gock221B

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『ウィークエンド・シャッフル』(1982)/筒井康隆原作のSEX&バイオレンスホームドラマ。大量殺人者は首だけ異界に飛ばされる

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完全ネタバレ
映画館行ったり映画借りたりすると自分が観たいものしか観れなくて驚きがないなと思って先週GYAO!で映画観た。

rdsig.yahoo.co.jp

GYAO!と言えば、昔はクソ画質でしょっちゅう広告が入るクソサイトで行ったら見た事も聞いた事もない駄作ばかり並んでるイメージ(これは今も同じ)で、サイトに飛ぶだけで虚しくなるので利用したことなかった。でも今は画質も綺麗で広告も入らない。駄作が並んでるのは昔通りだが各ジャンルをよく見ると、それでも面白そうな映画がいくつかあったので利用する価値なくはないなと思った。特にDVD化されてない本作などは。。
何だこの見た事も聞いた事もない映画は‥と思ったら
ロマンポルノ出身監督&脚本家で、筒井康隆原作の小説を映画化したもの。
ちなみにタマフルの番組名はこの小説から取られている。

www.tbsradio.jp

筒井といえば中高生の時に大ファンで膨大な短編集の文庫をほぼ読破した。
だが本作観ても全く記憶にないから読んでないのかな?偉そうに解説して恥ずかしいわ
gyao.yahoo.co.jp
一瞬だけ80年代の恥ずかしいノリを観ようと再生したら、意外と面白かったので最後まで観てしまった。いつもネタバレしないようにしてるが、DVD出てないし出そうもないので最後まで書いてしまおう。※映画は配信終了

高級住宅街に住む伊武雅刀秋吉久美子の夫婦、息子が一人。ヤング秋吉久美子、可愛い。
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その息子が青年に誘拐され‥というか一緒に遊んでいて、少年の家が金持ちだと聞いた青年は、秋吉久美子に電話をかける。
青年が脅迫する前から、秋吉久美子は「ゆ、誘拐ね!」と怯えまくる。
引っ込みつかなくなったような状況になって青年は「身代金500万円用意しろ!」と言ってしまう。家建てたばかりで金ない秋吉久美子は困惑する。
一方、町の交番ではシャブ中の女が暴れていて、迎えに来たヤクザの夫とパトカーを奪って暴走。シャブ中の女は常に乳を放り出し「ベンジョ虫~!」とか「キンタマ野郎~!」と叫び、逃走中のパトカーの助手席からケツを突き出して振る、という80年代的なキチガイっぷりを見せる


秋吉久美子が困っていると、泉谷しげる演じる強盗が家に入って来る。
泉谷がまだ何も言ってないうちから秋吉久美子は「あ、あなた強盗ね!」と大騒ぎする。
引っ込みつかなくなったような雰囲気になって泉谷は「そうだよ!金出せ!」と言い包丁を向ける。
彼らは確かに本物の誘拐犯&強盗なんだろうけど、まるで秋吉久美子自らが彼らを誘拐犯&強盗に変身する事を望んで促しているように見えて面白い。
更に、泉谷にその気はないのに犯されると思った秋吉久美子は悲鳴をあげ怯える。
泉谷は「ち、違うよ奥さん、そんなつもりはなくて‥」となだめようとするが、秋吉久美子のヒステリーがエスカレートしていきベッドにドサッと倒れる秋吉久美子。パンツを見せながら泉谷をじっとり見つめる秋吉久美子
泉谷「あ、あんた誘ってんの?何か‥そんな気分になっちゃったよ!」
とか言って、泉谷は秋吉久美子をFUCKする。
今回は、秋吉久美子の方から自分をFUCKさせる方向に行ってしまった。
二人のSEXとカットバックで、ヤクザとシャブ中カップルの暴走が面白おかしくカットバックで入って来る。二人は警察のパトカー軍団から逃げている。
かと思うと突然、空き地で横転。次の瞬間なぜかパトカーが爆発!ヤクザとシャブ中爆死!
凄く楽しい感じの映画だったので「こんな事になるとは‥」と思わされた。
そんな俺と同じように警官隊も呆然としていたのが可笑しい。
ここまでが前半で、この辺まではスピード感あってめっちゃ面白い。
おかしな出来事が色々起こるが、撮り方は真面目でカッコいいし好感触。

一方、伊武雅刀は街で倒れて通りかかった救急車に乗せられた。
救急車の乗組員の一人が、若かりし大杉漣だった(声でわかった)。
救急車内では何故か女が大型犬とSEXしていて、救急隊員が応援している。
何これ?理由はわからない。
秋吉久美子は妙な顔つきで犬のおまわりさんがどうとか豚さんがどうとか言って様子がおかしくなる。色んな事件が立て続けに起きたせいで白痴になってしまったようだ(昔の邦画、白痴ばっか出過ぎ)
ところどころで、羽が生えて空を飛ぶ豚や豚の大群を追いかける農家のデブの映像がスローモーションで差し込まれるが意味がよくわからない。
FUCKが終わった泉谷は「変な事になっちゃったね、俺もう帰るよ」と帰ろうとするが金髪豚野郎こと春風亭小朝演ずる新聞集金人や、秋吉久美子の大学時代の同級生達(池波志乃渡辺えり子)が遊びに来て中々帰れない。

そうこうしてると突然、ジューシィフルーツの主題歌がTVで流れると、部屋がトレンディなパーティ会場みたいになって秋吉久美子を始めとする者たちは突然ドレスアップしてカクテルパーティが始まった。
ここまでに起こた出来事は変だったが一応「おかしな一日」として計算された変な事が起きてる感じで良かったが、
このシーンは何か「いやな感じ」がしたりするカオティックなものだった。
このシーン、80年代の映画っぽいわ~。
何か大量の予算を使う必要があったため要らない金で訳分からん使い方した感じ。
そして各キャラが、カメラに向かって一人づつ心の底で思っているネガティブな事を語りかけるという如何にもロマンポルノ出身監督的なATGっぽいというかMTVっぽいというか実験的なショットで話し始める。(今ならエヴァンゲリオンの内面シーンと言った方がわかりやすいか)たまにゴダールっぽい画になったりする。
誰かがカメラに向かって喋ってる後ろで泉谷がラジオ体操していたりして、凄く80年代っぽい。子供の頃、エロいシーン目当てにTVで邦画観てたら絶対こういうシーン観させられたなと懐かしくなった。
それぞれ、しょうもない事ばっか吐露してるので、こういうのがカッコいいと思ってて無理にでも入れたかったんだろうなと思わされて恥ずかしくなった。
そんな内面描写、白痴になって童謡を唄いだす秋吉久美子、おかしくなってきて服を脱いで乱痴気騒ぎを始める他の者とか、子供の頃TVで観て嫌な気分気分になって邦画っぽい
泉谷は池波志乃と盛り上がってSEXしている。志乃の股間にボカシが入る。中尾彬怒るぞ
そうこうしてると夫の上司が家にやって来て「君の夫が会社の金を使い込んだ!」と錯乱して渡辺えり子を絞殺!
更に正体がバレた泉谷が池波志乃を刺殺!更に夫の上司、と見回りにやって来た警官も短時間で瞬殺!風呂に入ってた同級生は何もされてないのに勝手に溺死していた。
終りに向けて盛りあがってきた。
ちなみに誘拐犯は秋吉久美子が白痴になったので金を諦め子供を解放し息子は帰って来た
泉谷は最後に残った警官に撃たれた。
すると泉谷は宙高く(15mくらい)舞いあがり、しかも空中で首がスポ‥と取れた。
何の損傷も負ってない首が何故にスポ‥と抜けたのだろう?(この謎については後述)
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そしてアスファルトに深々と突き刺さって即死。
即死はしたくないものの中でもかなり上位に入るものですからね。
しかし一体なぜ泉谷は撃たれただけで高く飛んで硬いアスファルトに突き刺さったのか?
「80年代だから調子に乗って不必要な金を使って要らん事してみたかった」という以外の理由をはじき出すならば、悪事を重ねて罪が重くなりすぎたせいで一瞬のうちに身体の重量も物理的に数トンくらいまで重くなったという事にでもしとくか。
その前に、銃撃だけで高く飛んだ理由がわからない。
一気に重量が重くなる前の、嵐の前の静けさ、走る前に後ろに下がる必要があるチョロQの様に、凄く重くなる前に凄く軽くなる必要があったという事にしておくか。

何だかんだで家に来た奴ら全員死亡。死亡っていい
そうこうしてたら伊武雅刀も帰宅。今まで通りの日常と笑顔が帰って来た。。
息子が吹くシャボン玉の中、不穏な音と共に異界を漂う泉谷の生首がTVに映って完。

f:id:gock221B:20151120125220p:plain秋吉久美子~、助けて~!‥
このラストも本当は意味ないと思うけど、白石晃士「オカルト」の江野くんが異界に落ち生首だけになって「白石く~ん助けて~!>o<:」と言ってたラストに似てるな~。泉谷は終盤、人を殺め過ぎたから宇野君よろしく首だけが異界(無間地獄)に転送されたって事にしとくか。カメラが直接異界を映すんじゃなくてブラウン管ごしっていうのが如何にも違う次元って感じでいい

この映画勢いあって思いのほか面白かったわ。
それにしても家で起こる出来事の面白さに比べて外界で起きる出来事のつまらなさの差が凄い。ヤクザの無意味な爆死はよかったが羽の生えた豚とか、くそしょうもなかったんですけど。家の中だけでよくない?まあ場面が家の外になったら家事したりしててよく観てなかったが。。
恐らく「町がハチャメチャになっちゃったよ!」という話にしたかったんだろうけど、秋吉久美子を起点として家の中だけに災難が集中した方がよかった気がするけど、まあもうどうでもいいわ

 

そんな感じでした

www.allcinema.net

ウィークエンド シャッフル (講談社文庫)

ウィークエンド シャッフル (講談社文庫)

 

 

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