gock221B

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「卑弥呼 (1974)」 古代日本でもアイドルは恋愛禁止だった

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監督:篠田正浩 製作国:日本 上映時間:100分

何年か前、友達に「若い時の岩下志麻って美人だね」と話していたらくださったもの
確かに美人な‥気がする‥気がするというのはどういうことかというと全編白塗りで、殆どの出番で彼女の様子がおかしいので美人かどうかという以前にマリリン・マンソンみたいに見えてくる。

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ちなみにこの監督は岩下志麻の夫。
前衛的な作風でカンヌ国際映画祭パルム・ドールにノミネートされたそうです。

倭国(古代の日本)、神懸かりして神の声が聴ける邪馬台国の巫女兼女王・卑弥呼岩下志麻)。そしてそれを補佐する老人ナシメ(三國連太郎)。
それにしても神懸かりって何なんですかね。。
広い目で国の空気を読んで皆が指示して欲しがってる事を代弁する事だろうか?
それをカリスマ的な人物がトランス状態で言う事で説得力を増す事だろうか。
とにかく神の声の代弁によって卑弥呼は権力を得るが、代わりに自由は無い。
神懸かりになった卑弥呼は悶えた後、神の言葉として国の方針を伝える。
彼女を始めとする権力者が住む建物の中は、スタジオに作られたモダンなセットの中で行われる。光を当てまくって凄く濃い影が出来ておりアーティスティック。
台詞や演技も大仰で、何かが起きる時も具体的ではなく非常に象徴的な描写がされていて、全体的に凄く舞台演劇っぽい。
しかも土方巽が率いる暗黒舞踏の人達が多く出てきて要所要所で妖しい舞踏を見せるし。
彼らは国の精霊みたいな超自然的存在か?とか思っていたが、どうやら他の国の民らしいと今ネットで検索して読んで初めて知った。
卑弥呼は遠い国に行っていた異母弟のタケヒコ(草刈正雄)を帰国させる。
イケメンに成長したタケヒコを見た卑弥呼は一瞬でメスの顔と声になってしまう。
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まあ草刈正雄はイケメンすぎるので仕方ないだろう。二人は即SEXする。
「巫女に男がいては神の声が聴けなくなる!」と異を唱える国の長オオキミ。
1826年前の古代日本でもアイドルは恋愛禁止だった?
しかし普通のアイドルとは違い、卑弥呼は権力を持ったアイドル。
彼女は、自分たちの性愛とタケヒコをディスったオオキミ一派を生き埋めで皆殺しにする。
次に、タケヒコの別のガールフレンドの巫女アダヒメもタケヒコに告白。
即SEXする。
2人とも全裸で荒野の真ん中で後背位の姿勢で静止している。
「二人の交際は国の者には知れわたっていた」という事の表現なのか?

タケヒコに夢中な卑弥呼は当然、嫉妬で激怒する。
ちなみに卑弥呼は普段「ちょっと塗ってますね‥」程度の白塗りだが、激怒した卑弥呼は顔が真っ白になる。
人間性から遠のくほどに顔が白くなるのでわかりやすい。
彼女が妻だとして、食卓で「今日の卑弥呼、機嫌が悪いな‥」と思って顔を上げたら彼女の顔が真っ白になってると思うと怖いな。怖いがそれはそれでエロい気がする。感情が可視化されるというのはエロにつながる。
異性と結婚や同棲してる時に考えてる事を口にせず、怒った時に般若の面、性欲が高まった時に天狗面、自分は嘘をついてますよとあえて言いたい時に狐の面、「一言で言い表せない気持ち」の時に能面とかを被って感情を表現したら凄くエロいだろうなとよく妄想する(しかし実際にやったら只怖いだけだろうという気もする)
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タケヒコは両手の爪を剥がされ顔に刺青を彫られて訳のわからん舞踏を踊られて国外追放される。
優柔不断な態度が招いた身の破滅だ。
ちょっと反対意見を言っただけのオオキミ一派が皆殺しにされたんだから、他の女と仲良くしてたらどうなるかわかりそうなものだが。。
まあタケヒコにとってはアダヒメが本命で卑弥呼はセフレだったような雰囲気。
タケヒコに罰を与えて追放した卑弥呼だったが、タケヒコに未練がありすぎるのか巫女の仕事をしていても「タケヒコの‥間違えた神の言葉である。。タケヒコはまたこの国にやってくるであろう凄い感じになって‥タケヒコが‥」という感じで、幹部は「タケヒコばっかりやん!ちゃんと神の言葉伝えて?」と怒られる。
タケヒコとアダヒメはお告げ通り、攻め込んで来るが返り討ちにされる。
このタケヒコが無数の矢で射られて絶命する場面。凄く幼少期にTVで観た事あるわ。怖い!と思ってトラウマで「あれ何だったんだろう」とずっと疑問だったが、この映画だとわかったのはよかった。
幼い時に、TVでやたらとATG系の映画をTVでやっていた。前衛的なシーンや人がキチガイになったり死ぬ場面ばかりで厭な気分にされてたが濡れ場が見たいので我慢してこっそり見ていた。
このタケヒコ&アダヒメの場面、まるで二人だけで攻めてきたように見えるんだけど、実は軍勢で攻め込んで来てたらしい。というのは映画サイトのストーリー紹介を今読んで知った。
この映画ではまるで二人だけで攻め込んで来て、数人に撃退されたように見えた。
本作の各描写は具体的な描写ではなく全体的にゲージュツ的な演出がされているのでこういう勘違いが多かった。
卑弥呼も暗殺されてしまうが、死ぬ瞬間に白塗りじゃなくなる。
権力や生の消失と顔の白さが連動しているのか。
卑弥呼の後釜には、新たな少女の巫女が就くが、それらはどうやら従者ナシメ(三国廉太郎)が陰で暗躍していたせいだったようだ。かと思うとナシメは自分が暗殺しといて卑弥呼が恋しくなって嘆きながら森を彷徨う、何なんだよ何がしたいんだよこのジジイ‥心情が全く理解できないし、その内心を窺い知ろうという気がそもそも一切湧いてこないジジイだ。その森はカメラが引いていくと映画公開時の現代日本の奈良の古墳だったというラストカットに憂鬱なシンセサイザーが流れて終わる。腹立つ演出だな~

せっかくの岩下志麻主演で卑弥呼本人にも興味あったが、何だか卑弥呼の出演時間が10分くらいしかないように感じられた。すぐ嫉妬したりすぐ殺すところは可愛かったが、このキャラあまり魅力ないですね。。というか素顔で普通に喋ってる普段の岩下志麻の方がカリスマ性あると思うのは俺だけか。
別に「卑弥呼や国の人が右往左往しているのは下世話な事だった。そしてそれは現在までずっと同じだというオチ」というのは好みなんだけど、何か卑弥呼が神懸かりなのに暗黒舞踏の人がウロウロしてるのも「神懸かりの奴なんか野にいっぱいいるやん」と思って卑弥呼の貴重性が散ってしまう感があった。
三角関係→こじれて争い→卑弥呼暗殺。とストーリーが単純すぎるのがいけないのかな?日本昔ばなしなら5分で終わりそうな内容だし。いやターミネーターなんかシュワが追いかけてくるだけだから単純でもいいんだ。やはり過程が気に入らなかっただけか
思うんだけど卑弥呼がカリスマ性を出してたのは最初の3分くらいのアバンだけで、10分くらいですぐ恋に落ちて残りの映画の大半では只の色ボケババアになってしまったのが良くないと思う。映画の前半‥少なくとも第一幕までは「カリスマ性があって強くて美人でカッコいい卑弥呼」を見せた方が終盤やオチの魅力も出たんじゃないだろうか。まあどうでもいい
とにかく内容よりも友達がくれた映画をやっと最後まで観たという事が出来た事自体が良かった

そんな感じでした

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