原題:The Peanuts Movie 監督:スティーヴ・マーティノ 原作: チャールズ・M・シュルツ
制作国:アメリカ 上映時間:88分
「スヌーピー」は子供の頃、あまり触れてなかった。
好きじゃないわけじゃなく内容がシニカルだったり厭世的なので、子供の時「スヌーピーには本当の事が描かれていて怖い‥」と恐れていて、あまり触れなかった。
本作は原作コミックのネタが随所に入ってるらしいが、そういう事も当然わからないが、映画自体は普通に楽しむ事ができた
チャーリー・ブラウンが、転校してきた赤毛の女の子に恋をして奮闘するのがメインの話。
合間合間にスヌーピーの幻想だったりスヌーピーが執筆したフィクションというかたちで、フライングエース(撃墜王)となって犬小屋を操って宿敵レッドバロンと空中戦を展開してフィフィというプードルの雌と恋愛する
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子供たちが色んな人間模様を繰り広げてて、そのペットが男のロマンに生きているというのは「じゃリン子チエ」を思い出した。
キャラクターは3DCGで描かれてるんだけど、常にシュルツの描いた絵そのままの状態に3DCGが変形し続けるので3DCGモデルをじっと見てても興味深い。正面顔と横顔と上を向いてる叫んでる例の顔が多い。
そういえばチャーリーのクラスメートのホコリまみれの子。絶えずモワモワしているあの子のホコリ表現に気合入れ過ぎたのか、ちょっとホコリの量が多すぎる!
今まであまりスヌーピー本人の事を考えた事なかったが、こうして観るとスヌーピーって、いつも楽しんでいてカッコいい奴だなと思った。もっとスヌーピーの活躍が観たい。
いつも点みたいな目をしているがたまに目を見開く時があるんだな‥とか思った
あとEDにスヌーピーの6兄弟が出てくるが
ケツみたいな顔した奴がたまらない可愛さだった。こいつの事をもっと知りたい
ストーリーは全体的に、色んな小ネタを挟みつつ、チャーリーが赤毛の女の子に好かれようと頑張るが上手くいかず失敗ばかりする。。という展開が続いていく。
失敗というか、チャーリーは他人が困っていたら自分の予定を置いといてまで物事を正しい方向に導いている間に自分の成果が失敗になってしまう‥という感じ。
それにしてもチャーリーは途中でトルストイ「戦争と平和」を一夜で読破して、外部記憶装置(紙と糸と壁)を駆使して、本来なら膨大な文量になるはずの感想文をたった数枚にまとめてしまうのは普通に凄いと思った
最終的には、チャーリーの普段の思いやりのある行いを見ていた赤毛の女の子に褒められる。こんな「地道な善行をお天道様が見ててくれた」的な展開を最近の映画で観る事ってあまりないせいか、じーんとした。世の中、こうであって欲しいものだ
この赤毛の女の子も、名前呼ばれないし顔も最後まで出ないし、まるで神のような半ば否実在少女のように描かれてる。この女の子は希望とか明るい未来を象徴してるのかな。
‥と思ったら、最後の最後にバッチリ顔を出して話してくれる様が、チャーリーの努力が通じて彼女が人間になった感じ(もしくはチャーリーが、彼女を勝手に神聖視していただけとも言える)
その逆で戦闘機レッドバロンは、出てくるたびにスヌーピーが激高したりチャーリーの感想文を破壊しちゃったりするし、死や不運や忍び寄る戦争などのネガティブなもののアレなのかな。
この映画、中盤くらいまでは「いいけど、やっぱりTVでよくやってる短編アニメの方がいいのでは?」と思いながら観てたが、赤毛の少女が全編を通じて悪戦苦闘していたチャーリーによる点の奮闘を繋げて線にするラストを見たら「長編映画ならではのつくりになってるからこれでよかったんだな」と思えた。
あと、EDで皆がダンスしてるのがめっちゃ可愛かった
そんな感じでした