gock221B

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「ベルベット・バズソー:血塗られたギャラリー (2019)」凄く面白かったがホラー映画という形式を取らない方が良かったような🎨

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原題:Velvet Buzzsaw 監督&脚本:ダン・ギルロイ 編集:ジョン・ギルロイ
配信局:Netflix 製作国:アメリカ 配信時間:112分

 

 

監督はダン・ギルロイ。編集は監督の双子の兄弟ジョン・ギルロイ。主演はジェイク・ギレンホールレネ・ルッソ‥という(しかもレネ・ルッソは監督の妻)という、前作にして傑作だったダン監督の初監督映画「ナイトクローラー (2014)」と同じギルロイ一家の布陣によるNetflixオリジナル映画。
このダン・ギルロイの兄は傑作「フィクサー (2007)」とかを撮った監督トニー・ギルロイ(またトニー氏はギャレスが現場を取っ散らかしてクビになった「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー (2016)」を、スター・ウォーズへの思い入れゼロで殆ど撮り直して再編集してスカリフの闘いやベイダー無双シーンを付け加えてSWヲタが称賛する作品に作り上げた)。このギルロイ兄弟の映画は絶対つまらなくないので好きです。
ネタバレあり

 

 

Story
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ロサンゼルスアート業界。辛口の美術批評家モーフ・ヴァンデバルトジェイク・ギレンホール)の周りには、アートの価値もわからない金持ちにアートを高く売りつける事しか頭にない美術関係者ばかり。
かつて〈ベルベット・バズソー〉というパンクバンドをしていたが今は強欲かつ高慢な美術ディーラーになり果てたロードラ・ヘイズレネ・ルッソ)の下で働くジョセフィーナ(ゾウイ・アシュトン)は、身寄りのない老人ディーズの死に居合わせ、彼が生前に描いた絵画の数々に魅力を感じて自分のものにする。
しかし彼の作品群には邪悪な思念が取り憑いており、彼の絵画に関わった美術界の強欲な者たちは次々と謎の死を遂げる――

 

 

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アート界の関係者のうさんくささ、評論、創作などをホラーで表現した作品。
いつもはこういうのやらないが長々と書くより、登場人物をまとめた方が話が早いと思ったので登場人物を箇条書きでまとめてみよう。

モーフ・ヴァンデバルト(ジェイク・ギレンホール
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バイセクシャルの大物美術評論家。辛口だが真のアートを探し求めて批評する純粋なレビュワー。ディーズの絵画に感銘を受ける。「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」でミステリオを演じるためか筋肉が肥大化して素人の鍛え方じゃないガチムチなマッチョボディをしている。黒人男性と別れてジョセフィーナと付き合い始めた。「ホームレス・ロボット」という現代アートを購入。「創作物を見極める」という意味では我々に近いポジションの人物。ギレンホールは前作に続く主人公。

 

ロードラ・ヘイズ(レネ・ルッソ
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かつて〈ベルベット・バズソー〉というパンクバンドをしていたアーティストだったが今では美術品を金持ちに高く売りつける事しか頭にない強欲かつ高慢な美術ディーラーになり果てた。ディーズの絵で大儲けしようとする。演じるレネ・ルッソは本作の監督の妻、前作に続くメインキャラ。

 

ジョセフィーナ(ゾウイ・アシュトン)
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ロードラの元で働く美術界でのし上がろうとしているアシスタント。ディーズの遺体発見者で彼の描いた膨大な絵画を持ち去る。モーフと付き合いはじめた。

 

ココ(ナタリア・ダイアー)
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ロードラの元でアシスタントとして働き始めた女性。八つ当たりでロードナのギャラリーをクビにされ、商売敵のジョンの元に行き、ジョンがダメになったらモーフの元に行き‥と、この美術界で何とか生き残ろうと必死。呪いで死んだ美術関係者の死体を次々と発見する。演じてるのは「ストレンジャー・シングス 未知の世界」の主人公のお姉ちゃん役してた娘。

 

ピアース(ジョン・マルコヴィッチ)。ダムリッシュ(ダヴィード・ディグス)
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ピアースは、ベテランだがスランプに陥っている画家
ダムリッシュはジョセフィーヌがモーフに見切りを付けて付き合い始めた若き画家
二人とも、最初から最後まで純粋に描かれているキャラクター。

 

レッチェン(トニ・コレット
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美術ディーラー。一発儲けようとロードラのような傲慢美術ディーラーになりディーズの呪われた絵画を何点か購入する。「スフィア」という球体の現代アートを気に入っている。演じてるのは、もともとベテラン女優だったが去年の「ヘレディタリー 継承」のお母さん役でより一層、名声が知れ渡った女優さん。

 

ブライソン(ビリー・マグヌッセン)
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ロードラの元で肉体労働ばかりさせられてるアシスタント。本業は自称・画家。ディーズの絵画をくすねて売りさばこうと逃走する。

 

ジョン・ドンドン(トム・スターリッジ
ロードラのアシスタントだったが独立して彼女のライバルとなった傲慢な美術ディーラー。ロードラが八つ当たりでクビにしたココを雇う。探偵を雇い、ディーズの過去を調査する。

 

ディーズ
過去が一切謎の、死んだ老人。画家だが作品は一切発表していなかった。

 

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要するにLAアート界の魑魅魍魎が、私欲を持って死んだ画家ディーズの絵画に関わった結果、その絵の呪いに次々と殺されていくホラー。
このディーズという老人は劇中では死体としてしか出てこないが、探偵による調査の結果、悲惨かつ過酷な人生を生きた事がわかる。その彼の絵画とはヘンリー・ダーガーアウトサイダー・アート非現実の王国で」をモデルにしたと思われる輪郭が曖昧な暴力や死を多く描いた絵画。ディーズの強力な呪いがかかっており関わった強欲な者は美術に殺される(一言で言うと貞子の呪いや呪怨の呪いの家を少し優しくした感じの物)
この呪いというのは、ディーズの絵に引きずり込まれたり美術品などに呪いがやどってアート関係者を次々と殺していくという分かりやすさ。
彼らは自分がこだわってたり逆に馬鹿にしていた美術品や、捨て去ってしまった純粋なアート魂に食い殺されてしまう。
主人公モーフは、最初は「優れたアートか否か」だけを追求する男だったが、付き合っているジョセフィーヌが「別れた元カレの個展を低評価レビューしてほしい」と言われ、本当は個展を悪いと思ってなかったのにも関わらず低評価してしまう。これが恐らくモーフの堕落で、以降の彼は情緒がどんどん不安定になっていき、序盤で批判した現代アート「ホームレス・ロボット」にFUCKされて滅びる(だから映画好きの僕やあなたも、私欲を持った瞬間にFUCKされて死ぬのでしょう)
タイトルにもなった〈ベルベット・バズソー〉はレネ・ルッソ演じる傲慢な美術ディーラーが(恐らく純粋だった)若い頃に組んでたパンクバンドで、首元にそのタトゥーが彫られている。それがどうなるかは、まぁ書かなくてもわかるだろう。そんなバンドや彼女のキャラは割とどうでもいいのだが「傲慢な彼ら/彼女らが捨て去った純粋なもの」としての象徴が〈ベルベット・バズソー〉なんだろう。
絵を鑑賞したり関わっても死なない者もいる。
マルコヴィッチ演じるスランプのベテラン画家、ジョセフィーヌの新しい彼氏の画家、何とか美術界に入ろうとしてたが傲慢な美術関係者の死を目撃し続けた結果、堕落する前にLAを去ってしまう美少女ココなど。
単純な僕は、アート界への揶揄と「純粋さを忘れないで」と感じた。
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だが超常現象が起きていない前半の人間ドラマが凄く面白かったし、そこでアート界の者達やスノッブを揶揄しようという意図が面白かったので、「ナイトクローラー」みたいにサスペンス人間ドラマとして描いた方が良かった気がした。Netflixの若い客層を見越してホラーにしたのかな?と思ったが絶対に普通のドラマにした方が良かった気がする。僕は本作を面白いと思ったが、案の定ネット評価も低い(超常現象が起きるホラー映画の評価は、死ぬほど面白くない限り低評価に落ち着く)
僕はホラー好きなので別にホラーなのは構わないが「ホラーじゃない方がもっと真剣に観られたのでは?」と余計なお世話な事を思ったし「ホラーは好きだが本作はホラーじゃない方が面白かったんじゃないかな?」とも感じた。
とりあえず「ナイトクローラー」ほど傑作じゃなかったが面白かったです。

 

そんな感じでした

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