gock221B

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「スウィート17モンスター (2016)」主演の魅力と、どの人物も一面的なステレオタイプじゃなく人間として描いてるのが良かったです👩

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原題:The Edge of Seventeen 監督&脚本:ケリー・フレモン・クレイグ
製作国:アメリカ 上映時間:104分

 

 

とても美しい女性の映画監督のデビュー作。
主演は、デビュー作「トゥルー・グリット(2010)」でいきなりアカデミー助演女優賞ノミネートされて、大ヒットして日本でもうすぐ公開される「バンブルビー (2019)」の主演でもある、あの如何にも大物になりそうな面構えの若手女優。
「友達がお兄ちゃんと付き合い始めて、いじける少女の映画‥って、あらすじめちゃくちゃ可愛いな!」と前から見たかった。ネトフリで配信始まったのでこいつはいいやと観ました。

 

 

Story
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イケメンで性格良いのでモテる兄ダリアン(ブレイク・ジェナー)とは対照的に、キスの経験すらない自分に自己嫌悪の日々を送る17歳の女子高生ネイディーン(ヘイリー・スタインフェルド)。
最大の理解者だった父を幼い頃に亡くして以来、たった一人の親友クリスタだけが心の支えだったのだが、ある日クリスタが、よりによって兄ダリアンと付き合い出したことを裏切りだと捉えてしまい絶望するが――

 

 

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主演ネイディーン役のヘイリー・スタインフェルドの魅力がすごい。
演技も上手いしクルクル変わる顔見てるだけで面白い。この子は5年後くらいにはエマ・ストーンみたいになってそう。あとこの役の服装がどれも凄く可愛い。
ネイディーンは、いつも味方してくれてた優しくて面白いパパが死んでしまった。そして唯一人の親友クリスタが自分の兄貴と付き合い始めて納得できず大喧嘩してしまう。
ネイディーンは、人気者でイケメン兄貴のことを「筋トレしてマッチョで‥ナルシストでキモい!」とか言ってるが、兄ダリアンは至って優しいナイスガイ。
親友クリスタは、お泊り会の夜に兄貴とベッドインしてそのまま真剣交際を始める。
兄貴もクリスタも至って空気の読める良い奴。
‥だがネイディーンはそんな2人が気に食わない!
クリスタに対して「私と兄貴どっち取るの?!兄貴と付き合うなら絶交!」
などとどうしようもない事を言ってしまったもんだから絶交されてしまうネイディーン。クリスタは勿論そんな事したくないがネイディーンが変わらない以上、クリスタにはどうしようもない状態。
父の死や思い通りにならなさのせい‥というより、思春期特有の面倒くささを持つネイディーンの本来持ったエモさでそうなってるだけのような気もする。
ネイディーンは終始、兄貴やクリスタ、女手一つで育ててくれてるママ、ウディ・ハレルソン演じる個人主義的な丁度いい優しさを持つ担任教師に当たり散らす!
ネイディーンは基本いい子だと思うが、周りの人と口喧嘩になった際「ママが乳首の毛を抜いてるのSNSに書いてやる!」「兄貴、頭でかくて意外とバランス悪いよ」「(クリスタは)いつか兄貴に棄てられるよ!」「先生はハゲだしダサいし年収も少ないから一生独身のまま!」などと、出来るだけ相手が傷つきそうな言葉を一生懸命ひねり出して言う様が「この子けっこう性格悪いな‥」と憎たらしくもあるが年齢を考えると可愛らしい範疇か‥と思わせる感じ。
Facebookのフォロバしてくれないイケメンに恋してるネイディーン。
そんなネイディーンは同じクラスの韓国人少年に恋されてるが、ネイディーンは彼を冴えないメン扱いして軽んじている。だが親友と喧嘩してイケメンも相手にしてくれないのでネイディーンは韓国ボーイを「何だか、おじいちゃんみたいで落ち着く」とか言って滑り止めみたいに扱う。
この韓国ボーイ、男扱いされてないしネイディーンは彼が自分の事を好きだとわかってて連れ回してるがボーイは文句も言わない。手作りアニメを創ってるクリエイティブな面もあるし、かなり魅力的な人物。
ちなみにネイディーンもだが、韓国ボーイの家はリモコンで音楽が流れるプールが設置してある豪邸で「観てる俺とは豊かさが違いすぎる‥」と一瞬心が離れそうになったが「そんな経済的理由で引くのは共感能力が低すぎるし、あまりにアホみたい」と思い直して再度、おれの魂はネイディーンや韓国ボーイに寄り添う事に成功。
周りの人は誰一人悪くなくて良い人ばかり、むしろ主人公のネイディーンの方が反省する点が多いので擁護する感じじゃなく「ネイディーンどんまい‥」という気持ちで見守ることになる。
ネイディーンはムシャクシャしてエロいメールを片思いしているイケメンに誤送信してしまう。
イケメンは早速ドライブに誘ってくるので喜んで行くネイディーン。
当然イケメンは車を駐めてカーセックスしようとするのだが、イケメンが真剣交際してくれると思ったネイディーンは拒否して走り去る。
苛立つイケメンが「これじゃ俺が悪者みたいじゃねーか」と言うのも凄く良かった。
よくある映画だと、このイケメンはデートレイプしようとする悪いイケメンとして描かれがちだが、彼はただエロメールが来たからその通りしようとしただけ。
出番の少ないヤリチン系イケメンでさえ、一面的ではなく人間として描こうとしてるのがいいですね。
ストーリー自体は、まるで道徳の時間に見るNHK教育ドラマみたいなささやかなもので、普通だったら飽きそうだけど、これがめちゃくちゃ面白い。
面白いポイントを具体的に説明するのは難しいんだけど、単純に上手い監督が明確なビジョンを持って撮ってる感じが面白いのかも?登場人物が皆、ステレオタイプな台詞は吐かないので登場人物たちが生きてるって感じする。あとやっぱ周りは良い人で悪いのは主人公ネイディーンだけ、というのがよくある青春コメディと一風違ってて面白いのかも。

 

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皆は良い人なのに、自分で自分を四面楚歌に追い込んでしまったネイディーンは昼休みに喋る相手がいなくなり、仕方なくウディ・ハレルソン演じる担任教師と喋りに行く。
相変わらず「周りが悪い」とまくしたてるネイディーンのしょうもない話を黙って聞いてた担任が「確かに君は‥」と口を開き、
何言うんだろ?ここは大人らしく何か気の利いたアドバイスするのかなと思うと
「‥皆に嫌われてるかも。」
と言い、ネイディーンはポカーンとした後
「た、担任が傷ついた女生徒にそんな事言う?!最低っ!」
とブチギレる場面がめちゃくちゃ面白かった。
人生の思い通りならなさを周囲に当たり散らすネイディーンは子供で要は甘えてるんだけど担任教師は、そんな甘えてくるネイディーンに対して毎回いたって平熱で接する様が凄く可笑しい。そして同時に、子供だから優しくするわけじゃなくクールにあしらうというのは、むしろネイディーンを人間扱いしてるからこそ、そうしてるんだなと思えて凄く良かった。
そんな感じで序盤~中盤~は凄く面白いのだが最後は、なにしろネイディーンだけが悪いのでネイディーンが心を開いて周囲に「正直スマンかった」と謝罪して仲直りする展開しかない。
愛すべきキャラクター達なので「良かった、仲直りして終わって」とは思うものの、ハッキリ言ってフィクションとしてはあまり面白くない。「だったらどういう終盤なら良かった?」と訊かれても他に思いつかないけど‥。よくあるラブコメなら「イケメンが極悪なキャラでイケメン仲間に襲われそうなところを兄貴やクリスタと韓国ボーイが助けに来て面白おかしい乱闘の末に何とか助かって、その後2人に謝罪するエンディング‥というのはよくある。だけどさっき「悪役にされがちなヤリチンボーイでさえも一人の人間として扱ったのが良い」と褒めたところなので、そんなハリウッド的なベルコンベアー式の結末じゃ褒めた部分と矛盾するな。やっぱりこの無難な着地で良かったのかな‥。考えても何も思いつかないから、まぁいいや。終わりにしよう。
同じ「周囲から浮いてるこじれた女子の青春コメディ」としては終盤あまりに引っかかりがない分だけ、僕が凄い好きなノルウェー青春映画「15歳、アルマの恋愛妄想 (2011)」には及ばなかったが、充分面白かった。特に中盤くらいまではもう一度すぐ観たいくらい楽しかったよ。

 

 

そんな感じでした
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