gock221B

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『クリスティーン』(1983) ジョン・カーペンター/Evil Carに魅入られて暗黒面に堕ちた陰キャを親友のイケメン陽キャが愛で殺す🚗

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原題:Christine 監督&音楽:ジョン・カーペンター
原作:スティーヴン・キング 
製作国:アメリカ 上映時間:110分

 

 

スティーブン・キングの同名小説を出版と同時に長編映画化して公開したもの。
子供の時に金曜洋画劇場とかで観たことあるけど自分が自我を持って以降観たことなかったのでジョン・カーペンターファンとしてもっかいちゃんと観ときたいと思ってはいたがBlu-rayとかわざわざ買ったり借りてまで観たくはなかった間に数十年経過してしまったがNetflixで配信されたので丁度いいわと思って観ました。原作は読んでない。ネタバレあり。
最初にあらすじをざっくり言わせてもらうと、内気な少年が呪われたクラシック・カーを買って「クリスティーン」と名付けて「彼女」の修理をしているうちに彼女の影響を受け、傲慢・暴力的になっていき連続殺人を行い破滅する青春ホラー。「気弱な少年が大きな力を手にして豹変してしまう系の青春映画」の一つと言える、作品によって、その「大きな力」は超能力だったり銃だったりモンスターだったり巨大ロボットだったり……様々だが昭和の映画や少年漫画の定番だったと言える。スパイダーマンはその「大きな力」を良い事に使った例だが、悪い方に触れてしまったのが本作。
クリスティーンは破壊されてもベコベコッと自己修復する。それを活かして車体をボコボコに自損させながら狭い路地に無理やり入ってきて殺人を行う。漫画家・荒木飛呂彦が『ジョジョの奇妙な冒険』第三部の敵スタンド〈運命の車輪(ホイール・オブ・フォーチュン)〉でパクった。『クリスティーン』とスピルバーグの『激突!』を足したようなスタンドだった。荒木先生は映画や漫画など色んな先人から物凄い数のパクリをしてるのだが何時の間にか完全に自分のものにして描いてるせいかあまり非難されない(僕の想像では、荒木先生は描いてるうちに自分がパクった事を毎回マジで忘れ、本気で自分が思いついたと思って描いてるんだと思うので独特の、パクリを指摘する気にならない雰囲気が生まれるのではないかと推測)。

1972年、カリフォルニア。内気な高校生アーニー(キース・ゴードン)は、親友のアメフト選手デニス(ジョン・ストックウェル)と帰宅の途中で、放置されてるボロボロの'58年型・赤い車体のプリマスに一目惚れ。拘束衣みたいな『時計じかけのオレンジ』みたいなビジュアルロックバンドの衣装みたいな「何なん?その服」と言いたくなるカッコいい服を着たカッコいい風貌をした老人から購入。
その前にこの主人公、アーニーは眼鏡をかけたオタク風の風貌……と言っても演じてる俳優は実はイケメンで、見事な演技で空気が読めないアーニーや呪いで傲慢な若者に変貌したアーニーまでを演じているに過ぎない。オタクキャラもしくはガリ勉キャラのように見えるアーニーだが、特にオタクとかガリ勉といったキャラ付けはされておらず、母親と仲が良すぎて女子に奥手で若干空気が読めない絡まれやすいメガネでしかない。
一方、親友のデニスだがイケメンだしアメフトのスター選手なので日常的にクラスメイトの金髪女子に言い寄られている。
そんな感じでデニスはスクールカースト最上位、アーニーはいけてない認定されてる感じなのだが(デニスの友人はアーニーを馬鹿にしている)、デニスはそんな身分の差おかまいなしでアーニーの親友だ。原作読んでないからわかんないけど多分「幼少時から親友でそのまま大きくなって身分は違ったがデニスが良い奴なので親友のまま」ってパターンだろう。アーニーは精神的にも幼いのでおかしな事を言いがちだがデニスは嫌な顔しない。アーニーがナイフを持った不良生徒3人に絡まれた時も、デニスはやられるの覚悟で立ち向かってアーニーと共にボコボコにされた。めっちゃ良い奴やん。こんなナイスガイは滅多にいない。
話を車に戻すが、アーニーはクリスティーンを見た瞬間にひとめぼれしてしまいデニスや両親がいくら止めても買うと言う。しかもクリスティーンの持ち主だったという老人の弟は車を入手すると人が変わったようになり女房にも逃げられて車内で死んでいたというではないか。
クリスティーンは動くのがやっとのボロボロ車なのでアーニーは自動車工場へ持っていき廃車の部品を利用させてもらい連日、修理に出かけた。
この工場長、ここの撮影で素晴らしい陰影が顔に出来てるのも含めて暗黒街の顔役的なめちゃくちゃ良い面構えをしている!この工場長もさっきの中古車売ってくれた老人も、妙に良い顔だなと思って調べたら名優だった。かつての名優を脇役にするのジョン・カーペンター映画によくありがちですよね。
最初は「俺はガキが嫌いなんだ!」とアーニーを疎んでた工場長も、アーニーの熱心さと彼の技術に惚れ込んだようで「うちの仕事を手伝ってくれたら……廃車の部品を好きに使っていいぞ!」とデレた。しかしアーニーはコミュ障なので工場長のデレが伝わらず気のない返事。工場長は「くそっ!ガキにデレて損した」といった表情。
その後、アーニーは綺麗になったクリスティーンに乗りハンドルに愛おしそうに持たれかかる。それをフロントガラスの向こうから撮ってる。何とも言えず良いシーン。
アーニーは呪いの車の影響で少しづつ気が強くなってるのだが、この時点ではただ前より自信が着いただけに見える。正直ここで終わってれば「親離れできてなくてアーニーが始めて自分の意志でやりたい事をやり自信が着いた」ってだけの只の良い話。

 

 

アメフトの試合中、デニスがふと観客席を見るとメンテナンスが終わって綺麗になったクリスティーンの前に立つアーニーが学園一の美少女リー(アレクサンドラ・ポール)とキスしている!
あまりの衝撃に、相手選手のタックルを喰らい気絶するデニス。それどころか打ちどころが悪く「二度とアメフトはできん。もう少しで下半身不随になるところだった」とか言って思いのほか大事になっていたのだが「自分も落とせなかったリーがアーニーなんぞとキス!?」というショックの余り失神はおろか死にかけたように見えて草なんだ。
アーニーはクリスティーンとリーという両方に花を手に入れ、別人のように自信満々になっている。だが親友デニスの意識が戻らない間、何度も見舞いに来てるし大怪我の話を聞くとマジでショックを受けた表情をするしデニスへの友情は消えてない模様。
かくして陰キャのアーニーと人気者デニスは以前までと立場が逆転した。
一方、アーニーと付き合い出したリーはアーニーが自分よりも夢中なクリスティーンに嫉妬し、クリスティーンの方もリーを呪いで殺しかけたりして暗雲立ち込める。
その後、冒頭の不良達がクリスティーンを破壊して恐らくここが、アーニーが完全にダークサイドに落ちるきっかけだろう。クリスティーンはアーニーの目の前で復元(多分ここが一番の見せ場)、そして不良達を一人づつ惨殺する。
俺が好きなハリー・ディーン・スタントン演じる刑事もアーニーを疑い始める。
アーニーに優しかった工場長をクリスティーンが殺害したり、アーニーが冒頭では仲良かった母親と仲悪くなったりするのは単純に悲しくなった。
その後、退院したデニスが豹変したアーニーを見て「優しかったアーニーが変わっちまった!もうアカン」となって、リーと共にアーニー&クリスティーンを退治するラストバトルになる……。
陰キャが大きな力を手に入れ、自信を付けたのは良かったが増長してダークサイドに堕ち、親友が愛のある引導を渡す……という話だった。
正直なところ、アーニー役の俳優がどんどん暗黒面に飲まれていく演技は見ごたえあったが後半のホラー部分よりも、前半のアーニーとデニスの学園生活やアーニーが車を手に入れて修理してるといった何てことない地味~な北の国から的な青春描写の方が面白かったかも(正直大柄の不良を殺したところくらいで完全に飽きました)。
読んでないけど原作は上下巻の大作らしく、きっとアーニーその他のキャラの心理描写がこれでもかとあったかと思うんだが、この映画にはそんなのないので「リーは何でアーニーと付き合いだしたんだろ?」とかリー絡みが不可解で盛り上がらなかった。
デニスの葛藤や心情は、彼はアーニーと堅い友情を育んでたからよくわかるけど、リーの場合、彼女が付き合ってた時期のアーニーって只の空気読めない傲慢で呪われた少年でしかないので、何でリーがアーニーを好きだったのか何でアーニーを心配したりするのとか凄く不思議ですよね(というかリーは、アーニーともデニスともろくに心の交流してないからドライブインシアターの時、クリスティーンに殺されてた方が良かった気がする。映画のキャラとしてね)。
陰キャがやっと自信を付けたのはいいが呪いのせいで暗黒面に堕ちて周囲との人間関係が全部だめになって殺人鬼になってしまい(アーニーの直接的なせいではないが間接的な理由で)夢を絶たれた陽キャが、陰キャを殺す哀しい話だった。
この何とも言えない寂しい……ダウナーな哀しさがあるから今まであまり観なかったのかも。あんまり盛り上がらないからね。だけど、自分が狙われてるわけじゃないから普通の奴だったらアーニーなんか放っといただろうに、デニスの場合わざわざ責任持って自分の手で殺しに来てくれるんだから、デニスって本当に優しいなと思った。クリスティーンに魅入られたごくごく短期間しか幸福感を感じてなかったであろうアーニーだが、デニスに殺された事は最後の幸せな事だったのかもしれないと思った。

 

 

 

そんな感じでした

ジョン・カーペンター監督作品】
『マウス・オブ・マッドネス』(1994) ジョン・カーペンター/ジョン・カーペンター映画大好き📘 - gock221B
『ハロウィン』(1978) ジョン・カーペンター/初めて観たけどクラシックだが堅い造り確かな味わいで楽しめた🎃 - gock221B
『姿なき脅迫』(1978) ジョン・カーペンター/サイコパス知能犯に見せかけた単なる荒いオッサンの犯行だったとは👀 - gock221B
『ザ・フォッグ』(1980)/妙に具体的な設定の亡霊。さすがに古いのでホラーなのに旅番組みたいに観た🌁 - gock221B

 

 

スティーブン・キング原作映像作品】
「IT/イット (1990)」後編はイマイチだが前編とペニーワイズは最高🤡 - gock221B
「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(2017)」子供達と日常パートは昔より良いが、ペニーワイズは昔の方が良い🤡 - gock221B
「ダークタワー (2017)」異世界で屈強な黒人と‥。全体的にかなり面白くないが終わり方だけ異常に良い映画 - gock221B
「ジェラルドのゲーム (2017)」手錠でベッドから動けなくなったセクシー熟女が状況と自己のトラウマに立ち向かう👩 - gock221B
「1922 (2017)」死ぬほど地味で暗い話だがS・キングっぽさが出てるしクトゥルー神話っぽい陰惨な雰囲気に妙に惹き込まれた🐭 - gock221B
「スティーヴン・キング ビッグ・ドライバー (2014)」一本道すぎるけど蘇ると別人になるわけじゃなく本人が暴行魔に復習するのが気持ちいいレイプリベンジもの🚚 - gock221B
「スティーヴン・キング ファミリー・シークレット (2014)」おしどり夫婦の夫が連続殺人鬼。ビッグドライバー、1922と併せて観たい👫 - gock221B
「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。(2019)」🤡 - gock221B
『ドクター・スリープ』(2019)/中盤までの遠隔サイキック・バトルが凄く面白かったのでホテルには別に行かなくてよかった🐈 - gock221B

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Christine (1983) - IMDb

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