gock221B

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「フラットライナーズ (2017)」真面目な子達が気分転換でハイになった後日バッドになって反省する感じの映画🧠

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原題:Flatliners 監督:ニールス・アルデン・オプレヴ
製作国:アメリカ 上映時間:110分 ※「フラットライナーズ (1990)」のリメイク

 


〈意図的に数分間の臨死体験をして何が起こるか〉という実験をする「フラットライナーズ (1990)」のリメイク。名前は聞いたことあるが観てなかった。
タイトルは、医療機器が心肺停止の時にピー‥とラインが水平になる事だろう。
〈脳が現実世界に変化をもたらす系SF映画〉は昔からたまにあって、ドラッグ食ってアイソレーション・タンク入って瞑想して人類の起源を探ろうとするケン・ラッセルアルタード・ステーツ/未知への挑戦 (1979)」や、他人の記憶・知覚を追体験するダグラス・トランブル「ブレインストーム (1983)」なども好きだった。脳に電極で刺激を与えてこの世ならざる世界と繋がる高橋洋監督の「恐怖 (2010)」‥は観念的すぎて僕には難解だった。
最近VRとか「この世は仮想現実では?」とか「脳の認識の変化が現実世界に物理的な変化をもたらす」みたいなストーリーに凄く興味がある‥要は思い通りにならない現世からの逃避願望が高まってるんだろう(ここでVRとか脳について膨大に駄文を書いてたが感想と関係ないので削除した)。
主演のエレン・ペイジ、昔から好きだが同性愛者カミングアウトとかMeTooとか色々あって以降、出演作が減った(出ても小規模な映画が多い)。最近、可愛らしい格好や仕草を止めて男っぽい感じなので、きっとシャイア・ラブーフみたいに「ハリウッドのゲームから降りたぜ」と、自分からそうしてるような気がする。
後半、ネタバレあり。オリジナル観てないので比較も出来ません

 

 

Story
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医学生コートニーエレン・ペイジ)は「人は死んだらどうなるのか?」という好奇心で臨死実験に挑む。
「私の心臓を止めて1分後に蘇生してほしい」死後の世界を垣間見た彼女は、脳の力が格段にアップする。
その驚くべき副作用を目の当たりにした同期の仲間たち‥レイディエゴ・ルナ)、マーロー(ニーナ・ドブレフ)、ジェイミー(ジェームズ・ノートン)、ソフィア(カーシー・クレモンズ)は、競うように臨死体験していくが――

 

 

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そういう話。もうめちゃくちゃ観たくて仕方ないあらすじ。
実際、医大生としての日常、エレン・ペイジが仲間を誘って実験をいきなり始める様子、実験を通してそれまであまり仲良くなかった彼らが一気に仲良くなる様子、臨死体験などの様子‥そんな序盤が一番楽しかった。
中盤や後半がつまらないわけではないのだが、序盤の「どうなるんだろう?」というワクワク感に比べると割とベタで凡庸な感じだったんですよね。
臨死体験エレン・ペイジが見たのは橋の上で光る魂のようなものが浮いていてエレン・ペイジは少し性的な恍惚感を感じる。仲間も皆、恍惚としつつ不吉なビジョンを見る。そして仲間の蘇生術で現世に引き戻される。
エレン・ペイジが「幽体離脱みたいに身体から魂が抜けて、この建物を通り抜けて上昇して上空からこの建物の屋上を見た。ここの屋上なんて見たことないのに」という台詞が如何にも臨死体験っぽくて良かった。
それにしても健康で美しい若者である彼らが、わざわざ心臓を止めて数分間死んで蘇るというのは見ていて凄くイケナイ事をしてる感じがした。
臨死体験を終えた彼らは皆、脳内物質が出たからか死から急に生に引き戻されたからか、異常にハイになって大騒ぎしたりセックスしたりする。
めちゃくちゃ楽しそうで羨ましくなった。
そして臨死体験をしたエレン・ペイジは、覚醒したかのように昔ちょっと弾いてただけのピアノが弾けるようになったり過去に医学書で読んだ事を全て思い出せるようになって教授に褒められたりする。そしてチャレンジングな性格となりアパートの壁をぶち破ったりパンを大量に焼いたり20kmもジョギングしたりする。
何もかもドラッグを‥MDMA、LSDケタミンなどを摂取した若者のような行動。
旧作が作られたのもクラブムーブメントやMDMAが大流行し始めた頃だと思うし、中盤以降のバッドな展開も含めて「ああ、これはハイになった後にバッドになる感じをフィクション化したものだな」とわかった。

 

 

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だが良いことばかりだけでもない。
エレン・ペイジは自分の不注意が元で死んだ妹の幻を見るようになる。
仲間たちも皆同じように「10代の時に妊娠させて置いて逃げた女性」「医療ミスで死なせた患者」「自分より成績が上だからネットいじめで追い込んだ優等生」など、過去に自分が傷つけた者の恐ろしい幻を見るようになる。
この辺は、かなり幽霊もののホラーっぽい描写。だがあまり怖すぎない感じ。
医学生が「脳の実験をしたら急におかしなものが見えるようになる」というのは本当のことで、ドラッグ摂取した人も幻を見る。高橋洋「恐怖」でも「脳の特定の部位に電気を加えると何かが見えるようになる」という実験の話が出てきていた(本作では臨死体験の途中で脳内に微細な電気信号が生まれていた)。僕の祖父が老衰で死ぬ直前に部屋中が燃える幻を見えると言ってたのは単純に老齢で脳にダメージが来たためだろう。
それにしても人間、死んだ後、4~7分くらいは脳が生きてるそうだが、その間どうなるんでしょうね。「あれ?死んだ。俺死んだぞー」とか7分くらい意識があるとしたら何か怖いね。その時にならないとわからないが。。
あぁとにかく皆、自分達が過去にしでかした良くない過去のビジョンが現実世界に混ざって見えるようになる。
バッドトリップとフラッシュバックによる苦しみで、これまたドラッグ的な描写。
やがて彼らの一人がその罪悪感によって死へと追い込まれる。
残った彼らは「罪悪感に殺されないようにするには自分達が逃げてしまった過去と向き合うしかない!」と解決に向かう。
次のブロックにネタバレあります

 

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中盤までは良かったのだが後半は、
「床が水浸しになってる!」→「出しっぱなしの水道を止めよう!」→「水道とめたぞ!」→「マジ助かった!【完】」って感じで、あまりにフックが無いように感じた。
ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」で主人公ジンと協力する反乱軍スパイを演じた俳優が、頼れる男子役してて適切な処置したり正論を言って各員を正しい方向へと導くのだが‥こいつ正しすぎるやろ!しかも一人だけ臨死体験しない。「危険だし」って、そりゃそうだけども!こういう映画で一人だけやんないってアリかよ。
そして医大生たちも全員、過去に過ちをしているとはいえ、それらも10代の時の気の迷いや事故ばかりで皆それを悔やんでいるからこそバッドになるわけで基本的には良い子達だし論理的にパッと解決してしまう。
5人もいるのだから一人くらいカスが居ないと盛り上がらないなと思った。
というか本当は臨死体験によりもっと凄い変革があれば一番良かったしそれを期待してたのだが無かったね。まぁそんな事を思いつく人はあまり居ないだろうね。
‥ここまでネタバレしないように書いてきたが話が進まないので今からネタバレするが、主人公と思われたエレン・ペイジが後半に入る前くらいに早々と死んじゃうんですよ。妹の霊aka罪悪感にアパートから落とされて。
それで仲間たちは解決に向かうのだが、皆エレン・ペイジほど主人公オーラがないし皆良い子過ぎるのであまり盛り上がらないんですよね。
やっぱりエレン・ペイジとローグワンの人以外の誰かが2、3人くらい恐ろしい死に方してそこから解決策を生み出してギリ助かるって感じにして欲しかった。
最初に言ったように本作は「真面目な医大生が煮詰まったのでドラッグ初めてきめてハイになって万能感に包まれて張り切るが、後日バッド&フラッシュバックに悩まされて『やっぱり自分に向き合わなければ』と正気に戻る」って感じの教訓的な話だったという感想を抱いた。ちょっと真面目過ぎるかな‥。というかそれならエレン・ペイジのキャラも救ってくれよ。
エレン・ペイジが後半「本当は実験とかどうでもよかったの!ただ私は会いたかったの‥死んだ妹に‥」みたいな台詞が悲痛過ぎる。なのに「ペット・セマタリー」みたいに妹(自分の罪悪感)に殺されるなんて‥。可哀想だ。
やはり僕はエレン・ペイジのキャラに同情して救われてほしかったのかもしれん。
ちなみにオリジナルの主人公だったらしいキーファー・サザーランドが教授役で出てくる。そんで犠牲者が出た後に「何が起きてるんだ?」と何か知ってそうな顔してたのは「前作の主人公してたキャストだから経験済みです」ってネタなんだろうね。
二回目観ようとかは思わないけど最後まで楽しく観れる程度には面白かったし、凄く駄目な部分もなかったです。ただ、前半のワクワク感は凄かったけど後半のフックのなさが‥。ヒットせず話題にもならなかったわけがわかった気がした。


そんな感じでした

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