gock221B

映画やドラマの感想ブログ 😺🐱 殆どのページはネタバレ含んだ感想になってますので注意 😺 短い感想はFilmarksに https://filmarks.com/users/gock221b おしずかに‥〈Since.2015〉

『カウボーイビバップ』(2021) 全10話/ここまでアニメに寄せなくてよかった気もするが男のロマンを否定する結末やビシャスとジュリアの人間化は好感持ちました🐶

f:id:gock221B:20211127205534j:plain

原題:Cowboy Bebop 企画:アンドレ・ネメック 脚本:クリストファー・ヨスト 原作:矢立肇カウボーイビバップ』 配給:Netflix 製作国:アメリカ 配信時間:各話約40~60分、全10話

 

 

最後の方で少し結末のネタバレしてます。
このドラマの原作のアニメは20代前半だった当時、菅野よう子のサントラも買って楽しく観てました。「宇宙ルパンみたいなアニメだな」と思った覚えがある、スパイクはルパン、ジェットは次元、フェイは不二子ちゃん、エドは……一芸に秀でてるという意味で五エ門、銭形は居ないがスパイクを追ってるって事でビシャスを銭形って事にしとこう。あとスパイクは松田優作的なものを感じるし『探偵物語』的な要素もあった。当時も映画好きだったのでアメリカ映画のオマージュがいっぱい入ってたのも良かったですね。ビバップは日本でより海外でも人気で一時期キアヌ・リーブスも映画化したがってた。
渡辺信一郎監督アニメは他に『サムライチャンプルー』(2004)、短編『ブレードランナー ブラックアウト2022』(2017)くらいしか観たことない。『サムライチャンプルー』は今では全然顧みられてないけどNujabesのサントラから今ではネットの一大ジャンルになった「ローファイ・ヒップホップ(Lo-Fi Hip Hop)」が生まれたんだから何がどうなるかわかんないね。
アニメ放映当時はスパイクの過去やビシャスやジュリアなどのシリアス要素が全く好きじゃなくて、キノコの話とかベータのビデオデッキを探す話や宇宙トラック野郎おばさんの話など、どうでもいい話だけ好きだった。
このドラマは、そんなアニメの時の感想とは逆に、スパイクが過去やビシャスと相対する最後の2話が良かった。
このドラマは原作アニメへのリスペクトなのか、キャラの服装や吹き替え、菅野よう子の音楽など原作のアニメに頑張って寄せた結果、最後まで「自分は一体何を観とるんだろう」という気分が抜けず、そのまま観終わった感じだった。
さっきも言った「自分は一体何を観とるんだ?」という気分と「結構悪くないな」という気分が交互に湧いた。
一体何が微妙な気分にさせるのかというと、やはりアニメに寄せすぎた結果、コスプレ感が強いって事だろう。「日本アニメをリスペクトする気持ちは充分に受け取ったけど……ここまで寄せんでもいいよ?」という感じがあった。たとえばMCUとかってキャラや設定やストーリーも原作とめちゃくちゃ変えてるよね、それでいて原作オマージュが絶妙な塩梅で入ってるんだが、このドラマは……本当に不思議な気分になる。原作アニメの声優がそのまま吹き替えしてるので、吹き替えで観ると山ちゃんとか林原めぐみ若本規夫が喋りまくり菅野よう子の曲がずっと流れてるので本当に物凄く変な気分にさせられる!
アラフォーのジョン・チョーが演じるスパイクは割と良かった。特にスタイルや地面から少し浮いて歩いてるような感じやスパイクが醸し出す現実逃避的な雰囲気はスパイクっぽい、その反面、腫れぼったい目元が醸し出す「40代の重さ」は全然スパイクっぽくない。目元以外はかなりスパイク。
フェイは何だかキャラ変わってる気もしたが、ジェットのお母さん感はかなりジェット。ジェットは白人から黒人に変わってるが他人種に変えても問題ないキャラも多く(たとえば『AKIRA』の大佐とか)ジェットもその一人。大ファンなら色々文句もあるんだろうけど僕は大ファンじゃないので「こんなもんでええんちゃう」と感じた。
10代のフェイが現在のスレたフェイにエールを送るシーンは妙に感動させられる、ジンワリしました。アニメ版の同じ話を今久々に観たがやはり感動する。当時は何とも思わなかったのできっと中年になったからこその感動なんだろうな(それは良いとして僕が好きなビデオデッキ探しに行くくだりもやって欲しかったが)。
ビバップ号の内部は子供っぽい感じもあるが結構ワクワクして良い感じ。だが宇宙船の内部というよりスタジオ感があるし違う惑星に降り立っても地球の僻地でロケしてる感が強かった。
アクションは、スパイクの近接戦闘でカット割りすぎてイマイチだし全然ジークンドー感がない。ジークンドー出来るスタントマンとか殆ど居ないだろうから仕方ないのかもしれん。監督もそれわかってるのかスパイクは殆ど格闘しなかった。うん、無理にしなくていい。ガンアクション中心で良いと思う。第9話の殴り込みとか良かった。
そんな感じで、全体的なコスプレ感と相まって楽しみにしてたアニメ版で好きだったコミカルな話は結構厳しいものがあった、その代わりアニメでは全く好きじゃなかったスパイクの過去やビシャスとの対決などのシリアス要素は良かった。その辺りの話はスペースオペラっていうより普通のギャングドラマと変わらんから違和感なかったせいかもしれんね。
ドラマ版ビシャスと、スパイクとビシャスと三角関係になるドラマ版ジュリアはアニメ版より、かなり俗っぽいキャラになっており、SNSなど見るとアニメのファンからは不評のようだが僕はアニメの超然としたビシャスやジュリアが好きじゃなかったのでOK。「ビシャス」という、よりによってシド・ビシャスから取るか?という名前もそうだが白髪ロン毛、日本刀、鳥などのキャラが……キャプテンハーロックがモデルなんだろうけど「大人向けの厨二病」って感じで非常に恥ずかしいものがあった。若本規夫が情感たっぷりに喋るのも。本作の場合『人志松本のすべらない話』の誇張しすぎた若本って感じで可笑しかった。
アニメでは超然としてたビシャスとジュリアだがドラマ版では、ビシャスはすぐキレる小者のチンピラに、ジュリアは腹に一物抱えてる女性へと変貌。超然とした非現実的なキャラから「体液を垂れ流しながら惨めったらしく生きる人間」へ変えられてる。これはアニメ版の二人が好きだった人らは許せんだろうがアニメ版の二人を恥ずかしく思ってた僕にはこっちの方が良かった。
またビシャスとの対決の結末も大胆に変えられている。
男の身勝手なロマン満載のまま消えていったアニメ版の結末も「続編など作らん」っていう意志が感じられたのだけはカッコよかったが、それ以外は好きじゃなかった。その点、このドラマ版の結末は、流れる賛美歌みたいな唄とかアニメでの結末をちょこちょこなぞりながら「何をカッコつけとんねん!いつまでも良い年してフラフラして夢みたいな事ばっか言っとるアホの男どもが!」って感じの正反対のテイストに着地させるのが痛快でした。
ジェットの娘キミー救出のための闘いもフェイが制したし結末もまた……。このドラマは徹底的に”男のロマン”を否定して女性が勝つ感じになってる。あと「フェイが戦闘機乗って来たんならもっとヴィシャスが生き残れなくらい撃ち込んだら?」と突っ込まれないようにキミー救出と共に弾切れしてましたね。
ラスト、濡れネズミみたいになったスパイクがジェットにも愛想つかされ新宿みたいな路地を一人で哀れに飲み歩いて行き倒れる……まさか、こんなションボリした終わりになるとはね。「独りよがりの最期は迎えさせん!フラフラして現実に向き合わなかった罰を今後も煉獄で受けるがいい!」という意思を感じた。そうなるとリスペクトしてアニメに寄せまくってたのもフリに見えてくるね。そしてシーズン2へのヒキ……。
シーズン2に続くとしてメインストーリーはどうなるんですかね。ビシャスとジュリアのくだりは……正直もうやんなくていい、あれで終わりでいい気がする。どうせやるなら好き勝手にやればいいと思う
結末が気に入れば良く思えるものなので僕はこのドラマ版に好感持ちました。
でも前述した通り、コミカルな話がこのドラマに合ってないので僕が好きなキノコとかトラック野郎の話をこのドラマでやっても面白くなる気がしないし、エドがあのノリで喋り続けるのもキツい気がする、多分……。続編作った時にネトフリ入ってればタダだから観るけど別に作らなくても良い気がする。
元のアニメの何が良かったかというと「何となくカッコいい……?」という雰囲気だけなんだが、このドラマはその「かっこいい雰囲気」だけが抜け落ちてて「かっこいい雰囲気」以外の全てを真似ても珍妙なだけですよね。
醒めない夢でも見てるつもりだったけど何時のまにか醒めちまってたから終わります。

※追記:配信から2週間後、このドラマの打ち切りが発表されシーズン2制作はキャンセルされました。「そこまでつまんなくないぞ」と擁護したい気持ちと「これで続き観なくて済んだ」という気持ち両方ある。

 

 

 

そんな感じでした

🐶🐶🐶🐶🐶🐶🐶🐶🐶🐶🐶🐶🐶🐶🐶🐶🐶🐶🐶🐶🐶🐶🐶

カウボーイビバップ (2021) | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

カウボーイビバップ (1998) | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
カウボーイビバップ 天国の扉 (2002) | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

Cowboy Bebop (TV Series 2021– ) - IMDb

www.youtube.comwww.youtube.com

f:id:gock221B:20211127215453g:plain

#sidebar { font-size: 14px; }