『アイアンマン』 (2008)
原題:Iron Man 制作スタジオ:マーベル・スタジオ 製作:ケヴィン・ファイギ 監督&製作総指揮&出演:ジョン・ファヴロー 原作:スタン・リー、ラリー・リーバー ドン・ヘック、ジャック・カービー
製作国:アメリカ 上映時間:125分 シリーズ:「アイアンマン」トリロジー。マーベル・シネマティック・ユニバース
🔨2年位前にこの映画感想ブログを始めたが、MCU作品の感想が無いものの方が少ないので、ついでに過去作も再見して書いとこうと思い久々に観た。
MCU1作目。あこれが大ヒットかつ高評価だったために勢いがついて6作目の「アベンジャーズ (2012)」まで繋げることが出来た。
まるで原作のアメコミのクロスオーバーのように「別個の長編映画作品が、それぞれのノリを保ったまま合流を果たす」という過去にない大規模なシネマティック・ユニバースを可能にした。
このフェイズ1の時点では、ほぼほぼ全てがアイアンマンのお陰と言える。
また「明るい作風。原作要素や繋がりを大事に扱う。ヒーローの陰としての薄いヴィラン。社会情勢を上手く取り入れる」などのMCU要素が全てここで出ている(そして本作はMCUオリジンの雛形にもなっている)。
「MCUの中で一番面白いのは?」というのは人によって好みが違うと思うが「MCUで一番偉い作品は?」と訊かれたら、このアイアンマン一作目と答えざるを得ない。
ちなみにメタ的な意味だけではなく劇中のMCU世界(Earth-199999)の中でも、一作目ラストでトニーが「私がアイアンマンだ」と言った瞬間がこの世界の特異点とされており、現時点でのMCU世界の主人公と言える存在は未だアイアンマンだ。それは完全にキャップ派の僕でも認めざるを得ない
🔨ちなみにアイアンマンはこのトリロジー(三部作)が終わった現在も活き活きと活動している。トニーの軌跡は「★アイアンマン」→「★アイアンマン2」→「アベンジャーズ」→「★アイアンマン3」→「アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン」→「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」→「スパイダーマン・ホームカミング」→「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」→「アベンジャーズ4 仮(2019)」という感じ。。やらかしが多かったのとキャップ派との派閥争いによって叩かれる事もあったが、シビルウォーで酷い目にあってスパイダーマンでピーターのサポートをする様になってからは、トニー否定派もトニーを好きになっていった印象。だが次のアベンジャーズ4あたり危ない感じです
Story
米国政府と契約を結ぶ巨大軍事企業スターク・インダストリーズの社長で発明家としての顔も持つトニー・スターク(ロバート・ダウニーJr)。
彼はある日、自社新型兵器デモ実験のためアフガニスタンへ赴くが、テロリスト集団テン・リングスの襲撃に遭い、胸に深い傷を負い囚われの身になる。
トニーが目覚めたのはテン・リングス本拠地である洞窟だった。トニーの心臓付近にはミサイルの破片が数多く刺さり死亡寸前であったが、同じく囚われていたインセン博士によって、胸に埋め込んだ電磁石で引き止める事によりトニーは生き長らえた。
テン・リングスのために兵器の開発を強制されるトニーとインセン博士。
トニーとインセン博士は一味の目を盗んで、トニーの胸で生命活動を維持させると同時に高エネルギーを生み出す熱プラズマ反応炉アーク・リアクター小型版を開発。また、そのアーク・リアクターは、同時に開発した飛行可能な武装パワードスーツ「マーク1」と連動し鋼鉄の男となる事を可能にした。
トニーは、インセン博士の自己犠牲的活躍のおかげもあって脱出し生還を果たす。
そしてトニーは自社兵器がテロ組織に利用されているのを目の当たりにした事によりショックを受け、会社として武器製造を中止する一方、テロ撲滅を誓い、秘かにパワードスーツの改良に着手。
こうして武装飛行パワードスーツを着た、利他的精神を持ったトニー「アイアンマン」が誕生した。
🔨これは物凄く久々に観たがやっぱり凄く面白いなと思った一作目。
と言っても大勢が観てるし、観た人が良いと思う部分は誰が観ても共通してる。
具体的には「今までになかった主人公トニー」「何度かあるアーマー作りシーンの楽しさ」「オモチャ感覚でガシャガシャと装着されるアーマーの楽しさ」「同時期のダークナイトとは相反して悩むより行動が早い明るい内容」「可愛すぎるペッパー」「いい感じの大柄ハッピー」「立派な人物インセン博士」‥等、誰でも思いつくことしか思い浮かばない。そんな事を今更書いても仕方ない。
本当に、めちゃくちゃ面白かった内容に反比例して、改めて書くことがない。
これがMCU一作目なのだが日本では何故かハルクを先に公開したので、ハルクのポストクレジットでトニーが初登場するという不思議な感じになった。
トニーの日常から映画が始まると反感を持たれるため、トニーが致命傷を負うところから映画が始まる。
人気キャラのスパイダーマンやX-MENの映画化版権をソニーピクチャーやFOXに売ってしまっていたので仕方なくアイアンマンを映画化した事や、ドラッグ関連で落ち目だった演技派中年俳優ロバート・ダウニーJr起用を配給会社にめちゃくちゃ反対されたが監督が押し切った‥そして全ての賭けに勝って今がある‥みたいな事はWikipediaとかに書いてあるからわざわざ書いても仕方ない。
🔨アイアンマンに対して思い入れもないし‥、初めて知ったのはカプコンの格闘ゲーム「マーヴル・スーパーヒーローズ (1995)」だった。これは先日公開された「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」の原作「インフィニティー・ガントレット」を元にした格ゲーで、アイアンマンもプレイアブルキャラとして出て、それで初めて知ったアメコミに詳しくない一般の40代男性は多い。ちなみにその時はアメコミと言えばX-MENという時期だったので「鉄の装甲の中に汗まみれの髭のオッサンがいるとか暑苦しすぎる‥」という感じで地味なヒーローって感じだった。原作ではクロスオーバー作品にたまに出てきたのを見かけたり「アイアンマン3」の元になった「アイアンマン:エクストリミス」原書を無理して読んだくらいか。まあ‥全然知らないに等しい。
🔨本作公開時はクリストファー・ノーランの「ダークナイト」公開の直後、僕は話が長くなるから割愛するがダークナイトシリーズが苦手だったので断然アイアンマンそしてMARVELスタジオのこの明るいMARVEL映画を応援しようと思った。ダークナイトに比べると本作はあっけらかんとして見えるので当時「俺はダークナイトより断然アイアンマンの方が良い」と言うと「確かにアイアンマンは楽しいけど‥それ本気で言ってるの?w」と嘲笑される風潮だった。それが10年後も続いてこうなるとは誰も思わなかった(というか「アベンジャーズ」実現さえも絶対に無理だろうと思いながら応援していた)
‥というように「久々に観たがめちゃくちゃ面白い!」という事とMCUとしてもアメコミ映画としても偉いということ、そしてWikipedia見れば一発でわかる事を改めて書くしかなかった。あとの感想は多分全部君と同じだ‥。
今初めて観たのならともかく何度も観たし他人の感想も何度も聞いた本作の感想を新たに書くこととか他にないわ。
🔨ギャラで揉めて続編以降はドン・チードルに代えられてしまったテレンス・ハワード演じる後のウォーマシーン‥ローディが、銀色のアイアンマン・アーマー(Mk-II)を見て「お楽しみは次だ‥」とか言って「続編では俺がウォーマシーンだ」という予告宣言をドヤ顔でする。
ご存知の通りテレンス氏はギャラで揉めてドン・チードルに代えられてしまうので、ここを観る度に何とも言えない気分になる。
初代ハルク役のエドワード・ノートンと、このテレンス・ハワードの2名によってMARVELは「ギャラ揉め大物俳優あしらい」の技術が飛躍的に向上した。
今のMCUがあるのも彼ら2人(そしてウォリアーズスリーのファンドラル)のおかげ‥もあるかもしれない。
それにしても、この「アイアンマン」は、チェックが厳しくて地上波で滅多に放送しないディズニー配給MCU作品と違って、緩い本作は地上波でも繰り返し放送されている。それ以前にわかりやすい名作だし今後も最も観られ続けていくMCU作品だろう。
その度にテレンス・ハワードが「お楽しみは次だ‥」と言う場面が来る度に「お楽しみは来ねーよ!」「知らないおじさん出てきた」「偽ローディ出てきた」「ドン・チードルを返せ」「ギャラ揉めシンプル・クビおじさんや」と世界中で思われると思うと可笑しい。
そう考えると、ここ数年「期待に満ちたローディの笑顔を観るのが辛い」と思って本作を観てなかったが今後はそんな感じで、永遠にウォー・マシーンになることが叶わないテレンス氏の勇姿を堪能するとしよう。
それにしてもテレンス・ハワードの顔自体がウォーマシーンのマスクに似ている。
スーツを着なくても最初からウォー・マシーンみたいなもんだ(だから着る必要すらなかった‥?)
全然関係ないけどアイアンマンとウォーマシーンに一番似ているのは成田三樹夫だ
ダウニーJrがアーマーを装着すると成田三樹夫になる。
そんな世界も悪くはない。一度きりで終わるなら‥
🔨どうでもいいが、オバディアがカジュアルに使う麻痺音波装置が強すぎて笑った。この道具はウィンター・ソルジャーに出てくるSHIELDライトセーバーやハンク・ピムの拡大縮小アイテムと同じくらい強すぎる。これを持つだけでそこらのヒーローより物理的に強くなりそうだから恐ろしい。
そしてオバディアが終盤、装着した悪のアーマー、アイアンモンガーが登場してペッパーを追いかけ回すシーン。
このシーンが大昔の怪奇映画みたいなノリだったのが凄く良いなと思った(面白い古臭い場面があると映画が格調高く見えますよね)
またアイアンモンガーも、マークIをマッチョ化したかのようなクラシックな出で立ちが凄く良い。だがこのオバディアとの闘いはサラッと始まってサラッと終わってしまうので終盤は少し物足りないかもしれない。
序盤~マークII以降を作成してる時が本作のピークだろう。その辺の、前半のオリジン部分に面白いことが集中して後半サラッと終わってしまう感じは「キャプテンアメリカ:ファーストアベンジャー」に少し似ている。
だけど本作は最後に「私がアイアンマンだ」がある。
これで記者たち騒然!のまま画面がストップしてブラック・サバスが流れるエンディングへの入りがめちゃくちゃカッコいい。
これがあるのと無いのとでは全然違う。これが無ければ「スーツ作ってるシーンは楽しかったよね‥」程度の控えめな印象の映画だったかもしれない。
映画って中盤が結構退屈だったりしても最高の終わり方したら印象が最高になって「ひょっとして中盤の退屈な時間はわざとだったのかも‥」とか振り返って良く捉えたりするからね。
🔨今検索したらこのアイアンマン一作目の時のダウニーJrと今現在の自分が同い年だという事を今知ってビビった。とうとう「私がアイアンマンだ」の年齢になってしまったとは‥。まあビビっても小銭が貰えるわけでもないので気を取り直して普通に生きていく事にしよう。
何の感想も書くこと無かった割にはウォーマシーンだけで結構な行数が稼げたぞ
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『アイアンマン2』 (2010)
原題:Iron Man 2 制作スタジオ:マーベル・スタジオ
製作:ケヴィン・ファイギ 監督&製作総指揮&出演:ジョン・ファヴロー
原作:スタン・リー、ラリー・リーバー ドン・ヘック、ジャック・カービー
製作国:アメリカ 上映時間:124分
シリーズ:「アイアンマン」トリロジー。マーベル・シネマティック・ユニバース
本作を作ってる間にパラマウントやMARVELやファンからの注文が多すぎて?大作を作る大変さに嫌気がさしたジョン・ファヴローが「アイアンマン3は俺もうやりたくない!」と降りてしまった本作。
恐らく前例のないシネマティック・ユニバース構築の流れを作るのと同時に本作そのものもヒットさせなきゃいけなかったので当時の監督本人にしかわからない大変な作業があったと思われる。‥が、そんな苦労は我々にはわからないし本作も只のつまらない映画と受け止めた。
本作を作って病んだファヴロー監督はリハビリ代わりに「シェフ 三ツ星フードトラック始めました (2014)」を作って(これはこれでヤバい映画だ)今では元気を取り戻し、ディズニーで元気に仕事するファブローの姿が‥!それに監督を辞めたと言っても俳優としてはトニーの運転手ハッピー役はずっと続けてるからね
Story
トニー・スターク(ロバート・ダウニーJr)が、自分がアイアンマンである事を公表して半年後。
アイアンマンは世界各地で起こる紛争を鎮圧して世界平和のため貢献していた。
政府はアイアンマン・アーマーを指して「個人が兵器を所有して使用している」と問題視し、アーマーを引き渡す事を要求したがトニーは断固として拒否。
一方、トニーのアーク・リアクター動力源パラジウムは彼の身体を蝕み、死期を悟ったトニーは社長の座を信頼する秘書ペッパー・ポッツ(グウィネス・パルトロワ)に譲り、後世に自身のテクノロジーを伝える博覧会スターク・エキスポを開催する。
そんな時、スターク家を逆恨みするイワン・ヴァンコ(ミッキー・ローク)は自らアーク・リアクターを開発し、スタークをライバル視するジャスティン・ハマー(サム・ロックウェル)はイワンと手を組み、アイアンマンに対抗できるアーマーを作らせようとする。
🔨「MCUの好きな作品ランキング」を考えるとかなり下の方になってしまう事が多く、酷い時には「MCUのポストクレジットシーン‥エンドクレジット後の数十秒のおまけ映像を二時間に伸ばしたような映画」とか言われがちな本作。僕の中では‥MCU19作品中17~19位くらいか‥。
だけど死ぬほど腹立ったりするほどじゃない。最後まで楽しむことはできる。
観てる間や、場面場面はそこそこ面白かったりするが観終わると「まあ、この話丸ごと全部無くても全く困らないな」という感想になってしまう本作。ブログ書きたさにまた観てしまったが今回もまたそんな印象だった。
🔨本作に起きるトピックは「死期が近づいたトニー、父が自分宛に残した物から解決法を見つける」「ウォー・マシーンやブラック・ウィドウのデビュー」「トニーとペッパーの夫婦喧嘩的な触れ合い」「フューリーやSHIELDが進めるアベンジャーズ計画」「いつもの悪のトニーとの闘い」そんな感じ。どれも薄い。薄さでいうと本作とハルクとダーク・ワールドはマジで無くても問題ないトップ3だろう。
「ある長編映画とその続編の間で起きた出来事、映画にするほどの話でもないので短編のコミックやゲームアプリにしてみました」程度の話を無理やり長編映画にしたような感じだ。
🔨ヴィランだが、毎度お馴染みのヒーローのダークサイド版、悪のアイアンマン「ウィップラッシュ(ミッキーローク)」と、正義に目覚めなかった駄目なトニー「ジャスティン・ハマー」という組み合わせ。
まあ敵は別にこんなものでいいのだが、アイアンマンを2人に分けた上に二人ともトニーもしくはアイアンマンより圧倒的に性能が劣るために強敵という印象が全く無いのがキツい。MCUで一番キャラが弱いヴィランかもしれない。
まず一回目のミッキー・ロークの襲撃。ここで彼はハッピーが運転する車に轢かれて普通にダメージを負ったり、リパルサー発射しか武装がない簡易型アタッシュケース型アイアンマンアーマーにあっさり完敗してしまう。
既にフルパワーじゃないアイアンマンに負けたミッキー・ロークは、既に裁判でトニーに完敗したハマーと手を組んでリベンジしてくるのだが、アイアンマン&ウォーマシーンコンビを特に苦戦させる事もなく普通に負ける。
本作のトニーを苦しめた敵は身体を蝕むパラジウムや終始イラついているペッパーの機嫌であって、ミッキー・ロークとハマーは敵ではないということなのか。。
やはりミッキー・ロークによるレース場での強襲では、アクション映画的にもヒーローものとしても「アイアンマンより圧倒的にパワーが上のアーマーを着たミッキー・ロークの前に、フルパワーのトニーは完敗!」しなきゃ駄目だろう。そこをSHIELDでも何でも良いけど一旦助けてもらって、アーク・リアクターを直す事でパワーが数倍に上がって、一人で何でも抱え込みがちなトニーがウォーマシーンと協力することでミッキーロークに何とか辛勝!協調性を学んでアベンジャーズ結成に一歩近づく‥的な感じにして欲しかった。
そして暗躍するハマーの卑怯な手にも苦しめられて欲しかった。
またハマーに協力を求められたミッキー・ローク演じるイワンが「鳥をくれ‥」「俺の鳥だ‥」「鳥を‥」と、うわ言のように白い鳥を欲しがるくだりが訳わからなさすぎる。
どうやらロシアで飼ってた自分のオウムを持ってきて欲しがってるようなのだが、ハマーは面倒くさいので似た鳥を買ってくる。
イワン「ふふふ‥俺の鳥じゃない‥」
ハマー「い、いや、これは君の鳥だよ♫」
イワン「‥俺の鳥じゃない、ふふふ‥」
てっきりイワンが怒ってニセの鳥を殺したりハマーの部下を殺したりするのか‥と思ってカットが変わるとニセのオウムを普通に可愛がりまくっている。
自分の鳥じゃないと駄目なんじゃないんかい!
というか、最初からハマーが本物の鳥を持ってきたって設定で良かったんじゃないのか。
ミッキー・ロークは全体的に不敵な笑みを浮かべて、鳥を欲しがる得体の知れないキャラだった。
アイアンマンに敗れて収監されても不敵な笑みを浮かべている‥大物なのか?
違う。何の手立てもないのだがとりあえず不敵に笑ってるだけだった。
「エクスペンダブルズ」で、ヨダレ垂らしながら訳のわからんたわ言をブツブツ言うキャラをやってたが基本的にあのキャラと同じだ。
俺の想像だがミッキー・ロークはエクスペンダブルズでも本作でもアドリブで喋ってるのではないか?鳥のくだりとかも。で、何か怖いからNG出せないまま素材を使って訳のわからんシーンが出来上がったのでは?
こんだけ不敵な笑みを常に浮かべてるキャラなんだから、めちゃくちゃ強くないと割に合わないんだけど、さっきも言ったようにめちゃくちゃ弱いので「‥なんなんだよ!」という気持ちが爆発しそうになり段々、可笑しくなってくる。
終始、不敵なキャラのまま暗躍し、普通にフルパワーじゃないトニーに敗れ、ハマーと手を組み不敵な笑みでわかりもしないマイコンのキーボードを適当にガチャガチャやってパワーアップし‥そして普通に負けて不敵なまま即死した。
いや、何なんコイツ!
対するサム・ロックウェル演じるハマーはかなり良かった。
うさんくさいイノベーション好きの社長っぽい物言いが凄く面白かった、やっぱりミッキー・ロークのキャラが普通に強ければ面白くなった気もするが‥もう今となってはミッキー・ロークが弱すぎることが逆に面白くなってきたのでどうでもいい。
🔨本作中盤のトニーは荒れており、アーマーを着たまま泥酔し、パーティ客の前でリパルサーで遊んだり(危ない!)アーマー着たままオシッコしたり、ウォーマシーンと喧嘩したりという何だか、法事で親戚のおじさんが酔っ払って醜態を晒しているかのような残念な感じで荒れている。
きっと、トニーに寄り添って考えれば、死が近づいてるのに世論にも叩かれて泥酔してヤケになっただけなのだろうが感じ悪いことには変わりはない。
あとペッパーの機嫌を取ろうと優しい八百屋さんから苺を買うのだが「手渡しは嫌いだから助手席に置いてくれ」と言う(この台詞も意味がわからない)ペッパーは「私、苺アレルギーなんだけど」と言う。トニーは、ペッパーが出ていった後、不発だった苺をゴミ箱にドカーッ!と捨ててしまう。貧困な僕は「ああっ高価な苺が!」と思った。正直めちゃくちゃ感じ悪い。
前述のミッキーロークのくだりとか、不必要なトニー感じ悪描写とかもそうだが、本作の制作に疲れ切ったファブロー監督の迷走が全部そのままフィルムに焼き付いてしまったかのように思える。
🔨最後のフューリーによるアベンジャーズ加入試験の結果「『アイアンマン』は合格。しかし『トニー・スターク』は性格に難ありで不合格」と言われてしまう。
何だか「もう僕はこのシリーズ疲れたよ」というジョン・ファヴローの心とリンクしたかのような結末だ。
初お披露目のブラックウィドウの各種シーンもMARVELに「入れてくれ」と言われて無理やり入れた感がめちゃくちゃ強かった(というかトニーの体調を見に来るだけならナターシャじゃなく、もっと普通のSHIELD隊員でいいだろ)
トニーが全編「何をどうしたらいいのかわからない」といった感じのゼロの無表情で右往左往しながら自分個人の問題(病気)を解決し、めちゃくちゃ弱い敵を倒してアベンジャーズ試験に普通に落ちるという印象の映画だった。しかし思いのほか楽しめてしまったのも事実だ
トニーが途中でエキスポに来てたアイアンマンマスクを被ってた少年を助けるのだが、これがMCUのスパイダーマン/ピーター・パーカーじゃないか?という後付けファンミームがあって、ケビン・ファイギもリップサービス的に「そうだよw」とか言ってたが世界が狭く感じるのでそういうのはあまり賛成しない派です。
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『アイアンマン3』 (2013)
原題:Iron Man 3 制作スタジオ:マーベル・スタジオ 製作:ケヴィン・ファイギ 監督&脚本:シェーン・ブラック 原作:スタン・リー、ラリー・リーバー ドン・ヘック、ジャック・カービー
製作国:アメリカ 上映時間:133分 シリーズ:「アイアンマン」トリロジー。マーベル・シネマティック・ユニバース
「アイアンマン」トリロジー完結作。MCU7作目。フェイズ2の一発目。
「アイアンマン2」を作って疲弊しきったファブロー監督が抜け、代わりにシェーン・ブラックが監督した二本目の映画となる本作は大ヒットした。
シェーン・ブラックのデビュー作「キスキスバンバン」ではダウニーJrが主演しているし既に息もあっていたのだろう。
フェイズ2は、単純明快だったフェイズ1とは少しノリが変わってMCU世界そのものを揺り動かすような話が多く、また各作品自体も色んな方法を試して試行錯誤していた印象がある(ちなみに僕はこのフェイズ2の間、完全にMCU疲れを起こして惰性で観ていたがフェイズ2最終作「アントマン」で元気になった)
Story
1999年、トニー・スターク(ロバート・ダウニーJr)はスイスの大晦日パーティで、遺伝子の未使用領域を活用して能力を向上させる新技術エクストリミスを開発中の植物学者マヤ・ハンセン(レベッカ・ホール)と一夜を共にして、同時刻にA.I.M.の創設者アルドリッチ・キリアン(ガイ・ピアース)の熱烈な交渉を受けるがうっとうしかったので彼を寒い屋上に待ちぼうけさせ屈辱を与える。
トニーはこの時、自らの人格によって悪魔を誕生させた。
2012年、「アベンジャーズ (2012)」でのNY決戦の勝利から1年…トニーは人知を超えた見えざる敵の脅威に怯えて心身共に疲弊しており、一心不乱に新型パワードスーツの開発をしてしまうアーマー依存症とでもいうべき状態になっておりパニック障害や不眠症も患い、恋人兼共同経営者のペッパー・ポッツ(グウィネス・パルトロウ)を心配させる。
かつてトニーに酷い扱いを受けたキリアンはマヤ・ハンセンのエクストリミスの研究を続けておりペッパーに共同開発を持ちかけるが、軍事利用を危惧したペッパーは拒絶する。
また、世間では連続爆破テロを行っていた凶悪テロリスト、マンダリン(ベン・キングズレー)から攻撃を受け、全てを奪われてしまうが…。
🔨この「アイアンマン3」が一番他のMCU映画と違うのは「MCUというのはとりあえず置いといて、一本の映画としての完成度を目指す」という方向に力を注いでいる‥様に見える事だろう。
シェーン・ブラックが「後に続く作品の事とか一切考えずに作った」と言ってた気がするが、確かにトニーがまるでアイアンマンを辞めちゃうかのようなラストでもある(勿論、全然辞めない)
「単なる映画好きの人には面白いが、原作ファンは盛り上がらない要素」が多い。
「原作にも存在するアイアンマンの強敵マンダリンが満を持して出てきたが、マンダリンは実在せず只の俳優が演じていただけ」「マンダリンは存在せず、ラスボスはオリジナルキャラ」「ラスボスにトドメを刺すのはアイアンマンではなく一時的にスーパーパワーを得た一般人ヒロイン(ペッパー)」「トニーがペッパーへの愛の証として生き残ったアイアンマンアーマーを全て花火のように爆発させるロマンチック演出」などがある。
どれも意外性があったり女性キャラが活躍する事を好むシェーン・ブラックっぽくて、映画として面白い。
‥面白いが「MCUという大きな流れの中の一本」「アメコミヒーロー映画」として考えると何だかパッとしない印象になる。
現にこのアイアンマン3に対しては大好き!という人と最悪!という両極端な評価が見られた。
僕はというと「SFアクション映画、シェーン・ブラック映画としてはかなり面白い」が、やはりMCU映画として考えるとパッとしない。自分の中で映画好きの自分とアメコミ好きの自分が分裂する感じだ。そういう人は他にもいると思う。
たとえば前述最後のアーマー花火なども「ロマンチックだな」と好意的に思う自分と「一体何億円もするアイアンマンを感情的に爆破して‥やっぱり苺をゴミ箱に捨てるような奴の心はわからんわ」と否定的に思う自分とに分裂してしまい分裂症になったような気分になる。
🔨と言っても丸っきりアメコミヒーロー要素やアイアンマン要素が薄いわけではなく、病んでしまったトニーが、かつての自分のような発明好き少年と触れ合って物づくりの楽しさを思い出して敵に立ち向かう。要素などはかなり「良いトニー」っぽさが出てた。
ダウニーJrが「トニーは、スーツがなけりゃ只の人」という弱点を何とかしたかったらしく、アーマー依存症になっていたトニーが少年との出会い以降は生身で闘う場面を多くしたんだっけ?正直そんな事しなくてもアーマー作った時点で超人なので気にしなくても良いと思うが、まあアーマーに頼るようになってた自分の弱い心を何とかしたかったんでしょうね。
アーマー依存症によって、トニーの繭と化していたアイアンマンスーツを脱皮して、新しいトニーになったと認識したトニーが最後に一作目オマージュで、浮かれた感じの一作目とは違い落ち着いたトーンで「私がアイアンマンだ」というラストも良いです。
🔨ラスト、話が全部終わってトニーが、まとめの語りに入って「道を違えてしまった者も‥」という部分で、冒頭にもチラッと映ったトニーに遊ばれてめちゃくちゃ寂しそうな顔するマヤ・ハンセンと、本編では映らなかったがトニーから屈辱を受けたキリアンが自殺しようと下を観てるカットが一瞬映る。マヤもそうだが、キリアンの顔があまりにも哀しそうすぎて今回久々に観て泣きそうになった。
キリアンはトニーに恨みを持った、この直後からヴィラン化して無差別殺人とかする悪人になったのは悪だし本編でもムカつくので「やった!ペッパーがカスのキリアン殺した~」と彼の死を無邪気に喜んでたのだが最後のこの表情見たら、この瞬間だけはトニーと会話できるのを純粋に待ってたら騙されたことに気づき哀しみで自殺しようとしてる顔で、彼は屋上から下を観たら誰も自分を観ていないことから「じゃあ誰も俺を見れなくしてやる」と表に出ないテロ活動を思いつく。
そこからはヴィラン化してるので同情の余地はないが、その寸前のこのカットからは「トニーに騙された‥会ってくれるなんて全部嘘だったんだ‥😪」というキリアンの哀しみがドッと自分の中に入ってきてめちゃくちゃ悲しくなった。
結局我々の殆どはこの大晦日のキリアンと一緒で、望むものの殆どは一生手に入らず、誰かを誘えばこのように死ぬまで待たされる。そしてしばらくしてようやく「信じるなんて‥俺ってバカだった‥」と気づくのだ。真正面から約束を断るなんてことは望むべくもない(面と向かって断るのは面倒だからな)このトニーのように約束して放置するのが世の常だ。思いがけず大晦日キリアンに感情移入してしまった。
このカットを冒頭や本編じゃなく、既にマヤやキリアンが死んだ安心タイムに出してくるのがシェーン・ブラックっぽいなぁと思った。
🔨ポストクレジットでは、本編を語って聞かせていたという設定のトニーの話の前半でハルク/ブルース・バナー(マーク・ラファロ)が寝てしまっていたというオチ。
僕は初見の時マーク・ラファロだとわかったのだがわからなかった人も多かったという。
だが今回、再見してこのシーンのラファロはこれ以降のブルース役のもじゃもじゃヘアとは全然違うスタイルをしているので初見時にわかっていたのにも関わらず何度ももじゃもじゃブルース役を見慣れた今観るとラファロだとわかりにくかったのが面白かった。
‥これ言ってる意味わかる?説明しにくい‥
社長3はエンドクレジット映像がめっちゃカッコよくて好き
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🔨一作目=普通に名作。二作目=失敗作‥だったけど何度も観てるうちに珍妙な部分が楽しくてめっちゃ好きになってきた。三作目=一本の映画としては面白いがMCU作品の一本として観てはイマイチ。
という結論に達した。観る度に最初駄作としか思ってなかった2の評価が高まっていく。2の潜在能力が高い。
そんな感じでした
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Iron Man (2008) - IMDb
Iron Man 2 (2010) - IMDb
Iron Man 3 (2013) - IMDb
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