も滝壺に落下しそうになって古いパラシュート見つけて外に飛び出す→パラシュート開くがボロボロで林に突っ込むが何とか着地→腹に金具が刺さった!‥みたいな。
「あ、ここゲームでやった。これもやった」というシーンが頻出。ゲームでは島の色んな箇所で行われたQTEがひとまとめにされていたので「これプレイしてたら今の数分間で20回は死んだな‥」と思って楽しかった。
ゲーム内でもララは、むごたらしく死んだり、何かが身体に突き刺さったりと、痛めつけられる描写が多い。
原作のリブート版ゲーム「トゥームレイダー (2013)」は、特にそういった描写が多くてゲームで死んだらララに何か突き刺さって悶え苦しんで死ぬので一部の変態以外には不評だった。
まぁ恐らく、女性が社会に出て色々苦難に遭うという要素を冒険内での痛みに変えて表現した感じ?と言えなくもなかった。
フィクションには「リアリティラインをどこに作るか」という問題がある。
昔のゲームだったら、タンクトップ&ショーパンで細い身体のララが冒険したり恐竜と戦っても不自然じゃなかったけど、最近のフォトリアルなグラフィックで「強いけど超人ではない女性」って感じで描写されたララがあまりにも強すぎるとリアリティさがないので、色々と「痛がる描写」が増えたのかもしれない。
そんで「このフォトリアルなララが、崖を転がり落ちたりするのにタンクトップ&ショーパンはないやろ‥」という事でかショーパンではなくなって普通のズボンになった。
その代りに上はトレードマークのタンクトップいっちょで冒険していた。その言い訳としてゲームではララの二の腕に擦過傷ができまくる(崖から転げ落ちて擦過傷程度じゃ済まんがそこは「まぁゲームだし傷つけたから許してくれや」と、そんな感じだった。
この映画はその辺の「ララの痛み」も拾い上げて描写して、それが後述するララのリアルな戦闘などの良いところを生むこともあれば、悪いところ(まるごと不要な前半とか不必要なほどに汚い便器)もある。
脱出に成功したララは、何かの金具が腹を貫通してしまうので苦しみながら引き抜く。
これはゲームでもあった場面。気持ち悪い言い方だが冒険としての処女喪失シーンと言える。これはきっと大事な場面で、ゲームの制作会社から入れてくれって言われてたんじゃないだろうか
ゲームでは後半、落ち武者の悪霊などが出てくるので、本作の卑弥呼の墓の近くにいっぱい眠っていた護衛団のミイラ達が動き出すのかと思ったが、それはなかった。
また「卑弥呼の呪いや世界を支配するパワー」も、ゲーム内ではマジで超自然現象だったのだが、本作では「卑弥呼のパワーとは、彼女が保菌していた未知のウイルスだった」という科学的なものになった。
まぁララの冒険がメインで、その辺は只のマクガフィンなのでオカルトだろうが科学的だろうがどっちでもいい。この監督はリアリティ重視っぽいから非オカルトを選んだんだろう

 

 

ララの死闘ナイス
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👊ここまで本作のリアルさは、あまり映画の面白さに繋がっていなかったが本作の「ララの戦闘」だけには、そのリアルさが上手く結びついていた。
勇敢さや運動神経は超人レベルだが、物理的な強さは「女子にしては強い」程度のララ。いや、筋肉量や技術で劣っている女子格闘家や男と格闘したらので普通に負けるので「元気な女子」レベルだ。
だからララはトンチを使って罠で敵を殺したり、アーチェリーで射殺したりして戦う。
そして初の戦闘が凄く良かった。
マサイアス一派から逃れた後に、ララは追手に追いつかれたので林の中の泥の水たまりで戦闘する。キャットファイトやメッシー好きの人が喜びそうだが僕は別にそういう趣味ないので普通。
ララは敵の屈強な兵士に殴られたりして苦戦。単純な殴り合いでは勝てないと見たララは格闘技での経験を活かして男に胴締めチョークスリーパーを極めながら男の顔を泥に漬けて溺死させる。確かに女性が屈強な男を殺せてもおかしくないリアルな殺し方を選んだね。
そして最近のアメリカエンタメ映画にしてはかなりエグい倒し方だ。
ゲームでは逃げ出した直後に「ごめんなさい、でも私も生きなきゃいけないの」とか言いながら鹿を殺して食べるというララの生き抜く意思を見せる名シーンがあったが、映画ではこの「自分を殺す気のない、ただ連れ戻しにきただけの男をガチでブッ殺す!」というバイオレンスなシーンに変わっていた。
恐らく普通のアメリカ映画だったら「何となく戦ってるうちに男が頭を石にぶつけて気絶」みたいなボンヤリした感じだったはずだ。そこをモロにブッ殺した。
ララも男にかなり殴られるし、ララもまた明確な意思を持って男を殺すしで、僕は偉いと思ったけど近年のアメリカのPC的にはウケない描写で批評家には「女性が殴られる場面って何だか嫌~」って感じでウケなかったらしいが、僕は「真摯にララというキャラクターや殺し合いと向き合っていて偉い」と思った。世界のごく一部(俺)がそう思っただけで全く報われない偉さだ。
どうやら本作はあまり得しない方向に頑張ってしまったようだ。

👊マサイアスとのラストバトルも、前述したようにララは単純な殴り合いでは勝てないので金的蹴りや関節技で対抗しつつも逆転されて絶体絶命になる。
だが父に間接的に助けられつつ、墓所から脱出できる唯一の橋を破壊してマサイアスの精神ダメージを完全に折り!マサイアスの口に致死性の毒をブチ込み!ついでに崖に落とす!‥という猛反撃で完全勝利!
マサイアスはわずか数十秒の間に3回死ぬダメージを食らって死んだ。
わずか数十秒の間に、物理的にも精神的にもマサイアスは3回死んだ。
3x3で合計6回も死んだ、という悪党にふさわしい死に方だ。
ゆらゆら帝国の「3x3x3」というアルバムは良いアルバムでした。
凄くムカつく悪役の頭を撃ち抜いてすぐ死んでしまうと物足りない。
できるだけ何度も絶望したり長時間苦しんでから死んで欲しいものだ。
この泥臭いラストバトルも他の映画ではないし凄く良かった。
特に「脱出経路を断つ」ところ。ララは結果的に脱出はできるんだけど、この時点では自分も脱出できなくなるのにマサイアスにを絶望させたいというだけの理由で橋を落とすという嫌がらせで橋を落としたのが凄く良かった。
そんな感じで、ララが追手を殺すところと、このマサイアスを完全に殺すラストバトルは本作で唯一良い場面だった(両方合わせて2、3分しかないが)

 


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🗾あとはピッケルでの崖登りや、ラストで三つ編みにして2丁拳銃を手にする終わり方‥などゲームっぽい要素はあった。
まぁリブート版ララのトレードマークは二丁拳銃じゃなくてアーチェリーだしゲーム版の続編でも銃よりアーチェリーを使ってるわけだし三つ編みにもならないのだが、まぁ「この娘が成長したら、あのララになりますよ」という目配せなんだろう。
この辺を含めたゲームにもあった描写の数々(QTEや傷つきながら強くなるララ)は、きっとゲーム会社からの必須項目だったんだろうね。

🗾主演のアリシア・ヴィカンダー。筋トレでガチガチの身体になってるし美人だし演技も出来てて文句はないのだが‥あんまりララに見えないなぁと発表された時から思ってた。
エクス・マキナ」のアンドロイドがハマリ役だったように、どこか無機質かつ陰の魅力のルックスだし凄くエキゾチックな顔立ちなのでララっぽくない。何だかララというより「ララの強い味方」って感じだ。
旧シリーズのララはアンジェリーナ・ジョリー風のツリ目&分厚い唇のセクシーキャラだった。リブート版ララは最近の新人女優っぽい、そばかすがありそうなサンダンス映画祭の映画に出てきそうな白人だった。
この女優さんが悪いわけでは全くないのだが、もっと「モロにイギリス白人!」って感じの女優の方が良かったような気がする。

🗾そんな感じで、前述したように前半が最悪で、中盤と後半は普通。ララの二回ある戦闘シーンだけ凄く真摯で凄く良かった(ただし数分間)、そんな感じ。
各要素を分けて100点満点で採点すると、
第一幕:4点
第二幕&第三幕:48点
ララのバトル:82点
そんな感じだ。平均すると45点くらいか。

昔、色々あったゲーム原作映画と比べるとかなり原作再現できてるとは思うが、そんなものと比べても仕方ない。
制作資金ギリギリ回収できたくらいのポテンヒットだったらしいので、続編を制作する可能性もゼロではない、が僕としては「もう別に続編なくてもいいかな‥」と思った。
続編作るくらいなら監督や女優さんも全部変えてリブートして欲しい。仮にそれがされるとしても再び10年後くらいか?上手くいかないね。まぁもういいわ。トゥームレイダーに関してはゲームした方が早い。
こういう遺跡アクション映画って、真に面白いのはインディ・ジョーンズグーニーズくらいしかないので、面白い遺跡冒険アクションって意外と難しいジャンルなのかな。
この監督は、格闘技やスポーツなどの映画が向いてそう。

 

そんな感じでした

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