gock221B

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『エノーラ・ホームズの事件簿』(2020)/正攻法の面白さだし色んな痛快描写が全部ストーリーと結び付いてるから近年の変則ホームズの中で一番好き🔍

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原題:Enola Holmes 制作&主演:ミリー・ボビー・ブラウン 監督:ハリー・ブラッドビア 脚本:ジャック・ソーン 原作:ナンシー・スプリンガー 動画配信サービス:Netflix 製作国:イギリス 配信時間:123分

 

 

 

更新が一ヶ月くらい空いたが映画とかは色々観てた。ただどれもあまりブログになんか書く気が起きなかった間に間が空いた。そういえばブログ書くのが面倒な映画はFilmarksに手短に書いてます。あと韓国人の歌手件音楽プロデューサーのJ.Y.Parkにはまって彼目当ての一環として『Nizi Project』全話一気観とかしてた。
このネトフリ映画は、アメリカの作家ナンシー・スプリンガーによるミステリーヤングアダルト小説シリーズ「エノーラ・ホームズの事件簿シリーズ(2006-2010)」の映画化。主人公の少女エノーラは、シャーロック・ホームズの妹。シャーロックは勿論コナン・ドイルの作品だが、この原作小説シリーズは所謂パスティーシュ(既にある作品をいじった作品、ホームズとかクトゥルー神話によくあるやつ)。ホームズ周りの設定はコナン・ドイルの原作だが、このエノーラという主人公はこの作者の創作。ヤングアダルトというのはアメリカのティーン向け小説……雑に言うとアメリカのラノベみたいなものなのかな?
この映画は劇場公開用に作られたが新型コロナウイルス感染症流行のため劇場公開は断念されてNetflixが配信権を獲得して配信されたものだと今検索して知った。これ観ながら「ネトフリ映画の割に金がかかり過ぎてない?」と思ってたら劇場用公開作品だったから豪華だったのね。
ストレンジャー・シングス 未知の世界』主演でお馴染みのミリー・ボビー・ブラウンが制作&主演したらしい。まだ10代なのにトム・クルーズシャーリーズ・セロンみたいに自己プロデュースまでし始めて恐ろしい子。僕はミリー・ボビー・ブラウン好き、いつも演技するのが大好きっていう活き活きしたオーラをばんばん出しつつ演じてるから観てて楽しいし、シャーロック・ホームズも全巻読んでるしシャーロック役のヘンリー・カヴィルも好きだし、好きなものが重なってるので本作の配信は楽しみにしてた。
ネタバレあり

 

 

名探偵として既にイギリス全土にその名を轟かせているシャーロック・ホームズヘンリー・カヴィル)。そのシャーロックとは20歳近く年の離れた妹エノーラ・ホームズ(ミリー・ボビー・ブラウン)が主人公。
彼女の父は幼い頃に亡くなっており、長兄マイクロフト(サム・クラフリン)とシャーロックもかなり以前に家を出て独り立ちしているため、エノーラは兄たちと殆ど接しておらず物心ついた時から母ユードリア(ヘレナ・ボナム=カーター)と2人暮らしだった。
ユードリアは当時としては風変わりな活発で自立した女性でエノーラにも学校に通わせず自宅で学習させ文学、スポーツ、武術、科学、謎の解き方……など、当時のイギリスでは女性には必要ないとされていたであろう事を中心に教えていた。
ある日、突然ユードリアが忽然と姿を消していた。
エノーラと母は仲良しだったが、母はたまに女性たちを集めて秘密の会合を開いていた。エノーラは母の蒸発には何か訳があると考えた。
そこへマイクロフトとシャーロックが久々に帰ってくる。マイクロフトは蒸発した母の遺産を受け継ぎ、エノーラを「きちんとしたレディ」にするための寄宿学校に入れようとする。エノーラはそんなマイクロフトに反発し、母が自分に遺していたヘソクリで家出し母を探す旅に出るが道中、公爵家の子息テュークスベリー卿をめぐる事件に巻き込まれる。
……という話。
女性作家が書いた女性主人公の小説で大金持ちの少女が賢くて活発で親友のように仲のいい母に自立した女性として闘う英才教育を受けて育ち、お話に邪魔な父親は既に死んでて兄はスーパーヒーローのシャーロック・ホームズ。それを女性子役ミリーが制作&主演で作ってホームズ役はヘンリー・カヴィル。貴族の美少年と知り合ってエノーラは探偵初デビュー戦で彼を助けて良い感じになりエノーラは事件も解決!名探偵の兄シャーロックは「我が妹やりおるわい笑」と静かに妹の勝利を称える……と、なろう小説的というか夢小説的な女の子無双状態がかなり凄い。だが英雄的な主人公が活躍するフィクションはなろう小説的なものだし、これでつまらなければ目も当てられない恥ずい事になるが本作は面白かったので全然OKだ。
兄のシャーロックは、自分と似ている妹を内心、好ましく思いながら離れた位置で見守っている。父は居ない。というわけで長兄マイクロフトが「女は女らしく上品にして、さっさと嫁に行け!それがお前の幸せや!」といった旧態依然とした頑固親父みたいな損な役回りを一手に担わされていて「マイクロフトってこんな奴だっけ?」と少し気の毒。別に父を殺さず生かしておいて男尊女卑の頑固親父役にしとけばよかったのでは?と思わなくもなかった。

 

 


ミリー・ボビー・ブラウン演じるエノーラは劇中、第四の壁を破って「私はこうやってママに育てられたの」「これも出来る!これも得意!」「……見ての通り自転車に乗るのだけはちょっと苦手」「うーん……この謎どうすればいい?あなたにわかる?ん?」などと頻繁にカメラを見て視聴者に話しかけてくる。とても魅力的。
自分で制作しただけあってミリー・ボビー・ブラウンはいつものように実にエノーラ役を活き活きと演じている。女性の社会進出というテーマだし少女エノーラが戦闘もできるヒーローで男のテュークスベリー卿が武力のないヒロイン役というのも今的ですね。
家出したエノーラは自分と同じ様に家出中だった公爵家の子息であるテュークスベリー卿と知り合い彼が危険な目に遭っていたので反射的に助ける。貴族なのでやや傲慢なところはあるが家や風潮に流されない自分自身の考えを持つ彼にエノーラは惹かれるが、母探しが忙しいから一度は別れる。だがテュークスベリー卿はガチで命を狙われている事を知る。家出中のテュークスベリー卿は暴力に逆らう力を持っていない無力な少年、一方自分には母から学んだ戦闘力や知恵がある。だからエノーラは彼を助けに行く。ここで利他的な正義のために命をかけて身を投じる事のできるエノーラのヒーロー性が生まれ新人探偵エノーラ・ホームズが誕生する。まぁほんの少し話して気が合っただけの少年のためにまだ10代の少女が命がけで闘うというのは無理がある気がしなくもないが、そこは「シャーロック・ホームズの妹」という特別性そして彼女の純粋さ故という事でよしとしよう。
エノーラは母から学んだ知識で謎を解き、母の仲間である黒人女性柔術家から習ったバリツならぬジュージュツでテュークスベリー卿の命を狙う暗殺者と死闘を繰り広げ、やがて事件を解決する。
解決するとテュークスベリー卿を狙っていた敵は、実は自分たちが生きている世界そのもの=イングランドの一端だったというオチの切れ味も良かったのでメアリー・スー的な少女無双設定に疑問を持つ事もなく楽しめました。
終盤、テュークスベリー卿が撃たれた?!という時、急にマカロニウエスタン風BGMが流れるな、と思ったら『荒野の用心棒』的な方法で彼は難を逃れていた。
彼はエノーラに最初「幼い頃、崖っぷちで助けた小動物」に重ねられるほどか弱い存在だと思われてたが彼もまた、ただ守られるだけの「お姫様」ではなく自立した賢い少年だった、という事を示す場面で良かった。彼が最初出てきた時「フェミニズム的なことを打ち出す女性ヒーローものなのにイケメンと出逢う恋愛要素はいらなくない?」と一瞬思ったのだが、想定されたメインターゲットの読者&視聴者である若い女性が自己実現と同時に素敵な異性に出会いたいと思うのは普通のことだし何か最近、女性が闘う話なのに目的と関係ない恋愛要素が入ると癖で条件反射で批判しそうになるが、そもそも「恋愛要素を入れる=女性の自己実現を描くにあたって適切でない」という事にはならない。
エノーラは分かれ道の場面で母の「人生の岐路どちらを選ぶかは自分で選べ」といった台詞を思い出し自発的に行動している。エノーラの動きを追っていくと「自分は独り立ちして兄のような探偵になりたいし母も見つけたい。それは別として良い感じの彼と知り合ってお互い助けあった。自分の自己実現と彼との恋愛は関係ない。だが彼は国を巻き込んだ陰謀に巻き込まれてるから私は彼を助ける。それは自己実現に繋がるし恋人になるかもしれない彼を救うことにもなるし、ひいてはこの世界を救うことにもなる」といった一石三鳥な感じがする。恋愛映画じゃないエンタメ作品で男女が恋愛を始めたらうっとうしく思うのは恋愛が主人公の目的と関係ないのにウケるから入れましたって感じが嫌だったわけだがエノーラの場合、脚本の都合に流されず「自分のやりたい事はやるけど、それはそれで別としてテュークスベリー好き……」そんな感じでライフワークと私情の恋愛を分けてごっちゃにしてない感じだったので好感が持てたのかも。むしろテュークスベリー卿の存在はそれを上手く表現できたので彼との恋愛描写はあってよかったくらいだろう。
この作品はさっき言ったテュークスベリー卿の『荒野の用心棒』オマージュのような痛快な描写を入れてくるのが上手かった。しかもそれはただのひけらかしのオマージュではなくストーリーとちゃんと結びついてるのでとても良い(というかむしろオマージュしたいだけのオマージュなんてクソしょうもないものですからね)。特に中盤、エノーラが暗殺者に刺された!?万事休す!?……と思ったら、その時エノーラは「女性を男社会の内側に縛り付けておくためのコルセット」を付けてたから刃が刺さらなかった、そしてエノーラが「このためにコルセット付けてたのよ!」と反撃に出たりして実に良い感じ。この作品は最近のアメリカ大作映画に多い妙に捻った展開とかサプライズは全く無い。映画が始まった瞬間に「こんな感じかな?」と思った想像通りに終わるだけ。ただ想像通りなもののその想像の各要素を本作は全部少し上回っている。そんな正攻法の真っ直ぐ面白い痛快フィクションって最近ないので好感を持った感じでした。一ヶ月くらいブログ書いてなかったので文章が堅いですね?まぁそれはいい。イギリスの古き良きエンタメ作品って感じで良かった。
でも別にこれは文句ではないのだが「面白かったけど、この『シャーロックの妹』って設定いるか?」と少し思った。エノーラの上位互換であるシャーロックが彼女を助けに来たらエノーラがする事なくなってしまうのでシャーロックは基本遠くで見守ってるだけ。つまりヒーローがアッセンブルして相乗効果で強くなるアベンジャーズと違って推理者である本作の場合、アベンジャーズのように素直な足し算ではない「一つの事件に使える人員は100。レストレード警部&警官隊は10。残りは90。シャーロックはレシオ数が90。エノーラは80。つまり『ホームズ兄妹のどちらか+レストレード』しか現場に出せない。ホームズ兄妹は足したら170なので現場のレシオ数を上回ってしまう」そういう事だ。レシオの説明はしないが大体わかるね?現場に一人しか投入できないホームズが男女一人づつ同じ世界にいるようなものだから兄妹を共闘させる事ができない。
何かわかりやすく考えを伝えようとしてるがブログしばらく書いてないせいで余計にわかりにくく書いてる気がしなくもないが構いませんね?
かといってエノーラを仕込んだのはママなので師匠ポジションでもない。男のシャーロックが師匠だと本作が目指してるガールパワーでガールクラッシュな作品にならないのでママが師匠じゃないといけない、だから「マスター・シャーロック」もないわけ。あまりにシャーロックが出来ることがなさすぎる。シャーロックができる事といえばちょっとだけ優しくしたりエノーラが活躍した後に「してやられたわい笑」と微笑むだけ。これ兄妹じゃなくてエノーラを「シャーロックが女だったら?」というキャラにして、マイクロフトを本作におけるシャーロックのような手助けはしないがエノーラに理解ある「やりおるわい笑」お兄さん役にして、マイクロフトが努めた古臭い頑固親父役はホームズ父にやらせれば良かったのでは?と少し思った。優しいおじさん役がマイクロフトなら、彼は探偵じゃないから見守ってるだけでも不自然でもないし。……だけど作者はホームズ好きだろうし、自分が作った女性主人公を活躍させてシャーロックに優しくされたり「やりおるわい笑」と褒められるってのがやりたい事だったのかもね。まぁ面白かったし別に本作の設定に特に文句はないので別にOKです。
そういえば最後の広場でのシャーロックの動きがよくわかんなかったけど、あれはエノーラが置いた松ぼっくりから彼女の「私は一人でやってくから放っておいて」的なメッセージを受け取って新聞売りに扮したエノーラを見逃したってオチなのかな?
あと母は危険な過激フェミニストだったけど「今回、世界を救ったのはあなたの方だったわね」とエノーラを称賛するラストも良かったです。「弱者が正しいことするには大声で物を言う必要があるが、そうじゃないやり方もある」といった少しだけママを下げて「今回は」エノーラが正しかったという客観的な結末の感じ?こういった頭ごなしに何かを肯定して何かを否定するというTwitterにいがちな1か10かで語るんじゃないグレーな物言いは好きです。何故かと言うと1か10かで語る人はバカみたいだし世の中のすべての真実はグレーだからです。
黒人枠にされてたレストレード警部が尋常じゃないほどシャーロックに詳しくてエノーラとシャーロックのトリビアで闘う場面も可笑しかった。この世界にもワトソンはいるらしいので続編が出来たら出てくるだろう。まぁこの辺の話題はホームズ好きのお姉さん方に任せよう。
近年の変則ホームズものといえば、ベネディクト・カンバーバッチの現代ホームズ『SHERLOCK(シャーロック)』、ダウニーJrのテンション高い『シャーロック・ホームズ』シリーズ、イアン・マッケランの老ホームズ『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』など多くあったが僕は本作が一番好きだな。

 

 

そんな感じでした

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www.netflix.com

Enola Holmes (2020) - IMDb
Nancy Springer | Legendary Fantasy Writer ※原作の公式サイト

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