gock221B

映画やドラマの感想ブログ 😺🐱 殆どのページはネタバレ含んだ感想になってますので注意 😺 短い感想はFilmarksに https://filmarks.com/users/gock221b おしずかに‥〈Since.2015〉

『ブライトバーン/恐怖の拡散者』(2019)/僕が苦手な悪い子供ホラーかつ露悪的スーパーマン映画だったが意外と面白かった👦

f:id:gock221B:20191115174343p:plain
原題:Brightburn 監督:デヴィッド・ヤロヴェスキー 製作:ジェームズ・ガン
脚本:ブライアン・ガン、マーク・ガン 製作国:アメリカ 上映時間:91分

 

 

 

前回の更新から最近観たそこそこ面白かった映画は「クリスマスに降る夜は」「いつかはマイ・ベイビー」「犬ヶ島」「スリーピー・ホロウ」「全員死刑」イマイチだったのは「イン・ザ・トール・グラス -狂気の迷路-」つまんなかったのは「貞子」。なんかどれもあまり感想書く気にならなかった。そういえば「ジョーカー」も観て面白かったけど既に大勢が感想書いてるし凄い好きというわけでもないので特に書かなくていいか‥という感じ。昨夜観た本作は公開されたばかりの新作だし感想書く事にした。
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズや「スーパー!」でお馴染みのジェームズ・ガン制作、そしてジェームズ・ガンの兄弟が脚本‥というガッツリとジェームズ・ガン企画なため「ジェームズ・ガン制作!」って事を全面に押し出して宣伝してるため、映画の監督が誰か一々調べないライト層からはジェームズ・ガンの新しい監督作だと大いに勘違いされてる本作(「ホステル」がタランティーノ作品だと勘違いする人が多いのと同じ)。
アメリカ本国ではコケた上に批評家からもオーディエンスからも低評価。しかも僕こういう「悪いスーパーマン」ものみたいな90年代アメコミで流行ったようなスーパーマンプライムみたいな露悪的なキャラは嫌いだし子供が悪いことするホラーも嫌いなので、観る予定なかったが、たまたま暇を潰さなくてはいけない時に居た街でやってたから観た。ちなみに本作には原作がないからアメコミ映画でもない。あくまで「地球に落ちたスーパーマンが悪い子だったら」というだけのオリジナルなホラー映画。
ネタバレあり

 

 


田舎に住む善良な夫婦と、夫婦に拾われた12歳の息子ブランドンの話。
夫婦の妻の方はジェームズ・ガンの長編デビュー作「スリザー (2006)」でも主人公だったエリザベス・バンクスジェームズ・ガンは身内を大勢起用するからね‥。ジェームズ・ガン映画にいつも出てくるヨンドゥ役でお馴染みのマイケル・ルーカーもカメオで出てくる。
設定は完全にスーパーマンと同じ。
なかなか子供が出来ない善良な夫婦の家の近所に、謎の宇宙ポッドが墜落。
中に居たのがブランドン。宇宙ポッドは夫婦によって家の地下に隠してある。
12歳の誕生日が近づくと宇宙ポッドからの謎の電波によりブランドンのスーパーパワーが覚醒。
怪力。飛行。ヒートビジョン。超聴覚に目覚める(あと多分、冷気も使えるっぽい)。思ってた以上に何から何までスーパーマンの設定そのまま。DCコミックがその気になって訴えればスーパーマンのネガティブなパクリとして裁判で余裕で負けれるくらい同じ。
パッと見た感じ、スーパーマンよりちょい弱くてアイアンマンくらいの強さ?
ブランドンは突然、自分に備わったスーパーパワーに戸惑うが、すぐに子供らしく「自分はスーパー(特別)な人間なんだ」と増長し周囲の人間を見下し始める。
今まで良い子だったのに徐々に反抗的になる。
これは「可愛かった子供が反抗期になったら全く理解できないモンスターにしか見えなくなる」っていう両親の感覚をホラー映画化したものなんだろう。
両親はブランドンのベッドの下からエロい写真(女性用下着の広告)を発見。「あいつも性欲が湧いてきたかぁ笑」とか言ってると内臓?などのグロい写真なども所持しており、更にブランドンは飼ってる家畜の鶏を皆殺しにしたっぽく、息子の性癖が不安になる両親。完全にシリアルキラーの少年時代状態のブランドン。
パパはブランドンを狩りに連れていき「女の子の身体に興味出るのは自然なことだ」と性教育する。それを曲解したブランドンは、さっそく親切にしてくれていた好きな女子の部屋に勝手に侵入。後日、当然その女子はキモがったのでカッと来たブランドンは女子の手を握りつぶす。その後、好きな女子のママを疎ましく感じて速攻で惨殺。個人的には、ブランドンと女子は子供同士なので「女子の部屋に不法侵入しただけ」って描写に留まってたけど本当は「レイプした」と描きたかったんだと思う。
その後、ブランドンはちょっと変なんじゃないかと懸念した両親は、知り合い夫婦にカウンセリングを頼むが、ブランドンにすぐさま惨殺される。
都合の悪いことが起きるとすぐ惨殺してしまうブランドン。そしてそれを疑う者がいたら子供なのでバレバレの嘘をつく。更に追求されたら速攻で惨殺。この繰り返し。
周囲の人物がやたら死ぬので両親もさすがに異星人の子であるブランドンを疑い出す。
だがブランドンへの愛情が強いママはその疑いを自分の中で打ち消し、そのせいで惨劇が更に広がっていく。
 

 

 

そんな感じでどんどん酷いことが起こる。
というか、これは完全にスラッシャー映画だね。スラッシャー映画というのは「ハロウィン」「悪魔のいけにえ」「エルム街の悪夢」「13日の金曜日」とか、ああいう感じの異常な殺人鬼が連続殺人していくホラー映画のジャンルね。この映画はそれらと同じ種類の映画。ただ子供が‥「スーパーマンの子供時代めっちゃ悪い子だったら?」という種類の殺人鬼だというのが本作の独自性。他の殺人鬼より数十倍強いね。スーパーヒーロー映画全盛の今だからこそウケると思ったんだろう。
最初に言ったように、こういうDCコミックにおけるスーパーマン・プライム(別の次元のアホで残虐なスーパーマン)とか、まだ観てないけどアマプラの「ザ・ボーイズ」みたいに「傲慢な殺人鬼スーパーマン」っていう露悪的スーパーマンキャラは、あんまり好きじゃないので観る前は「このガキにムカつきそうだなぁ。ムカつくと不快だから嫌だな」と思いながら観たけど、ブランドンは早い段階で想像以上のモンスターになっちゃうので、こうなると天災と変わらないし未成熟な子供という事もあって、ムカつきはするが懸念してたほどはムカつかなかった。むしろ、ブランドンが悪い事してると信じたくないあまり彼の行いから目を逸らして気付かないようにしてるママの方にムカついた。そして、この子役がまた可愛さと不気味さの丁度いい塩梅の顔しててハマり役だった(「セッション」主演でお馴染みのマイルズ・テラーに似ている)。
割と最初から最後まで、観る前の想像通りのスラッシャー展開が繰り広げられるだけだしブランドンも全く好きになれない殺人鬼なのだが、これが不思議と面白かったのが意外だった。なんでだろ?単純に演出が上手いのかな。別にもう一回観ようとか映像ソフト買おうとかは全く思わないが観てる間は最後まで充分面白かった。アメリカ本国でコケた上に低評価だったので、てっきりつまんないのかと思ってたが意外と面白かった。
むしろ何でヒットしなかった上に低評価だったのか、その方が知りたい。
「ザ・ボーイズ」は人気なわけだから、やはり子供が殺しをしたり逆にその子供を殺そうとする大人の場面があるから観客が嫌ったのかもしれない。僕はというと早い段階でスーパーヒーローものではなく只のスラッシャー映画だと思って観たので、そうすると本作はスラッシャーホラーの中では相当面白い部類に入るので僕の評価は高かった。
ネタバレするとこのガキが惨殺しまくってそのまま逃げおおせてしまう。そしてガキが更に大暴れしてる様子をビリー・アイリッシュの「Bad Guy」に乗せて見せていって終わり(ビリーアイリッシュ凄い好きでこの曲もほぼ毎日聴いてるんだが、好きになれないブランドンの犯罪に乗せて流れるので複雑な気持ちになった)。メタヒューマンによる犯罪だと気づいてるのはマイケル・ルーカー演じる作家だか学者っぽい人のみ。この子がスーパーパワーを持ってるらしきことは両親しか感づいてなかったし両親はそれを誰にも言ってない。自分ひとりでその片鱗を嗅ぎ取った有能な警官もブランドンに一瞬でグチャグチャにされて即死。銃撃も効かない。スーパーマンで言うところのクリプトナイトに相当する弱点を、ママだけは知ってた。だけどそのママも誰にも言えなくなってしまった。ブランドンはしばらく安泰だろう。
ムカつくツラのガキが殺しまくって一切罰を受けずに終わっちゃうのが低評価の原因だったのかな?この子が何で悪くなるのか原因があるのかと思ってたら(たとえばいじめられるとか大事にしていたガールフレンドやペットを殺されるとか)一切なしでいきなりピュア・イーヴィルになっただけだった。この子の母星がめっちゃ悪い奴らばかり版のクリプトン星で、邪悪な心を忘れてたブランドンを電波で邪悪さを目覚めさせたんだろう。説明ないので推測するしかないが多分そうだろ。
映画は面白かったがブランドンが殺人を謳歌して終わるので、ヘイトを溜めたままスッキリしない帰宅を強いられた。
そういった感じであまり好きになれないにも関わらず最初から最後まで凄く面白かった。主観的な「面白い・面白くない」と「好き・嫌い」そして客観的な「高評価・低評価」、この3つは分けて考えるべき。それを自分の中で測ると「面白いけど好きじゃない、でも高い評価の映画」という結論。
しかし、本家本元のスーパーマン映画が全く上手くいってないのに、こんな悪いスーパーマン映画を作られても‥という感じはした(勿論、DCワーナーと本作は何の関係もないのだが)スーパーマン映画がMCUみたいに大ヒットしてる中にカウンターとして本作が公開されたのならともかく、劇場に明るく正しいスーパーマンが不在でこんなクズ子供スーパーマン大暴れ!を見せられても不快だなぁ。しかも制作したのはDCのライバルでDCに大きく大勝してるMCU中心人物の一人ジェームズ・ガンなのも少しモヤモヤする。僕はジェームズ・ガンの大ファンだし完全にMCU派だけど「こんな悪いスーパーマン出したければオリジナルじゃなくてガーディアンズとかに出せばいいじゃん‥」と思った。オリジナル作品とはいえ完全に「スーパーマンを悪くしたキャラ」だというのは一目瞭然だからね。それをするのが悪いわけではないが少しモヤモヤする微妙なところ。
というか何度も言ってきたが「スーパーヒーローが悪かったら?」という高2病的テーマがそもそも苦手。こんなのは普通のヒーロー映画の敵として出してサラッと処理して、それで終わりでいいだろ(たとえばDC映画ならスーパーマンプライム出すとかMARVELならセントリー出すとか‥)。こういう、スーパーヒーロで不必要な暴力とかセックス描写、シンプルな正義の否定とか勧善懲悪アンチみたいな‥そういうグリム&グリッティ的なノリは苦手なんですよね。こんなテーマは大して面白くないから、さっさと済ませて普通にポジティブなヒーロー映画を作って、その中で表現して欲しいところ。こんな露悪的なメタヒューマンをメインディッシュに据えたら、ヒーローあんまり好きじゃない奴が観て「そうだそうだ!スーパーマンとか実際居たらヤバくね?!」とかアメコミが30年前くらいに通過した事を今更大声で言いだす、そんなアメコミ反抗期みたいな奴が増えたらウザいな‥と不安に思った。‥しかし、そんな事まだ誰も言ってない。誰も言ってないのにそんな奴の台詞を勝手に想像して怒るのはパラノイアっぽいし、あまり良くない状態だ(よく言うだろ?パラノイアパラノイアを知るって)。
今思ったが、そういうグリム&グリッティ的な展開が流行る時期を個人的にアメコミの思春期と呼んでるが、しかしアメコミは数十年前に通り過ぎたアメコミ思春期を「アメコミ映画」はまだやってなかった。だから今「ザ・ボーイズ」とか本作でやってるのかもしれんね。それならさっさと済ませて、そして次のフェイズに移行してほしい。

※追記
f:id:gock221B:20191127211522j:plain
「最後のおまけでちょっとしたサプライズがある」と聞いてたが実際に観て「あぁ、お友達のマイケル・ルーカーが出るってだけね?そして他にも悪のメタヒューマンがいっぱいいるっていう続編へのヒキね。だけどブランドンはムカつくし続編は特に要らないよ」と思ってたが、この上の画面の左下見ればわかるように六人の悪魔超人の画像の中にジェームズ・ガン監督作「スーパー!(2010)」の主人公クリムゾン・ボルトがいた!劇場で全然気づかなかった。しかも絵とかじゃなく写真だし明確に「スーパー!」世界と繋がってるって事だよね。僕「スーパー!」めちゃくちゃ好きなんですよ。好きな映画ベスト10に入るし下手したら「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」と同じかそれ以上に好きかもしれん。
マイケル・ルーカー演じるYoutuber?が言う悪魔超人は、まず本作のブランドン(スーパーマン)、腕をクロスして縄を持つ怖い女(ワンダーウーマン)、不気味な半魚人(アクアマン)、マント付けたグレイ型エイリアン(マーシャン・マンハンター?)。どうやらジャスティス・リーグのホラー版パロディっぽい。となるとパワーを持たない狂人クリムゾン・ボルトはバットマンのポジションでしょう!あと一人伏せられてるのは誰だろう。フラッシュ?グリーンランタン?いや、隠してあるって事はもっと驚く凄い奴なんだろう。
恐らくチームを作るが「なんやこいつら悪人やないか!」と気づいたクリムゾンボルトが全員レンチで惨殺する展開に違いない!無敵のブランドンも宇宙船の素材でレンチ作って殴れば殺せる。クリムゾンボルトがブランドンをグチャグチャに‥これは絶対に観たい!きっとマイケル・ルーカー演じる狂ったYoutuberとも共闘してくれるに違いない。「スーパー!」と繋がってると知ったら70点くらいだと思ってた本作の評価が、ただそれだけの事で80点くらいに急上昇した。
本作はコケたもののソフトの売上などを考慮すると収支トントンにはなるらしく続編を作ろうと思えば作れるみたい。そして最近ジェームズ・ガンは「僕は『ザ・スーサイド・スクワッド』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.3』監督するから続編の監督できんが制作なら出来る」と言ってる
この「ジェームズ・ガン・ユニバース」を逃せば、もう一度クリムゾン・ボルトの勇姿を観る機会なんて永久にないだろう。
さっきまでは「面白かったけどブランドンの顔ムカつくから別に続編やんなくていいよ」とか思ってたが今はもう続編が絶対に観たくなっている。新スースク、ガーディアンズ3もそうだがガンには期待しかない。

 

 

そんな感じでした
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)/この一ヶ月くらい何度も観てるうち物凄い好きになった🦝 - gock221B
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)/誰もが欲しがる強大なパワーを自ら棄て去るスターロードのカッコよさ🦝 - gock221B
『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)/前作とハーレイ単独作で上手くやれなかった部分を全部こなすガン監督。そして本作そのものより魅力的なピースメイカー⭐ - gock221B
『アイ・アム・グルート』(2022) 全5話/面白いとかつまらないとか以前の話で完全に幼児向けで無味無臭。それより異常に神経質なまでに「誰も死んでませんよ!」と全話で示してくる勢いが凄い!🌳 - gock221B
『ピースメイカー』〈シーズン1〉(2022) 全8話/「過ちを犯したクソ野郎にも更生の余地はあるのでは?」とジェームズ・ガンが問いかける傑作ドラマ🚽 - gock221B
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー/ホリデー・スペシャル』(2022)/暖かい楽しさ!その一方で少年期のトラウマに対峙する以外させてもらえないスターロードと現実のバッシングを反映してずっと暗いままのクリプラ。中年なのでヒーローがキツくなってきたがX-MENまでは頑張る話🦝🎅🎄 - gock221B

👦👦👦👦👦👦👦👦👦👦👦👦👦👦👦👦👦👦👦👦👦👦👦👦👦

Brightburn (2019) - IMDb

www.youtube.com

f:id:gock221B:20191115183715g:plain

#sidebar { font-size: 14px; }