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「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ (2018)」カルテルよりアレハンドロとアメリカの汚さにクローズアップしてて前作より好き💀

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原題:Sicario: Day of the Soldado 監督:ステファノ・ソッリマ 脚本:テイラー・シェリダン
製作国:アメリカ 上映時間:122分 シリーズ:「Sicario」シリーズ

 

前作「ボーダーライン (2015)」に続く二作目。
前作は、観客が感情移入しやすいように主人公であるFBI捜査官エミリー・ブラントがメキシコ麻薬カルテル捜査に加わる事で何も知らん系正義感溢れ新人捜査官を演じて「付き合ってられんわ‥」と敗北し立ち去る映画だった。言うなればエミリー・ブラントはまやかしの主人公で、前作の終盤「実は謎の男ギレルモ・デル・トロが主人公でした」と主観が入れ替わってしまうという、何ともズルい構成の映画だった(別にそうしちゃいけない決まりがあるわけではないが何ともズルいと思ってしまうのは俺だけ?)そしてオッサン達やカルテルや合衆国政府の非道さを見せたいがあまりエミリー・ブラント演じる主人公があまりにも‥まるで上京してきた女学生の如く無力だったので、そんな脚本に若干イライラした(そういえば「ウインド・リバー」のエリザベス・オルセンもそんな役だったな)
前作で挫折したエミリー・ブラントは登場せず、ギレルモ氏&ジョシュ・ブローリンが主演を務める。
前作同様に、ここ数年「ウインド・リバー」とかでグイグイ来ているテイラー・シェリダンが脚本。前作の監督はドゥニ・ヴィルヌーヴだったが本作では違う監督になった。
だからヴィルヌーヴ特有の、そこら辺の路地を撮るだけでクソかっこいいという画は無くなったが、そういう非現実的な画面の美しさが消えたおかげで殺伐さは上がった。
ネタバレは少しある

 

 

Story
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アメリカ合衆国カンザス自爆テロ発生。合衆国国土安全保障省は「メキシコ麻薬カルテルテロリスト不法入国させた」という仮設を立て、CIAの汚れ仕事担当マットジョシュ・ブローリン)にカルテル壊滅を依頼。「メキシコ麻薬カルテルに妻と娘を殺害されたコロンビアの元検察官」という過去を持つシカリオ(暗殺者)のアレハンドロベニチオ・デル・トロ)を再び起用、カルテル殲滅作戦を開始する。
マットとアレハンドロは、メキシコ麻薬王の娘イザベル・レイエスイザベラ・モナー)を誘拐、カルテル同士の闘いに発展させようとするが――

 

 

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メキシコ麻薬カルテルがコカイン等のドラッグを密輸する時代は終わったらしく(各国の大麻解禁などの対策も関係してるのかな)ドラッグの代わりに尽きぬ生きた資源‥つまり人間、メキシコ不法移民をアメリカに密入国させていた。
ギャング見習いの不良少年ミゲルもそれを手伝っていた(といっても家が貧しいわけでもなく、ちゃんとした家で育ってるのに親に隠れて悪事を行っている)。
無差別テロが頻発し「メキシコのカス移民テロリストどものせいに違いない」と考えた合衆国国土安全保障省は「合衆国はテロなんかに屈しない!」といつものように吠え、合衆国国防長官はCIAのマットに「メキシコ麻薬カルテルのカスどもを殲滅しろ」と命令。
マットと旧知のアレハンドロは、カルテル麻薬王の娘イザベルを誘拐する。
ライバルの麻薬カルテルが誘拐したように見せかけ、蠱毒の様にカルテル同士を殺し合わせて弱体化したところを叩くつもりだった。そしてCIAは自分たちがイザベルを誘拐したのに「何かお前らカルテルのライバルのカルテルがお嬢様を誘拐したみたいだから俺らが助けてやったぞ」と自作自演する汚い作戦。
巨悪である麻薬王のお嬢様といえど、彼女自身は何も悪い事していない少女。
ただ、麻薬王の娘ということで学校でも孤立気味で貫禄ありすぎる美貌ってだけの只の女子高生(メキシコにはたまに女性のセクシー麻薬王みたいなのがいるがイザベルも将来そうなってたのだろうか、いや彼女は只の厭世的な金持ちになってた気がする)。
このイザベラ、襲撃されたら普通に怖がるがそれ以外では異常に目が座っていて女子高生なのに32歳くらいに見える、いい感じの少女。
だがCIAのダーティな作戦はメキシコ連邦警察に筒抜けで、イザベルを伴ってメキシコに入国したマット&アレハンドロ達はメキシコ連邦警察に奇襲を受けたので仕方なく彼らを皆殺しにした。
‥何故バレてたのかよくわからなかった、メッセンジャーの作り方が残虐じゃなかったからか?イザベルですら「この人達まともじゃない‥」と嗅ぎつけてたのでメキシコ連邦警察からすればマット達は臭すぎたのかもしれん(またこの襲撃してきたメキシコ連邦警察には別のカルテルの息がかかってたのかとかもよくわからなかった)

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国境周辺の死闘はFOXニュースによって大勢の知るところになり、更に冒頭の自爆テロリストは不法密入国者ではなくアメリカ市民だった。大義を失った合衆国は事態の〈クリーン化〉を図る。メキシコとの関係悪化を恐れた国防長官はマットに「やばい!イザベルとかいうガキもメキシコ警察皆殺しを目撃してるかもしれんからアレハンドロとかいう協力者もろともブッ殺せ」と酷い命令を下す。
しかしアレハンドロはイザベル殺害を拒否。アレハンドロは彼女を安全な場所まで逃がそうとする。
マットは、国の命令なのでアレハンドロへ協力できなくなくなっただけではなく、彼らを殺せと命令され、辛い立場だ。
イザベルはアレハンドロの妻と娘を惨殺した麻薬王の娘だった。
しかしアレハンドロがイザベル殺害を拒否して安全な場所まで逃したのは、イザベルを自分の死んだ娘にダブらせて同情した‥わけではなく、恐らく自分の娘が殺されたからと言って自分も同じことをしてはカルテル同様の獣になってしまうからだろう。
アレハンドロは自分の居所をマットに知らせるGPSを破壊せず持ったまま、そしてそのGPSをイザベルに付ける。自分が死んでもマットがイザベルを助けてくれると信じている。
マットもまたアレハンドロ達を殺したくはないが拒否できない。拒否すればアレハンドロに何の思い入れもない別のチームが代わりに殺すだけだから自分が行って何とかするしかない。
アレハンドロ&イザベルの逃避行、彼らを追うマット、そして国境でイザベル輸送中だったアレハンドロを目撃したギャング見習いの不良中学生ミゲルとギャングの先輩たち、彼ら三組の顛末が後半の展開。

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前作は、一種の地獄めぐりものと化している僕も大好きなメキシコ麻薬カルテルものだったが本作は麻薬カルテルよりも合衆国の汚い作戦が全て上手くいかず保身のためにイザベルを抹殺しようとするという、全編「合衆国の汚さ、しょうもなさ」を描くのがメインの映画だった。
これは意外だったし僕が観たかったメキシコ地獄めぐりものとは違ってたが今までの「メキシコのカルテル怖い!」映画よりも誠実な感じで却って好感を持った。シェリダンっぽい物語ですね。
アレハンドロが汚い合衆国に反抗してイザベルを守護るのは映画を観てる観客としては「そう来なくちゃ」という展開ではあるものの、アレハンドロの内面やイザベルとの触れ合いを少ししか描いてないがために「アレハンドロって、そんな義侠心ある奴だったの?」「アレハンドロが命がけでマットを信頼してるけど、2人の繋がりがどういうものか知らないのでわからん」「イザベルってそんなに良い娘だったんだ」などと、彼らの内面は結果が出た後でしかわからないので観てる間は正直、納得いかなかった。
こうやって「あれはこういう理由だったのかな?」と考えながら感想を書く事によって反芻してるうちに徐々に彼らの内面が納得いった感じ。だからこういった映画の感想ブログを書いてなければ「カッコいい映画だけど描き込み不足だな」とか言って斬って忘れてた可能性大(だからそう思って批判する人がいても全く不思議じゃない)

💀ラストシーンは、これ暗いのと明るいの、どちらの意味にも取れるように撮ってあったね。僕は最初、台詞を言葉通り取ったのとイザベルと過ごした後のアレハンドロだったこと、事後のミゲルが一抜けした事、ミゲルがまだ少年であることなどから明るい意味のラストだと思ってたんだけど、やっぱあのミゲルの顔とラストカットとその後のメインテーマを考えると暗い方なんだろうと思えてきた。それもこれもミゲルが少年っていうのが解りにくくさせてるね。

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本作の三作目が作られるかどうかは知らないが、本作のラストを観る限りアレハンドロとマットの関係性は棚上げされた感じだから、やはり完結編が作られるんじゃないだろうか。現状の流れから考えると、この続きでわざわざ三作目を作るからには一作目や本作のヴァ~ァ~~ン~~♫というBGMに合ってたような冷え込んだ結末じゃなくて、合衆国政府という歪なシステムに一太刀浴びせるような完結編であってほしいね。
チョイ役でいいからエミリー・ブラントやイザベルも出してね。
それにしてもギレルモ氏のこのキャラは凄くカッコいいですね。
前作では、エミリー・ブラントを偽の主人公として泳がせて終盤急に出張って無双する様が何だか納得いかないものがあったが本作の場合最初から最後まで苦労してるので好感しか持てなかった。
「自分より歳上のオッサン」「異常に情報量の多いイケメンじゃない顔」「筋肉より脂肪の方が多そうな分厚い身体」など中年男性の自分が見てもカッコよく思える要素が多い(僕は若者やスーパーヒーローでもないのに体脂肪率が異常に少ないムキムキのオッサン見たら「こいつ人目を気にしてダイエットとエキササイズしまくってるのか?」と若干引いてしまうので男女ともに中年の身体は、ある程度ブヨブヨな方が好み)
非常に高2病的な嗜好の人に受けそうな本作。
良かったけど、やっぱりまだ続きが観たい。充分に語りきってない物語のまだ途中っていう印象が強い。
そして前作同様やっぱり観終わった後に「面白いし好きだけど‥何かズルくない?」と感じた。シェリダンの話って、そう思うものが多いね。映画の構造自体が従来のものから外れてる構成が多いせいでそう思うのかも。 
一作で満足できて画面が美しいのは前作だが、個人的には本作の方が好きでした。

 

そんな感じでした

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