gock221B

映画の感想ブログ 😺 おしずかに‥〈Since.2015〉

「ゲーム・オブ・スローンズ〈シーズン1-8〉(2011-2019)」全73話/長いスパンで変化する人間描写や全体的な嫌戦ムードが良かった🐺🐲🦁

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原題:Game of Thrones〈Season.1 - 8〉 Episode.1 - 73
企画&製作総指揮:デヴィッド・ベニオフ、D・B・ワイスほか

共同製作総指揮&現作: ジョージ・R・R・マーティン「氷と炎の歌 (1996-)」※刊行継続中
製作国:アメリカ/イギリス 上映時間:全73話、各話約60~90分

 

 

 

こないだ完結したばかりのこの(日本と北朝鮮以外の)全世界で大人気だったドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」(以下GOT)。
「全世界で大人気だが日本人だけイマイチ食いつかない」という作品は大抵、傑作なので、その魅力を知りたかったが自分はドラマという形式があまり好きでない(数時間以内に結末まで行きたいので)。しかも本作は登場人物めっちゃ多い上に一話一時間以上の話が全73話もある‥と想像するだけでしんどくなってスルーしてたが本作のクリエーター、デヴィッド・ベニオフ&D・B・ワイス通称D&Dが次のスター・ウォーズ三部作を作る事になったし(本作を全話観終えた翌日にD&DはSWから離脱して消えた)、本作がヒットしすぎて「まるでGOTの○○のような」などと世界の共通認識みたいになってるし本作は「映像フィクションの流れを変えた」などとよく言われてて「GOTを観ずして今後の映像フィクションは語れない」みたいなムードが充満してるし、もう無視できなくなったのでHuluに再加入して観ることにした。観たいというより履修って感じ。
以前、何度か観ようとしたことがあったが、その都度「何だか諸名家や、覚えにくい名前の登場人物が無限に出てくる‥」と何度も数話で脱落した失敗を踏まえ、今回は相関図やWikiを片手に鑑賞してシーズン1を観てるうちに相関図や世界観が大体わかってきてヒットの切っ掛けになったというシーズン1第9話「べイラー大聖堂」まで観たら一気に惹き込まれて連日一気に観れた。サプライズが凄いってだけじゃなくて(というか知ってたし)演出そのものが見事なので前のめりになれた感じですね(後のレッドウェディングとかもそう)。
だから過去にタイムリープして「GOT全然面白くないな‥どこまで観たら入っていけるんだ?」と不安に思って何度も脱落してた自分に会えたら「1-9まで観たら入っていけるよ」と教える事ができる。実際、周りで脱落した人も1-9までの間に観るの止めた人は多かった。
そこからは面白いのでシーズン5までの全50話は一晩数話づつ観て一気に進んだが、S5があまりに陰惨なので(いつもなら楽しい冒険をしていたキャラさえも陰鬱な展開になって気持ちの逃げ場がない)ここで一回ウンザリして一週間くらいストップしていた(放送当時もこの辺で批判が多くて以降は若干マイルドになったらしい)。一週間開けたら回復したので残り23話を一気に観れた。
そういった感じで短期間で全73話観終えたのでHuluも無事解約できた。
細かい感想書いてたらキリないので物凄くざっくりした感想だけ書くだけにする。
基本全部ネタバレ

 

 

🐺🐲🦁

 

 
生活様式や文化は、限りなく我々が住むこの地球の、中世ヨーロッパを思わせる世界だけど地球というわけでもない、地球みたいな惑星の中世の話(SFではなくファンタジーなので原作者もその辺はSFみたいにキッチリ設定作ってるわけではなく「何となくこういう世界があるみたい」とボンヤリ感じてほしいみたい)。
物語の舞台の殆どは〈ウェスタロス〉という大陸にある〈七王国〉。七王国は〈鉄の玉座〉に就く王の中の王と9つの諸名家が収める。そして七王国が巨大な壁で閉ざした北の未踏地帯〈壁の北側〉、そして〈エッソス〉という隣の大陸が舞台になっている。ウェスタロスとエッソス以外にも西に大陸があるかもしれないっぽいが本作にはこの2つしか出てこない。ウェスタロスには四季が夏と冬しか来ないらしく、しかも一旦冬が来たらその冬が最大10年くらい続いたりする世界。
世界の殆どは人間が営む中世世界だが、ドラゴンや巨人や「森の子ら」と呼ばれる妖精っぽいヒューマノイドもいるし壁の北側にはホワイトウォーカーというゾンビを操る謎の人種もいる。またスーパーナチュラルな存在ではないが壁の北側には国に属さない〈野人〉という原始的な人種がおりウェスタロス本土にも国に属さない〈ブラザーフッド〉という集団もいる。人々は中世の人類みたいな普通の暮らしぶりだが、この世界にも魔法があり、魔術師や、生物の意識を乗っ取ることの出来る〈狼潜り(ウォーグ)〉という能力を持った者、死者を蘇らせる力を持った者、超自然的な力を持った〈三つ目の鴉〉などがいる。そういった幻獣や魔法などのファンタジー要素はあるが、この世界の中では「失われた伝説の言い伝え」みたいな要素で、ドラゴンは絶滅したと思われているし魔法を使える者なども全話通しても数人しか居ないので基本的には信じられていない。暗殺者ギルド〈顔のない男たち〉もスーパーナチュラルかな?と思ったけど彼らはニンジャみたいな超技術っぽい。
そういったファンタジー要素は忘れた頃に出てくる程度で、物語の殆どはあくまでも人間同士の駆け引きや残忍な処刑そして人間ドラマがメインになっている。ファンタジー要素は物語の中心ではなく物語を進めるための潤滑油のような感じ。もしくは「ドラゴン=核兵器」「スリープウィーカーと死の軍団=死そのものの比喩」「森の子=先住民」といった感じで色んなもののメタファーになっている。

物語の殆どは、幾つかの諸名家による「『鉄の玉座』に就いて七王国を統べるのは誰だ?」という愛と憎しみの権力争いがメイン。
決まった主人公は居ないが、中でも主人公格と言えるのが北部のお人好し過ぎてズタズタにされて復讐を誓う北部の諸名家「スターク家」、高圧的で奸計に長け残虐な「ラニスター家」。かつて鉄の玉座に座って七王国を支配していたが今は滅ぼされてエッソスに逃げていたが伝説の生き物ドラゴンや配下を着々と増やしてウェスタロスに帰って捲土重来を悲願とする「ターガリアン家(デナーリス一人だけだが)」。そして罪人や世捨て人が囚人のような立場となって北の壁を警護し続ける組織「ナイツウォッチ」。この三つの家&一つの組織がほぼ主人公っぽいポジション。
あとは他の諸名家「タイレル家」「ボルトン家」「グレイジョイ家」「マーテル家」「フレイ家」「タリー家」「アリン家」‥他にも色々ある幾つかの諸名家や諸侯も熾烈な殺し合いをする。諸名家以外にも〈ブラザーフッド〉や、壁の北にいる〈野人〉たちや人間ですらない〈ホワイトウォーカーと死の軍団〉なども絡んでくる。
ファンタジー要素も極たまに出てくる残虐なヨーロッパ三国志といった感じ。

物語開始時、鉄の玉座に就いていたのはロバート・バラシオン王。彼はシーズン1の途中で事故死する。そんなロバート王の弟分であった北部を束ねる善人の総督ネッド・スターク(ショーン・ビーン)。彼はシーズン1を観る限り主人公であるかのように描かれているが突然、故ロバート王の王妃であったサーセイの実家‥ラニスター家によって斬首される。この、視聴者が物語の登場人物や設定を飲み込んでき始めたシーズン1終盤で「主人公かと思って観ていたメインキャラがいきなり殺される」というサプライズと共に一気に先が観たくなる。まぁネッドが死ぬのは他人が言うのを聞いて知ってたしショーン・ビーンという時点で長生き出来なさそうだが、さっきも言ったように本作のサプライズの時はいつも演出が良い。
鉄の玉座が空席になり、死んだロバート王の王妃だったサーセイの息子ジェフリーが、自分が傀儡だとも気づいていないがラニスター家という強力なバックを盾に好き勝手しまくる虚ろな暗君となった。
このジェフリーが本当に憎たらしすぎる。彼も本作がブレイクした要因の一つだろう。
ジェフリーの存在感は本作ナンバーワンで、特に何も悪いことしてない微笑んでるだけの第一話の彼を見ても「こいつが死ぬところを見たい‥」というネイティブな憎しみが湧いてくる顔だ(若い時のショーン・ペンみたいなもん)。ジェフリーの憎たらしさは「一体どんな死に方するんだろう?」という期待を煽ってシリーズを引っ張り続ける。ジェフリーの後も、ラムジーとかユーロンなどの憎たらしい要素だけで出来た悪いキャラが出てきたが、ラムジーやユーロンは一面的で漫画っぽすぎて演技も単調だし、あまり憎くならなかった。それより様々な人間的な面を見せるジェフリーは「俺の周囲にも居そう」と感じて存在感が他の悪人の10倍くらいあった。
そうして新たな王が誕生したりして二転三転が続いて玉座争いが続く。
非業の死を遂げたネッド・スタークの子供達はバラバラになった、復讐を誓って北部を率いてラニスター家に弓を引くネッドの王妃キャトリンと長男ロブ・スターク。諸名家をたらい回しにされるうちにお花畑王女から聡明な指導者へと成長していくサンサ王女。復讐を誓って旅をするアリア王女。ラニスター家に下半身不随にされるが三つ目の鴉を探して旅をするブラン王子。ネッド・スタークの落し子ジョン・スノウはナイツウォッチに入隊。彼ら彼女らは、破れて殺されたり又は強く成長していく。

 

 

 

🐺なんか感想書く前の作品設定やあらすじ書いただけで長くなってしまった。既に観た人には不要だし未見の人が上記を読んでもピンと来ないだろうから全くもってここまでの文章は書く意味なかった気もするがFUCKする前には口づけしなきゃいけないようにどうしても感想の前に前置きを書いてしまう。順番ってものがある(世界の法則と言い換えてもいい)。
自分が好きな部分や気になったところを書いていこう。
本作の売り?となる部分は原作の映像化って事以外にも、お決まりの展開をズラすリアル志向というのがある。善人だろうが子供だろうが主人公っぽいメインキャラだろうが突然、惨殺されたりする。「現実では善人や子供やワンちゃんだろうが無残に死ぬ」って事の表現なんだろう。このサプライズは「おっ!」と惹き込まれるものがあったが、それがあまりに連発されるので確かに面白くはあるが一番陰惨だったシーズン5終盤では本当に嫌な気分になった。割と誠実な姿勢でそれをやってるので批判する気はないが単純に気分が悪い。アメリカ映画において犬は良心の象徴とも言える傷つけてほしくない存在だが本作のダイヤウルフは三回も惨殺されたり死体も冒涜されてるしウンザリした。週に一本観てたらまだマシだったかもしれんが一気観したので喰らってしまったのか。普段気の毒な映画とか陰惨な場面とか散々観てるはずなのに本作は良くも悪くも喰らってしまった。「勧善懲悪にしろ」とは全く思わないが、ちょっとそういった殺伐とした逆張り展開があまりに多く、また「このように実際には善人であっても無残に殺されますよおお!w」といった「視聴者にショックを与えてやろう」というドヤ感も若干感じた。これは気のせいかもしれんが、そういう露悪的な態度は苦手なんで、こういった部分は一長一短あるなと思った、というかもう少し普通でいい。悲惨な場面と楽しい場面が繰り返されると観てるこちらも「良い奴が幸せになる」「悪い奴に天罰が下る」というお決まりの展開を期待しなくなってくる。いやむしろそんな事を願う自分が甘いように感じて、考え方が矯正されていく。その感じが何だかDV受けてそれに慣れようとする人の感覚みたいで嫌だった。また残虐描写も、正義感あふれる善人も惨殺されるだけでなく遺体を弄ばれたり川に投げ捨てられたりモブ兵士がそれを嘲笑ってたり罪のない優しい幼女が生きたまま焼き殺されたりして、かなり気分が悪い。「戦争って嫌だな」と思わせるためだろうし、それは良い傾向だと思うが気分悪くなるのは確かだ。悲惨な出来事が起きるのもリアルで良いが、それがあまりに多すぎると鑑賞のノイズにもなると思った。レイプは殆どなかったのは良かったけど、これでレイプも多かったらもう観るの嫌になってただろう、レイプは殆ど無いのは助かったがその代わり女性キャラをレイプしようとする所作やセクハラや軽んじる発言とかは多いので嫌な気分になるのは変わりないけども。MCUや「ロード・オブ・ザ・リング」ほど優しい展開にする必要もないが本作は厳しすぎる。ちょうど中間に位置する「スター・ウォーズ」くらいの殺伐さ‥四肢欠損のあるSWくらいが一番丁度いい塩梅かもしれない。
残虐表現のある映画は平気なのに本作では何故こんなに嫌なのか考えたけど、キャラが後に改心したり非道なキャラもそうなる過去を伺わせたりするので非常に人間臭いのが嫌なんだろうなと思った。人生の一瞬だけ切り取った映画に出てくる悪人なら「こいつはナチュラルボーンキラーなピュアイーヴィルなんだな」とモンスターとして感じるので、それは天災みたいなもんなので受け流せるが本作の場合、長いスパンで「この悪人も人間です」と示されるので怪物として自分と切り離すことができないからだろうなと思った。怪物だと思えれば犬に噛まれたと思えるが自分に危害を加えた者が家族や飼い犬には優しかったりしたら許せなくなる。そういう感じだろう(わかる?言いたいこと)。
また、善人が平気で惨殺されたりする裏返しとして、悪人は割とあっさり死ぬ。
「このクソ野郎は苦しんで死んでほしい!」という感情は当然僕も持つので、悪人があっさり死んだりすると「それだけかい!」と思ったりはするものの結果的にはこれでいい。憎い悪人が、視聴者をスッキリさせるために長い時間苦しんで死ぬってなったら、それは勧善懲悪ポルノになってしまい、そうなるとドラマじゃなくてバラエティ番組みたいになっちゃうもんね。

🐙本作の一番良い部分は長いスパンでキャラクターが大きく変化していくところ。
一番変化が大きいのはやはりシオン・グレイジョイだろう。スターク家で家族同然に育った彼は好色で傲慢なクソ野郎でスタークを裏切って今まで世話になった人とかを惨殺する。その直後ボルトン家の落し子、サディストのラムジーに捕まって心身ともに拷問されたり去勢されて別人のように萎縮した奴隷になる、やがて勇気を振り絞って身内を救い(この時ラムジーの愛人を落下死させるシーンがめっちゃカッコいい映像)、遂にはかつて裏切ったスターク家のために命をかける、去勢されてるから金的蹴りされても一切効かずニヤリとする場面もカッコよかった。どうでもいいがTwitterで検索したら日本人女性はほぼシオンとラムジーの話しかしていないので観る前は主人公なのかと思ってた。次に”キングスレイヤー”ことジェイミー・ラニスター。彼は第一話で保身のため9歳のブラン・スタークを塔から突き落として下半身不随にするという最低の人間だったがスタークの捕虜となりクソまみれとなり自慢の利き手も失い、本作唯一の高潔な女性騎士ブライエニーに助けられたり助けたりするうちに人間らしい暖かい感情が芽生える。それはハウンドも同様。お転婆姫のアリア・スタークはハウンドと旅したり〈顔のない男たち〉の修行を受けて最強の暗殺者へと成長する。サンサ・スタークはかなり長い期間虐げられるだけの気の毒なお姫様キャラだったが、その経験を経て自由の身になった頃には立派な北部の指導者へと成長していた。
一人の人間が大きく変化する、それらの部分は一人の人間に多面的な表情を与える。
「月曜日に出会ってめっちゃ嫌な奴という印象になった、だけど君が会っていない火曜日に改心して残りの日曜日までめっちゃ良い奴だとしたら?君は月曜しか会ってないから彼が実は良い奴になったという事を知らんだろうが人とはそういう寒暖計の様な面がある」という長いスパンの神の視点で一人の人間の多様な面を見ることが出来る。これは短い時間を切り取った「映画」メディアでは難しい長所だと思った。
これによって悪人も単純に憎めなくなるし普段の生活でも、たった一言の失言や失敗で断罪したりするのは止めようと思ったし、その逆で良いルックスで甘言ばかり言う人も易易と信用しない方が良いなと思った。
それにしても自分をブッ殺そうとしてた者とか自分の家族を殺した者と、数日後には味方になって共に行動したりするのが多くて「人間って不思議だな」と思った。本作の登場人物は直情型なのにも関わらず家の事を考えると広い視野で自制せざるを得なくなってくる。国が一個人に強いるものが重すぎるよな。そして国はその借りを一個人にはついぞ返そうともしない。

👱🏻‍♀️そして女性の活躍を多く描くのも本作の良いところだ。だが「女性を活躍させましたよ!」って感じの、なんちゃってポリコレではなく女性の良い面も悪い面も描き、活躍するだけではなく力なき女性は無残に惨殺されたりする(野人の女オシャとかリトルフィンガーがスパイさせてた娼婦は好きだったので無残に殺されて悲しかった)。適当に活躍させるだけではなく女性が凄い酷い目に遭う‥サンサとか顕著ですね。そういう描写って形だけのフェミニズムではなく、もっと真摯なものを感じた。そういった本作の一番いいところの多くは中盤で数多く観ることが出来るので中盤あたり観てる時は「このドラマ、神では?」と思わされた。

🐦七王国の玉座争いやスターク家の子供達の運命やデナーリスの旅路と並行して、大きなストーリーラインは超自然的存在ホワイトウォーカーとの対決。
ナイツウォッチに入隊したジョン・スノウは、ナイツウォッチ内でプロップスを高めてのし上がり若き総帥となり敵対していた野人や巨人をも味方につけ、そしてシーズン1から引っ張ってきた恐ろしい怪物ホワイトウォーカーと、多くのスターク家の子たちと合流した最終章でぶつかる。‥と、こう書くと少年漫画の主人公としか思えないジョン・スノウ。何も知らないジョン・スノウ。実際に彼は主人公に近い英雄だし活躍を文章だけで読むと確かに凄い英雄に見えるのだが、彼が七王国から切り離された壁の北で童貞を捨てたり要領を得ないボンヤリした冒険してる様子は、ジョンなりには大変なんだろうが七王国での熾烈な玉座争いに比べると大学生が遊んでるようにしか見えず「随分のんびりしてるな」と、ナイツウォッチの描写は当分の間面白くなかった(シーズン1に至っては本当に山でのんびりしてるだけだし)。
そもそもナイツウォッチも、衣装はカッコいいし「ジェダイみたいなカッコいい組織なのか?」と最初は期待したが、家を追い出された者や只の犯罪者が送り込まれてるだけで殆ど全員無能なのも観てて辛いところだ。剣の腕も別に強くない(むしろ七王国の普通の騎士よりずっと弱い)そんな中、一番無能と思われた名家を追い出された大柄のサムが、物語が進むに連れてどんどん有能になっていく様はつまらないナイツウォッチ描写の中で珍しく面白い箇所だった。
童貞捨てたり総帥になったり野人をまとめたりする主人公っぽいジョンの活躍も、何だか製作者に贔屓されてるようにしか感じなかった(範馬刃牙みたいな感じ)。挙句の果てには完全に殺された後に紅の魔女の魔法で蘇るし。だが完全に死んだ者が蘇るって優しい大作エンタメですら滅多に無いので逆に珍しかった。
本当に微妙なので中盤過ぎた辺りで「ひょっとして、こいつは『フィクションの主人公補正に対するアンチテーゼ』のために作られたキャラなのかも?」と思わされたくらいだ。つまり凡人なのに主人公補正を背負わされてヒーヒー言いながら死んだり蘇ったりしながら闘わせられ続け「主人公補正は是か非か?」を問うキャラなのかなって。まぁ最後まで観たら単純にヒーローポジションみたいだったので勘違いか。本作のジョンの描き方はかなりぬるい気がする。後半では少し立派になってきたが、あまり自分でものを考えないところや自分の心に正直すぎて他人の気持ちに寄り添わない性格が何だかなと思った。結局最後の台詞も疑問形だったしラストまで何も知らないジョン・スノウだった。ジョンを演じた俳優はMCU「エターナルズ (2020)」で剣の達人アベンジャー、ブラックナイトを演じる。このジョン役を観てキャスティングしたんだろうな。ルックスは普通にカッコいいのでそっちは楽しみだ。
そういえばシーズン1から名前が出て最終章で遂にスターク家&ターガリエンその他の混合軍とぶつかるスリープウォーカーと死の軍団。彼らは物言わずゾンビを従えて人間世界に南下してくる。てっきり何か深淵な目的があると思ってみてたら何にも無い只襲ってくるだけのゾンビ軍団だったので拍子抜けした。まぁただ「不吉な雰囲気」の擬人化っていうか災害の擬人化っていうか‥ただそれだけの存在だった。

🦌こういった三国志ものでは、雄々しい決戦や天才軍師のカッコいい計略を見せたりするもんだが、戦争が嫌いな原作者による本作ではそんな軍師目線では描かない(そのせいか本当は天才戦術家らしいロブ・スタークも、彼の見事な連戦や戦術が全部カットされてるのでドラマ観ただけだと恋愛脳のアホにしか見えないのが気の毒だ)。というかそもそも合戦も1シーズンに一回くらいしか出てこない。たまに合戦があっても主人公ではないスタニスなんかの最後の合戦などは「行くぞ~!」と突撃してカットが変わるとスタニス軍が全滅してたりして、そんな即落ち2コマみたいな負け方は笑った。無駄な引き伸ばしがなくていいね。アメコミも戦闘シーンほぼない長くても数ページだけど本来こんなもんで良いと思う。ジャンプ漫画も戦闘シーンいらんだろって思う。主人公の合戦なども当然軍師目線ではなく(そもそも軍師は出てこない)兵士目線で描かれるので自分や周囲がグチャグチャに刺されて苦しんで死んだりして「絶対こんな風に戦争に出されてこんな風に死ぬのは嫌だ」と思わせてくれる。本作に出てくる最強トップ5に入るキャラでも6人くらいに囲まれたらピンチになったり死んだりするのでリアル路線。カタルシスは少ないがそういった描写は「戦争やろうぜ!」気分を損ねる良い描写だと思った。

🌹自分が好きだった場面。
スタニス海軍をワイルドファイアで壊滅させたティリオンと目が合ったパイロマンサーが狂った笑顔を見せるところ(この人大好きだがここしか出番なくて残念)、シーズン4のティリオンの裁判、アリアの冒険や成長、ブライエニーとジェイミーが旅して熊と闘うところ、アリアが図書室でゾンビから隠れてる場面、ハウンドとか完璧人間オベリンや玉ねぎの騎士や野人トアモンドも当然良かった、‥だけどそれらは恐らく観た人皆好きだろうから改めて言うことはない。
そういえば最低な決断ばかりするスタニスは人気なさそうだが多田野曜平氏(故・山田康雄そっくりの死ぬほどカッコいい声の声優さん)が吹き替えしてイーストウッドみたいな声で喋ったり殺される時潔かったりして結構嫌いになれないキャラだった。この作品のキャストは皆仲良くて本作を愛している俳優が多いがスタニスを演じた俳優は「残酷で陰鬱すぎて理解できない‥ギャラのためにやるけど嫌いだ‥」と言ってるのも何だかスタニス本人みたいで好感が持てた。
というかジョン・スノウやスタニス等どうしようもないキャラの中に俺自身のどうしようもない部分を見て共鳴したのかも。そういった意味で、好きなわけではないがジョンやスタニスは全編寄り添って観ていたキャラだった。
あと少女領主リアナ・モーモントも、めちゃくちゃ良いキャラで好きだったのだが、死の軍団との戦争で戦死して悲しかった。ゾンビ巨人の首級を挙げるという良い扱いだったけどね。「正義感の強い少女が戦争に出たらこうなるリアリティ!」とかも良いけど最終章だし普通にリアナ・モーモントも生還させろや、と思わずに居られなかった。自分の確固たる意思もあるけど周囲の意見も積極的に聞くという最も王に相応しいキャラだから単純に「この世界の損失が‥」と残念に思った。最後の七王国再編首脳会談の時に居て欲しかった。
あと、シーズン7でタイレル家のオレナ婆様が最期を迎える場面。彼女の孫のマージョリーも演じてるナタリー・ドーマー好きだし良かったね。マージョリーは劣勢になってる時間の方が多かったが彼女にしか出来ないあざとい女性っぽいやり方でかなり良いところまでラニスター家に侵食して善戦したね。そしてオレナ婆さんも元々いいキャラだったが最後の時が来て「好きだったけどこれで終わりかぁ」と思ったら最後の台詞‥ここが全73話観て一番カッコいい場面でカッコよすぎて感動して震えた。

🐲本作の最終章は不評で「最終章を作り直せ」という署名に150万もの票が集まってしまったらしい。確かに最終章は良いところもあるけど6話しかないせいかダイジェストみたいに性急で「何でこんなことになった?」という場面が多く、また死の軍団との戦争もテーマ無い癖に異常に長かったりとバランスが悪い(恐らく「ドラマ史上最大の闘い」と言いたかっただけだろう)。最終章は6話じゃなくて「死の軍団編」「デナーリス編」とシーズン2本分必要だった。何か製作者がさっさと辞めたがったのかな?原作はシーズン6くらいで追いついたから原作のない部分を描くのがプレッシャーだったのだろうか。
だけど描き方が変なだけで、全体的なストーリーの着地自体には違和感ない。
だから「最後のジェダイ」ほど悪いわけではなく「作り直せ」とまでは思わない。その代わり中盤では「神のドラマ‥」って感じだったのが全部観終えた今は「何かそこそこ面白かったね」という感触に落ちてしまってるし原作のない最終章の出来とかを見るとSWから離脱した事も大して残念でもないので、やっぱり失敗だったんだろう。
女だからと舐められ苦渋を舐めつつ仲間を増やして捲土重来を目指す、そんな誰もが応援したい英雄デナーリスも、僕はシーズン1の時から苦境の彼女を見て「辛い目にあってるからこそ『自分は何しても良い権利がある』と思う人間になりそう」と思ってたので予想は当たった。デナーリスはコロニー落としをするシャアみたいな人物だと思ってた。それにしてもvs.ラニスター戦で鐘の音を聞いてブチ切れるのは確かによくわからなかった。彼女が暗黒面に落ちる描写は数話じゃなくてもっと長い期間をかけないと足りてない。最初から彼女には危険なところがありそうと思ってた自分だが、それでも「デナーリスがサーセイを焼き殺すのはわかるけど一般市民に爆撃とかするか?」と凄く疑問を覚えた。やっぱりデナーリスの暗黒面の増大には1シーズン必要だったと思うわ。僕は一気観したしデナーリスを信用してなかったのでショックもないが、何年も観てたりデナーリスのファンとかは納得できないかもね。アメリカでは娘にカリーシ(デナーリスの呼び名)を付ける人が多かったそうだが一体どう思ったんやろ。
そんな感じで「ラストが良い映画は微妙に思えた全体までも良く見えてしまう」という現象の反対で、本作は中盤がめちゃくちゃ良かったにも関わらず最終章のせいで何か印象に残らない鑑賞後感になってしまった。一気観したせいもあるかもしれんがロスにも一切ならず「何か面白い時もあった、そんなGOTってドラマがあったな」という既に風化した思い出になりつつある。
とはいえドラマ苦手な僕が一ヶ月で全話観れたから相当面白いんだけどね。途中で何本か映画観たけど「GOTの一番つまんない回の方がずっと面白い」とか思ったしクオリティ高すぎドラマなのは間違いない。殆どのドラマは数話観ただけでやめちゃうしね。
関係ないけど王都の守り人akaシティウォッチの事を吹き替えで「金マント」と呼んでたのがガンダムの「木馬」とか「白いの」みたいでカッコよかった。やっぱり現場での略語っぽい呼び名はかっこいいな。

🦁そんな感じで僕が一番好きだった部分は、長いスパンでキャラの大きな変化を見せるろころや女性やティリオンの描き方とかですかね‥。
好きなキャラは‥まぁ大抵の人気キャラは自分も当然好きなので彼ら彼女らは除外するとして、それら以外に一番好きなキャラは‥と考えるとやはりオレナ婆さんとリアナ・モーモント。あとさっき言ったようにスタニスとジョンは好き‥じゃないけど好き嫌いを超えた特別な感情を抱いていた。この四人。ちょうど少女、青年、中年、老婆とバランスも良い。
続編は「House of the Dragon」というターガリエン家を中心にした前日譚の制作が決まった。一方、ナオミ・ワッツが出る別の前日譚はパイロット版がイマイチで没になり制作中止になったらしい。ナオミ氏が勿体ないのでターガリエン家の方にナオミ氏も混ぜてほしい‥と思ったが、悲しい目に遭う役が多いナオミ・ワッツがGOTに出たら凄い悲惨な目に遭いそうだしやっぱり出なくていい。というかターガリエンの双竜のくだりとか想像するに凄く残酷そうだし別に観たくない。

 

 

 

そんな感じでした
🐺🐲🦁🐙🐻🌹🦌❌🌞🏯🧟‍♂️🗡⚔🔥❄🐺🐲🦁🐙🐻🌹🦌❌🌞🏯🧟‍♂️🗡⚔🔥❄

 ゲーム・オブ・スローンズ 最終章』 スターチャンネル公式ページ 
Hulu「ゲーム・オブ・スローンズ」
Game of Thrones (TV Series 2011–2019) - IMDb

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