gock221B

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『アトミック・ブロンド』(2017)/誰も信じるなって事と、自分が触れることのできる現実感が大事👱🏻‍♀️

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原題:Atomic Blonde 製作国:アメリカ 上映時間:115分
制作&主演:シャーリーズ・セロン 監督:デヴィッド・リーチ  
原作:アントニー・ジョンストン&サム・ハート「The Coldest City」

 

 

 

世界の姉シャーリーズ・セロンによる入魂の企画。
自分でスタントするためだけに自腹で数億円払ってトレーニングしてアクションをこなし、「ジョン・ウィック」一作目で共同監督して本作の後に「デッドプール2」の監督をしたスタントマン出身のデヴィッド・リーチを監督に起用したスパイアクション映画。
「The Coldest City」というモノクロのグラフィック・ノベル(ざっくり言うと大人向け描き下ろしコミック単行本)が原作なので一応、コミック原作映画という事になる。
本作の興行成績は「そこそこ」だったが評価的には高評価だったらしい。

 

 


青あざだらけの女性ロレーン・ブロートン(シャーリーズ・セロン)が、ジョン・グッドマンを始めとする上司達に今回の任務がどうだったか説明するという回想形式で始まる本作。
ドイツで組まされるデヴィッド・パーシヴァル(ジェームズ・マカヴォイ)は最初っから敵丸出し。
つまり「シャーリーズ・セロンはマカヴォイに裏切られたり色々大変な目に遭って生き残るまでの時間を楽しんでください」と最初に宣言したスタイル。
しかもブロートンがドイツに来た時から敵に既に待ち伏せされてるし、彼女が行くところ行く所全てバレている。もう何もかもバレてて敵とエンカウントすること前提に任務を遂行しなければならないブロートンの活躍を見守る映画。
女性スター一人のスパイものって何かあったかなと思ってもあまり思い浮かばない。アンジェリーナ・ジョリーの「ソルト」とかあったがアレは女性版ジェイソン・ボーンって印象で「物理上可能だが超人すぎる‥」って感じだった。
本作はどうかというと、「ジョン・ウィック」監督だけあって実際にある戦闘技術を駆使して「急所のみを狙ったり出来るだけ硬い物で突く」という女性が男性をブッ殺す事が理論上可能な戦闘スタイルを使っている。そんな感じでブロートンは、複数の屈強な男性諜報員を接近戦で倒すので超強い女スパイ(必要に応じて色仕掛けも出来るので男の諜報員より強いと言える)
さすがに圧勝してしまうと現実味がないと思ったのか、ブロートン自身も殴り返される事が多く、彼女の身体は大体あざだらけ。結構騙されたりヘマもする。シャーリーズ・セロンが美しすぎるので非現実的なスパイかと思っていたが彼女はリアル志向のものを作りたかったようだ。‥もちろん強すぎるので現実と比べれば充分スーパーなのだが‥マジンガーZなどのスーパーロボット系と比べるとリアルロボット系と言われるがそれでも無茶苦茶な性能を持っているガンダムみたいな、そういう塩梅の「リアル」。
画面は赤&青で綺麗で、終始懐メロが流れてて、主演や共演者は美男美女ばかりという非現実的な画なのに、戦闘だけが泥臭いという組み合わせから感じる歪みが良いなと思いました。
この監督を選択したり、自分でスタントしたり、原作にはないバイセクシャル要素を足したりと、セロン氏はかなり時流を読んでる印象。
1~3年前に映画&音楽&ゲーム&コミックなどのアメリカのポップカルチャーで大流行した80年代オマージュもふんだんに盛り込んでいる(具体的に言うと、どこに行っても青と赤のネオンが点いてて、80年代ポップミュージックが流れる)、安上がりかつ誰でも出来るので大流行した80年代オマージュだが、何だかこれを多用して大ヒットしたものが殆ど無いせいか既に廃れかけてる気もする(最近、赤&青の画面見るとちょっとガッカリしてきたりするようになってきたし)
まぁとにかくトレンドを先読みして自分のやりたい事と摺り合せてアクション映画の先端に躍り出てやる!というシャーリーズ・セロンの気合は伝わった。
全部が全部うまくいったわけじゃない成功したと思う。
この映画に足りない要素は、黒人が全然出てこないって事くらいか。

 

 


音楽は1989年前後のヒット曲が多く流れる。
ブロートン登場ではデヴィッド・ボウイの「キャット・ピープル」が‥というか、ここ数年のアメリカ映画いったい何回デヴィッド・ボウイ流すの?ってくらいデヴィッド・ボウイ流れますね。生前もめっちゃ流れてたが死後もっと増えた気がする。
特にスペース・オデティとキャット・ピープルとか何度映画で流れるの聴いたか‥。
別に好きだからいいけどね。ちなみにジョン・グッドマンが演じたブロートンの上司役はデヴィッド・ボウイに依頼したけど断られたらしい(既に体調が良くなかった?)
だが、ただ懐メロを垂れ流してるだけではなくて、劇中で印象的に流れる曲の中でも、特にパブリック・エネミー「ファイト・ザ・パワー」やニュー・オーダーの「ブルーマンデー」などは、
Atomic Blonde - Soundtrack - Blue Monday - New Order - YouTube
Atomic Blonde - Soundtrack - Public Enemi - Fight The Power - YouTube
「ファイト・ザ・パワー」は1989年の曲だし、「ブルーマンデー」も1988年に出たバージョンみたいだけどブルーマンデーは「90年代の曲」ってイメージが強い。‥何でだろ?ブルーマンデーが90年代テクノに影響与えたせいなのか、それとも自分が中高生だった90年代によく聴いてただけかもしれないが。
とにかく、この2曲は「80年代が終わり90年代が始まる」「ベルリンの壁が崩壊する」という時代の変換をこれ以上ないほど表現していて、値千金の選曲だなと思った。
オリジナル曲だけじゃなくて、わざわざ現代カバー曲も併せて使ったのは「現代の目で、この時代を見ています」という感じを出したかったかららしい。このカバーも結構良いので文句ないです
HEALTH - Blue Monday (Atomic Blonde Soundtrack) - YouTube
だがサントラには、この「ブルーマンデー」「ファイト・ザ・パワー」あとクイーン&デヴィッド・ボウイの「アンダー・プレッシャー」とかデペッシュ・モードの曲などはサントラに入ってないので買う前に注意が必要。
あと「ここが撮りたかったのかな」って感じの中盤のアパートでの徒手格闘アクションや、後半の延々と続く7分間のワンカット(もしくはワンカット風)アクションが凄かった。
「凄かった」としか言いようのない小学生みたいな感想になってしまったが、実際凄いので観ればわかる。「一体どこが継ぎ目なのか」と探したり現場はどういう段取りだったのか考えながら観たりと何度も楽しめそうだ。
アパート脱出の際に、敵の首にホースを巻いて窓から飛び降りたところが「敵も倒せるし安全に着地できる」という、その一石二鳥感が気持ちよかった。
まるで麺をふやかした湯でスープを作れる北海道のカップ麺「焼きそば弁当」みたいな倒し方だ。 やきそば弁当 | 商品情報 - 東洋水産株式会社
前述の「敵の首を利用した飛び降り」の後、警官に呼び止められた時にブロートンは包茎手術の広告のようにタートルネックセーターで鼻まで隠す。すぐさま振り向きざまに警官2人を倒すので顔を隠す意味は全く無かったのだが、恐らく激しい戦闘を制して飛び降りた直後のブロートンの「やれやれ‥透明になりたいわ」という気持ちの現われでしかないだろう。
映画の中の、こういう一見無駄に思える場面が好きだ。正直、超長回しのワンカット戦闘と同じくらい印象に残った。選択基準は謎だが、たとえば対人でも「あの人物の、あの何気ない台詞だけ妙に覚えてる」っていう事はよくある。凄い事言われたとかjなくね。そして何時まで経ってもそれを覚えてる理由がわからなかったりする。だけどそれが人間で、そういう事こそが世界の良いところなんだろうと思う。映画も同じだ

 

 


そんな感じで大体面白かったのだが、映画のラスト5分くらいで色々と裏切りやどんでん返しが何度も行われる。
僕がアホなのかもしれないが正直言って、誰が誰を裏切ってるのか、最後にブロートンが乗り込んで会ってるコイツは誰なのか、とか正直なにがなんだか全然わからなかった。
このページを書くにあたって、ググってあらすじを確認していて「この映画、CIAとか出てたんだ。そういえば誰がKGBだったのか未だによくわからないな」と自分が何もわかってないことを改めて知った。キングスマンのジゼル役してた女優がブロートンと一夜を共にするんだが彼女が誰だったのかもわかってない(CIA?)、あまり言いたくないが終盤の「ブロートンの名前がリストに載っててどうのこうの‥」って部分も一体なんの事だかわかってない。
あまり重要ではない雰囲気だったので「何か色々あるんだね」と思ってわかろうとしなかった。「何か裏切りのサーカス現象が起きてるようだ。わかってるのはブロートンと上司のジョン・グッドマンが味方同士ということだけ。そして彼女は勝った。よかったよかった」と思いながら観てただけで正直、最初からわかる気もゼロでした。
推理小説を読んでても最後に探偵が大演説ぶちかましてるところ読まなかったりする。
シャーリーズ・セロンが自分で企画した終了直前80年代オマージュスパイアクション映画で泥臭く死闘を演じながら、裏切りの連続が色々あって終わる」それでいいだろ。ネタバレ記事を読むことすら面倒なので別に誰が何をどうしてたかもどうでもい。
本作は「誰も信じるな。」という台詞が最初と最後に出てきて、それはキャッチコピーにも使われてる。僕も何度か他人に言ったことあるから印象に残った言葉だわ。
とにかく「『誰も信じるな』とだけ分かってればストーリーは充分だろ」というのが僕の見解。
あとはブロートンが目にするもの、彼女の戦闘、あと我々が耳にするサウンドトラックが大事って映画だと思った。
世の中色々あるが結局は自分で試してみないことにはダメなんだ。

 

 

 

そんな感じでした

「ジョン・ウィック (2014)」現実的な銃撃戦と幻想的で不思議な漫画っぽい世界の融合🐶 - gock221B
「デッドプール2 (2018)」面白かったし、メタなギャグはギャグのためのギャグではなく本編を円滑に進めるための整地なのが良かった❌ - gock221B
「ワイルド・スピード/スーパーコンボ (2019)」本編シリーズよりこっちを応援する気満々だったが思いのほか大味だった👨🏼‍🦲👩🏻‍🦲 - gock221B
『ブレット・トレイン』(2022)/映画自体は面白かったし真田広之は活躍したけどホワイトウォッシュをごまかすための日本要素に複雑な気持ちになった🚝 - gock221B

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Atomic Blonde (2017) - IMDb

Atomic Blonde (Original Motion Picture Soundtrack)

Atomic Blonde (Original Motion Picture Soundtrack)

  • 発売日: 2017/07/21
  • メディア: MP3 ダウンロード
 
The Coldest City

The Coldest City

 

www.youtube.com

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