gock221B

映画やドラマの感想ブログ 😺 殆どのページはネタバレ含んだ感想になってますので注意 😺 短い感想はFilmarksに https://filmarks.com/users/gock221b おしずかに‥〈Since.2015〉

『トゥインクル・トゥインクル・キラー・カーン』(1980)/映画の半分以上は退屈なんだが最後に爆発して一気に面白くなって終わる映画✨

f:id:gock221B:20200624224809j:plain
原題:The Ninth Configuration 又は Twinkle, Twinkle, "Killer" Kane
監督&脚本&制作&原作&出演:ウィリアム・ピーター・ブラッティ
製作国:アメリカ 上映時間:118分

 

 

 

「観たことないし一体どんな内容の映画なのかサッパリ知らんが異常にかっこいいタイトルの映画」として長年、脳内に積んでたこれをやっと観た。
映画『エクソシスト』(1973)の原作者、そしてその不気味な続編『エクソシスト3』(1990)を原作だけでなく監督&脚本&制作を務めて映画化もした作家ウィリアム・ピーター・ブラッティ長編映画デビュー作。『エクソシスト』『エクソシスト3』共に究極の光と闇の戦いを描いていた。
ブラッティが監督した『エクソシスト3』のハサミ看護士のシーンは有名で、黒沢清が『CURE キュア』のラストで似たシーンを作り最近では『死霊館のシスター』がモロにパクってた。やたらパクられるがエクソシスト1の陰に隠れてあまり話題にならない印象。
それにしても本当にかっこいいタイトルだ。「きらきらひかるキラー・カーン」といったところか。「トゥインクルトゥインクル」という女児的な可愛いキラキラ☆の後に対象的な「キラー・カーン」という恐ろしげな名前が続く……本当にかっこいい。
詳しいことはよくわからんが最初は『Twinkle, Twinkle, "Killer" Kane”』だったが途中で『The Ninth Configuration』に変わったっぽい。トゥインクル……の方が絶対いいのに。
今回は古い映画なので完全に全部ネタバレありスタイルで

 

 

 

人里離れた山中にある古城を利用した軍の施設。そこにはベトナム戦争で精神に異常をきたしたアメリカ兵を始めとして、ロケット発射直前に恐怖のあまり発狂したアポロ宇宙飛行士ビリー・カットショー大尉もいた。
その療養所に精神科医ハドソン・ケーン大佐(ステイシー・キーチ)が着任して新しい管理人となる。ケーンと患者たち以外は軍医とまとめ役っぽい軍人だけいる。
ケーンは我慢強くて真面目な軍人だが何だかあからさまに秘密がありそうなので「何か後半で起こりそうだな」という予感をはらんだまま後半までは古城内部でケーンと患者たちとの日常生活が描かれる。
PTSDで精神を病んだ患者たちだが、どちらかというと幼児みたいに描かれており、しょうもないいたずらをしてはケーンが真面目くさった顔で我慢する、という描写が続く。だが正直言って全然面白くないので苦痛。似たように軍人がブラブラしてるブラック・コメディ映画といえばロバート・アルトマンの『M★A★S★H マッシュ』(1970)が面白くて大好きだったけど『MASH』は登場人物が健常者だったので話の道理が通ってるのだが、本作の場合まるっきりイカれてる奴らが好き勝手に支離滅裂にわめいたりイタズラしてるだけで話が繋がらず、それをケーンが真面目くさった顔で見てるのだがコメディとしての可笑しさも全然ないし正直かなり退屈。映画の半分以上はそんな感じ。
ケーンはよく悪夢を見る。元宇宙飛行士カットショーの話を聞いたからか月面の夢を見るほか、ジャングルでの恐ろしい悪夢を何度か見る。目覚めたケーンは軍医に「他人の悪夢を見た」と語る。またケーンは、戦場で凄まじい数の殺人をして自殺した兄弟が居たという。どうやら、この辺が重要なポイントのようだ。またケーンは時折すごく恐ろしい形相になってる時がある。
カットショーはケーンに執拗に絡んでくる。絡んでくるのはいいが発狂してるせいか書類とか机とかやたらとひっくり返すのでケーンもしんどいな。
どうも話を聞くとカットショーは何もない宇宙に何度も打ち上げられて虚空を彷徨ってる間に人類の孤独さを感じ、またそんな感じでメンタルが弱ってる時に人類の悪徳さを感じ取り合わさってスパーク、恐怖となり発狂してしまったっぽい。
ケーンはカットショーを連れて教会に行ったりして「この世には愛がある」「この世には愛を持った人も僅かだが居るんだ」という事を訴え、愛によってカットショーを癒そうとする。最初はケーンに反発していたカットショーも少しづつ熱心で粘り強いケーンを信頼し始める。
そんなクライマックス直前にケーン大佐を知る兵士がこの療養所に送られてきた事でケーン秘密が明らかになる。実はケーン精神科医ではなく間違えて召喚された兵士だった。そしてケーンベトナムで敵兵はおろか女子供まで皆殺しにして「キラー・カーン」の名で呼ばれた狂気の殺人マシーンだったのだ。
己の罪に恐怖したケーンは殺人兵士キラー・カーンとしての忌まわしい人格を「恐ろしい兵士だったが死んだ自分の兄弟」という別人格として葬り去った。
この古城の軍医は実はケーンの主治医だった。軍医は「ケーンをこの療養所の責任者である精神科医を演じてもらい、彼と同じく心を病んだ患者たち治療することでケーン自身の精神も癒やされるだろう」という目的でそうしていたのだ。
さっきも言ったように、この映画の半分くらいまで正直かなり退屈だったが「ケーンも患者だった」という秘密が早めに明かされたことで白目むきがちだった僕の目も元に戻った。

 

 


だがケーンの正体にショックを受けたカットショーは城を飛び出し、バーで飲んでいるとタチの悪い暴走族に「逃げ出した宇宙飛行士だ」と素性がバレて絡まれる。
この絡まれ始めて空気が変わり、ここからラストまでは面白すぎる。というか、前半のコメディシーンのつまらなさと後半のリンチの場面の上手さの差が凄い。
集団でキャッチボールみたいに扱われたり酒をかけられたりする、というリンチ寸前の子供のいじめみたいなウザ絡み。通報を受けたケーンはカットショーを助けに行き、連れ帰ろうとするが当然ケーンも同じく絡まれる。暴走族はケーンに、自分自身を卑下する台詞を3回も言わせたり床にこぼしたビールを舐めろと命じる。ケーンは持ち前の我慢強さで言われるがままにする。だが最初からリンチする事は決まってるので暴走族は彼らを帰さない。いや、むしろケーンが言うことをほいほい聞くので余計に腹を立ててるかもしれん。
ケーンが下手に出てやってるのに暴走族は彼らを開放せずカットショーを殴って床に倒し男性器を咥えさせようとする(この暴走族はレザーを着て、やたらと彼らにキスしたりフェラさせようとするのでハードゲイ設定なのかもしれない)。
さすがのケーンの我慢も限界。封印されし殺人兵士キラー・カーンが目を覚まし、暴走族リーダーの手を掴んでリーダーが持ってるビールのジョッキごと手を握り潰す!(凄くカッコいい怒り爆発シーン)。手がグシャグシャになって悲鳴を上げる暴走族リーダー。
このキラー・カーンを演じてる俳優の睨み顔がダークサイドに堕ちたクリストファー・リーブみたいでめっちゃカッコいい。
「舐めてた腰抜け医師が歯向かってきやがった!」と逆上してケーンに襲いかかる暴走族達。だが彼らが襲いかかったのは忍耐強い精神科医ケーンではなく、ベトナムで千人近くを虐殺した殺人マシーン”キラー・カーン”だった。
キラー・カーンは暴走族を男女の区別なく皆殺しにする。「怒って理性を失った上に良心を持たないランボー」みたいなもんなので暴走族に勝ち目はない。キラー・カーン素手で一人一撃で殺していき、一瞬にして皆殺しにする凄まじい殺傷力。いじめシーンの描写や執拗さが最高に上手かった末の皆殺し。店内は右にも死体!左にも死体!バーカウンターにも死体!どこもかしこも死体だらけだ!はっきり言って気持ちよすぎる。
最近の映画だったら暴走族にも、もう少し人間味を持たせて描くだろうが、これは1980年の映画なので暴走族に「悪い」以外一切の人格はない。『北斗の拳』のモヒカンみたいな「躊躇なく惨殺してOKです」として出てきた悪人。なのでスッキリした(スッキリ)。だからと言って「昔の映画は今と違って善悪がはっきりしてて良かった!」などと老害みたいな事が言いたいわけではない。時代と共に表現は変わるので昔と今を比べてそんな事は思わない、特に今と昔を比べることなく昔の映画を観てスッキリしたというだけの話。
自分がキラー・カーンだった事を思い出してしまったケーンは人生に疲れ果てた。だが疲れただけでなくショック療法でカットショーを癒そうと命を絶ち、ケーンの愛は見事カットショーは正気を取り戻す。立派な軍人へと返り咲いたカットショーは今では無人となった、かつての療養所……古城を訪れる。カットショーは古城にて、殺人者キラー・カーンを倒して今や本物の天使となったケーン大佐の意思を感じて、この残酷な世界に愛がある事を確信して笑顔で去る。誰も居なくなった古城に”トゥインクル・トゥインクル・キラー・カーン”の気配だけが残り映画は終わる。
……こうして観てみると、この映画もまた『エクソシスト』『エクソシスト3』同様、究極の光(ケーン)が究極の闇(自分自身……キラー・カーンの人格)に打ち勝つ話だった、ちなみに暴走族たちは闇ではなくケーンキラー・カーンを倒す途中に塞がった石……ただのきっかけに過ぎない。
本編の殆どの時間が退屈だったが後半、まるで別人が撮ったかのように面白くなる不思議な映画だった。「最後に爆発させるためのタメとして前半つまんなかった」とかじゃなく真面目にやったけど愉快にならなかった系のつまらなさだった。だが後半は文句の付け所がない面白さ。「前半の非日常空間での日常描写は全部いらなくね?」とか「患者キャラはカットショー1人で良かったんじゃない?」とかも思ったが、まぁ映画は最初の半分くらいつまらなくても最後に爆発すれば元が取れた気分になるので、面白くて良い映画だったってことで一つ。

 

 

 

そんな感じでした

✨✨✨✨✨✨✨✨👨‍🚀✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨

The Ninth Configuration (1980) - IMDb

www.youtube.com

Amazon: トゥインクル・トゥインクル・キラー・カーン デラックス版 Blu-ray

f:id:gock221B:20200624224851g:plain

#sidebar { font-size: 14px; }