原題:Unfriended: Dark Web 監督&脚本:スティーヴン・サスコ
製作国:アメリカ 上映時間:93分
制作:ブラムハウス・プロダクションズ シリーズ:「アンフレンデッド」シリーズ
💻PCの画面内だけで連続殺人が進行するサスペンスホラー。
SNSいじめが原因で連続殺人が起こった前作も、傑作とかでは全然ないが最後まで退屈せず楽しめる程度には面白かった。大学生が面白がれそうな映画というか。
というかモキュメンタリーとか「全編主観映像」とか「全編、PC画面内だけで映画が進む」とかそういうのは楽しいからね。まぁそういうのってどれもあんまり数が多くないね。そういった特殊な形式の映画を作ってヒットさせるには相当作り込まなきゃ面白くならないだろうし、それがそこそこヒットして日本にも来るって時点である程度面白い数本しか入って来ないんだろう(全編SNS画面内で進行する映画としては「search/サーチ(2018)」が一番面白かったかな)。
製作者は前作の監督とは変わってしまってるし、前作のキャラは全員死んだので別のキャラたちが主人公を務める。コンセプトだけ同じでストーリーは全然繋がっていないタイプの続編。当然前作は別に観なくていい。
前作はメールソフトやチャット、SYOUTUBEやNSなどのメジャーなネットサービス上が舞台だったが 今回は現代では人気の都市伝説の一つでもあるダークウェブが舞台のようでワクワクする。
💻「ダークウェブ」というのは「特別なソフトや設定や認証などを使ってしかアクセスできない、特定のWebサイトがあるネットの深層領域の一部分」を指す。
我々がググって普通に観覧できるウェブサイトやSNS等がある領域が「表層WEB(サーフェス・ウェブ)」。観覧するには認証が必要で特定の者しか見れない会員制サイトや鍵垢やフリーメールなどのサイトは「深層Web(ディープ・ウェブ)」。
「ダーク・ウェブ」はディープ・ウェブの一部。ディープウェブとダークウェブの差がイマイチよくわかってないんだけど、まぁ深層の中のヤバい一角みたいな感じか?
そこでは銃やドラッグや毒物や臓器や偽造クレジットカードや偽札やIDやパスワードなど普通の店で買えないようなものの売買、ハッキングや殺人の依頼、違法ポルノサイト、殺人鬼と殺されたい人の出会い掲示板、または只の詐欺サイトやどうでもいいイタズラサイトなど玉石混合の良くないものがある。そこでの金品のやり取りは足がつかないようにビットコインが用いられている。悪事だけではなくCIAがハッカーをスカウトするためにテストに用いられたり、権力者の悪事を告発するために情報のやり取りが行われたりもするらしいが真相は定かでない。「暗殺者を雇える」「拷問や殺人を中継するサイトがある」等は只の都市伝説で証拠が見つかっていようだが、殺人&食人したい者と殺されて喰われたい者が出会い掲示板でマッチングして本当に殺して食ったという映画のような事件は本当にあったので(ローテンブルクの食人鬼)「こんな無茶苦茶な事があるんだから殺人の依頼とか拷問やスナッフフィルムは、見つかってないだけで、ありそうだな」と思わされる。ダーク・ウェブに乗じた都市伝説や動画などは多いが、殆どはイタズラやフカシ。だけど本物にヤバい事象も存在する‥そんな認識。
都市伝説ではあるものの、ダークウェブ自体や良くない売買や違法行為は本当にあるのでダークウェブ自体は都市伝説ではない只の事実とも言える。では何が都市伝説かというと「そこにあるもの」「そこから起きたもの」が都市伝説‥という感じ。
ネタバレありなので、興味ある人はこれ読まないほうがいいと思う。
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マサイヤスという青年が主人公。その彼女は耳が不自由な女性。他にはネットやコンピューターに詳しい白人のオタク青年。政府の陰謀論やデモ活動に夢中のお調子者白人青年。婚約したばかりの白人と黒人のレズビアン・カップル。アジア系の女の子‥という七人がメインキャラ。
前作同様、彼らがビデオチャットで会話したりPC画面だけで映画が進む(終盤、主人公が外に出るが、その時は主人公がスマホのTV電話で彼女と話してるので、そのスマホ画面が主人公の家のPCに映り続けてる)。
全編PC画面映画なので、主人公がPCを立ち上げて恋人や仲間達とビデオチャットするためにSpotifyとかFacebookや各種サービスにログインするところから始まる。
こういう内容なら、主人公が説明台詞みたいな独り言を言いまくりそうだが本作は、主人公が恋人や仲間と通話する以外では全然独り言を言わず、PC画面だけで見せていくので「結構こだわって作ってるね」と思った。
このPC、主人公は耳が不自由な彼女と通話するために高価なPCを欲しており(読唇術させやすいようにだったかな?細部は忘れた)とある場所に何ヶ月も放置してあった高スペックPCを拝借してきてしまったらしい。どこだっけネットカフェだっけ?とにかく元の持ち主だと思われる男に頻繁にFacebookのダイレクト・メールが届く。
この日は主人公が仲間達とネット上にビデオチャットで集まって遊ぶゲーム・ナイトだったらしい、主人公はPCをセッティングしながら恋人と話したり仲間と会話する。
しかし、どうにもPCが重い。仲間に促されてPC内をサーチすると膨大な隠しファイルがあった。開いてみると近所の家の中を撮った動画がたくさんあった。‥PCに付いているカメラは、たとえ電源が落ちていようと内部電源によって全てネットに繋がっている。それをハッカーから隠すには要人であろうとカメラにテープを貼るというアナログな方法を取るしかない(アレクサとかも‥)。
近隣住人の盗撮動画を集めている変態か?更に見慣れぬソフトを起動させるとDOS画面(なんか黒いウィンドウに字だけ表示される昔のPC画面みたいなアレ)が出てきて「お前に入金した」と主人公‥いや「前のPCの持ち主」に語りかける謎の相手。調べると何千万円分のビットコインが振り込まれていた。
なにが起きている?しばらく相手の言うことを聞いていると、どうやら「金を払ったから早く自分が言うように生贄を拷問して殺してくれ」と言うではないか。
ざわめく仲間たち。
動画ファイルを探ってみると誘拐した女性を殺害する動画がたくさんあった。そして最後に女の子が誘拐されるだけの殺害は行われていない動画があった。その子の名前で検索すると確かに最近行方不明になった近所の女子高生だった。
どうやら主人公が拝借してきたPCは、女性を誘拐して殺す動画をダークウェブで見せることによってダークウェブ住人からビットコインを受け取っていた犯罪者の物だったようだ。
‥という‥中盤くらいまで?は、かなり面白い。何よりさっきも言ったが主人公が説明台詞を言わないのが良い。言わないので「今何してるんだ?」的な感じで嫌がおうにも集中して観させられて没入感が高かった。そして自分はいつもモニター大きめのPCで映画観てるんだけど、本作はずっとPC画面だし、主人公がFacebook見てる場面とか、自分がFacebook見てる画面と同じなので仮想現実感が強く自分と主人公のシンクロ度も高かった(映画館で観たらそこまででもないだろう)
そこから先は、元の持ち主であるスーパーハカー殺人鬼が主人公をハッキングし、主人公や主人公が通話している恋人や仲間たちの素性が全てバレてしまう。
そこで、犯人が恋人の家に侵入してビデオチャットで主人公だけに向かって「俺のPCを返さないとお前の恋人を殺す」「この事を警察や仲間に話せば殺す」「ビデオチャットを続けろ、やめたら殺す」などと脅してくる。画面がずっとPC済む工夫がなされてるわ。主人公は仕方なく、びびってる仲間たちにビデオチャットを再度繋げて
「さっきのダークウェブは、当たり前ですが偽ダークウェブです。初笑い、できたかな?」とおどける。笑ったり怒る仲間たち。
このままでは彼女共々殺されると思った主人公は、さきほど犯人に振り込まれた大量のビットコインを自分の口座に振り込む事で自分と彼女の命を延長させることに成功。そして「彼女とこのPCを交換だ」と交渉する。
何も知らない彼女を自分の家に呼び、犯人は彼女の後を着いてきて、自宅に来た犯人にPCを渡して彼女を開放してもらう、という段取りだ。
しかし犯人は、主人公を常時監視しているので、主人公が警察や仲間に喋ったら彼女は殺されてしまう。
主人公は彼女に「地下鉄で来るように」と言った。地下鉄では駅以外の場所を走っている時に彼女や犯人のスマホの回線が切れる。その僅かな時間を使って主人公は仲間に全て話し、何とか「回線がまた繋がったら、さっきまでと同じように自分とゲームしててくれ」と頼む。
というか、この時点で既に詰んでいるっていうか、犯人は殺人に慣れてるし待ち合わせでPCを渡したら主人公カップルは殺されるだけでは?その場で殺されなくても後日いくらでも殺されるよね。というか地下鉄走ってて様子が見られなくても犯人の仲間が主人公PCをハッキングしてるとかの心配はないのだろうか?まぁキリないからそういった事は思考停止して続きを観よう。
ところで犯人はビデオチャットで主人公と喋る時、自分の顔を隠すためにビデオチャットでも自分にリアルタイムでモザイクかけたりしていた。「いくらハカーでもそんな事瞬時に出来るか?」と思ったが、後で別のハッカーがコラや動画を数秒で作ったり終いには地下鉄を止めたりするし気にしない事にした。「アメリカ映画に出てくるハッキング」とは「現代の魔法」って表現だからね。ましてやダークウェブ住人なんだからもう大黒魔法使いも同然だ。細かいことは考えないようにしよう。
主人公が元の持ち主殺人鬼と交渉してるあたりまでは面白かったのだが、今まで通話してた犯人以上の実力を持ったダークウェブ住人達が介入し始め、仲間を一人ひとり殺し始めてしまう。単純にカメラの前で殺すだけじゃなくて、仲間のPC内にある動画とかを使って他人に撃たせるよう仕向けて間接的に殺したりとか色々工夫してるのは面白かったけど、はっきり言って街の全てを操れる勢いの上級ダークウェブ住人が何人も寄ってたかって襲ってくるのだから、自宅を出れないし通報も出来ない丸腰の主人公たちが勝てる要素はない。
最初の、スーパーダークハッカーが一人だった時は主人公と交渉しあって拮抗していたので緊張感あって楽しかったが、こうなってしまうと処刑されるだけなので何だかもうどうでもよくなってくる。
しかもダークウェブ住人達のハッキング魔法使い加減が飛躍しすぎてて、やはり一切抵抗もできず皆殺しにされてしまう。
まぁ前作の「ネットに侵入した霊が復讐の連続殺人を行う」という真相にガッカリした自分としては、人間であるハッカーが殺人するようになったのは進歩だと言えなくもないが、何だかハッカーが神のように有能すぎて「これなら幽霊とか悪魔と大差ないな‥」と感じた。
これをもうちょっと実現可能なハッキング具合にして、もう少し主人公たちが犯人に食い下がれれば‥と思ったが、そうなるとホラーじゃなくサスペンス映画になっちゃうのでこれでいいのか。ブギーマンとかジェイソンなどの殺人鬼を「ダーク・ウェブ」というホットな都市伝説に置き換えた胸糞スラッシャーホラーって感じか。
ところで前作でも思ったが罪を着せられた主人公は最後、生かされた方がキツいと思うのだが、どうして二作とも主人公を殺しちゃうんだろうね。
とは言え最後まで飽きずに楽しめるほどには面白かったです。
特に中盤までは「主人公が恋人と通話してる画面」「主人公が拝借してきたPC内を探る場面」「仲間たちのチャット画面」など幾つもの出来事が同時に一つの画面内で同時進行しており、説明台詞が少ないので「えーとこっちではアレをしてて、こっちでは多分アレをしてるのか?」などと考えなきゃいけない感じが何だか「近未来のホラー映画」感があった。
何か、ダークウェブ自体や本編起きる事の説明するだけで長くなってしまい、映画の感想は数行だけになっちゃったな。まぁいいか‥。そこそこ面白い感じかな。
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そんな感じでした
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