gock221B

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「残穢【ざんえ】住んではいけない部屋 (2015)」途中まで名作だったが最後の数分で全て台無しにして終わった🏢

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監督:中村義洋 製作国:日本 上映時間:107分

 

主人公は、読者から募集した怪談を短編小説にしている小説家「私」竹内結子)。
昨年末、ネット配信してた「鬼談百景(2015-2016)」は、送られてきた怪談を本作の主人公「私」(竹内結子)が本にしたというスピンオフだった(だから「鬼談百景」は竹内結子がナレーションしていた)。
※「鬼談百景」の百話目が本作「残穢」だそうです
ネタバレあり

 

 

Story
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怪談雑誌で読者の体験談をもとにした短編を連載している小説家の「」(竹内結子)は、ある日、読者の女子大生「久保さん」(橋本愛)から「今住んでいる部屋で奇妙な音がする」という手紙を受け取る。
興味を持った「私」は「久保さん」と連絡をとり、一緒に調査を開始する。
すると、そのマンションでは他にも不思議と人が居着かない部屋が存在した。
しかも過去の住人達が引っ越し先で不可解な死に遭遇するケースがたびたび起こっていた事も分かってくる。
そこで「私」と久保さんは更に調査を進めていくのだったが――

 

 

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怪談実話を連載している小説家の主人公「私」(竹内結子の元に読者の女子大生「久保さん」(橋本愛)から「自分の住んでいる部屋で、たまに布と畳がこすれる音がする。振り返っても誰もいない」というメールが来る。
2人は会って、共に調査を進める。
「布が畳にこすれる音‥っていうのは着物着た女が首つり自殺して着物がこすれる音だと思うんです」と、ミステリー研究会にいただけあって想像力豊かな橋本愛
そして、それを「ナルホドね~」と素直に受け入れて調査に参加する竹内結子も、冷静に考えると一風変った女性だ。
きっと二人とも不思議な事が好きなんだろう、僕は二人に好感を持って引き込まれた。
橋本愛の住むマンションでは、すぐに引っ越してしまう人が続出したり、よそへ引っ越した元マンション住人が不審な死を遂げたりしている。
橋本愛も怖くなって他所へ引っ越す。
不審死を調べ、更にその原因となったらしき事を調べ‥と、どんどん辿って調べていくうちに、その死はどうやら過去から続いている繋がりが原因では?という感じになっていく。
竹内結子が知らない間に短編小説にまとめて発表していた鬼談百景」へも繋がっていたりする。
「一見、無関係に思える色ん出来事が実は全て繋がっており、自分達にも繋がっていた」
正に「『祟り』とは何かを論理的に具現化したもの」って感じで凄く面白い。
Jホラー的な幽霊が出たり怪異が起きたりしても、それらは全て夢やイメージ映像で「この映画は従来の幽霊がモロに出るJホラーから次の段階に行った新しいもの」という感じを打ちだしているし実際にめちゃくちゃ面白い。

 

 

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ざっくり言うと、土地や建物そして伝承そのものに穢れ(けがれ)があり、それが長年に渡って関係する人たち全てに伝播していき、その穢れが伝染病の様に人々の間を伝って現在に至っている。。
という話で「直接に幽霊や怪異を描かず、現実的に祟りを表現する」というコンセプトは凄くよくて「これは事故物件ミステリーホラーという新しいジャンルの誕生か?」とワクワクしていたが、最後に全て台無しになった。
ざっくり言うと幽霊を出してしまう。
僕は幽霊が出てくるJホラー大好きだが、本作に限っては幽霊を出したら駄目だ。前半で積み上げた面白さなどが全てどうでもよくなる。
あと少しで映画が終わる終盤、竹内結子が「首の不調は祟りじゃなく只の体調不良だった」と語ったり各人のその後を語り終えた後、竹内結子の家にも「いまなんじですか?」と訊いて電話回線が乱れるという怖い電話がかかってくる、そして竹内結子の家のセンサー付き照明が勝手に点く‥、そして編集部の文章作成ソフトがバグって「聞いても祟られる」と表示される。なんと関わってしまうだけで祟られてしまう案件だったのだ。そしてこれを本にするという事は日本中が祟られる?‥という「呪怨」と「リング」を合わせたような良くない予感を感じさせる‥。
ここで終わればまだ名作だった。
だが、その後その編集部にいた編集の前に炭鉱の霊が現れて襲われる。
「これ要らんなぁ」と呆れていると、更に事故物件にわざと住む若者の部屋にも首吊りババアの霊がダメ押しで現れて終わる。何だか失敗を取り返そうと更なる失敗を重ねる様を映像化したかのようだ。
前半の「自殺した入居者が大家さんに謝罪しに来る」とか「炭鉱で死んだ者の黒い霊」などの場面は、夢や空想かわからないっていう感じで描いてたので別にいいのだが最後のショボいCGモロ幽霊連打はかなりガッカリさせられた。
折角ここまでの丁寧な描写で、どんな人にも起こりうる現実的な怖さで怖かったのに、最後にモロ幽霊をバンバン出したことによって非現実性が増して「ひょっとして私のアパートも‥?」という怖さが激減してしまった。
最初から幽霊が出るJホラーならそれでもいいのだが(というか僕も幽霊は好きだし)本作は、物件の怖さを描いてきたのに最後に幽霊出しちゃダメだろう。
そのまま終わってればそれだけで良かったのに、わざわざ要らん幽霊出して自らダメにしてるのが間抜けすぎる。
美味そうな料理を作ってくれたのに「ちょっと食べるの待って」と言ってシロップを上からブチューとかけて出されたような感じ。
百歩譲って映画版「リング」のラストで原作にはないクライマックス‥「貞子がTVから本当に出てくる」場面くらい革新的なシーンだったら逆に「穢れの可視化だ!」と称賛できた気がするが、こんなショボくて怖くもなんともない幽霊が出てきても怖くもないし丁寧に描いてきた価値あるものを自らブチ壊した感じで残念な気持ちになった。
そんな感じで前半は傑作→中盤はまあまあ名作→後半はクソ‥って感じの流れで、総合すると「まあまあだね」という印象になった。
読んでないけど、多分この映画よりも原作を読んだ方がずっと面白いと思う。



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まず竹内結子演じる主人公の人妻ホラー作家。原作読んでないので推測だが、このキャラは多分作者の分身だろうし恐らく特にキャラ立ちしてるでもない「普通の中年女性」というキャラなんだろう。何しろキャラの名前が「私」だし。
竹内結子は眼鏡にボサボサ頭にモサい服装で「普通のオバサン作家」を演じている。
美人が映画で地味女を演じると異常に可愛く見えるので「普通の中年女性」ではなく「異常に美人なのに地味な格好をしている中年女性」という、意図してないキャラ立ち現象が起きている。
女性からしたら「美人が地味な格好して『地味な女性でござい』なんて反則だろ!」と思うかもしれないが僕は男性なのでただただ「可愛い~」と思っただけだ。
そういえばホラーの竹内結子いえばJホラーの傑作「リング」の素晴らしい序盤で、貞子に呪い殺される女子高生「親戚のともちゃん」を演じてたね。
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ちなみに、その時一緒に居た「ともちゃん」の親友女子高生を演じてたのは最近、女優だけじゃなくて大酒飲んだりダイエットしたりして人気のタレントでもある佐藤仁美。
細かい話だけど、この映画のポスターとかだと、竹内結子が常にかけてる眼鏡を外してるので主人公じゃなくて只の竹内結子が写ってるという事になる。眼鏡を外すな

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それと橋本愛も可愛かった。
10代の時のお人形さんみたいな美少女の時は興味なかったが、太ったり痩せたりを繰り返してるうちに人間味を感じさせるようになって、非現実的な美少女だった時よりも今の方が魅力を感じる。



そんな感じでした

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残穢(ざんえ) (新潮文庫)

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