gock221B

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『スノーピアサー』(2013)/楽しかったがポン・ジュノの良さがアメリカナイズドで薄くなってた気もする🚃

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原題:Snowpiercer 監督&脚本&原案:ポン・ジュノ 制作:パク・チャヌク
原作:ジャン=マルク・ロシェット、ジャック・ロブ 『Le Transperceneige』(1982)
製作国:韓国/アメリカ/フランス 上映時間:125分

 

 

 

かつて、レンタルビデオ店というシステムがあった頃、僕も御多分に漏れず、とある有名だった顧客の個人情報を横流ししていたレンタルDVD屋Tの会員になっていた(今思えばツタヤの「年一回の更新料」ってあれは一体何だったんだ?)
そこで本作も借りてたんだが「やばい!返却日だ」って事で冒頭だけ観て返却してしまった。それで本作冒頭の暗く狭苦しい列車内の印象が付いて「スノーピアサーはまぁいいか‥」と思ってる間に存在を忘れてしまっていた今日この頃、久々に韓国映画を観てるうちに本作がHuluで配信されてるのを観つけたので観た。

 

 

 

Story
人類は地球温暖化を食い止めるため人工冷却物質を散布するが、それは予想外の結果を招き、地球は第二の氷河期に突入してしまう。
17年後の2031年、〈スノーピアサー〉と呼ばれる氷や雪を粉砕して直進する列車の中で生活する乗客たちだけが最後の人類となっていた。
その列車は永久機関のエンジンを積み、1度も止まることなく1年をかけて地球を1周する〈走る箱舟〉。
その前方車両では富裕層が優雅に暮らす一方、後方車両に押し込められた貧困層は、未だ劣悪な環境で苦難の日々を送っていた。
そんな中、最後尾に乗るカーティスクリス・エヴァンス)が革命を起こし、反乱軍を率いて前方車両へと侵攻していくが――

 

 


↑そんな、わかりやすいあらすじ‥これが全て。
前方車両は富裕層。一番先頭はラスボスであるスノーピアサー開発者と永久エンジンが存在する。前方は富裕層が贅沢な暮らしをしていて、中間部では食料などを作っている。そして最後尾には汚いナリの貧困層が憤懣やるかたない表情でいる。
これ以上ないほど分かりやすい‥分かりやすすぎる現世の縮図。
僕らは当然、最後尾でプロテインバーを食っている貧困層
特技を持った者や子供たちは前方車両に連れ去られてしまい、逆らおうものなら手を列車の外気で凍らされて粉砕される四肢粉砕の刑が待っている。
あまりに一目瞭然の分かりやすい設定なので小学校で上映してほしいくらいだ。
過去に、二回くらい反乱を起こしたようだが失敗に終わっている。
その何度かの反乱があったおかげで「スノーピアサー警察の銃弾は殆ど残っていないだろう」と当たりをつけ、クリス・エヴァンス演じる貧困層リーダーは反乱を企てる。
そのために全ての扉を開けることの出来るソン・ガンホ演じるエンジニアの男と、「グエムル -漢江の怪物-」でグエムルに攫われてた子役が演じる少女による父娘を仲間にして進む。
ちなみに貧困層が毎食食わされていた焦げ茶色の羊羹みたいなプロテインバーは、気持ち悪い虫をグシャグシャにして固めたものだった。
気持ち悪いしまずそうだが栄養は満点だな。。
将来、食糧難になった時、昆虫食は売られるかもしれない。俺としては味が良くて虫の形してなければ別にOKだ。今だってファストフードやチルド食品が何で出来てるかなんかわかったもんじゃないし栄養あってうまければ何でもいい。
反乱と言っても、武器もなく前と後ろしかない世界なので、とにかく人海戦術で仲間が殺されようがどんどんこちらも殺していって前へ前へと殴り込みをかけるのみ、という単純な戦法しか無い。
扉が開いている時に、用意していた巨大なパイプを突っ込んで閉じられなくしてスノーピアサーのオマワリどもをぶっ殺していく。殺せ殺せ!
そして「スノーピアサー警察の銃弾は殆ど無い」という読みは当たっていたようで、警察たちは手斧を持って斬りかかってくる。
クリス・エヴァンス人海戦術&機転を利かせた戦術で多くの仲間を失いながら辛勝。
ティルダ・スウィントン演じる警備部主任っぽい女を捕える。
ティルダ・スウィントンは「オクジャ」でも演じていた「出っ歯の体制側のオバサン」を演じている。美しい女性の役ばかりしてきたせいか「不細工なオバサン」を喜々として演じている。「オクジャ」での出っ歯オバサンは最強だったが本作の出っ歯オバサンはあまり強くない。

 

 


中盤は、スノーピアサー中間部を突破していく。
水道局、植物園、水族館などがあり、画面には出てこないが鶏や牛を育ててる場所もあるっぽい。子供たちを教育する教育機関もある。
水族館には寿司バーがあり黒人の板さんが握ってくれる(ここで、わざわざ板さん役に黒人俳優を配してるあたりポン・ジュノのユーモアセンスを感じた)
物語が弛緩しそうになるとスノーピアサーの白人ヒットマンが投入され襲ってくる。
長ーいスノーピアサーの車体を利用して、カーブを通行中に後方車両から中間車両を狙ったりして飽きさせない。
この白人ヒットマンターミネーター並みに頑丈で何度か刺したくらいでは死なず、かなりキャラが強かった。
本作のクリス・エヴァンスキャプテン・アメリカではなく、ただのホームレス同然なのでヒットマンにかなり苦戦する。
そうこうしてる間に前方車両の富裕層ゾーンに突入、着飾った人達がプールに浸かっていたりサウナに入ってたりバーで飲んでいたり、この世界にある揮発性の粘土みたいな薬物できまっていたりする。
ここだけじゃなくスノーピアサー全体に言えるのだが、幾ら永久機関を積んでて長い車体とはいえ「ちょっと無理ない?」というギミックがめちゃくちゃ多い。
だけど、このスノーピアサーとは、まぁ現世の縮図なので細かい事には目を瞑って楽しむのが吉だ。
閉鎖されたディストピア空間、体制側が子供や市民をクラシックな雰囲気で映像で教育していたり新年や祝い事がやたら決められていて不気味な明るさで祝う‥だけど貧民は虐殺‥などの総合的な雰囲気がゲームの「バイオショック」の雰囲気にちょっと似てるなと思った。

 

 


そんな感じで苦労して先頭車両の直前に到着。
ドアの先にはスノーピアサー開発者にしてこの世界の神と言えるウィルフォードが待つ。
ここでクリス・エヴァンス演じる主人公の過去の独白が始まる。
かなり勢いがここで途切れてしまうが、まぁこんな感じでしょう‥と思ってるとウィルフォードとの接見が始まる。
ここでウィルフォードが、この手のSFのラストにふさわしくスノーピアサーの秘密について大演説が始める。
まぁ‥理には叶ってるが結構無理めな秘密。しかもそれほど驚きでもない内容だし、この後半までの疾走感が大演説2連発でかなり落ちてしまった。
そうこうしてるうちにクライマックスに突入するのだが、各人の行動が、何というか‥あらかじめ決められた結末のためにわざとそうしてるかのような強引なクライマックスだと感じた。
富裕層ゾーンに来るまでのアクションや色んなギミックは面白かったし全体的にも面白い映画に入ると思うし最後まで変なところはなく理には叶ってるんだが‥何だか終盤テンション落ちる感じがポン・ジュノっぽくないなぁと思いました。
こちらとしては「ポン・ジュノの映画」という時点で「物凄い映画」と「凄い終わり方」を期待してしまうので「あれ?本当はもっと凄い映画になるはずだったのでは‥?」と思ってしまう感じがありました。大作だし奇抜な設定ではあるのだが映画が終わってみるとポン・ジュノ作品の中で最も凡庸な映画に思えました。
勝手な推測だがアメリカやフランスの制作が入ってるから、ポン・ジュノは今まで通りの采配が出来なかったのではないだろうか?
だがこの数年後に撮った「オクジャ」は凄くポン・ジュノっぽい名作だったので、きっと本作の現場での経験を元にして成功したのではないだろうか。
全部僕の想像ですがね。。だが観客&視聴者は出来上がった作品(結末)を観て判断するしかないのだ。

 

 


そんな感じでした

「オクジャ / okja (2017)」今まで千回くらい作られた凡庸ストーリーそのままで傑作になってるのが凄い🐷 - gock221B
「パラサイト 半地下の家族 (2019)」想像通りの事が起きるが常に少しその上を行き続けるのが良かったです🏠 - gock221B

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Snowpiercer (2013) - IMDb

www.youtube.com

Le Transperceneige

Le Transperceneige

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