gock221B

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「レヴェナント:蘇えりし者 (2015)」この監督はノーラン同様、なかなか面白いB級映画をまるで崇高な大作であるかのように誇張して見せる天才だと思う

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原題:The Revenant 監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ
製作国:アメリカ 上映時間:156分

イニャリトゥの映画は大体観てるが、観ていて凄いのかくないのかがイマイチ、ピンと来ない大作っぽい映画ばかり撮る人だなぁと思っていたが、前作バードマンと本作はさすがに面白かった。あとどの映画も音楽がいいなと思う。
※ネタバレ気味なので未見の人は読まない方がいいです

西部開拓時代に実在した猟師の伝記の映画化、らしい。
狩猟して毛皮を採取して売るハンターチーム、ディカプリオ演じる主人公ヒュー・グラスもそこに所属している。
ネイティブ・アメリカンの襲撃に遭って生き残った者だけ移動していたが、ディカプリオは一人でいる時に熊に遭遇して致命傷を負いながらも熊を斃す(熊すごい怖い)。
しかし雪山の中、動けなくなったグラスを連れて移動できないという事になり、ディカプリオの死を見届ける係として、ディカプリオと今は亡きネイティブアメリカン妻の間にできた息子、ディカプリオと凄く仲の悪いトム・ハーディ、あと何かパッとしない若者の三人が残る。
ちなみにトム・ハーディは金が貰えるから残ったのだが、さっそくディカプリオを殺そうとする。当然、息子が邪魔して来たのでサクッと殺してディカプリオを置いて逃げる。。
ディカプリオは一命を取りとめて何とか生還しようとする。。
‥という話。

インディアン大襲撃→クマとの大バトル→大サバイバル大会→クライマックス‥という何度も見せ場が来る流れで、全く飽きずラストまで楽しめた。
アクションは毎回、お得意のワンカット風味のやつで楽しい。
アメリカ映画‥特に西部劇ともなれば、主人公は死にかけて蘇って無敵の力を得る、というのが基本的な流れだが、本作のディカプリオは瀕死すぎて何度も死んで何度も蘇ってる様に見える。寝る度に亡き妻や息子と出会うスピリチュアルな夢を見て目覚める。失神や睡眠→目覚めの度に生死を流転しているように見える。中でも帝国の逆襲チックに死んだ馬の死体を寝袋にして朝目覚めるところなんか、馬から生命を得て何度目かの蘇りをしてるみたいだった。
しかも坂本龍一が音楽やってるせいか、西部劇チックな曲じゃなくてアンビエントな音がずっと鳴ってるのが新鮮で良かった。

ディカプリオは特に好きでも嫌いでもなく‥しかし「面白いおじさん」と認識してたが、久々に嫌な奴の役じゃないヒーロー性ある役なのもあって良かった。喜怒哀楽を顔に出すたびに惹きつけられるものがあるので、やっぱスターだなと思った。
念願のアカデミー賞獲ったが、これを観たアカデミー会員はさすがにディカプリオに入れざるを得なかっただろう(入れないと追跡されそうだし)
トム・ハーディが悪役なのだが、こいつのキャラは無神論者で過去にネイティブアメリカンに捕まって頭の皮を剥がれかけた事がある利己的な男‥というだけのキャラで、その思想の無さが逆に新鮮だった。というか怖い。思想は無くただ腕力と悪知恵だけが無駄に持ってる感じ。多くの犯罪者とか、田舎で誰にも見つからず暴力を振るいまくってる奴の大半はこういう奴なんだろうなというネクストドア的な嫌さがある。利己的なんだけど自分の事を大事にしてるようにも見えないのも何か怖い。この世の流され系ネガティブの集合体みたいなキャラだった
やる事が行き当たりばったり過ぎる。そもそも何故ディカプリオとパッとしない若者をも、さっさと殺さなかったのか不思議だ。
不思議といえばチームのリーダーもかなり無能だった。まず最初にディカプリオと仲悪続きだったトム・ハーディを居残りさせる時点で人を見る目ない。水筒が見つかった時も部下にトム・ハーディを見張らせないしな。。と思うのは俺が映画観てる観客だからか?

本作は面白かったし特に文句はないのだが、終盤までの闘いで描かれる容赦ない死と違い、最後の闘いが妙に長い‥昔のアクション映画でヒーローと悪役が延々と殴り合ってるかのように長くて互角でクドいのが醒めた(もっと一瞬でケリがつくのでよかった気がする)
最後、まるで「殺人の追憶」みたいに第四の壁破壊して本作を観てる観客と目を合わせてくるのだが、ここは正直「知らん知らん!知れん知れん!問いかけてくるな!」と思ってしまった。
主人公は良い男で悪役は100%完全に悪い奴なので、普通に良い奴が悪い奴を倒しただけで問題なさすぎるというか‥、ラストの展開も日頃の行いが返って来て二人の運命を分けただけというか、、一切、問いかけてくる必要性が感じられないのは俺だけでしょうか。
殺人の追憶」みたいに「お前はどうだ!?」って感じがきまらない。
この映画は本来70~90年代にジョン・カーペンターイーストウッドが撮ってたようなB級映画なんだと思うんだけど、それを上映時間を長くしたり色々と飾り立てて、まるで崇高なテーマや奥深さがあるかのように見せかけてる映画‥というノーランの映画みたいなものを感じた(ちなみにB級映画って悪い意味で使われがちだけど違いますからね。。B級映画→短期間の撮影、低予算で、上映時間も限定されたなかで製作された映画のこと。。個人的には大作よりB級映画方が好きです)
面白いんだからデカく見せようとしなくてもいいのに、と個人的には思うんですがディカプリオが賞を取れたのも大作然とした映画のルックのおかげなんだろうから別にこれでよかったのかもしれません

そんな感じでした

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レヴェナント 蘇えりし者 (ハヤカワ文庫NV)

レヴェナント 蘇えりし者 (ハヤカワ文庫NV)

 

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