gock221B

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『ドレミファ娘の血は騒ぐ』(1985)/洞口依子の可愛らしさと大学のフワフワした感じ👩

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監督:黒沢清 製作国:日本 上映時間:80分

 

GYAO!でドレミファ娘を配信してたので観た。
これはちゃんと観てなかった。
黒沢監督は好きなので長編、短編、可能なものは出来る限り観てるが、正直言って本当の本当に心の底から好きなのは「CURE(1997)」から「叫(2006)」くらいまでの期間だと最近気づいた。
要は幽霊や役所広司が活躍していた2000年代のものがドストライクという感じ。
このドレミファ娘は昔ちょっと観た事はあるが、観てもらえばわかるがあまりにも味が濃いのでなかなかちゃんと観る気にならなかった。

本作は「黒沢清の映画術(2006)」によると
商業映画デビュー作、にっかつロマンポルノの神田川淫乱戦争(1983)」の半年後に、一千万円くらいの低予算で撮らないか?と言われて撮ったらしい。
元々は「女子大生・恥ずかしゼミナール」というタイトルのにっかつロマンポルノだったがオクラになって、それを商業用に撮り足して再編集した作品。
監督は当時イケイケだったらしく、やりたい放題やった模様。
東京の街を撮りたくないので劇中、大学から一歩も出ない(更に大学の外は海になっていて物理的にも出れない)
伊丹十三黒沢清がラブレターを出して主演依頼し、主演の洞口依子は当時グラビアイドルでオーディションに来たが1人だけ暗くてニコリともしないのが気になってたら好きな映画はゴダールと言うので即採用したという少年のような黒沢清。演技経験がゼロなのにリハーサルすると抜群に良くて驚いたらしい(いわゆる天才というやつか)

story
主人公の少女・秋子(洞口依子)は、高校時代の憧れだった先輩・吉岡くん(加藤賢崇)を探して田舎から上京して来る。
気立てのいいヤリマン女子大生・エミ(麻生うさぎ)と知り合ってキャンパスを案内してもらううちに秋子は遂に吉岡を見つける。
しかし吉岡くんはキャンパスライフによって、すっかり軟派ヤリチンなダメ人間になっており秋子は幻滅。。
傷心の秋子は故郷に帰ろうとするが心理学者の平山教授(伊丹十三)に呼び止められ、教授独自の「恥じらい理論」を完成させるための実験台となる‥


概要
みたいな話、、だが正直ストーリーはどうでもいいのだと思われる。
前田敦子のシングルのMVとして撮影されたものを中編映画に仕上げた「Seventh Code セブンス・コード (2013)」と殆ど同じストーリーだと言える。
映画を撮りたさすぎる黒沢監督や助監督&脚本の万田邦敏やその他の仲間たちのエネルギーが炸裂してる様を観るものだろうと思った。
画面の至るところに設置された、わざとらしい赤い布や赤い物。
メッセージボードを持ったカメラ目線のヘルメット被った出演者たち。
ポスターの目の部分を破って中の人が覗く場面。。
等々、あまりにもゴダールっぽいものを撮ろうとする気合が凄い。
今まで、あまり観る気になれなかったのはこういう部分かもしれない。
実際、映画好きな友達と話してたりすると「初期の黒沢清監督作品を観ると凄く恥ずくなる」みたいな会話もよくあった。本作はその最たるものだろう。
だけど、時代や自分自身の内部が数周したおかげで別に全然恥ずかしくなく観れた。
でも、主演の洞口依子さんは「80年代の濃い邦画のアイコン‥の一人」という印象が強く(特に伊丹十三監督でもお馴染み)、だから本作は90年代や2000年代に観ようとしたら「うわ、恥ずかしい恥ずかしい!」と感じて観れなかった。
当然、それは黒沢監督が悪いのではなく自分の中の問題だ。
それと、伊丹十三を見るとどうしても頭の中に、
伊丹十三監督が出ていて相変わらず劇画タッチの男前で素人ばっかの役者陣の中で本作に箔をつけていたが、黒沢監督と伊丹監督というと「スウィートホーム」をめぐる泥沼の裁判や、黒い噂が囁かれる伊丹監督の謎の投身自殺、そして80年代は時代の寵児として扱われてたのに死んだ途端に扱われなくなった伊丹監督‥等の社会の暗い要素が頭の中に浮かんできて、悲しいような切ないような複雑な気持ちになるのであまり観たくなかったという理由もある。
加藤賢崇演じる主人公が好きな男子・吉岡君は非常にチャラチャラしていて、それでいて女が自分の思い通りにならないと見るや嫌がらせを始める‥という黒沢映画によく出てきがちな「嫌な男子」だった。たぶん黒沢清の中の悪い清なんだろうね

洞口依子
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ヒロインの洞口依子は80年代の文系ミューズってイメージあるが実際、文系女子とかサブカル女子がこんなルックスになりたいと思いそうなルックスで可愛かった。
痩せてて、目でかすぎ口が小さすぎ。
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時代が3週して凄くお洒落だし
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このジャケット凄くかわいいね。

探し当てた憧れの男子・吉岡君がヤリマンのエミとFUCKしてるところを見つけた彼女は、怒りの表情を見せる。
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具体的に言うと、彼女は通常通りの無表情のままなので逆光にする事で無理やり怒りを表現していた
かわいいね
彼女の黒沢清映画出演は「地獄の警備員」で主人公の妻。「勝手にしやがれ!!」シリーズ。「CURE」では殺人催眠術にかかって男たちの顔を剥ぐ女医。「ニンゲン合格」でウクレレひいたり変なマシンに乗った女性役(かわいい)。刺されて殺されてしまう「カリスマ」が最後の出演作。

 

麻生うさぎとかいう女優
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洞口依子が可愛いのは皆知ってる事ではあるが、脇役のヤリマン女子大生エミ麻生うさぎが意外と魅力あって好きだった。
彼女は演技めちゃくちゃ下手だし、最初見た時は「何なんだこのブスは‥」と思ったが、見ていくうちにどんどん可愛く見えてくる。
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というか、よく見たらスタイルもいいし表情も豊か
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だから何というか親しみやすい。
「小劇団にいる気立てのいい女優」みたいな
「昔の彼女」みたいな「タイムスリップして会った過去の親族」みたいな不思議な親近感がある。
しかも今の時代ならありがちな「私なんて‥」っていう自己評価の低さが一切なく奔放に過ごしているのが魅力。そこらじゅうでFUCKしたりオナニーをぶちかましている。
電気グルーヴ少年ヤング」のMVは、現代の各事務所にいる可愛いモデル達に80年代メイクを施したら、皆ブスに見えた。という事があった

www.youtube.com

だから彼女も現代風のメイクやファッションや現在の態度させたら、かなり可愛いはず(同様に80年代のキツいメイクやファッションでも可愛かった河合奈保子中山美穂や当時のアイドル達も、現代風の恰好させたらめちゃくちゃ可愛いんだろうな)
本作にはクラスメート役でもっとあからさまな美人もいるのだが、その美人よりも彼女の方がずっと魅力的だった。
本作は最初、日活ロマンポルノ作品として作られたので何回かの濡れ場やオナニーシーンを挿入する必要があり、本作が製作できた縁の下の力持ち的な役割りも担っている。
という諸々の理由で、洞口依子がヒロインで、彼女は裏のヒロインと言える。
「この人いったい誰なんだろう」と思って調べたら日活ロマンポルノの女優らしい。
そして本作が25歳にして女優最後の作品で、2012年に52歳という若さで大腸癌でお亡くなりになった模様。

それからどしたの
「恥じらいの研究」をしてる伊丹十三は‥まあEDの処女厨みたいなものなんだろう。
ちなみに彼はSEX機械を通じて実は処女じゃなかったヒロインと交わって死亡する。
ラストで男子学生に「ここにいませんか?楽しいですよ」と言われた洞口依子は微笑んで首を振る。
元の「女子大生・恥ずかしゼミナール」はここがラストシーンだったらしいが、実際ここで終わりにした方が綺麗だったのではないだろうか。
その後、生徒たちは草むらでモデルガン?による銃撃戦が行われ主人公を残して全員死ぬという謎のシーンと主に終わる。
よくわからないがモラトリアムな感じや、彼らが社会に出た後の苦難を連想させるシーン‥なのかな?
本作は、大学生らしさ‥それもチャラチャラした一般大学生じゃなく、そこそこ偏差値の高い芸大や文系などのインテリ学生がフワフワしてる雰囲気がめっちゃ出ていた。
そんな感じで思ってたより楽しかった。
昔感じた恥ずかしさは自分の中から消えており瑞々しい映画として観れた。黒沢監督の人柄が出てどことなく可愛らしいし。
黒沢清、長編短編合わせてあらかた観たな。
観てないのは「神田川淫乱戦争(1983)」くらいか。まあ、そのうち観よう

そんな感じでした

「岸辺の旅 (2015)」幽霊が黄泉平坂で宇宙の終りと始まりを語る場面に感動👫👻 - gock221B

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「893(ヤクザ)タクシー (1994)」 縛られた中での製作の姿勢を感じました🚕 - gock221B

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「ドレミファ娘の血は騒ぐ(1985)」洞口依子の可愛らしさと大学のフワフワした感じ👩 - gock221B

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「予兆 散歩する侵略者 劇場版 (2017)」本編の方は愛の話だったが、こっちは〈心の弱さ=悪〉という闘いがメイン 👉 - gock221B

「ダゲレオタイプの女 (2016)」本作のあらすじ同様、現実世界から隔絶されたような黒沢幽霊映画inパリ👱‍♀️📷👱‍♀️ - gock221B

 

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