gock221B

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『ジョン・ウィック』(2014)/現実的な銃撃戦と幻想的で不思議な漫画っぽい世界の融合🧔🏻🐶


原題:John Wick 監督:チャド・スタエルスキ 共同監督&制作:デヴィッド・リーチ 脚本:デレク・コルスタッド 製作国:アメリカ 上映時間:101分 シリーズ:「ジョン・ウィック」シリーズ第一作目

 

 

「元殺し屋のキアヌ・リーブスが、飼ってる子犬を殺されてチンピラに復讐する映画」と聞いて前から気になってたが「でも犬が殺されるのは観たくないな~」と思っていた。観に行った。

 
Story
伝説の殺し屋ジョン・ウィックキアヌ・リーブス)は暗殺家業から足を洗って愛すると静かに暮らしていたが、その妻が病で亡くなり悲しみに暮れる彼の心を癒してくれたのは亡き妻から贈られた一匹の小犬だった。
そんなある日、マフィアのボスを父に持つロシア人の若者ヨセフが、ジョンの自宅を襲撃して子犬を殺しジョンの愛車を奪い去っていく。
全てを奪われたジョンの怒りが爆発。暗殺者へと戻り、たった一人で犯人への復讐に立ち上がる。
一方、息子があのジョン・ウィックを怒らせたと知ったボスは慌てて事態の収拾に乗り出すが――

 
恋人ロスを乗り越えておらず、絶えずスマホで恋人とのデートを繰り返し再生している。故人の思い出の映像を繰り返し再生ってアメリカ映画でよくある光景だ
旧友らしき裏社会の男ウィレム・デフォーもお悔やみを言う。

葬式で、墓場で並んで立っている墓石と背景のビルディングが被って、街が墓場みたいに見える画がこれから起こる展開を予感させてカッコいい。

夜、死の直前の恋人からの宅配が届く
ジョン・ウィックが立ち直れない事を予期して、可愛い子犬が送られてきた。
しかし、街のチンピラがジョン・ウィック宅に侵入して彼と子犬をバットで殴打しジョンの車を盗んで行く(チンピラは街の大物ギャングの息子)
翌朝、目覚めたジョン・ウィックは冷たくなっていた子犬を埋葬し、床の血を拭く。
犬が殺されるのを知ってて、犬の可愛さを見せつけられる5分くらいが本当に辛い!
徐々に恐ろしい目つきに変わっていく。。ただの犬だけではなく、恋人の魂や思い出が汚されたことも怒りに上乗せされているので異常に燃え上り、もう誰も彼を止める事は出来そうもない
この前半は、ジャック・ケッチャムの小説「老人と犬」に凄い似てる。
老人と犬」では、じいさんが長年飼ってる老犬がチンピラにショットガンで頭を吹っ飛ばされる。老人はチンピラに謝らせようとするが、チンピラは地元の名士の息子なのでスルーされ続けるが執念深く追いかけまわす‥という話で、復讐の仕方も紳士的かつ恐ろしくてオススメ

 

 


チンピラがジョン・ウィックの車を盗んで子犬を殺した事は、カーディーラージョン・レグイザモをつたってチンピラの父親に伝わり、彼は蒼ざめて息子を殴る。
「あいつは、かつて仲間だった恐ろしい男だ。お前は殺されるぞ‥」
舐めてた奴が暗殺者系映画のテンプレをなぞっていく。
ちなみにレグイザモはレギュラーキャラかと思っていたが出番はここで終わり
それにしては復讐が始まる前なのに父子はビビりすぎ、父子の死が決定づけられすぎて、まだ10分くらいしか経ってないのに、もう復讐が済んでしまったようなムードが漂う。これで、この後どうやって一時間半くらい持たせるのか不安になったがそれは杞憂だった
とりあえずジョン・ウィック宅に暗殺者チームが来るが当然ジョンに皆殺しにされる
相手の懐に飛びついて射程距離を殺して銃を撃たせないようにして、自分は死角から急所をゼロ距離から撃ちこんで更に頭まで撃ち抜く。これなら確実に絶命させる事ができる一風変わった闘い方。
騒音を聞いて警察官が訪ねてくる。この警官が戸口に立っているショットは妙に幻想的。
ジョンは何と、普通に出て「うるさかった?ごめんね」と屋内の死体を堂々と見せる。
警察官は転がる死体を見て「また始めたんだ。ほどほどにね笑」と言って帰っていく。
なんだこれ。。ジョン・ウィックは、そこまで顔が広い大物なのか?
ジョンは続いて裏組織の掃除屋らしき男達を呼び、転がってる死体を掃除させる。
掃除屋も、キアヌを凄く尊敬しているような雰囲気、この辺で本作は何だか変わってる映画だな~だと思わされて目が離せなくなってくる。
描写が、どこか夢の中みたいに妙に現実離れしている。でも安心してください現実ですよ
マトリックスのスタッフだったらしい本作の監督はこれが処女作みたいだが変わってる。
この辺はまだ普通だが、映画が進むにつれてどんどん不思議な映画に変質していく。

 

 


この辺から、どんどん只の復讐映画じゃなくなっていく。
父親は、キアヌと親しいウィレム・デフォーにジョン暗殺を依頼し、デフォーは承諾
いいのか?父親はデフォーより偉いからデフォーは断れなかったようだ。
一方キアヌは裏組織が経営しているらしきホテルに宿泊。
どうも泊まっているのは組織の人間や暗殺者ばかりのようだ。この近くで殺しをするのは違反になってる模様。つまりバイオハザードのタイプライターがある部屋や、カイジのトイレのようなこの映画の安全地帯という事か(そしてそれは後の前フリにもなっている)
ジョンは有名人のようで、バーなどで顔なじみらしき者たちと再会する。
また組織の人間はポイントを稼ぐと貰えるっぽい金貨を集めているようで、この金貨を渡すと裏組織の者はかなりの事をやってくれるっぽくて(もしくはこれを出されると断れない?)それも面白い。はっきり説明しないのもいい
このホテルの中が、撮り方は普通なのにも拘わらず凄く異空間みたいな不思議な雰囲気が立ち込めていて、何か普通の社会と隔絶されている五部以降のジョジョっぽいというか‥この映画の面白さがあふれている
犬を殺したチンピラが巨大クラブにいる事を顔なじみ数人から聞いたジョンは急行する。
このクラブ、巨大で地下にプールがあったりして凄くカッコいい。行きたい。
チンピラは、ボディガードを大勢連れていて安心しきっている。
侵入したジョンは、次々とボディガードをブッ殺していく!
クラブ内部の構造が入り組んでいて標的はうじゃうじゃいるのに一般客も大勢いるので、ジョンは一般人に被害を出さないために殴るのと同じ要領で射殺していく。
つまり敵のすぐ目の前まで行って敵だけに撃ちこんで、また少し歩いて‥を延々と続けて進んでいくという第一幕と同じ不思議なアクションで殺し続け、凄く面白かった
どうやらこの、敵の懐に潜って敵には撃たせず自分は急所を至近距離から撃つゼロ距離射撃殺法がジョンのスタイルのようだ。
銃を持ってはいるがジョンは飛び道具として使わず(というかその場の状況によって飛び道具として使えない展開が続く)格ゲーで言うなら、飛び道具を持たない近距離コンボタイプ。波動拳が飛んで行かない豪鬼とでも言うか
また目の前の敵の胸を撃って、リロードしてまでヘッドショットしてトドメを刺したりして、ジョンは絶対にトドメを刺す人なんだなと思った

 

 


チンピラに逃げられてしまったジョンは父親を脅迫して、息子の居場所を吐かせて狙っていくという展開になるが、この辺まで来るともう標的の息子はどうでも良いような雰囲気になりチンピラ親子だけじゃなく、ウィレム・デフォー、女殺し屋、、組織の人達など各々が独自に意志を持って勝手に動き始め、どんどん不思議な映画になっていく。
通常こういう映画だと、キアヌだけが意志を持ってて他のキャラはキアヌに合わせただけの動きをするものだが本作の場合、各キャラが自我を持って好き勝手に動いてる感じになっていく。
特に女殺し屋は、どうでもいいキャラにも関わらず、キアヌと直接関係ない場所で関係なく活動して勝手に消えて行ったりして凄く変わってる。
ウィレム・デフォージョン・カーペンター映画の主人公のような振る舞いをするし、各キャラがアクション映画のお約束の常識から外れていく展開が続いて楽しい。
それは肝心の、ジョンによる子犬の仇のチンピラへの処置にも凄く表れていた。
もう、この映画自体のあちこちが胎動し始めてしまい、チンピラとか復讐とかもうどうでもいいと言わんばかりの扱いになって、それが済んでも更に映画が続き続けていく
最終段階まで行くと何故かチンピラの父親も突如覚醒して、それまでの怯えたボスキャラ的な行動範囲を超えて好き勝手な言動や行動を始めるので本当に凄い。その影響を受けてジョン・ウィックも訳の分からんナイフの使い方するのを見て「とうとう気が狂った‥」と思った
一体何を言ってるのかよくわからないと思うので、ここは実際に観てみてほしい
ストーリーや描写自体は割と普通に進んでいくにも関わらず凄く奇妙な映画だ。
車で敵を轢き、車体の上を転がる敵を更に車内から屋根越しに連射で撃ち殺すという面白いアクションもあった。
そしてキアヌだが、元々どこを見ているのか‥目の前を見ているのか違う次元を見ているのかわからない曖昧な視線や、ずっと雨が降ってるせいで(犬が死んで心の中で泣くキアヌの涙が映画内で降り注いでいるわけ)彼自身がずっと濡れそぼっているのも、まるで聖人のようなオーラを放ち始め崇高な雰囲気さえ纏い始める。
とにかく、キアヌは雑魚を相手にしてもトドメを絶対刺すし、許した敵によって被害がもたらされる事も多いので「行動不能にしたらトドメを刺さないとダメなんだな」と強く思わされた。
最初は只の復讐映画かと思っていたが、犬の復讐とかはあくまで映画が動き始めるきっかけに過ぎず、中盤からは映画が進むこと自体が映画自身が楽しんで進んでいく‥というような不思議な魅力があった。
美味い白米自身が自分の白米をおかずにして白米を食うみたいな映画というか。
なんなら犬を殺したチンピラは第一幕のジョン宅襲撃の際にさっさと死んでてもよかったくらいだ。早くも2の製作が決まったらしい。またこの不思議な世界が観たい
2ではレグイザモがお助けキャラになる
予感がする。
中盤のアクション、後半の不可思議な展開は映画好きなら心にヒットすると思う。これがキアヌ最高傑作かも。

 

 


そんな感じでした

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 〈デヴィッド・リーチ監督作〉
「アトミック・ブロンド (2017)」誰も信じるなって事と、自分が触れることのできる現実感が大事👓 - gock221B
「デッドプール2 (2018)」面白かったし、メタなギャグはギャグのためのギャグではなく本編を円滑に進めるための整地なのが良かった❌ - gock221B
「ワイルド・スピード/スーパーコンボ (2019)」本編シリーズよりこっちを応援する気満々だったが思いのほか大味だった👨🏼‍🦲👩🏻‍🦲 - gock221B
『ブレット・トレイン』(2022)/映画自体は面白かったし真田広之は活躍したけどホワイトウォッシュをごまかすための日本要素に複雑な気持ちになった🚝 - gock221B
『フォールガイ』(2024)/『ワンハリ』や『デスプルーフ』をもっと前向きに気取らず作った感じのスタントマン愛あふれる高橋留美子の漫画っぽい可愛い映画💥 - gock221B

🧔🏻🐶🔫🧔🏻🐶🔫🧔🏻🐶🔫🧔🏻🐶🔫🧔🏻🐶🔫🧔🏻🐶🔫🧔🏻🐶🔫🧔🏻🐶🔫🧔🏻🐶🔫

John Wick (2014) - IMDb

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