gock221B

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『893(ヤクザ)タクシー』(1994)/やとわれ仕事ゆえのエンタメ性と縛られた中での製作の姿勢 🚕

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監督:黒沢清 製作国:日本 上映時間:79分 ※オリジナルビデオ


詐欺に引っ掛かり1億円の手形を握られた田中タクシー。
猪鹿組の親分は、幼馴染みが経営していたが今は娘の加奈子(森崎めぐみ)とタクシー運転手一人しかいない田中タクシーを救うために組員たち(主人公・豊原功補とか寺島進)を社員として送り込む。ヤクザたちはタクシー運転手となって奮闘する。
最初は不真面目だった主人公ヤクザも、加奈子と運ちゃんの真摯さに打たれたのか心を入れ替えてタクシー運転手に励む。
しかし悪徳警官(諏訪太朗)たち悪者はあの手この手で妨害してくる。。


という話。
ヒロインの加奈子は道徳的模範的に正しく、不真面目な主人公を叱る(これが後半のフリになっている)
GETはしていたが観ないまま10年経った(いくら黒沢監督といえど豊原功補主演の「ヤクザタクシー」とか観る気がなかなか起きなかった
だが実際観ると古き良き邦画コメディみたいで面白かった。
他にも大杉漣も出てる。調べたわけではないが悪者の百貫デブは、CUREに出ていた精神科医の百貫デブなんじゃないだろうか。

タクシー会社の内装は、だだっ広い部屋の隅っこでもない絶妙の位置に机を置いてあり物は整然と並んでいるといういつもの黒沢映画美術でよかった。
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他にも口喧嘩をしていて、クッションをボーンと投げたらクッションは予め裂けてあって、中の羽毛が舞い散って主人公の焦燥感を表現してるのが、らしかった。

こうして観るとどこか西遊記っぽい話だなと思った。
主人公が悟空、ヒロイン加奈子は三蔵、寺島進たちは沙悟浄猪八戒、さしずめ敵の百貫デブは牛魔王諏訪太朗はその手下か。
黒沢監督の回想によれば、元の脚本にあった「やくざの仁義」の要素が邪魔なので削除したそうだ(仁義なんてものは存在しないしそれが世間の常識になっているから)。それでアメリカのアウトローたちのコメディ映画みたいにしたらしい。
やとわれ監督仕事なので黒沢清っぽいテイストは少ないかな‥と思ってたけどかなり出てた。
ファンなので作家性全開の映画の方が好きだが、さっき観た「復讐」同様、やとわれ仕事ゆえの最初から最後までエンターテイメントに徹して爽やかに終わる感じが、男の仕事っぽくてカッコいいと感じた(まあ男女共に、自由であるより制限がある中で闘う姿の方がセクシーですしね)作家性全開のものと同時に、こういうのも観たいなと思った(例えば漫画原作映画とかアイドル映画とか‥)。
監督の奥さんの談によれば、これの次のVシネ作品「打鐘 男たちの激情(1994)」が監督の最高傑作らしい?が、それはどこにもないので未だに観た事ない。


そんな感じでした

「岸辺の旅 (2015)」幽霊が黄泉平坂で宇宙の終りと始まりを語る場面に感動👫👻 - gock221B

「復讐 運命の訪問者 (1997)」監督の作品の中でもエンターテイメント性が高い映画でした🔫 - gock221B

「クリーピー 偽りの隣人(2016)」黒沢清/大変な怪作だが毒気にあてられすぎてか好きになれなかった🏠🏡 - gock221B

「ドレミファ娘の血は騒ぐ(1985)」洞口依子の可愛らしさと大学のフワフワした感じ👩 - gock221B

「散歩する侵略者 (2017)」理由はよく分からんが黒沢映画の壊れた夫婦もの観ると物凄く胸に来る👉 - gock221B

「予兆 散歩する侵略者 劇場版 (2017)」黒沢清/本編の方は愛の話だったが、こっちは〈心の弱さ=悪〉という闘いがメイン 👉 - gock221B

「ダゲレオタイプの女 (2016)」本作のあらすじ同様、現実世界から隔絶されたような黒沢幽霊映画inパリ👱‍♀️📷👱‍♀️ - gock221B

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