gock221B

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「オリエント急行殺人事件 (2017)」犯人を知らん僕が観て面白かったし感動したが、それはきっと全て原作のおかげだろうなと推測🚃

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原題:Murder on the Orient Express
原作:アガサ・クリスティオリエント急行の殺人」
監督&制作&主演:ケネス・ブラナー 
製作国:アメリカ 上映時間:114分

 

アガサ・クリスティの小説「オリエント急行の殺人 (1934)」の映画化。
ケネス・ブラナーが監督、制作、主演のポアロ役まで務めた。
僕は、この超有名作にも関わらず、原作も読んでないし過去のシドニー・ルメットによる実写映画も観たことない。
つまりよく冗談で言うような「『犯人はヤス』」に対して「ポートピアのネタバレすな!」と言えてしまう状態にいる男がこの俺よ。
だから最後にあっと驚くとよく言われている本作の真相を楽しむ事ができた。
最初に言っておくが、そういう感じだから原作と比べたりシドニー・ルメット版と比べたりはできない。そもそもポワロがどういう奴なのかもさっき初めて知ったし。
ネタバレ無し

 

 

Story
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エルサレムで事件を解決した名探偵エルキュール・ポアロケネス・ブラナー
彼は豪華寝台列車オリエント急行に乗車する。

アメリカ人富豪ラチェットジョニー・デップ)は前日、ポアロに「脅迫を受けている」と身辺警護を頼まれるが、ラチェットは悪人であるためポアロは断った。
その夜、雪崩で脱線し立ち往生した車内で、ラチェットが何者かに刺殺された。
鉄道会社から捜査を頼まれたポアロは、雪山で静止した列車内で11人の乗客たちに聞き込みを開始。やがて衝撃の真実が明らかになる――
みたいな話

 

 

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雪山で立ち往生している列車内で起きた密室殺人。
それをポワロ氏が10数人の乗客に一人ひとり尋問してアリバイを探る。そして終盤で真相が明らかになり、皆の前で謎解きしてジ・エンド‥という流れ。
ポワロは序盤で「白と黒、正義と悪とはきっちり別れている」という思想を持っていて、何事もバランスよく均等になってないと落ち着かない神経質者だという事が示される。「物事が白と黒の2つに別れてるわけ無いじゃん、、殆どの物事は灰色なのに‥」と、いきなりポワロに感情移入できなくなってしまったが、これはラストへ向けての物語的伏線だったと最後まで観るとわかった。
尋問される乗客たちを演じているのはスターが多い。
皆いい感じだが、やっぱりミシェル・ファイファーが良かった。もう初老くらいのお歳とお顔だと思うが、そういったものを超越した美しさを感じた。「バットマン・リターンズ」でキャットウーマンを演じた彼女はこの先老婆になったとしても僕の中では永遠に美女のままだろう(多分)
あとウィレム・デフォーが「はわわ‥」と焦る演技はいつ観ても良いなと思った。「ライフ・アクアティック」での彼を思い出す。
被害者役のジョニーデップも凄くいい。「そういえばジョニー・デップっていい役者だったよな‥」と数十年ぶりに思い出した。
一方、監督自ら演じた主人公ポワロ。ルックスとか演技とか特別に悪いところはないのだが、いまいち魅力が薄いように思えて「もっと適役の俳優がいたのでは?」と思った。ポワロがどんなキャラかよく知らないので具体的に指摘できないが、もっとのんびりした雰囲気のおじさんって感じの俳優の方が合っていたのでは?

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事件の真相だが、2、3人目を尋問してる時に「これはもしかして‥?」と気づいたので「最後に驚愕‥!」といったことはなかったが殺人事件が起きて以降はずっと面白いので真相で驚く驚かないは別にどっちでもいい(というか、そもそも謎解きとかどうでもいい)
「もしかして‥?」という自分の推測が当たらず「全ては偶然だった」というオチだったとしても、それはそれで悪魔的偶然に思えて面白がれた気もする。
容疑者達に対して「偶然にしては共通しすぎている!」と思い「早く真相が知りたい!」と思えた気持ちは一生に一度しかないので、その気持ちを大切にしながら観た。この時は永遠だ。今思えば、どうせなら本作より原作読んで知りたかった気もしてきたが、まあ済んでしまった事は仕方がない。
「最後の晩餐」のような構図で座った乗客たちの前でポワロが謎解き演説する場面は「自分がこのポワロの立場だったらさぞかし気持ちよさそうだな」と思った。監督は勃起してたに違いない。しかも銃まで持ってるんだよ?確実に勃起だ。
事件の真相を明かす殺人のモノクロ回想シーンが素晴らしかった。
そして全てを解決した後、犯人を乗せたオリエント急行は出発する。
雪山で静止したオリエント急行が犯人の、ある時点で静止してしまった人生を表していて、それが最後に動き出す。。めちゃくちゃ感動した。
最後のポワロの判断はそれでいいのか?という気が全くないわけではないが、まあポワロは警官ではなく謎を解くのが仕事の探偵なのでまあ良いだろう。Twitter民みたいなつまらない指摘をするのはやめだ。
それにポワ氏は「真相を知ってるのは神と、このポワロだけだ」みたいな事も言ってたし、この本編中のポワ氏は「神」みたいな存在だと考えてもいいだろうし。生かすも殺すもポワ氏の自由でいいだろう。
それにポワ氏の思想(善悪二元論とか嘘がつけないとか)を何度も印象づけた後での、ポワ氏のこの最後の決断‥というのも良かったね(どうせなら鉄道会社の人も銃を持ってない方が緊張感あって良かったのでは?)
「雪山で静止したオリエント急行」周辺も、色んな意味で現世から外れた現世とあの世の中間の世界みたいなこの世ならざる場だし、そういった状況設定とストーリー‥「雪山で静止したオリエント急行」内で「容疑者たちと被害者の関係」「そこに偶然居合わせたポワロという神」などの関係性が、頭くらくらするほど完璧でイカしてるなと感動した。

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だけど、それは「この映画というより、原作が良いから感動したんだろうな」と感じた。原作読んでないのに、こういうこと言うのはおかしいがそういう事ってあるでしょ。
元々、原作が名作で、あらすじ自体が素晴らしいので、まるでこの映画自体が素晴らしいように思えるが、映画自体は大したものじゃないなと思った。
原作を知らずに映画版の「ウォッチメン」や湯浅監督の「デビルマンCrybaby」やTVアニメ版「ゴールデンカムイ」などを観ると、どれも大したことない映像化なのだが原作知らない人が観たら、まるで名作のように感じるらしい。本当は原作の方が100倍くらい素晴らしくて、むしろ映像化された方は大したことないんだよね。それと同じ感じ。
むしろ、この映画そのものは世間での評価どおり60点くらいの感じに思われた。
殺人が起きるまでの序盤はかったるいし、たまにちょこっとあったアクションも要らない気がした。クライマックスやナイルに繋がる場面も感動したが「もっと優れた監督や俳優陣だったらもっと感動できたに違いない」と思った。「この飲み会は楽しいが、あの子も来てればなぁ」という気持ちに似ている。一言で言うと「どうせ犯人知らないなら原作読めばよかった」という感じ。
この監督のMCU作品「マイティ・ソー (2011)」も「まあまあ面白い‥かな?」と感じつつ「でももっと優れた監督だったらもっと良かったんだろうな」と感じたが、本作にもそんな印象を受けた。
まあ原作読んでないし推測だけで話すのはこれくらいにしとこう。
この映画しか観てないのに「面白かったし感動したが、この映画のおかげじゃないと強く思う」という不思議な感想になった。
本作は60点くらいのまあまあの評価と、まあまあの興行成績を収めて、続編「ナイルに死す」もこの監督&制作&主演でまたやるらしい。続編は‥あんまり興味ないかな。
その代わりアガサ・クリスティーの原作小説を読みたくなった。


そんな感じでした

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オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

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オリエント急行の殺人

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