gock221B

映画やドラマの感想ブログ 😺🐱 殆どのページはネタバレ含んだ感想になってますので注意 😺 短い感想はFilmarksに https://filmarks.com/users/gock221b おしずかに‥〈Since.2015〉

『野球少女』(2019)/昆虫観察のように淡々とした低温で強い意志を持った少女を見つめる感じ良かったです⚾

f:id:gock221B:20210906214318j:plain原題:야구소녀 監督&脚本&編集:チェ・ユンテ
製作国:韓国 上映時間 :105分 英題:Baseball Girl

 

 

 

映画のメインビジュアルや主演俳優の女性が凄く良い感じだったので気になってたこの映画、Netflixに来てたので観た。
大ヒットした韓国ドラマ『梨泰院クラス』で人気が出た俳優イ・ジュヨンという人らしいが自分は観てないのでよく知らない。あと野球自体も、子供の頃には放課後やって遊んでたり親戚に野球場に連れられて行った事があるくらいで試合を見たりするのは全く興味ない。野球というかサッカーとかも全く観れない。選手全員のキャラクターや過去、戦術などを知ってたら楽しいのかもしれないし、どちらかのチームに「勝て!」と思えるのかもしれない、とは思うが実際のところ野球やサッカーのファンが、試合を観て一体何が面白いのか、どちらかを応援しようという気持ちが何故湧くのか全くわからない。いや球技というかオリンピックとかスポーツ全体そうかもしれない……しいて言うなら総合格闘技とかならまだ観れるか、テニスも一対一で格闘技っぽいから理解しやすいかも。選手が親戚だったり友人なら思えるのかもしれない。野球やサッカーを愛好する人はかっこいいので何度か好きになろうとした事あるが無理だった。さすがにスタジアムとか行ってビールとか球場飯食って見る楽しさはわかる。だがTVで観たりあげくの果てにラジオで中継を聞く人の楽しさがわからない。まぁ自分のスポーツ観戦への興味の無さの話は別にいい。
野球を扱った映画といえばベネット・ミラー監督の『マネーボール』が傑作だった。これはブラピ演じるGM統計学を元にチームや戦術を組み立て直すという映画で、これは僕が理解できない野球選手への感情が一切入ってないので凄く良かった。『マネーボール』とは違い本作は野球選手の話だが、映画のメインビジュアルや予告が『マネーボール』に似た低い温度感だったのできっと面白そうだと思っていた。
90年代に実在した女性の高校野球選手がモデルになってるらしいが、その人物も大学への特待生にはなれたがプロにはなれなかったらしい。

 

 

 

男子の野球チームに一人だけいる高校卒業間近の女性選手チュ・スイン(イ・ジュヨン)。
スインは同じチームのジョンホ(クァク・ドンヨン)と共にリトルリーグから投手として野球を続けてプロ野球選手を目指しているが女性は入団試験もまともに受けさせてもらえない。韓国の野球界、規約によって一応なる事は出来るが、なろうとする女性は少ないだろうし球団も女性を取りたがらない。いわばポースとしての規約でしかない。
球速130km以上の球を投げて天才少女と呼ばれてたスインだが、女性ゆえ身体の成長が止まり投げる球も130kmどまりのため監督や周囲から「無駄だから辞めたら……」という雰囲気で見られている。……見られているというか、もうそう見られていた期間をもとっくにやり過ごしてかなり時間が経って何も言われなくなっている雰囲気。
というか劇中では「160km投げたらプロにもなれるが……」と相手にされないスインだが……さっき言ったように野球よく知らんのだが130kmって凄くない?まぁよくわからんが現在では凄くないらしい。
プロ野球選手になかなかなれない新任コーチ、ジンテ(イ・ジュニク)がやってくる。
コーチは「男子に混じってプロ野球選手になるのは無理だから」とスインに何かと辛く当たったり辛い試練に直面させて辞めさせようとする。がスインは全く辞めない。女子野球を勧められても自分は男に混じってやりたいという堅い意志を見せる。監督の諦観した雰囲気を見るにつけ、恐らく監督も過去に似たようにスインをやんわり辞めさせようとしたが無駄だったのだろう。
スインの家庭は、両親と幼い妹、父は何かの資格に落ち続けていて母が働き続けている感じ。母は働かない夫に苛立っており、その苛立ちをスインにぶつけており折り合いが悪く、母はスインには一刻も早く工場で働いて欲しがっているので野球をやめてもらいたがっている。夢を追ってる父は応援してくれてるが働いてないので発言権が弱い。
仲のいい友人は、歌手になりたいがオーディションで顔を見ただけで落とされた同性の友人(この友人も厳しい闘いをしているが終盤で再びやる気を出す)。
スインと共にリトルリーグからやってきた男子野球部員ジョンホ。昔は野球も体格も全てスインが上回っていたが現在では逆転されジョンホはプロ行きが決まる。
色んな世界で「女性も平等に」と言われていて、それは良い事だがスポーツだと厳しい。男性と女性では筋肉量や体格が違いすぎる。
スポーツなので全ては数字の世界。球速とか脚の速さとか打球の伸びとか……細くて130kmしか投げられないスインは情熱だけではプロ野球選手になれそうもない。
スインを応援してくれてるのは友人2人と無職の父くらいの無力な人たちだけで、後は野球部もコーチもプロ野球界も、なんだか世界全体がスインに野球をやんわりと辞めさせようとしているがスインはスンとした表情でやり過ごして諦めない……という様が淡々と、昆虫の観察のような低温で描かれる。それが凄く良かった。
やがて根負けしたコーチは「160km以上投げなければプロ投手になれない」と速球にこだわるスインに変化球を勧め、そこから風向きが変わる。
確かに理にかなってる。筋肉量とかの限界があるから速球で勝負しようとしても確かに男子には勝てない。
最初は辞めさせようと意地悪してたコーチも何か知らん間にマンツーマンで肩入れしまくりクライマックスでは遂にプロ野球のトライアウトを受けることが決まる……。
そんな話。女性を描こうとしてるのは間違いないが、よりによって物理的社会的すべてにおいて不利な野球界の女性を扱ってるのが面白い。かといってスーパーパワーを発揮したり奇跡が起きるわけでもないので、ほぼ全編がクールで「勝たせてあげたいけどだめなものはだめ」と淡々と描いてる様が良い。
そして上手く行かない事が多いスインが基本、スンとした表情でやり過ごすのがとてもいい。たまに閉所にこもって泣いたり別の道を何度も提示されるが「プロ野球選手になる」という先しか見ず一切下や他所を見ないので悲壮感が一切ない、だから観ていて気持ちいい。
リトルリーグから一緒だったジョンホが、コーチに「リトルリーグでのスインはどうだった?」と訊かれてジョンホは「一人だけ女子なのでめちゃくちゃ虐められたり嫌がらせされてましたよ」と答える。結果的にスインも嫌だっただろうが現在のように夢にだけ目を向けてやり過ごして結果的に残ったのはスインとジョンホだけだったとわかる(つまんない映画とかなら子供時代のいじめシーンとかが一々挿し込まれてたんだろうな)。
観ようと思ったきっかけがスイン役のイ・ジュヨン氏とかいう女性の俳優。
彼女のクールな表情や佇まいは本当に良かった。確かにこれはスターだと思った。
日本の90年代男子みたいな髪型も良いし毛量が多すぎる、それでいて凄く細くて良いスタイルなもんだからマウンドで一人ぽつんと立ってる姿が風に決して折れない植物みたいでこの主人公をバッチリ表現してた。
不仲だった母もアイスの思い出を語って仲直りする。そしてラストシーン直前にスインがアイス買って食ってるカットが入るので「スインは殆ど独力でやり遂げたって意味だな」という感動があった。お金のことで勘違いするお母さんも何かグッと来ましたし。
それにしても、こういう感じで感情を隠してやりたいことやり続ける人物とかキャラクター本当に好きですわ。感情を出来るだけ隠すってのが大事ですね、感情を見せて事態が好転するわけでもないのに見せてくるやつ、そしてそんな感情出しまくってる奴の涙や鼻水出てる顔面ドアップを担保にして感動とかを通そうとしてくる映画とか、理解できないっすわ。その点、この映画とイ・ジュヨン氏は良かったですわ。
「無理なことは無理、ではどうすればスインでもプロ野球選手になれるか?」というのを考えて撮ってる感じや、周囲でスインを応援してる人が異常に少ないのもリアル(悲しい結果に落ち込みたくないからね)。
球団の人が最後に言う台詞もまたこの映画の誠実さを表現してたね。

 

 

 

そんな感じでした

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Baseball Girl (2019) - IMDb

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『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021)/シャン・チーとケイティと中盤までのアクションとストーリーが最高⭕⭕⭕⭕⭕⭕⭕⭕⭕⭕

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原題:Shang-Chi and the Legend of the Ten Rings 製作:ケヴィン・ファイギ 監督:デスティン・ダニエル・クレットン 脚本:デヴィッド・キャラハム、デスティン・ダニエル・クレットン 原作:スティーブ・エングルハート、ジム・スターリン 制作スタジオ:MARVELスタジオ
製作国:アメリカ 上映時間:132分 シリーズ:MARVELシネマティック・ユニバース

 

 


🐉マーベル・シネマティック・ユニバースのフェイズ4の2作目、通算25作目(Disney+のドラマ&アニメも合わせると30作目)。フェイズ4の1作目『ブラック・ウィドウ』(2021)はフェイズ1~フェイズ3までのウェーブ1「インフィニティ・サーガ」のボーナス曲みたいな内容だったし、Disney+ドラマ&アニメ群も過去の流れを汲む既存のキャラクターの作品だったので、新ヒーロー登場の本作こそがフェイズ4開幕感ある。
コロナ怖いのであまり人が多い所に極力出かけたくないのだが先日たまたま僕の誕生日(ドラえもん楳図かずお吉田豪チャーリー・シーンと同じ)だったので、先日が公開初日の『シャン・チー』が誕プレに思えて誕生月割引で観ました。

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※下の色が薄い小文字は感想の前の前置きで、その下からが感想なので、薄いゾーンは読まなくていい
25作目となる本作だがMCUが始まる18年以上前、MCUの総監督とも言えるMARVELスタジオ社長のケヴィン・ファイギが「後にMCUと呼ばれることになるMARVEL制作の映画シリーズ」を作るため2003年に銀行から映画製作資金の5億ドルを借りる時の「事業計画書」にあった「MARVELスタジオで製作予定のMARVEL映画10本」の中に、この『シャン・チー』は既に書かれていた(ちなみにMCUの一作目&今までの中心だった『アイアンマン』は10本の予定の中に無かった)。
それなのに制作するまで18年もかかったのは当然「アジア人ヒーロー」「アジア人主人公」という前例のない要素がネックだったからだろう。ハリウッド映画の出資者は前例のないものを嫌う、一部の勇気のあるスタジオと配給会社が先鞭つけて大ヒットさせた後にしか作りたがらない、というか出資者もリスクを嫌い制作資金を出さない。
そもそもアジア人ヒーロー映画どころかアジア人が主人公のアメリカのエンタメ大作映画すら殆ど無い。
というかそもそもアジア人俳優ですらアメリカ大作映画の出演者のうち1%も出てない印象。もちろん古くはブルース・リーを始めとしてミヤギさん、アル・レオン、ジャッキー・チェンジョン・ローン工藤夕貴、本作にも出てるミシェール・ヨー、ジェット・リードニー・イェン北野武真田広之菊地凛子浅野忠信……他にもハリウッドのエンタメ大作に出てるアジア人はいるし『グリーン・ディスティニー』のヒットとかもあったが、カンフー映画という隔離されたジャンル内だったりスポット的だったりして、アジア人俳優勢がハリウッドの本流ド真ん中にいた印象はない。最もハリウッド本流に食い込んでるエンタメも賞レースも行けるアジアン俳優は本作にも出てるケイティ役のオークワフィナだろう。
本作が作られるのを後押ししたのは恐らく25年ぶりに作られた主要出演者が殆どアジア人の映画『クレイジー・リッチ!』(2018)が大ヒットしたのも大きかっただろう。本作にも出てるミシェール・ヨーとオークワフィナも出てた(MCU的には『キャプテン・マーベル』のミン・エルヴァ役&『エターナルズ』のセルシ役のジェンマ・チェンも出てた)。この、あり得ないほどの金持ち中国人ラブコメはブログに感想書いてないけど面白かった、というか内容よりも『オーシャンズ8』で初めて知ったオークワフィナの魅力が印象深かった。そんな感じで『クレイジー・リッチ!』が大ヒットした事によって「ほう、アジア人ばかりでもヒットするもんだね」という認識が広がったのだろう。
作品評価的なところではポン・ジュノMCU次回作『エターナルズ』監督のクロエ・ジャオのアカデミー賞受賞も大きいでしょう。
そしてMCUでも、主要キャストとスタッフの殆どが黒人で作った『ブラック・パンサー』(2018)の歴史的な超絶大ヒット(MCUアベンジャーズではない単独作では最大ヒット)、MCU初の女性ヒーロー主人公映画『キャプテン・マーベル』(2019)の大ヒットも「ほう、白人男性じゃない黒人とか女のヒーローでもヒットするもんなんだね」という事を証明した。本作が「アジア版ブラック・パンサー」と言われてるのもそれ故だろう。ちなみに『シャン・チー』『ブラック・パンサー』『キャプテン・マーベル』3つとも全て、18年前にケヴィン・ファイギが計画してた「MARVELスタジオで製作予定のMARVEL映画10本」の中にあった。しかしファイギが自由に作れるようになったフェイズ3以降の現在のMARVELスタジオと違い、MCUトップにはケヴィン・ファイギだけでなくMARVEL元会長アイザック・パルムッターがいた。パルムッターは「黒人俳優が交代しても誰も気づかんやろw」「女性ヒーロー映画なんて誰も観ないしオモチャも売れんやろw」などと言い放つ多様性に欠けた人物でファイギの邪魔をし続け、2015年に業を煮やしたディズニー会長ボブ・アイガーに追い出された人物。ファイギは彼の妨害のせいで黒人ヒーローや白人女性ヒーローの映画すら作れないのにアジア人ヒーローの映画など作れるはずがなかった(というか下手したらファイギはウルトロンの時に追い出される危険すらあった)。
ここまでのMCUメインキャラを演じるアジア人俳優ってドクター・ストレンジの兄弟子ウォンの人だけだもんね。急速な映画界の流れで「やべえ!ウチのMCUアジア人おらんやん!」と急に焦り始め『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』&『アベンジャーズ エンド・ゲーム』でウォンの扱いが急にアップしてウォンの単独ポスター作ったりメインのポスターにもウォン入れて「ウチにもアジア人いますよ!ほら」とやり始めた。少し可笑しかったがやらないより良い。あとはソーの仲間ホーガン役の浅野忠信とか『アベンジャーズ エンド・ゲーム』で瞬殺される残念なヤクザ役の真田広之しかいない。
そもそも原作のMARVELコミックの有名キャラからしてアジア人キャラ少ないからMCUメインキャラになりようなかったとも言える。このシャン・チーだって同じカンフー系ヒーローのアイアンフィストよりマイナーだったし。現在のMARVELコミックで最も人気出たアジア人ヒーロー主人公と言えばMCUでもDisney+ドラマが来年年明けに配信される『ミズ・マーベル』だろう(パキスタン系)。他にも色々居るが主役級じゃないし出番も安定しない奴が多い。悪い言い方すれば、ニンジャやサムライやアキハバラやヘンタイなどの「変な国ニッポン」を演出したいだけのモンド映画的な扱いだった気がする。本作のシャン・チーも「ブルース・リーをMARVELコミックに出してえ!」ってだけなので似たようなもんだ。だが日本もストIIなどで外国を同じ様に扱ってたからお互い様か。色々、例を出したがそれらが悪いってわけじゃない。
僕は物心ついて映画好きになった子供時代が80年で、そっからずっと白人だけ活躍するアメリカのフィクションに慣れきってて「もっとアジア人とか日本人をメインで出せ!」……などとは最初っから思ってもいなかった、そんな事ありえないと思ってたからだが。だから僕も昔はアメリカのフィクションに出てくる「変なニッポン」大好きで楽しんでたし。だから『エンド・ゲーム』で真田広之がしょうもない役やらされても「しょうもない役だけど、昔はこんなんでも楽しんでたし世界ナンバーワンの映画に出れたんだし……」と前向きに楽しんだ。だがわずか数年の映画界の流れによって今では「あれ?おかしくね」と思い始めた。

そして、つい先日も真田広之が殆ど主人公でアジア人も多くメインキャラを演じてた『モータル・コンバット』(2021)も大ヒットしたし「あぁ、俺って何十年もアメリカ映画のユダヤ系白人様に調教されてたけど、アジア人がこんなにも作品に出てこないのは変な事だったんだなぁ」と最近ようやく思い始めた。多様な国アメリカに住んでる白人って60%くらいなのにアメリカ映画の登場人物の殆どが白人ってのも冷静に考えたら変だったよね。
まぁ人種的な話してたら何時まで経っても本作の感想に辿り着けないのでもうやめときます(これでも半分くらいの短さにした)。
とにかく本作は只のマイナーヒーロー映画が公開されたってだけじゃなくて上記のアジア人の兼やマイノリティの兼も乗っかってると言いたかったが長なった。

あと本作は、ジャッキー・チェン映画やチャウ・シンチーの『カンフー・ハッスル』などの中国・香港カンフー映画、あと武侠映画、あとチャン・イーモウ映画っぽい色彩も乗っかってる。
主人公シャン・チーを演じる全く知らないアジア系カナダ人俳優シム・リウ氏は、スパイダーマンスーツ着てバク転したりするバイトしてたらしい。だが支配人に「絶対人前でマスク脱ぐなよ、マスクの下からアジア人の顔が出たら萎えるから」と哀しい事も言われた事もあったそうだがMCUが数年前「『シャン・チー』作る」と発表した時に軽い気持ちで自分を推薦するツイートしたら何かシャン・チーになってしまったというアメリカンドリームな経緯もあった。そして類まれなる才覚とカリスマ性で落ち目だったディズニーを映画界の覇王にお仕上げた前社長ボブ・アイガー……に変わって数字だけ重視して最近スカヨハに訴えられたボブ・チャペック現社長が、本作の事を「(アジア人ヒーローの映画は)一体どうなるものか、”実験”だな」と無神経な事言ったのでシム・リウ氏は「我々の作品は実験ではない!ガラスの天井をぶち破る鉄拳だ」的な事を言ったのも覚えておきたい。このシム・リウの発言は称賛されて「シャン・チー応援しなきゃ」という風潮になったので「ひょっとしてチャペックは、わざと悪役を演じてシャン・チーを盛り上げた……?」と0.05秒だけ思ったが、社長や会社の評判を下げるそんな発言をわざとする事は絶対にあり得ない(もしやるなら、やられ役のライターに書かせただろう)。このように「ひょっとして真相は逆に……!?」といった陰謀論者的な思考が常態化してしまったらガチ陰謀論者になってしまう。そうなれば信じたい事だけ信じ、信じたくない根拠を示されても全て陰謀だと思うようになってしまう。僕もオカルトや都市伝説や陰謀論は(エンタメとして)大好きなのだが、この一線を越えてはいけない……と強く言っておきたい。

劇場公開と同時配信だった『ブラック・ウィドウ』よりマシとはいえコロナ禍というハンデもあるアジア人マイナーヒーロー映画……一体どんな結果になるかは今日から明らかになる。何しろいつも6作くらい契約するMCUが『シャン・チー』主演シム・リウに限っては今後の予定は未だ白紙らしいからね。
ここは一つ大ヒット&高評価を勝ち取ってシャン・チー氏にはMCUのど真ん中に躍り出て欲しいところ……。
僕は、こういった映画が作られるまでの経緯や背景も映画本編の一部だと思ってるので避けては通れず思いのほか長なりましたわ。

殆どネタバレありなので注意。ポストクレジットシーンの事は書いてない
劇中の流れ通りに感想を書いてるのでまだ観てない人は前半のところで読むのやめた方がいいかも。

 

 

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『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)の後の世界。
アメリカ・サンフランシスコでホテルマンとして暮らすアジア系アメリカ人シャン・チー(シム・リウ)。彼は、同じくアジア系アメリカ人の車好きの親友ケイティ・チェン(オークワフィナ)と、バイトして飲んだりカラオケで盛り上がるというフリーター的モラトリアム生活を謳歌していた。
そんなある日、強襲してきた刺客を中国拳法で返り討ちしたシャン・チーは、父の意思だと悟り、付いていくと言い張るケイティと共に、長年会っていない妹シャーリンメンガー・チャン)に会いに故郷の中国マカオへと旅立つ。
シャン・チーの父シュー・ウェンウートニー・レオン)、彼は強力な力を発揮し不老不死をもたらす10個の腕輪〈テン・リングス〉の力で千年前から世界規模の犯罪組織テン・リングスを率いて裏社会に君臨し続け〈マンダリン〉などの異名で恐れられていた。ウェンウーは神話の村〈ター・ロー〉にて、己とテン・リングスの力を超える柔軟な拳法を使う女性イン・リー(ファラ・チャン)と出会い、生まれて初めて愛を知ったウェンウーはテン・リングスを封印し、妻と共に歳を取る普通の男(普通と言っても犯罪組織のボスだが)として妻と息子シャン・チーと娘シャーリンと四人、幸せに暮らしていたが妻イン・リーの死で暗黒面に堕ち、シャン・チーを自分の後継者にすべく殺人拳を教えた。その運命を嫌ったシャン・チーはアメリカに逃れ親友のケイティ(オークワフィナ)と気楽な生活を満喫していたが……。
そんな前提。
アメリカでの格闘→マカオで妹や父と再会→母の故郷の村ター・ローでのラストバトルという流れ。

 

 

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前半。シャン・チーとケイティ。二人を演じるシム・リウとオークワフィナ
まず第一幕では、主人公であるシャン・チーと親友ケイティの生活。
ちなみに僕的には本作の中で一番好きだったのは「シャン・チーとケイティというキャラクター」「バスでのシャン・チーのクンフーアクション」なので、それだけを描いた、この前半部分が本作で一番好きだし重要(悪い言い方をすると、この前半がMAXで、映画の経過と共にじりじり落ちていく)。
アジア系アメリカ人の二人は大学で知り合い、20代後半の現在はホテルマンとして働きアフター5は二人で酒飲んだりカラオケしたりを繰り返すフリーター生活。単純に楽しそう。僕も割とこうだったので親近感が湧いた。同級生やケイティの家族には「大学では優秀だったのに一体いつまでフリーターしてるつもり?」と、やんわり言われてるが二人は「フリーター楽しいし別にええやん!」という感じ。ここは割と強調して描かれてる気がしたので重要な気がする。
原作のシャン・チーやブルース・リーやジャッキーなどのカンフスターも無職が多い。やはり半端に金持ったら修行とかしたくなくなるのかもしれない。「滅殺!」くらいしか喋らずまともな生活できてるか心配なストリートファイター豪鬼も道端で果物売ってるし普段は優しいおじさんなのかもしれない。
シャン・チー的には父から逃げ出したので、見方によっては「人生から逃げている」と言えなくもないが父は国際的な犯罪集団をシャン・チーに継がせようとしてるし殺人拳も教え込んだ。ここは一般人目線で見るなら「父から逃げ」たのではなく「父のDVから離れて自由になった」という感じなので、シャン・チーのフリーター生活もネガティブな印象ではなく、あくまでアメリカで「快適な生活」を謳歌している印象だった。
ちなみにアパートでこっそり個人的な修行をしておりクンフーは衰えていない。
ケイティはカーレースが好きでホテルの客の高級車をこっそり乗り回したりしてるが、特にカースタントの仕事を目指したり学歴を活かした仕事に就こうとは思っていない。
ケイティの祖母は、いつも一緒の二人に「二人はいつ結婚するの?」と訊くがシャン・チーは「つるんでるだけ」と返答するしケイティも赤面したりはしない。そして映画が終わるまで二人の恋愛要素はない。「二人の関係を一歩進める勇気がなくて」といったネガティブな感じではなく只の異性の親友。スパイダーマンで言うなら「ピーターとネッドは親友。ネッドはたまたま女性だった」ただそれだけといった感じ。続編で二人の関係がどうなるかまだわからんが多分ずっとこのままだと思わせる雰囲気。
そんな感じでアメリカに暮らすアジア人としての描写、シャン・チーとケイティには社会的地位への上昇志向は一切なく簡単に就ける仕事をして今を楽しんでいる。だが二人は「なまけている」というネガティブな印象では描かれていない。
だが終盤、ケイティは弓矢の訓練時に「狙わないと当たらない」と言われハッとした表情をする。だから「内心その日暮らしを気にしてたのか?もしくはシャン・チーのこと好きなんかな?」と思った。その結果どうなるのか?二人のモラトリアムの行く末は終盤のとこで続きを考える。

シャン・チー役のシム・リウ
シャン・チー役のシム・リウ。アクションも良いし無職みたいな状態からMCU主人公ヒーローになったというヒーロー的な経緯も良い。
最初にシャン・チーのルックスが発表になった時の僕は「思いのほか地味な顔だが、ここまで地味だと『アジア人男性の絵文字』みたいな顔で逆にいいやん、優しそうだし」と好意的に思った。だがアジア人のMCUファンからは「イケメンいっぱいいるのに何でこんな地味な不細工を選ぶんだ!」などと心無いコメントが寄せられシム・リウは少しだけ悲しんだ(そして悲しむシム・リウを見て僕も悲しんだ)。中国とか韓国のエンタメや好みを見てるとわかるが「より美しく!より速く!より正確に!」といった傾向が強いように思う。勿論、僕も機能美に優れたものに「すげぇ……」と思ったりするが「レーダーチャートの六角形を全て満点にしよう!劣ってるところがあるものはゴミ」みたいな感性は昔から好きじゃない。多分子供の頃からプロレス、お笑い、サブカルとかにも触れてないとダメだなと、シャン・チーの容姿を批判する中国の人を見て思った。ちなみに原作のシャン・チー、昔のコミックではブルース・リーそのまんまの顔をしてたが現在では似てない。描く人によって絵柄が変わるアメコミだが、アジア人キャラの顔の特徴は厳密に決められておらず「前髪のある黒髪の直毛のアジア人」という共通点しかないので描く人によってシャン・チーは全然違う。凄い美少年の時もあるし糸目のオッサンみたいな時もある。黒人キャラもそういう傾向あるね。まぁとにかく「シャン・チーの顔の特徴」は無いに等しいので誰がやってもシャン・チー。
だけど春に『モータルコンバット』(2021)が公開された時、原作では主人公のアジア人リュウ・カン役の人がアクションも凄いし、ルックスが正に格ゲー主人公的な美形だった。あまりに魅力あったので「あ、この人がシャン・チーだった方が……」とモーコン公開時は思ってしまった。ごめんね。だが、本作の公開が近づいてくると『刃牙』の板垣恵介が中国拳法の達人キャラ〈烈海王〉を作った逸話として「ブルース・リーなど既存の〈拳法の達人〉キャラとは違うオリジナルの中拳キャラ作ったった!」とか言ってたのを思い出した。「確かに、こんな優しそうで絵文字みたいな顔の達人キャラは居ないな……そう思うとリュウ・カンは如何にも格ゲーっぽいから、やっぱシム・リウの方が良いかも。それに現在のMCUは『エンド・ゲーム』でも提示した大柄ソーやスマート・ハルクなどの、男性的な暴力やイケメン方向に振れない方向性を出しとるし、そう思うとシム・リウは如何にもMCU的でいいかもな」と思った。リュウ・カンはモーコンで観れるしね。

ケイティ役のオークワフィナ
ケイティ役のオークワフィナは最初は『オーシャンズ8』でアジア人女性メンバーのコンスタンスという役で知った(この映画面白かったのだが忙しくて感想ここに書けなかった)。ラッパー出身で、今は多分アジア系で一番売れてる俳優。スリの達人で、最後には強奪した金で広いアパート借りてスケボーに乗ってYOUTUBEに投稿するという「90年代の格ゲーの脇役のエンディングかい」って感じの超適当なエンディングが好きだった。失礼な言い方だが彼女は一見おばちゃんっぽい顔をしてるのだが『オーシャンズ8』には色んな有名な女優や美人が出てるのだが、もうオークワフィナにしか目が行かなかった。魅力がありすぎて。もう喋ったり動いてるだけで魅力がありすぎる。古くは勝新太郎とかブルース・リーとか若い時の北野武とか……今ならフローレンス・ピューにもそう感じる、「性的に魅力がある」とか「(黄金比率的に数値化できるという意味での)美しい」「もふもふして可愛い」「滑稽で間抜けな容姿なのでつい見てしまう」などの説明しやすい魅力ではなく、理由よくわからんがとにかく魅力がありすぎて目が離せない人。スターのオーラ的なものなのかもしれん。そしてオークワフィナを見るにつけ「白い歯見せてニッコリ笑うのは重要だな」と思った。
ケイティは「シャン・チーの友人」のサブキャラだが、思いのほか出番が多くてよかった。というかはっきり言って全編……冒頭からラストまでずっと出てる。MCUサブキャラで一番出番多いんちゃうか。これはもはや「シャン・チー&ケイティ合わせて一人のシャン・チー」って感じでオークワフィナ好きの僕は嬉しかった。何だか「マット&カレン&フォギー3人合わせて一人のデアデビル」って感じだったNetflixデアデビルを思わせる(というか、あの作品もはやマットよりもフォギーとカレンの方が有能かつ魅力高かった)。
なんだか二人共について今の時代に容姿の話ばかりして良くない感じもするが、僕は二人の容姿も含めて好きというポジティブな気持ちなのでまぁいいだろと思って書いた。
それとTwitterとか見てたら二人は人気出て良い感じなんですけど、もし今が2000年初頭くらいだったら……いや2010年代であっても、中国のMCUファンみたいに「もっとイケメンをヒーロー&ヒロインにしろよ!」みたいな声の方が多くてウンザリしてただろう。そう思うと今の方がいいなと思う。もっとも本作は今だから制作&公開できたのであって「もしも2000年初頭に本作が公開されてたら」というホワットイフは有り得ないですけどね。

バスでのレーザーフィスト戦
二人はバスの中で、父マンダリンが放った刺客レーザーフィスト(元ヘビー級ボクサーのフロリアンムンテアヌが演じてる)と死闘。
レーザーフィストはその名の通り片手がジェダイライトセイバーみたいにガンダムのグフみたいに鋼鉄をも斬り裂くヒート剣になっている。明らかに現在の科学技術ではないがMCUでは『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)で「『アベンジャーズ』(2012)で、アベンジャーズが倒した宇宙の戦闘種族チタウリの超科学武器が裏社会で流通している」という事が描かれた。だからレーザーフィストだけでなくテンリングス配下もレーザー捕獲器みたいなを持っている。
レーザーフィストの何でも斬り裂くヒート剣……「だったらさぁ!義手を作ってヒート剣を手に持った方が絶対に良いと思わない!?ねえ!ガキじゃねえんだからさぁ!」などとホリエモンみたいな嫌ごとを言いそうになったが言う前に気を取り戻したので野暮を言うのはやめておこう。いつの間に童心を忘れてしまったのか?手がヒート剣いいじゃないですか。しかし右手がなくてどうやってシコったり美味しいピザを食べたりするというのか…長くなるので続きはまた今度考えよう。
話を戻してバス内でのシャン・チー vs.レーザーフィスト&配下。
これは完全にジャッキー・チェン的アクション。具体的に言うと閉所で周囲を効果的に使いながら格闘し、たまに椅子に座って書類をまとめる可愛いOLにニッコリ微笑むシャン・チー氏。中でもクソ狭ったらしい荷物棚にスルッと入ったり出たりしながらのアクションが凄い。ジャッキーがよく、受付カウンターの狭い穴にスルッと入ったり出たりしてたの思い出す。
予告でもよく使われてたシャン・チーの構えも超カッコいい。ケイティも得意のカースタントを活かして乗客から一人の被害も出さずバスは停車。
シャン・チーとケイティの活躍は大柄YOUTUBER(ザック・チェリー)が生配信していたためシャン・チーとケイティはたちまち世界中に知れ渡り、父や妹や一般人の間で「格闘家バスボーイとバスガール」として話題になる。アベンジャーズ残党やSHIELD残党も当然観ているであろう。ちなみに、この大柄は『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)でピーターに「バク転してくれ」と遠くから言ってた大柄。
シャン・チーとケイティのキャラは、この10数分だけで既にMCUベスト5に入るくらい好きになった。そしてバスでの見事なアクション(このシーンの撮影だけで一ヶ月かかったらしい)。最高の前半だったと言える。

 

 

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中盤。超高層の闘技場編。悲しきマンダリン
レーザーフィストとテンリングス構成員を退けたシャン・チー&ケイティだったが次は妹のシャーリンメンガー・チャン)が危ないってことで中国・マカオに。ケイティは友情で付いてきた。
シャーリンはシャン・チー同様に家出してマカオ裏社会でのし上がり、闘技場を内包するナイトクラブ〈ゴールデン・ダガーズ・クラブ〉を経営していた。
地下闘技場だ!いや地下じゃない、超高層闘技場といったところか。
金を賭けて特殊技能を持った戦士やメタヒューマンが試合を行う場所。
一番デカいリングでは予告編でも話題になった「魔術師ウォン vs.怪物アボミネーション」が死闘を繰り広げていた。
ソーサラー・スプリーム(至高の魔術師)ドクターストレンジの兄弟子兼カマー・タージ書庫管理人ウォンベネディクト・ウォン)、サノス軍打倒のため数年で魔術師をアホほど集めて指パッチンで消えたヒーローを集結させて世界を救った英雄の一人だがこんなバイトをしていたとは。
対するは、元は超人兵士エミル・ブロンスキーティム・ロス)、現在はハルクの血液を取り込んだ怪物、通称アボミネーション『インクレディブル・ハルク』(2008)から数えて13年ぶりの再登場。背びれが増えて進化している。MCUもいよいよ原作同様「二桁年ぶりに登場」とかアメコミみたいな恐ろしい事になってきた。登場時間1分くらいしかないしCGで出来た筋肉ダルマでしかないので、てっきりCGの塊かと思って一応検索したらクレジットにあるのでティム・ロスがちゃんと演じてた事が今わかった。ご苦労さんだ。
ハルクと五角以上のパワーを持つアボミネーションにウォンでは勝ち目がないように思えるが、ウォンはハルクと同じくらいのパワーを持つと思われるサノス四天王のカルの腕をポータルで切断した事がある。そう、ヒーローサイドだから使わないだろうけど魔術師キャラはポータルを武器にすればどんな硬い物でも真っ二つにできる恐ろしい攻撃力を持っているのだ。アボミネーションの打撃を何とか交わして首を撥ねればウォンの勝ちだ。実際の戦闘でも、アボミネーションのパンチをポータルでアボミネーションの後頭部から出現させ自爆させていた。ウォン強すぎる。
だが二人の様子を見ていると打ち合わせしてるし一緒に帰っていく。どうやら示し合わせて超人プロレスしていた様だ。ドクターストレンジとウォンって社会的には只の無職の中年で貧乏だからね。ウォンが頑張ってバイトしてたわけだ。というかアボミネーションもウォンと仲良くしてたし13年経ってすっかり更生したのか?
只のバケモノとしてウォンと試合するとばっかり思ってたからこれは嬉しかった。
僕がティム・ロス好きというのもあるがアボミネーションに変身する前の超人兵士ブロンスキーも凄いカッコよかったんだよね。今後また出てほしいわ。
最近、ずっと黒歴史みたいな扱いだった『インクレディブル・ハルク』(2008)は現在配信中の『ホワット・イフ……?』(2021-)でもベティやインクレハルクがピックアップされたりしてきた。権利が還ってきたせいか時間が経ったからか知らないけど。アボ氏も『シーハルク』(2022)でまた会えるかもね。
話を戻そう。ひとしきり盛り上がったが、この試合30秒くらいしかなかった。
続くは闘技場経営者シャーリン vs.バスボーイ(シャン・チー)の対決。だがシャン・チーは妹と闘う気はなく、あっさりKOされる。
折角の闘技場編だが試合は2つ合わせても2分あるかないかしかなく残念……。
そこへテンリングスの新たなる刺客、父マンダリンと共に幼いシャン・チーを鍛えた師範代デスディーラー(アンディー・ル)と雑魚構成員が、シャン・チー&シャーリン兄妹とケイティに襲いかかる。
シャン・チーらは、ビルを工事してる足場で戦闘。なんかワンチャイでこんな場面あったよね。第一幕では横の闘いだったので今回は縦の闘いって事か。
残念ながら視力が悪い俺は映画館の目の方に座りすぎたせいかスクリーンが暗くてよくわかんなかった。とにかく高い所怖い系の闘い。
デスディーラーは京劇風の仮面を被っていてルックスが凄くカッコいい。あと上からニュッと登場する時に不気味な音楽が流れたりするのもいい。だが彼のキャラはそれだけで何を考えてるやつなのか最後までわかんなかった。シャン・チーはデスディーラーを倒し彼の苦無を構えるが幼い時に稽古してもらった記憶が脳内をかすめてトドメをさせず……そこに父マンダリンが登場し三人を拉致する。
ちなみにシャン・チーに見捨てられてグレたシャーリンだったが、シャン・チーをシバき回してスッキリしたのか高所での死闘中に知らん間に仲直りしてた。
シャン・チーらと食事を共にするマンダリンはケイティに中国での名前を聞き「名前は大事にしろ」と言う。アメリカを快く思っていない。
全体的に、心なしか愛情も持ってるのだが好戦的ゆえに身を滅ぼすマンダリンは中国そのものを揶揄してるキャラのように思った。
この辺の回想で、最愛の妻でシャン・チーらの母イン・リー(ファラ・チャン)は、マンダリン時代の敵組織のお礼参りで死んだことがわかった。それによって真人間になってた(といっても普通のヤクザになってただけだが)ウェーリンは封印してたテンリングスを再び装着し、裏社会の恐怖の帝王として復活、シャン・チーを暗殺者として鍛え上げたがシャン・チーは殺しを嫌ってアメリカに逃亡した事が語られる。
またマンダリンは極悪な男だとばかり思ってたが、愛を知って家族を愛していた系のボスだとは意外だった。
というかマンダリン、映画観るまでは恐ろしい巨悪だと思ってたが、彼は実質的に妻が死んだ時に既に死んでいる。本編に出てるマンダリンは「かつてマンダリンと恐れられたウェーリンという男」の残穢に過ぎない、というのが映画観終わった後の感想。
マンダリンが使う不思議な武器テンリングスだが原作では一つ一つが違うパワーを持った指輪だったが映画では、五個づつ腕に付けて自由自在に動く武器になった。恐らくインフィニティ・ガントレットと被るからシンプルな武器にしたんだろう。予告編で最初に見た時に「『カンフーハッスル』(2004)に出てきた〈乙女の心を持つ仕立て屋のおっさん〉が使う洪家鐵線拳(ほんけてっせんけん)みたいだな」と思ったけど、

本作の監督は『カンフー・ハッスル』に影響されてると言ってたし本作には至るところに『カンフー・ハッスル』要素が多いし『カンフー・ハッスル』出演者まで出てるので、仕立て屋のおっさんがテンリングス装着マンダリンになったのは間違いないだろう。『少林寺三十六房』(1978)などでも少林寺の修行に使う鍛錬器具として出てたね。
マンダリンは「妻は死んだが毎晩、妻の声が聞こえる」と言う。妻の故郷である竹林に隠された神話の村〈ター・ロー〉が死んだはずの妻を匿っているので迎えに行き、断るなら村を焼き払うと言う。単純に闇に魅入られて気が狂ってる哀しきヴィランだった。
トニー・レオンもカンフー上手いが他にもカンフースター居る中で、何でトニー・レオンを雇ったのかわかったね。「瞳だけで演技できる」と言われてるトニー・レオンの物憂げな哀しい雰囲気が欲しかったんだね。
シャン・チーらは、牢で『アイアンマン3』(2013)に出てきた、マンダリンを偽装させられていた売れない俳優トレヴァー・スラッタリーベン・キングズレー)が居た。彼は、ソー2だかなんだかのDVD特典の短編で「刑務所に居たが本物のテンリングスから電話かかってくる」という経緯が語られていた。拉致されて道化師として過ごしていたようだ。
そして牢には他にもトレヴァーの友達がいた。妻とター・ローから出る時に付いてきたっぽい。頭がなく六本足で翼が四つある生き物モーリスがいた。検索したら「帝江」と呼ばれる中国の空想上の生き物らしい。
ja.wikipedia.org

これが、めちゃくちゃ可愛い。僕はディズニーがお出しするマスコットキャラは大抵嫌いだが(ベイビーグルートもあまり好きじゃない)これはさすがに可愛い。何が良いって他にも色んな中国の空想上の生き物いっぱい居て後で出てくるのだが頭がないコイツをマスコットに選んだところがセンス良い。もしクリクリした瞳を持つ頭が付いてたらディズニーっぽすぎて好きじゃなかった。
隠されたター・ローへの入り方がわかるという帝江のモーリスに導かれ、シャン・チー、ケイティ、シャーリン、トレヴァーらは脱獄してター・ローに向かう。そして、それを追うマンダリンとテンリングス。
今までMCUの「第一作」で最も好きだったのは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)『キャプテン・マーベル』(2019)だったが、シャン・チーは超えるかもしれん……と、この第二幕まで観てて思った。

 

 

🐉

 

 

後半。個人的には神話の村ター・ローは……
神話の村ター・ローは、現実世界から切り離された神秘の村だった。
そこでは中世のような暮らしをしている人達が武術を学んだり、龍の鱗で出来た武器を訓練していた。村には龍とか麒麟とか帝江などの中国の空想上の生き物がたくさんいる。村の外れには〈ダークゲート〉と呼ばれる門があり、地獄の悪魔みたいなのが入ってこようとしている。世界を悪魔から守護するための隠された村という事らしい。
ワンダーウーマンのアマゾンの島セミッシラみたいな感じか。
スクエニローカライズしたオープンワールド洋ゲーに出てくる神秘的な東洋の村みたいだな」と思った。とにかくスクエニ臭が凄い。
ドクター・ストレンジがここを知らなそうって事は西洋魔術からも隠された村って事かな。
ター・ローを代表する守護者はシャン・チーらの母の姉妹でシャン・チーらの伯母さん、イン・ナンミシェール・ヨー)。
マンダリン&テン・リングスを迎え撃つために、シャン・チーや村の人は応戦準備を始める。
シャン・チーは伯母さんに武術を学び直す。ミシェール・ヨー……当時はミシェール・キングは『ポリス・ストーリー3』(1992)で知ったけど、とんでもないアクションだった(正直ジャッキーより凄いと思った)そんでハリウッドに旅立ってるスターで、本作ではミシェール・ヨーvs.トニー・レオンが観れると思ったら、まさかやらんのでガッカリした。というかミシェール・ヨーのまともなカンフーは見れなかった。このシャン・チー修行シーンで、予告編にもなってたけど陰陽を全身で表現する太極拳的な動きがめっちゃカッコよかっただけだ。さっきから予告編予告編言ってるけど本作の名場面は予告編で全部出てる。アメリカのエンタメ映画は予告編で出しすぎ傾向にあるが本作はもう99%くらい見せてた、と観終わってから思った。そんだけ未知数で不安だったんだろう。
伯母さんは修行中、マンダリンに教わった殺人拳の握りこぶしを柔的な開いた拳に変える。地味だけど、ここは優しい武道家シャン・チーを上手く表現したシーンだと思った。
シャン・チーの優しさは武術家ヒーローとしてかなり突出した特徴だろう。何しろマンダリンはおろか中ボス、小ボス、誰一人として殺さなかった(まぁナイトクラブの足場から落ちた雑魚は死んだだろうけど)。かなり優しさを強調されたヒーローだ。
……と、それだけだったら「何を甘いことを……」と乗れなかったところだが16歳の時、母を殺したヤクザ暗殺に出かけたシャン・チーは殺しが嫌で、そのままアメリカに家出した……と言っていたが「実は母の仇をしっかり殺してた」という事実が語られる。
綺麗事でシャン・チーを綺麗なカンフーヒーローにしたいだけなら、こんな設定いらない。「自らの手を一旦汚したからこそ血の香りを嫌うようになった」というのがシャン・チーの優しさを後押ししている。この監督はこんな感じで設定のフォローが上手い。
どうせならシャン・チーが殺人を犯した回想シーンも欲しかったが全年齢向けディズニーだからダメだった。
というか今に始まったことではないから最初から諦めてるけど、殴りまくろうが刺そうが撃とうが怪物に喰われようが、本当に一滴も血が出ませんね。まぁ仕方ない、そういう欲はDC映画や『モータルコンバット』『ジョン・ウィック』『ザ・ボーイズ』等で満たすしかない。
シャーリンは縄鏢の訓練、この武器は『モータルコンバット』でスコーピオンも使ってたがカッコいい。こんな世界で知られてなさそうな武器がアメリカ映画のナンバーワンヒット大作2作で観れるという縄鏢の当たり年だった。父に無視されたまま終わり結果的に父のものだけ受け継いだシャーリンも面白かった。シャーリンは原作のシスターダガーに髪型とか似てる、シスターダガー好きなので映画でも彼女を観たかった気持ちも残った。
ケイティは、村のナンバー2みたいな弓矢おじさん(『カンフー・ハッスル』で豚小屋砦の大家を演じたユン・ワー演ずる)から弓矢を習う。予告でケイティが弓矢持ってて「何で?一般人だろ」と思ってたけど、こういう事か。個人的にはこれは要らなかったように思う。結果的にはピンチのシャン・チーとシャーリンを弓矢で救うってだけなんだけど、それだけなら車の運転が売りだから乗ってきたレーザーフィストの車で体当たりした方がケイティっぽかった気がしなくもない。
とにかく、マンダリン&テン・リングスもター・ローに到着。争いが始める。
世界的な犯罪組織だったはずのテンリングスだが、ハイエース四台ぐらいでやってくるという町のヤンキーレベルの規模になってるのが気になるが「大勢で竹林を抜けるのは困難だったんだろう」と汲み取った。
予告編でこの辺を見て『ブラック・パンサー』『インフィニティウォー』『エンド・ゲーム』などで顕著な、僕がMCUラストバトルで気になってる「ワカンダ運動会」と呼んでいるラストバトル(大量殺戮兵器なども持っているはずが、どういうわけか全員原っぱの一箇所に集まって上下の動きも少ないまま殴り合う展開)を危惧していたが、さっきも言ったように監督はフォローするのが上手くてワカンダ運動会に見えそうな部分を回避していたように思う。
まず第一に、合戦シーンは一瞬だけで後はシャン・チー対マンダリンの背景でワーワーやってるだけなのであまり気にならない。あとテンリングスはチタウリの「レーザー捕縛銃」みたいなのを使って村人を捕縛している。これによって「銃撃戦なのに一滴も血が出ないMCU……」的な呆れをしなくて済む。
いよいよシャン・チー vs.マンダリンの時が来たが、腕輪テン・リングスが闘いのメインになるので「MCU初のカンフー映画」と聞いて期待していたカンフーの攻防が全く見れないので少しガッカリした。腕輪テン・リングスはカッコいいんだけど、これを使われるとカンフーが全然見れないというジレンマ。
正直、ター・ローに来てからの、空想上の生き物たちや神秘的な村人やチャン・イーモウ的な鮮やかな色彩や龍に乗ったりワイヤーアクション的な東洋ファンタジー的な武侠映画っぽい戦闘は、個人的にはあまり乗れなかった。何でかと言うとそれらの要素が増えれば増えるほどカンフー見れなくなるから。めちゃくちゃ金かかって豪華だけど「これならバスや工事現場でシバき合ってた方が100倍良かったよ……」と落胆した。
かといってフィクション的にこれらが間違ってる訳ではないので「良い悪い」ではない、僕が「全編カンフー映画を期待してたら後半で東洋ファンタジー映画になっちゃった」という個人的な「好き嫌い」でしかないんだけどね。Twitter検索したら後半の村のシーン絶賛してる人しか居なかったしね。
だがそんな僕にも好きな場面はあった。
一番良かったのはマンダリンとの対決で、シャン・チーは伯母さんに習った太極拳的なやつでテンリングスを受け止め、母がかつてマンダリンを倒した「テン・リングスを真空波動拳にして撃ち返す」をやろうとするが「やめた」って感じで地面にバラッと落とすところ。そしてマンダリンを説得する。ここはルークがパルパティーンの前でライトセーバーを捨ててダースベイダーをライトサイドに引き戻そうとした展開を思わせて凄くよかった。なによりテン・リングスを投げ捨てるカットが「あぁ……何やっとんだ僕らは……」っていう「しょうもな!」って感じでマンダリンの殺気を見事に削ぐ捨て方で素晴らしかった。マンダリンもあと少しで説得できそうだったしね。
それとダークゲートから侵入してきた悪魔を、殺し合ってたはずの村人とテンリングスが共闘して迎え撃つ場面。普通だったら「そんな綺麗事……」と思いそうなもんだが、悪魔は龍のウロコでできた村の武器じゃないと倒せない。だからどうあっても共闘せざるを得ないという説得力満載になってて疑問を挟む隙がない。
そうこうしつつラスボス的な邪悪な竜みたいなやつにシャン・チーがトドメを討つ。
シャン・チーは村の龍を踏み台に上空に舞い上がり悟りを得る、そして邪悪竜に撃ち込んでおいたテン・リングスにChi〈気〉を送り込んで内破させた。これもまた『カンフー・ハッスル』での「鳥を踏み台に上空に飛んで悟りを得、悟りを得た事でそれまでの100倍くらい強くなり(中華系フィクションでよくある覚醒)、その場の上空から掌から大地が砕けるほどの威力の気を放つ〈如来神掌〉」のオマージュですね。それはいいんだけど、ここはシャン・チーが拳でトドメ刺してほしかったんで観ながらずっと「テン・リングス使うなよ……必殺拳を編み出してくれ……」とハラハラして観てたんですが、マンダリンがシャン・チーにテン・リングスを継承し、テン・リングスが邪悪な青から善の黄色に変わったので「あぁテンリングスで邪悪龍を倒すのか」と個人的に落胆しました。そして監督が『カンフー・ハッスル』ヲタという事もあり如来神掌でフィニッシュ。「シャン・チー」を中国読みすると「上氣(立ち昇った気の躍進)」なので、如来神掌、又は、かめはめ波や真空波動拳がトドメでも良い気もするが個人的には「譲渡されたテン・リングスすら効かない邪悪龍」を素手で粉砕してほしかった、それがダメなら如来神掌やかめはめ波でもいいです、とにかく一刻も早くテン・リングス卒業して欲しい……。それは続編に期待します。続編でもダメなら……もう仕方ないので「テンリングスはキャップの盾みたいなもの」と割り切り切り替えて応援するしかない。
そんで最後てっきり災いの象徴たるテンリングスは解決した後に破壊すると思ったら、しっかりシャン・チーが継承して持ち帰っちゃいましたね。これじゃ続編でもテン・リングス使っちゃうね、ソーのハンマーとかキャップの盾みたいに……。さっきも言ったがテン・リングス自体はカッコいい武器なんですよ。だけどこれ持ってるとシャン・チーのカンフーとか必殺拳が全然観れないから僕的に良くないんですよね。しかもテン・リングスはハルクバスターとか「ムジョルニア持ちキャップ」みたいな一回だけのイベント用武器じゃなくて対チンピラから対邪神まで……普段使いできる汎用性に優れた武器。これではシャン・チーがテン・リングスばかり使うようになってしまう!しかも何度も言うようにテン・リングスは剣とか棒みたいなしょうもない武器じゃなくて少林寺の鍛錬具や洪家鐵線拳からインスパイアされた他にはないカッコいい武器ってのが始末が悪い。人気が出てしまう。シャン・チーじゃなく妹に持たすか?それだと妹の方が目立ってしまうからダメ。仕方ないのでシャン・チーの拳がテンリングス以上の破壊力になるのを期待するか?もしくは「非常時以外は父みたいにしまっておこう」としまってくれるかウォンに預けるのを願うのみ。ポジティブに考えるなら「シャン・チーはテンリングス、アイアンフィストは鉄拳」と差別化出来て、攻撃手段が被ってるアイアンフィストがMCUに登場しやすいかも?抵抗しても無駄そうだから早めにテン・リングスに慣れよう。
それと続編でもター・ローに極力来てほしくないのでダークゲートの影響でアスガルドみたいに崩壊して伯母さんたちもサンフランシスコに来るのを期待したがダメだったね。伯母さんもおるから絶対またここ来ちゃうじゃん。だがTwitterとか見ると武器テン・リングスやター・ローや幻獣は人気みたいなので僕の負け。素直に武器テン・リングスやター・ローや幻獣を好きになった方が早いのかも……。
そんな感じで後半は文句多かったが、個人的な趣味を別にしたら別にダメなところはなかったし、全体的には良かったです。
『ブラック・パンサー』のラストバトルは実際にショボいので「批判」したい気持ちですけど、ター・ローや幻獣やテンリングスなどの中華ファンタジー要素は「『自分が期待してた』カンフーを阻害するから、それらのファンタジー要らん」ってだけなので今回抱いた気持ちは「批判」とは違う。今回のは「勝手にしてた自分の期待と違った」という逆ギレに近いだけなので作品的におかしなところはない。だから映画のせいじゃなくて僕の感じ方の違いって事です。くどいようだが……。武侠ものやファンタジー映画好きな人なら最初から問題ない。僕はその辺あんまりなんです。『グリーン・ディスティニー』とかも観ないし。
まとめると良かったのはシャン・チーとケイティのキャラ「シャン・チーが母の仇を実は殺害してた」という事実をわざわざ付け加えてシャン・チーの闇を描いてた点バスやビルでのカンフーアクションが最高で、ついでにワクワクする闘技場や『カンフー・ハッスル』オマージュとかモーリスも気に入った感じでした。あと何時もながらのMARVELスタジオのバランス能力や監督のフォロー能力。その他は普通で、村以降の後半は好みじゃないって感じでした。
あとサントラが『ブラック・パンサー』並にかっこいい(下にSpotify貼った)。
本作のオープニング成績はワイスピ最新作を超えるがMCU作品としては「まぁまぁ」という感じだったらしい。『ブラック・パンサー』ほどの超絶ヒットではないが、とりあえず続編作ったりシャン・チーを今後も登場させられそうなヒットはしたみたいで一安心した。
滅多にグッズ買わん僕だがテンリングスは我慢できず買いました

 
 
 
 
 
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次は『ホワット・イフ……?』の続きと、二ヶ月後の『エターナルズ』か。

 

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そんな感じでした

『ドクター・ストレンジ』(2016)/西洋医学に見捨てられ東洋魔術でヒーローになっても医療を捨てないドクター👁‍🗨 - gock221B
『ブラックパンサー』(2018)/ワカンダフォーエヴァーしに行ったらジャバリ族になって帰宅しました💙 - gock221B
『アイアンマン』(2008)、『アイアンマン2』(2010)、『アイアンマン3』(2013)/MCUの中で一番偉い1、珍作の2、映画としてなら良い3🔨 - gock221B
『インクレディブル・ハルク』(2008)/10年ぶりに観てみたら知らないおじさんが大暴れしてました🔋 - gock221B
『キャプテン・マーベル』(2019)/偉そうな男をぶっ飛ばせキャロル!MCU全21作品中、1番好きかもしれん😼 - gock221B

『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)/なんで真田広之すぐ死んでしまうん?🎨 - gock221B

 

『カンフーハッスル』(2004)/主人公のパワーアップが中国的過ぎて魅力を伝えるのが難しいけど傑作✋ - gock221B

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Shang-Chi and the Legend of the Ten Rings (2021) - IMDb

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『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)/前作とハーレイ単独作で上手くやれなかった部分を全部こなすガン監督。そして本作そのものより魅力的なピースメイカー⭐


原題:The Suicide Squad 監督&脚本:ジェームズ・ガン 原作:ジョン・オストランダー 制作会社:DCフィルムズほか 製作国:アメリカ 上映時間:132分 シリーズ:DC・エクステンデッド・ユニバース第10作目。『スーサイド・スクワッド』シリーズ第2作目?

 

 

 

めっちゃ楽しみにしてたが、今現在の東京はコロナが怖い状況なので映画館や都心部になかなか行く気になれなかったが、仕事でどうしても都心部に行かんとならん用事があったのでついでに観た(僕は武漢だけで発生してた一昨年の暮れから現在と同じ様にコロナを恐れて普段も電車に乗らず自転車で移動している、そういう性格)。
この前半は、いつものように映画の感想までの前段階なので感想だけ読みたい人は三行空いた空白の下から読み始めてください。
今回は、割と最初からいつも以上にネタバレありにするので観る予定の人は全く読まない方がいいです。個人的にはこれら映画が始まる前や映画の背景も映画の一部という考えだが、そうじゃない感想だけ読みたい人にとっては興味のない話だろう(だが、そんな人はTwitter検索とかYahoo!とかを読んでるはずでこんなブログ読んでるわけはないが一応形として言ってるだけです)。

大ヒットしたが絶不評で黒歴史として闇に葬られた忌み子である前作
小学生の時は現代のアニメよりよく動くオーパーツのような『トムとジェリー』などの海外アニメや洋画でアメリカ文化に憧れを抱き、中学生の時に金持ちの友達ん家行ったら何故かくれた光文社の『スパイダーマン』邦訳コミックで「スパイダーマンって日本の特撮ヒーローじゃないんだ」と気付いたりアメコミの読み方を知り、ティム・バートンの『バットマン』(1974)と『バットマン リターンズ』(1992)で「アメコミかっこよすぎる」と衝撃を受けて、そこから普通の映画も好きだがアメコミ映画を応援したいと、ありとあらゆるアメコミ映画を見てきて……数えてないけど100本以上観てきた中でベスト3に入るほど嫌いだったのが前作『スーサイド・スクワッド』(2016)だった。
良かったのはハーレイやキャプテンブーメランやカタナなどのデザインや演じてる俳優だけで公開時も凄く嫌っていたが最近「一旦はシリアスな映画として出来上がったが、ザック・スナイダーのシリアスでダークなDC作品が大不評だったのを嫌ったワーナーが無理やりカラフルなエフェクト入れたり、BGMもシリアスなスコアだけだったのに後から懐メロをガンガン追加したりとズタズタに作り変えた結果ゴミになった」とデヴィッド・エアー監督が去年こぼした(他にも色々ひどい事されたらしいが大人の事情でそれ以上は言えないらしい)。だから「知らんかったとはいえ公開時にボロクソ言ってデヴィッド監督、正直すまんかった」と少しだけ思った。
だがデヴィッド・エアー監督作品も『フェイクシティ ある男のルール』以外、好きじゃない映画ばかりなのでワーナーによって映画もどきにされなかった真『スーサイド・スクワッド』(2016)が完成してたとしても好きになったかどうかはわからん。同じデヴィッド・エアー監督の愚連隊映画『フューリー』がめちゃくちゃ嫌いなので「真のスースク」も好きじゃなかった可能性が高いが、今となっては『ジャスティス・リーグザック・スナイダーカット』みたいに『スーサイド・スクワッドデヴィッド・エアーカット』が公開されない限り謎のままです。現場で意気投合してスースク出演者たちが彫ったタトゥーは彼ら彼女らの身体にまだ残ってるんだろうか。

ハーレイ主演作
そんな感じで大ヒットこそしたが前作は大失敗したが、キャラクター特にマーゴット・ロビー演じるハーレイ・クインはハマり役で人気も出たためハーレイを主人公にした『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』(2020)が作られた、が大コケした……とはいえコロナが蔓延してロックダウン直前だったのでそれは仕方ない。内容は「悪い男(ジョーカー)と別れたハーレイが自立して女性ヒーローチーム〈バーズ・オブ・プレイ〉と組んで新たな悪い男を倒す」という女性監督による映画。こちらは前作スースクとは違ってちゃんと最後まで観れる作品だったが個人的にはフワフワした内容で満足できなかった。確かにジョーカーと別れて女性チーム結成という要素は応援したいがジョーカーと別れるのは既定路線だし、ファンが見たいハーレイのチームアップと言えばバットマンの女性ヴィラン、ポイズンアイヴィーとのコンビしかあり得ない。しかもハーレイ役マーゴット・ロビーも実際にDCコミックいっぱい読んで「女性チーム作りたい!ハーレイ&アイヴィーやりたい!」とずっと言ってるのに何故かワーナーからOKが出ず全く関係ないバーズ・オブ・プレイと組まされた。というのも僕の推測だけどハーレイとポイズンアイヴィーは親友であると同時に恋人でもあるのでワーナーとしては「売り出したい人気キャラのハーレイがバイセクシャルというのはリスクあるし隠したいからアイヴィーと組ませたくない、その代わりバーズ・オブ・プレイにしよう。リーダーのオラクル(元バットガール)はキャラ強くて邪魔だから外そう」という計算がミエミエで乗れなかった。何か何の絆も感じなかったし中途半端で(酷い言い方だが)個人的にはあっても無くても構わないような作品だった。三度目の本作こそはハーレイがはじけて願わくばジェームズ・ガンが監督してポイズン・アイヴィーと組むハーレイ主演映画を撮って欲しい。

ガン監督がディズニー解雇されDCに拾われるがディズニーにも再度拾われたくだり
左派として知られるジェームズ・ガンは2018年、ガンを攻撃する右派によって10年前に差別的で不謹慎な冗談ツイートばかりしてたのを発掘され、ディズニーそしてMARVELスタジオを解雇されてしまった。僕はというと「ガンが当時言ってた悪趣味ジョークは確かにダメ。だが今言ってるわけじゃなく大勢がそう言ってた時代だし、そもそも右派の思惑通りクビにするってどうなの」という感じだった。
でも「MCUでのガン作品」についてだが正直『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』2作~『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』『アベンジャーズ エンド・ゲーム』でのガーディアンズの活躍観たら何だかもう満足してしまって「三作目作られたら喜んで観るけどガーディアンズは続きなくてもそこまで残念じゃないかな」という感じだった。それよりもディズニーから解き放たれたガンが何を撮るかの方が期待できた。まず、この時点で僕は「DCがガンを拾ってスースク2撮らせるんちゃう?」と思った。

そして、この日から一ヶ月も経たないうちに「ガンがスーサイド・スクワッド続編に着手した」という事をDC&ワーナーが発表したから「俺の思い通りになった!」と興奮した。そして、そこから1年も経たないうちにMARVELスタジオへの復帰も決まり「MCU、DCどちらも同時に作れる」という妄想が実現したかのような本来ありえない状態になり、ガンはDisney+作品『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー クリスマス・スペシャル』と三部作の完結作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3(原題)』の2作を制作する事になった。ガーディアンズの後はMARVELスタジオを離れ、DC作品やオリジナル企画をやっていくらしい。ガンの解雇騒動は自分にとって何から何まで「こうなればいいな」と思うように進む結果となった。
すぐに口出しして殆どのDC作品をゴミにしてたワーナーだが、過去の行いを反省したのか人気のガン監督を迎えたためか、本作には全く口出しせず自由に撮らせたという。

ワーナージャパンによる邦題汚染。そして大コケ
そんな感じで制作されコロナ真っ只中に公開された本作。
楽しみにしてたらめちゃくちゃ変な邦題を付けられてしまった。
ワーナージャパンだから『IT』に『IT/イット “それ”が見えたら、終わり』(2017)と『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』(2019)という、キャッチコピーを映画タイトルに入れ込むという嫌な邦題付けた人が、ヒットした『IT』の実績を元にザ・スースクにも同じ様に括弧だの句読点だの入れ込んだ嫌なタイトルを意気揚々と付けたんだと思うとムカつきます。だけど『IT』がヒットしてしまったのだから彼or彼女の勝ちか……。ワーナー人に「いや、仕方ないんだ……」と言われたことある。映画会社に務める人も映画が好きな人多いだろうし本当は、こんな邦題付けたくないけど客が入らないから仕方ないのかもしれないね?しかし千円以下で映画ドラマ観まくれるサブスクの時代に1800円も出して一本しか観れない映画自体、よほどのモノ好きしか行かなさそうだもんね。こんな気色の悪いタイトルをブログに書かすなよ。
邦題汚染はされたが吹き替え声優はまともな感じ、タレントもチョイ役の吹き替えなので『シャザム!』の様な吹き替え汚染はされずに済んだ……というかシャザムって公開直前まで『シャザム!(仮)』と「(仮)」までが正式タイトルで、それがめちゃ面白いってムードで進めてたよね?なんか、あまりに不評だから「本当に仮だっただけですよ?’(笑顔)」って感じでしれっと外したけど明らかに「(仮)」付けっぱなしで行こうとしてたのが不安だった。公開直前にちゃんとした邦題に変えられた『シャザム!』の様に本作も『ザ・スーサイド・スクワッド』って邦題にならないかと思ってたけど変わらなくて残念だった。「ザ・」の有無によって間違う人がいると思ったのかキャッチコピーを入れ込んだ気持ち悪い邦題の方が『IT』みたいにヒットすると思ったのか……。
残念ながら本作は今のところ一位にこそなったが一応大ヒットした前作には遠く及ばない大コケの結果に終わった。
まぁコロナ真っ只中&劇場公開と同時に配信開始&R18という特殊な三重苦なので、ワーナー本社もこれでガンを見限るほどアホじゃないと思うが……。ちなみにネットの評価は高い。
今後もガンによるDC映画観たいので不安なスタートだが、ワーナージャパンのキャッチコピー入れ込みキモ邦題汚染が効果を成さなかったのは良かった事と言える。
何か映画の感想までの前段階で凄い長くなりましたね……。何か既に手と尻が疲れた。
下からネタバレありなので未見の人はここで読むのやめてください。

 

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ここから感想。スーサイド・スクワッド壊滅!
映画が始まるとベルレーブ刑務所に座った白髪の男で始まる。
ジェームズ・ガン監督の親友でどの映画にも出てるマイケル・ルーカー演じるサーヴァントが、ボールを投げて小鳥を惨殺する。これによって本作はスーパーヒーロー映画ではなくスーパーヴィラン映画だという事を教えてくれたわけだ。アメリカ映画で犬、猫、小鳥、ついでに人間の子供を殺すのは大罪なので、このキャラは高い可能性で死ぬ(もしくは逆に改心して善人になる)とわかる。
前作にも出ていたアメリカ政府の最高ランクのエージェント、アマンダ・ウォラーヴィオラ・デイヴィス)。彼女がスーパーパワーや特殊技能持ちのスーパーヴィランを集め、減刑と引き換えに生還できなさそうな決死の任務を強要する特殊部隊〈タスク・フォースX〉を結成。俗称で呼ぶと〈スーサイド・スクワッド〉。
南米の島国コルト・マルテーゼで行われている恐ろしい〈スターフィッシュ計画〉と、そのデータの破壊が任務。
前作にも出ていたアマンダの忠実な部下にして正義感の強いチームリーダー、リック・フラッグ大佐ジョエル・キナマン)、フラッシュの代表的なヴィランキャプテン・ブーメランジェイ・コートニー)、その他大勢。
そして前作や『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』にもメインで出ていた、ジョーカーの元恋人の人気キャラ、ハーリーン・クインゼル/ハーレイ・クインマーゴット・ロビー)も居る。
前作は大ヒットしたにも関わらず、あまりに評判悪すぎて黒歴史となったので本作は、ワーナーのお達しで、明確に続編ともリブートとも謳っていない。だがハーレイがリックやキャプテンブーメランと顔見知りなので「続編です……」と、わかる人にはわかる程度の塩梅でこちらに告げている。ちなみにガン監督は前作のデヴィッド・エアー監督に「お気の毒……」とエールを送っており、エアー監督も本作の事を「(ワーナーに邪魔されず面白い映画になった)奇跡の映画」と応援している。
チームの一人が敵と通じており、コルト・マルテーゼ上陸作戦は開始と同時に派手に失敗。交戦したものの敵は全滅、スーサイド・スクワッドもリック大佐とハーレイ以外全員死亡。
スーサイド・スクワッド壊滅!
スーサイド・スクワッド』作品という時点でハーレイや数人の有名キャラ以外のメンバーはどんどんゴミのように死ぬ、全員悪人なので哀しむ必要もなく幾らでも補充可能、そういう作品。確かにそういう作品だがアバンでこれほどまでに死亡するとまでは思ってなかった。しかもメインキャラの一人として最後まで出ると安心してたキャプテン・ブーメランが戦死するとは……。サプライズだね。R18の本作ではブーメランで敵兵士の頭部を真っ二つにする事ができたので、死んだけど全編出てたしょうもない前作よりずっとマシ。
ちなみにガン作品常連のマイケル・ルーカー演じるサーヴァントは恥も外聞もなく敵前逃亡してアマンダに埋め込まれた爆弾で頭部をふっ飛ばされて死ぬというバトルロワイヤル的な特別な役だった(小鳥を殺したバチが早くも当たった)。
槍を持ったメンバーのジャベリンは武器の槍を意味ありげにハーレイに託す。理由は最後までわからない。多分いつものハンマーだとラスボスと相性悪いからガン監督が尖った武器を持たせたかっただけだと思う。
それらの要素で「ブラックジョークと共にメンバーがどんどん死ぬ」という、わかりきった前提の少し上を飛び越えてハッとさせる手腕がさすがガン監督、という感じ。

 

 

 

スーサイド・スクワッド本隊と中盤まで。ガンのまとめ能力
スーサイド・スクワッドはリックやハーレイ達だけではなく、もう1チームがハーレイ達が上陸したすぐ近くの浜辺から上陸していた。
スーパーマンに重症を負わせたブラッドスポートイドリス・エルバ)。平和のためなら女子供でも平気で殺すピースメイカジョン・シナ)。父に授かったネズミを操る機械を持つ女性ラットキャッチャー2(ダニエラ・メルシオール)。破壊力ある水玉を放つが精神状態が危ういポルカドットマン(デヴィッド・ダストマルチャン)。チーム最強だが知能が低いサメ人間ナナウエ/キング・シャーク
はっきりと語られなかったが、強さから言ってハーレイが居た全滅した方は囮で、こちらが本命のチームだったのかも?
ブラッドスポートは「幼い娘を政府に人質に取られてチーム入り」する「心の奥に正義感を持つ銃が武器の黒人ヴィラン」という前作のデッドショット(ウィル・スミス)とほぼ同じキャラ。ウィル・スミスが本作に出れないので本当はイドリス・エルバをデッドショットにする予定だったがガンが「どうせなら別のキャラにしよう、そしたらウィル・スミスも復帰できるし」と、いう事で新しく作ったキャラ。個人的にはウィル・スミスあんま好きじゃないので好きなイドリス氏がデッドショットでも全く構わなかったが、ブラッドスポートでもそれはそれで問題ない。まぁ内容は同じキャラだし。
ブラッドスポートらは上陸作戦を生き延びたリック・フラッグ大佐や、女性兵士ソル・ソリアアリシー・ブラガ)を始めとする現地ゲリラと合流、スターフィッシュ計画を長年研究している研究者シンカー(ピーター・カパルディ)を捕え、敵の本拠地に侵入しスターフィッシュ計画を破棄しようとする。
敵に捕らわれたハーレイは島のイケメン統治者に婚約を申し込まれるが、残虐な独裁者だと判明した瞬間、ハーレイは彼を撃ち殺し、色々あって脱出し皆と合流。
というざっくりした流れが中盤くらいまで?
個人的には大失敗した前作と、失敗じゃないけどパっとしなかったハーレイ主演映画を、ガンが自分に期待される要素込みでやり直した感じがあった。
具体的に言うと「ノリの良いBGMが流れる中コミックみたいにデカい字が画面にバーンと出たりしながら観てる大学生くらいの年齢の子が喜ぶブラックジョークな悪趣味さでどんどんメンバーが死んでいきながら任務をこなす。途中、生い立ちを語り合って打ち解けて友情が芽生え、ダメな俺達も団結してやれば出来る」という内容。それが前作スースクでワーナーがやりたかった内容を最初からやってる。2回目なのでアバンで半数が死ぬというのがナイス。
そして個人的に前作が大嫌いで、ハーレイ単独作もイマイチだった僕にとっては本作観れば全部兼ねてるので願ったり叶ったりです。
ハーレイ単独作でやりたかった事は、自立したハーレイが自力で悪い男にお仕置きする展開だろう。わざわざハーレイにやられるためだけに新しい悪いイケメン独裁者まで用意する周到さ。ハーレイが敵を皆殺しにする時にハーレイだけに見える花やカートゥーンキャラクターが出てくるのは「狂ったハーレイの主観には世界がこう見えてる」って感じの描写で上手かった。
前作が大不評、ハーレイ主演作もパッとしなかった上に大コケして誰も観てないから、両作品で本来やりたかった内容を、本作の中盤まででやってる感じの横綱相撲だった。
MCUでのガンやタイカ・ワイティティは、自分を客観的に見つつ複数の注文をこなす様が異常に上手い印象だからさすがだなと思った。
更にガンのR18作品に期待されるであろう「ブラックジョークとしてのゴア描写」「ロケット&グルートみたいなキャラ→キングシャーク」とか、派手な音楽やデカい字がバーンと出るとこなども満載だった。
だが、本作の映画秘宝読者とかが好きそうな、ギャグのための残酷描写は好みが別れるとこだろう。個人的には僕もう中年のせいか、そういう残酷ギャグとか観て「最高!」って感じでもなく、この辺は「まぁいいんじゃない?」という感じだった。
「ブラッドスポートとピースメイカーが敵を皆殺しにしたら実は味方だった」ってギャグは普通に可哀相に思えてあまり楽しくなかったかも。「普通に敵を殺したでいいじゃん」と思った。でもこれは良い悪いじゃなく、あくまで好き嫌いの問題なので別に悪い部分だとは思わない。中盤までは、こういうノリが好きな若い人に任せます。
下から更に深刻なネタバレあり。

 

 

 

ラストバトル。そしてピースメイカ
シンカーが指揮していた〈スターフィッシュ計画〉それは30年前に捕えた星型の宇宙生物〈侵略者スターロ〉を操って兵器とする計画だった。
持ち帰られたスターロは今では巨大なビル並のサイズになっており、人間の頭部ほどの小さい分身を無数に放出できる。人間の顔面に張り付いてその人間を自在に操る事ができる。
しかも、罪のない市民を大勢犠牲にして行っていたスターフィッシュ計画は、実はアメリカ合衆国が行っていて、アメリカで実験したら怖いからコルト・マルテーゼを犠牲に実験してただけで、コルト・マルテーゼが反米になって反旗を翻しそうになったからスーサイド・スクワッドを派遣して皆殺しにしようとした……という実にアメリカ的な真相だった事が明らかになる。
何だか「兵器としてコロナを武漢研究所が研究していた」陰謀論や「実は金出して研究させてたのはアメリカ」陰謀論などを思わせる。小さいスターロ分身体がブワーッと拡散して市民を羅漢させる様子も含めて時期的にもコロナ陰謀論を思わせるよな。
しかも僕は本作観に行ったのが遅かったせいか、アメリカが利用価値がなくなったアフガニスタンを見捨てて引き上げたニュースがあったばかりなので本作のアメリカやアマンダ・ウォーラーの恐ろしさが実にリアル。グッと面白くなった。
巨悪の片棒を担がされていた事に気づいたリックはスターフィッシュ計画の全データを入手し、世界にこの事実を公表しようとする。
だがピースメイカーは、チームを監視する役割があったのでリックを始末する……。
と、ここで今までブラッドスポートと被る能力の面白キャラでしかなかったピースメイカーに焦点が当たる。個人的にはこのピースメイカーが本作で一番面白かった。大袈裟に言うならピースメイカー以外の本編や他の楽しいキャラ……ずっと前から好きなハーレイですら正直どうでもいい。
ピースメイカーの話の前に結論言うと、このピースメイカーはブラッドスポートに倒される。そして利他的な正義感や友情が芽生えた5人の生き残りスーサイド・スクワッドが、アマンダに疑問を持ってて遂に反抗した本部の大柄職員やガン監督の奥さん職員らと協力し、ガーディアンズ的な団結でもってスターロとラストバトルして勝利する……楽しいけど正直ガーディアンズほどグッと来なかった。
勿論それが悪いわけではなく、僕も彼らが悪のアメリカ政府に一矢報いて島の人を救うのを応援したいのは山々だし、ここまでの流れで彼ら彼女らに友情が芽生えたのはわかってるし人並みの人情や共感能力があるのも知ってるが、基本的に彼らは皆、自分のことしか考えてないヴィラン達なので、命を捨ててまでカイジュウに立ち向かう正義感を発揮するのが唐突に感じたのかもしれない。
スースクに歩み寄って考えるなら、ポルカドットマンは「トラウマを払拭して母の幻影を取り除きヒーローに成りたい」、キングシャークは「トモダチのために」、ハーレイは人情あるし面白そうだからでいけるか。ラット2は優しいから皆のために?(苦しい)。逆にあり得ないのはブラッドスポート、おばさま隊員がアマンダぶん殴らないと頭ふっ飛ばされて娘が地獄行きかもしれなかったのに、このヤケクソな行動はちょっとあり得ない(「アマンダ殴ったおばさま隊員とブラッドスポートが実は通じてる」だったら疑問も晴れたのだが)。命を捨ててまでスターロと闘うには、あと一歩二歩、我々を納得させて欲しかった、スースクを応援する気持ちは十分あるんだから。
中盤とか、敵と間違えて反政府ゲリラを残酷に皆殺しするギャグとかを直尺でやってたじゃん。ヒーロー的な利他的行動するなら、あの悪趣味ギャグをやめて敵を普通に倒すシーンにするとか、もしくは終盤で正義を成すための前フリをしとくべきだったかも。中盤までの悪趣味タイム使って。
※追記:これUpしてすぐ「アメリカの横暴さを表現した要素もあるのでは?」的な事を指摘されて、そうかも……と思いました。ただの悪趣味ギャグってだけだと思っとりました。
とはいえ「そんな良い奴らじゃないだろ!」とか「ヴィランが突然いい事するのおかしい!」と目を剥いて怒りたいわけじゃない。むしろその行動は褒め称えたい。ただガーディアンズがそうしたほどの説得力を感じなかっただけ。
話をピースメイカーに戻すが、彼は「実は黒幕が派遣した監視役兼始末屋」キャラではあるが、ステレオタイプではない、というのが凄く魅力的。
何しろ彼はバーに入った時、店員を呼び止めてラットキャッチャー2のネズミ君への飲み物を注文するほど優しい。ターミネーター的な暗殺キャラなのに自発的な優しさがあるという立体的なキャラ、というのが凄く魅力的。自分でも言ってたようにリックに対してもラットキャッチャー2に対しても、友愛を感じており本当は殺したくないのだ。……ただ、それ以上に彼の中では「平和」の方が勝っているのでデータを持ち出し平和を乱そうとするリックやラット2は仕方なく殺さざるを得ない。「平和のためなら女子供だろうが躊躇なく皆殺しに出来る」狂人……というキャラが面白い。
WWEの女性とキッズに人気だったが成人男性やプヲタからの人気はイマイチだった、だが後に愛をこめたブーイングされるレスラーになったらしいスーパースターのジョン・シナ。後半は人気出たらしいが僕が観てた時は正直つまんないレスラーという印象が強かった。WWEを止めてハリウッドスターになり数年、大作に出始めたがドウェイン・ジョンソンやデイヴィッド・バウティスタほどブレイクできてなかった(というかこの2人は俳優全体の上位数%レベルに成功してるので比べるの間違ってるが)しかし遂に当たり役を得たな~と思った。取材やプレミア上映などで一人だけ正装じゃなくピースメイカーの衣装のままで居る姿も可笑しい。
ラットキャッチャー2に銃口を向けたシナの顔面ドアップ……これが本作で一番良かった場面。他のガン作品で言うなら『スーパー!』でのウサギ抱いて自部屋の壁を見つめるラストシーン、『ガーディアンズ』でクイルが手を伸ばす母親を幻視するシーン、『ガーディアンズ2』で父親に「私にNOと言えば普通の人間に堕してしまうんだぞ」と言われてクイルが「それの何がいけない?」と言うシーン、それに匹敵する本作のベストシーンはこのシナのアップだろう。
「ガンは何でピースメイカーの単独ドラマなんて作るんだ?それより早くハーレイの映画に取りかかれよ」とか思ってたけど、本作を観終わるともうドラマ『ピースメイカー』が早く観たくて仕方なかった。マーク・ウォルバーグにステロイド打ったようなルックスも良い。キン消しか海外の出来の悪いアクションフィギュアか?って程、デカイ手足も面白い。あと、そういえば凄くジャック・カービーのデザインっぽい見た目なのでジャック・カービーがDC行った時に作ったのかと思って調べたら全然違った!だけどこのルックス……特に便器頭すごくカービーっぽくないですか?
ピースメイカーの前フリ……って訳じゃないけど似た要素は前にもあった。ブラッドスポート、リック大佐、ピースメイカーのマッチョ三馬鹿がわざと捕まって移送されてる時、乗り合わせた兵士はわざわざ自分からブラッドスポートに煙草をくれる(むしろブラッドスポートは煙草を吸わない)。優しい。ただ三バカを移送してボコられるだけのモブなのに意味なく優しい。それが「優しい心を持つが任務をこなすピースメイカー」同様に素晴らしい、何でかと言うと、ガン監督は物語の奴隷としての駒ってだけじゃなく立体的な人間としてキャラを描いてるなと思ったから、そこに感動した(まぁ、その代わり中盤までは割と駒としてキャラを動かしてる気もしたが)。

まとめ
まとめると、ガン監督は前作とハーレイ単独作が上手くやれなかった部分を中盤までで全部やって、自身に期待されてるであろう悪趣味ブラックジョークやガーディアンズ的な利他的ヒーロー要素やカワイイ怪物キャラも見せた、個人的にそれらにはハマらなかったが客観的には凄い才覚だと思った。そしてそれらは自分にはあまり重要でなくピースメイカーを創ったところが良かった部分でした。
あと、ブラッドスポートとピースメイカーが競うようにゲリラを皆殺しにするシーンは、ギャグとしては好きじゃないがアクションとしては良かった。2人が思いのほか色んな武器使って楽しかった。ハーレイがスターロ戦で何度か見せるジャベリン持って猛ダッシュして大ジャンプするアクションも最高だった。
それにしてもガーディアンズ同様、本作でも親のトラウマに悩むキャラ多かったね。
ドラマ『ピースメイカー』、MCUガーディアンズ2作も楽しみだし、ハーレイ単独作も撮って欲しいです。以上

 

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そんな感じでした
〈DCEU関連作〉
gock221b.hatenablog.com

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〈本作のキャラクターが出てくる別の世界のDC作品〉
gock221b.hatenablog.com「レゴ®バットマン ザ・ムービー (2017)」確かにバットマン映画の中で一、二を争う傑作だった🦇 - gock221B
「ニンジャバットマン (2018)」ストーリーや論理的な積み上げ無しでキルラキル的過剰演出によって少年漫画的な根性パワーアップを延々と続ける‥というノリをバットマンに持ち込まないで欲しい🗾 - gock221B

 

ジェームズ・ガン監督or制作映画】
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)/この一ヶ月くらい何度も観てるうち物凄い好きになった🦝 - gock221B

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)/誰もが欲しがる強大なパワーを自ら棄て去るスターロードのカッコよさ🦝 - gock221B
「ブライトバーン/恐怖の拡散者 (2019)」僕が苦手な悪い子供ホラーかつ露悪的スーパーマン映画だったが意外と面白かった👦 - gock221B
『アイ・アム・グルート』(2022) 全5話/面白いとかつまらないとか以前の話で完全に幼児向けで無味無臭。それより異常に神経質なまでに「誰も死んでませんよ!」と全話で示してくる勢いが凄い!🌳 - gock221B
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー/ホリデー・スペシャル』(2022)/暖かい楽しさ!その一方で少年期のトラウマに対峙する以外させてもらえないスターロードと現実のバッシングを反映してずっと暗いままのクリプラ。中年なのでヒーローがキツくなってきたがX-MENまでは頑張る話🦝🎅🎄 - gock221B

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映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』オフィシャルサイト
The Suicide Squad (2021) - IMDb

www.youtube.com

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『ハナ 〜奇跡の46日間〜』(2012)/引き裂かれた南北姉妹は一刻も早く一つになればいい……それが皆の願いだろう🔴🏓🔵

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原題:코리아 英題:As One 監督:ムン・ヒョンソン 製作国:韓国 上映時間:126分

 

 

 

ネットでよく見かける「女子卓球選手のトスした球がもう一人の頭に当たって2人が爆笑する」かわいいGIF画像は本作のNGシーン。
主演の一人、ペ・ドゥナが好きだからいつか観ようと積んでたので崩した(僕は映画や本やゲームを積むのが嫌い、なるべく崩して見るもんない状態にしておきたい)。
1991年、日本の千葉県で開催された第41回世界卓球選手権において、史上初めて結成された韓国と北朝鮮による南北統一チームの実話を基にしている。
第41回世界卓球選手権 - Wikipedia
韓国の女子卓球選手ヒョン・ジョンファハ・ジウォン)と、北朝鮮リ・プニペ・ドゥナ)は過去にも対決したライバル。
1991年、日本の千葉で行われる第41回世界卓球選手権の開催直前に朝鮮半島南北統一チーム〈コリア〉の結成が決まり選手たちは困惑する。
水と油の両国の選手たちは短期間で団結するため千葉のホテルで合同生活を行う……。
そんなポリティカル・スポーツ映画。
最後まで観ても邦題の「ハナ」が何かわからなかったので検索したら「ひとつ」という意味の韓国語だったらしい。
それにしても北と南が合同チームとか、にわかには信じられない話だが実話なので仕方ない。検索したら、卓球界の偉い日本人の尽力によって成し得たらしい。
荻村伊智朗 - Wikipedia
恐らく、合同チームが決まるまでの行程も一本の映画に出来そうなドラマがあるんだろうが本作はその辺吹っ飛ばして南北チームが合同合宿するところから始まるし調べるほど興味あるわけでもないので感想に入ろう。
ネタバレあり。……といっても実話ベースなのでネタバレは優勝できたか否か、くらいしかないのだが一応それは伏せておこう。

 

 

西洋にも東洋にも、スポーツや文化系や芸術や化学や軍隊……ありとあらゆる「バラバラの者達が、やがて一つになり同じ目的に向かう」という所謂「がんばれベアーズ」系のチームものフィクションは多い。本作もその一本。
南北チーム〈コリア〉も、合宿や試合を通じて、他の何よりも熱そうな友情を育んでいく。だが本作の場合どんなに堅い友情、恋愛感情で結ばれようが、それは「一ヶ月半で終わる」という時間制限のある情愛だってのが本作の肝だろう。
そう、あらゆるスポーツを扱った映画は、スポーツそのものを通して〈何か〉を描くというところに意味がある。ジャンル映画には、それぞれのジャンルを通して何か描きたいテーマがある。それは勿論ほかのジャンル映画……アクションやホラー……何にでも言える。だから「ホラーとかって人が殺されるだけで中身ないじゃん」「ヒーロー映画やカンフー映画とかって殴り合うだけで中身ないじゃん」等と言う人は表面的な部分しか観てない、何にも観れてない人だという事になる。ジェット・リードニー・イェンがひたすらシバき合う『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱』(1992)にしても闘いを通じて中国の時代のうねりを描いている。……まぁジャンル映画を撮りたいから撮ってるってだけで中身空っぽの映画もあるだろうが(そして空っぽだとしても別に悪いことじゃないしね)。
本作の場合は誰にもわかる通り、韓国と北朝鮮の交流を阻む「」ただその事だけを描いた映画だと言える。
……と書くと重そうだが(事実、僕も観る前は重い映画だと思って積んでた)、実際はかなり全編ライトに楽しく描いてるので良かった。
南北の両チームや監督達は最初こそギスギスしてたが全員いい奴らなので、喧嘩したり楽しみながら、すぐに仲良くなり様々な困難を共に乗り越えてハナ(ひとつ)になる……。
北朝鮮が如何に悲惨な国かというのも、北の選手がたまにこぼす台詞からしかわからないし。それに本作に出てる北の選手はスポーツエリートなので他の北朝鮮の国民ほど悲惨ではないと思われる。南北を阻む〈壁〉問題以外では、北朝鮮のリーダー的存在のリ・プニ(ペ・ドゥナ)選手が、肝炎を患ってるのだが自国では医療が遅れてて治すことが出来ない。ここがなかなか辛かった。
合宿を通じて、リ選手と友情が芽生え始めた韓国側の主人公ジョンファ(ハ・ジウォン)は、苦しそうなのに治療できず我慢するだけのリ選手を見てたまらなくなり「韓国に来たら……?そうすれば医療を受けられる……!」と言うが、
リ選手は真っ青な顔でニヤリとして「じゃ、ジョンファ同志はアメリカ行ったら?韓国よりアメリカの方が発展してるわ……」とうそぶく。要は「酷い国だが故郷に住みたい」という話だがこのシーンのリ選手の妖気がカッコよかった。ペ・ドゥナの魅力爆発だった。
劇中、融通の効かない北朝鮮によって2回ほど、南北合同チームが粉砕されそうになる。その度に両チームの選手や監督の涙の訴えや座り込みによって活動が許され、選手権の日が近づいてくる。
北朝鮮から派遣され、北の選手たちを監視&制限している恐ろしい役人達ですら、心の底では南北チームを応援している(ターミネータの様な北の警備員ですら南北チームが活躍したら一瞬だけガッツポーズする)。そう、安易に悪役を出すわけではなく劇中に出てる登場人物は皆、善人だというのが本作の凄く良いところだった。皆、南北統一を望んでいるのだ。それを望んでいないのは劇中には登場しない自分だけが得すればいいと思っている一部のクソ権力者だけだ。
あと、南北統一チームが決勝戦で対決する〈中国チーム〉は嫌味な態度の選手とか、審判を賄賂で取り込んで不正する監督など、比較的ヴィランとして描かれてたけども。実際のところは知らんけど中国人が見たら怒りそうだよね。
ペ・ドゥナ目当てで観て、確かにドゥナ氏も良かったが主人公を演じるハ・ジウォンの美少女っぷりが凄かった。2人とも結構な年齢で演じてるはずだが、あまりに美しくレモン汁の汗が分泌されてそうなくらい爽やかだった。思わず俺も久々にジョギングしたり所持してるエロいものを処分したくなったほどだ。2人があまりに眩しくて自分の穢をできる限り減らしたくなる魅力があった。
クールなリ氏を演じるドゥナ氏は、いつも楽しい役や不思議ちゃんを演じてるイメージが強すぎて、ドゥナ氏のクールキャラに慣れるまで30分くらいかかった。
主人公2人の別離シーンで、ハ・ジウォン演じる主人公は最初ギスギスしていたリ選手を「お姉さん!」と呼ぶ場面でグッと来た、そして「お姉さん!私達はまた別れるのですか!」と訴える。全身毛の先まで美しすぎるハ・ジウォンが、その美しすぎる顔をグシャグシャにして叫ぶもんだから、さすがにウルッときた。
本作は漫画『ONE PIECE』みたいに、あまりにも映画のテーマや思ったことを登場人物が全部、泣きながら口に出しまくる。はっきり言って、こんな映画は全然好みじゃないんだが現実の南北の朝鮮や、俳優の熱演にほだされて感動してしまった。
先日、アフガニスタンが酷いことになったニュースがあった。世界中の誰でも、やりたい事を何でも出来て、会いたい人同士がいつでも会える、そんな世界が一刻も早く来る事を望む。全人類が自分の頭で考えるようになれば実現するのかも。

 

 

 

そんな感じでした

🏓🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🏓🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🏓

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『コブラ』(1986)/初めて観たけど80年代ってもはや時代劇だな、と時の流れを感じた🍕

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原題:Cobra 脚本&主演:シルヴェスター・スタローン 監督:ジョージ・P・コスマトス
原作:ポーラ・ゴズリング 『逃げるアヒル』 製作国:アメリカ 上映時間:88分

 

 

 

わあ、コブラだ🐍コブラがきたぞーー
まぁまぁ有名な映画だが、子供の頃は大人っぽいイメージだったから観てなくて、大人になってからは単純につまらないという評判しか聞かなかったので未見のまま数十年経ったが配信されてたので観た。しかも吹き替え付いてるので、ながら観できる、字幕なら観てなかった。
結論言うと、つまらないという世間の評判を数十年聞いててハードルが地面の位置まで下がりきった状態で良いところばかり探す加点方式で観たせいか「言われてたほど、つまらなくないじゃん」と感じて楽しかった。
とはいえ『ロッキー』『ランボー』『エクスペンダブルズ』とかの多くの人に勧められるスタ氏のシリーズものとは違い、後世に残るようなものはない凡作といった感じ。あくまで「スタローン好きな人」または「80年代アメリカのカッコいいところや治安の悪さ」が観たい人……具体的に言うと『グランド・セフト・オートバイスシティ』みたいなノリが観たいという限られた一部の人のみが楽しめる作品と言える。ここ数年のアメリカ映画やドラマやゲームは80年代オマージュが流行ってるよね、……具体的に言うとピンク&ブルーの照明がやたらギラギラしててBGMに80s懐メロやSynthwaveが流れ、そして夜道やドアの向こうから大量のスモークが溢れてたり……そーいうノリ。確かに安上がりでカッコいいからSFとかでやりたがる理由もわかる。90年代に20代を過ごした僕としては80年代オマージュより90年代オマージュもっと増やして欲しいのだが滅多にない、あんまりカッコよくないからかな、だが80年代も99%はクソダサかったが……今の80年代オマージュって残り1%の上澄みですよね。
一応書いとくと早い段階からネタバレあり、だがこの映画のネタバレ気になるか?気になる人いたら……頭どうかしてるぞ?

 




本作の内容は「スタ氏演じるコブラが美人モデルを守りながら悪い奴らをブッ殺す」と一行で言えてしまう。あとは他のスタ映画に比べてオシャレ度が高いのが特徴。
冒頭のコブラのナレーション「アメリカでは11秒に1件の割合で強盗が起き……65秒に1件ほど武装強盗が発生する……。凶悪犯罪は25秒に1件……。24分に1人の割合で人が殺され……レイプは一日250件起きている……!!
治安ワルワル80年代アメリカのロサンゼルス。どいつもこいつもキ○ガイだ。
日本にいるからわからないが誰でも銃が買える国に住んでたら恐ろしいな。でも日本でも包丁やら絞殺やら殺人しようと思えば誰でもできるが、それにしたって指をくいっと曲げるだけで人が死ぬ感触を感じぬまま殺人できる銃が買えまくってしまうというのはやはり怖い。アメリカ文化は全般的に好きだが住みたくはない。怖いもん。
冒頭で、人殺しや盗みなどやりたい放題の強盗がスーパーマーケットで暴れ、若い女性を人質にして立てこもっている。いわゆる無敵の人。
ロス市警警部補モンテ(アンドリュー・ロビンソン)が説得を試みるが上手くいかない。この作品は、スタローン版『ダーティハリー』(1971)を目指して制作されたらしい。「『ダーティハリー』って何だ?」という新人類(80年代に流行った若者の呼び方)のために説明すると「クリント・イーストウッド演じるハリー・キャラハン刑事が、決定的な証拠がなく無罪になった凶悪犯スコルピオの、次の犯行を止めるため辞職も辞さずブッ殺す」という名作。そんなダーティハリーで凶悪な悪役スコルピオを演じた俳優が本作で嫌味な警部補モンテを演じている。あとハリーの相棒を演じてた俳優がコブラの相棒を演じているらしいがハリー相棒の顔すっかり忘れてたから今Wikipedia読むまで気づかなかった。それにしてもWikipediaに書かれてる情報をそのまま映画の感想ブログに書くって時間の無駄で虚しい行為だ、ついでに言うとあらすじ説明してるくだりも無駄だよね、観てない人が読んだら文章の意味が繋がらんから書いてるだけでね。だが「被害者の人権は誰が守るのか?」という問いかけやカッコいいシーンの数々で映画史に残る名作となった『ダーティハリー』と違い、本作は『ダーティハリー』から「難しい問いかけ」や斬新さを全て省いた「お洒落な家に住むスタローンがダーティハリーっぽく悪役ブッ殺して、かっけぇ」と思わせるだけのスタ氏エクスプロイテーション映画……スタ氏ポルノに過ぎない。だが『ダーティハリー』もスタ氏も好きな自分としては別に問題ない。そもそもコブラを最初から大層なもんだと思って観てないしね。
話を戻そう。穏健派の警部補モンテの説得は上手くいかない。そこへ同じくロス市警から、〈コブラ〉の異名を持つ刑事マリオン・コブレッティシルヴェスター・スタローン)が急行。爪楊枝を咥えたタレ目サングラスの刑事。
コブラは、めちゃくちゃ良い感じで俺も家に飾りたい感じの巨大ペプシ立体広告に身を潜め、落ちてる缶ビールを一口飲んで缶を強盗に投げて注意を引く。注意を引くためというよりはカッコいいからそうしたといった感じだ。
コブラ「お前は意味もなく人を殺した。今度はお前の番だ
僕らはコブラが「治安が悪すぎる世界の正義のヒーロー」だと知ってるので問題ないが、投降を呼びかけるのではなく最初っから「お前を殺す!」と犯人に呼びかけ、はちゃめちゃデカを印象づける。
強盗は「TVカメラを呼んで俺の主張を放送させろ!でないと爆弾でこの店ごと吹っ飛ばしてやる!」と要求を出してくる。コブラは型破りデカなので「爆破?やれよ。俺の店じゃねえしな」「イカれた奴とは取引しねえ」と取り合わない。
犯人は「俺はイカれてねえ!新世界の救世主だ!」と叫ぶが
コブラお前は病気だよ。俺が治してやる
と言い、投げナイフを強盗の胸に根本までブッ刺して(致命傷)、犯人が断末魔のようにショットガンぶっ放さないように6発ブチ込む(トドメ)。やったぜ。
この台詞は多分『ダーティハリー』冒頭の名言「弾が残ってるか賭けてみるか?クソ野郎」をスタ氏が自分流にやりたかったんだろうね。しかし「イカれた奴の治療=殺すしかない」という、この台詞は今だと問題になりそうだ。
外に出たコブラは、犯人を捕えず射殺した事を新聞記者に責められる。怒ったコブラは記者を引きずっていき被害者の死体を見せて「被害者の遺族にそう言ってやれぃ!」と凄む。この映画は「加害者の基本的人権」等について考えさせる映画ではなく、悪い奴らを殺すスタ氏の活躍を堪能する映画でしかないのでこういった「加害者の基本的人権」問題は以降語られない。とにかく「生まれた時から悪い生物として生まれたとしか思えない悪い殺人鬼」がウヨウヨしてるので「正義の暴力刑事コブラ」が、そいつらをブッ殺す、それだけ。
コブラは帰宅。近所に不良がたむろしてるので車をぶつけたり「煙草は身体に悪いからやめろ」と言って不良が吸ってる煙草をむしり取るなどの威圧行為。コブラが爪楊枝を咥えてるのも煙草をやめたからか?現実の当時のスタ氏も煙草をやめたのかも?。不良はコブラにビビって歯向かえない。地元の不良をおとなしくさせるコブラ。それは良いが、ついでのように立ち去る時に「じゃあな……」と言って不良のTシャツをビリビリに引きちぎって立ち去るのが地味にひどい。
自分が不良なら「な、なんで破った!?なんでシャツやぶったぁ!」と半泣きになりそうだ。
コブラは白い自宅に帰る。このコブラ邸が異常にカッコいい。窓からは白い建物が並ぶロサンゼルスの街が一望でき、その建物らは夕陽でオレンジ色に染まっている。家具は全部真っ白。これ観て「そういえば80年代の幼少期、姉がやたら白い家具を欲しがってな」という遠い記憶が蘇った。当時はアメリカ映画やMTVが全ての憧れ最先端だったのでコブラのお洒落な家を観て懐かしい気分になった。昔住んでた実家の写真を見ても感慨深くないのに当時の映画を観る方が「あ、これこれ」と感じ入ってしまうのが不思議だ。当時から現実の自分の環境よりフィクションの中の方がリアルって事なのか。他にもコブラが行く先々が、今ではもう見れない「治安の悪い80年代アメリカ映画でしか見れない景色」の数々で、最初に書いた通り、本作自体は平凡な映画なんだけど全体的に背景がカッコよくて場が持って観れるわぁ。数年前、ひさしぶりに『ターミネーター』(1984)観た時に、映画自体も楽しいがそれより80年代の景色のカッコよさ懐かしさに目を奪われた事を思い出した。景色の綺麗さだけじゃなく「これから先、自分はまだまだ生きる、何にでもなれる」という夢や希望込みで映画を観ていた当時の根拠なき万能感までもが数十年ぶりに自分の脳内に蘇ってくるから快感を感じさせるのかもね。でもこんな感じで昔の作品とかで懐かしむのは空虚な行為で嫌いなのだが、そう感じてしまうのは本能みたいなもんでどうしようもない。今現在のキッズも40年後にVチューバーの映像とか観て今の俺と同じ様に何とも言えない気分になるのかな?そしてその時の俺は80代の死にかけだと思うと面白いね。そして40年後のキッズが更に40年後に何を観て懐かしむのかは自分が死ぬから知れないのが悔しい。普段からよく言ってるんですけど、寿命は最低400年、出来れば4000年は欲しい。俺が死ぬまでに広大なクラウドに自分の意識と記憶を移して半不老不死の存在になりたいもんですわ。
コブラは銃の手入れしながら食いかけのピザを食う。一切れだけ残ったピザをハサミで更に小さく切りカチカチのそれを食う。このシーン有名だから知ってたわ。それにしても小さい一切れのピザを一旦、手に持ったんだからそのまま齧って置けばそれでいいものを、何故わざわざハサミで切るのか意味わかんなくない?80年代だから調理用のじゃなく普通の文房具としてのハサミだし「ハサミは綺麗なのか?」という衛生面がまず気になるし、ピザ切った後でハサミも洗わなきゃならん。無駄な行為で、やはりそのまま齧った方がいい(独り暮らしが長い人の考え方)。このシーンは恐らく「凶悪犯罪を追う事で頭がいっぱいのコブラは食うことに頓着してない」という「ハードボイルドでかっこいい刑事コブラ」という雰囲気を強調するための演出だろう。だがその演出は正解、確かにインパクトある。公開当時に子供の自分が観てたら確実に真似してカチカチピザをハサミで切りたくなってた。
だがこの直後、お菓子を食う相棒と会った時に「砂糖の摂り過ぎはよくねえ。レーズンや魚や米を食え」と実家の母親みたいな事を言い出して相棒を呆れさせる。あれ?食い物に頓着しないわけじゃなかったんだ。そういえば喫煙にもうるさかったしコブラはよくわかんない男だ。まとめると「自分のキャラ付けに一生懸命な男」といった感じか。

 

 

 

まだ前半までしか書いてないが疲れてきたので一気にまとめに入ろう。
コブラは、狂信的なグループ〈ナイト・スラッシャー〉による凶悪な連続殺人事件が頻発している事を知り、何としても自分が奴らを止めたい……と思う。一言で言うと「『奴ら』をブッ殺したい」の一言に尽きる。
スコルピオの人が演じる嫌味な警部補モンテは「コブラが出張ってきたら死体の山が出来ます!」と上司に述べ、コブラを捜査から排斥したがっている。
このモンテ警部、本作を観ている当時のスタ氏ファンやキッズからしたら「正義のコブラを邪魔する頭の固い意地悪な同僚!」という役。そもそも「『ダーティハリー』のスコルピオ」という、当時としてはこの世の悪を一人のキャラに凝縮したかの如き、とんでもないヴィランを演じた男を配してる事からして「こいつを悪く思ってくだせぇ!」と言わんばかりだ。
だがモンテ警部は、顔や言い方が嫌味なだけで「なるべく殺さずに説得して投降させよう」「コブラはすぐ殺すから参加させたくない」などと、言ってることは正しいのが面白い。『ダイ・ハード』でイキって出しゃばって殺されるマクレーン妻の同僚みたいなウザキャラと違う。
中盤で犯人の辺りを付けたコブラに対してモンテ警部は「犯人を捕まえるには証拠がいる。証拠はあるのか!?」と「嫌味」を言う。「正義のコブラに小うるさい事を言う嫌味なモンテ」という場面だが、モンテの言うことが正しすぎて頭くらくらしてくる。本作を観てる我々からするとコブラの読みは合ってると知ってるのだが現実的に考えるとコブラは「あいつら怪しいからブッ殺そう」と主観的に言ってるだけで同僚としては止めざるを得ないよね。モンテ警部も前半コブラの事を「嫌いなわけじゃないんですよ、思想が違うだけでね」とか言ってたしね。この映画はコブラの主観を劇映画化したかのような内容なのでモンテが嫌味なのもコブラの主観ってだけで、コブラの主観フィルターを外すと至って真面目で常識的な刑事なのかも……と思うと本作の面白さが増すのでおすすめ。

 

 

 

コブラと相棒は、ナイトスラッシャーに命を狙われている美人モデルのイングリット(ブリジット・ニールセン)を警護する、そしてコブラは最終的には勿論ナイトスラッシャーと対峙して皆殺しにする……。
この「ナイトスラッシャー」というのはハッキリ言って只の狂人で背景は無い。下水で斧を打ち鳴らして奇声をあげ地上に出ては女子供を殺す活動をしている……ただの狂人殺人集団でしかない。こんなヒャッハー的な奴らが普段何してるのか気になるよね。本作では彼らが普段何をして寛いでるかというと集まって輪になって斧を打ち鳴らしたり、オイルを塗った身体にタンクトップ着て目をひん剥いてヨダレを垂らしながら歯を食いしばって鏡で自分を見つめて笑っている。とても寝転んで読書したりする時間があるとは思えない。ゾンビやジェイソンみたいなキャラでも代替可能な只のモンスター。ただ悪い奴というキャラクターを与えられ正義のスタローンにブッ殺されて死ぬだけの存在なので何も考える余地がない。しいて言うなら当時の治安の悪さを擬人化した存在と言えるか。
昔の敵といえば、こういうピュアイーヴィルが多かったよね。「僕たちの正義のヒーロー」がブッ殺しても問題にならない塩梅の悪い奴。最近、この「いくらブッ殺しても問題ない」純粋悪としてはナチスとゾンビが定番だね。
コブラと激突するナイトスラッシャーのリーダーは『HUNTER×HUNTER』の幻影旅団・団長が持つベンズナイフみたいな変なナイフを持ってるので出てくるたびに「ベンズナイフみたいな変なナイフ!」と思った。俺じゃなくても見逃さないナイフだ。
映画好きなら……いや、映画好きじゃなくても、ここ数年の時代の流れが異常に早いのはわかると思いますが古い本作を観てると、その時代の流れを凄く体感させられて、それがまた面白かったですね。
主人公コブラは「小うるさい手続きを省いて悪を討って市民を護る正義のヒーロー」として描かれてるけど、今観ると狂人にしか見えないのが面白い。勿論コブラは「悪い奴を倒す」「罪なき力なき者を護る」「良い奴」なので正義のヒーローには違いないんですけど、それはあくまでも本作を作ったスタローンがそう作って、観客である我々はそれを知ってるからヒーローだと認識できてるだけで現実に照らし合わせて第三者目線から見ると、コブラもまた「何か、あいつら凶悪犯な気がする!ブッ殺そう!」という狂人に見える、それが面白かった。冒頭のスーパーマーケットで罪なき市民を殺して「俺は世界の救世主だ!」と絶叫してた狂った強盗や幻影旅団みたいなナイフで女をころしまくるナイトスラッシャー、本作のヒーローである主人公コブラは、客観的には区別がつかない。
本作ラスト、コブラは嫌味を何度か言ってきてたモンテ警部をブン殴ってスッキリとハッピーエンドを迎える。
モンテ警部は悪そうな顔で嫌味な喋り方してたってだけで言うことは正論だったので、それをコブラがブン殴って終わりというのも時代を感じた。わずか数十年経っただけで異星の話みたいに見える、それが今の地球の面白さかもしれん。スタ氏は映画界のアップデートを常にチェックしてるから本作『コブラ』の続編を数十年ぶりに作ったらどうなるんだろう?と気になった。ささきいさおの吹き替えで「今は昔ほど単純じゃねえ」と、凶悪犯の証拠隠滅に苦労しながら辞職覚悟で敵を討ちに行く内容になりだな、というか『ダーティハリー』か……。タレ目サングラスと爪楊枝は維持しててほしい、『ランボー ラストブラッド』はランボーがロン毛を切ったのが不満だった。
ナイトスラッシャーに命を狙われる本作のヒロイン、美人モデルを演じるブリジット・ニールセンは『ロッキー4/炎の友情』(1985)のドラゴ夫人役でスタ氏と出会って結婚、本作では劇中でも恋人同士を演じた。だが只でさえ無茶苦茶なハリウッドセレブ、その30年前なのでブリジット氏は結婚生活中に浮気しまくって離婚。気まずい数十年が流れ、僕も『ロッキー4』や本作が見辛くなってたが、スタ氏は『クリード 炎の宿敵』(2018)で別れた妻ブリジット氏を、『ロッキー4/炎の友情』と同じドラゴ元夫人役で出演させた。おかげでブリジット氏が出演した『ロッキー4』や本作を観ても気まずくなくなった。このスタ氏の器の広さは世界を明るくする。できる限りスタ氏のようにスカッと過ごして世の中を明るくすべきだ。どう生きても死ぬのならスカッと生きて死ぬ方がいい。そうだろう?
……と無理やりまとめてみたが本作同様に今回の感想が我ながら空虚すぎてやばい。
誰か俺を「治療」してくれ。

 

 

 

そんな感じでした

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Cobra (1986) - Photo Gallery - IMDb

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