原題:Eternals 監督&脚本:クロエ・ジャオ 脚本:パトリック・バーリー 製作:ケヴィン・ファイギ 原作:ジャック・カービー 制作スタジオ:マーベル・スタジオ 製作国:アメリカ合衆国 上映時間:157分 シリーズ:マーベル・シネマティック・ユニバース第26作目。『エターナルズ』シリーズ
冬来たる(Winter Is Coming)。
感想までの前置きが今回はいつもにも増して長いので感想だけ読みたい人は、ここ飛ばして数行の空欄の下から読んでください……最もこの部分も感想の一部だし、飛ばしてしまう人は映画感想TikTokとか映画感想Youtubeとか観終わっててここを読んでないと思うのでこんな気遣いは無用かもしませんが。
最初に書いときますがネタバレありです。最初の3分の2くらいまではあんまりネタバレせず終わりの方はネタバレありにした何となく。
✨MARVELスタジオ制作のMARVELコミックの実写映画化シリーズ、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)第26作目(Disney+のドラマ&アニメも合わせると通算・第30作目)。フェイズ4&ウェーブ2の3作目(Disney+のドラマ&アニメも合わせると通算・第7作目)。
ジャック・カービー原作『エターナルズ』の映画化。
ジャック・カービーはざっくり言うとキャップを産んだ人。他にも色々……。
ジャック・カービー - Wikipedia
あと絵柄に凄く特徴ある人で、僕は昔は「古臭い絵柄の人だな」と思ってたけど歳を取るごとにカッコよく見えてきて今では一番カッコよく見える。特にこの人が描くコズミック(宇宙)ものやソーなどの壮大なコミックのデザインが超カッコいい。独特の謎のメカやエネルギーと同時に描かれる謎の黒い球など痺れる。今までのMCUだと『マイティ・ソー:バトルロイヤル』のサカールのデザインが最もカービー。そして本作のエターナルズの幾何学模様やセレスティアルズのデザインなどカービーそのまんまで本当に痺れる。
🧠監督はこないだ作品賞と非白人女性として初めて監督賞を受賞したクロエ・ジャオ監督。僕は前日にその『ノマドランド』(2020)を観て本作を観に行った。ノマドランドも実に良い映画でした。主演のマクドーマンドは「ノマドのエターナルズ」として本作に出たり……は勿論しないがもし出てきても驚きはしない。
🧠本作の制作と配役が発表された時、マイナーなタイトル……というのは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)が既にあったので驚かなかった。マイナーなタイトルは言い換えればキャラに無茶させても怒られないし監督の自由度が高い。ジェームズ・ガンがガーディアンズ選んだのもDCEUでワーナーに「好きなの撮っていいよ」と言われたのに『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)を撮った理由と同じで、かなり自由に撮れるからだろう。エターナルズとか、今後他のMCUと一生絡まなくても構わないレベルなのでこの一作目で誰を殺しても怒られない。公開数日前に「別にMCUはどれもこれも三部作作るってわけじゃないよ」と言い出したので僕は正直、本作を観る前「これはセレスティアルズ追い返すためにエターナルズ全員死ぬかもな」と思ってた。ジェームズ・ガンもクロエ・ジャオも「ガーディアンズ好きだから」「エターナルズ好きだから」という理由でさおれぞのタイトルを選び、それも間違いないのだろうが「このマイナーチームなら自由に作家性を発揮させられる」という理由もあったと思う。
タイトルよりも驚いたのは配役だった。『ゲーム・オブ・スローンズ』〈シーズン1-8〉(2011-2019) から抜擢した二人(リチャード・マッデン、キット・ハリントン)は如何にもって感じ、マ・ドンソクやクメイル・ナンジアニはグローバルな感じにしていきたいMCUとしては納得。それよりもアンジェリーナ・ジョリーとサルマ・ハエック、この既に大スターの二人を入れてるのが凄くMCUっぽくなくて驚いた。今まで大スターを配するのは一回限りの出演で済むヴィランとか主人公の上司とかくらいだった、ヒーロー役にモロに大スターを当てるのは珍しい。ダウニーJr……は当時落ち目だったしエドワード・ノートンくらいか。
だがエターナルズはソー以上に神のようなヒーローなのでMCUらしくない有名人をキャスティングしたのかもしれない。それと試写で本作を観た人が「MCUらしくない」「DCっぽい」と言ってたが、それはこの「有名な美形の俳優を配役」したところと「神のようなヒーロー」って部分が非常にDCヒーローっぽいからだろう。
有名な美形俳優を配するのはDCEUっぽいし、ヒーローとしてもMARVELコミックは「親愛なる隣人」スパイダーマンを始めとして我々人間の延長の、悩みや生活感のあるヒーローが多い。対してDCコミックは真逆で、スーパーマンを始めとして「地上を闊歩する神々」って感じのヒーローが多い。……とかわざわざ言う必要ないくらいエターナルズはDCっぽい(というかカービーっぽいと言った方が正しいかもしれんが)。
🧠本作の公開直前、有名な映画批評サイト「Rotten Tomatoes」で本作の試写を観た欧米の評論家達の本作のスコアがめちゃくちゃ低かったことも話題になった。「批評家の評価なんてどうでもいいぜ!俺は俺の良いと思ったものにイイネする!」というのは別に僕も同じで、それを前提とした話なので興味ない人はここ飛ばしてください。……なんとMCU全26作品中最低の48%。
Eternals - Rotten Tomatoes
今まででワースト1のスコアだったのは『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(2013)の66%。「あ、あの、ダーシーとセルヴィグ博士とロキしか観るところのない『マイティ・ソー:ダークワールド』より下!?」と、かなりざわついた。僕は本作は観る前から絶対面白いと思ってて実際面白かった。それよりも批評家のスコアが死ぬほど低いのが凄く謎だった。観終わって一日経った今も謎だ。
これは「面白かったじゃないか!?やっぱ批評家なんてアテにならないぜ!」という単純な話ではない。何故なら批評家の評価というものには一定のクセがあり、別に「俺の評価」とは関係なくそれを指標に出来ていたからだ。「1丁目(批評家の評価)に行くつもりはないが1丁目の場所を知ってれば、2丁目(俺の評価)の方向が占える」と、そういった話してるわけです。
たとえば「批評家の評価は高いが、観客スコアは低い」という近年の映画で記憶に新しいのは『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)(批評家スコア91%、観客スコア42%)。これは僕も好きな映画じゃありませんが納得はできます。何故なら「過去のSWをぶっ壊す」「大柄アジア人女性をメインキャラにする」など批評家ウケする要素やチャレンジ精神があったからです、まぁ全部失敗してるし節穴だと思うけど、とりあえず批評家が褒める理由はわかりました。逆に「批評家スコアは低いが観客スコアは高い」で思い出す近年の映画で記憶に残ってるのは、続編が公開間近の『ヴェノム』(2018)(批評家スコア30%、観客スコア81%)。これもまた納得できます、寄生体ヴェノムの可愛さやトム・ハーディの魅力で楽しい映画だったけど新しい要素が何一つなく10年前の楽しい映画みたいだったからです、おまけにスパイダーマンと共演させたさすぎてヴェノムが人を喰う場面は映らないばかりか血の一滴も出ないという腰の引けっぷりでした。そんな感じで好き嫌いはともかく批評家のスコアから内容が伺える事はあったのですが本作は解せません。
だけど本作は観る前から「アカデミー賞獲ったばかりのアジア系女性」というクロエ監督。エターナルズのメンバーは「主人公ポジションはアジア人女性ヒーロー、黒人ってだけでなく養子まで育ててるゲイで大柄のヒーロー、アジア系インド人ヒーロー、アジア系マッチョ韓国人ヒーロー、子供のヒーロー、聴覚障害者のヒーロー、認知症のヒーロー、ヒーローの裏切り(←反転でネタバレ)、ヒーローの自殺(←反転でネタバレ)」……と今までで最もグローバルかつ多様性に飛んでいる。観る前「これで低いって事はよっぽど中身がつまらないのか?」と思った。別にクロエ監督が何から何まで全部やってるわけじゃなくMCUのスタッフによるアクション、CG、美術、衣装、音楽……等あらゆる要素は一定のクオリティある事はわかってるわけで「じゃあ脚本がすげぇつまらないのか?」と予想し、あと「わかった!今後のMCUへ繋がる要素や『ロキ』のマルチバースのようにMCU世界を広げるためだけのオタク要素が多いんだ!」「MCUいっぱい観てないとわからんような作品かも?」と思った。批評家は単体の映画として観れない要素を嫌う「誰も彼もがMCU好きと思うなよ?今後の準備なんて知るか!」と思いがちなのも批評家。『最後のジェダイ』高評価という逆張りなどはその典型。
だが実際に観終わったら、確かにMARVELオタ向け要素は今まで通りあったものの、むしろ他の作品より本作だけ観て他の観なくても成立するくらい優れたSFヒーロー映画だった。「広島への原爆投下を人類の愚行として嘆く」というアメリカ映画に滅多に出てこないアメリカ人のトラウマが出てきた時はめちゃくちゃ驚いた。決して『ヴェノム』のような楽しいけど保守的な映画じゃなかった。だから観終わると余計に評論家スコアがわからなくなった、公開されて一日経って観客スコア出たが高評価で(批評家スコア48%、観客スコア84%)という結果になった。長々と書いたが「なぜ批評家スコアが低いのかわからん」という結論。
ちなみに本作は「ゲイの男性同士のキスシーン」があるためサウジアラビア、クウェート、カタール、バーレーン、オマーンで上映禁止となり、原爆投下を嘆くシーンがあるため韓国の一部の人からバッシングされている。でも、これらの要素も批評家ウケしそうな要素なんだよね。まぁこの謎は引き続き調べます、というか別にどうでもいい。
👩🏻
人を超えたパワーで地球の人々を7000年以上に渡って護り、時には人類の発展を手助けしてきた10人の〈エターナルズ〉。人類が語り継いできた神話に出てくる神や英雄や妖精はエターナルズがモデルだった。
神のような力を持つ〈セレスティアルズ〉と呼ばれる宇宙の巨人の一人〈アリシェム・ザ・ジャッジ〉は様々な惑星に生命を誕生させてきた。地球の生態系を整えるための〈ディヴィアンツ〉が頂点捕食者となって人類を襲い始めたので、派遣された10人のエターナルズによってディヴィアンツは駆除され、現在のエターナルズは地球人に紛れて暮らしていた。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)で半分に減った地球の人口も元に戻り地球は平和な暮らしを取り戻していた、ある日ロンドンにて全滅させたはずのディヴィアンツが出現。ディヴィアンツを倒して異変を調査するためエターナルズは再結集するが、地球滅亡まで残された時間は7日間しかなかった―
そんな話。
アバンは、遥か太古に地球を訪れたエターナルズが各自、別々のパワーを観客に見せながらディヴィアンツを倒す。そして各時代の各文明で人類をディヴィアンツから護り、時には道具や機械を人類に教え発展させてきた。
各時代でエターナルズにどんな出来事があったのか、を見せながら現在の時間軸でセルシ(ジェンマ・チャン)を中心にエターナルズを再結集させていく。チームもの映画の基本ですね、設定やストーリーを説明しながら結集させて集まったところで敵を叩く。
本作の優れてるところの一つは構成だろう。過去回想での活躍とエターナルズを一人づつ再結集していってキャラを覚えさせていく。
アベンジャーズは大事なメンバーだから一人づつ映画作って『アベンジャーズ』一作目で結集した(それでいて、どの映画も未だに真似できてない)。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)は本作同様に全員初登場のヒーローを前半で五人結集して展開していくというチームもの鉄板の『七人の侍』方式。本作エターナルズの面々はガーディアンズの2倍の10人。はっきり言って観る前は「正直、多くない?5、6人が限度だろう」と思ったけど割とスンナリ全員受け止められた。こうなってくると21年前『X-メン』(2000)公開時に映画評論家の柳下毅一郎氏が「主人公が5人もいて、まともな映画なんて出来るわけない」とか言ってたのが懐かしい。
更に普通だったら最後に明かしそうな本作の秘密「エターナルズの正体」「セレスティアルズの真の目的」などは中盤で早々に明かされる。
クライマックス級の秘密が真ん中で明かされ、定番「七人の侍」展開が加速し、更に後半で「リーダーのエイジャック(サルマ・ハエック)の真の使命と彼女に起きたこと」が明かされ、エターナルズは突然判明した事態に挑む事になる。
MCU大好きだが10年以上もヒーローのオリジン(誕生譚)やヒーローチームのオリジンを何度もやってるから慣れきってたところもあったが、工夫した展開で最後までワクワクが途切れなかった。「ミステリー形式のオリジン」を展開して食傷気味の誕生譚を飽きさせなかった『キャプテン・マーベル』(2019)をチーム単位でやった感じだった。
それに、ここ最近のMCUでも顕著だが展開が早いのが良い。キンゴが映画をほっといて闘いに行くのを躊躇してると普通の人間である彼のマネージャー・カルーン(ハーリッシュ・パテル)が、そして同じく普通の人間であるファストスのパートナーが「闘いに行くべきだ!」と背中を押してくれる。そして関係者は皆エターナルズの正体を知ってるのが展開早くて良い。「実は俺は……超人なんだ」「嘘やろ!?」みたいなやり取りとかウンザリしますからね。セルシの彼氏デインは彼女の正体を知らなかったが5秒くらいですぐ受け入れる、理解が早いのは別の理由もあるのだがそれはまた別の話。
あと「エターナルズのテーマ」が「アベンジャーズのテーマ」級に覚えやすかった。
他に好きだったのは、アバンが終わってラストバトルまでの中盤の殆どの時間、画面がクリント・イーストウッド映画みたいに自然光を使った真っ暗な画面だった事。MCU大好きながら今まであまりに画面がディズニーっぽすぎてチャイルディッシュな雰囲気があったが、これくらい暗い方が大人っぽくてよかった。エターナルズは目からビームやスピードスターなどのTheヒーローな奴が多いので暗い画面でバランス取ってる気がした。大人と言えば今回はファストス(ブライアン・タイリー・ヘンリー)が同性のパートナーとキスしたり(中東五カ国で上映中止を喰らう重みあるキス)、セルシとイカリス(リチャード・マッデン)が性行為してたのもかなりアダルトなMCUっぷりでした(ほんの僅かにだが上下運動……FXXKしてた……)。
それと描写の良さではドルイグが隠遁してた森でディヴィアンツに噛まれたイカリスの暴れ具合。『レヴェナント:蘇えりし者』(2015)で熊に襲われるディカプリオをモデルにしたらしい(本当にディヴィアンツが只の熊みたいに描かれてる)、モデルといえばキンゴの指ビームは『幽☆遊☆白書』(1990-1994)」のファンであるクロエ監督が主人公・幽助の必殺技〈霊丸〉をモデルにしたとのことで伊達にあの世は見てないなと思いました。
イカリスは劇中でスーパーマンに喩えられてた(という事はこのMCU世界にはDCコミックがあるんだな)、スーパーマンにも似てるが何だかスーパーマンのカウンターとして作られた『ザ・ボーイズ』のホームランダーに似てる不穏な空気があるなぁと思ってたら……。原作だと彼が主人公でエターナルズ読んでない俺でもイカリスとセルシだけは知ってたので思い切った展開だなと思った。
最初に書いたが今回のヒーロー達は個性的なだけでなく、かなり尖っていた。
長くなって文章を組み立てるのが面倒になってきたので箇条書きというダサい書き方で書いて終わる。こっからネタバレばっかりになります。
〈エターナルズ〉
セルシ(ジェンマ・チャン)
アジア人女性ヒーローの主人公ポジション。分子変換能力を持つ心優しいエターナル。ギリシャ神話に登場する魔女キルケーは、セルシを見た太古の人間が語ったもの(という設定)。長年イカリスと夫婦だったが突然、姿を消した彼の代わりに地球人デインと交際中。二代目リーダーに任命されるが、仲間からは今ひとつ頼りないと思われており重用されておらず、終盤までリーダーだと認められない。ベッドシーンが有る。ジェンマ・チャン好きなので『キャプテン・マーベル』(2019)のミン・エルヴァ役で出た時は嬉しかったがどうって事のない雑魚でガッカリしてたらまさかの主役抜擢で嬉しかった。セルシはリーダーに選ばれるものの自己評価が高くないから強く発言できないというキャラ。「押さえつけられてたが跳ね除けたら最初から物凄く強かった自分が出てきた」というMCU初の女性ヒーロー主人公キャプテンマーベルがスーパーロボットだとしたらセルシはもっと細かいリアルロボットみたいな女性キャラ。セルシはディフェンス向きの能力だが何とか比類なき攻撃性を持った使い方ないかと考えたが手の周りの空気を真空に変えたらガイルみたいにソニックブーム出せる気がする。真空が前に飛んでくかどうかはわからんが。続編での活躍も期待。イカリス(リチャード・マッデン):原作での主人公。セレスティアルズの命令に忠実。飛行&怪力&目からビームを出すチームでも最強格のエターナル。ギリシャ神話に登場する天高く飛んで太陽に近づいて死んでしまう青年イカロスは、イカリスを見た太古の人間が語ったもの(という設定)。最強でカリスマもあるので次期リーダーだと思われたが違ったので戸惑っている。セルシと長い間、夫婦だったが突然姿を消した。怪力と飛行と目ビームという、早い話スーパーマン、実のところホームランダー。性行為シーンが有る。しかも「ヒーローの裏切り」「ヒーローの自殺」「スーパーマンのモデル」というヒーロー三大タブーも披露する。しかも裏切った後で最後まで裏切りを全うするでもなく号泣して「裏切ったけど自発的に改心する」というのも何気に今までに無い展開。そして人間から観たら裏切り、エターナルズの半数からしても裏切りだが大きな目で見れば彼なりの正義を遂行しているというキャラ。任務に忠実かつ自己評価高いがリーダーには元カノのセルシが選ばれてしまい「リーダーは俺しかおらんやろ!」という本心を押し殺し「……確かにセルシはリーダーにふさわしい。俺は応援する」という態度を取り繕っている。あからさまにキャプテンマーベルにパワハラしてたヨン・ロッグを紳士的かつ現実的にしたリアルな”強い”男性キャラ。ただの悪堕ちスーパーマンやホームランダーよりも繊細なキャラ。次作でも何とか新しいボディで出てきて欲しい、今度は皆を助ける役で。関係ないが彼は古代ギリシャのうっかり者イカロスのモデルだが、小学校の遠足のバスで、皆カラオケで歌謡曲とか歌ってたのに、一人真面目な男子がイカロスが天を目指して落下して死ぬ唄『勇気ひとつをともにして』を歌って変な空気になったの鮮明に覚えてる。誰かが滑った瞬間は全部克明に覚えてる。
エイジャック(サルマ・ハエック)
秘密を7千年抱えていたラテン系女性の見た目のリーダー。治癒能力を持つ頼りになるエターナル。ギリシャ神話に登場する英雄アジャックス(アイアース)は、彼女を見た太古の人間が語ったもの(という設定)。現在の時間軸ではディヴィアンツに殺害された遺体が見つかる……というところから始まる『ウォッチメン』的な幕開け。サルマはインタビューでエイジャック役で複数契約してると言ってたので続編で新しいボディでエイジャック再登場は確実。またサルマ・ハエックは20代の時から好きだが、今回エイジャック役を受けて「老いた売春婦またはステレオタイプのおばはん役だと思ってたから乗り気じゃなかったが監督がクロエ・ジャオでしかもスーパーヒーローのリーダー役だと聞いて驚いた」「撮影トラブルでショックを受けたクロエ監督を膝枕してリラックスさせた」「プレミアでラテン系少女が自分のコスプレしてて泣きそうになった」とか色んなエピソードが知れた。同時に自分は彼女を何十年も「セクシーな女優」としか思ってなかったんだなと思った。スプライト(リア・マクヒュー)
幻影を操る白人少女の見た目のエターナル。おとぎ話に出てくる妖精などは彼女を見た太古の人間が語ったもの(という設定)。子供の見た目なのに大人に恋して仲間を裏切って刺殺しかけて殴り倒される(人外キャラでなければかなり物議を醸しそう)。子供の外見なのでセルシと同居している。演じてる子役の彼女は体躯は子供っぽいのと相反して物凄く大人びた表情なのでピッタリ。観客を納得させると同時に彼女を苦悩(そしてエターナルズは成長しないという設定)から救うため、能力を剥奪され人間の少女となる。ファストス(ブライアン・タイリー・ヘンリー)
発明能力を持つ黒人中年男性の見た目のエターナル。ギリシャ神話の鍛冶の神ヘファイストスは彼を見た太古の人間が語ったもの(という設定)。黒人ってだけでなく養子まで育ててるゲイ男性でパートナーと五ヵ国を上映中止にした重みのキスシーンが有る。自分が教えた技術のせいで広島へ「原爆投下した人類(アメリカ人)の愚行を嘆く」という今までのアメリカ映画では決して描かれなかった前代未聞でタブーな場面。勿論そんな場面があるアメリカ映画もあるだろうけど、こんな大規模なエンタメ大作では観たことないので物凄く驚きました。この場面によって「日本を戦争の被害者に描いている!」と怒った韓国人の一部が怒っているらしく前述したゲイの件も含めてファストスはMCUで最も影響力あるヒーローになった。ユニ・マインドはハリウッドSF映画でありがちなWi-Fi通信的な超人連結パワーだったが原作の巨大な脳みそそのままの方がインパクトあった気もする。でもそれはキモいか。キンゴ(クメイル・ナンジアニ):アジア系インド人ヒーロー。幻影で皆を楽しませるスプライトに影響を受け、何世代にも渡る親族みな顔がそっくりなボリウッド俳優一族を偽装している。彼の指ビームは「幽遊白書」主人公の浦飯幽助の霊丸がモデル(クロエ監督自身は蔵馬オタ)。 只の人間なのに同行し続けるマネージャーのカルーンはデジカメを無限に所有できる能力者。登場人物みんな良かったけど僕が一番気に入ったのはこのキャラ(楽しいから)。色々ペアになってるがキンゴはマネージャーのカルーンと凄く良いコンビ。原作では鎧を着た侍みたいなキャラだったので日本人が出る機会が減って哀しいが、だがこのインド人キンゴが良いキャラ過ぎたので別に構わない。日本人MCUヒーローもまた別の機会に出てくるだろう。「セレスティアルズや尊敬してたイカリスに歯向かう事も、愛する仲間たちと争う、どちらも嫌だからラストバトルに参加せず去る」……という前代未聞の選択をしたヒーロー。ラストバトルに居ないのは寂しいが、ある意味バトルに参加してる以上に目立つ欠席とも言える。「エターナルズは適当に即席で作ったチームではなく色んな考え方を各自が持ってるんだ」というリアルさも産んだ。僕はこのキンゴが一番好き、幼い時にこんな叔父さんが居たような気にさせる何かがある。まともな仕事してなくて親戚から良く見られてないけど子供から見たら面白いし一緒に映画観たりゲームしてくれたりする最高の叔父さん……みたいな雰囲気がある。この演じてる人はドラックス役のバウティスタと共演して主役を張った『STUBER/ストゥーバー』 (2019)も面白かった。
セナ(アンジェリーナ・ジョリー):武器を自在に生成できる能力を持つ戦士。ギリシャ神話の戦略の女神アテナは、彼女を見た太古の人間が語ったもの(という設定)。原作ではサノスの従姉妹だったが本作では多分関係なさげ。メンバーの中でも戦闘力がトップレベルに強いと思われる強者だったが、記憶が膨大すぎるエターナルズだけが罹る病気〈Mahd Wy'ry〉という不治の病に罹っており時折、認知症みたいな状態になり敵味方の区別なく暴れてしまうバーサーカーと化す。セナをパワーで抑え込めるギルガメッシュによって長い期間、介護されて同居している。幼女と老婆を合体させたような不思議なキャラ、そんなキャラを世界最強の女ばかり演じてたし現在でも最強に近い位置にいる大物女優であるアンジーが演じてるという倒錯的魅力がある。しかも女優活動をあまりしてなかったアンジーは、この役を凄く気に入ってるのが印象的。今までみたいに「一人だけメイン」じゃなくチームの一人ってポジションを凄く気に入ってるよね。現在の映画界は「スターよりキャラクターの方が人気ある」時代に突入したが、彼女や彼女の元夫のブラピやデカプリオとかはキャラよりスターの方が強かった時代の末期のスターってイメージですよね。だから太古から地球に居た神のようなヒーローって役が最も似合ってるのはアンジー。病気のせいでアクションシーン少ないが本気出したらエターナルズ二人分のパワーを吸収したディヴィアンツのボス、クロを瞬殺した。
ギルガメッシュ(マ・ドンソクakaドン・リー):剛力のアジア系韓国人ヒーロー。古代メソポタミアの王ギルガメッシュは、彼を見た太古の人間が語ったもの(という設定)。マッチョだけどセナの介護をママのように長年し続けており料理も得意。ファンがマ氏に望んでる「力強いが可愛い」というキャラ。セナとは最もエモいペアとして早くも人気。セナをドルイグに任せて旅行に行ったりするところも風通し良くていい。仲間の戦士を知ってフライパンをダランと下げたので「あっ落ちる……」と思ったら、しばらくしてパイがズルリ……と落ちる様子が、仲間の死を受け入れられなかったが受け入れて落ちたって感じで良かった。続編でも新しいボディの彼が出てくるのは間違いない、きっと記憶がいじられててセナがそれを何とかするドラマがあるんだろうね。
ドルイグ(バリー・コーガン):ハイティーンの白人青年のような見た目で、大勢の人間を同時に操れる協力なテレパス。ひねくれた冷笑的ハイティーンの雰囲気なので裏切り者かとミスリードさせられたが実際は最も人間に情を寄せているキャラなのでギャップが有るのが魅力。マッカリに対する愛情も明るくていい。そんな事よりも子供(の姿をしたヒーロー)を石で全力で殴り倒すというヤバいシーンがある!(しかも正義)、マッカリと仲良しで、このコンビも人気(Drukkari というシップ名が付いた)。
マッカリ(ローレン・リドロフ):聴覚障害を持ち最も地球に詳しい黒人女性の見た目のスピードスター。ローマ神話マーキュリー又はギリシャ神話の神ヘルメスは、彼女を見た太古の人間が語ったもの(という設定)。エターナルズの宇宙船〈ドーモ〉に住んでいる。世界中の聴覚障害を持つキッズに勇気を与える。彼女のスピードスター描写はピエトロから進化してて非常にカッコいい。ドルイグと仲がよくて彼がやられそうになった時に声にならない叫びをあげるの可愛かった(Drukkari というシップ名が付いた)。
デイン・ウィットマン(キット・ハリントン)
セルシと付き合っている一般男性。だがセルシにも話してなかった正体は呪いの剣〈エボニーブレイド〉を持つアベンジャー〈ブラックナイト〉……のはずだがブラックナイトに成る直前で映画が終わってしまう。ラストバトルに加勢すると思ってたら、こんなに出番ないとは思わなかった。「ゲースロ」のジョン・スノウは、間抜けだが妙な魅力があって好きだったので戦うところが見れず残念だった。このキャラは居ても居なくても物語に何の影響も無いので、ひょっとしたらMARVELスタジオに「今後の前フリでデイン入れといて」と言われたキャラかも?ブラックナイトはジョン・スノウみたいに首にボワボワが付いててほしい。何にも知らないブラックナイト……
セレスティアルズのアリシェム
色んな惑星に生命を産む宇宙の巨人。MCUでは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)でコレクターが見せる太古の映像が初出、また惑星ノーウェアもセレスティアルズの頭蓋骨。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)に出てきたエゴもセレスティアルズ……には思えないが本人がそうだというので仕方ない。ガーディアンズでは「天界人(セレスティアル)」という「ONE PIECE」の天竜人じみた変な名称だった。「今後もずっと出てくるのに変な名前付けてどうすんやろ」と長年、注視してたら遂にガッツリ登場した。字幕での一発目は「天界人(セレスティアルズ)」と出たが次からは普通に「セレスティアルズ」へと万引き犯のようにヌルっと字幕での表記を変えたので笑った。と同時にディズニーJapanのダサい思いつきがMCうの厚い地盤に敗れてスッキリした。これは同様に、話題性のために芸能人吹き替えをキャスティングしたがMCUが続きすぎてしまってたりディズニーJapanが勝手に脇役だと思ってたサム・ウィルソン単独作が作られたりして芸能人吹き替えが維持できなくなり、その殆ど全部がDisney+作品以降はプロ声優に交代した。天界人問題はそれと似てる。ディズニーJapanの浅はかな目論見が全て自滅した。「NOVA」も出てくる時は、天界人同様に万引き犯のようなヌルッとした手付きで「ノバ」から「ノヴァ」へと変えるんだろ?だったら翻訳者とかに訊いて最初からそうしとけボケ。太古に、ミュータントの遺伝子を人類に植え付けててそれを稼働させると思ってたら何にもなかった。セレスティアルズのティアマト
エターナルズが何千年もかけて人類を進化させたのはエネルギーを集めて卵から孵化するかのように新しいセレスティアルズのティアマトを産む事だった。だがそれを阻止する事にしたセルシを始めとした反セレスティアルズ派のエターナルズのユニ・マインドによって殺される。そこにティアマトも参加したので自死と言える。ティアマトも卵(地球)の中で人類の歴史を見てきて地球人を好きになったのか?ディヴィアンツのクロ
只の単純なパワー吸収型のバケモノでしかなかった。大人数のエターナルズを語るので精一杯だしMCUはヴィランを重視してないので仕方ない。ギルガメッシュが脳を乗っ取ってギルガメシュになるのかと思った。
エロス/スターフォックス(ハリー・スタイルズ)&ピップ(パットン・オズワルト)
エロスはサノスの弟でタイタンに住んでいたエターナル。ピップはエロスの従者。この二人は『インフィニティ・ガントレット』で見た。とりあえずエターナルズ続編に出るんだろう。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』3作目に出てくるアダム・ウォーロックとも後々合流しそう。地味にピップ好きだったけどインフィニティ・サーガに出なかったので、もう出ないと思ってたので嬉しい。ピップがファストフード食うところとか早く観たい。エリック・ブルックス/ブレイド(マハーシャラ・アリ)
エンドクレジットでエボニーブレイドを抜こうとするデインに話しかける声の主はブレイドだと監督が語っていた。MCUブレイドはMCUのFFやMCUのX-MEN同様めちゃくちゃ楽しみなのでテンション上がりました。デインは多分セルシを助けに行くために呪いの剣を抜いてブラックナイトになろうとしてると思うんだが、セルシ救出の件とは別にブレイドのチームに入りそう。ブレイドは今後配信されるムーンナイトやワーウルフ・バイ・ナイトなどのミスティック・ヒーローを集めてオカルトチームを作るという噂がある(ミッドナイト・サンズ?)
まとめると
・セルシ、キンゴ、ファストス→アリシェムに囚われセレスティアルズ裁判
・セナ、ドルイグ、マッカリ→宇宙でタイタンのエターナルズのスターフォックスと従者ピップと合流
・エイジャック、イカリス、ギルガメッシュ→地球で7千年活動したボディが死亡
・スプライト→人間となりキンゴと同居
・デイン→エボニーブレイドを取りブラックナイトになる?ブレイドが接触
今回のエターナルズの戦死者だが、ボディは無数にあり記憶は外付けHDに記憶されてるので、また出てくるかも。ただし記憶にロックがかかっててギルガメッシュがセナに襲いかかったり逆にイカリスがめっちゃ正義の金髪になってたりとか捻ったシーンで盛り上げそう。続編は〈セナ&ドルイグ&マッカリ&ブラックナイト&スターフォックス&ピップ〉が、セレスティアルズに囚われた〈セルシ&キンゴ&ファストス〉を救出しに行くのかな?能力据え置きならスプライトも?
「もてラジ」のてっちゃんが「テンリングスはエターナルズの得物では?」と言っててハッとした。別の惑星のエターナルズが作った?テン・リングスは外宇宙からの謎の信号をキャッチしてたし。あと「テンリングスでしか倒せないダークゲートのバケモノ」はディヴィアンツ?いやちょっとデザイン違いすぎるか……。そうなるとシャン・チーと繋がり出来るし。他にはセルシと繋がってるデインがブレイドと繋がるし子供の時のソーとも会ってるのか。何の繋がりもなさそうだったけど結構繋がりある。で、地球にいたらパワーバランス的にやりにくいからキャロル同様、宇宙行きになったわけね。
他との絡み、ブラックナイトとセルシやセナを始めとしたエターナルズはアベンジャーズ入りしてもおかしくない。もう掟を守る必要ないし。
正直、最初の前置きが長すぎて前置き書いた時点で疲れて雑になりました。
エターナルズが幾何学模様のスーツ着てるのがアバンと回想とラストバトルで、中盤(殆どの時間)の仲間集めは私服なのが良かったですね。この中盤もスーツだったら異物感が凄かっただろうね(それをネタにしたのがサム・ライミ版スパイダーマンがエレベーターで一般人と居合わせて気まずくなるギャグか)。
次のMCUは11月24日からDisney+で『ホークアイ』(2021) 全6話。何気に近年で最も面白くてカッコいい原作なので一番面白いかもしれない。ケイトも人気出るの確実。
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そんな感じでした
『ノマドランド』(2020)/高齢ノマド生活者ドキュメントの前半は辛いが主人公のポジティブな孤立を描く後半は希望が見えました🚐 - gock221B
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