gock221B

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「ジム&アンディ (2018)」ジム・キャリーがアンディ・カウフマンに感情移入しすぎて暴走する『マン・オン・ザ・ムーン(1999)』の記録

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原題:Jim & Andy: The Great Beyond - Featuring a Very Special, Contractually Obligated Mention of Tony Clifton 放映局:Netflix 監督:クリス・スミス 製作国:アメリカ 放映時間:94分

 

これ観たの一ヶ月前だがまとめるのが面倒で放置していた。Netflixに入ってからというもの毎晩無限に観ていて追いつかない。今もこれを書きながら家事をしながら違う作品を観ている(というか流してる)
これはめちゃくちゃ観たくてNetflixに入る動機の一つになったもの。
マン・オン・ザ・ムーン(1999)」撮影中のジム・キャリーの様子を流しながらアンディ・カウフマンやジム・キャリーに触れるドキュメンタリー。
僕は90年代にジム・キャリーの大ファンだったし、「マン・オン・ザ・ムーン(1999)」もそこそこ楽しかったので本作は観てみたかった。
しかし「マン・オン・ザ・ムーン(1999)」より先に翻訳された、恐らく映画の原作となったであろうアンディ・カウフマンの座付き構成作家であり架空のキャラ、トニー・クリフトンの一人でもあったボブ・ズムダによるアンディ・カウフマン伝記を読んだのだが、この本が傑作だった。※最後に後述
でも世代じゃないし英語もできないので生前のアンディ動画を観まくったりはしてない(というか今から過去のネタを観ても別に面白いものでもないと思う)。映画と本で情報として知ってるだけだ。アンディが好きというよりも情報としての「アンディの逸話」が好きといった方が正しい

 

 

Story
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ジム・キャリーは1999年に、自身が尊敬する、35歳で他界した伝説のコメディアン、アンディ・カウフマン役をした映画「マン・オン・ザ・ムーン(1999)」に出演した。
本作は、その舞台裏を記録したメイキング・ドキュメンタリー。

アンディに感情移入しすぎて虚構と現実の境目が曖昧になったジムは、バックステージでもアンディの扮装のままアンディ的振る舞いをしてスタッフや共演者にウザがられていく‥

 

 

アンディ・カウフマン
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アンディ・カウフマンはおかしなコメディアンだった。
★めちゃくちゃショボい男のフリをしながらプレスリーの物真似をするために着替えてる最中に声や顔つきが全て変わっていき超そっくりにプレスリーを演じ、直後に再びショボい男に戻るというネタ。
www.youtube.com★アニメ「マイティ・マウス」のレコードを再生して居心地悪そうに聴いているが、サビだけ自信満々に口パクで踊るというネタ。
★「女なんか下等な生き物だ!ボクには勝てないだろう!かかってこい!」と視聴者の女性を挑発して、リングに上がってきた素人女性を完膚なきまでにボコボコにして「ほらな!弱っちい女どもめ!」と叫んで女性視聴者のヘイトを集めて次の挑戦者を集める‥という90年代に東野幸治が「ダウンタウンのごっつええ感じ」でアイドルやオバハンをボコボコにするというプロレスネタより先駆けること数十年前にやってたプロレスのミックスドマッチのネタ。
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★そんなアンディを懲らしめるためにやってきた本物のプロレスのチャンピオン、ジェリー・ローラー(近年ではWWE解説者通称”キング”として有名)をおちょくりまくって自分をシバキ回すよう仕向ける。その後生放送で和解すると見せかけて首を怪我してる自分をシバかせて抗争を演出。
ようするに本当に喧嘩してるように思わせる喧嘩ネタですよね。
www.youtube.com★平和で愉快なコメディ「Taxi」のレギュラーキャラで退屈な役をする事にストレスを感じ、傍若無人に振る舞う太った毛むくじゃらの架空の歌手トニー・クリフトンという第二のペルソナを作り上げて暴れる。

www.youtube.com★そのトニーを、相棒の座付き作家ボブ・ズムダに演じさせて、アンディとクリフトンが同時に共演したりして「トニーを演じてるのは誰なのかわからなくする」という芸。
★かと思いきや最終的には大人たちを大ホールに呼んで歌って踊って空飛ぶサンタがクッキーを配るというガチで心暖まるライブ(実はアンディが一番本当にやりたかったのはこういうものらしい)
★そういった抗争ヤラセやトニー・クリフトンなどの、虚構と現実の壁を曖昧にする芸のせいで本当に死んでも「本当は生きてて死を偽装してるのでは?」と思う人が続出した
★アンディ・カウフマンは死んだが、相棒のボブ・ズムダが時折クリフトンに扮してライブしたりしてるので死後も生き続ける感じにさせる。

www.youtube.com

‥などがある。
どれも観たことある気がする芸だが、アンディがやったのは大昔なので近年のそういう芸風のコメディアン(サシャ・バロン・コーエンとか)よりも早い。

 

 

ジム・キャリー
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アンディの説明が一通り終わると、ジム・キャリーに視点が戻る。
父が仕事で失敗して、一時期ホームレスになった事もある貧しい生い立ち。
そんな父を凄く愛していて、死んだ父の棺桶に大金を入れたこと
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そのせいか他人が引くくらいオーバーでハイテンションな芸になった?
それは特に言ってなかったが、僕は昔からそう思って観ていた。
とにかくジム・キャリーは黒人オンリーのコメディ番組で唯一の白人として出演して頭角を現し、映画も成功してスターとなった。
全然関係ないが僕もYOUTUBEがまだ無い頃、英語もわからんくせにMXとかでジム・キャリーのコントとかを集めて観ていた。
90年代に僕がジム・キャリーを好きだった理由は彼がハイテンションで何かすればするほどウケはするがどことなく浮いているし何だか「悲しい雰囲気」が漂うところだった。
僕はアラサーくらいまでアスペ寸前の空気が読めない男だったので(今は多分、経験や知識で補ってるだけで僕の本来の性格は今もそんな感じだと思う)そんなハイテンションでいながらも、まるで自分の殻に閉じこもってるように見えるジム・キャリーに感情移入して大好きだった。
コメディでヒットを連発してスターになった後、ジム・キャリーはモロに賞狙いの映画に出始める。だけど全く獲れなかったところを見ると裏で嫌われてたのかも知れない。本作を見るとジム・キャリーが映画人達と仲が良いとはとても言えない(完全に自分の殻に閉じこもって自分しかわからない自分だけの世界に生きているように見える)
まあ、とにかくアンディを尊敬していたジム・キャリーは完コピのオーディションテープを送ってアンディ役をゲットする。

見事、アンディ役を射止めたジム。
映画でもアンディの喋り方、アンディのネタや番組などを完コピ再現する。
www.youtube.comそれは「マン・オン・ザ‥」を観ればわかる話だ。ここからが本作。
彼は舞台裏でもアンディになったつもりで普段からアンディとして過ごす事にする。本作はそれをジム・キャリーのスタッフか誰かが回しているカメラなのかな?たまに「撮影禁止だぞ」と怒られている
具体的にどういうことかと言うとジムは、アンディやクリフトンの扮装を解かずに監督、スタッフ、共演者に延々と絡み続けるのだ。
はっきり言ってどう観ても嫌がられている!
皆、苦笑いで「あぁ、ジムは役作りで普段からアンディになりきろうとしてるんだねw」とは言ってくれるが、完全にスターの奇行に引いた雰囲気を出している。
特に顔見知りでもないスピルバーグのオフィスに突撃したり、撮影所でカメラを回してるので警備員に「それを切れ!」と怒られたりする。
昔、アンディと抗争を繰り広げたプロレスラー、ジェリー・ローラーが本人役でセットに入るが、アンディになりきったジムはジェリーに対して延々とウザ絡みしたりちょっかいかけ続ける。
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ジェリーの彼女にマジでジュースをかけたり。。
ジェリーは「奴なりにアンディになろうとしてるんだろう」と大人の態度だが時折、半ギレになって身を乗り出す(ジム・キャリーは走って逃走)。
どうやらジムは昔のアンディvs.ジェリーのように抗争を起こそうとしてたようだ。ジェリーも昔を思い出して、抗争に乗ってあげてる感じでイカついプロレスラーを演じてる‥のかもしれないが演技が上手すぎて本気で怒ってるのか怒ってないのかよくわからない。
虚構と現実の境目を曖昧にするというジム・キャリーの目論見は上手くいってるのかも知れない(だがそれを見てるのは現場の人だけだ)
そんなジムに引かない人達もいた。所謂、アンディ側の人達だ。
アンディを憑依させたジムはあまりにもアンディに似ていた。
顔は似てないが表情や雰囲気や仕草が似ているらしい。
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アンディの実の妹が「本当に似てるわ‥」と瞳をうるませて抱きつく。
現場にアンディの実の娘が会いに来て、ジムキャリージム・キャリーじゃなく「本物のアンディ・カウフマン」として数時間、娘と語り合う。
映画でアンディの妻役を演じたコートニー・ラブが現場入りした日、ジム・キャリーはズボンを脱いで歓迎のダンスを始める。
するとコートニーはスターだというのに一瞬で気を合わせてスタッフたちの衆人環視のもとブラとパンツだけになって踊り狂う。
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「やっぱコートニーってイカれてるな‥」と思った。
あとアンディの相棒、構成作家だったボブ・ズムダもジムのキャンピングカーに入り浸るようになる。
彼は完全にアンディ側の人間だしイカれた世界に住む人なので、ジムと意気投合して、あんな事しようこんな事しようと悪さをする。
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とにかく連日、要らんことばっかりして監督はウンザリしてる感じ。
「映画は舞台裏で起きていた」と語るジム
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まあ、そんな感じのドキュメンタリーなのだが。
これがずっとオクラ入りしてた事といい、暴走するジム・キャリーが現場で浮いてる感じといい。舞台裏のジムのノリを特に映画に盛り込むこと無く真面目な映画を撮るだけの監督といい、「やっぱジム・キャリーは自分のビジョンを100%の形にできる人が周りにいないんじゃないかな」と思った。
というか昔からジム・キャリーに対してそう思っていた。
コメディやっても感動作に出ても、どれも良いところはあるが全体的に空回りしてるイメージというか。。
現在のジム・キャリーも色々語ったりするが、どうも何を言っても全部、自己完結していて何というか‥うまく言えないが殻に閉じこもったままで微妙な閉塞感を感じるんですよね。
人気出演作は幾つかあるが「絶対ジム・キャリーのポテンシャルはこんなもんじゃない気がするのだが‥」と思っていた。ジム・キャリーの映画って第一幕でギャグやって第三幕で中途半端な感動作にするだけだもんね。
アンディへのなりきりっぷりや、舞台裏での暴走など、確かに面白いが「これが全部合致して作品に出せればきっと凄いんだろうに」という気分になった。結果できあがった「マン・オン・ザ‥」は、そこそこ面白い手堅い映画でしかなかったしね。
ひょっとして彼だけに限った話ではないがアメリカのコメディアンは「売れてきた」という時点で既にとんでもない大スターMAX状態なので、スターになった時点でアガリなんだろう。その後は普通のハリウッドスターになるくらいしかやる事ないのかも。
この本作、アンディ・カウフマンを題材にしてるから正直言って何か作品自体にメタ的な仕掛けがあると思っていた(思いつかないけど死んだアンディ本人が何とかして出てくるとか‥そういう無茶苦茶なこと)
だけど本当にただのドキュメンタリーだったので少し肩透かしにあった。
それがなかったとしても舞台裏で狂人のようになったジム・キャリーを期待したのだが‥確かに狂った感じではあってニュースにもなりかかるのだが、やっぱりそれでも狂人になろうと努力してるレベルというか‥。単純にハリウッドの大人の人達に我慢してもらってるだけという結果になってる気がした。もちろんジム・キャリーは真摯な気持ちでギャラにもならない己の道を求めた事は伝わったが‥やはり空回りしてただけという印象を持った。
ジム・キャリーも僕のような何も成し遂げてない男にそんな偉そうな事言われたくはないと思うが感想とはそういうものなのでジム・キャリーさん‥すみません

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ボブ・ズムダによるアンディ・カウフマンの伝記
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当時、はっきり言って映画「マン・オン・ザ・ムーン(1999)」よりも、「マン・オン・ザ・ムーン(1999)」公開前に発売された原作といえるこの本の内容の方が衝撃的だった。アンディの座付き構成作家であり親友だったボブ・ズムダによるアンディの伝記。
これ先に読んだせいで映画は、知ってる情報をただなぞっただけ状態だった。

マン・オン・ザ・ムーン―笑いの天才アンディ・カフマン (角川文庫)

マン・オン・ザ・ムーン―笑いの天才アンディ・カフマン (角川文庫)

しかも肝心のアンディ・カウフマンについての話も勿論面白かったのだが、それよりもこの本だけにしか出てこないアンディの心の師匠とも言える、Xのエピソードが強烈だった。
Xは風呂にも入らず浮浪者のような格好をして大金持ちのハリウッドの脚本家で、ズムダは一時期Xの付き人をしていた。
Xは普段、無茶苦茶な事をして捕まりそうになったり殺されそうになるとズムダにカバンを開かせて金でなんとかする男で、特にパン屋でドーナツ買おうとしたらオバサン店員に「並べ」と断られたので全てのパンや機材や店員や職人たちの服や下着も買い上げて全裸にして、要求に応じない真面目なオバサン店員へ払う金を釣り上げて「シャツだけ少し脱げば君の夫の年収1万9千ドル払う」と言うも高潔なオバサンを倒しきらずに(だけどオバサンの精神は完全に破壊され、オバサンは他のたった1000ドルで全裸になった全店員や職人に悪態を嫌われる)店を後にするが全ての物や魂を買い取って全裸の店員達が大騒ぎして精神が破壊されたオバサンが震えている爆心地みたいになった店のショーウインドーに一番最初のドーナツ一個だけが残されていた‥というエピソードが強烈で、劇中で話を聞くアンディ同様に当時は痺れた。
でもXは悪意で嫌がらせがしたいってわけじゃなくて(オバサンからすればそういう人にしか見えないが)その反社会的な行動で自分の事や他人の価値観や精神を破壊する人で、それ自体がジョークになっている。そのXの逸話がアンディに影響を与えた。
でも確認のために今ひさびさに読み返したら20年経って自分の中の倫理観が変わったのか、Xの行動は99%の人には伝わらないので「という事はただの嫌な奴と差がないよな」と思えて昔ほどピンとこなかった。
興味湧いた人は、AmazonKindleや古本屋で見かけた時に読んでみて下さい

 

 

そんな感じでした

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マン・オン・ザ・ムーン デラックス版 [DVD]

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