gock221B

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『ダークタワー』(2017)/異世界で屈強な黒人と‥。全体的にかなり面白くないが終わり方だけ異常に良い映画🏢

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原題:The Dark Tower 製作国:アメリカ 上映時間:95分
監督:ニコライ・アーセル 原作:スティーヴン・キング

 

 


スティーブン・キングの大長編「ダークタワー」の一巻目「ガンスリンガー」を映画化したもの。
スティーブン・キングの作品は繋がっていて同一世界を共有しているものが多い。
たとえば映画化されたものだと昨年大ヒットした「IT」と「ドリームキャッチャー」は同じ町だったりする(しかし映画の世界は制作会社が違うと同じ世界にはできないので本作には関係ない。だからこれは只のダークファンタジー映画)
それら多くのキング作品群のレイヤー1枚ぶん上に存在する異世界「中間世界」が舞台。DCやMARVELのマルチバースみたいなもんか。日本の漫画だと永井豪の「バイオレンス・ジャック」か。
ダーク・タワー」は、この映画になった「ガンスリンガー」部分だけ中学生くらいの時に読んだが「何か掴みどころないな‥」とピンと来なかった。ついでにキング自体も読まなくなってしまった
この映画もそんな原作の思い出に似た、掴みどころのない感じだった。
ちなみに本作は興行的にコケた上に低評価なので続編も作られないだろう。
割とネタバレしています

 

 

 

Story
ニューヨーク。少年ジェイクは毎夜同じ夢にうなされていた。
異界巨大な塔ガンスリンガー(拳銃使い)。黒衣の魔道士。偽の人間達。
ジェイクはある日、夢で見た異界「中間世界」と繋がっているゲートを発見し、連日の悪夢が自分の妄想ではなく本当だったことに気付く。
ゲートを超えて中間世界を訪れたジェイクは、夢で見ていたガンスリンガーローランドイドリス・エルバ)に出会う。
彼は世界のバランスを保つ塔「ダークタワー」の最後の守護者であり、タワーを破壊して世界に混沌をもたらそうと目論む黒衣の男マシュー・マコノヒー)を倒すための旅を続けていた。
一方、少年ジェイクこそが唯一タワーを破壊できる超能力を秘めた存在であることに気づいた黒衣の男は、ジェイクを追うが――

 

 

 

背景は壮大な話なんだが、装飾を取っ払って骨組みだけにすると
「2人のオッサンが少年を取り合う映画」ということになる。
マシュー・マコノヒーはボスキャラなのだが配下のニセ人間たちが弱すぎるので殆ど彼一人が全部やっている。そう考えると「レオン」みたいな映画だとわかる。
流れとしては指輪物語と西部劇とマイティ・ソーを足したような話。
ガンスリンガーと少年がお互いの世界を行き来してカルチャーギャップを受けながら、父を失った2人がお互いの信頼を深めていって擬似父子になる感じ。

🏢これはスティーヴン・キングが十代の頃から妄想していたファンタジーらしい。
ジョージ・ルーカスにとってのスター・ウォーズみたいなもの
ジェイクを「私」だと思って観てみると
「自分だけ知覚できてて自分だけ往来できる上位の異世界
「街の大人たちは皮をかぶったニセの人間」
「自分を大事にしない親は、それを糾弾されて殺される」
「自分は全ての多次元世界にとって重要な超能力を持っている」
「自分にだけ心を開くカッコいい戦士と助けあって旅をする」
‥などという男児っぽい妄想が実は全て現実だった!‥という感じの話。
いかにも冴えない少年が考えそうな妄想で、何だか抱きしめたくなる。
ガンスリンガー役の黒人俳優は「マイティ・ソー」のヘイムダル役の人だった。
この人が普通の格好してるの初めて見たが顔と体格がカッコよすぎてヤバい。
黒衣の男は超強くて、話しかけるだけで相手は死ぬし銃弾も掴み取れる。
だけど肉体の頑強さは常人レベル。
いい塩梅の強さだね!無敵の強さを誇るが一瞬で殺されることもできる。
好みの強さだ
対するガンスリンガーは拳銃が超上手いだけの男。
超高速でリロードしたり目を閉じて心眼で遠くの敵を撃ったりする。
扱ってる銃は現実のリボルバーと大差ないのに地味に人間離れした技術を持ってるという微妙な設定。
これらの地味さは結構好みだ。
そんな序盤は楽しかったが、

🏢中間世界に行ったジェイクがガンスリンガーと旅する中盤かなり退屈だった。
はっきし言って、この「中間世界」とやらの魅力や説得力が全然ない。
中間世界は西部開拓時代のアメリカそっくりの世界。
だけど黒衣の男たち悪役サイドにはオーバーテクノロジーを駆使した機械がある。
たぶん黒衣の男は別のマルチバースに自由に行けるようなので色んな世界から奪ったものなんだろう。「バイオショック・インフィニット」みたいに
そしてモンスターがいて魔術や超能力も存在する。
異世界に行く映画は、その異世界が凄く面白い場所だったり面白い事が起きないと厳しいものがある。たとえば「マイティ・ソー」最初の二作も地球での描写は楽しいがアスガルドの場面はかなり退屈だった。いや、アスガルドは凝ってたのでまだいいが本作の中間世界そのものがかなりつまらなかった。
しかも全然、異界には見えない。「超・地球じゃん。しかも大昔の田舎の‥」としか思えない。というか現実の上位世界なのに何で文化レベルが現実より低いの?「魔法があるから」という事かもしれないが黒衣の男しか使えないし、ただのショボい世界ですよね。
そんな世界で貧乏くさいボロ屋が並んで陰鬱な顔した人達が弱りきっている。
この中間世界では説明台詞などの義務的な段取りが進み、凄くつまらない。
「もういいんじゃない?マシュー・マコノヒーの好きなようにさせてやれば‥」という気持ちになってくる
村には「アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン」で、アベンジャーズに混じってパーティの二次会で飲んでるのを見て「お前はこのメンツに入れる格じゃないだろ!一次会で帰れ」と腹立ったチョ博士役だった韓国人女優が出ていた。村の預言者役。かなり喋っていた。この女優さんは何者かにめっちゃ推されてるな。
彼女や村人たちが会話してる部分はめちゃくちゃ眠くなってしまい、眼は開けていたものの面白くないので子供の頃の思い出を思い出したり家賃の工面について思考を巡らせ始めてたので彼女が何を言っていたのかよく聞いていなかった。覚えてないので具体的にどうつまらなかったのか書けないのが残念だが確か、映画を見てたら聞かなくても想像つくような事をわざわざ口で全部説明してた気がする。
「何で自分はここに座って観ているのか」「そもそも俺って映画が本当に好きなのか?」「やる事が他にないから観てるだけでは?」などと自分自身の存在意義まで疑い始め、危険を感じたので思考を急停止してしまうほど退屈だった。
もしタイムリープして同じ時間を繰り返さなければならなくなったら俺は一旦、通路に出て10分間コーラ飲んだりポケ森や「欅のキセキ」などのスマホゲームをプレイしてレベルを上げたり‥といった有意義な時間を過ごしてまた中に入ろう、と思った。いや、タイムリープしたなら違う映画観ればいいのか‥いや!タイムリープするのが決まってるのなら競馬の当たりを覚えといて大儲けすればいいのか‥そういう話じゃなかった。全然関係ない話してるぞ
話を元に戻そう
そこそこ面白い序盤から、つまらない中盤への飛躍はなかなかのものだった。
後半、ガンスリンガーとジェイクが再び、現実のニューヨークに来たら若干面白くなった。
この中盤のつまらなさによる高低差が激しかった。
序盤:42点/100点満点中
中盤: 8点
後半:48点
これくらい高低差がある
中間世界で出会った2人はさっさとニョーヨークに返ってくればよかったのに。

ニューヨークでの後半は展開ではアクションが多めになり、ガンスリンガーの親父→ガンスリンガー→ジェイク、という疑似父子としての絆も生まれたし超高速リロード&超跳弾による不思議なガンアクションも珍しかったし後半は結構楽しかった。
中間世界の描写を減らしてアクションを増やせばよかったのに。
それにしてもジャッキー・アール・ヘイリー演じる中ボスとの戦闘中、中ボスが死ぬ理由が「全然関係ない奴のクルマに轢かれる」というのもどうなんだ。
あとラストバトルの後、ガンスリンガーがニューヨークからゲートを通じて敵の基地のどこかを撃ったら連鎖反応で超巨大な敵の基地が大爆発して大全滅したのがめちゃくちゃ面白かった。
近年のアメリカ映画は、ピンポイントを撃つと連鎖して大爆発するデススター式の終わり方が多い。まあわかりやすいので別に構わないが、この基地大爆発はさすがに爆笑しそうになった。ガンスリンガーの銃弾って只の銃弾だよ?敵の基地、全ての柱や建材や機械に火薬が詰まっとるんか?
そして最後、映画は2人がボソボソ喋りながら物陰で「シュボッ‥!」と終わる。
この終わり方は凄い。普通ファンタジー映画がこんな終わり方する?笑
普通だったら「ダークタワーを守りながらクリムゾンキングを倒すぞ!」って感じの決意の表情を見せる2人をからカメラがパンしてダークタワー全景を見せて闇に飛んでってクリムゾンキングの姿がちょっと見えて終わり‥、普通だったらこれで終わりだろう。それがシュボッ‥!て‥。これがそこそこ金かかった映画の終わりだろうか。
「ドクター・フー」とかのとある一話の終わりみたいだ
観てみるとわかると思うが、少しびっくりすると思う。
よくこんな思い切った終わり方したなぁと驚いた。
この終わり方はかなり好きだ。
シュボッ‥!が何なのか、ネタバレしても別にいいけど字で読んでも伝わらんからやめとくわ。
これは僕と観た方だけの秘密としておこう。

お世辞にも面白い映画ではなかったが、間抜けな大爆発、そして90年代の深夜テレビで放映されてそうなB級映画っぽい終わり方は割と好きかもしれない。
ジョン・カーペンタートビー・フーパーやクローネンバーグのB級ホラーや日曜映画劇場などをTVで観て育った僕にとっては、こういったB級映画っぽい終わり方や映画全体の異常な地味さはかなり好ポイント。
最近、ディズニーMARVEL以外の各映画会社が映画ユニバースを作ろうとしては次々と討ち死にして「もうやめやめ!ユニバースは人為的に作ろうとしても無理!」という風潮になってきた昨今、本作は大長編の序章にしか過ぎないのにも関わらず「第二部に続く」的なフリを一切しないのも何だか男らしかった。
そんな感じで中盤死ぬほどつまらないが、序盤まあまあ面白くて終わり方だけ凄く良いという不思議な映画だった。
終わり方が良いってだけで全体的な印象も少し上がったので、やっぱ何事も終わり方は大事なんだな。
だけど僕が面白がった部分も客観的に本当に面白かったわけではなく、受け止めた僕の脳の一部が面白いだけで、この映画そのものは全体的に面白くないのでオススメしません
だけど「観に行くのはやめとけ!」と止めるほどつまらないわけでもない。
そこそこ面白い部分もあるし。また僕は原作読んでないけど原作ファンなら違う観方もあるかもしれない。そして何よりも映画館は椅子に座れるので「一分たりとも立っていたくない!どうしても今すぐ椅子に座りたい!」という人にもオススメです

 

 

 

そんな感じでした
「IT/イット (1990)」後編いまいちだが前編とペニーワイズは良い感じです🎈 - gock221B
「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(2017)」ペニーワイズより絵の女が怖い🎈 - gock221B
「ジェラルドのゲーム (2017)」手錠でベッドから動けなくなった熟女が状況と自己のトラウマに立ち向かう - gock221B
「1922 (2017)」死ぬほど地味で暗い話だがS・キングっぽさが出てるしクトゥルー神話っぽい陰惨な雰囲気に妙に惹き込まれた🐭 - gock221B
「スティーヴン・キング ビッグ・ドライバー (2014)」一本道すぎて可笑しいが死から蘇ると別人にならなくて良かったレイプリベンジもの🚚 - gock221B
「スティーヴン・キング ファミリー・シークレット (2014)」おしどり夫婦の夫が連続殺人鬼。ビッグドライバー、1922と併せて観たい👫 - gock221B
『ドクター・スリープ』(2019)/ダニーの半生と中盤の遠隔サイキック・バトルが凄く面白かったのでホテルには別に行かなくてよかった😺 - gock221B
『クリスティーン』(1983) ジョン・カーペンター/Evil Carに魅入られて暗黒面に堕ちた陰キャを親友のイケメン陽キャが愛で殺す🚗 - gock221B

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The Dark Tower (2017) - IMDb

www.youtube.com

Amazon: ダークタワー I ガンスリンガー (角川文庫)

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