gock221B

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『BOUND9 バウンド9』(2011)/ウインド・リバーの監督デビュー作のトーチャーポルノデスゲーム✂

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原題:Vile 監督:テイラー・シェリダン
製作国:アメリカ 上映時間:89分 ※日本劇場未公開

 

 

 

シェリダンなる脚本家が監督&脚本を手がけた「ウインド・リバー」が良かったので、先日、シェリダン脚本作「最後の追跡」観た、なかなか良かった。以前にシェリダン脚本でヴィルヌーヴが監督した「ボーダーライン」これも当然良かった。そんでシェリダンは「ウインド・リバーが初監督作」って宣伝するけどネット見たら本作が初監督作みたい。
わざわざ借りてまで観たくなかったがNetflixにあったから観た。
まぁ多分これはインディーズっぽいからカウントしてない感じ?
この邦題は何なんだろう。「ばうんどないん・ばうんどないん」?そんな訳ないよな。「ばうんどないん」だろう。何で「BOUND9」って英題を新たに作って横にカタカナ書いてるんだろ?BOUNDって小学生でも読めるだろ。しかも小学生はこんなの観ないだろうし‥「BOUND9」だけじゃ意味わかんないしそれなら原題の「Vile」でいいだろ。何か無駄を感じる邦題だ。まぁどうでもいい
ネタバレあり

 

 

Story
完全に密室化された実験室には拉致された9人被験者が居た。
彼らには、脳が痛みを感じた時に生成される脳内麻薬を抽出する特殊な首輪が取り付けられていた。
彼らを閉じ込めた実験者によると首輪を無理に外すと死ぬし逃げ場はない。
9人が脱出するには「22時間以内に一定量の脳内麻薬を集めること」しかない。
彼らはお互い、もしくは自分で自分を死なない程度に傷つけて22時間以内に物質を溜めるしかない――

 

 



シェリダン氏の脚本はアメリカを舞台にした開拓期の西部劇っぽい物語がテーマみたいだけどこれは彼の脚本じゃないし、只のトーチャーポルノ(拷問系ホラー)とデスゲーム系ホラーを足しただけのホラー。
シェリダンは先で監督するために、この雇われ仕事で監督業を練習した感じ?
個人的に、ホラーは大好きだけどトーチャーポルノもデスゲームも嫌いなんだよね。なんかバラエティ番組を観てるような気分になってくるし即物的で排他的な物語が多い印象。「恐怖」は好きだが「痛い」はジャンルが違う。
ジェームズ・ワン制作映画は好きだけど「SAW」シリーズは嫌いだし。
デスゲーム映画もまたクソ邦画の定番だというのもイメージ悪い。
新人イケメン俳優が目を見開いて「‥さぁ!ゲームの始まりです!ヒャッハー」とか言って稚拙な狂人演技してるのは恥ずかしくて観てられない。
だがトーチャー映画と言えばイーライ・ロスの「ホステル」「ホステル Part.2」だけは例外で大好き(単純に映画として傑作だから)。同じくイーライ制作の「アフターショック」も傑作だし、イーライ監督作「グリーン・インフェルノ」「ノック・ノック」も、まぁまぁ面白かった(「ホステル Part.3」はイーライ無関係の駄作なので観なくていい)主人公カップルと友人のカップル、二組のカップルがヒッチハイクしている美人を乗せる。だがその美人は地獄への道先案内人だった(この辺はホステルと一緒)
美人のガスで眠らされた主人公たちは、密室で目覚める。
同じ様に拉致されていた者らも5人いて、総勢9人。
脱出するには

💀自分たちに取り付けられた首輪に脳内麻薬を抽出させるために苦痛を感じる
💀痛みで脳内麻薬が出たら上昇する「痛みメーター」を100%にする
💀制限時間は22時間
💀他人を拷問しても自傷でも、とにかくメーターを100%に出来ればOK
💀痛めつけすぎて誰か死んでしまうと、溜めたメーターが大幅に下がる

ルールはそんな感じだ。死なない程度に注意して互いに拷問しなければいけない。
腹を立てた知らんオッサンが「そんなことやってられるか!」と力づくで外すとオッサンは死んだ(よくこんな頚椎に刺さってた訳の分からん装置を引っこ抜けるな)
実験者の説明によると彼ら9人が激しい痛みを感じると「痛みメーター」が上昇する。このメーターが100%になれば装置を外して解放されるらしい。
勿論それが本当かどうかの保証はないし、やりたくなさすぎるが、やらなければ一生ここに監禁されたままなのでやるしかない状況。
そして最初に入っていた黒人のオッサンが、後から入れられた主人公の親友の黒人の爪を剥がして「痛みメーター」を開始してしまった。こうなっては、もう22時間以内にメーターを100%にする以外に生き残る方法はない。
皆は相談の末、痛みを生き残ってる8人で、一人が約14%づつメーターが上昇するように公平に拷問しあう事になった。
まず手始めにスタートさせてしまった黒人のオッサンが拷問を受ける。
皆は黒人のオッサンを普通に殴る蹴るする。だが痛みメーターの上昇率が悪い。
さっきこの黒人と言い合いしていたビッチ風の女が、極限状態でプッツン来たのかオッサンの腹をブスブス刺したり両脚をブチ折る。すぐにメーターは14%到達。何だこの女。。
つーかこの女は終始悪態をついたり「黒人のおっさんはまともに動けないから、この黒人のオッサンを延々と痛めつければ私たち女子は拷問されなくてよくね?」と提案したり、過失で実験者の一人を殺したりする。そんなアホな行動ばかり取っている‥。こんな治外法権の場所で皆に嫌われる事ばかりするって相当アホだな。自分の番が来た時どうするんや?
このビッチ以外の人間はまともな倫理感を持った者揃いで「そんな酷い提案は却下だ。皆で痛みを分け合って脱出しよう」と正論で返されビッチは普通に拷問を受ける。どうすれば「痛みメーター」が14%くらい上がるのかと言うと、それは描写を観なければわからない事だが実際に拷問が行われた結果から見ると
「腹をブスブス刺されて両足折られる」「腹にアイロン押し当てて大火傷+指先を何本かペンチで潰す」「沸騰した熱湯に腕を漬けて我慢する」「ワッフル焼き機を自分の背中に押し当て、その火傷した箇所を殴りまくる+釘を足に打つ」とかそんな感じ。後は爪を剥がしてたっぽいが女性が拷問される場面は映らないので何したかはよくわからなかった。
もし自分がここに居たら‥と考えると当然、全部嫌だけど怪我が後引くのは嫌だから骨折や四肢損傷や範囲が広いものは避けたい。
そう考えると「骨や内蔵に当たらないように、肉に釘を打つ」のが一番、合理的で後遺症も少ないだろう。掌の水かき部分にでも打てばいい。バイキンが気になるのなら爪剥がしが一番安全か?めちゃくちゃ嫌だがな‥
主人公の彼女はドラッグ代わりのモルヒネを持っている事を思い出し、彼氏に痛みを味あわせたくないがあまり彼氏に飲ませるが、鎮痛作用によって痛みメーターが全然上がらなくなってしまい、主人公はより長時間拷問される結果に‥という笑いどころもあった(この彼女アホか?)

それにしてもロン毛の奴の目的がイマイチよくわからなかった。
僕の想像では、たぶん一人だけ脱出すれば莫大な金が一度に貰えるとか多額の借金がチャラになるとかだろう。
売人だった事がわかるオッサンは多分生きて外に出られたらその構造がわかって再挑戦したのかもしれない。それを実行してたのがロン毛の奴なんだろう。
もうちょっと死ぬ前に、具体的に色々喋ってほしかった。
この拷問部屋の秘密はネタバレしますが「脳内麻薬を抽出してた目的は、それを材料に本物の麻薬を作る」というものだった。どうやってそんな事出来るのかよくわからんがとにかく、この世界ではそういった違法薬物製造ができる世界なので特に疑問も浮かばない。何だか「ブラックミラー」の一話でありそうな話だ。まぁ、この部屋や脳内物質云々の秘密は、お互いを拷問させるための舞台装置に過ぎないので別にどうでもいい。
現実に絡めて語るなら「一つの娯楽は、血や汗を流してる者がいてそれが出来た」という現実がある。
それをトーチャーホラーの形に落とし込んだものだろう。
僕はファストフードのコーヒーとか食い物を食う時に「これらの原料は空中から湧いてきたものでもないし誰かが材料を作って運搬してる人が居て、工場で働く人が作った機械で調理されて、この店の店員が僕に渡してくれた。そしてそれらを運営してる各企業の社員がいて‥それを僕が今飲んでるんだろうなぁ‥」と、たまに思うことがある。
女子が大好きなスタバのコーヒー豆も貧しい国の子供達がめっちゃ重労働させられて死んだりしながら作ったものだし、そう思うと何の苦労もなく法外な快楽を得られるドラッグを作る陰にはこんな拷問で作られた脳内麻薬が使われていた!‥という設定は一見、荒唐無稽でアホらしいが、そこまでおかしな設定には思えなくなってくる。
「容易く得られる娯楽の陰には、誰かの血と汗がある」ということだ。
「酷い目にあって苦しむホラーの登場人物と、それを観て楽しむ我々映画ファン」という「キャビン」的な構造を‥もう本当そのまんまフィクション化した映画でもある。

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アホらしいが筋も通ってるし、まとまってたし意外と楽しく観れた。
想像してたほどグロくなかったし、患部や何やってるかの描写はあまり具体的に映さない(特に女性キャラ)。
僕は別にサディストじゃないので、そんな痛そうな拷問で苦しむ人とか詳細に観たくないのでこんなもんでよかった(だけどグラマーだったり薄着の女性が拷問される前には少しゴクリ‥と思ってしまい、そんな自分が嫌だった)
密室に集められた人たちは一部を除いて殆どがまともな思考や良識を持った人が多く、合理的に淡々と痛みメーターをGETしていくので不快感もなく観れたし。
シェリダンの手腕はどうかという最初の目的だが、こんだけアホらしい映画にも関わらず割と普通に面白かったので良いんじゃないでしょうか。。
それにしても終盤や結末が「ホステル」そっくりだったな。他にも、あちこちにホステルっぽいところがあった。だがホステルのような傑作じゃない。
ところどころおかしなところはあるが、最後まで飽きずに楽しむくらいの面白さはあった。深夜TVで流れてたので何となく最後まで観てしまったが別に文句ないくらいの面白さ、だが2回目観たりBlue-ray買う気には一切ならないくらいの‥100点満点中52点くらいの感じか。最近観た「トゥームレイダー ファースト・ミッション」よりは面白い
とりあえず日本語に翻訳されたシェリダン関連作はこれで全部観たかな。

 

そんな感じでした

「ウインド・リバー (2017)」現実にある地獄の土地を舞台にした現代西部劇。今年一番面白かったかも‥⛄ - gock221B
『モンタナの目撃者』(2021)/「ウインド・リバー」同様、異常に小物で追い詰められた敵の描写が最高🔥 - gock221B

 

「ボーダーライン (2015)」巨大な暴力を目の前にした時の無力感と不思議な快感、同時に我にあり💀 - gock221B
「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ (2018)」カルテルよりアレハンドロとアメリカの汚さにクローズアップしてて前作より好き💀 - gock221B

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